(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】アクセルペダル装置
(51)【国際特許分類】
B60K 26/02 20060101AFI20230410BHJP
F02D 11/02 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
B60K26/02
F02D11/02 S
(21)【出願番号】P 2020569306
(86)(22)【出願日】2019-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2019003575
(87)【国際公開番号】W WO2020157949
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】長島 潤
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-49814(JP,A)
【文献】特開2018-90186(JP,A)
【文献】特開2010-52719(JP,A)
【文献】特開2012-171526(JP,A)
【文献】特開2007-76469(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0316648(US,A1)
【文献】特開2010-52720(JP,A)
【文献】国際公開第2011/158571(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 26/02
F02D 11/02
G05G 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルと、
前記アクセルペダルの踏込み操作及び戻し操作における踏力に
所定のヒステリシスを発生するヒステリシス発生機構と、
前記アクセルペダルを押し戻す方向に反力を付加する反力付加機構と、
前記反力付加機構を駆動制御する制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、前記アクセルペダルが踏込まれた所定の目標開度を境にして、前記目標開度よりも大きい開度領域における前記踏力の変化率が前記目標開度よりも小さい開度領域における前記踏力の変化率よりも相対的に大きくなるよう
に前記反力付加機構を駆動制御する
と共に、前記目標開度よりも小さい開度領域において、前記アクセルペダルの開度の増加に伴って徐々に小さくなる反力を付加するべく前記反力付加機構を駆動制御する、
ことを特徴とするアクセルペダル装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記目標開度において反力を付加しないように、前記反力付加機構を駆動制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のアクセルペダル装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記目標開度よりも大きい開度領域において、前記アクセルペダルの開度の増加に伴って徐々に大きくなる反力を付加するべく、前記反力付加機構を駆動制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項4】
前記目標開度は、車両の種々の運転状態に対応して予め設定された複数の目標開度を含み、
前記制御ユニットは、車両の運転状態に基づく指令に対応する目標開度に基づいて、前記反力付加機構を駆動制御する、
ことを特徴とする請求項1ないし
3いずれか一つに記載のアクセルペダル装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記踏力の変化率が前記アクセルペダルの操作力に応じた大きさになるように反力を付加するべく、前記反力付加機構を駆動制御する、
ことを特徴とする請求項1ないし
4いずれか一つに記載のアクセルペダル装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、車両に設けられたスイッチの操作に連動して、前記反力付加機構を駆動制御する、
ことを特徴とする請求項1ないし
5いずれか一つに記載のアクセルペダル装置。
【請求項7】
前記反力付加機構は、前記反力としての回転トルクを及ぼすトルクモータを含み、
前記制御ユニットは、前記アクセルペダルの開度に応じて、前記トルクモータに供給する駆動電流の大きさを調整する、
ことを特徴とする請求項1ないし
6いずれか一つに記載のアクセルペダル装置。
【請求項8】
前記アクセルペダルの動作を検出する検出センサを含み、
前記制御ユニットは、前記検出センサの情報に基づいて、前記トルクモータを駆動制御する、
ことを特徴とする請求項
7に記載のアクセルペダル装置。
【請求項9】
前記制御ユニットは、車両の運転状態に関する情報に基づいて、前記トルクモータを駆動制御する、
ことを特徴とする請求項
7又は8に記載のアクセルペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に適用されるアクセルペダル装置に関し、特にアクセルペダルの踏力に反力を付加する反力付加機構を備えたアクセルペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に適用されるアクセルペダル装置としては、アクセル開度を検知するアクセル開度検知手段と、アクセルペダルの踏力を変更する踏力変更手段と、エンジン又は車両の運転状況に応じて所定の閾値を設定する閾値設定手段を備えた、アクセルペダル踏力制御装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この装置においては、アクセル開度が閾値に至ると、アクセルペダルの踏力が所定量だけステップ的に増加するように設定されている。
また、アクセル開度減少時に、閾値よりも小さいアクセル開度においてステップ的に増加した踏力を解除して、急激な踏力の増加に伴うアクセルペダルのバタツキを防止するように設定されている。
【0004】
しかしながら、この装置においては、閾値を境にステップ的に反力が付加されるため、急激な変化に対して、運転者は無意識に反応してアクセルペダルを戻し過ぎてしまう虞があり、当該閾値が例えばエコドライブの運転モードの閾値として設定された場合に、反力が強すぎると当該運転モードにアクセル開度を維持するのが難しい。
また、反力の急激な増加により、運転者は、ペダルの重さを感じ、その状態が続くと足の疲労感を招く虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、運転状態に応じて予め設定された目標開度を容易に認識でき、当該目標開度を容易に維持でき、又、運転者に違和感や疲労感を生じさせない操作性に優れたアクセルペダル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアクセルペダル装置は、アクセルペダルと、アクセルペダルの踏込み操作及び戻し操作における踏力に所定のヒステリシスを発生するヒステリシス発生機構と、アクセルペダルを押し戻す方向に反力を付加する反力付加機構と、反力付加機構を駆動制御する制御ユニットとを備え、制御ユニットは、アクセルペダルが踏込まれた所定の目標開度を境にして、目標開度よりも大きい開度領域における踏力の変化率が目標開度よりも小さい開度領域における踏力の変化率よりも相対的に大きくなるように反力付加機構を駆動制御すると共に、目標開度よりも小さい開度領域において、アクセルペダルの開度の増加に伴って徐々に小さくなる反力を付加するべく反力付加機構を駆動制御する、構成となっている。
【0008】
上記アクセルペダル装置において、制御ユニットは、目標開度において反力を付加しないように反力付加機構を駆動制御する、構成を採用してもよい。
【0010】
上記アクセルペダル装置において、制御ユニットは、目標開度よりも大きい開度領域において、アクセルペダルの開度の増加に伴って徐々に大きくなる反力を付加するべく反力付加機構を駆動制御する、構成を採用してもよい。
【0012】
上記アクセルペダル装置において、目標開度は、車両の種々の運転状態に対応して予め設定された複数の目標開度を含み、制御ユニットは、車両の運転状態に基づく指令に対応する目標開度に基づいて反力付加機構を駆動制御する、構成を採用してもよい。
【0013】
上記アクセルペダル装置において、制御ユニットは、踏力の変化率がアクセルペダルの操作力に応じた大きさになるように反力を付加するべく反力付加機構を駆動制御する、構成を採用してもよい。
【0014】
上記アクセルペダル装置において、制御ユニットは、車両に設けられたスイッチの操作に連動して反力付加機構を駆動制御する、構成を採用してもよい。
【0015】
上記アクセルペダル装置において、反力付加機構は、反力としての回転トルクを及ぼすトルクモータを含み、制御ユニットは、アクセルペダルの開度に応じてトルクモータに供給する駆動電流の大きさを調整する、構成を採用してもよい。
【0016】
上記アクセルペダル装置において、アクセルペダルの動作を検出する検出センサを含み、制御ユニットは、検出センサの情報に基づいてトルクモータを駆動制御する、構成を採用してもよい。
【0017】
上記アクセルペダル装置において、制御ユニットは、車両の運転状態に関する情報に基づいてトルクモータを駆動制御する、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
上記構成をなすアクセルペダル装置によれば、運転状態に応じて予め設定された目標開度を容易に認識でき、目標開度を容易に維持でき、又、運転者に違和感や疲労感を生じさせない操作性に優れたアクセルペダル装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るアクセルペダル装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
【
図2】
図1に示すアクセルペダル装置を他の方向から視た外観斜視図である。
【
図3】
図1に示すアクセルペダル装置の内部構造を示す側面図である。
【
図4】
図1に示すアクセルペダル装置に含まれる反力付加機構に係る制御システムを示すブロック図である。
【
図5】
図1に示すアクセルペダル装置に含まれるヒステリシス発生機構が発生するヒステリシスをなす踏力を示す踏力特性図である。
【
図6】
図5に示すヒステリシスをなす踏力において、反力付加機構により反力を付加する第1実施形態を示す踏力特性図である。
【
図7】
図5に示すヒステリシスをなす踏力において、反力付加機構により反力を付加する第2実施形態を示す踏力特性図である。
【
図8】
図5に示すヒステリシスをなす踏力において、反力付加機構により反力を付加する第3実施形態を示す踏力特性図である。
【
図9】
図5に示すヒステリシスをなす踏力において、反力付加機構により反力を付加する第3実施形態の変形例を示す踏力特性図である。
【
図10】
図5に示すヒステリシスをなす踏力において、反力付加機構により反力を付加する第3実施形態の他の変形例を示す踏力特性図である。
【
図11】
図5に示すヒステリシスをなす踏力において、反力付加機構により反力を付加する第3実施形態のさらに他の変形例を示す踏力特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
一実施形態に係るアクセルペダル装置は、
図1ないし
図4に示すように、車両としての自動車等の車体に固定されるハウジング10、アクセルペダル20、戻しバネ30、ヒステリシス発生機構40、位置センサ50、反力付加機構60、制御ユニット70を備えている。
【0021】
ハウジング10は、樹脂材料により成形され、支軸11、収容部12、収容部13、埋設部14、収容部15を備えている。
支軸11は、軸線Sを中心とする円柱状に形成され、アクセルペダル20の踏込み操作及び戻し操作において、アクセルペダル20を軸線S回りに揺動自在に支持する。
収容部12は、ハウジング10内において、戻しバネ30及び反力付加機構60の一部を収容する。
収容部13は、ハウジング10内において、ヒステリシス発生機構40を収容する。
埋設部14は、軸線Sの周りにおいて位置センサ50の一部を埋設する。
収容部15は、ハウジング10の上方領域において、外部との電気接続を行う制御ユニット70を収容する。
【0022】
アクセルペダル20は、全体が樹脂材料により成形され、
図1ないし
図3に示すように、円筒部21、下側アーム部22、上側アーム部23、ペダル部24を備えている。
円筒部21は、ハウジング10の支軸11に嵌合されて回動自在に支持される。
下側アーム部22は、円筒部21から下方に伸長して一体的に形成されている。
上側アーム部23は、円筒部21から上方に伸長して一体的に形成され、ヒステリシス発生機構40の第1スライダ41及び反力付加機構60の戻しレバー62並びに戻しバネ30と係合する。
ペダル部24は、下側アーム部22の下方領域に一体的に形成されている。
【0023】
戻しバネ30は、
図3に示すように、バネ鋼等により形成された圧縮型のコイルバネであり、一端部がハウジング10の内壁に係合しかつ他端部がアクセルペダル20の上側アーム部23の円筒部21寄りに係合して圧縮された状態で配置される。
そして、戻しバネ30は、アクセルペダル20を休止位置に戻す付勢力を及ぼす。
【0024】
ヒステリシス発生機構40は、
図3に示すように、第1スライダ41、第2スライダ42、付勢バネ43を備えている。
第1スライダ41は、樹脂材料、例えば、含油ポリアセタール等の高摺動性材料により形成され、ハウジング10の下側内壁面13aに摺動自在に接触する接触面41a、第2スライダ42の傾斜面42bと接触する傾斜面41b、上側アーム部23の上端部23aが離脱可能に係合し得る係合面41cを有する。
第2スライダ42は、樹脂材料、例えば、含油ポリアセタール等の高摺動性材料により形成され、ハウジング10の上側内壁面13bに摺動自在に接触する接触面42a、第1スライダ41の傾斜面41bと接触する傾斜面42b、付勢バネ43の一端部を受ける受け面42cを有する。
付勢バネ43は、例えばバネ鋼等により形成された圧縮型のコイルバネであり、一端部が第2スライダ42の受け面42cに係合し、他端部がハウジング10の内壁13cに係合して圧縮された状態で配置される。
【0025】
そして、付勢バネ43は、第2スライダ42の傾斜面42bを第1スライダ41の傾斜面41bに押し付けて、第1スライダ41及び第2スライダ42を下側内壁面13a及び上側内壁面13bに向けて押し付けるようなくさび作用を及ぼすと共に、第1スライダ41及び第2スライダ42を介して、アクセルペダル20を休止位置に戻す付勢力を及ぼす。
【0026】
したがって、アクセルペダル20が、戻しバネ30及び付勢バネ43の付勢力に抗して休止位置から最大踏込み位置に向けて踏み込まれる場合は、上側アーム部23が付勢バネ43の付勢力に抗して第1スライダ41を
図3中の左向きに押圧する。
この踏込み操作のとき、付勢バネ43が及ぼす付勢力により、第1スライダ41及び第2スライダ42が互いにくさび作用を及ぼし、ハウジング10に対して摩擦力(摺動抵抗)が生じる。踏込み操作時の摩擦力は、踏込み操作と対抗する向きに作用すると共に付勢バネ43の圧縮量の増加に伴って増加する。
したがって、踏込み操作時の摩擦力と踏込み操作に応じて増加する付勢バネ43の付勢力との合力により、踏込み時の踏力は、
図5のヒステリシスをなす踏力線NLにおいて、上側の踏力線DNLとして示され、踏込み量(アクセルペダルの開度)の増加に伴って直線的に増加する。
【0027】
一方、アクセルペダル20が、戻しバネ30及び付勢バネ43の付勢力に応じて休止位置に向けて戻される場合は、第1スライダ41及び第2スライダ42は、付勢バネ43の付勢力により上側アーム部23に追従して
図3中の右向きに移動する。
この戻し操作のときも、付勢バネ43が及ぼす付勢力により、第1スライダ41及び第2スライダ42が互いにくさび作用を及ぼし、ハウジング10に対して摩擦力(摺動抵抗)が生じる。戻し操作時の摩擦力は、踏込み操作の場合と逆向きに作用すると共に付勢バネ43の圧縮量の減少に伴って減少する。
したがって、逆向きに作用する戻し操作時の摩擦力と戻し操作に応じて減少する付勢バネ40の付勢力との合力により、戻し時の踏力は、
図5のヒステリシスをなす踏力線NLにおいて、下側の踏力線RNLとして示され、踏込み量(アクセルペダルの開度)の減少に伴って直線的に減少する。
【0028】
ここで、戻り動作の際の踏力は、踏込み操作の際の踏力よりも小さくなるため、
図5に示すように、踏込み操作から戻し操作までの全体において、踏力Nにヒステリシスが発生する。
尚、戻し操作の途中において、第1スライダ41がスティックして停止したときは、戻しバネ30の付勢力により、上側アーム部23が第1スライダ41から離脱することで、アクセルペダル20は休止位置に戻る。
【0029】
位置センサ50は、アクセルペダル20の動作を検出する検出センサとして機能し、APS(アクセル・ポジション・センサ)とも称され、軸線Sの周りの領域において、アクセルペダル20の円筒部21及びハウジング10の埋設部14に配置されている
位置センサ50は、例えば非接触式の磁気式センサであり、
図2及び
図3に示すように、環状のアマチャ51、一対の永久磁石52、二つのステータ53、二つのホール素子54により構成されている。
【0030】
アマチャ51は、磁性材料により環状に形成され、アクセルペダル20の円筒部21の内周面に埋設されている。
一対の永久磁石52は、円弧状に形成され、アマチャ51の内周面に結合されている。
二つのステータ53は、磁性材料により形成され、ハウジング10の埋設部14に埋設されている。
二つのホール素子54は、二つのステータ53の間に配置されて、ハウジング10の埋設部14に埋設されている。
その他に関連する部品として、端子、種々の電子部品が実装された回路基板が、埋設部14に埋設されている。
【0031】
そして、位置センサ50は、アクセルペダル20が回動することにより生じる磁束密度の変化をホール素子54で検出して電圧信号として出力する。すなわち、位置センサ50により、アクセルペダル20の開度位置を検出することができ、又、アクセルペダル20が踏込み操作又は戻し操作のいずれの動作にあるか又はアクセルペダル20を操作する運転者の操作力を電圧信号の変化率により検出することができる。
【0032】
反力付加機構60は、
図1ないし
図3に示すように、トルクモータ61、トルクモータ61に直結された戻しレバー62を備えている。
トルクモータ61は、磁石を有し軸線S2回りに回転するロータ61a、ロータ61aの周りに磁路を形成するヨーク61b、ヨーク61bに巻回された励磁用のコイル61cを備えている。
そして、トルクモータ61のロータ61a及び戻しレバー62が、ハウジング10の収容部12に配置されている。
【0033】
トルクモータ61は、戻しレバー62が軸線S2を中心に所定の角度範囲において往復動するように、ロータ61aと一体的に戻しレバー62を回転させる。
ここで、トルクモータ61は、供給される駆動電流が一定のとき一定の回転トルクを発生し、供給される駆動電流が直線的に増加すると、発生する回転トルクが直線的に増加するようになっている。
すなわち、トルクモータ61は、駆動制御される際に、アクセルペダル20の開度θに応じて、供給される駆動電流の大きさが調整されるようになっている。
戻しレバー62は、
図3に示すように、軸線S2を中心に回動するトルクモータ61のロータ61aに直結され、先端部がアクセルペダル20の上側アーム部23の中間部に離脱可能に係合する。
【0034】
そして、トルクモータ61が非通電で回転トルクを及ぼさないとき、戻しレバー62は、磁気スプリングにより上側アーム部23に常時係合しており、アクセルペダル20の揺動に追従するようになっている。
ここで、磁気スプリングとは、ロータが非通電時に停止する中立位置から強制的に回転させられたとき、磁気回路内で変化した磁束の作用により、元の中立位置にロータを復帰させようとするトルクである。当該中立位置は、アクセルペダル20の休止位置に対応している。
一方、トルクモータ61が通電されて回転トルクを発生するとき、戻しレバー62は、踏力に抵抗してアクセルペダル20を押し戻す方向に反力を付加するようになっている。
【0035】
制御ユニット70は、
図1及び
図2に示すように、ハウジング10の上部に位置する収容部15に配置されている。
制御ユニット70は、
図4に示すように、制御部71、駆動回路72、電流検出回路73、インターフェース回路74、電源回路75、基準電圧入力回路76、APS信号入力回路77を備えている。
そして、上記のアクセルペダル装置が車両に搭載された状態において、制御ユニット70、車両にそれぞれ搭載されたECU80及びモード切替スイッチ90並びにバッテリ100により、全体の制御システムが構成されている。
【0036】
制御部71は、アクセルペダル装置における種々の制御を司るマイコン等であり、ECU80から発せられる指令信号に基づいて、トルクモータ61の駆動を制御する。
また、制御部71には、予め、トルクモータ61の駆動電流値と発生トルクとを関連付けるマップ、車両の種々の運転状態とアクセルペダル20の開度とを関連付けるマップ、種々の運転モードに対応して予め設定されたアクセルペダル20の複数の目標開度に関する情報、アクセルペダル20の開度とトルクモータ61の回転角度とを関連付けるマップ、その他必要に応じて種々の情報が記憶されている。
そして、制御部71は、ECU80から発せられる指令信号、種々のマップ及び情報に基づいて演算処理及び判定処理を行い、トルクモータ61を駆動制御する。
【0037】
駆動回路72は、制御部71の制御信号に基づいて、PWM信号によりトルクモータ61を駆動する。
電流検出回路73は、トルクモータ61を流れる実際の電流値を検出する。
インターフェース回路74は、制御部71とECU80との間で、CAN通信(コントローラ・エリア・ネットワーク)により信号の送受信を行う。
電源回路75は、制御部71に電源を導く。
基準電圧入力回路76は、位置センサ50の基準電圧を制御部71に入力する。
APS信号入力回路77は、位置センサ50の出力信号を制御部71に入力する。
【0038】
ECU80は、車両全体の制御を司るものであり、又、車両の運転状態に基づいて予め記憶された制御マップ及びモード切替スイッチ90からの出力信号に基づいて演算した指令信号を、CAN通信を介して制御部71に出力する。
ここで、制御マップとしては、例えば、エンジンの回転数、車速、負荷、トランスミッションの変速状態、前方車両との距離、路面情報、運転モードと、アクセル開度とを関連付けるマップ等である。
ここで、運転モードとしては、通常ドライブモード、エコドライブモード、スポーツドライブモード等が含まれる。
【0039】
モード切替スイッチ90は、車両に設けられており、運転者の操作によりオン/オフ操作が行えるようになっている。
運転者が、モード切替スイッチ90をオンにすると、例えば、エコドライブモードが選択され、モード切替スイッチ90をオフにすると、通常のドライブモードが選択されるように設定される。
尚、モード切替スイッチ90は、通常ドライブモード、エコドライブモード、スポーツドライブモード等を含む複数の運転モードを選択できるように設定されてもよい。
【0040】
上記制御システムにおいては、演算部71又はECU80は、位置センサ50の出力信号に基づいて、アクセルペダル20の開度、必要に応じて踏込み操作と戻し操作の動作方向、又は運転者の操作力の大きさを判定する演算処理及び判定処理を実行する。
また、トルクモータ61はアクセルペダル20の開度に連動して回動するため、位置センサ50の情報に基づいて、制御ユニット70はトルクモータ61を駆動制御する。
【0041】
また、上記制御システムにおいて、制御ユニット70は、アクセルペダル20が踏込まれる際に、車両の運転状態等に関する情報に基づき、当該運転状態に対応して予め設定された目標開度θtにアクセルペダル20が維持されるような反力を付加するべく反力付加機構60を駆動制御する。
すなわち、制御ユニット70は、アクセルペダル20が踏込まれた所定の目標開度θtを境にして、目標開度θtよりも大きい開度領域における踏力の変化率(ΔN/Δθ)が目標開度θtよりも小さい開度領域における踏力の変化率(ΔN/Δθ)よりも相対的に大きくなるように、反力付加機構60を駆動制御するようになっている。
【0042】
次に、上記アクセルペダル装置において、反力付加機構60が作動しない通常の動作について説明する。
先ず、アクセルペダル20が操作されないとき、アクセルペダル20は、戻しバネ30の付勢力により、休止位置に停止している。
【0043】
この状態から、アクセルペダル20の踏込み操作が行われると、運転者は
図5中の踏力線DNLに沿う踏力を受けつつ、アクセルペダル20は、戻しバネ30の付勢力に抗して
図3中の反時計回りに回転し、最大踏込み位置にて停止する。
この踏込み操作において、戻しレバー62は、トルクモータ61が非通電の状態で反力を付加することなくアクセルペダル20の移動に追従する。
【0044】
一方、アクセルペダル20の戻し操作が行われると、運転者は
図5中の踏力線RNLに沿う踏力を受けつつ、アクセルペダル20は、戻しバネ30の付勢力により、
図3中の時計回りに回転し、休止位置にて停止する。
この戻し操作において、戻しレバー62は、トルクモータ61が非通電の状態で反力を付加することなくアクセルペダル20の移動に追従する。
【0045】
次に、上記アクセルペダル装置において、反力付加機構60が駆動制御される場合の第1実施形態について説明する。
第1実施形態では、
図6に示すように、制御ユニット70は、目標開度θtよりも小さい開度領域において、アクセルペダル20の開度θの増加に伴って徐々に小さくなる反力を付加するべく、反力付加機構60を駆動制御する。
【0046】
運転者が、モード切替スイッチ90をオンにしてエコドライブモードを選択すると、そのオン操作に基づいてECU80からインターフェース回路74を介して制御部71に指令信号が発せられる。ここでは、目標開度θtが、エコドライブモードのアクセル開度に対応するように設定されている。
そして、制御部71は、ECU80の指令信号及び位置センサ50の出力信号等に基づいて、種々の演算処理及び判定処理を実行し、駆動回路72を介して、トルクモータ61に供給する駆動電流の大きさを適宜制御する。
ここでは、制御ユニット70は、モード切替スイッチ90のオン操作に連動して、反力付加機構60を駆動制御するようになっている。
【0047】
すなわち、
図6に示すように、アクセルペダル20の踏込み操作の際に、踏力Nは、目標開度θtよりも小さい開度領域において目標開度θtに向けて徐々に小さくなる反力が付加された、通常の踏力線DNLよりも大きい踏力線DALとなり、目標開度θtにおいて反力が付加されない通常の踏力線DNLとなるように、トルクモータ61が駆動制御される。
このとき、トルクモータ61に供給される駆動電流は、アクセルペダル20の開度の増加に伴って、所定の大きさから徐々に小さくなり、目標開度θtにおいて零となるように制御される。
このような反力が付加された状態において、アクセルペダル20の戻し操作の際には、目標開度θtよりも小さい開度領域において、踏力Nは、通常の踏力線RNLよりも大きい踏力線RALとなる。
【0048】
要するに、目標開度θtを境にして、目標開度θtよりも大きい開度領域における踏力(踏力線DNL)の変化率ΔN/Δθが、目標開度θtよりも小さい開度領域における踏力(踏力線DAL)の変化率ΔN/Δθよりも相対的に大きくなるように、反力付加機構60が駆動制御されている。
【0049】
このように踏力特性が制御されることにより、運転者は、目標開度θtまでスムーズに踏み込むことができ、又、目標開度θtを屈曲点として踏力Nが徐々に増加する感覚を受けるため、従来のような急激な変化によるアクセルペダルの戻し動作、操作上の違和感や疲労感を生じることはない。
したがって、運転者は、屈曲点に対応する目標開度θtを容易に認識でき、アクセルペダル20を目標開度θtに容易に維持することができる。
【0050】
一方、運転者が、モード切替スイッチ90をオフにして通常のドライブモードを選択すると、そのオフ操作に基づいてECU80からインターフェース回路74を介して制御部71に指令信号が発せられる。
そして、制御ユニット70による反力付加機構60の駆動制御は解除される。これにより、アクセルペダル20の踏力Nは、
図5に示す通常の踏力線DNL,RNLとなる。
【0051】
尚、反力付加機構60が仮に作動不良になっても、戻しレバー62はアクセルペダル20の上側アーム部23に対して離脱可能であるため、アクセルペダル20は休止位置へ確実に戻ることができる。また、ヒシテリシス発生機構40が作動不良になっても、戻しバネ30がアクセルペダル20に対して付勢力を直接及ぼしているため、アクセルペダル20は休止位置へ確実に戻ることができる。
【0052】
次に、上記アクセルペダル装置において、反力付加機構60が駆動制御される場合の第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、
図7に示すように、制御ユニット70は、目標開度θtよりも大きい開度領域において、アクセルペダル20の開度θの増加に伴って徐々に大きくなる反力を付加するべく、反力付加機構60を駆動制御する。
尚、運転者によるモード切替スイッチ90のオン/オフ操作に基づく制御部71の演算処理及び判定処理等は前述の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
すなわち、第2実施形態においては、
図7に示すように、アクセルペダル20の踏込み操作の際に、踏力Nは、目標開度θtよりも小さい開度領域及び目標開度θtにおいて反力は付加されず通常の踏力線DNLであり、目標開度θtよりも大きい開度領域において、アクセルペダル20の開度の増加に伴って徐々に大きくなる反力が付加された踏力線DALとなるように、トルクモータ61が駆動制御される。
このとき、トルクモータ61に供給される駆動電流は、目標開度θtからアクセルペダル20の開度の増加に伴って徐々に大きくなるように制御される。
このような反力が付加された状態において、アクセルペダル20の戻し操作の際には、目標開度θtよりも大きい開度領域において、踏力Nは、通常の踏力線RNLよりも大きい踏力線RALとなる。
【0054】
要するに、目標開度θtを境にして、目標開度θtよりも大きい開度領域における踏力(踏力線DAL)の変化率ΔN/Δθが、目標開度θtよりも小さい開度領域における踏力(踏力線DNL)の変化率ΔN/Δθよりも相対的に大きくなるように、反力付加機構60が駆動制御されている。
【0055】
このように踏力特性が制御されることにより、運転者は、目標開度θtまで踏み込むと、目標開度θtを屈曲点として踏力Nが徐々に増加する感覚を受けるため、従来のような急激な変化によるアクセルペダルの戻し動作、操作上の違和感や疲労感を生じることはない。
したがって、運転者は、屈曲点に対応する目標開度θtを容易に認識でき、アクセルペダル20を目標開度θtに容易に維持することができる。
【0056】
次に、上記アクセルペダル装置において、反力付加機構60が駆動制御される場合の第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、
図8に示すように、制御ユニット70は、目標開度θtよりも小さい開度領域においてアクセルペダル20の開度θの増加に伴って徐々に小さくなる反力を付加し、かつ、目標開度θtよりも大きい開度領域においてアクセルペダル20の開度θの増加に伴って徐々に大きくなる反力を付加するべく、反力付加機構60を駆動制御する。
尚、運転者によるモード切替スイッチ90のオン/オフ操作に基づく制御部71の演算処理及び判定処理等は前述の第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
すなわち、第3実施形態においては、
図8に示すように、アクセルペダル20の踏込み操作の際に、踏力Nは、目標開度θtよりも小さい開度領域において目標開度θtに向けて徐々に小さくなる反力が付加された、通常の踏力線DNLよりも大きい踏力線DALとなり、目標開度θtにおいて反力が付加されない通常の踏力線DNLとなり、目標開度θtよりも大きい開度領域において、アクセルペダル20の開度θの増加に伴って徐々に大きくなる反力が付加された踏力線DALとなるように、トルクモータ61が駆動制御される。
このとき、トルクモータ61に供給される駆動電流は、アクセルペダル20の開度の増加に伴って所定の大きさから徐々に小さくなり、目標開度θtにおいて零となり、目標開度θtを超えてからアクセルペダル20の開度の増加に伴って徐々に大きくなるように制御される。
このような反力が付加された状態において、アクセルペダル20の戻し操作の際には、踏力Nは、目標開度θtよりも大きい開度領域において、通常の踏力線RNLよりも大きい踏力線RALとなり、目標開度θtよりも小さい開度領域において、通常の踏力線RNLよりも大きい踏力線RALとなる。
【0058】
要するに、目標開度θtを境にして、目標開度θtよりも大きい開度領域における踏力(踏力線DAL)の変化率ΔN/Δθが、目標開度θtよりも小さい開度領域における踏力(踏力線DNL)の変化率ΔN/Δθよりも相対的に大きくなるように、反力付加機構60が駆動制御されている。
【0059】
このように踏力特性が制御されることにより、運転者は、目標開度θtまでスムーズに踏み込むことができ、又、目標開度θtまで踏み込むと、目標開度θtを屈曲点として踏力Nが徐々に増加する感覚を受けるため、従来のような急激な変化によるアクセルペダルの戻し動作、操作上の違和感や疲労感を生じることはない。
したがって、運転者は、屈曲点に対応する目標開度θtを容易に認識でき、アクセルペダル20を目標開度θtに容易に維持することができる。
【0060】
ここで、目標開度θtは、
図9中の矢印で示すように、アクセルペダル20の作動範囲内において、適宜選択することができる。
すなわち、目標開度θtとして、車両の種々の運転状態に対応して、予め複数の目標開度θtが設定されており、制御ユニット70は、ECU80から発せられる車両の運転状態に基づく指令信号に対応する目標開度θtに基づいて、反力付加機構60を駆動制御することができる。
【0061】
このように、複数の目標開度θtに応じて反力付加機構60が駆動制御されることにより、高速道路等での高速巡行運転、街中等での低速運転等の運転環境や、複数の運転モードに応じて、運転者は、それぞれの目標開度θtを容易に認識して、アクセルペダル20を当該目標開度θtに容易に維持でき、疲労や煩わしさを感じることなく、最適な運転を行うことができる。
【0062】
尚、ここでは、第3実施形態に係る反力付加機構60の駆動制御において、複数の目標開度θtを設定する場合を示したが、第1実施形態及び第2実施形態に係る反力付加機構60の駆動制御においても同様である。
【0063】
また、反力が付加されたときの踏力N(踏力線DAL)は、
図10中の二点鎖線で示すような範囲において適宜設定され得る。
すなわち、制御ユニット70は、踏力Nの変化率ΔN/Δθがアクセルペダル20を操作する運転者の操作力に応じた大きさとなるように反力を付加するべく、反力付加機構60を駆動制御する。
尚、この駆動制御においても、制御ユニット70は、アクセルペダルが踏込まれた所定の目標開度θtを境にして、目標開度θtよりも大きい開度領域における踏力Nの変化率ΔN/Δθが、目標開度θtよりも小さい開度領域における踏力Nの変化率ΔN/Δθよりも相対的に大きくなるように反力付加機構60を駆動制御する、ことが前提となる。
【0064】
具体的には、位置センサ50により検出される電圧信号の時間当たりの変化率ΔV/Δtに基づき、ECU80又は制御部71が、変化率が大きい場合は操作力(踏込み力)が大きい運転者による操作であり、変化率が小さい場合は操作力が小さい運転者による操作であると判定する。
そして、制御部71が、予め記憶された制御マップ等に基づき、それぞれの操作力に対応した踏力Nの変化率ΔN/Δθとなるように、反力付加機構60を駆動制御する。
【0065】
一般に、運転者の操作力は、体格や性別によりそれぞれ異なり、運転者ごとに踏力の感じ方も異なる。
したがって、
図10に示すように、運転者に応じた最適な踏力特性となるように駆動制御されることにより、いずれの運転者においても、従来のような急激な変化によるアクセルペダルの戻し動作、操作上の違和感や疲労感を生じることはない。
したがって、運転者は、
屈曲点に対応する目標開度θtを容易に認識でき、アクセルペダル20を目標開度θtに容易に維持することができる。
【0066】
尚、ここでは、第3実施形態に係る反力付加機構60の駆動制御において、アクセルペダル20の操作力に応じた大きさの反力を付加するべく反力付加機構60を駆動制御する場合を示したが、第1実施形態及び第2実施形態に係る反力付加機構60の駆動制御においても同様である。
【0067】
さらに、上記実施形態においては、制御ユニット70が、目標開度θtにおいて、反力を付加しないように反力付加機構60を駆動制御する場合を示したが、目標開度θtにおいて反力を付加してもよい。
例えば、
図11に示すように、アクセルペダル20の踏込み操作の際に、踏力Nは、目標開度θtよりも小さい開度領域において目標開度θtに向けて徐々に小さくなる反力が付加されかつ目標開度θtにおいて所定量の反力が付加された、通常の踏力線DNLよりも大きい踏力線DALとなり、目標開度θtよりも大きい開度領域において、アクセルペダル20の開度θの増加に伴って徐々に大きくなる反力が付加された踏力線DALとなるように、トルクモータ61が駆動制御される。
このとき、トルクモータ61に供給される駆動電流は、アクセルペダル20の開度の増加に伴って所定の大きさから目標開度θtまで徐々に小さくなり、目標開度θtを超えてからアクセルペダル20の開度の増加に伴って徐々に大きくなるように制御される。
【0068】
このような反力が付加された状態において、アクセルペダル20の戻し操作の際には、踏力Nは、目標開度θtよりも大きい開度領域において、通常の踏力線RNLよりも大きい踏力線RALとなり、目標開度θtよりも小さい開度領域において、通常の踏力線RNLよりも大きい踏力線RALとなる。
【0069】
要するに、目標開度θtを境にして、目標開度θtよりも大きい開度領域における踏力(踏力線DAL)の変化率ΔN/Δθが、目標開度θtよりも小さい開度領域における踏力(踏力線DNL)の変化率ΔN/Δθよりも相対的に大きくなるように、反力付加機構60が駆動制御されている。
【0070】
このように踏力特性が制御されることにより、運転者は、全域において踏力が僅かに増加したことを感じつつも、目標開度θtまでスムーズに踏み込むことができ、又、目標開度θtまで踏み込むと、目標開度θtを屈曲点として踏力Nが徐々に増加する感覚を受けるため、従来のような急激な変化によるアクセルペダルの戻し動作、操作上の違和感や疲労感を生じることはない。
したがって、運転者は、ある程度の負荷を感じつつも、屈曲点に対応する目標開度θtを容易に認識でき、アクセルペダル20を目標開度θtに容易に維持することができる。
【0071】
上記実施形態においては、反力付加機構として、トルクモータ61を含む反力付加機構60を示したが、これに限定されるものではなく、アクセルペダル20を押し戻す方向に反力を付加することができ、かつ、制御可能なものであれば、その他の機構を採用してもよい。
【0072】
上記実施形態においては、ヒステリシス発生機構として、第1スライダ41、第2スライダ42、及び付勢バネ43により構成されたヒステリシス発生機構40を示したが、これに限定されるものではなく、踏力にヒステリシスを発生させるものであれば、その他の機構を採用してもよい。
【0073】
上記実施形態においては、モード切替スイッチ90のオン操作に連動して制御ユニット70が反力付加機構60を駆動制御し、モード切替スイッチ90のオフ操作に連動して制御ユニット70が反力付加機構60の駆動制御を解除する場合を示したが、これに限定されるものではなく、逆に、モード切替スイッチ90のオン操作に連動して制御ユニット70が反力付加機構60の駆動制御を解除し、モード切替スイッチ90のオフ操作に連動して制御ユニット70が反力付加機構60を駆動制御する構成を採用してもよい。
【0074】
上記実施形態においては、アクセルペダルとして、ハウジング10の支軸11により揺動自在に支持されたアクセルペダル20を示したが、これに限定されるものではない。
例えば、アクセルペダルが車両の床面に揺動自在に支持されたアクセルペダル、又は、ハウジングの支軸により揺動自在に支持されたペダルアーム部と車両の床面に揺動自在に支持されたペダル部を連動させるリンク機構を備えたアクセルペダルを採用してもよい。
【0075】
以上述べたように、本発明のアクセルペダル装置は、運転状態に応じて予め設定された目標開度を容易に認識でき、目標開度を容易に維持でき、又、反力を付加する際に運転者に違和感を生じさせない優れた操作性を得ることができるため、自動車等に適用できるのは勿論のこと、作業車両、その他の車両等においても有用である。
【符号の説明】
【0076】
20 アクセルペダル
θ アクセルペダルの開度
θt 目標開度
θtn 複数の目標開度
N 踏力
ΔN/Δθ 踏力の変化率
40 ヒステリシス発生機構
50 位置センサ(検出センサ)
60 反力付加機構
61 トルクモータ
70 制御ユニット
90 モード切替スイッチ