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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】多重入力駆動のラウドスピーカー
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/06 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
H04R9/06 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021577942
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 CN2019112660
(87)【国際公開番号】W WO2021007983
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】201910635285.9
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521567826
【氏名又は名称】スーヂョウ ルーシェン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ,ジェンミン
【審査官】岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-191494(JP,A)
【文献】特開平10-327490(JP,A)
【文献】特表2002-505813(JP,A)
【文献】特開平09-074600(JP,A)
【文献】中国実用新案第201263213(CN,Y)
【文献】中国実用新案第207427463(CN,U)
【文献】中国実用新案第204733375(CN,U)
【文献】特開平10-327497(JP,A)
【文献】特開平07-336795(JP,A)
【文献】特開昭55-025286(JP,A)
【文献】特開昭55-025284(JP,A)
【文献】特開昭57-123800(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0262961(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、前記フレームに設けられたコーンとを含む多重入力駆動のラウドスピーカーであって、前記ラウドスピーカーは、主入力駆動手段と複数の副入力駆動手段をさらに含み、前記主入力駆動手段は、前記複数の副入力駆動手段の間に設けられ、
前記主入力駆動手段は、主ボイスコイルと、Tヨークと、前記Tヨークに外嵌されるフロントプレートと、第1の磁石鋼と、を含み、前記コーンの中部には主ボイスコイル取付孔が開口され、前記主ボイスコイルの上端部が前記主ボイスコイル取付孔に接続され、前記Tヨークと前記フロントプレートと第1磁石鋼との間には、主ボイスコイルが挿入される主磁気ギャップが形成され、前記フレームの中部には、前記主ボイスコイルの下部が前記主磁気ギャップに挿入される中心孔が開口され、
各前記副入力駆動手段は、副ボイスコイルと、副磁気ギャップが形成された副磁気回路ユニットとをそれぞれ有し、前記コーンには、複数の副ボイスコイル取付孔が開口され、前記主ボイスコイル取付孔は、前記複数の副ボイスコイル取付孔の間に位置し、前記副ボイスコイルの上端部は、対応する前記副ボイスコイル取付孔に接続され、前記フレームには、複数の副磁気回路取付孔が開口され、前記中心孔が前記複数の副磁気回路取付孔の間に位置し、前記副ボイスコイルのそれぞれの下部が前複数の副磁気回路取付孔の1つの副磁気回路取付孔を介して対応する副磁気ギャップに挿入され、
前記副入力駆動手段の数は3つ以上であり、3つ以上の前記副入力駆動手段は、前記主入力駆動手段周りに1つの円周に沿って等間隔に配列され、3つ以上の前記副ボイスコイル取付孔は、前記主ボイスコイル取付孔の中心線周りに円周に沿って等間隔に配列され、3つ以上の副磁気回路取付孔は、前記中心孔の中心線周りに円周に沿って等間隔に配列される、
ことを特徴とする多重入力駆動のラウドスピーカー。
【請求項2】
各前記副入力駆動手段は、それぞれ、弾性を有するダストリングを含み、前記ダストリングは、前記ボイスコイルに外嵌される、ことを特徴とする請求項1に記載のラウドスピーカー。
【請求項3】
前記ダストリングの上端は、前記コーンと接し、前記ダストリングの下端は、前記フレームと接する、ことを特徴とする請求項2に記載のラウドスピーカー。
【請求項4】
前記ダストリングは波紋ホースである、ことを特徴とする請求項2に記載のラウドスピーカー。
【請求項5】
前記複数の副入力駆動手段は、前記主入力駆動手段を取り囲む又は前記主入力駆動手段の両側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のラウドスピーカー。
【請求項6】
前記コーンは、平板状のコーン底部を有し、前記主ボイスコイル取付孔と前記副ボイスコイル取付孔は、前記コーン底部に開口される、ことを特徴とする請求項1に記載のラウドスピーカー。
【請求項7】
前記コーンは、全体として円形をなす平板状のコーン底部を有し、前記円周の円心は、前記コーン底部の円心とは重なっており、前記主ボイスコイル取付孔と前記コーン底部とが同心になるように設けられる、ことを特徴とする請求項に記載のラウドスピーカー。
【請求項8】
前記コーンは、前記コーン底部の外縁から上向きに傾斜して延びるテーパー縁部をさらに有し、前記テーパー縁部は、ヨークリングを介して前記フレームに固定的に接続される、ことを特徴とする請求項6または請求項に記載のラウドスピーカー。
【請求項9】
前記主入力駆動手段はダンパーをさらに含み、前記ダンパーには前記主ボイスコイルが上下に移動可能に穿設される、ことを特徴とする請求項1に記載のラウドスピーカー。
【請求項10】
前記フレームには、前記中心孔を取り囲むフランジを有し、前記ダンパーを前記フランジの内壁の間に係止するように前記ダンパーと前記フランジとはお互いに密着する、ことを特徴とする請求項に記載のラウドスピーカー。
【請求項11】
記フロントプレートは、前記フレームの下部に固定的に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のラウドスピーカー。
【請求項12】
前記副磁気回路ユニットは、チャンバを有するUヨークと、前記Uヨーク内に設置された第2磁石鋼および磁極芯とを含み、前記第2磁石鋼及び磁極芯と前記Uヨークの内壁との間には前記副磁気ギャップが形成され、前記副ボイスコイルは、前記副磁気ギャップに上下動可能に挿入され、前記Uヨークの上縁は、前記フレームの前記副磁気回路取付孔に固定的に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のラウドスピーカー。
【請求項13】
各前記主入力駆動手段と各前記副入力駆動手段はそれぞれダストカバーをさらに含み、前記主ボイスコイル取付孔と前記副ボイスコイル取付孔のそれぞれには、1つの前記ダストカバーがそれらを覆うように設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のラウドスピーカー。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本願は、2019年7月15日に出願された申請番号CN201910635285.9の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が引用文として本発明に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ラウドスピーカー分野に関し、多重入力駆動のラウドスピーカーに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のラウドスピーカーでは、通常テーパー型のコーン(紙、PP等の材料からなる)を採用しダンパー構造と組み合わせ、テーパー型コーンとダンパーの中間に中心孔を設け、ダンパーをテーパー型コーンの下方に配置し、シングル信号入力ボイスコイルがダンパーとテーパー型コーン中心孔とを貫通し、テーパー型コーン、ダンパーはボイスコイル外壁にそれぞれ接着されることによりラウドスピーカー振動システムを形成する。このようなラウドスピーカーがシングル信号入力にしか適用できず、音声原音の再生性には限界がある。
【0004】
そこで、現在の改良方式の1つとして、テーパー型のコーンを採用しダンパー構造と組み合わせ、テーパー型コーンとダンパーの中間に中心孔を設け、ダンパーをテーパー型コーンの下方に配置し、そのうち、ボイスコイルをシングル信号入力方式から多重信号入力ボイスコイルに変えてダンパーとテーパー型コーン中心孔に貫通させ、そのうち、ボイスコイルは複数組のコイルが内から外に積層されて形成されるものであり、テーパー型コーン、ダンパーをそれぞれボイスコイルの外壁に接着させることによりラウドスピーカー振動システムを形成する。このようなラウドスピーカーを多重信号入力に適用してもよい。しかしながら、このようなラウドスピーカーは、1つのボイスコイルに複数のコイルが巻かれているため、複数のコイルが巻かれて1つのボイスコイルとなると、ボイスコイルの重量が大きくなり、このボイスコイルによってコーンを駆動すると、ラウドスピーカーの感度が損なわれる。
【発明の概要】
【0005】
上記問題を鑑みると、本発明は、ラウドスピーカーの歪みを低減し、ラウドスピーカーの感度を向上させ、且つラウドスピーカーの明瞭さを高めたとともに、構造がコンパクトである多重入力駆動のラウドスピーカーを提供する。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明が採用する技術案は、以下の通りである。
【0007】
多重入力駆動のラウドスピーカーであって、フレームと、前記フレームに設けられたコーンとを含み、前記ラウドスピーカーは、主入力駆動手段と複数の副入力駆動手段をさらに含み、前記主入力駆動手段は、前記複数の副入力駆動手段の間に設けられ、
前記主入力駆動手段は、主ボイスコイルと、Tヨークと、前記Tヨークに外嵌されるフロントプレートと、第1の磁石鋼と、を含み、前記コーンの中部には主ボイスコイル取付孔が開口され、前記主ボイスコイルの上端部が前記主ボイスコイル取付孔に接続され、前記Tヨークと前記フロントプレートと第1磁石鋼との間には、主ボイスコイルが挿入される主磁気ギャップが形成され、前記フレームの中部には、前記主ボイスコイルの下部が前記主磁気ギャップに挿入される中心孔が開口され、
各前記副入力駆動手段は、副ボイスコイルと、副磁気ギャップが形成された副磁気回路ユニットとをそれぞれ有し、前記コーンには、複数の副ボイスコイル取付孔が対応的に開
口され、前記主ボイスコイル取付孔は、前記複数の副ボイスコイル取付孔の間に位置し、前記副ボイスコイルの上端部は、対応する前記副ボイスコイル取付孔に接続され、前記フレームには、複数の副磁気回路取付孔が対応的に開口され、前記中心孔が前記複数の副磁気回路取付孔の間に位置し、前記副ボイスコイルのそれぞれの下部が対応する前記副磁気回路取付孔を介して対応する副磁気ギャップに挿入される。
【0008】
本発明において、「多重入力」は、複数のオーディオ信号入力を有することを意味し、「多重入力駆動」は、複数のオーディオ信号が複数のボイスコイルに入力され、これら複数のボイスコイルが共同でラウドスピーカーを発音されるように駆動することを意味する。
【0009】
一実施例において、各前記副入力駆動手段は、それぞれ、弾性を有するダストリングを含み、前記ダストリングは、前記ボイスコイルに外嵌される。
【0010】
好ましくは、前記ダストリングの上端は、前記コーンと接し、前記ダストリングの下端は、前記フレームと接する。
【0011】
一実施例において、前記ダストリングは波紋ホースである。
【0012】
一実施例において、前記複数の副入力駆動手段は、前記主入力駆動手段を取り囲む又は前記主入力駆動手段の両側に位置する。
【0013】
一実施例において、前記コーンは、平板状のコーン底部を有し、前記主ボイスコイル取付孔と前記副ボイスコイル取付孔は、前記コーン底部に開口される。
【0014】
一実施例において、前記副入力駆動手段の数は3つ以上であり、3つ以上の前記副入力駆動手段は、前記主入力駆動手段周りに1つの円周に沿って等間隔に配列され、3つ以上の前記副ボイスコイル取付孔は、前記主ボイスコイル取付孔の中心線周りに円周に沿って等間隔に配列され、3つ以上の副磁気回路取付孔は、前記中心孔の中心線周りに円周に沿って等間隔に配列される。
【0015】
一実施例において、前記コーンは、全体として円形をなす平板状のコーン底部を有し、前記円周の円心は、前記コーン底部の円心とは重なっており、前記主ボイスコイル取付孔と前記コーン底部とが同心になるように設けられる。
【0016】
一実施例において、前記コーンは、前記コーン底部の外縁から上向きに傾斜して延びるテーパー縁部をさらに有し、前記テーパー縁部は、ヨークリングを介して前記フレームに固定的に接続される。
【0017】
一実施例において、前記主入力駆動手段はダンパーをさらに含み、前記ダンパーには前記主ボイスコイルが上下に移動可能に穿設される。
【0018】
一実施例において、前記フレームには、前記中心孔を取り囲むフランジを有し、前記ダンパーを前記フランジに係止するように前記ダンパーと前記フランジとはお互いに配合する。
【0019】
一実施例において、前記フロントプレートは、前記フレームの下部に固定的に接続される。
【0020】
一実施例において、前記副磁気回路ユニットは、チャンバを有するUヨークと、前記U
ヨーク内に設置された第2磁石鋼および磁極芯とを含み、前記第2磁石鋼及び磁極芯と前記Uヨークの内壁との間には前記副磁気ギャップが形成され、前記副ボイスコイルは、前記副磁気ギャップに上下動可能に挿入され、前記Uヨークの上縁は、前記フレームの前記副磁気回路取付孔に固定的に接続される。
【0021】
一実施例において、各前記主入力駆動手段と各前記副入力駆動手段はそれぞれダストカバーをさらに含み、前記主ボイスコイル取付、前記副ボイスコイルのそれぞれには、1つの前記ダストカバーがそれらを覆うように設けられる。
【0022】
本発明は上記方案を採用し、従来と比べると、以下のような利点がある。
【0023】
本発明の多重入力駆動のラウドスピーカーは、1つの主入力駆動手段と4つの副入力駆動手段との組合せにより、コーンの振動の発生を駆動し、ラウドスピーカーの駆動エネルギーを増大させた。主入力駆動手段の周囲には、複数の副入力駆動手段が取り囲んでおり、ラウドスピーカーの駆動エネルギーを増大させた前提で、全体の構造がコンパクトで、体積が大き過ぎることも回避する。上記ラウドスピーカーが、巧妙で合理的な構造を有し、複数のボイスコイルを用いてコ―ンを押動し、複数のオーディオ信号入力を有することで、製品の歪みを低減し、ラウドスピーカーの感度を向上させ、ラウドスピーカーの明瞭さも向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例の説明に用いる図面を簡単に説明するが、もちろん、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例のみであり、当業者にとっては、進歩性のある労力を出さなくてもこれらの図面に基づいて、他の図面を得ることもできる。
【0025】
図1】本発明の実施例に係るラウドスピーカーの構造概略図である。
図2図1のラウドスピーカーが一部取り付けられた後の模式図である。
図3図1のラウドスピーカーが取り付けられた後の模式図である。
図4図1におけるダストリングの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の利点及び特徴を当業者に理解されやすいように本発明の好ましい実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施形態に対する説明は、本発明を理解するのを助けるためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0027】
本実施例は、多重入力駆動のラウドスピーカーを提供し、ここで、多重入力は、複数のオーディオ信号入力を有することを意味し、複数のオーディオ信号が複数のボイスコイルに入力され、これら複数のボイスコイルが共同でラウドスピーカーを発音させるように駆動する。
【0028】
図1乃至図4に示すように、このラウドスピーカーは、フレーム1と、フレーム1に設けられたコーン2とを含み、前記ウドスピーカーは、1つの主入力駆動手段3と、複数の副入力駆動手段4と、をさらに含む。なお、主入力駆動手段3は、複数の副入力駆動手段4の間に設けられている。具体的には、複数の副入力駆動手段4は、主入力駆動手段3を取り囲むように設けられるまたは主入力駆動手段3の両側に設けられ、副入力駆動手段4の数は、3つ以上であることが好ましい。本実施例において、副入力駆動手段4の数は4つであり、4つの副入力駆動手段4は、主入力駆動手段3周りに1つの円周に沿って等間隔に配列されている。
【0029】
具体的には、図1に示すように、主入力駆動手段3はラウドスピーカーの中部に位置しており、主ボイスコイル32と、Tヨーク35と、Tヨーク35に外嵌されるフロントプレート33と、第1の磁石鋼34とを含む。コーン2の中部には主ボイスコイル取付孔211が開口され、主ボイスコイル32の上端部は主ボイスコイル取付孔211に接続され、すなわち主ボイスコイル32は、コーン2の中部に接続されてコーン2を駆動する。フロントプレート33は、フレーム1に固定的に接続され、具体的には、フロントプレート33には、複数の上方に突出するバックルが設けてあり、バックルは、フレーム1の底部の対応する孔に挿入され、リベットしめにより、フロントプレート33とフレーム1とを密着させる。Tヨーク35の中部は、上方に延びる柱状部を有し、フロントプレート33と第1の磁石鋼34は、上から下にかけて設けられるとともに中部に貫通孔が開口されることで、Tヨーク35上の柱状部に外嵌され、且つ、フロントプレート33及び第1の磁石鋼34の内壁と、Tヨーク35の柱状部の外面との間に隙間を有することで、主磁気ギャップが形成され、フロントプレート33、第1の磁石鋼34及びTヨーク35の三者の対応する上下面が密着するとともに固定的に接続している。フレーム1の中部には中心孔11が開口されており、主ボイスコイル32の下部は中心孔11を貫通して主磁気ギャップまで挿入され、主磁気ギャップで上下動可能となっている。第1の磁石鋼34は、具体的にはフェライト磁石鋼である。
【0030】
主入力駆動手段3は、さらに、ダンパー36を1つ含み、ダンパー36は、具体的に、コーン2とフレーム1との接続後に形成されたチャンバに位置する。ダンパー36の中部には貫通孔が開口され、主ボイスコイル32がダンパー36に上下方向に移動可能に穿設され、且つ、主ボイスコイル32の外面とダンパー36とが密着し、ダンパー36が揺動することが防止され、主ボイスコイル32が上下方向だけに移動可能となるように制限され、水平方向の変位は不可になる。さらに、フレーム1には、中心孔11を取り囲むフランジ13を有し、フランジ13は、中心孔11の一周を取り囲む閉塞された円環状であり、ダンパー36をフランジ13の内壁の間に係止するようにダンパー36とフランジ13とはお互いに配合している。
【0031】
各副入力駆動手段4は、副ボイスコイル42及び副磁気ギャップが形成された副磁気回路ユニットをそれぞれ含む。コーン2には、複数の副ボイスコイル取付孔212が対応的に開口されており、主ボイスコイル取付孔211は、複数の副ボイスコイル取付孔212の間に位置している。具体的には、4つの副ボイスコイル取付孔212は、主ボイスコイル取付孔211の中心線周りに円周に沿って等間隔に配列されている。各副ボイスコイル42の上端部は、対応する副ボイスコイル取付孔212に接続されており、4つの副ボイスコイル42の上端部は、コーン2に接続されてコーン2を駆動させる。フレーム1には、4つの副磁気回路取付孔12が対応的に開口されており、中心孔11は、4つの副磁気回路取付孔12の間に位置し、4つの副磁気回路取付孔12は、中心孔11の中心線周りに円周に沿って等間隔に配列されている。各副ボイスコイル42の下部は、対応する副磁気回路取付孔12を介して対応する副磁気ギャップに挿入されるとともに副磁気ギャップにおいて上下動可能となっている。副磁気回路ユニットは、具体的には、チャンバを有するUヨーク46と、Uヨーク46内に設けられた第2磁石鋼および磁極芯44とを含む。第2磁石鋼は、具体的には、副ネオジム磁石鋼43と、主ネオジム磁石鋼45とを含み、副ネオジム磁石鋼43、磁極芯44および主ネオジム磁石鋼45は、上上から下にかけて緊密に積層されており、三者の外面とUヨーク46の内面との間には隙間があり、この隙間は副磁気ギャップである。Uヨーク46は、その中部が凹んで周縁が上に延び、Uヨーク46の上縁が、フレーム1の副磁気回路取付孔12に固定的に接続されている。本実施例における副磁気回路ユニットは、上記副ネオジム磁石鋼43と主ネオジム磁石鋼45を採用し、小型且つ軽量というメリットがある。副入力駆動手段4は、ダンパー36なしの入力駆動手段であるため、体積が小さく、軽量である。
【0032】
本実施例において、1つの主入力駆動手段3と4つの副入力駆動手段4との組合せにより、コーン2の振動の発生を駆動し、ラウドスピーカーの駆動エネルギーを増大させた。ラウドスピーカーの駆動エネルギーを増大させた前提で、全体の構造がコンパクトで、体積が大き過ぎることも回避する。そして、主入力駆動手段3のフロントプレート33は、フレーム1に固的に装着され、副入力駆動手段4のUヨーク46は、フレーム1に固的に装着され、組合せ精度が向上する。
【0033】
図4に示すように、各副入力駆動手段4は、それぞれ弾性を有するダストリング47を備え、ダストリング47はボイスコイルに外嵌され、ダストリング47の上端とコーン2とが密閉となるように接しており、ダストリング47の下端とフレーム1とが密閉となるように接している。ダストリング47の材料は、布、プラスチックまたはゴムである。本実施例において、ダストリング47は波紋ホースである。ダストリング47には、副ボイスコイル42の導線を挿通させる一対の導線孔470が開口されている。ダストリング47によって、副磁気回路モジュールがほぼ密閉環境にあり、副磁気回路モジュールに塵埃等が侵入するのを有効に防止する。
【0034】
本実施例において、コーン2は、全体として円形をなす平板状のコーン底部21を有し、前記各円周の円心は、コーン底部21の円心とは重なっている又は同一の線にあり、主ボイスコイル取付孔211とコーン底部21とが同心になるように設けられる。コーン底部21は、1輪のヨークリング22を介して、フレーム1に固定的に接続されている。別の実施例において、コーン2は、さらに、コーン底部21の外縁から上向きに傾斜して延びるテーパー縁部を有し、テーパー縁部は、ヨークリング22を介して、フレーム1に固定されている。さらに、コーン2には、複数の補強リブが設けられており、補強リブは、コーン底部21からテーパー縁部まで延びて、平板のコーン底部21とテーパー縁部との間の強度を向上させる。前記の形状のコーン2によれば、従来のテーパー型ラウドスピーカーよりも指向性の広がり幅に優れるとともに、高さは従来の円錐型コーン2より低くなり、ラウドスピーカー全体の高さを低くするのに有利である。本実施例において、フレーム1は、プラスチックにより射出成形等のプロセスを経て製造されたものでり、成形しやいとともに一定の強度を持っている。コーン底部21とテーパー縁部は、パルプ、プラスチック(例えばPP(ポリプロピレン))、防弾繊維またはアルミニウム合金からできたものであり、製造されたコーン2は、軽量で、減衰弾性及び剛性に優れ、高温・低温耐性があり、防水防カビ性もあり、ヨークリング22は、スポンジ、ゴム、布素材を採用する。
【0035】
本実施例において、複数の副入力駆動手段4が円周に沿って配列され、ボイスコイル全体が円形である。また、別の実施例において、ボイスコイルと磁気回路駆動手段が、それぞれリニアまたは矩形で配列される場合、主入力駆動手段3が中間位置に位置し、複数の副入力駆動手段4が主入力駆動手段3を取り囲んで設けられるか、主入力駆動手段3の両側に設けられており、コーン形状が楕円形や矩形を採用する。
【0036】
主入力駆動手段3はダストカバー31を含み、主ボイスコイル取付孔211には、ダストカバー31がそれを覆うように設けられる。各前記副入力駆動手段4はそれぞれダストカバー41をさらに含み、前記副ボイスコイル取付孔212のそれぞれには、1つの前記ダストカバーがそれを覆うように設けられる。ダストカバー31とコーン2とは固定的に接続されている。
【0037】
フレーム1の縁部には、5ペアのオーディオ信号入力端子5が設けられ、5ペアのオーディオ信号入力端子5が、フレーム1の円周に沿って等間隔に配列され、且つ、フレーム1には、外部ケーブルを接続するためのスロットが設けられる。主ボイスコイル32の1ペアの導線と、各副ボイスコイル42の1ペアの導線は、ぞれぞれ対応する1ペアのオー
ディオ信号入力端子5に電気的に接続される。なお、オーディオ信号入力端子5ペアのそれぞれは正極端子と負極端子とを有し、導線ペアのうち1本の導線が正極端子に電気的に接続され、もう1本の導線が負極端子に電気的に接続されることにより、このオーディオ信号入力端子5ペアによって入力されたオーディオ信号(アナログ信号またはデジタル信号)を受信する。これにより、5ペアのオーディオ信号入力端子5により1つの主ボイスコイル32と1つの副ボイスコイル42が同時に駆動される。フレーム1にオーディオ信号入力を実現する複数ペアの統合端子を設けることにより、多重入力駆動ラウドスピーカーの製造を簡便にするとともに、オーディオ信号入力の接続も便利にする。
【0038】
本実施例によるラウンドスピーカーは、主入力駆動手段3の周囲には、複数の副入力駆動手段4が取り囲むで、巧妙で合理的な構造を有し、1つのダンパー36付きの主入力駆動手段3と、複数のダンパー36無しの副入力駆動手段4との組み合わせによる構成方式を採用することで、磁気回路構造間の寸法を小さくすることができる。1つの主入力駆動手段3と複数の副入力駆動手段4とによって多重オーディオ信号入力駆動が実現される。中間が平板状のコーン2の構造を採用することで、指向性の幅が従来のラウドスピーカーに比べて優れている。1つの主入力駆動手段3及び複数の副入力駆動手段4によりそれぞれオーディオ信号入力を受信することで、サウンド再生性と歪みがラウドスピーカーよりも優れている。平面底部コーン2の形状を採用することで、コーン2の高さが従来のコーン2の高さよりも低くなり、コーン2の高さが低下し、引いては製品高さが低下する。1つの主入力駆動手段3と複数の副入力駆動手段4とからなる駆動構造を採用することで、ラウンドスピーカー感度を増加させる。
【0039】
上記実施例は、本発明の技術的思想及び特徴を説明するための好ましい実施例であり、その目的は、この技術を熟知している者に本発明の内容を理解させ、それに応じて本発明を実施させることであり、実施例によって本発明の保護範囲を限定することができない。
【符号の説明】
【0040】
1 フレーム
11 中心孔
12 副磁気回路取付孔
13 フランジ
2 コーン
21 コーン底部
211 主ボイスコイル取付孔
212 副ボイスコイル取付孔
22 ヨークリング
3 主入力駆動手段
31 ダストカバー
32 主ボイスコイル
320 導線
33 フロントシート
34 第1磁石鋼
35 Tヨーク
36 ダンパー
4 副入力駆動手段
41 ダストカバー
42 副ボイスコイル
420 導線
43 副ネオジム磁石鋼
44 磁極芯
45 主ネオジム磁石鋼
46 Uヨーク
47 ダストリング
470 導線孔
5 オーディオ信号入力端子
図1
図2
図3
図4