(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20230411BHJP
B65D 21/036 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B65D85/50 140
B65D21/036
(21)【出願番号】P 2021120168
(22)【出願日】2021-07-21
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390000387
【氏名又は名称】福助工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】高橋 清
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3218415(JP,U)
【文献】特開2004-155466(JP,A)
【文献】特開2008-131923(JP,A)
【文献】特開2012-176773(JP,A)
【文献】特開2011-195182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の寿司を容器本体の決められた位置に盛り付けることができるようにした包装用容器であって、蓋体が嵌め込まれる容器本体は、寿司を
容器本体の長辺部に対して斜め向きに盛り付けやすく、かつ寿司を滑りにくくして片寄らないようにするための仕切が設けられた底部と、底部の周縁に形成された周壁とを備え、底部の周縁における寿司の端縁に面する位置に、寿司を取り出しやすくするための凹部が複数形成され、凹部は、底部よりも裏面側に突出され、包装用容器を多段に積み重ねたときに蓋体の側壁に当接し、寿司を盛り付けたときに生じる底部のコーナーの空きスペースに、持ち運び時に寿司がずれることを防止する段差部が形成され、段差部は、1つの寿司を挟んで相対する2つの凹部の間に設けられたことを特徴とする包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿司を収容するのに適した包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
寿司を収容する包装用容器は、蓋体と蓋体が嵌め込まれる容器本体とがそれぞれ合成樹脂シートを熱成形して形成される。寿司は容器本体の底部に斜め向きに盛り付けられて収容され、蓋をすれば、容器を持ち運びすることができる。持ち運ぶ際、寿司が滑って、容器の片隅に片寄ってしまうことがある。そこで、特許文献1では、寿司の周縁に沿うように容器本体の底部に仕切が設けられ、盛り付けられた寿司を囲むように底部の周縁から立ち上がる周縁壁が形成される。仕切と周縁壁とにより、寿司がずれることを防止する。さらに、仕切は寿司を並べる位置の目安とされる。また、周縁壁における高さの低い所が寿司の角部に一致する位置に設けられ、寿司を取り出しやすくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、周縁壁の低い所は、寿司が盛り付けられる容器本体の底部よりも高い位置にあるので、寿司との間に隙間がないと、寿司を持ち上げにくくなり、取り出しやすいとは言い難い。また、複数の容器を重ねて持ち運ぶと、上側の容器がずれて、寿司がずれやすくなる。
【0005】
本発明は、上記に鑑み、持ち運ぶときに寿司が滑ってずれることを防止し、しかも寿司を取りやすい包装用容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装用容器は、複数個の寿司を容器本体の決められた位置に盛り付けることができるようにしたものであって、蓋体1が嵌め込まれる容器本体は、寿司を斜め向きに盛り付けやすく、かつ寿司を滑りにくくして片寄らないようにするための仕切が設けられた底部と、底部の周縁に形成された周壁と、周壁の外側から下方に延び容器本体の脚として機能する袴部とを備えている。
【0007】
底部の周縁における寿司の端縁に面する位置に、寿司を取り出しやすくするための凹部が複数形成されている。凹部は、底部よりも裏面側に突出され、包装用容器を多段に積み重ねたときに蓋体の側壁に当接する。
【0008】
底部に設けられた仕切により、寿司を決められた位置に容易に盛り付けることができる。そして、容器を持ち運ぶときに寿司が滑ってずれようとしても、仕切の存在により寿司がずれることを防ぐことができる。また、容器を積み重ねたとき、各凹部の間に蓋体が嵌まるので、上段の容器がずれない。そして、寿司の端縁に対向して凹部を設けることにより、周壁と寿司との間に指を入ることができ、寿司を摘みやすくなって、容易に寿司を取り出すことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、寿司が盛り付けられた容器を持ち運んでも、寿司や容器がずれないように持ち運ぶことができる。これにより、寿司が片寄らないので、寿司を取り出しやすくなる。しかも、周壁7と寿司との間に指が入れやすくなり、寿司を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る包装用容器を
図1~3に示す。包装用容器は、蓋体1と蓋体1が嵌め込まれる容器本体2とから構成され、複数個の寿司を容器本体2の決められた位置に盛り付けることができるようにしている。容器は、平面視多角形状、ここでは角が丸くなった長方形とされ、蓋体1の上に容器本体2を重ねて、容器を積み重ねることができる。
【0012】
蓋体1は、天板3と側壁4とを備え、内部が見えるように透明あるいは透光性の合成樹脂シートの熱成形品とされる。天板3は、平坦な四角形状に形成され、天板3の周縁から斜め下に向けて外向きに傾斜した側壁4が連続して形成されている。側壁4の下部に、段々状に形成されたフランジ部5が設けられる。側壁4の上縁部は少し外向きに盛り上がるように形成され、天板3の周縁が凹みにくくなるように補強されている。
【0013】
容器本体2は、寿司を載せる底部6と、底部6の周縁に形成された周壁7と、周壁7の外側から下方に延び容器本体2の脚として機能する袴部8とを備え、有色の合成樹脂シートの熱成形品とされる。底部6は、平坦な長方形状に形成され、底部6の周縁に周壁7が連続して形成される。袴部8は周壁7から斜め下方向に延びるように形成され、底部6よりも下方に延びて底部6が底上げされる。周壁7の全高は袴部8の全高よりも低く抑えられている。
【0014】
そして、底部6に、寿司を斜め向きに盛り付けやすく、かつ寿司を滑りにくくして片寄らないようにするための仕切が設けられている。仕切は、底部6の上面に互いに異なる斜め方向に形成された高仕切リブ10と低仕切リブ11から構成される。各リブ10,11は、底部6の上面に上方に突出するように形成され、高仕切リブ10は低仕切リブ11よりも高く形成される。
図4に示すように、この仕切により、底部6が複数に区画され、それぞれの区画に寿司を置くことにより、寿司を決められた位置に盛り付けることができる。寿司は、容器本体2の長辺部2aに沿って斜め向きに配置され、短辺部2b側では2列に配置される。
【0015】
低仕切リブ11は、右斜め下方向に向かって複数形成される。各低仕切リブ11は、寿司の大きさに応じた一定間隔で平行に配置される。高仕切リブ10は、左斜め下方向に向かって複数形成される。各高仕切リブ10は、長辺部2aと平行に一定間隔で配置され、短辺部2bの中央を通るライン上に位置する。高仕切リブ10は、低仕切リブ11に対して直交して配置され、両側の低仕切リブ11と連結するように形成される。
【0016】
周壁7は、底部6の周縁から立ち上がる段差部12と、段差部12を取り囲む上縁部13とから構成される。段差部12は、平坦な台状であり、長辺部2aに沿って形成される。さらに、段差部12は、底部6の1つの対角のコーナーにも形成される。段差部12は高仕切リブ10よりも高く形成され、上縁部13は段差部12よりも高い枠状に形成される。上縁部13と袴部8との間に、外側に向かってほぼ水平に拡がる平坦部14が形成される。
【0017】
段差部12は寿司を底部6に盛り付けたときに生じる空きスペースに設けられている。すなわち、寿司を斜め向きに置いたとき、底部6の1つの対角のコーナーに空きスペースが生じる。また、長辺部2aに沿って並んだ寿司はずれて置かれるので、2つの寿司の間に三角形状の空きスペースが生じる。このような空きスペースに段差部12が形成される。
【0018】
底部6から突設された段差部12および高仕切リブ10と低仕切リブ11により、持ち運び時に寿司がずれることが防止される。寿司が盛り付けられた容器を持ち運ぶとき、振動などによって寿司が滑る。ここで、寿司が段差部12に触れたり、各リブ10,11が寿司の移動を防ぐことにより、寿司のずれが阻止される。したがって、容器を持ち運んでも、寿司が片寄ることがないので、盛り付けられたときの状態が維持され、美観を損なうことがなく、寿司を取り出す際にも、寿司が定位置にあるので取りやすい。
【0019】
底部6の周縁に、複数の凹部15が設けられる。凹部15は、周壁7から底部6にかけてその一部を凹ませて形成され、底部6よりも裏面側に突出している。凹部15は、対向する長辺部2aと、対向する短辺部2bと、対向するコーナーにそれぞれ1つずつ設けられる。長辺部2aの凹部15は、長辺部の段差部12とコーナーの段差部12との間に設けられる。短辺部2bの凹部15は、短辺部2bの中央を通るライン上に設けられ、高仕切リブ10の一部を切り欠いて形成される。長辺部2aの凹部15と短辺部2bの凹部15とは1つの寿司を挟んで相対するように設けられる。なお、短辺部2bに近い寿司が滑るのを防ぐために、高仕切リブ10が長辺部2a寄りに設けられる。
【0020】
これらの凹部15は、寿司を取り出しやすいように寿司の端縁に面する位置に配置される。すなわち、長辺部2aの凹部15は、長辺部2aに面する寿司の角を含む端縁に対応する位置に設けられる。短辺部2bの凹部15は、短辺部2bに面する寿司の角に対応する位置に設けられる。コーナーの凹部15は、寿司の短辺側の端縁のほぼ全域と対向する位置に設けられる。凹部15があると、寿司と周壁7との間に隙間ができ、指を入れやすくなる。
【0021】
また、底部6の周縁には、周壁7の一部を凹ませた縦溝16が複数設けられている。各縦溝16は、底部6の端に配される寿司に対向するように段差部12の壁面に配置される。そして、縦溝16は、周壁7の裏面から外方向に向かって突出しており、縦溝16の長さは段差部12の高さよりも小とされ、縦溝16の下面は底部6の下面よりも上方に位置している。容器本体2同士を重ねたとき、下段の容器本体2の縦溝16に上段の容器本体2の縦溝16が嵌まるので、上下の容器本体2の間に隙間できる。容器本体2同士がぴったり重なることを防止でき、容器本体2を分離しやすくなる。
【0022】
蓋体11を容器本体2に嵌めると、蓋体11のフランジ部5が容器本体2の平坦部14に密接して、蓋体11が容器本体2に嵌め込まれる。そして、
図5に示すように、容器を多段に積み重ねたとき、下段の蓋体11の天板3が上段の容器本体2の底部6の下面に密接する。蓋体11が上段の底部6から突出した凹部15の間に嵌まり、蓋体11の側壁4の段々状になった上縁部が凹部15の裏面に当接する。これによって、上段の容器はしっかり保持され、積み重ねた容器が横ずれすることはない。また、袴部8の高さは蓋体11の高さよりも低くなっている。そのため、容器を下段の容器の上に少しずれて載せてしまったとき、蓋体11が各凹部15の間に嵌まらなくても、袴部8が蓋体11の側壁4に当接するので、上段の容器がずり落ちることはない。
【0023】
容器に盛り付けられた寿司を取り出すとき、例えば
図4に示すAあるいはBの寿司の場合、寿司の短辺側の端縁近くにある2つの凹部15に指を入れて、寿司を掴んで持ち上げる。このように、簡単に寿司を摘まんで取り出すことができる。コーナーにあるCあるいはDの寿司を取り出すとき、コーナーの凹部15に指を入れて、寿司の一方の短辺側を持ち上げ、寿司を摘まんで持ち上げる。この凹部15は寿司の短辺側の端縁のほぼ全域と対向しているので、隙間を大きく取ることができ、寿司の端縁の中央に指がかかりやすく、寿司を崩れることなく持ち上げることができる。
【0024】
他の実施形態の容器を
図6~8に示す。容器本体2の形状において、上記実施形態のものとは凹部15および縦溝16の配置および段差部12の形状が異なる。その他の形態は上記のものと同じである。凹部15は、対向する長辺部2aに2つずつ設けられ、対向する短辺部2bに1つずつ設けられる。各コーナーに近い段差部12では、少し低く形成され、低段差部12aとなっている。低段差部12aは、高仕切リブ10と同じ高さとされる。長辺部2aの凹部15は、段差部12と低段差部12aとの間に設けられる。
【0025】
長辺部2aの凹部15は、長辺部2aに面する寿司の角を含む端縁に対応する位置に設けられる。短辺部2bの凹部15は、短辺部2bに面する寿司の角に対応する位置に設けられる。凹部15の存在により、寿司と周壁7との間に隙間ができる。隙間に指が入れやすいので、寿司を取り出しやすくなる。
【0026】
また、底部6の周縁には、周壁7の一部を凹ませた縦溝16が複数設けられている。各縦溝16は、底部6の端に配される寿司に対向するように、各コーナーの周壁7に配置される。なお、一対の縦溝16は、コーナーに設けられた段差部12にそれぞれ設けられる。
【0027】
容器に盛り付けられた寿司を取り出すとき、例えば
図9に示すAあるいはBの寿司の場合、寿司の短辺側の端縁近くにある2つの凹部15に指を入れて、寿司を掴んで持ち上げる。このように、簡単に寿司を摘まんで取り出すことができる。EあるいはFの寿司の場合、寿司の短辺側の端縁の近くにある凹部15に指を入れて、寿司の一方の短辺側を持ち上げ、そのまま寿司を摘まんで持ち上げる。このように、簡単に寿司を摘まんで取り出すことができる。そして、このように取り出すことにより、盛り付けられた寿司の間に空きスペースができ、残りの寿司が取り出しやすくなる。
【0028】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。包装用容器は、四角形に限らず、三角形、五角形、六角形といった多角形状であってもよく、円、楕円、長円であってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 蓋体
2 容器本体
2a 長辺部
2b 短辺部
3 天板
4 側壁
6 底部
7 周壁
8 袴部
10 高仕切リブ
11 低仕切リブ
12 段差部
15 凹部
16 縦溝