(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】下水のウイルス消毒剤、下水中のウイルス消毒方法及びウイルス消毒剤を用いた下水処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/50 20230101AFI20230410BHJP
A01N 43/50 20060101ALI20230410BHJP
A01N 59/00 20060101ALI20230410BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20230410BHJP
C02F 1/76 20230101ALI20230410BHJP
C02F 3/00 20230101ALI20230410BHJP
【FI】
C02F1/50 532H
C02F1/50 532D
C02F1/50 520P
C02F1/50 531L
C02F1/50 531P
C02F1/50 540D
C02F1/50 550C
C02F1/50 550L
A01N43/50 R
A01N59/00
A01P1/00
C02F1/76 A
C02F3/00 D
(21)【出願番号】P 2021081937
(22)【出願日】2021-05-13
【審査請求日】2021-05-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】仲田 弘明
(72)【発明者】
【氏名】林 秀明
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】宮部 裕一
【審判官】土屋 知久
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-527351(JP,A)
【文献】特表2012-527350(JP,A)
【文献】特開2020-131049(JP,A)
【文献】特開2019-34893(JP,A)
【文献】特開2013-59754(JP,A)
【文献】特表2019-527087(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179511(WO,A1)
【文献】中国実用新案第212327022(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0007637(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/50
A61L 2/16-2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水中に含まれるエンベロープウイルスを死滅または不活化させて前記下水中のエンベロープウイルス量を低減させるために、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン95質量%以上
含有する薬剤、または臭化ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムの混合物から生成される次亜臭素酸をエンベロープウイルス用消毒剤として、
アンモニア性窒素濃度が36mg/L以下の前記下水に接触時間60秒以上30分以下、有効ハロゲンの添加濃度が塩素換算で4mg/L as Cl
2以上25mg/L as Cl
2以下で接触させることを特徴とする下水のウイルス消毒剤。
【請求項2】
下水中に含まれるエンベロープウイルスを死滅または不活化させて前記下水中のエンベロープウイルス量を低減させるために、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン95質量%以上
含有する薬剤、または、臭化ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムの混合物から生成される次亜臭素酸をエンベロープウイルス用消毒剤として生成させ、
アンモニア性窒素濃度が36mg/L以下
の前記下水に、有効ハロゲンの添加濃度が塩素換算で4mg/L as Cl
2以上25mg/L as Cl
2以下、接触時間60秒以上30分以下
で前記下水と接触させることを特徴とする下水中のウイルス消毒方法。
【請求項3】
前記下水が、雨天時越流水であって、該雨天時越流水中のエンベロープウイルス量を3.0log・PFU/mL以上減少させることを特徴とする請求項2に記載の下水中のウイルス消毒方法。
【請求項4】
下水を固液分離した第一分離水の一部を公共用水域へ放流する第一沈殿池と、
前記第一分離水を曝気処理し曝気処理水を得る曝気槽と、
前記曝気処理水を固液分離した第二分離水を公共用水域へ放流する第二沈殿池と、
前記第一分離水の一部に、前記第一分離水中に含まれるエンベロープウイルスを少なくとも不活化させるために、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン95質量%以上
含有する薬剤からなるエンベロープウイルス用消毒剤を、アンモニア性窒素濃度が36mg/L以下の前記第一分離水に対して接触時間60秒以上30分以下、有効ハロゲンの添加濃度が塩素換算で4mg/L as Cl
2以上25mg/L as Cl
2以下
で注入し、前記第一分離水中のエンベロープウイルス量を低減させる注入手段と、
を備えることを特徴とするウイルス消毒剤を用いた下水処理装置。
【請求項5】
下水を固液分離した第一分離水の一部を公共用水域へ放流する第一沈殿池と、
前記第一分離水を曝気処理し曝気処理水を得る曝気槽と、
前記曝気処理水を固液分離した第二分離水を公共用水域へ放流する第二沈殿池と、
前記第一分離水の一部に、前記第一分離水中に含まれるエンベロープウイルスを少なくとも不活化させるために、臭化ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムの混合物から生成される次亜臭素酸のエンベロープウイルス用消毒剤を、アンモニア性窒素濃度が36mg/L以下の前記第一分離水に対して接触時間60秒以上30分以下、有効ハロゲンの添加濃度が塩素換算で4mg/L as Cl
2以上25mg/L as Cl
2以下
で注入し、前記第一分離水中のエンベロープウイルス量を低減させる注入手段と、
を備えることを特徴とするウイルス消毒剤を用いた下水処理装置。
【請求項6】
前記第一分離水のアンモニア性窒素濃度を測定する濃度測定手段と、
前記第一分離水のアンモニア性窒素濃度の測定結果又は前記第一分離水の水量に基づいて、前記第一分離水に含まれるエンベロープウイルスを少なくとも不活化させる濃度で注入する様に前記ウイルス消毒剤の有効ハロゲンの添加濃度及び供給時間を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載のウイルス消毒剤を用いた下水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水のウイルス消毒剤、下水中のウイルス消毒方法及びウイルス消毒剤を用いた下水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場は、家庭や工場から排出される汚水等を無害化して公共用水域に放流するための施設であるが、設計値を上回る降雨があった場合には、中継基地であるポンプ場や雨水吐き口から、雨水の混ざった汚水(以下、「雨天時放流下水」ともいう)が、数十秒から数分で十分に処理されない状態で公共用水域に放流されることがある。このような場合、粗大浮遊物やSS(Suspended Solids:浮遊物質)が、公共用水域に放流されるため、美観上問題となる場合があるばかりか、水質汚濁防止法に定める放流基準値(3,000個/cm3以下)を大幅に上回る大腸菌群が検出される場合がある。
【0003】
下水処理場では、一部の雨天時放流下水を、簡易処理した後に放流する場合もある。このような場合においても、細菌の殺菌が十分に実施されないため、水質汚濁防止法に定める放流基準値を大幅に上回る大腸菌群が検出される場合がある。このような現象は、特に合流式下水道に多く見られる現象であるが、分流式下水道においても、土壌由来の大腸菌群や粗大浮遊物等が流入するため、それらが越流して公共用水域に放流された場合には、合流式下水道と同様の問題が生じていた。
【0004】
下水処理場における従来の消毒方法として、例えば、「下水道施設計画・設計指針と解説 後編-2019年版」(非特許文献1)には、次亜塩素酸ナトリウム、液化塩素、塩素化イソシアヌール酸、次亜塩素酸カルシウム等の塩素系消毒剤を用いて、下水中の大腸菌群を消毒する方法が知られている。
【0005】
しかしながら、塩素系消毒剤は、雨天時放流下水のように、短時間で公共用水域に放流される場合には、接触時間が短くなるため殺菌作用が十分に発揮されないこと、及びアンモニア性窒素も含有量が多い排水においては、塩素とアンモニア性窒素とが反応してクロラミンを形成しやすく、殺菌作用が著しく低減することがある。そのため、塩素系消毒剤による処理では、水質汚濁防止法で定める基準値以下に大腸菌群数を減少させることができないという問題、及び、クロラミンが公共用水域に結合性塩素として長時間残留して環境に悪影響を与えるという問題等がある。
【0006】
そこで、塩素系消毒剤に代わる消毒剤が種々検討されてきた。例えば、特許第3668071号公報(特許文献1)には、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン及び1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインからなる群から選択される化合物からなる固体消毒剤を水に添加・溶解して、消毒水を得たのち雨天時放流下水に添加し消毒する方法が提案されている。
【0007】
また、特開2003-12425号公報には、臭化ナトリウムや臭化カリウムなどの臭化物と次亜塩素酸もしくはその塩とを混合することによって次亜臭素酸を生成し、下水を消毒する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第3668071号公報
【文献】特開2003-12425号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】日本下水道協会、「下水道施設計画・設計指針と解説 後編-2019年版」、2019年9月、第233~254頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のいずれも、下水中に含まれる細菌の一種である大腸菌群を消毒するための方法が記載されるだけであって、ウイルスに関する知見は一切記載されていない。そもそも、細胞構造を有さないウイルスは、大腸菌類とは分類学上も互いに性質が全く異なり、特許文献1及び2に記載される方法がウイルスに対して効果を奏するか否かは不明である。
【0011】
現在、ウイルスは水質汚濁防止法等による放流基準値としては特に定めがない。しかしながら、例えば、ノロウイルスは、感染者の糞便が下水処理場から河川に放流され、下流の海域で養殖されているカキや二枚貝に蓄積されて濃縮されることが知られている。これら貝類を生あるいは加熱不十分な状態で食するとノロウイルスに感染する。このように、ウイルスが環境に及ぼす種々の影響を考慮すると、大腸菌類だけでなく、ウイルスを含む下水が河川等の公共用水域へ放流される前に、下水中のウイルスを極力除去しておくことが望ましいと考えられる。
【0012】
上記課題を鑑み、本発明は、下水中に含まれるウイルスを、短時間で効果的に消毒することが可能な、下水のウイルス消毒剤、下水中のウイルス消毒方法及びウイルス消毒剤を用いた下水処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討したところ、特定の消毒剤を利用することが有効であるとの知見を得た。
【0014】
以上の知見を基礎として完成した本発明の実施の形態は一側面において、下水中に含まれるウイルスを死滅または不活化させるための次亜臭素酸塩を生成し、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントインからなる化合物、または金属元素の臭化物と次亜塩素酸塩の混合物からなる下水のウイルス消毒剤である。
【0015】
本発明の実施の形態は別の一側面において、下水中に含まれるウイルスを死滅または不活化させるための次亜臭素酸塩を生成し、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントインからなる化合物、または、金属元素の臭化物と次亜塩素酸塩の混合物からなるウイルス消毒剤を下水に添加する工程を有する下水中のウイルス消毒方法である。
【0016】
本発明の実施の形態に係る下水中のウイルス消毒方法は一実施態様において、下水への消毒剤の有効ハロゲンの添加濃度が塩素換算で2mg/L as Cl2以上となるように、下水に消毒剤を添加する。
【0017】
本発明の実施の形態に係る下水中のウイルス消毒方法は別の一実施態様において、アンモニア性窒素濃度が100mg/L以下の下水に、消毒剤を添加する。
【0018】
本発明の実施の形態に係る下水中のウイルス消毒方法は更に別の一実施態様において、下水と消毒剤との接触時間を15秒以上とする。
【0019】
本発明の実施の形態に係る下水中のウイルス消毒方法は更に別の一実施態様において、下水中のウイルス量を2.0log・PFU/mL以上減少させる。
【0020】
本発明の実施の形態は更に別の一側面において、下水を固液分離した第一分離水の一部を公共用水域へ放流する第一沈殿池と、第一分離水を曝気処理し曝気処理水を得る曝気槽と、曝気処理水を固液分離した第二分離水を公共用水域へ放流する第二沈殿池と、第一分離水の一部に、下水中に含まれるウイルスを少なくとも不活化させるための次亜臭素酸塩を生成し、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントインの化合物からなるウイルス消毒剤を注入する注入手段とを備えるウイルス消毒剤を用いた下水処理装置である。
【0021】
本発明の実施の形態は更に別の一側面において、下水を固液分離した第一分離水の一部を公共用水域へ放流する第一沈殿池と、第一分離水を曝気処理し曝気処理水を得る曝気槽と、曝気処理水を固液分離した第二分離水を公共用水域へ放流する第二沈殿池と、第一分離水の一部に、下水中に含まれるウイルスを少なくとも不活化させるための次亜臭素酸塩を生成し、金属元素の臭化物と次亜塩素酸塩の混合物からなるウイルス消毒剤を注入する注入手段とを備えるウイルス消毒剤を用いた下水処理装置である。
【0022】
本発明の実施の形態に係るウイルス消毒剤を用いた下水処理装置は一実施態様において、注入手段におけるウイルス消毒剤の注入は、第一分離水のアンモニア性窒素濃度を測定する濃度測定手段と、第一分離水のアンモニア性窒素濃度の測定結果に基づいて、第一分離水に含まれるウイルスを少なくとも不活化させる濃度で注入する様に制御する制御手段とにより行われる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、下水中に含まれるウイルスを、短時間で効果的に消毒することが可能な、下水のウイルス消毒剤、下水中のウイルス消毒方法及びウイルス消毒剤を用いた下水処理装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態に係る下水中のウイルス消毒方法を適用することが可能な下水処理装置の一例を表す概略図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る下水中のウイルス消毒方法を適用することが可能な雨水ポンプ場の一例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載においては、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0026】
-ウイルス消毒剤-
本発明の実施の形態に係るウイルス消毒剤は、下水中に含まれるウイルスを死滅または不活化させるための次亜臭素酸塩を生成するウイルス消毒剤であって、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントインからなる化合物、または金属元素の臭化物と次亜塩素酸塩の混合物からなるウイルス消毒剤である。
【0027】
1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(以下「BCDMH」ともいう)は、固形で吸湿性が低く、消毒剤として一般的に使用される次亜塩素酸ナトリウムと比較して安定性が高いため、長期間の保管が可能である。また、有効成分の含有率が次亜塩素酸ナトリウムよりも高く、注入量が少なくて済むため、装置がコンパクトで既存システムへの組み込みが容易である。更に、消毒剤の補充作業以外は、全て自動制御とすることができるため、使用に際して、運転・維持管理が容易であることなどの種々の利点を有する。
【0028】
BCDMHは水に溶解し、加水分解すると、モノクロロジメチルヒダントイン(MCDMH)を経由して、ジメチルヒダントイン(DMH)、次亜臭素酸(HOBr)および次亜塩素酸(HOCl)を生成する。BCDMHの加水分解により生成した次亜臭素酸が主に消毒に関与する。次亜塩素酸はアンモニアと反応して消毒効果の低いクロラミンを生じさせるが、次亜臭素酸はそもそもアンモニアと反応し難く、反応により少量生成するブロモアミン自体も次亜臭素酸と同等の消毒効果を有するため、下水に対して有効な消毒作用を発揮する。BCDMHの他に、加水分解により次亜臭素酸を生成する化合物である1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインを有効成分とする消毒剤を用いることができる。ウイルス消毒剤としては、有効成分として1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントインを95重量%以上、より好ましくは96重量%以上含有し、室温で固形状(粒状)である薬剤を用いることができる。
【0029】
金属元素の臭化物と次亜塩素酸塩の混合物からなる群の中から選択され、加水分解により次亜臭素酸を生成する化合物を適宜組み合わせることもまた好適である。例えば、水中で次亜塩素酸イオン(OCl-)を発生させる薬剤(A)と、水中で臭化物イオン(Br-)を発生させる薬剤(B)とを混合して反応させると、次亜臭素酸が生成される。(A)と(B)の混合割合は1:9~9:1の範囲で任意に定めることが出来る。
【0030】
薬剤(A)は、次亜塩素酸塩、ジクロロイソシアヌル酸またはその塩、トリクロロイソシアヌル酸またはその塩、及び次亜塩素酸カルシウム(さらし粉)から選択される1種以上を含み、薬剤(B)は、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、及び臭化カルシウムから選ばれる1種以上を含むことが好ましく、任意の薬剤(A)と薬剤(B)の組合せを用いることができる。薬剤(A)の塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸カリウム等を好適に用いることができる。薬剤(A)と薬剤(B)との組合せは、次亜塩素酸ナトリウムと臭化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムと臭化カリウム、次亜塩素酸カルシウム(さらし粉)と臭化ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと臭化ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと臭化カリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと臭化カルシウム等を特に好適に用いることができる。
【0031】
ウイルス消毒剤が室温で固体である場合、固体の消毒剤を排水に直接添加すると、溶解していない固体が排水とともに放流され、公共用水域で水棲生物に悪影響を与える危険性がある。よって、ウイルス消毒剤が固体状であるときには、消毒剤を水に溶解させて溶液状にして下水に添加することが好ましい。溶解方法は特に限定されないが、エジェクターによる水流撹拌、流路撹拌、混合装置を設けた溶解槽のいずれでもよい。
【0032】
下水中のウイルス消毒剤の添加濃度は、有効ハロゲンの塩素換算値で2mg/L as Cl2以上、より好ましくは4mg/L as Cl2以上、更には5mg/L as Cl2以上であることが好ましい。ウイルスによるパンデミックの際には、適宜注入率を上げることが可能である。次亜臭素酸とアンモニアにより生成されるブロモアミンはそもそも生成量が少なく残留性が低いが、放流先の水棲生物へ与える万が一の影響を考慮し、25mg/L as Cl2以下、更には20mg/L as Cl2以下で使用することが望ましい。
【0033】
なお、本発明の実施の形態では下水、即ち、下水道法に規定される生活若しくは事業に起因し、もしくは付随する廃水(汚水)または雨水を、消毒対象とする例を一応記載している。しかしながら、消毒対象となる排水は、アンモニア性窒素を含有しておりウイルス消毒が望まれる排水であれば、下水に限定されない。例えば、河川や湖沼などの放流水なども、消毒対象として利用可能である。
【0034】
下水を消毒する場合、アンモニア性窒素濃度が100mg/L以下、より好ましくは72mg/L以下の下水に上記の消毒剤を添加することで、下水中のウイルスの死滅または不活化効果をより有効に得ることができる。下水中のアンモニア性窒素濃度が100mg/Lを超える場合は、希釈水等で希釈してアンモニア性窒素濃度が適正値となるように下水中のアンモニア性窒素濃度を調整することもまた好ましい。
【0035】
充分なウイルス消毒効果を得るために、下水と消毒剤との接触時間は15秒以上、より好ましくは30秒以上、更に好ましくは1分以上とすることが好ましい。接触時間とは、下水に消毒剤を接触させる時間を意味する。下水と消毒剤との接触は、反応槽内で撹拌を行うことにより接触させてもよいし、下水を流れる配管中に消毒剤を注入して接触させる方式でもよい。接触時間の上限は特に限定されないが、本発明の実施の形態に係るウイルス消毒剤を用いた場合には、30分以下、更には15分以下であれば十分なウイルス消毒効果が得られる。
【0036】
本発明の実施の形態に係るウイルス消毒剤は、下水中のウイルス量を2.0log・PFU/mL以上減少させることが可能である。例えば、本発明の実施の形態に係るウイルス消毒剤を用いてアンモニア性窒素濃度が100mg/L以下の下水を消毒処理することで、下水中のウイルス量を2.5~4.1log・PFU/mL程度減少させることができる。
【0037】
消毒効果の確認方法としては、ウイルスを宿主の培養細胞に感染させてウイルス量を定量するTCID50法(Median Tissue Culture Infectious Dose、50%感染量)等を用いることができるが、下水中のウイルス消毒効果を検証する場合、下水中の様々な成分が細胞毒性を示すため、評価が困難である。また、病原性を示すウイルスを培養細胞にて評価することは、試験者のリスクを伴う。
【0038】
一方で、培養細胞ではなくバクテリオファージを用いたプラークアッセイ法であれば、下水成分の影響を受けることなく評価することが出来る。バクテリオファージとは、細菌に感染するウイルスの一種であり、宿主の細菌とバクテリオファージを同時に寒天培地で培養すると、宿主細菌がバクテリオファージにより溶菌し、透明な溶菌斑(プラーク)が観察される。このプラーク数(Plaque Forming Unit、PFU)をバクテリオファージ数、つまりウイルス数として評価することが可能である。また、多くのバクテリオファージがヒトに対する病原性を有さないため、安全性の観点からバクテリオファージを各種ウイルス試験の代替指標として用いることができる。
【0039】
ウイルスはエンベロープを有するウイルス(以下、エンベロープウイルス)およびエンベロープを有さないウイルス(以下、ノンエンベロープウイルス)に大別される。消毒対象のウイルスは、エンベロープウイルス、ノンエンベロープウイルスどちらにも適用可能であるが、消毒耐性が高いとされるノンエンベロープウイルスよりも、エンベロープウイルスの方がより好ましい。
【0040】
エンベロープウイルスの代替ウイルスとして、シュードモナス属に感染するバクテリオファージφ6、ノンエンベロープウイルスの代替ウイルスとして、大腸菌に感染するバクテリオファージQβが知られているが、この他のバクテリオファージを適宜用いて下水中の消毒効果を評価しても構わない。
【0041】
放流水が糞便によって汚染されている疑いを示す公衆衛生的な指標として、大腸菌群が用いられている。大腸菌群の菌数を測定することにより、放流水が糞便中に含まれている可能性のあるチフス菌や赤痢菌等の腸管系病原菌に汚染されていないことを推定できる。大腸菌群を基準値以下となるまで消毒することが出来れば、その他の腸管系病原菌も適切に消毒されていることを示す指標となる。腸管系病原菌は、生物分類学上は細胞膜等の細胞構造を有する「細菌」に分類される。
【0042】
一方、ウイルスは細菌とは全く形態が異なり、細胞構造を有さずにカプシド(タンパク質の殻)やエンベロープ(脂質性の膜)等から構成され、極めて単純な構造である。また、ウイルスは細菌のように外部から栄養源を吸収して増殖することはできず、宿主細胞に感染して遺伝子を複製し増殖するといった極めて特殊な生活環を有する。細胞構造を有することが生物の定義とすると、ウイルスはそもそも生物には該当しないとの見解もある。このため、細菌の消毒を対象とした水質汚濁防止法に定める放流基準値(3,000個/cm3以下)は、ウイルス消毒に関しては公衆衛生的な指標として機能しない。
【0043】
エンベロープウイルスはコロナウイルス、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、バクテリオファージφ6等がある。一方、ノンエンベロープウイルスはノロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、バクテリオファージQβ等がある。
【0044】
中でも、下水中に含まれ疫病を引き起こす恐れのあるウイルスとして、例えばコロナウイルスやノロウイルス等がある。コロナウイルスは変異しやすいウイルスとして知られ、過去に重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe Acute Respiratory Syndrome)や中東呼吸器症候群(MERS:Middle East Respiratory Syndrome)を引き起こし、さらに近年では新型コロナウイルス感染症(COVID-19:Coronavirus Disease 2019)が世界規模のパンデミックを引き起こしている。
【0045】
コロナウイルスは感染者の糞便に含まれ、一定数が下水中に含まれる。現在、下水から感染する可能性は低いとされるものの、大規模なパンデミックを引き起こすことから、例えばCOVID-19流行時には、下水処理場では効果のほどは不明でありながらも、次亜塩素酸ナトリウムの注入率を上げる等して対応している状況にある。また、下水疫学の観点から、COVID-19の感染流行動向を早期に把握する目的で、下水中のCOVID-19遺伝子の検出方法についても盛んに検討が進められている。
【0046】
また、ノロウイルスも同様に感染者の糞便が下水処理場から河川に放流され、下流の海域で養殖されているカキや二枚貝に蓄積・濃縮される。これら貝類を生あるいは加熱不十分な状態で食することによりノロウイルスに感染するため、下水中での消毒が期待されている。
【0047】
本発明の実施の形態に係るウイルス消毒剤によれば、下水中に含まれるウイルスを、短時間で効果的に消毒することができるため、ウイルスを含む下水が河川等の公共用水域へ放流される前に、下水中のウイルスを除去することができる。
【0048】
-下水中のウイルス消毒方法-
本発明の実施の形態に係る下水中のウイルス消毒方法は、上記のウイルス消毒剤を下水に添加する工程を備えることができ、例えば、
図1に示す下水処理場を対象としたウイルス消毒剤を用いた下水処理装置に適用することができる。
【0049】
下水処理場は、下水を固液分離処理する第一沈殿池1と、第一沈殿池1の処理水を曝気処理する曝気槽2と、曝気槽2の曝気処理水を固液分離処理し、分離水(第二分離水)を河川などの公共用水域へ放流する第二沈殿池3とを備える。大量の雨水等が流入する場合には、曝気槽2および第二沈殿池3による処理能力を超えるため、第一沈殿池1に接続された放流路10を介して、第一沈殿池1で処理された処理水(第一分離水)の一部を雨天時放流下水として河川等の公共用水域へ放流する。注入手段4は、雨天時放流下水に含まれるウイルスを死滅または不活化させるためのウイルス消毒剤を注入する。
【0050】
ウイルス消毒剤の注入は、ウイルスを含有する雨天時放流下水の流入時に合わせて注入することが好ましい。雨天時には下水流入量が多いためウイルスも多量に存在すると見なし、降雨時間や下水流入量に基づいて、注入手段4よりウイルス消毒剤を注入しても構わない。また、ウイルス流入の指標として、雨天時放流下水の水質を測定する測定手段5を設け、アンモニア性窒素、SS、有機物、濁度、色度など糞便由来の成分を、各種センサーにより検出してもよい。この検出結果に基づいて、ウイルス消毒剤を注入することができる。さらに、雨天時放流下水へのウイルス流入の指標として、ウイルス由来のタンパク質やDNAなどウイルス由来の成分を直接検出するバイオセンサーなどを設置し、検出結果に基づいて、ウイルス消毒剤を注入することもまた好適である。なお、
図1の例では、雨天時放流下水のアンモニア性窒素濃度を測定する測定手段5の例が記載しているが、第一沈殿池1へ流入する下水の水質を測定しても構わない。
【0051】
注入手段4は、雨天時放流下水の水質に基づいて雨天時放流下水に含まれるウイルスを死滅または不活化させる濃度で添加するように、ウイルス消毒剤の供給、即ち、ウイルス消毒剤の濃度、ウイルス消毒剤の供給量及びウイルス消毒剤の供給タイミング(供給開始時間、供給時間及び供給終了時間)の少なくともいずれかを制御する制御手段11により制御されることが好ましい。
【0052】
例えば、注入手段4は、アンモニア性窒素濃度が100mg/L以下の雨天時放流下水に対し、有効ハロゲンの添加濃度が塩素換算で2mg/L as Cl2以上、より好ましくは4mg/L as Cl2以上となるように、ウイルス消毒剤を添加することで、下水中のウイルスを有効に死滅又は不活化させることができる。天候の影響により予め雨水量が増加することが予想される場合には、有効ハロゲンの添加濃度を予め既定値よりも高くなるように設定することもできる。
【0053】
図2は本発明の消毒剤の一種であるBCDMHを雨水ポンプ場に適用する場合の処理フローを示す。通常の雨水ポンプ場では、雨水は、沈砂池6及びポンプ井7にて処理された後、河川に放流される。典型的には、沈砂池6に本発明の実施の形態に係るウイルス消毒剤を添加することで、下水中のウイルス量を有効に減少させることができる。
【0054】
図2に示す雨水ポンプ場においても、
図1に示すように、例えば、下水のアンモニア性窒素濃度を測定する測定手段(不図示)を設け、下水のアンモニア性窒素濃度に基づいて本発明の実施の形態に係るウイルス消毒剤の添加濃度を制御する制御手段(不図示)を設けることにより下水中のウイルスをより効果的に死滅または不活化させることができる。
【0055】
本発明の実施の形態に係る下水中のウイルス消毒方法によれば、上述のウイルス消毒剤を用いることで、下水中のウイルスを速やかに消毒することが可能となる。従来の次亜塩素酸ナトリウムでは下水中のアンモニア性窒素の影響により消毒効果が低減されるが、本実施形態に係るウイルス消毒剤であれば短時間で強力な消毒効果を得ることができる。
【0056】
下水中のウイルスを消毒することは、公衆衛生を確保することに直結する。下水中のウイルスの蔓延は従来の大腸菌群を指標とすることは出来ないため、例えば新型コロナウイルス感染症等による世界規模のパンデミックやノロウイルスの大流行が発生した場合、本実施形態に係るウイルス消毒剤を添加することで、下水中のウイルスを速やかに消毒することが可能となる。特に、設計値を上回る降雨があった場合等にポンプ場や雨水吐き口から流出する雨天時放流下水(雨天時越流水)に対して本方法を利用することにより、公共用水域を取り巻く環境へのウイルスの影響を小さくすることが可能となる。
【実施例】
【0057】
(試験1)
変異の激しいコロナウイルスのパンデミックを想定し、コロナウイルスと同じくエンベロープウイルスの一種であるバクテリオファージφ6(Pseudomonas syringae phage φ6)を用いた。またバクテリオファージφ6の宿主として、シュードモナス(Pseudomonas syringae)を用いた。バクテリオファージφ6、シュードモナスとも、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)よりNBRC株として提供を受けることができる。バクテリオファージφ6はNBRC105899、シュードモナスはNBRC14084として提供されている。
【0058】
シュードモナスの生育に適した軟寒天組成(ハイポリペプトン 10g/L、酵母エキス 2g/L、MgSО・7H2О 1g/L、寒天15g/L、pH7.0)をオートクレーブ滅菌し、プレートに15mLを流し込んで固化させて下層寒天培地とした。
【0059】
300mL三角フラスコに液体培地(ハイポリペプトン 10g/L、酵母エキス 2g/L、MgSО・7H2О 1g/L、pH7.0)を100mL作製し、オートクレーブ滅菌後にシュードモナスを1白金耳植菌し、150rpm、30℃で24時間振盪培養を行った。
【0060】
一晩培養後の培養液1mLを同上の滅菌後液体培地100mLに植菌し、150rpm、30℃でOD660が0.4~0.6になるまで数時間振盪を行い、宿主菌液とした。
【0061】
シュードモナスの生育に適した軟寒天組成(ハイポリペプトン 10g/L、酵母エキス 2g/L、MgSО・7H2О 1g/L、寒天7g/L、pH7.0)をオートクレーブ滅菌し、45℃に保温した状態で4mLずつ試験管に分注し、宿主菌液0.2mLを加えて軽く攪拌したのち、上層寒天培地とした。
【0062】
下水処理場の流入水(以下、下水)950μLにバクテリオファージφ6溶液30μLを添加し、バクテリオファージφ6の終濃度として5.7lоg~5.9lоg PFU/mLとなるように調整した。
【0063】
消毒剤は次亜塩素酸ナトリウム溶液、BCDMH、およびNaBr+次亜塩素酸ナトリウム溶液の混合溶液中のBrとClのモル比が1:1となるように1分間混合し、次亜臭素酸を生成させたものを用いた。
【0064】
バクテリオファージφ6を加えた下水に各種消毒剤を20μL加え、反応液中の消毒剤の有効ハロゲン濃度を2、4、8mg/L as Cl2とした。容器を上下して軽く混合しながら3分間攪拌混合し、バクテリオファージφ6と消毒剤とを反応させた。反応後、5%チオ硫酸ナトリウム溶液を1μL入れて中和処理し、消毒効果を速やかに停止させた。
【0065】
上層寒天培地に消毒後の溶液0.2mLと塩化カルシウム溶液(0.1mоl/L)0.1mLを加え、泡立てないように攪拌し、固化後の下層寒天培地のシャーレに流し込んだ。流し込んだ上層寒天培地が固化したのち、倒置して30℃で一晩培養を行った。
【0066】
培養後にプラーク数を数え、消毒剤無添加(Blank)と比較しプラーク数(ウイルス量)が減少している試験区を消毒効果ありとみなした。より具体的には、Blankとの差が0~1.0の範囲を消毒効果なし(×)、1.0~2.0の範囲をやや消毒効果あり(△)、2.0~3.0の範囲を一定の消毒効果あり(○)、3.0以上を高い消毒効果あり(◎)として評価した。
【0067】
消毒剤の有効ハロゲン濃度を2、4、8mg/L as Cl2に設定し、消毒試験を実施した。この時のアンモニア性窒素濃度は18mg/L、下水と消毒との接触時間は180秒とした。表1に示す通り、消毒剤無添加(Blank)の試験区では反応後の消毒効果は確認されなかったが、各種消毒剤添加の試験区では消毒効果が確認された。特に次亜塩素酸ナトリウムでは低濃度の2mg/L as Cl2で消毒効果が確認されなかったが、BCDMHを使用した場合、およびNaBr+次亜塩素酸ナトリウムの組み合わせを使用した場合では、同濃度でも一定の消毒効果を発揮した。この理由として、BCDMHでは下水中に含まれるアンモニア性窒素の影響を受けなかったため、次亜塩素酸ナトリウムと同じ有効ハロゲン濃度であっても高い消毒効果を示したと考えられる。
【0068】
【0069】
(試験2)
試験2では、下水に塩化アンモニウムを意図的に入れてアンモニア性窒素濃度を18、36、72mg/Lに設定し、試験1と同様の方法でウイルス消毒試験を実施した。この時の消毒剤の有効ハロゲン濃度は4mg/L as Cl2、接触時間は180秒であった。表2に示す通り、アンモニア性窒素濃度を上げると次亜塩素酸ナトリウムの消毒効果は小さくなるが、BCDMHおよびNaBr+次亜塩素酸ナトリウムの組み合わせでは72mg/Lでも一定の消毒効果を発揮したため、下水中のアンモニア性窒素濃度が高い場合においても本発明は有用であることが示された。
【0070】
【0071】
(試験3)
反応時間(接触時間)を15、60、180秒に設定し、試験1と同様の方法でウイルス消毒試験を実施した。結果を表3に示す。この時の消毒剤の有効ハロゲン濃度は4mg/L as Cl2、アンモニア性窒素濃度は18mg/Lであった。表3に示す通り、反応時間15秒と短時間であってもBCDMHおよびNaBr+次亜塩素酸ナトリウムの組み合わせでは一定の消毒効果を発揮したことから、滞留時間を取ることが出来ない施設のウイルス消毒においても、本発明は有用であることが示された。
【0072】
【0073】
試験1~3の結果より、下水中のウイルス消毒剤にBCDMHおよびNaBr+次亜塩素酸ナトリウムを用いることで、次亜塩素酸ナトリウムと比較し短時間で強力な消毒効果を発揮することが示された。SARS、MERS、COVID-19に限らず、ウイルスによる世界的なパンデミックは常に懸念されるため、下水中のウイルスを確実に消毒することは公衆衛生を確保する観点から極めて重要である。
【符号の説明】
【0074】
1…第一沈殿池
2…曝気槽
3…第二沈殿池
4…注入手段
5…測定手段
6…沈砂池
7…ポンプ井
10…放流路
11…制御手段