IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジ アサン ファウンデーションの特許一覧 ▶ ユニバーシティー オブ ウルサン ファウンデーション フォー インダストリー コーオペレイションの特許一覧 ▶ フバイオメッド・インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】医療用シリンジ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
A61M5/315 500
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021553019
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 KR2020002680
(87)【国際公開番号】W WO2020184867
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0028894
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515267910
【氏名又は名称】ジ アサン ファウンデーション
(73)【特許権者】
【識別番号】517301162
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ウルサン ファウンデーション フォー インダストリー コーオペレイション
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF ULSAN FOUNDATION FOR INDUSTRY COOPERATION
(73)【特許権者】
【識別番号】519241462
【氏名又は名称】フバイオメッド・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HuBioMed Inc.
【住所又は居所原語表記】701HO, DDONG, 700, PANGYO‐RO, BUNDANG‐GU, SEONGNAM‐SI, GYEONGGI‐DO 13516, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】スン・チュン
(72)【発明者】
【氏名】キョン ア・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソン ムン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジュノ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ユン スン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ドクヒー・イ
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05685864(US,A)
【文献】特表2012-532694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に突出したストッパーを含むシリンダーと、
前記シリンダーの内側に配されて第1方向に進退移動するプランジャーと、を含み、
前記プランジャーは、ボディーと、前記ボディーに結合し、前記シリンダーの外側に配されるハンドルと、前記ボディーに配された複数の突起を含み、
前記ボディーは、断面が十字状を有するように垂直に交差して配される第1パートと第2パートとを含み、
複数の前記突起は、前記プランジャーのシーリング部材側から前記プランジャーの長手方向に沿って離隔されてこの順に配された第1突起と第2突起とを含み、
前記第1突起は、前記第1パートの一側の前記第2パートの上面及び下面からそれぞれ突設された一側突起と、前記第1パートの他側の前記第2パートの上面及び下面からそれぞれ突設された他側突起とを含み、
前記第2突起は、前記第1パートの一側の前記第2パートの上面から突設された一側突起と、前記第1パートの他側の前記第2パートの下面から突設された他側突起とを含み、
前記第1突起及び前記第2突起の前記一側突起及び前記他側突起は、それぞれ前記第1パートと前記第2パートとの交差中心を基準とする中心角が鋭角である円弧状プレートであり、
前記第1方向を基準に、前記ストッパーと複数の前記突起とのうち何れか1つは、前記プランジャーの回転によって選択的にオーバーラップされるように配される、医療用シリンジ。
【請求項2】
前記ボディーは、前記プランジャーの長手方向から眺める時、前記突起が配されない通路を含む、請求項に記載の医療用シリンジ。
【請求項3】
前記ボディーは、断面が十字状を有するように垂直に交差して配される第1パートと第2パートとを含み、
前記突起は、前記第2パートに配され、前記ストッパーが通る流路が形成されるように前記第パートと離隔して配される、請求項に記載の医療用シリンジ。
【請求項4】
前記第2突起は、第2-1突起第2-2突起とを含み、
前記第2-1突起は、前記第2-2突起よりも前記第1突起に近く配され、
前記プランジャーの長手方向を基準に、前記第1突起と前記第2-1突起との第1距離は、前記第2-1突起と前記第2-2突起との第2距離は異なる、請求項に記載の医療用シリンジ。
【請求項5】
前記ボディーは、断面が十字状を有するように垂直に交差して配される第1パートと第2パートとを含み、
前記突起は、前記第2パートに配され、
前記第1パートは、前記プランジャーの回転方向に前記ストッパーが貫通する第1溝を含み、
前記第2パートは、前記プランジャーの回転方向に前記ストッパーが貫通する第2溝を含む、請求項に記載の医療用シリンジ。
【請求項6】
前記第1溝は、複数の前記突起のうち、前記プランジャーのシーリング部材に最も近く配される前記突起と、前記シーリング部材の間に配される、請求項に記載の医療用シリンジ。
【請求項7】
前記第2溝は、複数の前記突起のうち、前記プランジャーのハンドルに最も近く配される前記突起と、前記ハンドルの間に配される、請求項に記載の医療用シリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用シリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
血管造影術分野は、血管に微細な注射針などを挿入して血管内の疾患を治療する医療分野の1つである。特に、血管に血栓が積もる場合、脳卒中、動脈硬化など危なく、大きな疾患に発展する恐れがあり、よって、血管内部の血栓を除去することは重要な医療手術の1つである。
そのうち、血栓を溶解して除去する方法の以外に、血栓がある部位に機械的に器具を直接挿入して血栓を粉砕するか、吸い込む方法がある。シリンジやポンプ装置を用いて、血管内を陰圧や陽圧を作って、血栓を粉砕するか、吸い込んで除去することができる。
この際、ポンプ装置を使用する場合、過度な圧力によって、血管が損傷される危険があるという問題点がある。また、血管に連結されるポンプ装置は、体積が大きく、装備が高価であるという短所がある。
シリンジの場合、血栓吸入後、施術者がシリンジのプランジャーを置く場合、圧力差によって、プランジャーが吸い込まれながら医療事故が発生するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】大韓民国登録特許第10-1297661号(2013.08.21.公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、構成が簡素かつ操作が容易であり、医療事故を減らしうる医療用シリンジを提供することをその目的とする。
本発明が解決しようとする課題は、前述した課題に限定されず、ここで言及されていないさらに他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、内側に突出したストッパーを含むシリンダー;及び前記シリンダーの内側に配されて第1方向に進退移動するプランジャー;を含み、前記プランジャーは、複数の突起を含み、複数の前記突起は、前記プランジャーの長手方向に沿って離隔されて配され、前記第1方向を基準に、前記ストッパーと複数の前記突起とのうち何れか1つは、前記プランジャーの回転によって選択的にオーバーラップされるように配される医療用シリンジを提供することができる。
【0006】
望ましくは、前記プランジャーは、前記突起が配されるボディーと、前記ボディーに結合し、前記シリンダーの外側に配されるハンドルと、を含みうる。
望ましくは、前記ボディーは、前記プランジャーの長手方向から眺める時、前記突起が配されない通路を含みうる。
【0007】
望ましくは、前記ボディーは、断面が十字状を有するように垂直に交差して配される第1パートと第2パートとを含み、前記突起は、前記第2パートに配され、前記ストッパーが通る流路が形成されるように前記第2パートと離隔して配置される。
望ましくは、前記ボディーは、断面が十字状を有するように垂直に交差して配される第1パートと第2パートとを含み、前記突起は、円弧状プレートであり、前記突起の中心角は、鋭角である。
【0008】
望ましくは、前記突起は、前記第1パートと前記第2パートとのうち、前記第2パートのみに配置される。
望ましくは、前記突起は、前記プランジャーの長手方向を基準に離隔して配される第1突起と第2突起とを含み、前記第1突起は、前記第2突起よりも前記プランジャーのシーリング部材よりも近く配され、前記第1突起と前記第2突起は、それぞれ、前記第1パートの一側に配される一側突起と前記第1パートの他側に配される他側突起とを含み、前記第1パートと前記第2パートとの交差中心を基準に、前記一側突起と前記他側突起は、回転対称に配置される。
【0009】
望ましくは、前記第1突起の一側突起と他側突起は、前記第1パートを基準に対称に配置される。
望ましくは、前記第1突起の一側突起と他側突起は、前記第1パートを基準に対称に配置される。
望ましくは、前記一側突起は、前記第2パートの上面及び下面からそれぞれ突設され、前記第2パートの上面に配される前記一側突起と、前記第2パートの下面に配される前記一側突起は、前記第2パートを基準に対称に配置される。
【0010】
望ましくは、前記第2突起の一側突起は、前記第2パートの上面に配され、前記第2突起の他側突起は、前記第2パートの下面に配置される。
望ましくは、前記第2突起は、前記第2-1突起と前記第2-2突起とを含み、前記第2-1突起は、前記第2-2突起よりも前記第1突起に近く配され、前記プランジャーの長手方向を基準に、前記第1突起と前記第2-1突起との第1距離は、前記第2-1突起と前記第2-2突起との第2距離は異なる。
【0011】
望ましくは、前記ボディーは、断面が十字状を有するように垂直に交差して配される第1パートと第2パートとを含み、前記突起は、前記第2パートに配され、前記第1パートは、前記プランジャーの回転方向に前記ストッパーが貫通する第1溝を含み、前記第2パートは、前記プランジャーの回転方向に前記ストッパーが貫通する第2溝を含みうる。
【0012】
望ましくは、前記第1溝は、複数の前記突起のうち、前記プランジャーのシーリング部材に最も近く配される前記突起と、前記シーリング部材の間に配置される。
望ましくは、前記第2溝は、複数の前記突起のうち、前記プランジャーのハンドルに最も近く配される前記突起と、前記ハンドルの間に配置される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態によれば、血栓を抜き取った状態で、プランジャーを固定させて施術が容易な有利な効果を提供する。
本発明の実施形態によれば、体積が大きな吸入装置が必要なしに、シリンジのみを使用して容易に血栓を吸い込むことができる有利な効果を提供する。
本発明の実施形態によれば、血栓を吸い込みながら、身体内部の圧力を測定することができる有利な効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による医療用シリンジを示す図面である。
図2】シリンダーを示す図面である。
図3】プランジャーを示す図面である。
図4】プランジャーを示す図面である。
図5】プランジャーを示す図面である。
図6】プランジャーを示す図面である。
図7図3のA-Aで第1突起を示す図面である。
図8図3のB-Bで第2-1突起を示す図面である。
図9図3のC-Cで第2-2突起を示す図面である。
図10】第1突起とストッパーとが第1方向にオーバーラップされる過程を示す図面である。
図11】ハンドルを示す図面である。
図12A】吸入前のシリンジの状態を示す図面である。
図12B】吸入前のシリンジの状態を示す図面である。
図13A】吸入後のシリンジの状態を示す図面である。
図13B】吸入後のシリンジの状態を示す図面である。
図14A】吸入後のシリンジの他の状態を示す図面である。
図14B】吸入後のシリンジの他の状態を示す図面である。
図15A】吸入後のシリンジのさらに他の状態を示す図面である。
図15B】吸入後のシリンジのさらに他の状態を示す図面である。
図16】マニホールドに連結された実施形態による医療用シリンジを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の目的、特定の長所及び新規な特徴は、添付図面と関連する以下の詳細な説明と、望ましい実施形態と、からさらに明らかになる。そして、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通常的に、または辞書的な意味として限定して解釈されてはならず、発明者は、自分の発明を最も最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義できるという原則を踏まえて、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されなければならない。そして、本発明を説明するに当って、本発明の要旨を不明にする恐れがある関連した公知技術についての詳細な説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態による医療用シリンジ10を示す図面である。
図1を参照すれば、医療用シリンジ10は、シリンダー100とプランジャー200と陰圧計1とを含みうる。
【0017】
シリンダー100は、内側に円筒状の収容空間を含みうる。シリンダー100は、前側にノズルを含み、後側は開放されてプランジャー200が挿入される。プランジャー200は、シリンダー100の内側に配される。プランジャー200は、シリンダー100の内側で第1方向(S)に進退移動する。また、プランジャー200は、シリンダー100の内部で第1方向(S)と平行である軸重心(C)を基準にして回転自在にシリンダー100に配される。シリンダー100には、陰圧計1が配置される。陰圧計1を通じて施術者は、施術過程中に血管内部の陰圧を測定することができる。
【0018】
図2は、シリンダー100を示す図面である。
図2を参照すれば、シリンダー100は、ストッパー110を含む。ストッパー110は、シリンダー100の内面から突設される。ストッパー110は、プランジャー200が挿入されるシリンダー100の入口周辺に配置される。
【0019】
図3ないし図6は、プランジャー200を示す図面である。
図3ないし図6を参照すれば、プランジャー200のボディー210の一側には、ハンドル220が配される。プランジャー200の他側には、シーリング部材230が配置される。施術者は、ハンドル220を取り、プランジャー200を回転させることができる。
【0020】
ボディー210は、第1パート211と第2パート212とを含みうる。第1パート211及び第2パート212は、平面状のプレートである。第1パート211と第2パート212は、断面が十字状を成すように互いに垂直に交差して配置される。
【0021】
プランジャー200は、複数の突起300を含む。突起300は、プランジャー200の回転によって選択的にストッパー110とオーバーラップされるように配される。第1方向(S)を基準に、突起300は、ストッパー110に拘束されることにより、施術中に圧力差によってプランジャー200がシリンダー100の内側に吸い込まれることを防止する。
【0022】
突起300は、第1パート211と第2パート212とのうち、第2パート212のみに配置される。複数の突起300は、プランジャー200の長手方向に沿って離隔されて配置される。
突起300は、第1突起310と第2突起320とを含みうる。複数の突起300のうち、第1突起310は、シーリング部材230に最も近く配される突起300である。第2突起320は、第1突起310に比較して相対的にハンドル220に近く配される突起300である。そして、第2突起320は、第2-1突起321と第2-2突起322とを含みうる。第2-1突起321と第2-2突起322とのうち、第2-1突起321は、相対的に、第1突起310に近く配される突起300であり、第2-2突起322は、相対的にハンドル220に近く配される突起300である。
【0023】
プランジャー200の長手方向を基準に、第1突起310と第2-1突起321との第1距離(L1)は、第2-1突起321と第2-2突起322との第2距離(L2)は異なる。
第1パート211は、プランジャー200の回転方向にストッパー110が貫通する第1溝400を含みうる。第1溝400は、第1突起310とシーリング部材230との間に配置される。
第2パート212は、プランジャー200の回転方向にストッパー110が貫通する第2溝500を含みうる。第2溝500は、第2-2突起322とハンドル220との間に配置される。
【0024】
図7は、図3のA-Aで第1突起310を示す図面である。
図7を参照すれば、第1突起310は、中心角(R)が鋭角である円弧状プレートである。第1突起310は、第2パート212に配され、ストッパー110が貫通する通路(u)が形成されるように第1パート211と離隔して配置される。第1突起310は、複数個である。
例えば、第1突起310は、第1パート211の一側に配される一側突起310Aと、第1パート211の他側に配される他側突起310Bと、を含みうる。第1パート211と第2パート212との交差中心(C)を基準に、一側突起310Aと他側突起310Bは、回転対称に配置される。また、一側突起310Aと他側突起310Bは、第1パート211を基準に対称に配置される。
【0025】
一側突起310Aは、第2パート212の上面及び下面からそれぞれ突設される。第2パート212の上面に配される一側突起310Aaと、第2パート212の下面に配される一側突起310Abは、第2パート212を基準に対称に配置される。
他側突起310Bは、第2パート212の上面及び下面からそれぞれ突設される。第2パート212の上面に配される他側突起310Baと、第2パート212の下面に配される他側突起310Bbは、第2パート212を基準に対称に配置される。
全体として第1突起310は、4個の突起からなりうる。
【0026】
図8は、図3のB-Bで第2-1突起321を示す図面である。
図8を参照すれば、第2-1突起321は、中心角(R)が鋭角である円弧状プレートである。第2-1突起321は、第1突起310とサイズ及び形状が同一である。第2-1突起321は、第2パート212に配され、ストッパー110が貫通する通路(u)が形成されるように第1パート211と離隔して配置される。第2-1突起321は、複数個である。
例えば、第2-1突起321は、第1パート211の一側に配される一側突起3211Aと、第1パート211の他側に配される他側突起321Bと、を含みうる。第1パート211と第2パート212との交差中心(C)を基準に、一側突起321Aと他側突起321Bは、回転対称に配置される。
一側突起321Aは、第2パート212の上面から突設される。他側突起321Bは、第2パート212の下面から突設される。第2-1突起321は、第1突起310に比べて、ストッパー110が通る通路(u)の面積が広い。これは、プランジャー200の進退移動を円滑にするためのものである。一方、第1突起310の通路(u)の面積は、第2突起320の通路(u)の面積よりも相対的に狭い。これは、第1突起310がストッパー110に引っ掛かる位置は、プランジャー200がシリンダー100から最大限抜けた状態であるために、プランジャー200の進退移動を円滑にするためのものよりもプランジャー200の第1突起310がストッパー110に容易に引っ掛かるようにするためである。
【0027】
図9は、図3のC-Cで第2-2突起322を示す図面である。
図9を参照すれば、第2-2突起322は、中心角(R)が鋭角である円弧状プレートである。第2-2突起322は、第1突起310とサイズ及び形状が同一である。第2-2突起322は、第2パート212に配され、ストッパー110が貫通する通路(u)が形成されるように第2パート212と離隔して配置される。第2-2突起322は、複数個である。
例えば、第2-2突起322は、第1パート211の一側に配される一側突起322Aと、第1パート211の他側に配される他側突起322Bと、を含みうる。第1パート211と第2パート212との交差中心(C)を基準に、一側突起322Aと他側突起322Bは、回転対称に配置される。
一側突起322Aは、第2パート212の上面から突設される。他側突起322Bは、第2パート212の下面から突設される。第2-2突起322は、第1突起310に比べて、ストッパー110が通る通路(u)の面積が広い。これは、プランジャー200の進退移動を円滑にするためのものである。
【0028】
図10は、第1突起310とストッパー110とが第1方向(S)にオーバーラップされる過程を示す図面である。
図10を参照すれば、施術者がハンドル220を操作してプランジャー200を回転させれば、第1突起310とストッパー110とが第1方向(S)に基準にオーバーラップされるように配置される。プランジャー200が進入する方向に第1突起310がストッパー110に引っ掛かるために、プランジャー200の移動が拘束される。図面には図示していないが、第2突起320も、施術者がハンドル220を操作してプランジャー200を回転させれば、第2突起320とストッパー110とが第1方向(S)に基準にオーバーラップされるように配置される。
【0029】
図11は、ハンドルを示す図面である。
図11を参照すれば、ハンドル220は、上下面222の幅(w)よりも側面221の高さ(h)が長く形成されうる。上下面222は、曲面を含みうる。このようなハンドル220の形状は、施術者の回転操作を容易にするという利点がある。
【0030】
図12A及び図12Bは、吸入前のシリンジの状態を示す図面である。
図12Aのように、吸入前には、プランジャー200がシリンダー100の内側に最大限押されている状態である。図12Bのように、プランジャー200の長手方向を基準にストッパー110と第2溝500とが整列される。図5図12A及び図12Bを参照すれば、ストッパー110が第2溝500に位置しながら、プランジャー200は、軸重心(C)を基準に180°範囲に第1空間(S1)と第2空間(S2)とに自在に回転が可能である。第2空間(S2)で、プランジャー200の動きは、第1突起310と第2突起320とによって区間別に拘束される。一方、第1空間(S1)で、プランジャー200の動きは、第1突起310によって拘束されるが第2突起320によって拘束されず、あらゆる区間(吸入量0ml~60ml)で自在である。
したがって、使用者(医師)の必要に応じて薬液を一回に投入するなど自在にプランジャー200を動かそうとすれば、第2空間(S2)を選択すれば良く、血栓を吸着しながらプランジャー200を固定させようとすれば、第1空間(S1)を選択することができる。
また、第2溝500を第1パート211にも形成してプランジャー200を360°範囲に回転するように構成しても良い。
第1突起310と第2突起320は、ストッパー110の前側に位置した状態である。
【0031】
図13A及び図13Bは、吸入後のシリンジの状態を示す図面である。
図13Aのように、施術者がプランジャー200を引っ張られれば、シリンダー100の内側に一定量(例えば、30ml)の血栓が吸い込まれる。図13A及び図13Bで示したように、施術者が、第2-2突起322がストッパー110の後側に配されるように、プランジャー200を引っ張った後、プランジャー200を回転させれば、第2-2突起322がストッパー110に引っ掛かりながらプランジャー200の進入方向にプランジャー200は拘束される。したがって、使用者がプランジャー200を手放すとしても圧力差によってプランジャー200がシリンダー100の内側に吸い込まれることを防止するという利点がある。この際、施術者は、陰圧計1を通じて患者の血管の陰圧を確認することができる。
【0032】
図14A及び図14Bは、吸入後のシリンジの他の状態を示す図面である。
図14Aのように、施術者がプランジャー200をさらに引っ張られれば、シリンダー100の内側に一定量(例えば、45ml)の血栓が吸い込まれる。図14A及び図14Bで示したように、施術者が第2-1突起321がストッパー110の後側に配されるようにプランジャー200をさらに引っ張った後、プランジャーを回転させれば、第2-1突起321がストッパー110に引っ掛かりながらプランジャー200の進入方向にプランジャー200は拘束される。したがって、使用者がプランジャー200を手放すとしても圧力差によってプランジャー200がシリンダー100の内側に吸い込まれることを防止するという利点がある。この際、施術者は、陰圧計1を通じて患者の血管の陰圧を確認することができる。
【0033】
図15A及び図15Bは、吸入後のシリンジのさらに他の状態を示す図面である。
図15Aのように、施術者がプランジャー200を最大限引っ張られれば、シリンダー100の内側に一定量(例えば、60ml)の血栓が吸い込まれる。図15A及び図15Bで示したように、施術者が第1突起310がストッパー110の後側に配されるようにプランジャー200を完全に引っ張った後、プランジャーを回転させれば、第1突起310がストッパー110に引っ掛かりながらプランジャー200の進入方向にプランジャー200は拘束される。したがって、使用者がプランジャー200を手放すとしても圧力差によってプランジャー200がシリンダー100の内側に吸い込まれることを防止するという利点がある。この際、施術者は、陰圧計1を通じて患者の血管の陰圧を確認することができる。
【0034】
この際、第1突起310は、プランジャー200の長手方向を基準にストッパー110と第1溝400とが整列される。プランジャー200の回転方向を基準に、ストッパー110が第1溝400を貫通可能に配されることにより、図6図15A及び図15Bを参照すれば、ストッパー110が第1溝400に位置しながら、プランジャー200は、軸重心(C)を基準に180°範囲に第3空間(S3)と第4空間(S4)とに自在に回転が可能である。第3空間(S3)で、プランジャー200の動きは、第1突起310と第2突起320とによって区間別に拘束される。一方、第4空間(S4)で、プランジャー200の動きは、第1突起310によって拘束されるが第2突起320によって拘束されず、あらゆる区間(吸入量0ml~60ml)で自在である。
したがって、ストッパー110は、第1パート211の一側突起310Aだけではなく、他側突起310Bとも容易に整列される。
使用者(医師)の必要に応じて薬液を一回に投入するなど自在にプランジャー200を動かそうとすれば、プランジャー200を回転させて第4空間(S4)を選択すれば良く、血栓を吸着しながらプランジャー200を固定させようとすれば、第3空間(S3)を選択することができる。
また、第1溝400を対応するプランジャー200の残りの部分にさらに形成してプランジャー200を360°範囲に回転するように構成しても良い。
【0035】
図16は、マニホールドに連結された実施形態による医療用シリンジ10を示す図面である。
図16を参照すれば、本発明の実施形態による医療用シリンジ10は、複数の弁31を有するマニホールド30に連結される。マニホールド30には、血管に挿入される器具が連結される。マニホールド30には、陽圧計を備え、血管内に薬物を注入するシリンジ20が連結されても良い。施術者は、マニホールド30の弁31の開閉を操作して血管内で陰圧や陽圧を形成して薬物を注入するか、血栓を吸い込む施術を行うことができる。
【0036】
以上、本発明の望ましい1つの実施形態による医療用シリンジ10に関して、添付図面を参照して具体的に説明した。
前述した本発明の一実施形態は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的ではないということを理解しなければならず、本発明の範囲は、前述した詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって表われる。そして、この特許請求の範囲の意味及び範囲はもとより、その等価概念から導出されるあらゆる変更または変形可能な形態が、本発明の範囲に含まれると解釈されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、医療用産業に適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16