(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】金型ユニット、ブロー成形装置およびブロー成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/64 20060101AFI20230410BHJP
B29C 49/06 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
B29C49/64
B29C49/06
(21)【出願番号】P 2021537383
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2020030211
(87)【国際公開番号】W WO2021025121
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2019145943
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019146145
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】竹花 大三郎
(72)【発明者】
【氏名】大池 俊輝
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-278196(JP,A)
【文献】実開平05-041761(JP,U)
【文献】特開平04-049023(JP,A)
【文献】実開昭54-050061(JP,U)
【文献】実公昭46-026292(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/64
B29C 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形された有底形状の樹脂製のプリフォームを冷却するための金型ユニットであって、
前記プリフォームの内部形状に対応する外形を有し、前記プリフォームの内部に挿入可能なコア金型
と、
前記プリフォームを収容するキャビティ型と、
前記キャビティ型の軸芯と前記コア金型の軸芯の位置関係を調整する偏芯機構と、を備え、
前記コア金型の内部には、前記コア金型の軸方向に延びる温度調整媒体の流路が形成され、
前記流路は、前記コア金型の周方向において偏った位置に形成され、
前記流路の位置は、前記周方向に調整可能である
金型ユニット。
【請求項2】
前記コア金型の内部には、前記周方向の部分領域に前記流路を形成する切り欠きが設けられた偏温調整パイプが配置される
請求項1に記載の金型ユニット。
【請求項3】
前記偏温調整パイプは、前記コア金型に対して交換可能である
請求項2に記載の金型ユニット。
【請求項4】
射出成形された有底形状の樹脂製のプリフォームを冷却するための金型ユニットであって、
前記プリフォームの内部形状に対応する外形を有し、前記プリフォームの内部に挿入可能なコア金型を備え、
前記コア金
型は、
それぞれ前記コア金型の
内部で軸方向に延び
、前記コア金型の周方向に沿って並列に配置される
複数の温度調整媒体の流路
を有し、
前記温度調整媒体の流れを規制する止栓を少なくとも一以上の前記流路に選択的に取り付けることで、前記温度調整媒体が流れる流路の位置を周方向に調整可能である
金型ユニット。
【請求項5】
前記プリフォームの底部に臨む前記コア金型の先端部には、前記コア金型の内部を介して前記プリフォーム内から空気を排出する排気口が設けられ、
前記温度調整媒体の流路は、前記排気口に接続された排気路の外周側に形成される
請求項
4に記載の金型ユニット。
【請求項6】
前記金型ユニットは、前記プリフォームを収容するキャビティ型をさらに備える
請求項
4または請求項5に記載の金型ユニット。
【請求項7】
有底形状の樹脂製のプリフォームを射出成形する射出成形部と、
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の金型ユニットを有し、前記射出成形部で製造された前記プリフォームの温度調整を行う温度調整部と、
温度調整された前記プリフォームをブロー成形して樹脂製容器を製造するブロー成形部と、
を備えるブロー成形装置。
【請求項8】
有底形状の樹脂製のプリフォームを射出成形する射出成形工程と、
金型内で周方向の偏った位置に温度調整媒体の流路が配置され、前記プリフォームの内部に挿入可能なコア金型を用いて、前記射出成形工程で製造された前記プリフォームの温度調整を行う温度調整工程と、
温度調整された前記プリフォームをブロー成形して樹脂製容器を製造するブロー成形工程と、
を備え
、
前記プリフォームの温度分布また容器の肉厚分布の情報に基づき、前記コア金型の周方向における前記温度調整媒体の流路の位置を調整する偏温調整工程をさらに有し、
前記偏温調整工程の後に、前記射出成形工程、前記温度調整工程および前記ブロー成形工程が行われる、
ブロー成形方法。
【請求項9】
有底形状の樹脂製のプリフォームを射出成形する射出成形工程と、
金型内で周方向の偏った位置に温度調整媒体の流路が配置され、前記プリフォームの内部に挿入可能なコア金型を用いて、前記射出成形工程で製造された前記プリフォームの温度調整を行う温度調整工程と、
温度調整された前記プリフォームをブロー成形して樹脂製容器を製造するブロー成形工程と、
を備え、
前記射出成形工程において、樹脂材料の射出が完了してから型空間内で前記樹脂材料を冷却する時間は、前記樹脂材料を前記型空間に射出する時間に対して1/2以下である、
ブロー成形方法。
【請求項10】
前記コア金型は、前記周方向の部分領域に切り欠きを設けた偏温調整パイプの交換によって前記流路の範囲が調整可能である
請求項8または請求項9に記載のブロー成形方法。
【請求項11】
前記コア金型は、それぞれ前記コア金型の内部で軸方向に延び、前記コア金型の周方向に沿って並列に配置される複数の温度調整媒体の流路を有し、
前記温度調整媒体の流れを規制する止栓を少なくとも一以上の前記流路に選択的に取り付けることで、前記温度調整媒体が流れる流路の位置が周方向に調整される
請求項8または請求項9に記載のブロー成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型ユニット、ブロー成形装置およびブロー成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から樹脂製容器の製造装置の一つとして、ホットパリソン式のブロー成形装置が知られている。ホットパリソン式のブロー成形装置は、プリフォームの射出成形時の保有熱を利用して樹脂製容器をブロー成形する構成であり、コールドパリソン式と比較して多様かつ美的外観に優れた樹脂製容器を製造できる点で有利である。
【0003】
例えば、ホットパリソン式のブロー成形サイクルや、プリフォームの射出成形サイクルに関しては、成形サイクルの短縮を目的として種々の提案がなされている。これらの成形サイクルの短縮化のために、律速段階であるプリフォームの射出成形時間(射出金型でのプリフォームの冷却時間)を短縮し、射出成形後の下流工程で高温状態のプリフォームの追加冷却を行うことが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、プリフォームをキャビティ金型およびコア金型と接触させて金型との熱交換でプリフォームを冷却するとともに、プリフォームの偏温の調整を行う構成も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6505344号公報
【文献】特許第6230173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
射出成形装置あるいはホットランナで発生するせん断発熱や、射出成形型(射出コア型と射出キャビティ型)での僅かな芯ずれ等の影響により、一般的に射出成形後のプリフォームは、射出成形に由来する周方向での温度のむら(偏温)を有する。
周方向に大きな偏温を有するプリフォームをブロー成形すると、プリフォームの周方向の保有熱の差によって製造される容器の肉厚分布や外観のばらつきが大きくなり、容器の品質に悪影響を及ぼす。
【0007】
そこで、本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、高温状態のプリフォームの追加冷却や温度調整の効率を向上できる金型ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、射出成形された有底形状の樹脂製のプリフォームを冷却するための金型ユニットであって、プリフォームの内部形状に対応する外形を有し、プリフォームの内部に挿入可能なコア金型と、プリフォームを収容するキャビティ型と、キャビティ型の軸芯とコア金型の軸芯の位置関係を調整する偏芯機構と、を備え、コア金型の内部には、コア金型の軸方向に延びる温度調整媒体の流路が形成され、流路は、コア金型の周方向において偏った位置に形成され、流路の位置は、周方向に調整可能である。
【0009】
本発明の他の態様は、射出成形された有底形状の樹脂製のプリフォームを冷却するための金型ユニットであって、プリフォームの内部形状に対応する外形を有し、プリフォームの内部に挿入可能なコア金型を備え、コア金型は、それぞれコア金型の内部で軸方向に延び、コア金型の周方向に沿って並列に配置される複数の温度調整媒体の流路を有し、温度調整媒体の流れを規制する止栓を少なくとも一以上の流路に選択的に取り付けることで、温度調整媒体が流れる流路の位置を周方向に調整可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高温状態のプリフォームの追加冷却や温度調整の効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態のブロー成形装置の構成を模式的に示す図である。
【
図3】偏温調整パイプの構成例を示す斜視図である。
【
図4】(A)は偏温調整パイプを挿入したときのコアピンの横断面図であり、(B)は冷却パイプを挿入したときのコアピンの横断面図である。
【
図5】(A)は偏芯機構の平面図であり、(B)は偏芯機構において軸芯Z1、Z2を偏芯させた状態を示す図である。
【
図6】ブロー成形方法の工程を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態および比較例のブロー成形方法におけるプリフォームの温度変化例を示すグラフである。
【
図8】第2実施形態の温度調整部の構成例を示す図である。
【
図9】第2実施形態の冷却パイプの構成例を示す斜視図である。
【
図10】(A)は第2実施形態のコア金型の底面図であり、(B)は第2実施形態のコア金型のコアピンにおける横断面図であり、(C)は、
図10(B)において止栓を配置した状態を示す図である。
【
図11】(A)は第2実施形態の本体部の第1の環状溝および第2の環状溝を示す図であり、(B)は
図11(A)のB-B線断面図である。
【
図12】第2実施形態においてプリフォームにコア金型を挿入したときの空気の流れを示す図である。
【
図13】第3実施形態の射出成形装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、図面において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、図面に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のブロー成形装置20の構成を模式的に示す図である。本実施形態のブロー成形装置20は、プリフォーム11を室温まで冷却せずに射出成形時の保有熱(内部熱量)を活用して容器をブロー成形するホットパリソン方式(1ステージ方式とも称する)の装置である。
【0014】
ブロー成形装置20は、射出成形部21と、温度調整部22と、ブロー成形部23と、取り出し部24と、搬送機構26とを備える。射出成形部21、温度調整部22、ブロー成形部23および取り出し部24は、搬送機構26を中心として所定角度(例えば90度)ずつ回転した位置に配置されている。
【0015】
(搬送機構26)
搬送機構26は、
図1の紙面垂直方向の軸を中心に回転する回転板(不図示)を備える。回転板には、プリフォーム11または樹脂製容器(以下、単に容器と称する)の首部12を保持するネック型27(
図1では不図示)が、所定角度ごとにそれぞれ1以上配置されている。搬送機構26は、回転板を回転させることで、ネック型27で首部12が保持されたプリフォーム11(または容器)を、射出成形部21、温度調整部22、ブロー成形部23、取り出し部24の順に搬送する。なお、搬送機構26は、回転板を昇降させることもでき、射出成形部21におけるプリフォームの型閉じや型開き(離型)に係る動作も行う。
【0016】
(射出成形部21)
射出成形部21は、それぞれ図示を省略する射出キャビティ型、射出コア型を備え、
図2に示すプリフォーム11を製造する。射出成形部21には、プリフォーム11の原材料である樹脂材料を供給する射出装置25が接続されている。
【0017】
射出成形部21においては、上記の射出キャビティ型、射出コア型と、搬送機構26のネック型27とを型閉じしてプリフォーム形状の型空間を形成する。そして、このようなプリフォーム形状の型空間内に射出装置25から樹脂材料を流し込むことで、射出成形部21でプリフォーム11が製造される。
ここで、プリフォーム11の全体形状は、一端側が開口され、他端側が閉塞された有底円筒形状である。プリフォーム11の開口側の端部には、首部12が形成されている。
【0018】
また、容器およびプリフォーム11の材料は、熱可塑性の合成樹脂であり、容器の用途に応じて適宜選択できる。具体的な材料の種類としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PCTA(ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、Tritan(トライタン(登録商標):イーストマンケミカル社製のコポリエステル)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PES(ポリエーテルスルホン)、PPSU(ポリフェニルスルホン)、PS(ポリスチレン)、COP/COC(環状オレフィン系ポリマー)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル:アクリル)、PLA(ポリ乳酸)などが挙げられる。
【0019】
なお、射出成形部21の型開きをしたときにも、搬送機構26のネック型27は開放されずにそのままプリフォーム11を保持して搬送する。射出成形部21で同時に成形されるプリフォーム11の数(すなわち、ブロー成形装置20で同時に成形できる容器の数)は、適宜設定できる。
【0020】
(温度調整部22)
温度調整部22は、射出成形部21で製造されたプリフォーム11の均温化や偏温除去を行い、プリフォーム11の温度をブロー成形に適した温度(例えば約90℃~105℃)に調整する。また、温度調整部22は、射出成形後の高温状態のプリフォーム11を冷却する機能も担う。
【0021】
図2に示すように、温度調整部22は、温度調整用の金型ユニット30を有する。金型ユニット30は、金型ユニットの一例であって、プリフォーム11を収容可能なキャビティ型(温調ポット)31と、コア金型32とを備える。
【0022】
キャビティ型31は、射出成形部21で製造されたプリフォーム11の外形と略同じ形状の温度調整用の空間を有する金型であって、支持台33の上に配置されている。本実施形態のキャビティ型31は、上段型31aと下段型31bとを有し、上下2段に分割された構成である。
【0023】
上段型31aおよび下段型31bのそれぞれの内部には、温度調整媒体(冷却媒体)の流れる流路(不図示)が形成されている。そのため、キャビティ型31の温度は、上段型31aおよび下段型31bの内部に流れる温度調整媒体により所定の温度に保たれる。上段型31aと下段型31bの温度調整媒体の温度を変更することで、プリフォーム11の温度分布をプリフォーム11の長手方向に変化させてもよい。
なお、キャビティ型31の温度調整媒体の温度は特に限定されるものではないが、例えば、5℃~80℃、好ましくは30℃から60℃の間の範囲内で適宜選択することが可能である。
【0024】
ここで、キャビティ型31の構成は、本実施形態の構成に限定されることはない。例えば、キャビティ型31は上下に3段に分かれた構成としてもよい。また、例えば、キャビティ型31は、プリフォーム11の長手方向に分割される一対の割型で構成されていてもよい。
【0025】
コア金型32は、プリフォーム11の内部に挿入される金型であって、温度調整部22でプリフォーム11を保持しているネック型27に対して進退可能に配置される。
図2では、コア金型32が図中下側に伸張してネック型27の内部に挿入された状態を示している。
【0026】
コア金型32は、コアピン(第1のコア金型)34と、本体部35(第2のコア金型)と、冷却パイプ36とを少なくとも備える。
コアピン34は、プリフォーム11に挿入される有底筒状の棒状部材であり、プリフォーム11の内部形状と略同じ形状の外形を有する。また、コアピン34の内部には、温度調整媒体を流すための円筒状の内部空間が軸方向に沿って形成されている。
【0027】
本体部35は、コア金型32を進退駆動させる駆動機構(不図示)に連結された部材であり、本体部35の先端側にはコアピン34が連結される。本体部35の内部には、コアピン34の内径に対応する円筒状の内部空間が軸方向に沿って形成されている。本体部35の内部空間は、温度調整媒体の導入路35aと接続される。また、コアピン34を本体部35に取り付けた状態で、本体部35とコアピン34の各内部空間は同軸に接続され、コア金型32において液密(水密)な1つの円筒状の空間を構成する。
【0028】
冷却パイプ36は、コア金型32の内部空間に交換可能に挿入される筒状の部材であり、導入路35aからの温度調整媒体の流れを仕切る機能を担う。
冷却パイプ36の外径は、コア金型32の内部空間よりも小径であり、冷却パイプ36の軸方向長さは、コア金型32の内部空間の軸方向長さと略同じ寸法に設定される。
【0029】
コア金型32の内部空間は、冷却パイプが挿入された状態において、冷却パイプ36の外周側の第1の流路43と、冷却パイプ36の内周側の第2の流路41とに軸方向に沿って仕切られる。第1の流路43と第2の流路41は、コアピン34の内底に臨む冷却パイプ36の先端側で連絡する。第1の流路43は、本体部35において温度調整媒体の導入路35aと接続され、第2の流路41は、図示しない温度調整媒体の排出路と接続される。
【0030】
これにより、コア金型32の内部では、本体部35の導入路35aからコア金型32の先端側に向けて温度調整媒体が第1の流路43を流れ、コア金型32の先端側から温度調整媒体が折り返して冷却パイプ36内の第2の流路41を流れる。このような温度調整媒体の流れによりコア金型32は所定の温度に保たれる。なお、上記の温度調整媒体の流れは一例であり、温度調整媒体の流れを逆にして第2の流路41側から温度調整媒体を流してもよい。
なお、コア金型32の温度調整媒体の温度は特に限定されるものではないが、例えば、5℃~80℃、好ましくは30℃から60℃の間の範囲内で適宜選択することが可能である。
【0031】
また、本実施形態のコア金型32では、冷却パイプ36の交換によってプリフォーム11の周方向における偏温を調整することができる。
図3は、偏温の調整に用いられる冷却パイプである偏温調整パイプ37の一例を示す図である。偏温調整パイプ37は、コア金型32の周方向の一部に第1の流路43を形成するように構成されている。
【0032】
図3に示すように、偏温調整パイプ37は、軸方向に延長する第2の流路41を中心に有する。偏温調整パイプ37において、コアピン34に挿入される先端部分には、コア金型32の内部空間とほぼ同径の厚肉部37aが設けられている。厚肉部37aは、偏温調整パイプ37の周方向において部分的に形成されている。
【0033】
図4(A)に示すように、偏温調整パイプ37がコア金型32に挿入された状態において、厚肉部37aの外周はコアピン34の内周面と接触する(またはコアピン34の内周面との距離がほぼ存在していない程度に近接する)。また、偏温調整パイプ37の先端部分のうち、周方向において厚肉部37aの形成されていない領域には、周方向断面が径方向に所定幅を有する円弧状をなしている切り欠き37bが軸方向に沿って形成される。この切り欠き37bは、偏温調整パイプ37の先端部分において、上記の第1の流路43を形成する。また、切り欠き37bの外周はコアピン34の内周面と離間している。なお、偏温調整パイプの軸方向において厚肉部のない領域では、パイプ本体の外周すべてが第1の流路43となる。
【0034】
図4(A)に示すように、偏温調整パイプ37の先端部分の周方向断面において、切り欠き37bの部分には温度調整媒体が流れるため、切り欠き37bの近傍でのコア金型32の温度は低下しやすい。一方、厚肉部37aの部分には温度調整媒体が実質的に流れず、コア金型32の表面と温度調整媒体の流路との距離が大きくなる。つまり、厚肉部37aの近傍ではコア金型32の温度は低下しにくくなる。そのため、
図3に示す偏温調整パイプ37を用いることで、コア金型32の周方向において温度差を生じさせることができる。
【0035】
本実施形態では、切り欠き37bの周方向長さや、切り欠き37bの半径方向長さがそれぞれ異なる偏温調整パイプ37を複数種類用意する。そして、偏温調整パイプ37を適宜変更することでコア金型32の周方向の温度分布を微調整することができる。なお、本実施形態において、切り欠き37bが周方向の複数箇所に形成された偏温調整パイプ37を用いてもよい。
【0036】
さらに、本実施形態の金型ユニット30は、キャビティ型31の軸芯Z1とコア金型32の軸芯Z2の位置関係を調整する偏芯機構50を備えている。
図2に示すように、偏芯機構50は、キャビティ型31の上方に配置される。
【0037】
図5(A)、(B)に示すように、偏芯機構50は、円筒状の芯出しリング52と、芯出しリング52の周囲に配置される固定部51とを備える。芯出しリング52は、ネック型27を受ける環状の部材であって、その中心はネック型27に挿入されるコア金型32の軸芯Z2に対応する。
【0038】
固定部51は、キャビティ型31の上面側に取り付けられている。固定部51の中心には、芯出しリング52の外径よりも大きな寸法を有し、芯出しリング52を配置可能な空間(リング配置部)が設けられている。芯出しリング52を固定部51のリング配置部に配置したときに、芯出しリング52の外周と固定部51の間には隙間が形成される。
【0039】
固定部51のリング配置部には、芯出しリング52を保持するための8つの保持軸53が、芯出しリング52の周囲に45度おきの間隔で環状に配置されている。各々の保持軸53は、固定部51の内周側に向けて突出し、偏芯機構50においては、対角に配置された一対の保持軸53が芯出しリング52を挟み込むように構成されている。また、各々の保持軸53は、固定部51に設けられたねじ孔に螺合され、芯出しリング52に対して進退可能である。対角に配置された一対の保持軸53の進退を調整することで、保持軸53の移動方向に沿って、固定部51のリング配置部での芯出しリング52の位置を調整できる。なお、芯出しリング52と保持軸53の間に薄板状のシム(不図示)を挟みこむことで位置調整を行うようにしてもよい。
【0040】
これにより、偏芯機構50は、コア金型32の進退方向(コア金型32の軸方向)と直交する平面方向において、キャビティ型31の軸芯Z1とコア金型32の軸芯Z2の位置関係を隙間の範囲内で調整できる。つまり、コア金型32がプリフォームに挿入されるときには、芯出しリング52の位置に応じてコア金型32の導かれる位置が変化するため、偏芯機構50は、
図5(A)に示すように、コア金型32の軸芯Z2とキャビティ型31の軸芯Z1の位置を一致させることや、
図5(B)に示すように、軸芯Z1、Z2をずらして偏芯させることができる。
【0041】
(ブロー成形部23)
図1に戻って、ブロー成形部23は、温度調整部22で温度調整されたプリフォーム11に対してブロー成形を行い、容器を製造する。
ブロー成形部23は、容器の形状に対応した一対の割型であるブローキャビティ型と、延伸ロッドを兼ねるエア導入部材(いずれも不図示)を備える。ブロー成形部23は、プリフォーム11を延伸ブロー成形することで容器を製造する。
【0042】
(取り出し部24)
取り出し部24は、ブロー成形部23で製造された容器の首部12をネック型27から開放し、容器をブロー成形装置20の外部へ取り出すように構成されている。
【0043】
(ブロー成形方法の説明)
次に、第1実施形態のブロー成形装置20によるブロー成形方法について説明する。
図6は、ブロー成形方法の工程を示すフローチャートである。本実施形態では、ブロー成形方法の後述の各工程(S101~S104)が実施される前に、テスト運転の結果に基づいて温度調整部22を調整する偏温調整工程(S100)が行われる。
【0044】
(ステップS100:偏温調整工程)
偏温調整工程は、テスト運転で射出成形されたプリフォーム11の温度分布や、あるいはテスト運転でブロー成形された容器の肉厚分布に応じて、温度調整部22におけるコア金型32の温度分布や位置を調整する工程である。
【0045】
ブロー成形装置20のテスト運転のときには、例えば、厚肉部を有さず偏温調整の機能がない冷却パイプ36をコア金型32内に配置する。偏温調整の機能がない冷却パイプ36を挿入したときのコアピン34の横断面図を
図4(B)に示す。
また、上記のテスト運転のときには、偏芯機構50は、例えば、
図5(A)に示すように、キャビティ型31の軸芯Z1とコア金型32の軸芯Z2の位置が一致する状態にする。上記の状態でブロー成形装置20を運転し、調整前におけるプリフォーム11の温度分布または容器の肉厚分布の情報を得る。
【0046】
上記のテスト運転の結果、プリフォーム11の温度分布や容器の肉厚分布に偏りがある場合、温度調整部22におけるコア金型32の温度分布や位置が以下のように調整される。以下の説明では、一例として、周方向において、プリフォーム11の温度分布や容器の肉厚分布の偏りが小さくなるように調整するものとする。
【0047】
例えば、プリフォーム11の周方向に温度分布の偏りがある場合、コア金型32に挿入されている冷却パイプ36を
図3に示す偏温調整パイプ37に交換する。このとき、偏温調整パイプ37は、周方向における切り欠き37bの位置が、周方向においてプリフォーム11の温度の高い部分に対向するようにコア金型32内に配置される。
【0048】
上記の調整により、コア金型32の周方向において、プリフォーム11の温度の高い部分の近傍に第1の流路43が配置される。一方、プリフォーム11の温度の低い部分の近傍には偏温調整パイプ37の厚肉部37aが配置され、プリフォーム11と温度調整媒体の流路との距離が大きくなる。これにより、プリフォーム11の周方向においてテスト運転時に温度の高い部分は、他の部分よりも熱交換されやすくなり、プリフォーム11の周方向における温度分布の偏りを小さくできる。
【0049】
また、プリフォーム11の周方向に温度分布の偏りがある場合、上述の偏温調整パイプ37が挿入されたコア金型32を用いるのに加えて、偏芯機構50により、キャビティ型31の軸芯Z1とコア金型32の軸芯Z2をずらして偏芯させ、コア金型32の位置調整によりプリフォーム11の肉厚分布を調整してもよい。
【0050】
具体的には、コア金型32の軸芯Z2が、プリフォーム11の温度の高い部分に近づくように偏芯機構50を調整すればよい。これにより、プリフォーム11の周方向においてテスト運転時に温度の高い部分のプリフォーム11の肉厚を部分的に薄くできる。
プリフォーム11の肉厚を部分的に薄くすると、薄くした部分におけるプリフォーム11の保有熱が小さくなる。つまり、プリフォーム11の肉厚を部分的に薄くすることで、プリフォーム11の周方向における保有熱の偏りを調整できるので、製造される容器の肉厚分布を調整することが可能である。さらに、プリフォーム11の高温部分(薄肉化部位)と実質的に相対させるように37の切り欠き37bを配置させた偏温調整パイプ37を備えたコア金型32を用いることで、プリフォーム11の周方向における保有熱の偏りを一層効率的に調整できる。
【0051】
また、テスト運転で製造された容器の肉厚分布に基づいて偏温調整工程での各種調整を行う場合には、以下のように行えばよい。
【0052】
1ステージ方式のブロー成形において、プリフォーム11の温度の高い部分は大きな保有熱を有し、プリフォーム11が延伸されやすくなる。つまり、容器の肉厚が薄い部分は、プリフォーム11の温度の高い部分に対応する。一方、プリフォーム11の温度の低い部分は、プリフォーム11の温度の高い部分と比べて保有熱が小さくなり、プリフォーム11が延伸されにくくなる。つまり、容器の肉厚が厚い部分は、プリフォーム11の温度の低い部分に対応する。
したがって、容器の肉厚分布に基づいて偏温調整工程での各種調整を行う場合、容器の肉厚が薄い部分はプリフォーム11の温度の高い部分とみなし、容器の肉厚が厚い部分はプリフォーム11の温度の低い部分とみなして上記と同様に調整を行うことができる。
【0053】
偏温調整工程においては、偏温調整パイプ37によるコア金型32の温度分布の調整と、偏芯機構50によるコア金型の位置調整のいずれか一方のみ行ってもよく、あるいは両者を組み合わせて行ってもよい。
上記の偏温調整工程が完了すると、以下に示すブロー成形方法の各工程が実行される。
【0054】
(ステップS101:射出成形工程)
まず、射出成形部21において、射出キャビティ型、射出コア型および搬送機構26のネック型27で形成されたプリフォーム形状の型空間に射出装置25から樹脂を射出し、プリフォーム11が製造される。
【0055】
ステップS101において、樹脂充填の終了直後または樹脂充填後に設けられた最小限の冷却時間後に射出成形部21が型開きされる。つまり、プリフォーム11の外形が維持できる程度の高温状態でプリフォーム11が射出キャビティ型、射出コア型から離型される。その後、搬送機構26の回転板が所定角度回転し、ネック型27に保持されたプリフォーム11が温度調整部22に搬送される。
【0056】
ここで、
図7を参照して、本実施形態のブロー成形方法におけるプリフォーム11の温度変化を説明する。
図7の縦軸はプリフォーム11の温度を示し、
図7の横軸は時間を示す。
図7において、本実施形態のプリフォームの温度変化例は
図7中(A)で示す。また、後述する比較例(従来方法)のプリフォームの温度変化例は
図7中(B)で示す。なお、各工程間の空白は、プリフォーム11または容器10の移送に要する時間であり、同一である。
【0057】
本実施形態においては、樹脂材料の融点以上の温度で樹脂材料が射出成形されると、射出成形部21では射出成形後のプリフォーム11の最小限の冷却のみを行い、温度調整部22でプリフォーム11の冷却および温度調整を行う。本実施形態において、射出成形部21で樹脂材料の射出が完了してから樹脂材料を冷却する時間(冷却時間)は、樹脂材料を射出する時間(射出時間)に対して1/2以下であることが好ましい。また、上記の樹脂材料を冷却する時間は、樹脂材料の重量に応じて、樹脂材料を射出する時間に対してより短くすることができる。樹脂材料を冷却する時間は、樹脂材料を射出する時間に対して2/5以下であるとより好ましく、1/4以下であるとさらに好ましく、1/5以下であると特に好ましい。比較例よりも冷却時間を著しく短縮させているため、プリフォームのスキン層(固化状態にある表面層)は従来よりも薄く、コア層(軟化状態または溶融状態にある内層)は従来よりも厚く形成される。つまり、比較例と比べて、スキン層とコア層との間の熱勾配が大きく、高温で保有熱が高いプリフォームが成形される。
【0058】
本実施形態では、射出成形されたプリフォーム11は、比較例の場合よりも高い離型温度で射出成形部21から離型され、温度調整部22へと搬送される。温度調整部22への移動に伴って、プリフォーム11はスキン層とコア層間の熱交換(熱伝導)による均温化が進む。また、外気との接触により、プリフォーム11は外表面から若干冷却される。しかし、温度調整部22への搬入時までプリフォーム11の温度はほぼ高温の離型温度の状態で維持される。温度調整部22では、高温の離型温度からブロー温度までプリフォーム11の温度が低下され、その後、ブロー成形が行われるまでプリフォーム11の温度はブロー温度に維持される。
なお、ブロー温度は、ブロー成形に適した温度であり、例えばPET樹脂では90℃~105℃に設定される。ただし、ブロー温度は低温の方がプリフォーム11の延伸配向性が良好になり容器の強度(物性)を高めることができる。そのため、ブロー温度は、例えばPET樹脂では90℃~95℃に設定することが好ましい。
【0059】
ここで、ブロー成形装置20の構造上、射出成形工程、温度調整工程、ブロー成形工程および容器取り出し工程の各時間はそれぞれ同じ長さになる。同様に、各工程間の搬送時間もそれぞれ同じ長さになる。
【0060】
一方、比較例として、射出成形工程でプリフォーム11の冷却を行う場合のプリフォームの温度変化例(
図7の(B))を説明する。
比較例では、射出成形部21の金型内でプリフォーム11をブロー温度よりも低いか略同程度の温度まで冷却する。その結果として、比較例では射出成形工程の時間が本実施形態よりも長くなる。そうすると、各工程の時間は最も長い射出成形工程の時間に合わせて設定されることから、結果的に容器の成形サイクルの時間も長くなってしまう。
【0061】
(ステップS102:温度調整工程)
続いて、温度調整部22において、プリフォーム11の温度を最終ブローに適した温度に近づけるための温度調整が行われる。
【0062】
図2に示すように、温度調整工程においては、まず、プリフォーム11がキャビティ型31のプリフォーム形状の温度調整用の空間内に収容される。続いて、キャビティ型31に収容されたプリフォーム11にコア金型32が挿入される。
温度調整工程においては、プリフォーム11がキャビティ型31およびコア金型32と接触することで、プリフォーム11はブロー成形に適した温度以下にならないように温度調整され、さらに射出成形時に生じた偏温も低減される。なお、キャビティ型31およびコア金型はプリフォーム11の形状に対応しているため、プリフォームの形状は温度調整工程においても所望の形状のまま維持される。
【0063】
温度調整工程の後、搬送機構26の回転板が所定角度回転し、ネック型27に保持された温度調整後のプリフォーム11がブロー成形部23に搬送される。
【0064】
(ステップS103:ブロー成形工程)
続いて、ブロー成形部23において、容器のブロー成形が行われる。
まず、ブロー成形金型を型閉じしてプリフォーム11を型空間に収容し、プリフォーム11の首部12にエア導入部材が挿入される。そして、延伸ロッドおよびブローコア型を少なくとも有するエア導入部材を降下させつつ、エア導入部材からプリフォーム11内にブローエアーを導入する。これにより、プリフォーム11は、ブロー成形金型の型空間に密着するように膨出して賦形され、容器にブロー成形される。
【0065】
(ステップS104:容器取り出し工程)
ブロー成形が終了すると、ブロー成形金型が型開きされる。これにより、ブロー成形部23から容器が移動可能となる。
続いて、搬送機構26の回転板が所定角度回転し、容器が取り出し部24に搬送される。取り出し部24において、容器の首部12がネック型27から開放され、容器がブロー成形装置20の外部へ取り出される。
【0066】
以上で、ブロー成形方法の一連の工程が終了する。その後、搬送機構26の回転板を所定角度回転させることで、上記のS101からS104の各工程が繰り返される。
【0067】
以下、第1実施形態のブロー成形装置およびブロー成形方法の効果を説明する。
ホットパリソン式のプリフォームを結晶性の熱可塑性樹脂(透明の非晶質状態と白濁した結晶質状態とになりうる樹脂)を材料として成形すると、材料によっては冷却不足により白化(白濁)してしまう場合がある。例えば、PET樹脂を材料とした場合、結晶化が促進される温度帯(120℃~200℃)でプリフォームを徐冷(例えば室温で十数秒冷却)すると、球晶生成による結晶化が生じ、白化する傾向を示す。
そのため、従来は、プリフォームの射出成形型を急冷(例えば10℃で5秒)することで上記の結晶化温度帯の通過時間を短くし、射出成形工程で十分に冷却させてプリフォームの白化を抑制していた。
【0068】
これに対し、本実施形態のブロー成形方法によれば、射出成形工程(S101)でプリフォーム11の冷却工程をほとんどなくし、温度調整工程(S102)でプリフォーム11の冷却を行っている。温度調整工程(S102)では、プリフォーム11をキャビティ型31およびコア金型に密着させて、プリフォーム11の温度調整と同時にプリフォーム11の冷却を行うことができる。本実施形態では、温度調整工程(S102)でプリフォーム11の温度調整と冷却を行えるため、射出成形工程(S101)においてプリフォーム11を高温の状態でも離形することができ、次のプリフォーム11の成形を早く開始することができる。すなわち、本実施形態によると、成形サイクル時間を、比較例の成形サイクル時間よりも短縮しつつ、容器を良好に成形できる。
【0069】
また、本実施形態によれば、偏温調整工程(S100)において偏温調整パイプ37を用いてコア金型32の温度分布を周方向に調整する。これにより、プリフォーム11の周方向の偏温が抑制され、追加冷却や温度調整の効率が向上することで、ブロー成形で容器を良好に成形できる。
また、偏温調整工程(S100)においては、偏芯機構50でキャビティ型31の軸芯Z1とコア金型32の軸芯Z2をずらして偏芯させて、プリフォーム11の肉厚分布を調整してもよい。これによっても、プリフォーム11の周方向における保有熱の偏りが調整され、ブロー成形で容器を良好に成形できる。
【0070】
特に、成形サイクル時間を短縮化すると温度調整工程(S102)におけるプリフォームの温度調整の時間も短くなる。本実施形態によれば、偏温調整工程(S100)においてコア金型32の温度分布や位置が偏温調整のために最適化されるので、温度調整工程(S102)で短時間での温度調整が可能となる。つまり、製造される容器の品質を低下させることなく、成形サイクルの短縮化を実現できる。
【0071】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。
以下の第2実施形態の説明では、第1実施形態と同様の要素には同一符号を付し、重複説明はいずれも省略する。第2実施形態のブロー成形装置20においては、温度調整部22の金型ユニット30の構成が相違する。
【0072】
図8は、第2実施形態の温度調整部の構成例を示す図である。
図8に示すように、温度調整部22は、温度調整用の金型ユニット30を有する。金型ユニット30は、金型ユニットの一例であって、プリフォーム11を収容可能なキャビティ型(温調ポット)31と、コア金型32とを備える。キャビティ型31の構成は第1実施形態と同様である。
【0073】
コア金型32は、プリフォーム11の内部に挿入される金型であって、温度調整部22でプリフォーム11を保持しているネック型27に対して進退可能に配置される。
図8では、コア金型32が図中下側に伸張してネック型27の内部に挿入された状態を示している。
【0074】
コア金型32は、コアピン(第1のコア金型)34と、本体部(第2のコア金型)35と、冷却パイプ36とを少なくとも備える。
コアピン34は、プリフォーム11に挿入される有底筒状の棒状部材であり、プリフォーム11の内部形状と略同じ形状の外形を有する。また、コアピン34の内部には、温度調整媒体を流すための円筒状の内部空間が軸方向に沿って形成されている。
【0075】
プリフォーム11の底面に臨むコアピン34の先端には、コアピン34の内部空間に連通する排気口40が形成されている。コアピン34の排気口40は、コア金型32をプリフォーム11に挿入するときに、プリフォーム11内の空気をコアピン34内に排出し、コア金型32とプリフォーム11の接触性を向上させる機能を担う。
【0076】
排気口40は、コア金型32(より具体的にはコアピン34)の中心軸を基準として、コア金型32(より具体的にはコアピン34)の周方向に回転対称をなす形状で形成されている。コア金型32(より具体的にはコアピン34)の周方向に回転対称をなすように排気口40を形成すると、プリフォーム11内の空気を周方向にむらなく均等に排出しやすくなるので、コア金型32とプリフォーム11の接触の偏りがより生じにくくなる。例えば、
図10(A)では、4つの排気口40が、90度の間隔で点対称をなすように周方向に間隔をあけてコアピン34の先端に形成されている。もっとも、排気口40は、必ずしも回転対称に配置されていなくてもよく、例えば、コア金型32(より具体的にはコアピン34)の先端において、その中心軸から所定距離範囲内にある任意の位置に、複数の排気口40を配置してもよい。
【0077】
なお、コア金型32の中心軸を基準として回転対称をなす配置であれば、コアピン34に排気口40を設ける数は4以外の数(2つや3つ、あるいはそれ以上の整数)であってもよい。また、コアピン34の中心軸の位置(コアピンの中央)に排気口40を1つ設けるようにしてもよい。
【0078】
本体部35は、コア金型32を進退駆動させる駆動機構(不図示)に連結された部材であり、本体部35の先端側にはコアピン34が連結される。本体部35の内部には、コアピン34の内径に対応する円筒状の内部空間が軸方向に沿って形成されている。また、コアピン34を本体部35に取り付けた状態で、本体部35とコアピン34の各内部空間は同軸に接続され、コア金型32において液密(水密)な1つの円筒状の空間を構成する。
【0079】
図11(A)に示すように、本体部35の外周には、それぞれ周方向に沿って延びる第1の環状溝35aと、第2の環状溝35cが並列に形成されている。
図11(B)に示すように、第1の環状溝35aには、内部空間に連通する第1の貫通孔35bが周方向に90度の間隔を空けて4つ形成されている。第1の環状溝35aは、図示しない導入路から温度調整媒体を受け、第1の貫通孔35bを介してコア金型32の内部へ温度調整媒体を導く機能を担う。
【0080】
また、第2の環状溝35cには、内部空間に連通する第2の貫通孔35dが周方向に所定角度(例えば90度)の間隔を空けて複数(例えば4つ)形成されている。
図11(B)に示すように、第1の貫通孔35bと第2の貫通孔35dは、周方向に所定角度(例えば45度ずつ)ずれた位置に形成されている。第2の環状溝35cは、第2の貫通孔35dを介してコア金型32の内部から排出される温度調整媒体を受け、図示しない排出路に温度調整媒体を導く機能を担う。
【0081】
冷却パイプ36は、コア金型32の内部空間に挿入される筒状の部材である。
冷却パイプ36の外周は、コア金型32の内部空間を軸方向に沿って仕切り、温度調整媒体の第1の流路43aと第2の流路43bを形成する。
【0082】
図9に示すように、冷却パイプ36の外周には、それぞれ軸方向に沿って延びる第1の溝36aと第2の溝36bが並列に形成されている。
図10(B)に示すように、第1の溝36aと第2の溝36bは、冷却パイプ36の周方向に所定角度(例えば90度)の間隔を空けて複数(例えば4つ)ずつ形成されている。第1の溝36aと第2の溝36bは、冷却パイプ36の周方向に所定角度(例えば45度)ずつずれた位置に形成され、冷却パイプ36の周方向において交互に配置されている。
なお、第1の溝36a、第2の溝36bは、溝の形状に対応する止栓60を嵌合させて塞ぐことが可能である。止栓60は、例えばゴム材などで形成される。
【0083】
図8に示すように、第1の溝36aは、冷却パイプ36の先端側から本体部35の第1の環状溝35aに対応する位置まで延びている。同様に、第2の溝36bは、冷却パイプ36の先端側から本体部35の第2の環状溝35cに対応する位置まで延びている。冷却パイプ36の第1の溝36aは、本体部35の第1の貫通孔35bと対応する位置に配置され、冷却パイプ36の第2の溝36bは、本体部35の第2の貫通孔35dと対応する位置に配置される。
【0084】
また、
図8、
図9に示すように、冷却パイプ36の先端外周には、Oリング38が嵌め込まれた円形の封止部36cが設けられている。封止部36cは、コアピン34の先端側に形成される排気室42と、冷却パイプ36の外周に形成される温度調整媒体の流路43a、43bとを軸方向において仕切る機能を担う。
また、
図9に示すように、冷却パイプ36の軸方向において、封止部36cの近傍には、第1の溝36aと第2の溝36bを周方向に接続する領域36dが設けられている。
【0085】
また、冷却パイプ36の内部には、冷却パイプ36の一端から他端にかけて軸方向に延びる排気路41が形成されている。排気路41は、コアピン34の排気口40からコアピン34内に流れ込んだ空気をコア金型32の外部に排出する機能を担う。
【0086】
冷却パイプ36がコア金型32に挿入された組立状態において、コアピン34の内部空間の底面側と冷却パイプ36の先端の間には、上記の排気口40および排気路41と接続された排気室42が形成される。これにより、コア金型32をプリフォーム11に挿入するときに、プリフォーム11内の空気は、コアピン34の排気口40から排気室42を介して排気路41に導かれ、外部に排気される。なお、排気室42は、Oリング38により温度調整媒体の流路43a、43bに対してシールされる。
【0087】
また、冷却パイプ36がコア金型32に挿入された組立状態において、コア金型32の内周と冷却パイプ36の第1の溝36aによって温度調整媒体の第1の流路43aが形成される。同様に、コア金型32の内周と冷却パイプ36の第2の溝36bによって温度調整媒体の第2の流路43bが形成される。
第1の流路43aと第2の流路43bは、封止部36cの近傍にある領域36dで接続され、コア金型32の先端で温度調整媒体の流れが折り返すように構成されている。本実施形態では、第1の流路43aと第2の流路43bをいずれも冷却パイプ36の外周に形成することで、冷却パイプ36における温度調整媒体の流路の加工を容易にできる。
【0088】
コア金型32の内部では、本体部35の第1の環状溝35aからコア金型32の先端側に向けて温度調整媒体が第1の流路43aを流れ、コア金型32の先端側から本体部35の第2の環状溝35cに向けて温度調整媒体が第2の流路43bを流れる。このような温度調整媒体の流れによりコア金型32は所定の温度に保たれる。なお、上記の温度調整媒体の流れは一例であり、温度調整媒体の流れを逆にして第2の流路43b側から温度調整媒体を流してもよい。
【0089】
また、第2実施形態では、コア金型32の周方向に配置されている第1の流路43aおよび第2の流路43bのいずれかで温度調整媒体の流れを規制し、コア金型32の周方向に温度差を生じさせてもよい。
【0090】
図10(C)は、第1の流路43aの一部で温度調整媒体の流れを規制した例を示す。
図10(C)の例では、図中右上の第1の溝36aに溝の形状に対応する止栓60を嵌合させて第1の流路43aを塞いでいる。止栓60が配置された第1の流路43aでは温度調整媒体の流れが生じない状態となっている。
【0091】
図10(C)の例において、止栓60が配置されていない流路43a、43bには温度調整媒体が流れるため、これらの流路の近傍ではコア金型32の温度は低下しやすい。一方、止栓60が配置された第1の流路43aには温度調整媒体が流れず、コア金型32の表面と温度調整媒体との熱交換が行われにくくなり、コア金型32の温度は低下しにくくなる。このように、コア金型32の周方向に温度調整媒体の流れが規制された流路を設けると、コア金型32の周方向に温度差を生じさせることができる。
なお、止栓60を配置する流路は
図10(C)の例に限定されず、周方向の任意の流路において温度調整媒体の流れを規制できる。また、止栓60を配置する流路の数は複数であってもよい。
【0092】
第2実施形態におけるブロー成形方法の工程は、偏温調整工程(
図6のS100)および温度調整工程(
図6のS102)を除いて、第1実施形態と同様である。
【0093】
第2実施形態の偏温調整工程(
図6のS100)は、以下の手順で行われる。
まず、ブロー成形装置20のテスト運転のときには、コア金型32において温度調整媒体の流れを規制しない状態(
図10(B))でブロー成形装置20を運転し、調整前におけるプリフォーム11の温度分布または容器の肉厚分布の情報を得る。
【0094】
上記のテスト運転の結果、プリフォーム11の温度分布や容器の肉厚分布に偏りがある場合、温度調整部22におけるコア金型32の温度分布が以下のように調整される。以下の説明では、一例として、周方向において、プリフォーム11の温度分布や容器の肉厚分布の偏りが小さくなるように調整するものとする。
【0095】
例えば、プリフォーム11の周方向に温度分布の偏りがある場合、周方向においてプリフォーム11の温度の低い部分の近傍にある流路43a、43bに止栓60を配置する。
上記の調整により、コア金型32の周方向において、プリフォーム11の温度の低い部分の近傍では温度調整媒体の流れが選択的に規制される。これにより、プリフォーム11の周方向においてテスト運転時に温度の低い部分は、コア金型32の表面と温度調整媒体との熱交換が行われにくくなり、コア金型32の温度は低下しにくくなる。したがって、プリフォーム11の周方向における温度分布の偏りを小さくできる。
【0096】
また、テスト運転で製造された容器の肉厚分布に基づく偏温調整工程での各種調整は、第1実施形態と同様に行うことができる。偏温調整工程の完了後に、ブロー成形方法の各工程(
図6のS101~S104)が実行される。
【0097】
第2実施形態の温度調整工程(
図6のS102)においては、
図8に示すように、まず、プリフォーム11がキャビティ型31のプリフォーム形状の温度調整用の空間内に収容される。続いて、キャビティ型31に収容されたプリフォーム11にコア金型32が挿入される。
第2実施形態の温度調整工程においては、プリフォーム11がキャビティ型31およびコア金型32と接触することで、プリフォーム11はブロー成形に適した温度以下にならないように温度調整され、さらに射出成形時に生じた偏温も低減される。なお、キャビティ型31およびコア金型はプリフォーム11の形状に対応しているため、プリフォームの形状は温度調整工程においても所望の形状のまま維持される。
【0098】
また、
図12に示すように、コア金型32をプリフォーム11に挿入するときには、プリフォーム11内の空気は、排気口40からコアピン内の排気室42を介して排気路41に導かれ、外部に排気される。そのため、コア金型32をプリフォーム11に挿入したときに、例えば、プリフォーム11の底面や側面においてコア金型32との間に空気だまりが生じることを抑制できる。これにより、プリフォーム11の内周面とコア金型32との接触面積がより広がるので、コア金型32によるプリフォーム11の追加冷却や偏温調整の効率を一層向上させることができる。
【0099】
なお、コア金型32の排気路41は、温度調整媒体の流路43a、43bよりも内周側に配置されている。つまり、プリフォーム11と温度調整媒体の流路43a、43bの間には排気路41が位置していないので、コア金型32を流れる温度調整媒体とプリフォーム11の間の熱伝導が排気路41で断熱されて妨げられることはない。
【0100】
以上のように、第2実施形態では、温度調整工程(S102)でプリフォーム11の冷却を行うことで、第1実施形態と同様に、成形サイクル時間を短縮しつつ、容器を良好に成形できる。
また、第2実施形態では、コア金型32の先端部には、コア金型32の内部の排気路41を介してプリフォーム11内から空気を排出する排気口40が設けられている。これにより、コア金型32をプリフォーム11に挿入するときにプリフォーム11内の空気を外部に排出することができる。コア金型32とプリフォーム11の接触が空気で妨げられる領域がなくなることで、プリフォーム11の内周面とコア金型32との接触面積が広がり、コア金型32による高温状態のプリフォーム11の追加冷却や偏温調整の効率を一層向上させることができる。上記の効果は、プリフォーム11の形状に拘わらず同様であるため、例えば、脱気がしにくい細長い形状のプリフォーム11であっても追加冷却や偏温調整の効率を向上させることができる。
【0101】
特に、成形サイクル時間を短縮化すると温度調整工程の時間も短くなり、コア金型32とプリフォーム11の熱交換の効率をより高める必要が生じる。本実施形態によれば、コア金型32による高温状態のプリフォーム11の追加冷却や偏温調整の効率が排気口40および排気路41の形成で一層向上するので、温度調整工程(S102)で短時間での温度調整が可能となる。つまり、製造される容器の品質を低下させることなく、成形サイクルの短縮化を実現できる。
【0102】
また、第2実施形態では、偏温調整工程(S100)で温度調整媒体を流す流路を選択することで、コア金型32の温度分布を周方向に調整する。これにより、プリフォーム11の周方向の偏温が抑制され、ブロー成形で容器を良好に成形できる。また、偏温調整工程(S100)においてコア金型32の温度分布が偏温調整のために最適化されるので、これによっても温度調整工程(S102)で短時間での温度調整が可能となる。
【0103】
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態の射出成形装置70の構成を模式的に示す図である。本実施形態の射出成形装置70は、プリフォーム11を高速で製造するために使用される装置であって、第1実施形態または第2実施形態のブロー成形装置20からブロー成形部23を除いたものに相当する。そのため、第3実施形態において、第1実施形態または第2実施形態と同様の構成については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0104】
射出成形装置70は、射出成形部21と、温度調整部(プリフォーム11を冷却する温度調整部、後冷却部)22と、取り出し部24と、搬送機構としての回転板71とを備える。第3実施形態の射出成形装置70は、温度調整部22に第1実施形態または第2実施形態と同様の金型ユニット30を有している。
【0105】
射出成形部21、温度調整部22および取り出し部24は、回転板71の周方向において所定角度(例えば120度)ずつ回転した位置に配置されている。回転板71の構成は、ステップごとの回転角度が異なる点を除き第1実施形態の搬送機構のものと同様である。
第3実施形態の射出成形装置70では、回転板71の回転により、ネック型27で首部12が保持されたプリフォーム11が、射出成形部21、温度調整部22、取り出し部24の順に搬送される。
【0106】
第3実施形態の射出成形装置70においては、射出成形部21の下流側に
図2や
図8の金型ユニット30を備えた温度調整部22を設けることで、温度調整部22においてプリフォーム11の追加冷却を行うことができる。温度調整部22でプリフォーム11の追加冷却を行うことで、射出成形部21では第1実施形態または第2実施形態(
図7の(A)本実施形態)と同様にプリフォーム11を高温の状態でも離形でき、射出成形部21におけるプリフォーム11の冷却時間を大幅に短縮できる。これにより、第3実施形態によれば、次のプリフォーム11の成形を早く開始することができるので、プリフォーム11の成形サイクル時間を短縮できる。
また、第3実施形態においても、第1実施形態または第2実施形態で説明した温度調整部22の効果を同様に得ることができる。なお、第3の実施形態では、取り出し部24でプリフォーム11が機外へ排出された後、室温下で白化(白濁)やヒケ、不規則変形が生じないよう、温度調整部22でプリフォーム11が完全に固化するまで冷却させる必要がある(プリフォーム11の温度をブロー適温以下の温度(例えば50℃以下)まで冷却させる必要がある)。よって、金型ユニット30およびキャビティ型31は低温(例えば0~20℃)の温度調整媒体により低温に設定される。
【0107】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
【0108】
第1実施形態または第2実施形態の偏温調整工程(S100)では、プリフォーム11の温度分布や容器の肉厚分布の偏りを周方向において小さくなるように調整する例を説明した。しかし、例えば、首部の中心軸が胴部と同軸とならない偏芯容器や、取手付きの容器を製造する場合、偏温調整工程(S100)において、プリフォーム11の温度分布や容器の肉厚分布の偏りが周方向の所定の位置に所望の大きさで生じるように調整をしてもよい。
【0109】
また、第2実施形態では、温度調整媒体を流す流路を調整するときに、任意の流路を完全に塞がなくてもよい。例えば、任意の流路における温度調整媒体の流量を絞ることでコア金型32の温度分布を周方向に調整してもよい。また、流路を調整する手段は止栓60の嵌合には限定されず、弁の開閉などの他の機構によって実現されてもよい。
【0110】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0111】
11…プリフォーム、20…ブロー成形装置、21…射出成形部、22…温度調整部、23…ブロー成形部、30…金型ユニット、31…キャビティ型、32…コア金型、36…冷却パイプ、36a…第1の溝、36b…第2の溝、37…偏温調整パイプ、37a…厚肉部、37b…切り欠き、40…排気口、41…排気路、43a…第1の流路、43b…第2の流路、50…偏芯機構、60…止栓、70…射出成形装置