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  • 特許-空気調和機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/79 20180101AFI20230411BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20230411BHJP
【FI】
F24F11/79
F24F110:10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018065850
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019174091
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 雄介
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-318146(JP,A)
【文献】特開平11-287494(JP,A)
【文献】特開2015-094489(JP,A)
【文献】特開2016-200282(JP,A)
【文献】米国特許第05180333(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風向板と圧縮機を備え、
設定温度と室温の温度差が縮小すると室内熱交換器および室外熱交換器を流れる冷媒の流量を減少させ、室内熱交換器を通過して室内機の吹出口から吹き出される空気の温度を調整する空気調和機において、
室温と設定温度との乖離が解消されずに室温と設定温度との温度差が予め決められた温度の範囲内に収まって予め決められた時間が経過すると、床面および壁面の少なくとも一方床面および壁面ごとに複数に分割して設定された区画であって前記設定温度に対して予め決められた値以上の温度差を有する特定の区画に向けて局所的に気流を案内する姿勢を確立するよう前記風向板を制御する制御装置
を備えることを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機を備え、設定温度と室温の温度差が縮小すると室内熱交換器および室外熱交換器を流れる冷媒の流量を減少させ、室内熱交換器を通過して室内機の吹出口から吹き出される空気の温度を調整することが可能な空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、室内の床全体から赤外線放射量を検出する多素子型赤外線センサを備える空気調和機を開示する。空気調和機の制御装置は、室内の床面を分割して設定された領域ごとに温度を検出する。制御装置は、全ての領域で赤外線放射量が設定された値に到達するように、室内機の吹出口から吹き出される冷気または暖気の風向を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4333702号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものでは、風向の制御にあたって空気調和機の利用者はリモコンのスイッチを操作して制御を開始する。利用者の意思に従って床面を分割して設定された領域ごとの温度差の解消が図られる。しかしながら、室温が設定温度に達しないうちに、特定の領域に向けて風向が制御されると、室内空間の温度調節よりも床面の温度調節が優先される。その結果室内空間で温度ムラが生じ、空間全体では快適な温度環境の確立は阻害されてしまう。
【0005】
本発明は、室内全体で快適な温度環境を良好に確立することができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態は、風向板と圧縮機を備え、設定温度と室温の温度差が縮小すると室内熱交換器および室外熱交換器を流れる冷媒の流量を減少させ、室内熱交換器を通過して室内機の吹出口から吹き出される空気の温度を調整する空気調和機であって、室温と設定温度との乖離が解消されずに室温と設定温度との温度差が予め決められた温度の範囲内に収まって予め決められた時間が経過すると、室内を分割して設定された区画ごとに検出された温度と設定温度の温度差に基づき選択される特定の区画に向けて気流を案内する姿勢を確立するよう前記風向板を制御する制御装置を備える空気調和機に関する。
【0007】
空気調和機では、冷房運転時または暖房運転時に室内機の吹出口から吹き出される空気の温度は圧縮機の動作に応じて調整される。設定温度と室温の温度差が縮小すると、圧縮機の動作は抑制され、室内熱交換器および室外熱交換器を流れる冷媒の流量は減少する。こうして室内では設定温度の温度環境が確立される。その一方で、室温と設定温度とが予め決められた温度差の範囲内に収まるものの、室温と設定温度との乖離が解消されず、予め決められた時間が経過すると、風向板は、区画ごとに検出された温度と設定温度の温度差に基づき選択される特定の区画に向けて気流を案内する姿勢を確立する。こうして設定温度に対して温度差を有する特定の区画に気流は誘導される。局所的な温度差は優先的に解消される。局所的な温度差が効果的に取り除かれることで、室温と設定温度との乖離は解消され、室内では設定温度の温度環境は良好に確立される。
【発明の効果】
【0008】
以上のように開示の空気調和機によれば、局所的な温度差を取り除き、室内全体で快適な温度環境を良好に確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の構成を概略的に示す概念図である。
図2】一実施形態に係る室内機の外観を概略的に示す斜視図である。
図3】空気調和機の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
図4】冷房運転字に赤外線センサで検出される床面および壁面の区画を概略的に示す模式図である。
図5】制御回路の処理動作を概略的に示すフローチャートである。
図6】暖房運転時に赤外線センサで検出される床面および壁面の区画を概略的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0011】
(1)空気調和機の構成
図1は本発明の一実施形態に係る空気調和機11の構成を概略的に示す。空気調和機11は室内機12および室外機13を備える。室内機12は例えば建物内の室内空間に設置される。その他、室内機12は室内空間に相当する空間に設置されればよい。室内機12には室内熱交換器14が組み込まれる。室外機13には圧縮機15、室外熱交換器16、膨張弁17および四方弁18が組み込まれる。室内熱交換器14、圧縮機15、室外熱交換器16、膨張弁17および四方弁18は冷凍回路19を形成する。
【0012】
冷凍回路19は第1循環経路21を備える。第1循環経路21は四方弁18の第1口18aおよび第2口18bを相互に結ぶ。第1循環経路21は、圧縮機15の吸入管15aに四方弁18の第1口18aを接続する冷媒配管と、圧縮機15の吐出管15bに四方弁18の第2口18bを接続する冷媒配管とを有する。第1口18aからガス冷媒は圧縮機15の吸入管15aに供給される。圧縮機15は低圧のガス冷媒を所定の圧力まで圧縮する。圧縮機15の吐出管15bからガス冷媒は四方弁18の第2口18bに供給される。冷媒配管は例えば銅管であればよい。
【0013】
冷凍回路19は第2循環経路22をさらに備える。第2循環経路22は四方弁18の第3口18cおよび第4口18dを相互に結ぶ。第2循環経路22には、第3口18c側から順番に室外熱交換器16、膨張弁17および室内熱交換器14が組み込まれる。室外熱交換器16は、通過する冷媒と周囲の空気との間で熱エネルギーを交換する。室内熱交換器14は、通過する冷媒と周囲の空気との間で熱エネルギーを交換する。第2循環経路22は例えば銅管などで形成されればよい。
【0014】
室外機13には送風ファン23が組み込まれる。送風ファン23は室外熱交換器16に通風する。送風ファン23は例えば羽根車の回転に応じて気流を生成する。気流は室外熱交換器16を通り抜ける。通り抜ける気流の流量は羽根車の回転数に応じて調整される。
【0015】
室内機12には送風ファン24が組み込まれる。送風ファン24は室内熱交換器14に通風する。送風ファン24は羽根車の回転に応じて気流を生成する。送風ファン24の働きで室内機12には室内空気が吸い込まれる。室内空気は室内熱交換器14を通り抜け冷媒と熱交換する。熱交換で生成された冷気または暖気の気流は室内機12から吹き出される。通り抜ける気流の流量は羽根車の回転数に応じて調整される。
【0016】
冷凍回路19で冷房運転が実施される場合には、四方弁18は第2口18bおよび第3口18cを相互に接続し第1口18aおよび第4口18dを相互に接続する。したがって、圧縮機15の吐出管15bから高温高圧の冷媒が室外熱交換器16に供給される。冷媒は室外熱交換器16、膨張弁17および室内熱交換器14を順番に流れる。室外熱交換器16では冷媒から外気に放熱する。膨張弁17で冷媒は低圧まで減圧される。減圧された冷媒は室内熱交換器14で周囲の空気から吸熱する。冷気が生成される。冷気は送風ファン24の働きで室内空間に吹き出される。
【0017】
冷凍回路19で暖房運転が実施される場合には、四方弁18は第2口18bおよび第4口18dを相互に接続し第1口18aおよび第3口18cを相互に接続する。圧縮機15から高温高圧の冷媒が室内熱交換器14に供給される。冷媒は室内熱交換器14、膨張弁17および室外熱交換器16を順番に流れる。室内熱交換器14では冷媒から周囲の空気に放熱する。暖気が生成される。暖気は送風ファン24の働きで室内空間に吹き出される。膨張弁17で冷媒は低圧まで減圧される。減圧された冷媒は室外熱交換器16で周囲の空気から吸熱する。その後、冷媒は圧縮機15に戻る。
【0018】
(2)室内機の構成
図2は一実施形態に係る室内機12の外観を概略的に示す。室内機12の本体(筐体)28aの前面にはアウターパネル28bが配置される。本体28aの下面には吹出口29が形成される。吹出口29は室内に向けて開口する。本体28aは例えば室内の壁面に固定される。室内熱交換器14で冷気または暖気が生成され、冷気または暖気の気流は吹出口29から吹き出す。
【0019】
吹出口29には前後1対の上下風向板31a、31bが配置される。上下風向板31a、31bはそれぞれ本体28aの長手方向と平行な回転軸線32a、32b回りに回転することができる。回転に応じて上下風向板31a、31bは吹出口29を開閉する。吹出口29から吹き出される気流の方向は上下風向板31a、31bの角度に応じて変えられる。
【0020】
吹出口29には回転軸線32a、32bの軸方向に(本体28aの長手方向に)配列される複数枚の左右風向板33が配置される。個々の左右風向板33は、吹出口29から吹き出される気流を左右に特定の方向に案内するように軸線回りで回転することができる。
【0021】
空気調和機11は、物体の輻射熱に応じて室内の温度分布を検出する赤外線センサ34を備える。赤外線センサ34は本体28aの正面下側に配置される。赤外線センサ34は、床面および壁面の少なくとも一方を複数の区画に分割して検出を行い、温度分布を特定する温度分布信号を生成する。赤外線センサ34は、室内で人の在不在を検出する人感センサとして機能するだけでなく、床面および壁面の温度(輻射温度)を検出する温度センサとして機能する。
【0022】
図3に示されるように、空気調和機11は例えば室内機12に組み込まれる制御回路35を備える。制御回路35には、四方弁18の駆動源(モータ)36、圧縮機15の駆動源(モータ)37、膨張弁17の駆動源(モータ)38、送風ファン23の駆動源(モータ)39、送風ファン24の駆動源(モータ)41、上下風向板31a、31bの駆動源(モータ)42および左右風向板33の駆動源(モータ)43が接続される。
【0023】
制御回路35は、冷房運転および暖房運転を切り替える際に四方弁18の動作を制御する。四方弁18の制御にあたって制御回路35から四方弁18のモータ36に制御信号は供給される。四方弁18は、制御信号に基づき、第2口18bに第3口18cおよび第1口18aに第4口18dをそれぞれ接続する冷房運転時の姿勢と、第2口18bに第4口18dおよび第1口18aに第3口18cをそれぞれ接続する暖房運転時の姿勢とで弁体を駆動する。
【0024】
制御回路35は、設定温度と室温の温度差に基づき圧縮機15の動作を制御する。圧縮機15の制御にあたって制御回路35から圧縮機15のモータ37に制御信号は供給される。圧縮機15は、制御信号に基づき、設定温度と室温の温度差が縮小するとモータ37の回転数を減少させる。その結果、室内熱交換器14および室外熱交換器16を流れる冷媒の流量は減少する。室内熱交換器14で交換される熱エネルギーは減少する。こうして室内機12の吹出口29から吹き出される空気の温度は調整される。いわゆるインバータ制御が実施される。
【0025】
制御回路35は圧縮機15の動作あるいは室内熱交換器14の温度に応じて膨張弁17の動作を制御する。膨張弁17の制御にあたって制御回路35から膨張弁17のモータ38に制御信号は供給される。膨張弁17は、制御信号に基づき、所定の開度とされる。
【0026】
制御回路35は圧縮機15および膨張弁17の動作に応じて室外機13の送風ファン23の動作を制御する。送風ファン23の制御にあたって制御回路35から送風ファン23のモータ39に制御信号は供給される。送風ファン23は、制御信号に基づき、交換される熱エネルギー量に応じて羽根車の回転数を調整する。
【0027】
制御回路35は、指定される風量に応じて室内機12の送風ファン24の動作を制御する。送風ファン24の制御にあたって制御回路35から送風ファン24のモータ41に制御信号は供給される。送風ファン24は、制御信号に基づき、指定された風量を確立する回転数で羽根車を駆動する。
【0028】
制御回路35は、指定される気流の向きに応じて上下風向板31a、31bの動作を制御する。上下風向板31a、31bの制御にあたって制御回路35から上下風向板31a、31bのモータ42に制御信号は供給される。上下風向板31a、31bは、制御信号に基づき、上下に特定の方向に気流を案内する姿勢を確立する。
【0029】
制御回路35は、指定される気流の向きに応じて左右風向板33の動作を制御する。左右風向板33の制御にあたって制御回路35から左右風向板33のモータ43に制御信号は供給される。左右風向板33は、制御信号に基づき、左右に特定の方向に気流を案内する姿勢を確立する。
【0030】
制御回路35には室温センサ44が接続される。室温センサ44は室内の室温を計測する。室温センサ44は、計測した室温を特定する室温信号を生成し出力する。室温センサ44は例えば電波で室内機12に関連づけられるリモコン内に配置されればよい。
【0031】
制御回路35には赤外線センサ34が接続される。制御回路35には赤外線センサ34から温度分布信号が供給される。制御回路35は、図4に示されるように、例えば室内の床面および壁面を複数の区画45に分割し、分割で設定される区画45ごとに温度(放射温度)を検出する。
【0032】
次に空気調和機11の動作を説明する。図5に示されるように、冷房運転が実施されると、ステップS1で制御回路35には決められた間隔で室温センサ44の室温信号が入力される。制御回路35はステップS2で室温と設定温度との温度差に応じて圧縮機15の動作を制御する。例えば温度差が8度以上であると、制御回路35は動作能力の100%で圧縮機15を作動させる。温度差が5度以下であると、制御回路35は動作能力の60%で圧縮機15を作動させる。温度差が2度以下であると、制御回路35は動作能力の30%で圧縮機15を作動させる。ステップS3で室温と設定温度の温度差が2度以下であるか否かが判定される。温度差が2度以下であると(S3-Yes)、制御回路35は計時を開始する。温度差が2度以下でなければ(S3-No)、室温の調整を継続する。
【0033】
制御回路35は、ステップS4で、予め決められた時間が経過したか否かを判定する。この時間は、圧縮機の動作能力を30%としていても室温が設定温度へ到達することができる長さであればよい。時間が経過していた場合(S4-Yes)、ステップS7へ移行する。この場合、何らかの熱源により室温が影響を受けていると考えられる。時間が経過していなければ(S4-No)、制御回路35は、ステップS5で、室温が設定温度の±0.5度以内に収束したか否かを判定する。収束していれば(S5-Yes)、ステップS6で制御回路35は設定温度に室温を維持するように動作能力を決定する。収束していなければ(S5-No)、ステップS3に戻り室温と設定温度の温度差が2度以下であるか否かが判定される。
【0034】
こうして室内機12の吹出口29から吹き出される空気の温度は圧縮機15の動作に応じて調整される。したがって、設定温度と室温の温度差が縮小すると、圧縮機15の動作は抑制され、室内熱交換器14および室外熱交換器16を流れる冷媒の流量は減少する。このとき、上下風向板31a、31bおよび左右風向板33は、制御回路35から供給される制御信号に基づき、室内全体に向かって吹出口29から空気を吹き出す姿勢に調整される。室内では設定温度の温度環境が確立される。
【0035】
例えば図4に示されるように、窓46から入射する直射日光に応じて床面で局所的に高い温度が確立される場合には、室内全体の室温に基づき圧縮機15の動作が制御されても、予め決められた時間内に室温が設定温度に達しないことがある。制御回路35は、設定温度との乖離(本実施例における0.5度)が解消されずに室温および設定温度が予め決められた温度差(本実施例における2度)の範囲内になってから予め決められた時間が経過した場合には、ステップS7で、温度分布信号に基づき区画45ごとに温度を解析する。ここでは、室温と設定温度との温度差が2度以下に収まるものの、室温と設定温度との乖離が±0.5度に収束しないで予め決められた時間(例えば5分)が経過すると、制御回路35は区画45ごとに温度を解析する。
【0036】
制御回路35は、ステップS8で、個々の区画45で予め決められた値以上の温度差が観察されるか否かを判定する。この温度差は、絶対値の大きい区画が熱源となり室温が影響を受けると考えられる温度差であればよい。温度差が観察されない場合(S8-No)、S1へと戻り、室温を設定温度に近づけるための運転を継続する。温度差が観察されると(S8-Yes)、制御回路35はステップS9で温度差のある区画のうち絶対値の大きさに基づき選択される特定の区画45aに向けて気流を案内する姿勢に上下風向板31a、31bおよび左右風向板33を制御する。こうして、設定温度との乖離が解消されずに室温および設定温度が予め決められた温度差の範囲内に収まって予め決められた時間が経過すると、上下風向板31a、31bおよび左右風向板33は、室内を分割して設定された区画45ごとに検出された温度と設定温度の温度差の絶対値の大きさに基づき選択される特定の区画45aに向けて気流を案内する姿勢を確立する。上下風向板31a、31bおよび左右風向板33の姿勢を確立するにあたって、圧縮機15および送風ファン24の回転数を大きくしても良い。
【0037】
室温と設定温度との乖離が解消されず、上述した予め決められた時間が経過すると、風向板31a、31b、33は、区画45ごとに検出された温度と設定温度の温度差の絶対値の大きさに基づき選択される特定の区画45aに向けて気流を案内する姿勢を確立する。こうして設定温度に対して温度差を有する特定の区画45aに気流は誘導される。局所的な温度差は優先的に解消される。局所的な温度差が効果的に取り除かれることで、室温と設定温度との乖離の原因となる熱源は解消され、室内では設定温度の温度環境は良好に確立される。
【0038】
空気調和機11では、冷房運転時と同様に暖房運転時でも制御回路35は圧縮機15の動作に応じて空気の温度を調整する。前述と同様に、ステップS1~S6の処理動作に従い室内では設定温度の温度環境が確立される。したがって、設定温度と室温の温度差が縮小すると、圧縮機15の動作は抑制され、室内熱交換器14および室外熱交換器16を流れる冷媒の流量は減少する。
【0039】
例えば図6に示されるように、窓46からの放熱に応じて壁面で局所的に低い温度が確立される場合には、室内全体の室温に基づき圧縮機15の動作が制御されても、予め決められた時間内に室温が設定温度に達しないことがある。制御回路35は、設定温度との乖離が解消されずに室温および設定温度が予め決められた温度差の範囲内に維持される場合には、前述と同様に、温度分布信号に基づき区画45ごとに温度を解析する。個々の区画45で予め決められた値以上の温度差が観察されると、制御回路35は、温度差に基づき選択される特定の区画45aに向けて気流を案内する姿勢に上下風向板31a、31bおよび左右風向板33を制御する。こうして、設定温度との乖離が解消されずに室温および設定温度が予め決められた温度差の範囲内に収まって予め決められた時間が経過すると、上下風向板31a、31bおよび左右風向板33は、室内を分割して設定された区画45ごとに検出された温度と設定温度の温度差に基づき選択される特定の区画45bに向けて気流を案内する姿勢を確立する。
【0040】
室温と設定温度との乖離が解消されず、予め決められた時間が経過すると、風向板31a、31b、33は、区画45ごとに検出された温度と設定温度の温度差に基づき選択される特定の区画45bに向けて気流を案内する姿勢を確立する。こうして設定温度に対して温度差を有する特定の区画45bに気流は誘導される。局所的な温度差は優先的に解消される。局所的な温度差が効果的に取り除かれることで、室温と設定温度との乖離の原因となる熱源は解消され、室内では設定温度の温度環境は良好に確立される。
【符号の説明】
【0041】
11…空気調和機、12…室内機、14…室内熱交換器、15…圧縮機、16…室外熱交換器、29…吹出口、31a…風向板(上下風向板)、31b…風向板(上下風向板)、33…風向板(左右風向板)、45…区画、45a…特定の区画。
図1
図2
図3
図4
図5
図6