(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】シールテープ巻付装置
(51)【国際特許分類】
B65H 81/06 20060101AFI20230411BHJP
B65H 18/16 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B65H81/06 B
B65H18/16
(21)【出願番号】P 2018216007
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-10-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日 平成30年9月1日 刊行物 カタログ(フジテプラーシールテープ自動巻付機) [刊行物等] ウェブサイトの掲載日 平成30年9月1日 ウェブサイトのアドレス https://www.fujikin.co.jp/support/pdf/162-01_fuji_tape.pdf
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [刊行物等] 展示日 平成30年4月17日 展示会名 航空・宇宙機器開発展 開催場所 ポートメッセなごや(愛知県名古屋市港区金城ふ頭2丁目2) [刊行物等] 展示日 平成30年6月20日 展示会名 機械要素技術展(M-Tech) 開催場所 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-21-1) [刊行物等] 展示日 平成30年9月5日 展示会名 平成30年VACUUM2018真空展 開催場所 パシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい1丁目1-1) [刊行物等] 展示日 平成30年10月4日 展示会名 ISメカトロ展2018 開催場所 岩瀬産業物流センター内 特設展示場(群馬県伊勢崎市日乃出町711-3) [刊行物等] 展示日 平成30年10月25日 展示会名 オータムフェア2018 開催場所 札幌プリンスホテル国際館パミール(北海道札幌市中央区南3条西12丁目) [刊行物等] 展示日 平成30年10月18日 展示会名 樫山工業株式会社プライベート展示会 開催場所 樫山工業株式会社本社工場内(長野県佐久市根々井1-1) [刊行物等] 展示日 平成30年10月19日 展示会名 ヤマシタテックフェア2018 開催場所 オロシティホール(鹿児島県鹿児島市卸本町6番地12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [刊行物等] 販売日 平成29年12月15日 販売した場所 株式会社ヰゲタ(大阪府大阪市生野区巽西3丁目19番17号) [刊行物等] 販売日 平成29年12月25日 販売した場所 株式会社クボタ枚方製造所(大阪府枚方市中宮大池1-1-1) [刊行物等] 販売日 平成30年2月26日 販売した場所 株式会社石井表記 (広島県福山市神辺町旭丘5番地) [刊行物等] 販売日 平成30年5月10日 販売した場所 株式会社ブリヂストン横浜工場(神奈川県横浜市戸塚区柏尾町1番地) [刊行物等] 販売日 平成30年6月5日 販売した場所 トクデン株式会社マキノ工場(滋賀県高島市マキノ町寺久保87) [刊行物等] 販売日 平成30年6月12日 販売した場所 福島キヤノン株式会社 (福島県福島市佐倉下字二本榎2番地) [刊行物等] 販売日 平成30年6月18日 販売した場所 高圧ガス工業株式会社(大阪府大阪市北区中崎西2丁目4番12号) [刊行物等] 販売日 平成30年6月18日 販売した場所 株式会社くまさんメディクス(熊本県熊本市北区下硯川町2205) [刊行物等] 貸出日 平成30年7月6日 貸出した場所 株式会社日伝(拡販用サンプルの貸出)(大阪府大阪市中央区上本町西1-2-16)
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(72)【発明者】
【氏名】前田 明裕
(72)【発明者】
【氏名】宮川 英行
(72)【発明者】
【氏名】小田 邦朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝洋
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-065874(JP,A)
【文献】実開昭53-027129(JP,U)
【文献】特開平06-210743(JP,A)
【文献】実開昭63-084055(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 81/06
B65H 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端にネジ部を形成した中空筒状ワークのネジ部を、駆動ローラと押圧ローラ間の作業空間に位置させ駆動ローラとの間にシールテープが介在するように押圧し、駆動ローラの回転に伴って従動回転させることで送出されるシールテープをネジ部に巻付けるシールテープ巻付装置であって、
多重に巻回されたロール状のシールテープを回動自在に取り付けるテープホルダから垂下して、シールテープと共に往復動するテープガイドと、
前記テープホルダと前記駆動ローラとの間でシールテープを前記押圧ローラ側に押圧しシールテープに張力を付与するテンションユニットと、
前記テープホルダと前記テンションユニットとの間でシールテープを切断する切断ユニットと、
前記テンションユニットの作動時に前記テープガイドを前記切断ユニット近傍まで移動させるとともに、シールテープの巻き付け作業完了時に前記テープガイドを前記切断ユニットよりテープホルダ側に移動させて切断ユニットを動作させるように制御する制御ユニットとを備えたシールテープ巻付装置。
【請求項4】
前記付勢手段が、オンオフ制御可能な圧縮気体供給ノズルである請求項3に記載のシールテープ巻付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端にネジ部を形成した中空状ワークのネジ部にシールテープを巻き付けるシールテープ巻付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、中空状のワーク、例えば管用のテーパネジ継手の雄ネジ部にシールテープを巻き付けるシールテープの自動巻付機を開発し、手動によるシールテープの巻き付け作業の省力化と手作業による巻き付け品質のばらつきの低減を図ってきた。
【0003】
周知のシールテープの自動巻付機は、
図5及び
図6に示すように、中空筒状ワークWのネジ部Waを、駆動ローラ10と押圧ローラ11、11間の作業空間Sに位置させ、駆動ローラ10との間にシールテープTが介在するように押圧ローラ11、11で押圧する。そして、ネジ部Waが駆動ローラ10に押しつけられることで駆動ローラ10の回転に伴ってネジ部Waが従動回転する。これによって駆動ローラ10とネジ部Waの間に送出されるシールテープTがワークWのネジ部Waに巻付けられる。
【0004】
しかし、このシールテープの自動巻付機は、シールテープの巻き付け自体は駆動ローラ10と押圧ローラ11、11間の作業空間Sで自動で行われるものの、ワークを作業空間へ位置させるために
図6に示すように作業者がワークを掴んで作業空間Sまで運ぶ必要があった。作業者がワークを掴んでいることから作業中にワークを落下させてしまう虞がある等、作業に時間を要するものであった。係る点に鑑み、
出願人が提案するシールテープ巻付機では、ワークをアタッチメントのワーク保持部に取り付け、アタッチメントと共に駆動ローラと押圧ローラの間の作業空間に移動させるワークローダを備えることでワークを人手によって作業空間まで運ぶ作業を解消するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このシールテープ巻付機は、上述した従来機と同様、シールテープがテープホルダからに垂下され押圧ローラによる押圧力でワークのネジ部と駆動ローラの間のシールテープをネジ部に押し付けることで巻き付けるようにしたもので駆動ローラの回転速度を低速で回す必要があり、1個当たりの巻き付け時間が従来の手動作業と比べ大きく削減されるものではなかった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールテープの巻き付け時間の短縮を図ることのできるシールテープ巻付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るテープ巻付装置は、少なくとも一端にネジ部を形成した中空筒状ワークのネジ部を、駆動ローラと押圧ローラ間の作業空間に位置させ駆動ローラとの間にシールテープが介在するように押圧し、駆動ローラの回転に伴って従動回転させることで送出されるシールテープをネジ部に巻付けるシールテープ巻付装置であって、
多重に巻回されたロール状のシールテープを回動自在に取り付けるテープホルダから垂下して、シールテープと共に往復動するテープガイドと、
テープホルダと駆動ローラとの間でシールテープを押圧ローラ側に押圧しシールテープに張力を付与するテンションユニットと、
テープホルダとテンションユニットとの間でシールテープを切断する切断ユニットと、
テンションユニットの作動時に前記テープガイドを切断ユニット近傍まで移動させるとともに、シールテープの巻き付け作業完了時にテープガイドを切断ユニットよりテープホルダ側に移動させて切断ユニットを動作させるように制御する制御ユニットを備えている。
【0009】
このテープ巻付装置は、シールテープの巻き付け時にテープの密着性を向上させ駆動ローラの回転速度を高速化した際の安定性を図る。
【0010】
この場合において、制御ユニットは、駆動ローラの回転速度、回転時期及び回転時間並びにテープガイドの動作タイミングを制御することができる。
【0011】
また、制御ユニットは、シールテープの先端が駆動ローラの側方に位置したときに、シールテープ先端を駆動ローラ側に付勢する付勢手段を作動するように制御することができる。
【0012】
巻き付け後のシールテープの先端部は、駆動ローラから離間する方向(ワークのネジ部に巻き付く方向)に湾曲している場合があり、ワークを自動供給しようとするとワークと駆動ローラ間にシールテープが位置せずシールテープの巻き付けが失敗することがあり、付勢手段は、これを防止する。
【0013】
さらに、付勢手段が、オンオフ制御可能な圧縮気体供給ノズルとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シールテープの巻き付け時間の短縮を図るとともに、自動運転の際、シールテープ先端を駆動ローラ側に付勢する付勢手段を設けることで、確実にシールテープの巻き付けをすることのできるシールテープ巻付装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係るシールテープ巻付装置の概略を正面から見た概略図である。
【
図2】同シールテープ巻付装置の動作を説明する正面図で、(a)はシールテープと共にガイド部を駆動ローラ近傍まで下降させた状態を、(b)は(a)の状態から押圧ローラを作動させワークを挟持し、さらにテンションユニットを作動させシールテープに張力を付与した状態をそれぞれ示す。
【
図3】
図2に続き、同シールテープ巻付装置の動作を説明する正面図で、(a)は巻き付け作業が終了し切断ユニットが作動した状態を、(b)は(a)の状態から余剰部のシールテープを巻き付け初期状態に戻すことでワークを排出させ、シールテープと共にガイド部を駆動ローラ近傍まで下降させるとともに付勢手段によってシールテープ先端を駆動ローラ側に付勢する状態をそれぞれ示す。
【
図4】同シールテープ巻付装置のテープガイド6の説明図で、(a)はガイド部の側面図、(b)は(a)の要部拡大図、(c)は帯状部にガイド部を取り受ける説明図、(d)はガイド部の斜視図、(e)はガイド部の別の実施例を示す斜視図である。
【
図5】シールテープの巻き付けを説明するための斜視図である。
【
図6】従来、シールテープ巻付装置でワークにテープを巻き付ける際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0017】
<実施形態1>
図1~
図4に、本発明の実施形態1を示す。
【0018】
このテープ巻付装置1は、従来例と同様、少なくとも一端にネジ部Waを形成した中空筒状ワークWのネジ部Waを、駆動ローラ10と押圧ローラ11間の作業空間Sに位置させ駆動ローラ10との間にシールテープTが介在するように押圧ローラ11によって押圧し、駆動ローラ10の回転に伴って従動回転させることで送出されるシールテープTをネジ部Waに巻付けるもので、多重に巻回されたロール状のシールテープTを回動自在に取り付けるテープホルダ7と、このテープホルダ7から垂下するシールテープTと共に往復動するテープガイド6と、テープホルダ7と駆動ローラ10との間でシールテープTを押圧ローラ11側に押圧しシールテープTに張力を付与するテンションユニット5と、テープホルダ7とテンションユニット5との間でシールテープTを切断する切断ユニット8と、テンションユニット5の作動時にテープガイド6を切断ユニット8の近傍まで移動させるとともに、シールテープTの巻き付け作業完了時にテープガイド6を切断ユニット8よりテープホルダ7側に移動させて切断ユニット8を動作させるように制御する制御ユニットを備えている。
【0019】
中空筒状ワークWは、例えば、R1/8~R3/4の管用のテーパ雄ネジである。通常両端にネジ部を有するが、一方がテーパのネジ部Waであれば他方は平行ネジ部であっても平行ねじ部にナットが取り付いた状態のものであっても構わない。また、一端にシールテープTを巻き付ける雄ネジ部を形成しておれば、他端側は雌ネジが形成されたアダプタであっても構わない。
【0020】
駆動ローラ10は、その材質は特に限定するものではないが、本実施形態では駆動ローラ10を駆動させる駆動手段(例えば、電動モータ等)の駆動軸又は駆動軸の先端と繋がる金属製の回転軸の周面に嵌合された弾性部材(例えば、環状のウレタンゴム)で構成されている。
【0021】
押圧ローラ11は、本実施形態においては図に示すように正面視して上下に2個配設される。押圧ローラ11は、スライドユニット14によって駆動ローラ10の軸心SC1と略直交方向に移動する。スライドユニット14は、押圧ローラ10によってワークWのネジ部Waを駆動ローラに押し付けるだけの押圧力を発揮するものであれば特に限定するものではなく、本実施形態ではガイド付きのエアシリンダを使用している。
【0022】
この押圧ローラ11は、シールテープTを巻き付けるワークWのサイズに応じて、外径、押圧ローラ間の距離が異なるように複数用意することが好ましい。例えば、R1/8用、R1/4とR3/8、R1/2とR3/4は兼用の3種類の押圧ローラ構造体13(押圧ローラ11と押圧ローラ取付体12)とすることができる。本発明者らの実験によると、押圧ローラ11の周面には対応するワークWのネジ部Waに合わせたネジ部を形成してワークWを駆動ローラ10に押圧することで、押圧ローラ11の回転に伴う軸方向の移動を抑制することができるため各ワークWのサイズR1/8~R3/4に合わせ、5種類の押圧ローラ構造体13を用意することが好ましいことが分かった。
【0023】
駆動ローラ10と2つの押圧ローラ11、11の周面近接部で結ばれた三角の領域がシールテープTを巻き付ける作業空間Sとなる。
【0024】
本実施形態のテープ巻付装置1は、この作業空間SにワークWのネジ部Waを位置させるワーク押出機構4に連続的にワークWを供給する、ワークホルダ2とワーク挟持機構3を備えている。
【0025】
[テープガイド]
テープガイド6は、テープホルダ7から送出されるテープTの先端部は覆うガイド部60と、ガイド部60と連なりテープホルダ7の送出口内に固定され、テープホルダ7と共に往復動(図例では上下動)することでシールテープTを駆動ローラ近傍まで運ぶ帯状部61とから構成される。帯状部61は、略シールテープTと同じ幅寸法で剛性、例えば金属製の薄板である。ガイド部60は、帯状部61と同様の材質の板状の部材で帯状部61の先端を覆う。具体的には、ガイド部60と帯状部61とは一枚の金属板から切り出された一体物で、
図4(c)に示すように、T字状に切り出され突出した部分をC字状に折り曲げることでガイド部60を形成する。また、帯状部61の先端の裏面に、ガイド部60となる別部材をT字状に配設し、スポット溶接等の固着手段で固定した後、両端部をC字状に湾曲させて構成することもできる。この際、予め両端部をC字状に湾曲させた後に帯状部61の先端に取り付け固定するようにしても構わない。シールテープTは、テープホルダ7が往復動する際に、テープガイド6のガイド部60に覆われて、駆動ローラ10側に進出するとともに、駆動ローラ10とワークWに挟持された状態においてはガイド部60のみ上昇させることができる。
【0026】
シールテープTの取り付けは、テープホルダ7の軸部に多重に巻回されたロール状のシールテープTを取り付け、ガイド部60と帯状部61との隙間にシールテープTを挿通させる。帯状部61は、テープホルダ7内に固定され、制御ユニットで制御されるテープホルダ7の往復動進退機構(図示省略)によって、テープホルダ7と共にシールテープTを駆動ローラ10の近傍まで進退させる。また、帯状部61の下端開口部の長辺が、後述するテンションユニット5を作動させた際に張力をもってシールテープTが当接する箇所となる。そのためテンションユニット5による張力付与時のシールテープTの切断を防止するため、
図4(b)に示すように、所定のR加工を施すようにすることが好ましい。
【0027】
[テンションユニット]
テンションユニット5は、
図1に示すように、駆動ローラ10の直近上方の反押圧ローラ11側に配設され、先端に押圧部50aを形成したテンションバー50と、テンションバー50を駆動ローラ10の軸心に対し略直交する水平方向に移動させる移動機構52から構成される。移動機構52は、ワークWと駆動ローラ10との間で挟持されたシールテープTに張力を付与するだけの押圧力があれば特に限定するものではなく、本実施形態においては空圧のガイド付きシリンダを使用する。また、切断ユニット8の移動機構83も同様のシリンダを使用するようにしている。
【0028】
押圧部50aは、シールテープTを駆動ローラ10側から押圧ローラ11側に押圧する際、シールテープTに折れや切断が生じない様に円弧形状をなしている。本実施形態においては、テンションバー50と一体成形された構成を示しているがこれに限られず、テンションバー50の先端に軸部を介して回動自在に取り付けたローラであっても構わない。
【0029】
[切断ユニット]
切断ユニット8は、テンションユニット5とテープホルダ7との間に配備され、押圧ローラ11側上部の固定刃81と、フランジ80の先端に取り付けられた移動刃82と、フランジ80を駆動ローラ10の軸心に対し略直交する水平方向に移動させる移動機構83とからなる。
【0030】
切断ユニット8は、切断ユニット8の切断刃である固定刃81と移動刃82の刃先が、移動刃82の移動により交差することで、シールテープTを切断する。
【0031】
そして、本実施形態のシールテープ巻付装置1は、テンションユニット5の作動時にテープガイド6を切断ユニット8の近傍まで移動させるとともに、シールテープTの巻き付け作業完了時にテープガイド6を切断ユニット8より上方に移動させて切断ユニット8を動作させるように制御する制御ユニット(図示省略)を備え、この制御ユニットは、更に、駆動ローラ10の回転速度、回転時期及び回転時間並びにテープガイド6の動作タイミングを制御する。
【0032】
次に、本実施形態のシールテープ巻付装置1の動作を
図1から
図3に基づいて詳細に説明する。
【0033】
まず、初期状態として、テープホルダ7を駆動ローラ10から最も離間した上方位置で固定する。シールテープ送出口から延設されるテープガイド6のガイド部60は切断ユニット8よりも上方に位置する。このときテンションユニット5及び切断ユニット8の移動機構52、83はロッドがシリンダ内に入り込み、テンションバー50及びフランジ80が図例最も右側に位置する状態である。そして、この状態でガイド部60にシールテープTを取り付け、ガイド部60からシールテープTの先端部を所定長さだけ延出させた状態で、進退(図例上下動)するように構成する。
【0034】
次に、制御ユニットは、テープホルダ7を下方に移動させるようにすることで、テープガイド6全体も下方に移動させ、ガイド部60から延出しているシールテープTの先端部を駆動ローラ10の周面に当接又は近接するところに位置させる(
図2(a)参照)。
【0035】
そして、図示しないワークWの自動供給装置によって作業空間SにワークWを位置させ、スライドユニット14を作動することで押圧ローラ11が移動し、ワークWを駆動ローラ10と押圧ローラで保持するとともに、ワークWと駆動ローラ10との間にシールテープTを介在させた状態とする。その後、ガイド部60を切断ユニット8の近傍まで上昇させ、テンションユニット5の移動機構52を作動させる。テンションユニット5の作動により、テンションバー50先端の押圧部50aによってシールテープTは押圧ローラ11側に押し付けられる。これによってシールテープTは、ワークWと駆動ローラ10間からガイド部60との間で張力が付与され、手作業でワークWのネジ部にシールテープTを巻き付ける際と同様の力が作用した状態となる(
図2(b)参照)。ガイド部60を切断ユニット8の近傍まで上昇させる際の位置は、シールテープTへの張力を最適にかけるための位置で、張力付与時に固定刃81にシールテープTが干渉しない位置であれば切断ユニット8よりも上方であっても構わない。切断ユニット8よりも上方の位置であれば、後述する切断ユニット8の作動前にテープガイド6をさらに上方に移動させる必要はない。
【0036】
図2(b)の状態で、巻き付け作業が開始される。制御ユニットが制御する巻き付けの際の駆動ローラ10の回転速度、回転時間は特に限定するものではなく、本実施形態においては、巻き付け初期に低速、その後に高速、シールテープ切断後、余剰のシールテープTを高速で巻き付けるようにしている。
図2(b)の状態で、初期の低速巻き付け、その後の高速巻き付けが終了する。
【0037】
次いで、
図3(a)に示すように、テープガイド6を切断ユニット8より上方に移動させて切断ユニット8を動作させる。そして、切断動作と略々同時に駆動ローラ10を高速で回転させシールテープTの余剰部分をワークWのネジ部に巻き付ける。
【0038】
対象となるワークWのサイズによって異なるが、本実施形態のシールテープ巻付装置1では、初期の低速巻き付け、高速巻き付け、切断後の高速巻き取りに分けられ、制御ユニットによるサイズR1/4のワークWの巻き付けの回転制御の例としては、
初期巻き付け:18rpm、0.5回転(1.75秒)
高速巻き付け:114rpm、2.5回転(1.32秒)
切断後巻き取り:91rpm、1.5回転(2秒)
サイズR1/2のワークWの例としては、
初期巻き付け:18rpm、0.6回転(2秒)
高速巻き付け:182rpm、3.9回転(1.3秒)
切断後巻き取り:136rpm、1.5回転(1.3秒)
これらの巻き付け時間にワークWの取り付け時間、切断時間、ワークWの排出時間を合算しても、従来、約15秒かかっていた作業時間が、本実施形態によると約9秒で完了し、大幅な時間短縮を実現することができた。
【0039】
また、高速回転を行うことで、ワークWのサイズ、環境温度・湿度によって、切断後にシールテープTが縮む場合がある。この場合、高速巻き付けと切断後巻き取り回転の間に短時間の逆回転を行うことができる。逆回転は、
18rpm、0.1~0.2回転(0.4~0.5秒)
程度行うことが好ましい。
【0040】
そして、巻き付けが完了した後、押圧ローラ11、11を初期状態の位置に戻すことでワークWは自重により作業空間Sから傾斜レール(図示省略)上に落下し、収納箱(図示省略)に収納される(
図3(b)参照)。
【0041】
この際、切断後のシールテープTの先端は、駆動ローラ10から離間する方向に湾曲している場合が多い。
【0042】
本実施形態においては、シールテープTの先端を駆動ローラ10側に付勢する付勢手段として、オンオフ制御可能な圧縮気体供給ノズル9を配設するようにしている。
【0043】
この圧縮気体供給ノズル9は、制御ユニットにより各ユニットが初期状態の際にシールテープTの先端に圧縮気体を矢付Aの方向に吹き付けるもので、常時、テンションユニット5や押圧ローラ11と干渉しない位置に配設されている。また、ノズル先端が圧縮気体の吹き付け時のみ
図3(b)に示す位置に移動するように移動機構を備えるようにしても構わない。
【0044】
これによって、シールテープTの先端が駆動ローラ10の周面に当接又は近接し、ワークWを自動供給するようにしてもシールテープTをシールテープ巻付装置1側に押し付けることなく良好にシールテープTの巻き付けを行うことができる。
【0045】
付勢手段は、圧縮気体供給ノズル9に限られず、機械的に進退する押圧部材を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明のシールテープ巻付装置は、新規設計のシールテープの巻付装置として好適に用いることができる他、既存のシールテープ巻付装置の改良としても好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 シールテープ巻付装置
10 駆動ローラ
11 押圧ローラ
5 テンションユニット
50 テンションバー
52 移動機構
6 テープガイド
60 ガイド部
61 帯状部
7 テープホルダ
8 切断ユニット
80 フランジ
81 固定刃
82 移動刃
83 移動機構
9 付勢手段(圧縮気体供給ノズル)