(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】鉄道車両の脱線防止の構造
(51)【国際特許分類】
B61F 9/00 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
B61F9/00
(21)【出願番号】P 2022130287
(22)【出願日】2022-07-31
【審査請求日】2022-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000203896
【氏名又は名称】太田 良三
(72)【発明者】
【氏名】太田 良三
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3127719(JP,U)
【文献】特開2007-204028(JP,A)
【文献】特開2011-168078(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1001095(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の脱線防止の構造において脱出防止装置本体(8)は車両の台車本体(5)の下部右側と左側に各々設置されており その脱出防止装置本体の広幅溝(9)に脱出防止用厚板(10)が上下に滑動しうる様に収納されており、車輪(6)が正常な状態でレール(1)の上に載っているときは、その脱出防止用厚板の前面(11)とレール頭の側面(3)とは約15mmの間隔をあけている。そして脱出防止用厚板の下端にはL字形鉤部(13)が設けられ、この鉤部の上辺はレール頭の庇(4)の下に約15mmの間隔をあけて配置されている。そして、この時脱出防止装置本体(8)より脱出防止用厚板(10)へ位置決め用ピン(14)が打込まれている。車輌が右側にカーブした線路を走るとき、遠心力により左側の車輪の鍔部(7)が左側のレール(1)の上にせり乗り左側の脱出防止装置本体(8)がレールに向い斜上方に移動して脱出防止用厚板(10)の前面(11)がレール頭の側面(3)にぶつかり、そしてそのL字形鉤部(13)がレール頭の庇(4)の下面にぶつかり、更に脱出防止装置本体が浮上することにより脱出防止用厚板との間の位置決め用ピン(14)が切断される、そして脱出防止装置本体は脱出防止用厚板に導かれて、ほぼ垂直に10cm以上もはね上げられた後、落下し車輪(6)はレール上に戻り、脱線は防止される。又、地震により台車本体(5)が飛び上がるときは、左右の脱出防止用厚板のL字形鉤部(13)が左右のレール頭の庇(4)
にぶつかり、左右の位置決め用ピン(14)を切断し、更に左右の脱出防止装置本体(8)はその広幅溝(9)に篏合している脱出防止用厚板(10)に導かれて、ほぼ垂直に10cm以上も跳ね上った後、元の位置に落下し、脱線は防止される。
以上のようにして鉄道車輌に取付けられた脱線防止装置により脱線を防止する構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄道車両のカーブした線路上の高速時の脱線、及び地震による脱線を防止する技術分野
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の脱線を防止する方法としては現在では脱線後、特設のガードレールによりレールより大きく外れることを防止しているが、車両自体の脱線防止の方法は開発されていないように思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車輛の構造に脱線を防止できる機構を加えてカーブした線路よりの脱線、及び地震による脱線を防止する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
車輛の台車本体5の下部の左側と右側に脱出防止装置本体8を設置し、それに設けた広幅溝9に脱出防止用厚板10が上下に滑動しうる様に収納されている。車輌が右側にカーブした線路を走るとき、遠心力により左側の車輪の鍔部7が左側のレール1の上にせり乗り左側の脱出防止装置本体8がレールに向かい斜上方に移動して脱出防止用厚板10の前面11がレール頭の側面3にぶつかり、そしてそのL字形鉤部13がレール頭の庇4の下面にぶつかり、更に脱出防止装置本体が浮上することにより脱出防止用厚板との間の位置決め用ピン14が切断される。そして脱出防止装置本体は脱出防止用厚板に導かれて、ほぼ垂直に10cm以上もはね上げられた後落下し車輪6はレール上に戻り脱線は防止される。
【0005】
又地震により台車本体5が飛び上るときは、左右の脱出防止用厚板のL字形鉤部13が左右のレール頭の庇4にぶつかり、左右の位置決め用ピン14を切断し、更に左右の脱出防止装置本体8はその広幅溝9に篏合している脱出防止用厚板10に導かれて、ほぼ垂直に10cm以上も跳ね上がった後、元の位置に落下し、脱線は防止される。
【発明の効果】
【0006】
車両の脱線を防止できる機構を加えることにより、走行時の安全が保たれる。そして又、線路・改修による費用を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の一例として車両の台車本体に脱出防止装置本体を付けたときの縦断面図
【
図3】本発明の実施の一例として車輌の車輪の鍔部が左レールの上にセリ乗り、脱出防止装置本体が浮上したときの縦断面図
【
図5】本発明の実施の一例として脱出防止装置本体が大きく跳上がったときの縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
鉄道車両の脱線防止の構造において脱出防止装置本体8は車両の台車本体5の下部の右側と左側に各々設置されており、その脱出防止装置本体の広幅溝9に脱出防止用厚板10が上下に滑動しうる様に収納されており、車輪6が正常な状態でレール1の上に載っているときは、その脱出防止用厚板の前面11とレール頭の側面3とは約15mm.の間隔をあけている。そして脱出防止用厚板の下端にはL字形鉤部18が設けられ、この鉤部の上辺はレール頭の庇4の下に約15mmの間隔をあけて配置されている。そして、この時脱出防止装置本体8より脱出防止用厚板10へ位置決め用ピン14が打込まれている。
【0009】
車輌が右側にカーブした線路を走るとき、遠心力により左側の車輪の鍔部7が左側のレール1の上にせり乗り左側の脱出防止装置本体8がレールに向かい斜上方に移動して脱出防止用厚板10の前面11がレール頭の側面3にぶつかり、そしてそのL字形鉤部13がレール頭の庇4の下面にぶつかり、更に脱出防止装置本体が浮上することにより脱出防止用厚板との間の位置決め用ピン14が切断される、そして脱出防止装置本体は脱出防止用厚板に導かれて、ほぼ垂直に10cm以上もはね上げられた後、落下し車輪6はレール上に戻り、脱線は防止される。
【0010】
又地震により台車本体6が飛び上るときは、左右の脱出防止用厚板のL字形鉤部13が左右のレール頭の庇4にぶつかり、左右の位置決め用ピン14を切断し更に左右の脱出防止装置本体8はその広幅溝9に篏合している脱出防止用厚板(10)に導かれて、ほぼ垂直に10cm以上も跳ね上った後、元の位置に落下し、脱線は防止される。
以上のようにして鉄道車輛に取付けられた脱線防止装置により脱線を防止する構造。
【符号の説明】
【0011】
1‥‥レール 2‥‥レール頭
3‥‥レール頭の側面 4‥‥レール頭の庇.
5‥‥台車本体 6‥‥車輪
7‥‥車輪の鍔部 8‥‥脱出防止装置本体
9‥‥脱出防止装置本体の広幅溝 10‥‥脱出防止用厚板
11‥‥脱出防止用厚板の前面 12‥‥脱出防止用厚板の突起
13‥‥脱出防止用厚板のL字形鉤部 14‥‥位置決めピン
【要約】 (修正有)
【課題】鉄道車輪のカーブした線路上の高速車輛の脱線、及び地震による脱線を防止する。
【解決手段】車両の台車本体(5)の下部の左側と右側に脱出防止装置本体(8)を設置し、それに設けた広幅溝(9)に脱出防止用厚板(10)が上下に滑動しうる様に収納されている。車両が右側にカーブした線路を走るとき、遠心力により左側の鍔部(7)が左側のレール(1)の上にせり乗り左側の脱出防止装置本体(8)がレールに向い斜上方に移動して脱出防止用厚板(10)の前面(11)がレール頭の側面(3)にぶつかり、そしてそのL字形鉤部(13)がレール頭の庇(4)の下面にぶつかり、更に脱出防止装置本体が浮上することにより脱出防止用厚板との間の位置決め用ピン(14)が切断される、そして脱出防止装置本体は脱出防止用厚板に導かれて、ほぼ垂直に10cm以上もはね上げられた後、落下し車輪(6)はレール上に戻り、脱線は防止される。
【選択図】
図3