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特許7258997登録決済装置及びその制御のための情報処理プログラム
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  • 特許-登録決済装置及びその制御のための情報処理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】登録決済装置及びその制御のための情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20230410BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20230410BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20230410BHJP
   G06Q 30/0217 20230101ALI20230410BHJP
【FI】
G07G1/12 301E
G07G1/00 311D
G07G1/12 361E
G06Q30/0601
G06Q30/0217
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021206188
(22)【出願日】2021-12-20
(62)【分割の表示】P 2017222898の分割
【原出願日】2017-11-20
(65)【公開番号】P2022033192
(43)【公開日】2022-02-28
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】畠 肇
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-010521(JP,A)
【文献】特開2002-117458(JP,A)
【文献】特開2009-163545(JP,A)
【文献】特許第6175201(JP,B1)
【文献】特開2003-346019(JP,A)
【文献】特開平07-296075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 5/00
G06Q 30/00-30/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
客により店舗に持ち込まれる携帯情報端末での操作により前記携帯情報端末で作成されて記憶された商品のリストを前記携帯情報端末から取得する取得手段と、
前記店舗に設けられ、商品の指定を入力する入力手段と、
前記取得手段により前記リストが取得された場合には当該リストに示される商品を、前記入力手段により前記指定が入力された場合には当該指定された商品を、締め操作が行われるまで同じ取引の対象となる買い上げ商品として登録する登録手段と、
前記登録手段により買い上げ商品として登録された商品に関する代金を決済するための処理を行う決済手段と、
を具備する登録決済装置。
【請求項2】
前記登録手段は、前記入力手段により前記指定が入力された場合には、当該指定された商品を、前記リストから登録された商品とは区別可能に買い上げ商品として登録し、
前記登録手段により買い上げ商品として登録された商品の買い上げに対して、買い上げ商品として登録された商品に前記リストから登録された商品が含まれるか否かに応じて互いに異なる特典を付与する付与手段、
をさらに備える請求項1に記載の登録決済装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記携帯情報端末に記憶された前記リストを、当該携帯情報端末が表示するコードシンボルを光学的に読み取って得られたデータから取得する、
請求項1又は請求項2に記載の登録決済装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記リストを近接無線通信により前記携帯情報端末から取得する、
請求項1又は請求項2に記載の登録決済装置。
【請求項5】
客により店舗に持ち込まれる携帯情報端末での操作により前記携帯情報端末で作成されて記憶された商品のリストを表したデータを前記携帯情報端末から取得する取得デバイス、を備えた登録決済装置を制御するための情報処理を実行するコンピュータを、
前記取得デバイスにより取得されたデータからリストを取り出す取出手段と、
前記店舗に設けられ、商品の指定を入力する入力手段と、
前記取出手段により前記リストが取得された場合には当該リストに示される商品を、前記入力手段により前記指定が入力された場合には当該指定された商品を、締め操作が行われるまで同じ取引の対象となる買い上げ商品として登録する登録手段と、
前記登録手段により買い上げ商品として登録された商品に関する代金を決済するための処理を行う決済手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、登録決済装置及びその制御のための情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗において店員が客からの注文を受けて商品の提供を行う形態の取引は広く行われている。
この種の取引に用いられる登録決済装置においては、店員が、来店した客から提供すべき商品を聞き取り、当該商品を買い上げ商品として登録する。
【0003】
このため、店員は、一取引の対象となる全ての商品を1つずつ客から聞き取り、登録決済装置に登録して行く作業を行わねばならず、一取引当たりの作業時間が長くなってしまう恐れがあった。
このような事情から、商品の登録の作業の短縮を図ることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-43185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、商品の登録の作業の短縮を図ることができる登録決済装置及びその制御のための情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の登録決済装置は、取得手段、入力手段、登録手段及び決済手段を備える。取得手段は、客により店舗に持ち込まれる携帯情報端末での操作により当該携帯情報端末で作成されて記憶された商品のリストを当該携帯情報端末から取得する。入力手段は、店舗に設けられ、商品の指定を入力する。登録手段は、取得手段によりリストが取得された場合には当該リストに示される商品を、入力手段により指定が入力された場合には当該指定された商品を、締め操作が行われるまで同じ取引の対象となる買い上げ商品として登録する。決済手段は、登録手段により買い上げ商品として登録された商品に関する代金を決済するための処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る受注システムの概略構成と、当該受注システムに含まれるPOS端末及びスマートフォンの要部回路構成とを示すブロック図。
図2図1中のスマートフォンに設けられたプロセッサが注文アプリに基づいて実行する情報処理のフローチャート。
図3図1中のPOS端末に設けられたプロセッサによる情報処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、商品登録決済装置としてのPOS(point-of-sale)端末を用いた受注システムを例に説明する。
図1は本実施形態に係る受注システムの概略構成と、当該受注システムに含まれるPOS端末及びスマートフォンの要部回路構成とを示すブロック図である。
【0009】
受注システム100は、POS端末10とスマートフォン20とを連携させることにより構成される。
POS端末10は、店舗において店員が客からの注文を受けて商品の提供を行う形態の取引に関して、上記の注文に基づく商品の買上登録及び当該商品の代金の決済のための処理を行う。なお、POS端末10の操作は、一般的には店員により行われるが、客に行われるのであっても構わない。上記の取引の形態は、例えば飲食物のテイクアウト販売などがその代表である。
スマートフォン20は、客が所持する携帯情報端末である。
【0010】
POS端末10は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、表示デバイス14、入力デバイス15、読取デバイス16、プリンタ17、通信インタフェース18及び伝送路19等を備える。なお図1では、本実施形態の特徴的な構成及び動作の説明に必要な要素を主として示しており、周知の同種の別のPOS端末が備える別の要素、あるいはそれ以外の任意の要素を備えていても構わない。
【0011】
POS端末10においては、プロセッサ11、メインメモリ12及び補助記憶デバイス13を伝送路19で接続することによって、POS端末10を制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムに従って、POS端末10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0012】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを記憶する。またメインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0013】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス13は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)である。補助記憶デバイス13としては、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)、あるいはその他の周知の各種の記憶デバイスを利用することもできる。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータと、プロセッサ11での処理によって生成されたデータとを保存する。補助記憶デバイス13は、アプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0014】
表示デバイス14は、操作者に対して各種の情報を通知するための各種画面を表示する。表示デバイス14としては、例えば液晶表示デバイスなどの周知のデバイスを適用できる。
入力デバイス15は、操作者による各種の指示を入力する。入力デバイス15としては、タッチセンサ又はキーボードなどの周知のデバイスを、単独又は組み合わせて適用できる。
【0015】
読取デバイス16は、記録媒体に記憶又は表示されたデータを読み取る。読取デバイス16としては、バーコードスキャナ又はカードリーダなどの周知のデバイスを、単独又は組み合わせて適用できる。なお本実施形態においては、読取デバイスには、後述するコードシンボルを光学的に読み取ることが可能であるリーダを含む。
プリンタ17は、レシート用紙に対してレシート画像をプリントしてレシートを発行する。
【0016】
通信インタフェース18は、通信ネットワーク30を介したデータ通信を行う。通信インタフェース18としては、例えばLAN(local area network)を介したデータ通信のための周知の処理を行うように構成された周知のものを用いることができる。通信インタフェース18によるデータ通信の相手は、POSサーバなどである。
伝送路19は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続されている各部の間で授受されるデータや制御信号を伝送する。
【0017】
POS端末10は、後述する情報処理について記述したアプリケーションプログラムをメインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶する。なお、アプリケーションプログラムは、POS端末10のハードウェアの譲渡の際にメインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されていてもよいし、上記のハードウェアとは別に譲渡されてもよい。後者の場合、アプリケーションプログラムは、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して譲渡される。後者の場合、情報処理プログラムはバージョンアッププログラムとして提供されて、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に既に記憶されている同種の別の情報処理プログラムに置き換えて使用されるケースが想定される。
【0018】
スマートフォン20は、プロセッサ21、メインメモリ22、補助記憶デバイス23、タッチパネル24、無線通信ユニット25及び伝送路26等を備える。なお図1では、本実施形態の特徴的な構成及び動作の説明に必要な要素を主として示しており、周知の同種の別のスマートフォンが備える別の要素、あるいはそれ以外の任意の要素を備えていても構わない。
【0019】
スマートフォン20においては、プロセッサ21、メインメモリ22及び補助記憶デバイス23を伝送路26で接続することによって、スマートフォン20を制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ21は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ21は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って、スマートフォン20としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0020】
メインメモリ22は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ22は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ22は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムを記憶する。またメインメモリ22は、プロセッサ21が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ22は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ21によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0021】
補助記憶デバイス23は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス23は、例えばEEPROMである。補助記憶デバイス23としては、HDD、SSDなどが使用されてもよい。補助記憶デバイス23は、プロセッサ21が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ21での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス23は、アプリケーションプログラムを記憶する。
【0022】
補助記憶デバイス23が記憶するアプリケーションプログラムの1つは、後述する情報処理を表した情報処理プログラム(以下、注文アプリと称する)P11である。ただし典型的には、注文アプリP11は、スマートフォン20の使用者による操作に応じて、例えばインターネットを介してダウンロードされて補助記憶デバイス23に書き込まれる。つまり、スマートフォン20の使用者へのスマートフォン20の譲渡は、注文アプリP11が補助記憶デバイス23に記憶されていない状態で行われる。しかしながら、注文アプリP11が補助記憶デバイス23に記憶された状態のスマートフォン20がスマートフォン20の使用者に譲渡されても構わない。
タッチパネル24は、スマートフォン20の入力デバイス及び表示デバイスとして機能する。
【0023】
無線通信ユニット25は、無線通信網を介したデータ通信を行う。無線通信ユニット25としては、例えば移動通信網を介したデータ通信を行うための周知の通信デバイスを利用できる。
伝送路26は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0024】
次に以上のように構成された受注システム100の動作について説明する。
店舗において商品を購入しようとする客は、店舗に出向くのに先立って、自らが所持するスマートフォン20で注文アプリP11を起動するよう操作する。そうするとプロセッサ21は、注文アプリP11に基づき、次のような情報処理を実行する。
【0025】
図2はプロセッサ21が注文アプリP11に基づいて実行する情報処理のフローチャートである。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0026】
Act1としてプロセッサ21は、リストの作成開始が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、該当の指示がなされていないならばNoと判定し、Act2へと進む。
Act2としてプロセッサ21は、コードシンボルの表示が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、該当の指示がなされていないならばNoと判定し、Act1へと戻る。
かくしてプロセッサ21はAct1及びAct2としては、開始指示又は表示指示がなされるのを待ち受ける。なおプロセッサ21は、この待ち受け状態に移行するのに先立ち、ホーム画面をタッチパネル24に表示させる。ホーム画面は、上記の待ち受け状態にあることを操作者に通知する画像を表す。またホーム画面は、開始指示及び表示指示のためのボタンをそれぞれ表す。客は、これから店舗で購入しようとする商品のリストを作成する場合には、開始指示のためのボタンにタッチする。これに応じてプロセッサ21は、Act1にてYesと判定し、Act3へと進む。
【0027】
Act3としてプロセッサ21は、商品の指定がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、当該の指定がなされなければNoと判定し、Act4へと進む。
Act4としてプロセッサ21は、リスト作成の終了が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ21は、当該の指示がなされていなければNoと判定し、Act3へと戻る。
かくしてプロセッサ21はAct3及びAct4としては、商品の指定がなされるか、又は終了が指示されるのを待ち受ける。なおプロセッサ21は、この待ち受け状態に移行するのに先立ち、指定画面をタッチパネル24に表示させる。この指定画面は、店舗で販売されている商品の情報を操作者に閲覧させるとともに、それらの商品のうちから購入する商品の指定を受け付けるためのGUI(graphical user interface)を表す。また指定画面は、リスト作成の終了を指示するためのボタンを表す。客は、この指定画面により店舗で販売されている商品を確認しながら、購入しようとする商品を指定する操作を行う。これに応じてプロセッサ21はAct3にてYesと判定し、Act5へと進む。
【0028】
Act5としてプロセッサ21は、上記のように指定された商品を含むようにリストを更新する。具体的には、プロセッサ21は、Act1からAct3及びAct4の待ち受け状態へと進んだのちに最初にAct5を実行する場合には、メインメモリ22又は補助記憶デバイス23にリストデータを作成する。このときにプロセッサ21は、既に別のリストデータがメインメモリ22又は補助記憶デバイス23に記憶されているならば、そのリストデータを消去しない。そしてプロセッサ21は、これら複数のリストデータを、他のリストデータと識別可能とするように定めたリストコードに関連付けて管理する。ただしプロセッサ21は、既に記憶されているリストデータを、新たなリストデータで上書きしてもよい。リストデータは、指定された商品を識別するための商品コードを含む。プロセッサ21は、2度目以降にAct5を実行する場合には、上記のリストデータに、新たに指定された商品の商品コードを追加する。そしてプロセッサ21は、リストを更新し終えたならば、Act3及びAct4の待ち受け状態に戻る。かくして、客が商品の指定を繰り返せば、リストデータはそれら商品の商品コードのリストを表すデータとなる。なお以下においては、このリストを予定リストと称する。
【0029】
客は、購入しようとする商品の全てを指定し終えたならば、終了を指示するためのボタンにタッチするなどして終了を指示する。これに応じてプロセッサ21は、Act4にてYesと判定し、Act1及びAct2の待ち受け状態に戻る。
【0030】
客は、店舗に出向いたならば、ホーム画面における表示指示のためのボタンにタッチするなどして、コードシンボルの表示を指示する。これに応じてプロセッサ21は、Act2にてYesと判定し、Act6へと進む。
Act6としてプロセッサ21は、リストが指定されるのを待ち受ける。なおプロセッサ21は、この待ち受け状態に移行するのに先立ち、選択画面をタッチパネル24に表示させる。選択画面は、メインメモリ22又は補助記憶デバイス23に記憶されているリストデータが表すリストを操作者に閲覧させるとともに、それらリストのうちの1つを操作者に選択させるためのGUIを表す。客は、この選択画面によりリストを確認しながら、これから店舗にて購入しようとする商品のリストを指定する。これに応じてプロセッサ21は、Act6にてYesと判定し、Act7へと進む。
【0031】
Act7としてプロセッサ21は、シンボル画面をタッチパネル24に表示させる。具体的にはプロセッサ21は、指定されたリストに含まれる商品コードの全てを予め定められたフォーマットで示した文字列を表すコードシンボルを生成し、それを含んだ画面としてのシンボル画面をタッチパネル24に表示させる。コードシンボルは、上記の文字列を予め定められた規格に従って光学的に読み取り可能なように表したものである。コードシンボルの規格は任意であってよいが、QRコード(登録商標)を用いることが想定される。またプロセッサ21は、当該シンボル画面の表示終了を指示するためのボタンをシンボル画面に表す。
【0032】
客は、シンボル画面が表示されているスマートフォン20を、店員に提示する。そして客は、シンボル画面に表されたコードシンボルが後述するように読み取られたならば、表示終了を指示するためのボタンにタッチするなどして、表示終了を指示する。
プロセッサ21は、シンボル画面をタッチパネル24に表示させた状態で、終了指示がなされるのを待ち受ける。そして上記のように終了指示がなされたならばYesと判定し、Act1及びAct2の待ち受け状態に戻る。
【0033】
一方、POS端末10が商品の買い上げ登録及び決済を行う動作モードで動作中であるとき、プロセッサ11はメインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されたアプリケーションプログラムに基づき、次のような情報処理を実行する。
【0034】
図3はプロセッサ11による情報処理のフローチャートである。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
Act11としてプロセッサ11は、注文リストのクリアなどの初期化を行う。注文リストは、一取引の対象となる商品を識別する商品コードのリストである。また注文リストは、商品コードのそれぞれに関連付けたフラグを含む。注文リストは、メインメモリ12及び補助記憶デバイス13のいずれに記憶されてもよい。
【0035】
Act12としてプロセッサ11は、商品の指定がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当の指定がなされていないならばNoと判定し、Act13へと進む。
Act13としてプロセッサ11は、コードシンボルがスキャンされたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当するスキャンが行われていないならばNoと判定し、Act14へと進む。
Act14としてプロセッサ11は、締め操作が行われたか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、該当する操作が行われていないならばNoと判定し、Act12へと戻る。
かくしてプロセッサ11はAct12-Act14としては、商品指定、コードシンボルのスキャン及び締め操作のいずれかがなされるのを待ち受ける。
【0036】
店員は、客から注文する商品を告げられたならば、その商品を指定するための予め定められた操作を行う。当該操作は、入力デバイス15に設けられて注文商品の商品コードが関連付けられたボタンを押下又はタッチする動作、あるいは注文商品の商品コードを表したバーコードを読取デバイス16に読み取らせる動作などである。かくして、入力デバイス15及び読取デバイス16は、商品の指定を入力する入力手段又は入力デバイスの一例である。
【0037】
プロセッサ11は、Act12-Act14の待ち受け状態にあるときに上記のような操作により注文指定がなされたならば、Act12にてYesと判定し、Act15へと進む。
Act15としてプロセッサ11は、指定された商品の商品コードを注文リストに追加する。このときプロセッサ11は、追加した商品コードに関連づけられたフラグをリセット状態とする。そしてプロセッサ11はこののち、Act12-Act14の待ち受け状態に戻る。
【0038】
客は、前述のようにスマートフォン20で生成した予定リストに含まれる商品を注文する場合には、前述のようにシンボル画面を表示させた状態のスマートフォン20を店員に提示する。そうすると店員は、当該シンボル画面に表されたコードシンボルを読取デバイス16に読み取らせる。このような店員の操作に応じて読取デバイス16は、シンボル画面に表されたコードシンボルを読み取る。そしてプロセッサ11は、これに応じて読取デバイス16がコードシンボルをスキャンしたならば、Act13にてYesと判定し、Act16へと進む。
【0039】
Act16としてプロセッサ11は、読取デバイス16によりスキャンされたコードシンボルが示す予定リストに含まれた全ての商品コードを注文リストに追加する。このときプロセッサ11は、追加した商品コードに関連づけられたフラグをセット状態とする。そしてプロセッサ11はこののち、Act12-Act14の待ち受け状態に戻る。かくして、プロセッサ11は、コードシンボルを取得デバイスとしての読取デバイス16により光学的に読み取って得られたデータから予定リストを取り出す。これにより情報処理プログラムに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは、取出手段として機能する。
以上のようにして、フラグは、関連付けられた商品コードが、店頭での聞き取りに基づいて指定されたものであるか、それともスマートフォン20からのコードシンボル読み取りにより取得されたものであるかを表すこととなる。
【0040】
店員は、聞き取りに基づく商品の指定及びコードシンボルのスキャンを適宜に繰り返して、客が注文する商品の商品コードを注文リストに追加してゆく。そして店員は、全ての商品コードを追加し終えたならば、締め操作を行う。締め操作は例えば、入力デバイス15に設けられた締めボタンを押下又はタッチする動作である。そしてプロセッサ11は、この締め操作が行われたならばAct14にてYesと判定し、Act17へと進む。
Act17としてプロセッサ11は、注文リストにセット状態のフラグが含まれるか否かを確認する。そしてプロセッサ11は、セット状態のフラグが含まれるならばYesと判定し、Act18へと進む。
【0041】
Act18としてプロセッサ11は、値引き処理を行う。プロセッサ11は具体的には、セット状態のフラグが関連付けられた商品コードで識別される商品についての今回の取引に関する販売価格を、その商品についての標準の販売価格から予め定められた値引額又は値引率を値引いた金額とする。なお値引額又は値引率としては、商品に関わらずに同一の値を適用してもよいし、商品毎に個別に設定された値を適用してもよい。さらに具体的にはプロセッサ11は、注文リストに含まれる商品コードに対して商品マスタデータベースに記録されている標準の販売価格を取得する。プロセッサ11は、該当の商品に適用すべき値引額又は値引率を判定する。そしてプロセッサ11は、上記の取得した標準の販売価格から、上記の判定した値引額又は値引率を値引いて、今回の販売価格を算出する。なお、商品マスタデータベースは、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されていてもよいし、通信ネットワーク30を介して通信可能なPOSサーバなどの外部の装置が備える記憶デバイスに記憶されていてもよい。プロセッサ11は、セット状態のフラグが関連付けられた商品コードで識別される商品の全てについての今回の販売価格を算出し終えたならば、Act19へと進む。なおプロセッサ11は、注文リストにセット状態のフラグが含まれないならばAct17にてNoと判定し、Act18をパスしてAct19へと進む。
【0042】
Act19としてプロセッサ11は、注文リストに含まれる商品コードで識別される全ての商品の提供に関わる決済金額を算出する。プロセッサ11は具体的には、リセット状態のフラグが関連付けられた商品コードで識別される商品のそれぞれの標準の販売価格と、セット状態のフラグが関連付けられた商品コードで識別される商品のそれぞれに関して上記のように値引き処理を行ったのちのそれぞれの販売価格との総和として決済金額を算出する。具体的にはプロセッサ11は例えば、リセット状態のフラグが関連付けられた商品コードに対して商品マスタデータベースに記録されている標準の販売価格をそれぞれ取得する。そしてプロセッサ11は例えば、当該取得した標準の販売価格のそれぞれと、Act18で算出した販売価格のそれぞれとの総和を算出する。これにより、予定リストから注文リストに追加された商品に関してのみ値引きの特典が付与されていることとなる。予定リストから注文リストに追加された商品と、それ以外の商品とで互いに異なる特典を不要していることと等価である。かくして情報プログラムに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは、そのような特典付与を行う付与手段として機能する。なおプロセッサ11は、上記の総和に対して、Act18とは別の値引き処理を行って決済金額を算出してもよい。
【0043】
Act20としてプロセッサ11は、Act19で算出した決済金額を決済するための決済処理を行う。この決済処理は、現金、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、あるいはポイント等を用いる周知の決済処理をそのまま適用できる。かくして情報処理プログラムに基づく情報処理をプロセッサ11が実行することによって、プロセッサ11を中枢部分とするコンピュータは決済手段として機能する。そしてプロセッサ11は、決済が完了したならばAct11へと戻り、次の新たな取引に関する処理の開始に備える。
【0044】
以上のように受注システム100によれば、スマートフォン20で生成された予定リストに含まれる商品のすべてを、コードシンボルのスキャンにより受注リストに取り込むことができる。これにより、予定リストに含まれる商品のそれぞれを店員が客から聞き取って買上登録してゆく場合に比べて、商品登録の作業の短縮を図ることが可能である。
【0045】
また受注システム100によれば、POS端末10において指定された商品についても受注リストに追加することができる。これにより、スマートフォン20で生成した予定リストからの買上登録を行う場合でも、店頭での追加注文を受けることが可能である。これにより、客が予定リストを用いた注文を行うことに対する抵抗感を軽減し、予定リストを用いた注文の利用率の向上を図ることが可能となる。そして、予定リストを用いた注文の利用率が向上するほど、商品登録の作業を短縮できる効果を大きくすることが可能である。
【0046】
さらに受注システム100によれば、POS端末10では、予定リストから受注リストへと取り込んだ商品コードで識別される商品はAct18における値引き処理の対象とし、店頭で注文された商品に関しては当該値引き処理の対象としない。このため客は、予定リストを用いた注文を利用することで特別な値引きを受けることができるのであり、これは予定リストを用いた注文を利用することの動機付けとなる。そしてこれによって予定リストを用いた注文の利用率が向上すれば、商品登録の作業を短縮できる効果が大きくなる。
【0047】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
図3中のAct18における値引きの内容は、任意に変更が可能である。一例として、セット状態のフラグが関連付けられた全ての商品に関するそれぞれの標準の販売価格の総和に対してあらかじめ定められた値引き額を差し引いてもよい。別例として、セット状態のフラグが関連付けられた商品のうちの予め定められた条件に合致する商品に関してのみ、値引きを行ってもよい。
【0048】
特典の付与のしかたは任意に変更が可能である。一例として、セット状態のフラグが関連付けられた商品に関してのみポイントを付与してもよい。別例として、セット状態のフラグが関連付けられた商品の購入に関してのみ、プレゼントを受ける権利を付与してもよい。
【0049】
リセット状態のフラグが関連付けられた商品に関しても、特典を付与してもよい。ただし、当該特典は、セット状態のフラグが関連付けられた商品に関して付与する特典よりも、客にとって不利なものとする。
【0050】
予定リストのPOS端末10への取り込みは、NFC(near field communication)等の無線通信、あるいは赤外線通信などを用いて行ってもよい。
【0051】
プロセッサ11は、図3中のAct12-Act14の待ち受け状態において、削除指示がなされたか否かの判断を追加し、操作者により削除指示がなされたことに応じて、注文リストに含まれる商品コードを削除してもよい。
【0052】
登録決済装置としては、POS端末10に代えて、キャッシュレジスタなどの別の任意の装置として実現することもできる。またPOS端末10であっても、セルフタイプ又はセミセルフタイプとして実現することもできる。
【0053】
携帯情報端末としては、スマートフォン20に代えて、例えばタブレット端末又は携帯型のパーソナルコンピュータなどの別の任意の装置を適用することもできる。
【0054】
情報処理によりプロセッサ11又はプロセッサ21が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1] 商品のリストを外部から取得する取得手段と、
商品の指定を入力する入力手段と、
前記取得手段により前記リストが取得された場合には、当該リストに示される商品を買い上げ商品として登録し、前記入力手段により前記指定が入力された場合には、当該指定された商品を、前記リストから登録された商品とは区別可能に買い上げ商品として登録する登録手段と、
前記登録手段により買い上げ商品として登録された商品の買い上げに対して、買い上げ商品として登録された商品に前記リストから登録された商品が含まれるか否かに応じて互いに異なる特典を付与する付与手段と、
前記登録手段により買い上げ商品として登録された商品に関する代金を決済するための処理を行う決済手段と、
を具備する登録決済装置。
[付記2] 前記取得手段は、
携帯情報端末に記憶された前記リストを、当該携帯情報端末が表示するコードシンボルを光学的に読み取って得られたデータから取得する、
付記1に記載の登録決済装置。
[付記3] 商品のリストを表したデータを外部から取得する取得デバイスと、
商品の指定を入力する入力デバイスと、
を備えた登録決済装置を制御するための情報処理を実行するコンピュータを、
前記取得デバイスにより取得されたデータから前記リストを取り出す取出手段と、
前記取出手段により前記リストが取り出された場合には、当該リストに示される商品を買い上げ商品として登録し、前記入力手段により前記指定が入力された場合には、当該指定された商品を、前記リストから登録された商品とは区別可能に買い上げ商品として登録する登録手段と、
前記登録手段により買い上げ商品として登録された商品の買い上げに対して、買い上げ商品として登録された商品に前記リストから登録された商品が含まれるか否かに応じて互いに異なる特典を付与する付与手段と、
前記登録手段により買い上げ商品として登録された商品に関する代金を決済するための処理を行う決済手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0056】
10…POS端末、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶デバイス、14…表示デバイス、15…入力デバイス、16…読取デバイス、17…プリンタ、18…通信インタフェース、19…伝送路、20…スマートフォン、21…プロセッサ、22…メインメモリ、23…補助記憶デバイス、24…タッチパネル、25…無線通信ユニット、26…伝送路、30…通信ネットワーク、100…受注システム。
図1
図2
図3