(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】健康ベルト
(51)【国際特許分類】
A41D 13/008 20060101AFI20230411BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20230411BHJP
A41D 13/06 20060101ALI20230411BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20230411BHJP
A41D 20/00 20060101ALI20230411BHJP
A61F 13/00 20060101ALI20230411BHJP
A61F 13/06 20060101ALI20230411BHJP
A61F 13/10 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
A41D13/008
A41D13/08 108
A41D13/06
A41D13/05 162
A41D20/00
A61F13/00 355S
A61F13/06 A
A61F13/10 A
(21)【出願番号】P 2022021204
(22)【出願日】2022-02-15
【審査請求日】2022-02-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年8月7日株式会社蘭華が、株式会社ハーベストジャパンに、岩阪直哉が発明した健康ベルトを商品名「脚ツランベルト」として卸して、アイホーレ株式会社がそれを販売した。
(73)【特許権者】
【識別番号】506065172
【氏名又は名称】株式会社蘭華
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】岩阪 直哉
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-027531(JP,U)
【文献】特開2016-129763(JP,A)
【文献】特開2011-214204(JP,A)
【文献】特開2003-225961(JP,A)
【文献】特開2004-149945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/008
A41D 13/08
A41D 13/06
A41D 13/05
A41D 20/00
A61F 13/00
A61F 13/06
A61F 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋帯状のメッシュベルト
と、
前記メッシュベルト内に挿入され、体内静電気を除去可能な帯状の第1除電部材と、
前記メッシュベルトの裏面側に縫合され、人体の肌に直接接触可能で、体内静電気を除去可能な帯状の第2除電部材と
、
前記メッシュベルトの一端部の表面に縫合される雌型面ファスナ又は雄型面ファスナのうちいずれか一方のファスナと、
前記メッシュベルトの他端部の裏面に縫合され、前記一方のファスナに掛合可能なる雌型面ファスナ又は雄型面ファスナのうちいずれか他方のファスナとを有して、
前記第1除電部材と前記第2除電部材とを前記メッシュベルトの裏面を挾んで静電誘導縫製糸により互いに縫合したことを特徴とする健康ベルト。
【請求項2】
帯状のベルト本体と、
前記ベルト本体の裏面
全体に重なり合うように縫合されるメッシュベルトと、
前記ベルト本体と前記メッシュベルトとの間に介在され、体内静電気を除去可能な帯状の第1除電部材と、
前記メッシュベルトの裏面に縫合され、人体の肌に直接接触可能で、体内静電気を除去可能な帯状の第2除電部材と
、
前記ベルト本体の一端部の表面に縫合される雌型面ファスナ又は雄型面ファスナのうちいずれか一方のファスナと、
前記メッシュベルトの他端部の裏面に縫合され、前記一方のファスナに掛合可能なる雌型面ファスナ又は雄型面ファスナのうちいずれか他方のファスナとを
有して、
前記第1除電部材と前記第2除電部材とを前記メッシュベルトを挾んで静電誘導縫製糸により互いに縫合したことを特徴とする健康ベルト。
【請求項3】
前記第1除電部材の幅及び長さを前記メッシュベルトと同程度とし、
前記第2除電部材の幅を前記第1除電部材よりも狭幅としたことを特徴とする請求項1または2記載の健康ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康増進の目的で人体の足首、手首等に装着使用される健康増進用の健康ベルトであって、より詳しくは、人体の体内静電気を除去することで、血行不良による冷え性の改善及びこむら返り等の発症抑制に期待できる健康ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
人体には、血管内を血液が流れ、リンパ管をリンパ液が流れ、食べ物は消化管を通るという具合に、あらゆるところで摩擦が生じて、体内静電気が発生する。さらに、これに加えて、近代社会での人の食生活の変化や乱れ、常態的に受けるストレスや睡眠不足等の影響で、体内が弱アルカリ性から酸性に傾きやすい傾向がある。そして体内が酸性に傾くと体内の血液などにプラス電子が多くなり、逆に皮膚表面はマイナス電子が多くなる。すると、ますます体内にプラスの電気を引き寄せ易い状態、つまり所謂「静電気体質」と呼ばれるような静電気が帯電し易い状態になり、逆にマイナスイオンは体内に取り込まれにくい状態になってしまう。
【0003】
元来、体内が弱アルカリ性に保たれているときのサラサラ血では、赤血球表面にマイナス電気が多いため、赤血球のお互いが反発しあって良好な分散状態が保たれるが、体内静電気の蓄積が多くなって体内が酸性化し、赤血球にプラスイオンが増えると、血球同士が互いに吸着しあってドロドロ血の状態を惹起する。
【0004】
ドロドロ血の状態は、赤血球の柔軟度が阻害されて、毛細血管を塞いでしまい、身体の隅々にまで十分な量の赤血球が届かなくなって、手足の冷えやむくみ、さらにはこむら返り(足のつり)等の血行障害に起因するいろいろな病気を引き起こす虞があると言われている(非特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】医学博士・歯学博士・薬学博士 堀泰典オフィシャルサイト、[令和4年1月11日検索]、インターネット〈URL:https://www.dr-hori.com/media/mag/20100615_sn.php>
【文献】医学博士・歯学博士・薬学博士 堀泰典オフィシャルサイト、[令和4年1月11日検索]、<URL:https://www.dr-hori.com/media/mag/20100715_sn.php>
【文献】日本鍼灸良導絡医学会 成川洋寿 先生 「静電気除去による良導絡測定法(2)」、[令和4年1月11日検索]、<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/ryodoraku1971/25/2/25_2_11/_pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人体に蓄積された体内静電気をコロナ放電で除去することで、健全なサラサラ血の状態に改善して、血流悪化による種々の病態症状の改善効果が期待できるといわれている。
【0007】
また、体内静電気は、導電性の静電誘導糸により編まれた織物やシートを肌に接触させることで、コロナ放電の作用により除去されることも確認されている(非特許文献3参照)。
【0008】
そこで、本発明者は、上記のような研究成果による知見に基づき、更なる研究を繰り返したところ、体内静電気を除去して、血行促進を図ることで、足の筋肉の緊張を解いて、冷え性、こむら返りの発症軽減に有効なものとなし得ることを見出すに至り、本発明を完成し得たものである。
【0009】
本発明は、上記事柄に鑑み、足首や手首への装着感が良く、かつ体内静電気を効果的に除去して、手足の冷え性、こむら返り等発症の軽減を期待できる安全ベルトを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る第1の健康ベルトは、ベルト本体又はメッシュベルトからなるベルトと、前記ベルトの裏面に縫合され、人体の肌に直接接触可能で、体内静電気を除去可能な帯状の除電部材と、前記ベルトの一端部の表面に縫合される雌型面ファスナ又は雄型面ファスナのうちいずれか一方のファスナと、前記ベルトの一端部の裏面に縫合され、前記一方のファスナに掛合可能な雌型面ファスナ又は雄型面ファスナのうちいずれか他方のファスナとを有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る第2の健康ベルトは、ベルト本体と、前記ベルト本体の裏面に縫合されるメッシュベルトと、前記ベルト本体と前記メッシュベルトとの間に介在され、体内静電気を除去可能な帯状の第1除電部材と、前記メッシュベルトの裏面に縫合され、人体の肌に直接接触可能で、体内静電気を除去可能な帯状の第2除電部材とを有して、前記第1除電部材と前記第2除電部材とを前記メッシュベルトを挾んで静電誘導縫製糸により互いに縫合したことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る第3の健康ベルトは、袋帯状のメッシュベルト、前記メッシュベルト内に挿入され、体内静電気を除去可能な帯状の第1除電部材と、前記メッシュベルトの裏面側に縫合され、人体の肌に直接接触可能で、体内静電気を除去可能な帯状の第2除電部材とを有して、前記第1除電部材と前記第2除電部材とを前記メッシュベルトの裏面を挾んで静電誘導縫製糸により互いに縫合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る第1の健康ベルトは、体内静電気を除去可能で、かつ人体の肌に直接接触可能な帯状の除電部材をベルト本体又はメッシュベルトからなるベルトの裏面に縫合したことによって、健康ベルトを手首や足首に巻き付けて所定時間装着し続けることで、体内静電気を除去して血行促進を図ることができ、特に、健康ベルトを足首に装着した状態で就寝した場合には、足の筋肉の伸縮を良くして、就寝中での足の冷え、こむら返り等の発症を抑制することが期待できる。
【0014】
本発明に係る第2、3の健康ベルトは、除電シートと除電テープとをメッシュベルトを挾んで静電誘導縫製糸により互いに縫合したことによって、装着感が良く、かつ健康ベルトを手首や足首に巻き付けて所定時間装着し続けることで、体内静電気を除去して血行促進を図ることができ、特に、健康ベルトを足首に装着した状態で就寝した場合には、足の筋肉の伸縮を良くして、就寝中での足の冷え、こむら返り等の発症を抑制することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る健康ベルトを人体の足首に装着した状態で示した斜視図である。
【
図2】第1実施形態の健康ベルトの裏面側から見た斜視図である。
【
図3】第1実施形態の健康ベルトの構成部材を分解状態で示した斜視図である。
【
図4】第1実施形態の健康ベルトの要部の拡大表面図である。
【
図5】第1実施形態の健康ベルトの要部の拡大裏面図である。
【
図6】
図5におけるVI-VI線拡大断面図である。
【
図7】(a)は第1実施形態の健康ベルトの表面図、(b)は同じく裏面図、(c)は同じく左側面図、(d)は同じく右側面図、(e)は(a)において上から見た側面図、(f)は(a)において下から見た側面図である。
【
図8】第2実施形態の裏側から見た健康ベルトの斜視図である。
【
図9】第2実施形態の健康ベルトの構成部材を分解状態で示した斜視図である。
【
図10】第2実施形態の健康ベルトの要部の拡大表面図である。
【
図11】第2実施形態の健康ベルトの要部の拡大裏面図である。
【
図13】(a)は第2実施形態の健康ベルトの表面図、(b)は同じく裏面図、(c)は同じく左側面図、(d)は同じく右側面図、(e)は(a)において上から見た側面図、(f)は(a)において下から見た側面図である。
【
図14】(a)は健康ベルト装着前のサーモグラフィを用いた体表面の皮膚温度分布画像、(b)は健康ベルトを装着してから5分後の皮膚温度分布画像、(c)は健康ベルトを装着してから10分後の皮膚温度分布画像、(d)は健康ベルトを装着してから15分後の皮膚温度分布画像、(e)は健康ベルトの未装着と健康ベルトを装着してから10分後の体表面温度の違いを示す皮膚温度分布画像である。
【
図15】(a)は健康ベルトの未装着時における毛細血管のマイクロスコープ画像、(b)は健康ベルトを装着してから5分後のマイクロスコープ画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る第1実施形態を
図1~7、第2実施形態を
図8~13に基づいてそれぞれ説明する。なお、本発明は、以下に説明する第1、2実施形態により限定されるものではなく、以下の第1、2実施形態から当業者が自明の範囲内で適宜変更したものも含む。
【0017】
本発明に係る第1、2実施形態の健康ベルト1、100は、
図1に示すように人体の足首A、または手首(図示略)に所定時間巻き付けることによって、体内に蓄積された体内静電気を速やかに除去して血行促進を図って、足や手の冷え性を抑制して、ひいてはこむら返り等の発症の抑止を期待できるものである。
【0018】
(第1実施形態)
第1実施形態の健康ベルト1は、
図2、3に示すように、帯状のベルト本体2と、ベルト本体2の裏面側(体表面側)に縫合されるメッシュベルト3と、ベルト本体2の裏面とメッシュベルト3の表面との間に介在され、体内静電気を除去可能な除電シート(第1除電部材)4と、メッシュベルト3の裏面に縫合され、体内静電気を除去可能な除電テープ(第2除電部材)5とを有して、それらを重ね合わせて4重構造(ベルト本体2、除電シート4、メッシュベルト3、除電テープ5とを重合した構造)として、周縁部及び中間部の適所を縫合することによって一体物に構成されている。各図中の符号10は、各構成部材の周縁部を縫合するための縫合糸10を示す。
【0019】
健康ベルト1の長さと幅は、巻き付け個所である足首A、手首に応じて設定される。第1実施形態に係る健康バンド1は、主に、足首Aに巻き付けて使用されるものであって、好ましくは、長さが約300mm、幅が約40mm、厚みが約3mmの帯状に形成される。
【0020】
ベルト本体2は、健康ベルト1を足首Aや手首に巻き付けた際、着用者の肌とフィットしやすく、かつ肌触りが良く伸縮性に優れた生地の綿100%からなるトリコット生地により形成される。
【0021】
メッシュベルト3は、ベルト本体2の裏面全体に重なり合うように周縁がバイアステープ6と共にベルト本体2に縫合され、着用者の肌に接触する部分であることから、装着感を最適なものとして、快適性、通気性、吸汗速乾性を維持し、除電シート4を摩擦や洗濯から保護し、かつ除電シート4の除電効果、蓄熱効果を十分に発揮できるように、好ましくは、ポリエステル100%のメッシュ生地が採用される。
【0022】
除電シート4は、幅及び長さがベルト本体2と同程度であって、ベルト本体2の裏面とメッシュベルト3の表面との間に介在される。好ましくは、除電シート4は、体内静電気のコロナ放電による中和と、太陽光、近赤外線、電磁波を吸収して熱変換エネルギーに変換する効果に対して有効的で、かつアルカリ臭(アンモニア、トリメチルアミン)、酸性臭(硫化水素、メチルメルカプタン)の中和機能を発揮可能なレーヨン80%、導電性繊維加工アクリル20%の静電誘導性繊維からなる不織布により形成される。
【0023】
除電テープ5は、除電シート4よりも狭幅の帯状であって、メッシュベルト3の幅方向の中央部に長さ方向に沿って配置されて、メッシュベルト3を挟み込んだ状態で除電シート4と重合するように、メッシュベルト3の裏面側に縫合される。好ましくは、除電テープ5は、除電シート4と同様に、体内静電気のコロナ放電による中和と、太陽光、近赤外線、電磁波を吸収して熱変換エネルギーに変換する効果を有するようにポリエステル85%、導電性繊維加工アクリル15%の静電誘導性繊維により平打ちされる。
【0024】
さらに、除電シート4及び除電テープ5の除電効果を良好に発揮しうるものとするため、除電シート4と除電テープ5は、互いに電気的に導通接続できるように、メッシュベルト3を挾んだ状態で静電誘導縫製糸7を用いてカバーステッチにより互いに縫合される。
【0025】
ベルト本体2の長手方向の一端部の表面には、長手方向に所定の長さを有する雌型面ファスナ8が縫着される。メッシュベルト3の他端部の裏面には、雄型面ファスナ9が縫着される。これにより、健康ベルト1は、各面ファスナ8、9によって有効長さを自由に調節して人体の手首や足首Aにしっかりと装着できる。なお、各面ファスナ8、9に代えて、公知のフックやボタンを取り付けてもよい。
【0026】
健康バンド1を足首Aに巻き付けて固定するには、メッシュベルト3の裏面に縫着された雌型面ファスナ9をベルト本体2の表面に縫着された雄型面ファスナ8に掛合させる。
【0027】
(第2実施形態)
第2実施形態の説明については、一実施形態と異なる部分について重点的に説明して、同一部分または実質的に同一部材については、第1実施形態で用いた符号の末尾に「00」を付加した符号を用いて、説明は適宜省略する。
【0028】
第2実施形態の健康ベルト100は、袋帯状のメッシュベルト300と、メッシュベルト300内に介在され、体内静電気を除去可能な導電性の除電シート(第1除電部材)400と、メッシュベルト300の裏面に縫合され、体内静電気を除去可能な導電性の除電テープ(第2除電部材)500とを有して、それらを重ね合わせて4重構造(メッシュベルト300の表面、除電シート400、メッシュベルト300の裏面、除電テープ500とを重合した構造)として、適所を縫合することによって一体物に構成されている。
【0029】
第2実施形態の健康ベルト100は、メッシュベルト300を袋帯状とすることで、第1実施形態のベルト本体1及びバイアステープ6を省略してコスト低減を可能にしている。
【0030】
メッシュベルト300は、袋帯状に形成されて、除電シート400を挿入した状態で長手方向の両端部が縫着されて閉塞される。
【0031】
除電シート400は、メッシュベルト300の表面側と裏面側との間に挟み込まれるようにしてメッシュベルト300内に挿入される。
【0032】
除電テープ500は、除電シート400よりも狭幅の帯状であって、メッシュベルト300の裏面側に幅方向の中央部に長さ方向に沿って配置されて、メッシュベルト300内に除電シート4を介在させた状態でメッシュベルト300の裏面側に縫合される。
【0033】
さらに、除電シート400及び除電テープ500の除電効果を良好に発揮しうるものとするため、除電シート400と除電テープ500は、互いに電気的に接続できるように、メッシュベルト3と共に静電誘導縫製糸700を用いてカバーステッチにより互いに縫合される。
【0034】
メッシュベルト300の長手方向の一端部の裏面には、長手方向に所定の長さを有する雌型面ファスナ800が縫着され、同じく他端部の裏面には、雄型面ファスナ900が縫着される。これにより、健康ベルト100は、両面ファスナ800、900によって有効長さを自由に調節して人体の手首や足首Aにしっかりと装着できる。
【0035】
(健康ベルト1、100の作用効果)
健康ベルト1、100を足首Aに巻き付けた状態においては、健康ベルト1、100は柔軟であるので身体の動きに応じて伸縮でき、足首Aに巻き付けたままで就眠または食事、体操やその他の作業を行うことが可能である。
【0036】
健康ベルト1、100を足首Aに所定時間装着し続けると、着用者の足首Aの肌に除電テープ5、500が直接接触することでコロナ放電の作用により体内静電気が除去される。また、除電テープ5、500と拡幅の除電シート4、400とは互いに静電誘導縫製糸7、700により電気的に接続されているため、除電シート4、400及び除電テープ5、500により体内静電気を効果的に除去できる。
【0037】
上述により、健康ベルト1、100を足首Aに所定時間装着し続けて、体内静電気が除去されると、血液の鬱血を解いて足首A周りの血流が良くなることで、足の体表面温度が上昇して冷え性の改善が図られる。このことを確認するため、サーモグラフィを用いた体表面の皮膚温度分布を測定した結果、
図14(a)~(e)に示す測定結果のように、時間が経過するにつれて足の体表面温度が上昇することを確認できた。なお、皮膚温度分布画像は、白色の部分が約33℃以上を示す領域であって、当該白色の部分の面積が広がっていることから、時間が経過するにつれて足の体表面温度が上昇することを理解できる。
【0038】
図14の(a)は、健康ベルト1、100の装着前の足の皮膚温度分布画像、(b)は、健康ベルト1、100を装着してから5分後の足の皮膚温度分布画像、(c)は、健康ベルト1、100を装着してから10分後の足の皮膚温度分布画像、(d)は、健康ベルト1、100を装着してから15分後の足の皮膚温度分布画像、(e)は、健康ベルト1、100の未装着と装着してから10分後の足の体表面温度の違いを表した皮膚温度分布画像をそれぞれ示している。
【0039】
さらに、マイクロスコープを用いて足先の毛細血管を観察した結果、
図15(a)、(b)に示すように、健康ベルト1、100を足首Aに所定時間装着し続けると、毛細血管が太くなって、赤血球の流れが速くなっていることが確認できた。
【0040】
なお、
図15(a)は、健康ベルト1、100の未装着時における毛細血管のマイクロスコープ画像であり、
図15(b)は、健康ベルト1、100を装着してから5分後の毛細血管のマイクロスコープ画像である。また、マイクロスコープ画像中、縦にくねくねと伸びているもの(画像中では黒色のもの)が血管を示している。
【0041】
さらに、本発明者は、体内静電気の増大に伴って血行不良により足が冷えると、足の筋肉が緊張して縮んだままになってこむら返りが発症しやすくなると考えた。
【0042】
その理由は、以下の通りである。
筋肉の伸縮には、カルシウムイオンが重要な働きをしている。筋肉の筋小胞体から、カルシウムイオンが放出されると、筋肉が縮みカルシウムイオンが戻ると筋肉は伸びる。そして、体内静電気が多くなると、このカルシウムイオンが筋小胞体に戻れなくなって、筋肉が縮んだままになって、その結果、体内静電気が増える→筋肉が縮んだままになる→血管が縮む→体内静電気が増えるという悪循環が発生する。
【0043】
体内静電気が溜まって前記悪循環が発生すると、脊髄中枢から筋肉(筋紡錘、腱紡錘)への神経伝達が、異常(暴走)を起こして、筋肉の伸縮をつかさどるカルシウムイオンが筋肉の筋小胞体から放出されたままになり、これをくり返していると筋肉はどんどん硬くなって筋肉が縮んだ状態がつづき、これが、こむら返りの発症の要因のひとつと考えた。
【0044】
そして、健康ベルト1、100を足首Aに装着すると、健康ベルト1、100により体内静電気が除電されることから、神経伝達の異常(暴走)がおさまり、カルシウムイオンが筋小胞体に戻り、筋肉の伸縮が良くなり、こむら返りの発症予防になると考えられる。また、足首には三陰交と言うツボがあり、そこを健康ベルト1、100で温めることにより、血行も良くなる。特に、健康ベルト1、100を足首Aに装着した状態で就寝した場合には、就寝中での足の冷え、起床時でのこむら返りなどの発症を効果的に抑制することができる。
【0045】
本発明者は、上記効果を確認するため、睡眠時にこむら返りを発症した経験がある人、冷え性の人数名に就寝時に健康ベルト1、100を足首Aに装着してもらい、これを数日間試した。その評価は以下の通りであった。
1.こむら返りを発症した経験があると言う心筋梗塞経験者、心臓弁膜症の方、脊柱管狭窄症の方、ヘルニアの方、妊婦の方の評価
全員こむら返りが軽減されたとの回答を得た。
2.足が冷えて寝る時も靴下を履いていると言う冷え症の方の評価
全員効果ありで、靴下が不要になったとの回答を得た。
【0046】
以上のように、本発明に係る健康ベルト1、100を手首や足首Aに巻き付けて所定時間装着し続けると、コロナ放電の作用により体内静電気が除去されて血流が良くなる。これにより、手、足の体表面温度が上昇して冷え性の改善が図られる。特に、健康ベルト1、100を足首Aに装着した状態で就寝した場合には、足の筋肉の伸縮が良くなり、就寝中での足の冷え、こむら返りなどの発症を効果的に抑制することが期待できる。
【0047】
さらに、除電シート4、400と除電テープ5、500とをメッシュベルト3、300を挾んで静電誘導縫製糸7、700により互いに縫合したことによって、装着感が良く、かつ効果的に体内静電気を除去可能となる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、前記実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(a)除電テープ5、500をメッシュベルト3、300の幅方向に複数本並設して縫合する。
(b)除電テープ5、500の幅を除電シート4、400の幅と同程度とする。
(c)ベルト本体2及び/又は除電シート4、400を省略して、除電テープ5、500をベルト本体2又はメッシュベルト3、300の裏面に縫合する。
【符号の説明】
【0049】
1、100 健康ベルト 2 ベルト本体
3、300 メッシュベルト 4、400 除電シート(第1除電部材)
5、500 除電テープ(第2除電部材) 6 バイアステープ
7、700 静電誘導縫製糸 8、800 雌型面ファスナ
9、900 雄型面ファスナ 10 縫合糸
A 足首
【要約】
【課題】健康ベルトにおいて、足首や手首への装着感が良く、かつ体内静電気を効果的に除去して、手足の冷え性、こむら返り等発症の軽減を期待できる安全ベルトを提供する。
【解決手段】ベルト本体2と、ベルト本体2の裏面に縫合されるメッシュベルト3と、ベルト本体2とメッシュベルト3との間に介在される帯状の除電シート4と、メッシュベルトの裏面に縫合され、人体の肌に直接接触可能な帯状の除電テープ5とを有する。除電シート4と除電テープ5とをメッシュベルト3を挾んで静電誘導縫製糸7により互いに縫合する。
【選択図】
図2