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特許7259238熱伝導度検出器およびそれを備えるガスクロマトグラフ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】熱伝導度検出器およびそれを備えるガスクロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/66 20060101AFI20230411BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
G01N30/66
G01N27/04 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018171859
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2020041990
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-02-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100149962
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 好二
(74)【代理人】
【識別番号】100170988
【弁理士】
【氏名又は名称】妹尾 明展
(74)【代理人】
【識別番号】100189566
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100228865
【弁理士】
【氏名又は名称】吉見 優人
(74)【代理人】
【識別番号】100102037
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 裕之
(72)【発明者】
【氏名】中間 勇二
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0144238(US,A1)
【文献】特開2007-003190(JP,A)
【文献】特開昭55-094159(JP,A)
【文献】特開平07-043356(JP,A)
【文献】特開2016-080413(JP,A)
【文献】特開2004-144496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/66
G01N 27/04
G01N 30/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスクロマトグラフ用の熱伝導度検出器であって、
第1の部分と前記第1の部分の下流の第2の部分とを有し、前記第1および第2の部分を通して試料ガスを前記第2の部分の排出口に導く流路と、
前記第1の部分を収容するケーシングと、
前記第1の部分に収容され、試料ガスの熱伝導度を検出するための発熱体と、
前記ケーシングに取り付けられる断熱材と、
前記第2の部分の排出口またはその近傍に取り付けられ、前記第2の部分を通過する試料ガスの温度が前記第2の部分の排出口において当該試料ガスの液化温度以下に低下しないように前記流路を保温する保温部とを備え、
前記第2の部分の一部は、前記断熱材の外に設けられる、熱伝導度検出器。
【請求項2】
前記断熱材は、前記第2の部分を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないように前記ケーシングに取り付けられる、請求項1記載の熱伝導度検出器。
【請求項3】
前記ケーシング外にある前記第2の部分の長さは、前記第2の部分から排出される試料ガスの温度が液化温度以下に低下しない長さに設定される、請求項2記載の熱伝導度検出器。
【請求項4】
前記保温部は、試料ガスと前記ケーシングの外部との間を断熱する断熱材を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱伝導度検出器。
【請求項5】
前記保温部は、試料ガスの温度を調整する温調部を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱伝導度検出器。
【請求項6】
試料を気化させることにより試料ガスを生成する試料気化部と、
前記試料気化部により生成された試料ガスの成分を分離するカラムと、
請求項1~5のいずれか一項に記載の熱伝導度検出器とを備え、
前記熱伝導度検出器は、前記カラムにより分離された各成分の試料ガスの熱伝導度を検出する、ガスクロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフ用の熱伝導度検出器およびそれを備えるガスクロマトグラフに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフにおいては、試料の分析を行うために例えば熱伝導度検出器が用いられる。特許文献1に記載された熱伝導度検出器は、フィラメントが配置された一のキャビティを備える。フィラメントが一定温度に加熱された状態で、当該キャビティ内に試料ガスおよび基準ガスが交互に導入される。
【0003】
このとき、導入されたガスの熱伝導に応じてフィラメントの熱が奪われ、フィラメントの抵抗値が変化する。そこで、キャビティ内を試料ガスが流れた場合のフィラメントの抵抗値が、キャビティ内を基準ガスが流れたときのフィラメントの抵抗値からどれだけ変化したかを測定することにより、試料ガスの熱伝導度が測定される。キャビティ内を通過した試料ガスおよび基準ガスは、当該キャビティに接続された配管を通して熱伝導度検出器の外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7185527号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、熱伝導度検出器には、フィラメントが配置された流路内に導入された試料ガスを熱伝導度検出器の外部に排出するための配管(以下、排気管と呼ぶ。)が設けられる。
【0006】
ガスクロマトグラフにおいては、熱伝導度検出器の流路に詰まりが生じた場合に、当該熱伝導度検出器を新たな熱伝導度検出器に取り換える必要がある。しかしながら、熱伝導度検出器は高価である。そのため、ガスクロマトグラフのランニングコストを低減することは難しい。
【0007】
本発明の目的は、ガスクロマトグラフのランニングコストを低減可能な熱伝導度検出器およびそれを備えるガスクロマトグラフを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のように、ガスクロマトグラフにおいては、熱伝導度検出器の流路に詰まりが生じることが従来から知られていた。しかしながら、その流路の詰まりは、熱伝導度検出器の交換時期を示す現象として認識されており、流路の詰まりを防止するための構成は考えられてこなかった。
【0009】
本発明者は、流路の詰まりの原因を特定するために、種々の実験および考察を繰り返した結果、流路の詰まりは流路の下流部に多発することに注目した。流路の下流部はケーシングの外部にあり、試料ガスの温度よりも低い大気中に晒される。そのため、排気管の詰まりの発生は、気化された高温の試料ガスが、排気管内で冷却され、凝縮または凝固することに起因すると考えられる。
【0010】
そこで、本発明者は、排気管の詰まりによる熱伝導度検出器の交換という技術常識から発想を転換し、流路の詰まりを防止することにより熱伝導度検出器を継続して利用することをその課題とともに検討し、以下に示す発明を案出した。
【0011】
(1)第1の発明に係る熱伝導度検出器は、ガスクロマトグラフ用の熱伝導度検出器であって第1の部分と第1の部分の下流の第2の部分とを有し、第1および第2の部分を通して試料ガスを第2の部分の排出口に導く流路と、第1の部分を収容するケーシングと、第1の部分に収容され、試料ガスの熱伝導度を検出するための発熱体と、ケーシングに取り付けられる断熱材と、第2の部分に取り付けられ、第2の部分を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないように流路を保温する保温部とを備え、第2の部分は、断熱材の外に設けられる。
【0012】
この熱伝導度検出器においては、流路の第1の部分がケーシングに収容される。そのため、流路の第1の部分の下流の第2の部分はケーシングの外部にある。試料ガスの熱伝導度を検出するための発熱体が第1の部分に収容される。流路の第1および第2の部分を通して試料ガスが第2の部分の排出口に導かれる。第2の部分を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないように流路が保温部により保温される。
【0013】
この構成によれば、高温の試料ガスが流路の下流部で冷却されて凝縮または凝固することが防止される。したがって、流路の詰まりが防止され、ガスクロマトグラフにおける熱伝導度検出器の交換が不要となる。その結果、ガスクロマトグラフのランニングコストを低減することができる。
【0015】
断熱材は、第2の部分を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないようにケーシングに取り付けられてもよい。この場合、第2の部分に保温部を取り付けることなく流路の詰まりを防止することができる。
【0016】
)ケーシング外にある第2の部分の長さは、第2の部分から排出される試料ガスの温度が液化温度以下に低下しない長さに設定されてもよい。この場合、第2の部分に保温部を取り付けることなく流路の詰まりをより容易に防止することができる。
【0017】
)保温部は、試料ガスと前記ケーシングの外部との間を断熱する断熱材を含んでもよい。この場合、第2の部分を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないように流路を容易に保温することができる。
【0018】
)保温部は、試料ガスの温度を調整する温調部を含んでもよい。この場合、第2の部分を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないように流路を容易に保温することができる。
【0023】
)第の発明に係るガスクロマトグラフは、試料を気化させることにより試料ガスを生成する試料気化部と、試料気化部により生成された試料ガスの成分を分離するカラムと、第1発明に係る熱伝導度検出器とを備え、熱伝導度検出器は、カラムにより分離された各成分の試料ガスの熱伝導度を検出する。
【0024】
このガスクロマトグラフにおいては、試料気化部により試料が気化されることにより試料ガス生成される。試料気化部により生成された試料ガスの成分がカラムにより分離される。カラムにより分離された各成分の試料ガスの熱伝導度が上記の熱伝導度検出器により検出される。
【0025】
熱伝導度検出器においては、流路の詰まりが防止されるので、ガスクロマトグラフにおける熱伝導度検出器の交換が不要となる。あるいは、流路の下流部に詰まりが発生した場合でも、流路の第2の部分のうち、下流端を含む少なくとも一部分を交換することにより、熱伝導度検出器を継続して使用することが可能になる。これにより、ガスクロマトグラフのランニングコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ガスクロマトグラフのランニングコストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフの構成を示すブロック図である。
図2】熱伝導度検出器の第1の変形例を示す模式図である。
図3】熱伝導度検出器の第2の変形例を示す模式図である。
図4】ガスクロマトグラフの第1の変形例の構成を示すブロック図である。
図5】ガスクロマトグラフの第2の変形例の構成を示すブロック図である。
図6】第2の実施の形態に係るガスクロマトグラフの構成を示すブロック図である。
図7】排気管の第1の変形例を示す模式図である。
図8】排気管の第2の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施の形態に係る熱伝導度検出器およびそれを備えるガスクロマトグラフについて図面を参照しつつ説明する。
【0029】
[1]第1の実施の形態
(1)ガスクロマトグラフの構成の概略および基本動作
図1は、第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態に係るガスクロマトグラフ100は、主として、ガスタンク10、流量調整部20、試料気化部30、カラム40、流量調整部50、切換弁60、熱伝導度検出器70および制御部80を備える。
【0030】
ガスタンク10には、後述する試料ガスをカラム40および熱伝導度検出器70へ導くためのキャリアガスが貯蔵されている。キャリアガスとしては、例えばヘリウムガス等の不活性ガスが用いられる。
【0031】
ガスタンク10は、キャリアガスを分岐管路を介して2つの流量調整部20,50に供給する。一方の流量調整部20は、制御部80の制御に基づいて所定流量のキャリアガスを試料気化部30に供給する。
【0032】
試料気化部30は、インジェクタおよび気化室を含む。試料気化部30の気化室には、インジェクタを介して試料が注入される。気化室の内部雰囲気は、試料が気化する状態に維持されている。それにより、気化室に注入された試料は、その内部で気化される。試料気化部30は、気化された試料を流量調整部20から供給されるキャリアガスと混合しつつカラム40に供給する。以下の説明では、試料気化部30において気化された試料の成分を含むガスを試料ガスと総称する。
【0033】
カラム40は、図示しないカラムオーブン内に収容されている。カラム40においては、試料気化部30から供給された試料ガスの各成分が分離される。カラム40は、成分ごとに分離された試料ガスを熱伝導度検出器70の後述する試料導入管路76に供給する。
【0034】
他方の流量調整部50は、制御部80の制御に基づいて所定流量のキャリアガスを切換弁60に供給する。切換弁60は、例えば三方電磁弁であり、流量調整部50に接続されるとともに、熱伝導度検出器70の後述する2つのキャリア導入管路75a,75bに接続されている。流量調整部50は、制御部80の制御に基づいてガスタンク10から供給されるキャリアガスをキャリア導入管路75a,75bのいずれか一方に供給する。
【0035】
なお、流量調整部50を通過するキャリアガスを2つのキャリア導入管路75a,75bのいずれか一方に供給するための構成としては、切換弁60に代えて複数の制御弁と分岐管路とを含む切替機構が用いられてもよい。例えば、主管路を流量調整部50に接続し、2本の副管路をそれぞれキャリア導入管路75a,75bに接続する。また、2本の副管路に2つの制御弁をそれぞれ設ける。この場合、2つの制御弁の開閉状態を制御することにより、流量調整部50から供給されるキャリアガスを熱伝導度検出器70の2つのキャリア導入管路75a,75bのいずれか一方に選択的に供給することができる。
【0036】
本実施の形態に係る熱伝導度検出器70は、それぞれ直線状に延びる第1の管路71、第2の管路72、第3の管路73および第4の管路74、キャリア導入管路75a,75b、試料導入管路76および排気管路77を含む。第1の管路71、第2の管路72、第3の管路73および第4の管路74、キャリア導入管路75a,75b、試料導入管路76および排気管路77が流路の例である。第1の管路71および排気管路77がそれぞれ流路の第1および第2の部分の例である。
【0037】
これらの複数の管路は例えば金属製の配管により形成される。また、熱伝導度検出器70の複数の管路のうち、第1~第4の管路71~74は、加熱装置70Hとともにセルブロック78内に収容されている。セルブロック78がケーシングの例である。セルブロック78は、金属製の複数の板状部材を加工および接合することにより作製される。
【0038】
第1の管路71および第2の管路72は、互いに対向しかつ平行に延びるように形成されている。第3の管路73は第1の管路71の一端と第2の管路72の一端とをつなぐように形成され、第4の管路74は第1の管路71の他端と第2の管路72の他端とをつなぐように形成されている。第1の管路71の内部にはフィラメントFが収容されている。一方、第2の管路72の内部にフィラメントFは収容されていない。フィラメントFが発熱体の例である。
【0039】
第3の管路73には、第1のガス導入部73a、第2のガス導入部73bおよび第3のガス導入部73cが、この順で並ぶように設けられている。第1~第3のガス導入部73a~73cのうち、第1のガス導入部73aは第1の管路71に最も近く、第3のガス導入部73cは第の管路72に最も近い。
【0040】
キャリア導入管路75aは、第1のガス導入部73aからセルブロック78の外部まで延びるように形成されている。試料導入管路76は、第2のガス導入部73bからセルブロック78の外部まで延びるように形成されている。キャリア導入管路75bは、第3のガス導入部73cからセルブロック78の外部まで延びるように形成されている。
【0041】
第4の管路74には、ガス導出部74aが設けられている。排気管路77は、ガス導出部74aからセルブロック78の外部まで延びるように形成されている。ガス導出部74aには、貫通孔が形成されている。それにより、第4の管路74の内部空間と排気管路77の内部空間とが連通する。排気管路77は、セルブロック78の外部に排出口77eを有する。
【0042】
加熱装置70Hは、制御部80により制御され、セルブロック78内の空間を試料気化部30の気化室内の温度またはカラム40を収容するカラムオーブン内の温度と同程度の温度に維持する。加熱装置70Hとして、例えばカートリッジヒータが用いられる。セルブロック78の周囲は、断熱材79により覆われる。断熱材79は、例えばグラスウールであってもよいし、他の部材であってもよい。
【0043】
制御部80は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリまたはマイクロコンピュータにより構成され、上記のようにガスクロマトグラフ100の各構成要素の動作を制御する。また、本例の制御部80は、フィラメントFを駆動する駆動回路およびフィラメントFの抵抗の変化を検出するための検出回路をさらに含む。
【0044】
上記の切換弁60は、所定周期(例えば100msec程度)でキャリアガスを一方のキャリア導入管路75aへ供給する第1の状態と、キャリアガスを他方のキャリア導入管路75bへ供給する第2の状態とに切り替えられる。
【0045】
この場合、熱伝導度検出器70の第3の管路73内部においては、切換弁60が第1の状態にあるときに第2のガス導入部73bよりも第1のガス導入部73a側の空間の圧力が高くなる。それにより、試料導入管路76に供給される試料ガスは、第1のガス導入部73aから導入されるキャリアガスの一部とともに第2の管路72を流れる。また、第1のガス導入部73aから導入されるキャリアガスの残りは基準ガスとして第1の管路71を流れる。
【0046】
一方、熱伝導度検出器70の第3の管路73内部においては、切換弁60が第2の状態にあるときに第2のガス導入部73bよりも第3のガス導入部73c側の空間の圧力が高くなる。それにより、試料導入管路76に供給される試料ガスは、第3のガス導入部73cから導入されるキャリアガスの一部とともに第1の管路71を流れる。また、第3のガス導入部73cから導入されるキャリアガスの残りは第2の管路72を流れる。
【0047】
これにより、制御部80においては、基準ガスがフィラメントFの周囲を通過するときと試料ガスがフィラメントFの周囲を通過するときとの間のフィラメントFの抵抗値の変化に基づいて、試料ガスの熱伝導度が測定される。
【0048】
(2)保温部
上記のように、熱伝導度検出器70においては、加熱装置70Hによりセルブロック78内の空間が試料の気化温度と同程度の温度に維持される。これに対して、セルブロック78の内部から外部に引き出される排気管路77の大部分は常温(例えば、25℃程度)の大気中に晒される。そのため、排気管路77を通過する試料ガスは、排気管路77の下流端において冷却され、凝縮または凝固する。それにより、試料ガスが多数回分析されると、凝縮または凝固した試料が排気管路77の下流端に溜まり、排気管路77に詰まりが生じる。試料の液化温度が高い場合、または試料の濃度が高い場合には、この問題はより顕著になる。
【0049】
そこで、本実施の形態においては、セルブロック78から引き出された排気管路77の部分には、排出される試料ガスの温度が液化温度以下に低下することを防止するための保温部として断熱材1が取り付けられる。断熱材1は、断熱材79と同一の部材により形成されてもよいし、他の部材により形成されてもよい。図1の構成においては、断熱材1,79により保温部が構成され、断熱材79および断熱材1がそれぞれ第1および第2の保温部の例である。
【0050】
図1の例においては、断熱材1がセルブロック78から引き出された排気管路77の外周面の全面を覆うように取り付けられるが、本発明はこれに限定されない。図2は、熱伝導度検出器70の第1の変形例を示す模式図である。図2(a)に示すように、断熱材1は、排気管路77の下流部分の外周面を覆うように断熱材1が取り付けられてもよい。あるいは、図2(b)に示すように、断熱材1は、排気管路77の下流部分を除く部分の外周面を覆うように断熱材1が取り付けられてもよい。
【0051】
このように、断熱材1は、セルブロック78から引き出された排気管路77の外周面の一部のみを覆うように取り付けられてもよい。また、セルブロック78に取り付けられた断熱材79が保温部として動作し、排気管路77から排出される試料ガスの温度が液化温度以下に低下しないようにセルブロック78からの排気管路77の突出長さが短く設定されている場合には、熱伝導度検出器70は断熱材1を含まなくてもよい。
【0052】
図1および図2の例においては、保温部は断熱材1または断熱材79であるが、本発明はこれに限定されない。図3は、熱伝導度検出器70の第2の変形例を示す模式図である。図3に示すように、熱伝導度検出器70は、断熱材1に代えて温調部2を含む。
【0053】
温調部2は、例えば電熱ヒータであるが、ペルチェ素子または加熱用熱媒体等の他の部材であってもよい。温調部2は、ブロック状の取付部材3により排気管路77に取り付けられ、排気管路77から排出される試料ガスの温度が液化温度以下に低下しないように熱を生成する。温調部2により生成される熱量は、図1の制御部80により制御されてもよい。
【0054】
取付部材3は、例えばアルミニウムまたは銅等の高い熱伝導率を有する部材により形成され、温調部2を保持するとともに、温調部2により生成された熱を排気管路77に伝達する。取付部材3は、セルブロック78から引き出された排気管路77の外周面の全面を覆ってもよいし、排気管路77の外周面の一部のみを覆ってもよい。また、温調部2が排気管路77に直接取り付け可能である場合には、熱伝導度検出器70は取付部材3を含まなくてもよい。図3の構成においては、断熱材79および温調部2により保温部が構成され、断熱材79および温調部2がそれぞれ第1および第2の保温部の例である。
【0055】
さらに、断熱材79に代えて温調部2と同様の温調部がセルブロック78に取り付けられてもよい。ここで、セルブロック78に取り付けられた温調部が保温部として動作し、排気管路77から排出される試料ガスの温度が液化温度以下に低下しないようにセルブロック78からの排気管路77の突出長さが短く設定されている場合には、排気管路77に温調部2が取り付けられなくてもよい。
【0056】
(3)ガスクロマトグラフの第1の変形例
図4は、ガスクロマトグラフ100の第1の変形例の構成を示すブロック図である。第1の変形例に係るガスクロマトグラフ100について、図1のガスクロマトグラフ100と異なる点を説明する。
【0057】
図4に示すように、第1の変形例に係るガスクロマトグラフ100においては、熱伝導度検出器70は、基本的に2つのキャリア導入管路75a,75b、試料導入管路76、2つのフィラメントF1,F2およびセルブロック78により構成される。
【0058】
キャリア導入管路75a,75bは、セルブロック78を貫通するように設けられている。各キャリア導入管路75a,75bの両端は、セルブロック78の外部に引き出されている。キャリア導入管路75aは、その両端部のうちの一方の端部に排出口75dを有する。キャリア導入管路75bは、その両端部のうちの一方の端部に排出口75eを有する。
【0059】
セルブロック78の内側かつ一方のキャリア導入管路75aの内部にはフィラメントF1が収容され、セルブロック78の内側かつ他方のキャリア導入管路75bの内部にはフィラメントF2が収容されている。
【0060】
2つのキャリア導入管路75a,75bには、分岐管路を介して流量調整部50が接続されている。これにより、熱伝導度検出器70においては、流量調整部50からキャリア導入管路75a,75bにキャリアガスが供給される。
【0061】
キャリア導入管路75bにおけるフィラメントF2よりも上流側の位置にガス導入部75cが設けられている。試料導入管路76は、ガス導入部75cからセルブロック78の外部まで延びるように形成されている。ガス導入部75cには、貫通孔が形成されている。それにより、キャリア導入管路75bの内部空間と試料導入管路76の内部空間とが連通する。
【0062】
このガスクロマトグラフ100においては、流量調整部50からキャリア導入管路75a,75bにそれぞれキャリアガスが供給される状態で、カラム40から試料導入管路76に試料ガスが供給される。それにより、キャリア導入管路75aにおいては、キャリアガスが基準ガスとしてフィラメントF1の周囲を通過する。一方、キャリア導入管路75bにおいては、試料導入管路76から供給される試料ガスがキャリアガスとともにフィラメントF2の周囲を通過する。
【0063】
これにより、制御部80においては、基準ガスがフィラメントF1の周囲を通過するときのフィラメントF1の抵抗値と試料ガスがフィラメントF2の周囲を通過するときのフィラメントF2の抵抗値とに基づいて、試料ガスの熱伝導度が測定される。
【0064】
本例では、セルブロック78から引き出されたキャリア導入管路75bの下流端が排気管路77となる。キャリア導入管路75bおよび試料導入管路76が流路の例である。排気管路77を除くキャリア導入管路75bの部分が流路の第1の部分の例であり、排気管路77が流路の第2の部分の例である。フィラメントF2が発熱体の例である。
【0065】
本例においても、排気管路77がセルブロック78の外部に引き出されているので、排気管路77に試料ガスに起因する詰まりが生じる可能性がある。そこで、本例では、排出される試料ガスの温度が液化温度以下に低下することを防止するための保温部が排気管路77に取り付けられる。図4の構成においては、断熱材1,79により保温部が構成され、断熱材79および断熱材1がそれぞれ第1および第2の保温部の例である。
【0066】
断熱材1は、図2(a),(b)の例のように、排気管路77における外周面の一部のみを覆うように取り付けられてもよい。セルブロック78に取り付けられた断熱材79が保温部として動作し、排気管路77から排出される試料ガスの温度が液化温度以下に低下しないように排気管路77が十分に短く形成されている場合には、熱伝導度検出器70は断熱材1を含まなくてもよい。あるいは、排気管路77には、断熱材1または断熱材1,79に代えて、図3の温調部2が保温部として取り付けられてもよい。後述するガスクロマトグラフ100の第2の変形例においても同様である。
【0067】
なお、本例では、セルブロック78から引き出されたキャリア導入管路75aの下流端も排気管として機能する。しかしながら、キャリア導入管路75aには試料ガスは供給されず、キャリア導入管路75aの内部には、試料ガスに起因する詰まりが発生しない。したがって、キャリア導入管路75aに対応する排気管には保温部が取り付けられない。
【0068】
(4)ガスクロマトグラフの第2の変形例
図5は、ガスクロマトグラフ100の第2の変形例の構成を示すブロック図である。第2の変形例に係るガスクロマトグラフ100について、図1のガスクロマトグラフ100と異なる点を説明する。
【0069】
図5に示すように、第2の変形例に係るガスクロマトグラフ100においては、熱伝導度検出器70は、基本的に試料導入管路76、キャリア導入管路91、ガス流通管92、2つのフィラメントF1,F2およびセルブロック78により構成される。
【0070】
キャリア導入管路91は上流端91uおよび下流端91dを有し、ガス流通管92は上流端92uおよび下流端92dを有する。ガス流通管92は、その下流端92dに排出口92eを有する。
【0071】
キャリア導入管路91は、上流端91uがセルブロック78の外部に引き出された状態で、他の部分がセルブロック78の内部に収容されている。また、ガス流通管92は、下流端92dがセルブロック78の外部に引き出された状態で、他の部分がセルブロック78の内部に収容されている。ガス流通管92の上流端92uには、キャリア導入管路91の下流端91dが接続されるとともに試料導入管路76の一端が接続されている。試料導入管路76の他端はセルブロック78の外部に引き出されている。キャリア導入管路91の内部にはフィラメントF1が収容され、ガス流通管92の内部にはフィラメントF2が収容されている。キャリア導入管路91の上流端91uには、流量調整部50からキャリアガスが供給される。
【0072】
このガスクロマトグラフ100においては、流量調整部50からキャリア導入管路91にキャリアガスが供給される状態で、カラム40から試料導入管路76に試料ガスが供給される。それにより、キャリア導入管路91においては、キャリアガスが基準ガスとしてフィラメントF1の周囲を通過する。一方、ガス流通管92においては、試料導入管路76から供給される試料ガスがキャリア導入管路91から供給されるキャリアガスとともにフィラメントF2の周囲を通過する。
【0073】
これにより、制御部80においては、基準ガスがフィラメントF1の周囲を通過するときのフィラメントF1の抵抗値と試料ガスがフィラメントF2の周囲を通過するときのフィラメントF2の抵抗値とに基づいて、試料ガスの熱伝導度が測定される。
【0074】
本例では、セルブロック78から引き出されたガス流通管92の下流端92dが排気管路77となる。試料導入管路76およびキャリア導入管路91が流路の例である。排気管路77を除くキャリア導入管路91の部分が流路の第1の部分の例であり、排気管路77が流路の第2の部分の例である。フィラメントF1,F2が発熱体の例である。
【0075】
本例においても、排気管路77がセルブロック78の外部に引き出されているので、排気管路77に試料ガスに起因する詰まりが生じる可能性がある。そこで、本例では、排出される試料ガスの温度が液化温度以下に低下することを防止するための保温部が排気管路77に取り付けられる。図5の構成においては、断熱材1,79により保温部が構成され、断熱材79および断熱材1がそれぞれ第1および第2の保温部の例である。
【0076】
(5)効果
本実施の形態に係る熱伝導度検出器70においては、流路の上流部がセルブロック78に収容され、流路の下流部の排気管路77はセルブロック78の外部にある。試料ガスの熱伝導度を検出するためのフィラメントF,F1,F2が、流路の上流部に収容される。流路を通して試料ガスが排気管路77に導かれる。排気管路77を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないように流路が断熱材1、温調部2または断熱材79等の保温部により保温される。
【0077】
この構成によれば、高温の試料ガスが排気管路77で冷却されて凝縮または凝固することが防止される。したがって、流路の詰まりが防止され、ガスクロマトグラフ100における熱伝導度検出器70の交換が不要となる。その結果、ガスクロマトグラフ100のランニングコストを低減することができる。
【0078】
[2]第2の実施の形態
(1)ガスクロマトグラフの構成の概略
第2の実施の形態に係るガスクロマトグラフについて、第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフ100と異なる点を説明する。図6は、第2の実施の形態に係るガスクロマトグラフの構成を示すブロック図である。図6に示すように、本実施の形態における熱伝導度検出器70は、断熱材1を含まない。また、熱伝導度検出器70の排気管路77は、固定部77aおよび着脱部77bを含む。
【0079】
なお、本実施の形態に係るガスクロマトグラフ100は、熱伝導度検出器70が断熱材1を含まない点、および排気管路77が固定部77aおよび着脱部77bを含む点を除き、図4または図5のガスクロマトグラフ100と同様の構成を有してもよい。
【0080】
固定部77aの一端は、ガス導出部74aに接続される。本例では、固定部77aは、ガス導出部74aに対して固定され、着脱不可能である。固定部77aの他端は、セルブロック78の外部に引き出される。本例では、固定部77aの他端は断熱材79から外方に突出しない。着脱部77bは、固定部77aに対して着脱可能に固定部77aの他端に接続される。熱伝導度検出器70において熱伝導度が測定された試料ガスは、固定部77aおよび着脱部77bを順次通して熱伝導度検出器70の外部に排出される。
【0081】
(2)排気管の変形例
図6の例においては、固定部77aの他端は断熱材79から外方に突出しないが、本発明はこれに限定されない。図7は、排気管路77の第1の変形例を示す模式図である。図7に示すように、固定部77aの他端は断熱材79から外方にわずかに突出してもよい。ここで、断熱材79から突出する固定部77aの部分の長さは、固定部77aから排出される試料ガスの温度が液化温度以下に低下しない長さに制限される。この場合、固定部77aを通過した試料ガスは、液化することなく着脱部77bに導かれ、着脱部77bを通過した後に熱伝導度検出器70の外部に排出される。
【0082】
図6および図7の例においては、排気管路77は固定部77aを含むが、本発明はこれに限定されない。図8は、排気管路77の第2の変形例を示す模式図である。図8に示すように、排気管路77は、固定部77aを含まず、着脱部77bのみを含む。着脱部77bは、ガス導出部74aに着脱可能に接続される。熱伝導度検出器70において熱伝導度が測定された試料ガスは、着脱部77bを通して熱伝導度検出器70の外部に排出される。
【0083】
(3)効果
本実施の形態に係る熱伝導度検出器70においては、流路の上流部がセルブロック78に収容され、流路の下流部の排気管路77はセルブロック78の外部にある。試料ガスの熱伝導度を検出するためのフィラメントF,F1,F2が、流路の上流部に収容される。流路を通して試料ガスが排気管路77に導かれる。排気管路77のうち、下流端を含む少なくとも一部分は着脱部77bを含み、固定部77aまたは第4の管路74等の流路の他の部分に対して着脱可能に設けられる。
【0084】
この構成によれば、排気管路77の下流部に詰まりが発生した場合でも、排気管路77のうち、下流端を含む少なくとも着脱部77bを交換することにより、熱伝導度検出器70を継続して使用することが可能になる。そのため、熱伝導度検出器70の全体の交換が不要となる。これにより、ガスクロマトグラフ100のランニングコストを低減することができる。また、ガスクロマトグラフ100のダウンタイムを短縮することができる。
[3]参考形態
(1)第1の参考形態に係る熱伝導度検出器は、ガスクロマトグラフ用の熱伝導度検出器であって、熱伝導度検出器は、第1の部分と第1の部分の下流の第2の部分とを有し、第1および第2の部分を通して試料ガスを第2の部分の排出口に導く流路と、第1の部分を収容するケーシングと、第1の部分に収容され、試料ガスの熱伝導度を検出するための発熱体と、第2の部分を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないように流路を保温する保温部とを備える。
この熱伝導度検出器においては、流路の第1の部分がケーシングに収容される。そのため、流路の第1の部分の下流の第2の部分はケーシングの外部にある。試料ガスの熱伝導度を検出するための発熱体が第1の部分に収容される。流路の第1および第2の部分を通して試料ガスが第2の部分の排出口に導かれる。第2の部分を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないように流路が保温部により保温される。
この構成によれば、高温の試料ガスが流路の下流部で冷却されて凝縮または凝固することが防止される。したがって、流路の詰まりが防止され、ガスクロマトグラフにおける熱伝導度検出器の交換が不要となる。その結果、ガスクロマトグラフのランニングコストを低減することができる。
(2)保温部は、ケーシングに取り付けられる第1の保温部と、第2の部分に取り付けられる第2の保温部とを含んでもよい。この場合、流路が全体的に保温される。これにより、流路の詰まりをより容易に防止することができる。
(3)保温部は、第2の部分を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないようにケーシングに取り付けられてもよい。この場合、第2の部分に保温部を取り付けることなく流路の詰まりを防止することができる。
(4)ケーシング外にある第2の部分の長さは、第2の部分から排出される試料ガスの温度が液化温度以下に低下しない長さに設定されてもよい。この場合、第2の部分に保温部を取り付けることなく流路の詰まりをより容易に防止することができる。
(5)保温部は、試料ガスとケーシングの外部との間を断熱する断熱材を含んでもよい。この場合、第2の部分を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないように流路を容易に保温することができる。
(6)保温部は、試料ガスの温度を調整する温調部を含んでもよい。この場合、第2の部分を通過する試料ガスの温度が当該試料ガスの液化温度以下に低下しないように流路を容易に保温することができる。
次に、本参考形態者は、流路の詰まりは流路の下流部に多発することに注目し、以下に示す参考形態を案出した。
(7)第2の参考形態に係る熱伝導度検出器は、ガスクロマトグラフ用の熱伝導度検出器であって、熱伝導度検出器は、第1の部分と第1の部分の下流の第2の部分とを有し、第1および第2の部分を通して試料ガスを第2の部分の排出口に導く流路と、第1の部分を収容するケーシングと、第1の部分に収容され、試料ガスの熱伝導度を検出するための発熱体とを備え、第2の部分のうち、下流端を含む少なくとも一部分は、流路の他の部分に対して着脱可能に設けられる。
この熱伝導度検出器においては、流路の第1の部分がケーシングに収容される。そのため、流路の第1の部分の下流の第2の部分はケーシングの外部にある。試料ガスの熱伝導度を検出するための発熱体が第1の部分に収容される。流路の第1および第2の部分を通して試料ガスが第2の部分の排出口に導かれる。流路の第2の部分のうち、下流端を含む少なくとも一部分は、流路の他の部分に対して着脱可能に設けられる。
この構成によれば、流路の下流部に詰まりが発生した場合でも、流路の第2の部分のうち、下流端を含む少なくとも一部分を交換することにより、熱伝導度検出器を継続して使用することが可能になる。そのため、熱伝導度検出器の全体の交換が不要となる。これにより、ガスクロマトグラフのランニングコストを低減することができる。また、ガスクロマトグラフのダウンタイムを短縮することができる。
(8)第3の参考形態に係るガスクロマトグラフは、試料を気化させることにより試料ガスを生成する試料気化部と、試料気化部により生成された試料ガスの成分を分離するカラムと、第1または第2の参考形態に係る熱伝導度検出器とを備え、熱伝導度検出器は、カラムにより分離された各成分の試料ガスの熱伝導度を検出する。
このガスクロマトグラフにおいては、試料気化部により試料が気化されることにより試料ガスが生成される。試料気化部により生成された試料ガスの成分がカラムにより分離される。カラムにより分離された各成分の試料ガスの熱伝導度が上記の熱伝導度検出器により検出される。
熱伝導度検出器においては、流路の詰まりが防止されるので、ガスクロマトグラフにおける熱伝導度検出器の交換が不要となる。あるいは、流路の下流部に詰まりが発生した場合でも、流路の第2の部分のうち、下流端を含む少なくとも一部分を交換することにより、熱伝導度検出器を継続して使用することが可能になる。これにより、ガスクロマトグラフのランニングコストを低減することができる。
【符号の説明】
【0085】
1,79…断熱材,2…温調部,3…取付部材,10…ガスタンク,20,50…流量調整部,30…試料気化部,40…カラム,60…切換弁,70…熱伝導度検出器,70H…加熱装置,71…第1の管路,72…第2の管路,73…第3の管路,73a…第1のガス導入部,73b…第2のガス導入部,73c…第3のガス導入部,74…第4の管路,74a…ガス導出部,75a,75b,91…キャリア導入管路,75c…ガス導入部,75d,75e,77e,92e…排出口,76…試料導入管路,77…排気管路,77a…固定部,77b…着脱部,78…セルブロック,80…制御部,91d,92d…下流端,91u,92u…上流端,92…ガス流通管,100…ガスクロマトグラフ,F,F1,F2…フィラメント
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8