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特許7259422相互見守りシステム、相互見守り方法、及び、見守りユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】相互見守りシステム、相互見守り方法、及び、見守りユニット
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20230411BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230411BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230411BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20230411BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20230411BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
A61B5/00 102C
A61B5/00 102B
A61B5/01 100
G16H50/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019041602
(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公開番号】P2020144670
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000107619
【氏名又は名称】スターライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】吉村 友男
(72)【発明者】
【氏名】奥島 規志
(72)【発明者】
【氏名】小野 義則
(72)【発明者】
【氏名】人見 直樹
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-192492(JP,A)
【文献】特開2019-021115(JP,A)
【文献】特開2004-030180(JP,A)
【文献】特開2013-022451(JP,A)
【文献】特開2016-037671(JP,A)
【文献】特開2017-070666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/01
G06Q50/22
G08B19/00-31/00
G16H10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の使用者がそれぞれ携帯する見守りユニットで構成される、相互見守りシステムであって、
前記見守りユニットは、
当該見守りユニットを携帯している当該使用者の異常を検知する、検知部と、
前記使用者の何れかに異常が発生した旨の異常発生情報を送受信する、通信部と、
前記使用者の何れかに異常が発生した旨を、当該見守りユニットを携帯している当該使用者に報知する、第一の報知部と、
当該使用者に異常が発生した旨を周囲に報知する、第二の報知部と、を備え、
それぞれの前記見守りユニットが備える前記通信部は、他の前記見守りユニットが備える前記通信部と、双方向通信機能により直接的に相互通信可能とされ、
一の使用者が携帯する一の見守りユニットにおいて、
前記一の使用者の異常を検知した前記検知部が前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記通信部が前記第一の報知部、前記第二の報知部、及び、少なくとも一つの他の見守りユニットにおける前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記第一の報知部及び前記第二の報知部が異常の発生を報知し、
他の使用者が携帯する他の見守りユニットにおいて、
前記一の見守りユニットにおける前記通信部から前記異常発生情報を受信した前記通信部が、前記第一の報知部に前記異常発生情報を送信し、前記第一の報知部が異常の発生を報知し、前記第二の報知部が異常の発生を報知しない、相互見守りシステム。
【請求項2】
前記一の見守りユニットにおける前記通信部から、前記第一の報知部及び前記第二の報知部に、一対一の無線通信を介して前記異常発生情報の送信を行い、
前記一の見守りユニットにおける前記通信部から、少なくとも一つの前記他の見守りユニットにおける前記通信部に、前記一対一の無線通信とは回線の異なる一対多数の広範囲無線通信を介して前記異常発生情報の送信を行う、請求項1に記載の相互見守りシステム。
【請求項3】
外部のネットワークに接続しない、請求項1又は請求項2に記載の相互見守りシステム。
【請求項4】
前記第一の報知部は、前記使用者の何れかに異常が発生した旨を報知するために、当該見守りユニットを携帯している当該使用者が視認可能に発光する、報知ランプであり、
前記第二の報知部は、当該使用者に異常が発生した旨を報知するために、当該使用者及び周囲が視認可能に発光する、特定ランプである、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の相互見守りシステム。
【請求項5】
前記第一の報知部は、前記一の使用者が視認可能な範囲に装着される、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の相互見守りシステム。
【請求項6】
前記検知部は、当該使用者の生体情報、及び/又は、当該使用者の周囲の環境情報に基づいて、当該使用者の異常を検知する、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の相互見守りシステム。
【請求項7】
前記検知部は、当該使用者における熱中症の危険性が高まったことに基づいて、当該使用者の異常を検知する、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の相互見守りシステム。
【請求項8】
複数の使用者がそれぞれ携帯する見守りユニットを用いた相互見守り方法であって、
前記見守りユニットは、
当該見守りユニットを携帯している当該使用者の異常を検知する、検知部と、
前記使用者の何れかに異常が発生した旨の異常発生情報を送受信する、通信部と、
前記使用者の何れかに異常が発生した旨を、当該見守りユニットを携帯している当該使用者に報知する、第一の報知部と、
当該使用者に異常が発生した旨を周囲に報知する、第二の報知部と、を備え、
それぞれの前記見守りユニットが備える前記通信部は、他の前記見守りユニットが備える前記通信部と、双方向通信機能により直接的に相互通信可能とされ、
一の使用者が携帯する一の見守りユニットにおいて、
前記一の使用者の異常を検知した前記検知部が前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記通信部が前記第一の報知部、前記第二の報知部、及び、少なくとも一つの他の見守りユニットにおける前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記第一の報知部及び前記第二の報知部が異常の発生を報知し、
他の使用者が携帯する他の見守りユニットにおいて、
前記一の見守りユニットにおける前記通信部から前記異常発生情報を受信した前記通信部が、前記第一の報知部に前記異常発生情報を送信し、前記第一の報知部が異常の発生を報知し、前記第二の報知部が異常の発生を報知しない、相互見守り方法。
【請求項9】
複数の使用者にそれぞれ携帯される見守りユニットであって、
当該見守りユニットを携帯している当該使用者の異常を検知する、検知部と、
前記使用者の何れかに異常が発生した旨の異常発生情報を送受信する、通信部と、
前記使用者の何れかに異常が発生した旨を、当該見守りユニットを携帯している当該使用者に報知する、第一の報知部と、
当該使用者に異常が発生した旨を周囲に報知する、第二の報知部と、を備え、
当該見守りユニットが備える前記通信部は、他の見守りユニットが備える通信部と、双方向通信機能により直接的に相互通信可能とされ、
一の使用者が携帯する一の見守りユニットにおいて、前記検知部が前記一の使用者の異常を検知した場合は、前記検知部が前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記通信部が前記第一の報知部、前記第二の報知部、及び、少なくとも一つの他の見守りユニットにおける前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記第一の報知部及び前記第二の報知部が異常の発生を報知し、
一の使用者が携帯する一の見守りユニットにおいて、前記通信部が前記少なくとも一つの他の見守りユニットにおける前記通信部から前記異常発生情報を受信した場合は、前記第一の報知部に前記異常発生情報を送信し、前記第一の報知部が異常の発生を報知し、前記第二の報知部が異常の発生を報知しない、見守りユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の生体情報及び環境情報を検出する各種センサの検出データに基づいて、使用者の状態を相互に見守るための、相互見守りシステム、相互見守り方法、及び、見守りユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者等の対象者が熱中症になる危険性を低減するために、対象者の体温等の情報を取得し、取得した情報に基づいて熱中症の危険性を報知するシステムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-210233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、熱中症の危険性を使用者等に報知する構成としている。しかし、現場において熱中症の危険性が高まった場合は意識レベルが低下していることがあるため、自身の熱中症の危険性に関する報知を認識できない場合がある。これにより、熱中症の危険性がある者に対して、周囲の者が迅速かつ適切な救護活動ができない場合があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、熱中症の危険性がある者の周囲の者に対して、熱中症の危険性がある者の存在、及び、その者がいる場所を報知し、周囲の者による救助を促して、熱中症の危険性が発生した際に迅速かつ適切に救護活動を行うことを可能とする、相互見守りシステム、相互見守り方法、及び、見守りユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題解決のために、以下の相互見守りシステムを構成した。
【0007】
(1)複数の使用者がそれぞれ携帯する見守りユニットで構成される、相互見守りシステムであって、前記見守りユニットは、当該見守りユニットを携帯している当該使用者の異常を検知する、検知部と、前記使用者の何れかに異常が発生した旨の異常発生情報を送受信する、通信部と、前記使用者の何れかに異常が発生した旨を、当該見守りユニットを携帯している当該使用者に報知する、第一の報知部と、当該使用者に異常が発生した旨を周囲に報知する、第二の報知部と、を備え、それぞれの前記見守りユニットが備える前記通信部は、他の前記見守りユニットが備える前記通信部と、双方向通信機能により直接的に相互通信可能とされ、一の使用者が携帯する一の見守りユニットにおいて、前記一の使用者の異常を検知した前記検知部が前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記通信部が前記第一の報知部、前記第二の報知部、及び、少なくとも一つの他の見守りユニットにおける前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記第一の報知部及び前記第二の報知部が異常の発生を報知し、他の使用者が携帯する他の見守りユニットにおいて、前記一の見守りユニットにおける前記通信部から前記異常発生情報を受信した前記通信部が、前記第一の報知部に前記異常発生情報を送信し、前記第一の報知部が異常の発生を報知し、前記第二の報知部が異常の発生を報知しない、相互見守りシステム。
【0008】
(2)前記一の見守りユニットにおける前記通信部から、前記第一の報知部及び前記第二の報知部に、一対一の無線通信を介して前記異常発生情報の送信を行い、前記一の見守りユニットにおける前記通信部から、少なくとも一つの前記他の見守りユニットにおける前記通信部に、前記一対一の無線通信とは回線の異なる一対多数の広範囲無線通信を介して前記異常発生情報の送信を行う、(1)に記載の相互見守りシステム。
【0009】
(3)外部のネットワークに接続しない、(1)又は(2)に記載の相互見守りシステム。
【0010】
(4)前記第一の報知部は、前記使用者の何れかに異常が発生した旨を報知するために、当該見守りユニットを携帯している当該使用者が視認可能に発光する、報知ランプであり、前記第二の報知部は、当該使用者に異常が発生した旨を報知するために、当該使用者及び周囲が視認可能に発光する、特定ランプである、(1)から(3)の何れか一に記載の相互見守り
システム。
【0011】
(5)前記第一の報知部は、前記一の使用者が視認可能な範囲に装着される、(1)から(4)の何れか一に記載の相互見守りシステム。
【0012】
(6)前記検知部は、当該使用者の生体情報、及び/又は、当該使用者の周囲の環境情報に基づいて、当該使用者の異常を検知する、(1)から(5)の何れか一に記載の相互見守りシステム。
【0013】
(7)前記検知部は、当該使用者における熱中症の危険性が高まったことに基づいて、当該使用者の異常を検知する、(1)から(6)の何れか一に記載の相互見守りシステム。
【0014】
また、本発明は、前述の課題解決のために、以下の相互見守り方法を構成した。
【0015】
(8)複数の使用者がそれぞれ携帯する見守りユニットを用いた相互見守り方法であって、前記見守りユニットは、当該見守りユニットを携帯している当該使用者の異常を検知する、検知部と、前記使用者の何れかに異常が発生した旨の異常発生情報を送受信する、通信部と、前記使用者の何れかに異常が発生した旨を、当該見守りユニットを携帯している当該使用者に報知する、第一の報知部と、当該使用者に異常が発生した旨を周囲に報知する、第二の報知部と、を備え、それぞれの前記見守りユニットが備える前記通信部は、他の前記見守りユニットが備える前記通信部と、双方向通信機能により直接的に相互通信可能とされ、一の使用者が携帯する一の見守りユニットにおいて、前記一の使用者の異常を検知した前記検知部が前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記通信部が前記第一の報知部、前記第二の報知部、及び、少なくとも一つの他の見守りユニットにおける前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記第一の報知部及び前記第二の報知部が異常の発生を報知し、他の使用者が携帯する他の見守りユニットにおいて、前記一の見守りユニットにおける前記通信部から前記異常発生情報を受信した前記通信部が、前記第一の報知部に前記異常発生情報を送信し、前記第一の報知部が異常の発生を報知し、前記第二の報知部が異常の発生を報知しない、相互見守り方法。
【0016】
また、本発明は、前述の課題解決のために、以下の見守りユニットを構成した。
【0017】
(9)複数の使用者にそれぞれ携帯される見守りユニットであって、当該見守りユニットを携帯している当該使用者の異常を検知する、検知部と、前記使用者の何れかに異常が発生した旨の異常発生情報を送受信する、通信部と、前記使用者の何れかに異常が発生した旨を、当該見守りユニットを携帯している当該使用者に報知する、第一の報知部と、当該使用者に異常が発生した旨を周囲に報知する、第二の報知部と、を備え、当該見守りユニットが備える前記通信部は、他の見守りユニットが備える通信部と、双方向通信機能により直接的に相互通信可能とされ、一の使用者が携帯する一の見守りユニットにおいて、前記検知部が前記一の使用者の異常を検知した場合は、前記検知部が前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記通信部が前記第一の報知部、前記第二の報知部、及び、少なくとも一つの他の見守りユニットにおける前記通信部に前記異常発生情報を送信し、前記異常発生情報を受信した前記第一の報知部及び前記第二の報知部が異常の発生を報知し、一の使用者が携帯する一の見守りユニットにおいて、前記通信部が前記少なくとも一つの他の見守りユニットにおける前記通信部から前記異常発生情報を受信した場合は、前記第一の報知部に前記異常発生情報を送信し、前記第一の報知部が異常の発生を報知し、前記第二の報知部が異常の発生を報知しない、見守りユニット。

【発明の効果】
【0018】
本発明に係る相互見守りシステム、相互見守り方法、及び、見守りユニットによれば、熱中症の危険性がある者の周囲の者に対して、熱中症の危険性がある者の存在、及び、その者がいる場所を報知し、周囲の者による救助を促して、熱中症の危険性が発生した際に迅速かつ適切に救護活動を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る相互見守りシステムの構成を示すブロック図。
図2】使用者がウェアラブル機器を装着した状態を示す側面図。
図3】ウェアラブル機器の平面図。
図4】検知部の具体的構成を示すブロック図。
図5】(a)はひたい温度と生体情報点数との関係を示す図、(b)はWBGTと環境情報点数との関係を示す図、(c)は経過時間と時間係数との関係を示す図。
図6】熱中症危険度判定の手順を示すフローチャート。
図7】(a)及び(b)はそれぞれ第一実施例及び第二実施例に係る熱中症危険度算出モデルを示した図。
図8】(a)及び(b)はそれぞれ平常時及び熱中症発生時における相互見守りシステムの運用状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る相互見守りシステム1の構成を示すブロック図、図2は、相互見守りシステム1の使用者(以下、単に「使用者」と記載する)が装着するウェアラブル機器の一例であるヘルメット6を示す側面図、図3はヘルメット6を示す平面図、図4は検知部2等の具体的構成を示すブロック図である。
【0022】
本実施形態に係る相互見守りシステム1は、図1に示すように、複数の使用者がそれぞれ携帯する見守りユニットUで構成される。相互見守りシステム1は、使用者の何れかに異常(本実施形態においては熱中症の危険性の上昇)が生じた場合に、相互見守りシステム1の使用者に異常の発生、及び、異常が発生した使用者を報知するように構成されている。なお、相互見守りシステム1で検知する使用者の異常は、熱中症の危険性の上昇に限定されることはなく、他の体調不良等を検知する構成とすることも可能である。
【0023】
図1においては、四人の使用者がそれぞれ携帯する見守りユニットU1~U4を示している。なお、相互見守りシステム1において、使用者及び見守りユニットUは複数であればよく、その数は限定されるものではない。本実施形態における見守りユニットUは図2に示す如く、使用者が装着するウェアラブル機器の一例であるヘルメット6として構成されている。それぞれの見守りユニットUは構成及び機能が同じであるため、以下では見守りユニットU1について説明し、他の見守りユニットU2~U4については詳細な説明を省略する。
【0024】
図1に示す如く、見守りユニットU1を構成するヘルメット6は、検知部2と、通信部4と、第一の報知部である報知ランプ7と、第二の報知部である特定ランプ8と、を備えている。検知部2及び通信部4は、図2及び図3に示す如くヘルメット6に設けられたケースCの内部に収容されている。検知部2は、見守りユニットU1を携帯している使用者の異常を検知する。通信部4は、使用者の何れかに異常が発生した旨の異常発生情報を、通信回線10等を介して送受信する。第一の報知部である報知ランプ7は、使用者の何れかに異常が発生した旨を、見守りユニットU1を携帯している使用者に報知する(図8(b)を参照)。第二の報知部である特定ランプ8は、見守りユニットU1を携帯している使用者に異常が発生した旨を周囲に報知し、異常が生じた者を特定させる(図8(b)を参照)。
【0025】
図1及び図4に示す如く検知部2は、生体情報取得部21及び環境情報取得部22と、見守り制御部3と、を備える。生体情報取得部21及び環境情報取得部22は、ヘルメット6に備えられて使用者の生体情報及び環境情報に関するデータを検出する各種センサである。見守り制御部3は、アプリケーションプログラム(熱中症危険度算出プログラム)がインストールされた制御部である。熱中症危険度算出プログラムは見守り制御部3における各構成要素が備える記憶部に記憶される。
【0026】
生体情報取得部21及び環境情報取得部22は、図2に示す如く、工場や工事現場あるいは山林等で作業する作業者等である使用者が頭部に装着するヘルメット6に設けられている。なお、生体情報取得部21及び環境情報取得部22を、ヘルメット6とは異なる他の物品(例えば、使用者が身に着ける上着やベルト、帽子等)に設けることも可能である。
【0027】
本実施形態においては図2及び図3に示す如く、生体情報取得部21はヘルメット6のヘッドバンド61の前部に設けられ、使用者の生体情報を所定の計測時間毎に取得する。本実施形態における生体情報取得部21は、使用者のひたいに接触する電極を有する皮膚表面温度センサであり、使用者のひたい温度に関する生体情報を1分毎に取得する。
【0028】
なお、生体情報取得部21において、使用者のひたい以外の箇所における皮膚接触温度又は体内温度等の温度を取得し、使用者の脈波、脳波、又は血流等、他の様々の情報を取得し、又は、これらを組み合わせることにより、生体情報として使用することも可能である。ただし、熱中症の発症リスクとの相関性の高さから、生体情報として使用者の体温を、温度センサを用いて取得する構成が好ましい。また、危険を伴う作業を行う作業者にとって、体内に器具を入れる必要がないという安全性の観点、及び、測定の容易性の観点から、使用者が身に着けるウェアラブル機器に皮膚表面温度センサを設けて使用者の体温を取得する構成がより好ましい。加えて、熱中症の影響が最も大きい脳に近い部分で生体情報を測定するという観点より、使用者の体温はヘルメット6のひたい部分に接触温度センサを設けて皮膚接触温度を測定する構成がより好ましい。
【0029】
本実施形態において、環境情報取得部22はヘルメット6に設けられたケースCの内部に収容されており、使用者の周囲における環境情報を所定の計測時間毎に取得する。本実施形態における環境情報取得部22は、外気温を1分毎に取得する温度センサ、及び外湿度を1分毎に取得する湿度センサ等で構成されている。
【0030】
環境情報取得部22は、取得した外気温と外湿度とから、暑さ指数として知られているWBGT指数(湿球黒球温度)の近似値(以下、単に「WBGT」と記載する)を1分毎に算出している。WBGT指数とは、人体が受ける熱ストレスの大きさを、気温・湿度・風速・輻射熱を考慮して指数化したものであり、この値が大きい場合には、作業やスポーツを休止することが望ましいとされている。なお、環境情報取得部22において、外気温及び外湿度以外に、日射強度、天気、照度等を取得し、時刻や位置情報等の様々の情報を取得し、又は、これらを組み合わせることにより、環境情報として使用することも可能である。但し、測定の簡易性の観点から、環境情報は使用者の周囲の気温と湿度とに基づいて算出することが好ましい。
【0031】
見守り制御部3は図4に示す如く、使用者点数算出部31と、判定点数算出部32と、判定部33と、を備え、各部は図示しない記憶部(メモリ等)及び演算部(CPU等)を具備する。以下、各部について具体的に説明する。
【0032】
使用者点数算出部31は、生体情報取得部21で取得した使用者の生体情報(本実施形態においては使用者のひたい温度)と、環境情報取得部22で取得した環境情報(本実施形態においては使用者の周囲のWBGT)と、に基づいて、使用者点数を計測時間(1分)毎に算出する。
【0033】
具体的には図5(a)に示す如く、使用者点数算出部31の記憶部には、生体情報取得部21で取得した生体情報データ(使用者のひたい温度)に対応して予め設定された点数(以下、「生体点数」と記載する)が記憶されている。また、図5(b)に示す如く、使用者点数算出部31の記憶部には、環境情報取得部22で取得した環境情報データ(WBGT)に対応して予め設定された点数(以下、「環境点数」と記載する)が記憶されている。そして、使用者点数算出部31の演算部において、受信した生体情報データに対応する生体点数と、受信した環境情報データに対応する環境点数と、を足し合わせることにより、使用者点数を計測時間毎に算出するのである。
【0034】
例えば、生体情報取得部21で取得した使用者のひたい温度が36℃の場合、図5(a)に示す如く生体点数は6となる。また、環境情報取得部22で取得したWBGTが29℃の場合、図5(b)に示す如く環境点数は5となる。この場合、使用者点数は6+5=11となる。
【0035】
本実施形態に係る相互見守りシステム1において、使用者点数算出部31は、生体情報及び環境情報の値が、予め設定した設定値から遠いほど、使用者点数を高く算出するように設定されている。具体的には図5(a)に示す如く、使用者点数算出部31の記憶部には、生体情報データ(ひたい温度)が高くなるほど生体点数が高くなるように設定されている。本実施形態において、生体情報データの設定値は30℃に設定している。また、図5(b)に示す如く、使用者点数算出部31の記憶部には、環境情報データ(WBGT)が高くなるほど環境点数が高くなるように設定されている。本実施形態において、環境情報データの設定値は10℃に設定している。
【0036】
なお、本実施形態において、使用者点数は生体点数と環境点数との和で算出しているが、使用者点数の算出方法はこれに限定されるものではない。例えば、生体点数と環境点数とのうち何れか一方のみを用いる方法や、生体点数と環境点数とを所定の演算式に代入する方法により、使用者点数を算出することも可能である。
【0037】
判定点数算出部32は、使用者点数算出部31で算出した使用者点数と、現在から過去に遡った経過時間毎に設定された時間係数と、から算出される値の累積により、判定点数を計測時間毎に算出する。
【0038】
具体的には図5(c)に示す如く、判定点数算出部32の記憶部には、現在から過去に遡った経過時間に対応して予め設定された係数(以下、「時間係数」と記載する)が記憶されている。そして、判定点数算出部32の演算部において、使用者点数算出部31で算出した使用者点数と、経過時間毎に設定された時間係数と、の積の累積により、計測時間毎に判定点数を算出するのである。
【0039】
例えば、過去240分間の全てで生体点数と環境点数との両方が最高値の12であった場合、使用者点数は常に24となる。このため、理論上の判定点数の最高値は24×0.5×60分+24×1.0×60分+24×1.5×60分+24×2.0×60分=7200となる。
【0040】
本実施形態に係る相互見守りシステム1において、判定点数算出部32において用いられる時間係数は、経過時間が過去に遡るほど小さくなるように設定されている。具体的には図5(c)に示す如く、判定点数算出部32の記憶部には、経過時間が60分未満であれば時間係数が2.0に設定され、以下同様に120分未満で1.5、180分未満で1.0、240分未満で0.5、240分以上で0となるように設定されている。
【0041】
なお、本実施形態において、判定点数は使用者点数と時間係数との積の累積値として算出しているが、判定点数の算出方法はこれに限定されるものではない。例えば、使用者点数と時間係数とを所定の演算式に代入して得られる値を累積することにより判定点数を算出することも可能である。
【0042】
判定部33は、判定点数算出部32で算出した判定点数が予め設定した閾値を超えている否かを判定する。具体的には、判定点数が閾値未満であれば「安全」、判定点数が閾値以上であれば「危険」と判定するのである。判定部33が「危険」と判断した場合、検知部2は使用者に異常が発生した旨の異常発生情報を通信部4に送信する。本実施形態においては、閾値を5000に設定し、判定点数が閾値未満(5000未満)であれば「安全」、判定点数が閾値以上(5000以上)であれば「危険」と判定するように構成している。
【0043】
図1に示す如く、見守りユニットUにおける通信部4は、通信回線10を介して、他の見守りユニットUにおける通信部4との間でデータのやり取りを行う双方向通信機能を有している。相互見守りシステム1において、通信部4同士の通信には一対多数の広範囲無線通信が採用される。具体的に、通信部4同士の通信方法としてはBluetooth(登録商標)が採用される。通信部4同士の通信方法は、Wi-Fi(登録商標)、無線LAN、ZigBee(登録商標)、NFC等を採用することも可能である。通信部4同士の通信方法は、400m通信可能で、ブロードキャスト通信できるという観点よりBluetoothが好適である。
【0044】
また、通信部4は、異常発生情報を報知ランプ7及び特定ランプ8に送信するための送信機能を有している。通信部4と報知ランプ7及び特定ランプ8との通信には一対一の近距離無線通信が採用される。具体的に、通信部4と報知ランプ7及び特定ランプ8との通信方法としては、通信部4同士の通信と同じくBluetoothが採用される。通信部4と報知ランプ7及び特定ランプ8との通信は、30m通信可能で、数mの範囲で省電力という観点よりANTを採用することも可能である。本実施形態においては、通信部4と報知ランプ7及び特定ランプ8との通信を無線とすることにより、見守りユニットUを使用する際に配線が邪魔になることを防止している。
【0045】
第一の報知部である報知ランプ7、及び、第二の報知部である特定ランプ8は、LEDを用いた発光部材である。第一の報知部及び第二の報知部としては、発光部材以外にも、ブザー等の発声部材、バイブレーター等の発振部材、発熱部材、ディスプレイ等の表示部材、臭いの発生部材等を、単体により又は組み合わせて採用することが可能である。また、第一の報知部と第二の報知部とで報知方式が異なっていても差し支えない。本実施形態において、第一の報知部及び第二の報知部としては、音や振動の多い作業現場であっても認識可能な発光部材である報知ランプ7及び特定ランプ8が採用されている。
【0046】
図2及び図3に示す如く、報知ランプ7はヘルメット6を装着している使用者本人が視認できる箇所(本実施形態においては、ヘルメット6における庇の下面部分)に固定される。また、特定ランプ8はヘルメット6において他の使用者が視認しやすい箇所(本実施形態においては、ヘルメット6の後部)に固定される。
【0047】
報知ランプ7は、使用者本人が視認できる箇所であれば、ヘルメット6以外の衣服等に固定することも可能である。また、特定ランプ8は、他の使用者が視認しやすい箇所であれば、ヘルメット6以外の衣服等に固定することも可能である。報知ランプ7及び特定ランプ8は、ヘルメット6以外の衣服等に固定することも可能である。報知ランプ7及び特定ランプ8の固定手段は、クリップ、螺子、面ファスナー、マグネット、両面テープ、スナップピン等何でも良いが、着け外しが容易なクリップを採用することが好適である。
【0048】
報知ランプ7及び特定ランプ8の大きさは小型(20mm~50mm×20mm~60mm)のものが携帯性、着用性に優れるため好適である。また、報知ランプ7及び特定ランプ8の形状は丸型、多角形等何でも良く、特に配光、防水性、最小化という理由で丸形が好適である。
【0049】
上記の如く構成した相互見守りシステム1で行われる相互見守り方法(より具体的には、相互見守り方法で実行する熱中症危険度判定)について、図7(a)に示す第一実施例データを用いて具体的に説明する。以下では、見守りユニットU1における処理を中心に説明する。
【0050】
まず、検知部2における生体情報取得部21において、使用者が身に着けているヘルメット6で測定した使用者の生体情報であるひたい温度を、1分毎に取得する(生体情報取得工程、図6中のステップS01)。本実施例においては説明の便宜上、図7(a)に示す如く、過去60分以内のひたい温度が36℃で一定であったものとする。そして、以下同様に、過去60分以上120分未満において37℃、過去120分以上180分未満において37℃、過去180分以上240分未満において36℃、過去240分以上経過した時間帯において36℃で一定のデータが取得されたものとする。
【0051】
生体情報取得工程と並行して、環境情報取得部22において、使用者の周囲の環境情報であるWBGTを、1分毎に取得する(環境情報取得工程、図6中のステップS02)。本実施例においては説明の便宜上、図7(a)に示す如く、過去60分以内のWBGTが28℃で一定であったものとする。そして、以下同様に、過去60分以上120分未満において33℃、過去120分以上180分未満において32℃、過去180分以上240分未満において31℃、過去240分以上経過した時間帯において29℃で一定のWBGTのデータが取得されたものとする。
【0052】
次に、使用者点数算出部31において、ひたい温度及びWBGTに基づいて、使用者点数を1分毎に算出する(使用者点数算出工程、図6中のステップS03)。具体的には図7(a)に示す如く、生体情報データであるひたい温度に対応する生体点数と、環境情報データであるWBGTに対応する環境点数と、を足し合わせることにより、使用者点数を計測時間毎に算出する。本実施例においては、過去60分以内の使用者点数は毎分10であり、以下同様に、過去60分以上120分未満において14、過去120分以上180分未満において13、過去180分以上240分未満において12、過去240分以上経過した時間帯において11となる。
【0053】
次に、判定点数算出部32において、使用者点数と、現在から過去に遡った経過時間毎に設定された時間係数と、から算出される値の累積により、判定点数を1分毎に算出する(判定点数算出工程、図6中のステップS04)。具体的には、使用者点数算出部31で算出した使用者点数と、経過時間毎に設定された時間係数と、の積を累積する。本実施形態において、経過時間が60分未満の時間係数が2.0に設定され、以下同様に120分未満において1.5、180分未満において1.0、240分未満において0.5、240分以上において0となるように設定されている。このため、各時間帯における毎分の使用者点数と時間係数との積は図7(a)に示す如く、過去60分以内において20、過去60分以上120分未満において21、過去120分以上180分未満において13、過去180分以上240分未満において6、過去240分以上経過した時間帯において0となる。そして、それぞれの時間帯における60分間の累積値は、順に1200、1260、780、360、0となるため、これらを合計した判定点数は3600となる。
【0054】
次に、判定部33において、判定点数算出部32で算出した判定点数が予め設定した閾値を超えている否かを判定する(熱中症危険度判定工程、図6中のステップS05)。具体的には、判定点数が閾値未満(5000未満)であれば「安全」、判定点数が閾値以上(5000以上)であれば「危険」と判定する。本実施例においては、判定点数が3600であるため、判定部33において「安全」と判定される。
【0055】
本実施例の如く、判定部33において「安全」と判断された場合、判定部33は使用者に異常(熱中症の危険性の上昇)は発生していないと判断し、異常発生情報を送信しない。この場合、図8(a)に示す如く、何れの見守りユニットU1~U4においても、報知ランプ7及び特定ランプ8は発光しない。なお、説明の便宜上、図8(a)及び(b)において特定ランプ8はヘルメット6の側部に図示している。また、図8(a)及び(b)において、見守りユニットU1~U4の通信部4は互いに双方向通信可能な状態にあるものとする。
【0056】
次に、図7(b)に示す第二実施例データについて説明する。なお、以下の実施例データにおける判定手順は上記第一実施例データと同様であるため、各種データの算出方法等の詳細な手順は説明を省略する。
【0057】
本実施例における生体情報取得工程では、図7(b)に示す如く、過去60分以内のひたい温度が39℃で一定であったものとする。そして、以下同様に、過去60分以上120分未満において39℃、過去120分以上180分未満において38℃、過去180分以上240分未満において36℃、過去240分以上経過した時間帯において36℃で一定のデータが取得されたものとする。即ち本実施例では、過去から現在に近づくにつれてひたい温度が上昇傾向にあるものとする。
【0058】
また、環境情報取得工程では、図7(b)に示す如く、過去60分以内のWBGTが38℃で一定であったものとする。そして、以下同様に、過去60分以上120分未満において37℃、過去120分以上180分未満において35℃、過去180分以上240分未満において31℃、過去240分以上経過した時間帯において29℃で一定のWBGTのデータが取得されたものとする。即ち本実施例では、過去から現在に近づくにつれてWBGTが上昇傾向にあるものとする。
【0059】
次に、使用者点数算出工程では、図7(b)に示す如く、過去60分以内の使用者点数は毎分18であり、以下同様に、過去60分以上120分未満において18、過去120分以上180分未満において16、過去180分以上240分未満において12、過去240分以上経過した時間帯において11となる。
【0060】
次に、判定点数算出工程では、図7(b)に示す如く、過去60分以内において36、過去60分以上120分未満において27、過去120分以上180分未満において16、過去180分以上240分未満においてで6、過去240分以上経過した時間帯において0となる。そして、それぞれの時間帯における60分間の累積値は、順に2160、1620、960、360、0となるため、これらを合計した判定点数は5100となる。
【0061】
次に、熱中症危険度判定工程では、本実施例の判定点数が閾値以上(5000以上)の5100であるため、判定部33において「危険」と判定される。本実施例の如く、判定部33において「危険」と判断された場合、判定部33は使用者に異常(熱中症の危険性の上昇)が発生したと判断し、通信部4に異常発生情報を送信する。同じ見守りユニットUにおける検知部2から異常発生情報を受信した通信部4は、見守りユニットU1における報知ランプ7と特定ランプ8、及び、他の見守りユニットU2~U4における通信部4に異常発生情報を送信する。
【0062】
図8(b)に示す如く、見守りユニットU1において異常発生情報を受信した報知ランプ7と特定ランプ8とは、発光することにより使用者の熱中症の危険性が高まったことを報知する。見守りユニットU1の使用者は、自身が携帯する見守りユニットU1の報知ランプ7と特定ランプ8とが発光していることを視認することにより、自分の熱中症の危険性が高いことを認識する。
【0063】
他の見守りユニットU2~U4においては、見守りユニットU1における通信部4から異常発生情報を受信した通信部4が、報知ランプ7に異常発生情報を送信する。即ち、通信部4は、他の見守りユニットUにおける通信部4から通信回線10を介して異常発生情報を受信した場合、報知ランプ7のみに異常発生情報を送信する。そして、図8(b)に示す如く、他の見守りユニットU2~U4における報知ランプ7が発光することにより何れかの使用者の熱中症の危険性が高まったことを報知する。
【0064】
見守りユニットU2~U4の使用者は、自身の報知ランプ7が発光していること、及び、自身の特定ランプ8が発光していないことを視認することにより、自分以外の使用者において熱中症の危険性が高まったことを認識する。そして、見守りユニットU2~U4の使用者は、見守りユニットU1の使用者の特定ランプ8が発光していることを視認することにより、熱中症の危険性が高い者を特定するとともに、当該使用者の熱中症の危険性が高まったことを認識する。
【0065】
この際、見守りユニットU1における報知ランプ7の光り方と、他の見守りユニットU2~U4における報知ランプ7の光り方とを変えることもできる。例えば、見守りユニットU1における報知ランプ7を継続して発光し、他の見守りユニットU2~U4における報知ランプ7を点滅して発光するように構成することや、見守りユニットU1における報知ランプ7の発光強度を強くし、他の見守りユニットU2~U4における報知ランプ7の発光強度を弱くすることも可能である。これにより、見守りユニットU1の使用者は、自身が携帯する報知ランプ7の継続的な発光や発光の強弱の程度を視認することにより、自分の熱中症の危険性が高いことを認識する。また、見守りユニットU2~U4の使用者は、自身が携帯する報知ランプ7の点滅的な発光や発光の強弱の程度を視認することにより、自分以外の使用者の熱中症の危険性が高いことを認識する。また、同様に報知ランプ7の光り方と特定ランプ8の光り方とを変えることもできる。これにより、製造コストを抑えるために、報知ランプ7の光り方と特定ランプ8を構成する部材を同一とした場合であっても、報知ランプ7と特定ランプ8を区別する事ができる。
【0066】
上記の如く、本実施形態に係る相互見守りシステム1によれば、熱中症の危険性がある者(見守りユニットU1の使用者)の周囲の者(見守りユニットU2~U4の使用者)に対して、熱中症の危険性がある者の存在、及び、その者がいる場所を報知する構成としている。換言すれば、相互見守りシステム1においては、見守りユニットU1における通信部4と通信可能な位置(熱中症の危険性がある者の近傍)にいる他の見守りユニットU2~U4の通信部4に異常発生情報を送信する構成としている。これにより、周囲の者による救助を促して、熱中症の危険性が高まった際に迅速かつ適切に救護活動を行うことを可能としている。
【0067】
また、本実施形態に係る相互見守りシステム1において、見守りユニットU1における通信部4から、報知ランプ7及び特定ランプ8に、一対一の無線通信を介して異常発生情報の送信を行っている。また、見守りユニットUにおける通信部4は、他の見守りユニットUにおける通信部4に対して、一対多数の広範囲無線通信を介して異常発生情報の送信を行っている。このように、それぞれの回線を異ならせることにより、通信部4から異常発生情報の送信を行う際に、複雑なスイッチングを行う必要がないようにしている。また、通信範囲の異なる無線通信を使い分ける事により、省電力化しつつ、装置の小型化が可能となる。さらに、一対多数の広範囲無線通信を介して異常発生情報の送信を行っているため、ID登録の必要がなく、見守りユニットの増設や交換が容易となる。
【0068】
また、本実施形態に係る相互見守りシステム1は上記の如く、外部のネットワークに接続しないスタンドアローン方式で構成されている。これにより、インターネット回線等の外部ネットワークに接続することなく動作させることができる。また、外部ネットワークの影響を受けることがないため、処理速度等の動作を安定させることができる。また、管理サーバー等が不要となり、システム全体を簡易な構成とすることができるため、消費電力を少なくすることができるとともに、製造コストを抑制することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態に係る相互見守りシステム1において、第一の報知部、及び/又は、第二の報知部は、発光部材、発声部材、又は、発振部材の少なくとも一つが採用される。これにより、見守りユニットUの使用態様に応じて、使用者に対して異常の発生を適切に報知することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態に係る相互見守りシステム1の見守りユニットUにおいて、第一の報知部である報知ランプ7は、当該見守りユニットUを携帯している使用者が視認可能な範囲に装着される。これにより、相互見守りシステム1における何れかの使用者の熱中症の危険性が高まったことを、その者の周囲の使用者に対して即座に報知することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態に係る相互見守りシステム1の見守りユニットUにおいて、検知部2は、使用者の生体情報、及び/又は、使用者の周囲の環境情報に基づいて、使用者の異常を検知する構成としている。これにより、使用者自身に生じる異常(本実施形態においては熱中症)の発生の有無を検知することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る相互見守りシステム1の見守りユニットUにおいて、検知部2は、使用者における熱中症の危険性が高くなる事に基づいて、使用者の異常を検知する構成としている。これにより、相互見守りシステム1の使用者における熱中症の危険性が高まったことを迅速に検知し、周囲の者による適切な救護活動を行うことを可能としている。
【符号の説明】
【0073】
1 相互見守りシステム 2 検知部
3 見守り制御部 4 通信部
6 ヘルメット(ウェアラブル機器)
7 報知ランプ 8 特定ランプ
10 通信回線 21 生体情報取得部
22 環境情報取得部 31 使用者点数算出部
32 判定点数算出部 33 判定部
61 ヘッドバンド U 見守りユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8