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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】外装部材付き配線部材
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230411BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20230411BHJP
   H01B 7/40 20060101ALI20230411BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20230411BHJP
   H01B 13/012 20060101ALI20230411BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20230411BHJP
   H02G 3/32 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
H02G3/04
H01B7/00 301
H01B7/40 307Z
H01B7/18 G
H01B13/012 Z
F16B2/08 U
H02G3/32
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019103201
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020145911
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/008754
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】江端 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梅原 拓
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼倉 龍太
(72)【発明者】
【氏名】荒井 健太
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 心優
(72)【発明者】
【氏名】安田 傑
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 大地
(72)【発明者】
【氏名】水野 芳正
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-320544(JP,A)
【文献】特開平09-097520(JP,A)
【文献】特開平07-220528(JP,A)
【文献】特開2012-099367(JP,A)
【文献】特開2010-282773(JP,A)
【文献】特開2000-165061(JP,A)
【文献】特表2014-517446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H01B 7/00
H01B 7/40
H01B 7/18
H01B 13/012
F16B 2/08
H02G 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線部材と外装部材とを備え、
前記配線部材は複数の線状伝送部材とベース材とを含み、
前記複数の線状伝送部材は並んだ状態で前記ベース材に固定されており、
前記外装部材は取付部を含み、
前記取付部が前記配線部材のうち幅が縮められた領域に取付けられており、
前記取付部が前記配線部材に取付けられた状態で前記配線部材の幅が縮められた状態に維持されており、
前記取付部が取付けられた領域において、前記取付部と前記ベース材とのうち少なくとも一方が、前記複数の線状伝送部材を長手方向に沿って全体的に包んでおり、
前記配線部材の幅が縮められた領域において前記配線部材は一側部及び他側部においてそれぞれ別々に横断面が渦巻状に巻かれた状態となっている、外装部材付き配線部材。
【請求項2】
配線部材と外装部材とを備え、
前記配線部材は複数の線状伝送部材とベース材とを含み、
前記複数の線状伝送部材は並んだ状態で前記ベース材に固定されており、
前記外装部材は取付部を含み、
前記取付部が前記配線部材のうち幅が縮められた領域に取付けられており、
前記取付部が前記配線部材に取付けられた状態で前記配線部材の幅が縮められた状態に維持されており、
前記取付部が取付けられた領域において、前記取付部と前記ベース材とのうち少なくとも一方が、前記複数の線状伝送部材を長手方向に沿って全体的に包んでおり、
前記外装部材は固定部材であり、
前記固定部材は、前記取付部と前記取付部に連なり前記配線部材の固定対象に固定される固定部とを有し、
前記配線部材の幅が縮められた領域において前記ベース材が前記複数の線状伝送部材を囲うように曲がっており、
前記固定部材は、前記取付部と前記固定部とが一体成形された成形品であり、
前記取付部は、環状状態と非環状状態との間で状態変更可能であり環状状態で前記配線部材を包囲している環状部と、前記環状部の一端部に設けられて前記環状部の他端部を留めて前記環状部を前記環状状態に維持する環状維持部とを有し、
前記配線部材のうち前記環状部と接触する部分が接触領域とされ、前記環状部と接触しない部分が非接触領域とされたときに、
前記環状部に対する前記接触領域の少なくとも一部の外面における摩擦係数が、前記環状部に対する前記非接触領域の外面における摩擦係数よりも高い、外装部材付き配線部材。
【請求項3】
配線部材と外装部材とを備え、
前記配線部材は複数の線状伝送部材とベース材とを含み、
前記複数の線状伝送部材は並んだ状態で前記ベース材に固定されており、
前記外装部材は取付部を含み、
前記取付部が前記配線部材のうち幅が縮められた領域に取付けられており、
前記取付部が前記配線部材に取付けられた状態で前記配線部材の幅が縮められた状態に維持されており、
前記取付部が取付けられた領域において、前記取付部と前記ベース材とのうち少なくとも一方が、前記複数の線状伝送部材を長手方向に沿って全体的に包んでおり、
前記外装部材は固定部材であり、
前記固定部材は、前記取付部と前記取付部に連なり前記配線部材の固定対象に固定される固定部とを有し、
前記配線部材の幅が縮められた領域において前記ベース材が前記複数の線状伝送部材を囲うように曲がっており、
前記固定部材は、前記取付部と前記固定部とが一体成形された成形品であり、
前記取付部は、環状状態と非環状状態との間で状態変更可能であり環状状態で前記配線部材を包囲している環状部と、前記環状部の一端部に設けられて前記環状部の他端部を留めて前記環状部を前記環状状態に維持する環状維持部とを有し、
前記ベース材の外周部に固定されて前記環状部と前記ベース材との間に介在する介在部材をさらに備え、
前記環状部に対する前記介在部材の外面における摩擦係数が、前記環状部に対する前記ベース材の外面における摩擦係数よりも高い、外装部材付き配線部材。
【請求項4】
配線部材と外装部材とを備え、
前記配線部材は複数の線状伝送部材とベース材とを含み、
前記複数の線状伝送部材は並んだ状態で前記ベース材に固定されており、
前記外装部材は取付部を含み、
前記取付部が前記配線部材のうち幅が縮められた領域に取付けられており、
前記取付部が前記配線部材に取付けられた状態で前記配線部材の幅が縮められた状態に維持されており、
前記取付部が取付けられた領域において、前記取付部と前記ベース材とのうち少なくとも一方が、前記複数の線状伝送部材を長手方向に沿って全体的に包んでおり、
前記配線部材のうち前記取付部と接触する部分が接触領域とされ、前記取付部と接触しない部分が非接触領域とされたときに、
前記取付部に対する前記接触領域の少なくとも一部の外面における摩擦係数が、前記取付部に対する前記非接触領域の外面における摩擦係数よりも高い、外装部材付き配線部材。
【請求項5】
前記配線部材の幅が縮められた領域において前記配線部材は横断面が渦巻状に巻かれた状態となっている、請求項から請求項4のいずれか1項に記載の外装部材付き配線部材。
【請求項6】
前記外装部材は固定部材であり、
前記固定部材は、前記取付部と前記取付部に連なり前記配線部材の固定対象に固定される固定部とを有し、
前記配線部材の幅が縮められた領域において前記ベース材が前記複数の線状伝送部材を囲うように曲がっている、請求項1又は請求項4に記載の外装部材付き配線部材。
【請求項7】
前記固定部材は、前記取付部と前記固定部とが一体成形された成形品であり、
前記取付部は、前記配線部材の長手方向に延在する板状に形成され、
前記取付部と前記配線部材とを結束する結束部材をさらに備える、請求項に記載の外装部材付き配線部材。
【請求項8】
前記外装部材は外装シートであり、
前記外装シートが、前記配線部材の幅が縮められた領域の周囲に巻き付けられた部分が前記取付部とされている、請求項1又は請求項4に記載の外装部材付き配線部材。
【請求項9】
前記外装部材は収容部を有するプロテクタであり、
前記収容部は底部と前記底部から突出する側壁部とを有し、前記配線部材の幅が縮められた領域が収容されて前記取付部とされている、請求項1又は請求項4に記載の外装部材付き配線部材。
【請求項10】
前記外装部材はチューブであり、
前記チューブは、前記配線部材の幅が縮められた領域が収容されて前記取付部とされている、請求項1又は請求項4に記載の外装部材付き配線部材。
【請求項11】
前記外装部材は小径筒部と前記小径筒部に連なる大径筒部とを有するグロメットであり、
前記小径筒部は前記配線部材の幅が縮められた領域が収容されて前記取付部とされている、請求項1又は請求項4に記載の外装部材付き配線部材。
【請求項12】
前記配線部材は、前記外装部材が取付けられた領域に対して長手方向に沿った両側に、前記外装部材が取付けられた領域よりも幅が広い領域を有する、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の外装部材付き配線部材。
【請求項13】
前記配線部材は、前記外装部材が取付けられた領域に対して長手方向に沿った片側にのみ、前記外装部材が取付けられた領域よりも幅が広い領域を有する、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の外装部材付き配線部材。
【請求項14】
前記配線部材は、前記外装部材が取付けられた領域から前記幅が広い領域に向けて徐々に幅が広がるように設けられている領域をさらに有する、請求項12又は請求項13に記載の外装部材付き配線部材。
【請求項15】
前記ベース材は、前記複数の線状伝送部材が配設されている本体部と、前記本体部から延出し前記複数の線状伝送部材が配設されていない延出片とを有し、
前記配線部材において前記本体部の外側に前記延出片が1周以上巻かれている、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の外装部材付き配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外装部材付き配線部材及び外装部材付き配線部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シート状に形成された機能性外装部材と、長手方向に沿った少なくとも一部の領域で前記機能性外装部材に重なるように配設された電線と、を備え、前記電線の絶縁被覆と前記機能性外装部材とが重なる部分の少なくとも一部が溶着されている、ワイヤーハーネスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-137208号公報
【文献】特開2011-149456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたワイヤーハーネスにおいて電線の周囲全体を保護することが望まれている。
【0005】
そこで配線部材において線状伝送部材の周囲全体を保護することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の外装部材付き配線部材は、配線部材と外装部材とを備え、前記配線部材は複数の線状伝送部材とベース材とを含み、前記複数の線状伝送部材は並んだ状態で前記ベース材に固定されており、前記外装部材は取付部を含み、前記取付部が前記配線部材のうち幅が縮められた領域に取付けられており、前記取付部が前記配線部材に取付けられた状態で前記配線部材の幅が縮められた状態に維持されており、前記取付部が取付けられた領域において、前記取付部と前記ベース材とのうち少なくとも一方が、前記複数の線状伝送部材を長手方向に沿って全体的に包んでいる、外装部材付き配線部材である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配線部材において線状伝送部材の周囲全体を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1にかかる固定部材付き配線部材を示す側面図である。
図2図2は実施形態1にかかる固定部材付き配線部材を示す正面図である。
図3図3はベース材が曲げられる前の配線部材を示す斜視図である。
図4図4は配線部材の変形例を示す正面図である。
図5図5は固定部材が配線部材に取付けられる様子を示す正面図である。
図6図6は実施形態2にかかる固定部材付き配線部材を示す正面図である。
図7図7は固定部材が開いた様子を示す説明図である。
図8図8は実施形態3にかかる固定部材付き配線部材を示す側面図である。
図9図9は実施形態3にかかる固定部材付き配線部材を示す正面図である。
図10図10は実施形態4にかかる外装シート付き配線部材を示す正面図である。
図11図11は外装シートが配線部材に取付けられる様子を示す平面図である。
図12図12は配線部材の別の変形例を示す正面図である。
図13図13は実施形態5にかかるプロテクタ付き配線部材を示す斜視図である。
図14図14は実施形態6にかかるチューブ付き配線部材を示す平面図である。
図15図15は実施形態7にかかるグロメット付き配線部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の外装部材付き配線部材は、次の通りである。
【0011】
(1)配線部材と外装部材とを備え、前記配線部材は複数の線状伝送部材とベース材とを含み、前記複数の線状伝送部材は並んだ状態で前記ベース材に固定されており、前記外装部材は取付部を含み、前記取付部が前記配線部材のうち幅が縮められた領域に取付けられており、前記取付部が前記配線部材に取付けられた状態で前記配線部材の幅が縮められた状態に維持されており、前記取付部が取付けられた領域において、前記取付部と前記ベース材とのうち少なくとも一方が、前記複数の線状伝送部材を長手方向に沿って全体的に包んでいる、外装部材付き配線部材である。配線部材において記取付部が取付けられた領域において、前記取付部と前記ベース材とのうち少なくとも一方が、前記複数の線状伝送部材を長手方向に沿って全体的に包んでいるため、配線部材において前記取付部と前記ベース材とのうち少なくとも一方によって線状伝送部材の周囲全体を保護することができる。ここで線状伝送部材とは、電気又は光等を伝送する線状の部材である。
【0012】
(2)前記配線部材は、前記外装部材が取付けられた領域に対して長手方向に沿った両側に、前記外装部材が取付けられた領域よりも幅が広い領域を有することが考えられる。この場合、配線部材において、外装部材が取付けられた領域の両側が幅広になっているため、外装部材が長手方向に沿ってずれにくい。
【0013】
(3)前記配線部材は、前記外装部材が取付けられた領域に対して長手方向に沿った片側にのみ、前記外装部材が取付けられた領域よりも幅が広い領域を有することが考えられる。この場合、配線部材において、端部に外装部材が外装されつつ、それよりも中間部側が扁平となることができる。
【0014】
(4)前記配線部材は、前記外装部材が取付けられた領域から前記幅が広い領域に向けて徐々に幅が広がるように設けられている領域をさらに有することも考えられる。これにより、外装部材が取付けられた領域とそれより幅が広い領域との間にエッジが生じにくくなり、振動時などにエッジに起因する傷つきが生じることを抑制できる。
【0015】
(5)前記配線部材の幅が縮められた領域において前記配線部材は横断面が渦巻状に巻かれた状態となっていることが考えられる。この場合、ベース材が線状伝送部材を囲うように曲がった状態を簡易に形成可能である。
【0016】
(6)前記配線部材の幅が縮められた領域において前記配線部材は一側部及び他側部においてそれぞれ別々に横断面が渦巻状に巻かれた状態となっていることが考えられる。この場合、一側部から他側部に向けて一の渦巻状に巻かれた場合と比べて、配線部材の高さを低くすることができる。
【0017】
(7)前記外装部材は固定部材であり、前記固定部材は、前記取付部と前記取付部に連なり前記配線部材の固定対象に固定される固定部とを有し、前記配線部材の幅が縮められた領域において前記ベース材が前記複数の線状伝送部材を囲うように曲がっていることが考えられる。この場合、固定部材が設けられつつ、線状伝送部材の周囲全体が保護される。
【0018】
(8)前記固定部材は、前記取付部と前記固定部とが一体成形された成形品であり、前記取付部は、環状状態と非環状状態との間で状態変更可能であり環状状態で前記配線部材を包囲している環状部と、前記環状部の一端部に設けられて前記環状部の他端部を留めて前記環状部を前記環状状態に維持する環状維持部とを有することが考えられる。この場合、固定部材として、汎用のバンドクランプ、コルゲートクランプなどを用いることができる。
【0019】
(9)前記配線部材のうち前記環状部と接触する部分が接触領域とされ、前記環状部と接触しない部分が非接触領域とされたときに、前記環状部に対する前記接触領域の少なくとも一部の外面における摩擦係数が、前記環状部に対する前記非接触領域の外面における摩擦係数よりも高いことが考えられる。この場合、固定部材がずれにくくなる。
【0020】
(10)前記ベース材の外周部に固定されて前記環状部と前記ベース材との間に介在する介在部材をさらに備え、前記環状部に対する前記介在部材の外面における摩擦係数が、前記環状部に対する前記ベース材の外面における摩擦係数よりも高いことが考えられる。この場合、環状部が配線部材の周方向に回ることを抑制できる。
【0021】
(11)前記固定部材は、前記取付部と前記固定部とが一体成形された成形品であり、前記取付部は、前記配線部材の長手方向に延在する板状に形成され、前記取付部と前記配線部材とを結束する結束部材をさらに備えることが考えられる。この場合、固定部材として、汎用のテープ止めタイプのクランプなどを用いることができる。
【0022】
(12)前記外装部材は外装シートであり、前記外装シートが、前記配線部材の幅が縮められた領域の周囲に巻き付けられた部分が前記取付部とされていることが考えられる。この場合、外装シートによって配線部材を保護することができる。
【0023】
(13)前記外装部材は収容部を有するプロテクタであり、前記収容部は底部と前記底部から突出する側壁部とを有し、前記配線部材の幅が縮められた領域が収容されて前記取付部とされていることが考えられる。この場合、プロテクタによって配線部材を保護することができる。
【0024】
(14)前記外装部材はチューブであり、前記チューブは、前記配線部材の幅が縮められた領域が収容されて前記取付部とされていることが考えられる。この場合、チューブによって配線部材を保護することができる。
【0025】
(15)前記外装部材は小径筒部と前記小径筒部に連なる大径筒部とを有するグロメットであり、前記小径筒部は前記配線部材の幅が縮められた領域が収容されて前記取付部とされていることが考えられる。この場合、グロメットによって配線部材を保護することができる。
【0026】
(16)前記ベース材は、前記複数の線状伝送部材が配設されている本体部と、前記本体部から延出し前記複数の線状伝送部材が配設されていない延出片とを有し、前記配線部材において前記本体部の外側に前記延出片が1周以上巻かれていることが考えられる。この場合、延出片によって本体部の外側全体を覆うことができる。
【0027】
(17)前記配線部材のうち前記取付部と接触する部分が接触領域とされ、前記取付部と接触しない部分が非接触領域とされたときに、前記取付部に対する前記接触領域の少なくとも一部の外面における摩擦係数が、前記取付部に対する前記非接触領域の外面における摩擦係数よりも高いことが考えられる。この場合、外装部材がずれにくい。
【0028】
(18)また、本開示の外装部材付き配線部材の製造方法は、複数の線状伝送部材と、前記複数の線状伝送部材が並んだ状態で固定されたベース材とを含み、扁平に形成された配線部材を用意する工程と、前記配線部材のうち長手方向に沿った少なくとも一部の領域における幅を縮める工程と、外装部材における取付部を前記配線部材における幅が縮められた領域に取付けて、前記配線部材を幅が縮められた状態かつ前記取付部と前記ベース材とのうち少なくとも一方が、前記複数の線状伝送部材を長手方向に沿って全体的に包んでいる状態に維持する工程と、を備える、外装部材付き配線部材の製造方法である。配線部材において前記取付部が取付けられた領域において、前記取付部と前記ベース材とのうち少なくとも一方が、前記複数の線状伝送部材を長手方向に沿って全体的に包んでいるため、配線部材において前記取付部と前記ベース材とのうち少なくとも一方によって線状伝送部材の周囲全体を保護することができる。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の外装部材付き配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係る外装部材付き配線部材について説明する。実施形態1に係る外装部材付き配線部材は外装部材が固定部材である事例である。つまり実施形態1に係る外装部材付き配線部材は固定部材付き配線部材である。以下の実施形態2に係る外装部材付き配線部材及び実施形態3に係る外装部材付き配線部材も、固定部材付き配線部材である。なお外装部材とは配線部材の外側に装着される部材であればよい。図1は実施形態1にかかる固定部材付き配線部材10を示す側面図である。図2は実施形態1にかかる固定部材付き配線部材10を示す正面図である。図3はベース材30が曲げられる前の配線部材20を示す斜視図である。
【0031】
固定部材付き配線部材10は、配線部材20と、固定部材40と、を備える。本例における固定部材付き配線部材10は、介在部材60をさらに備える。
【0032】
配線部材20は、車両に搭載されて、車両の各機器に電力を供給したり、信号の授受をしたりする部材である。配線部材20は、複数の線状伝送部材22と、複数の線状伝送部材22が並んだ状態で固定されたベース材30とを含む。配線部材20においてベース材30が線状伝送部材22を囲うように曲がっている。図3に示すように、配線部材20は、一旦扁平に形成された後に、ベース材30が曲げられて形成されている。以下では、ベース材30が曲げられる前の配線部材20を扁平配線部材20Bと呼ぶ。扁平配線部材20Bは、厚み方向の寸法が厚み方向に直交する面方向の寸法よりも小さく形成されている。ここでは扁平配線部材20Bは、複数の線状伝送部材22がベース材30上に固定されて形成されている。
【0033】
線状伝送部材22は、電気又は光等を伝送する線状の部材であればよい。例えば、線状伝送部材22は、芯線と芯線の周囲の被覆とを有する一般電線であってもよいし、裸導線、シールド線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であってもよい。
【0034】
電気を伝送する線状伝送部材22としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材22は、信号又は電力を空間に対して送る又は空間から受けるアンテナ、コイル等として用いられてもよい。
【0035】
線状伝送部材22は、電気又は光等を伝送する伝送線本体と、伝送線本体を覆う被覆とを含む。線状伝送部材22が一般電線である場合、伝送線本体は芯線であり、被覆は絶縁被覆である。図2に示す例では、一のベース材30に同じ径、構造の線状伝送部材22が複数本配設されているが、複数本の線状伝送部材22の径、構造等は適宜設定されていればよく、径、構造等の異なる線状伝送部材22が同じベース材30に配設されていてもよい。
【0036】
線状伝送部材22は、単一の線状物であってもよいし、複数の線状物の複合物(ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等)であってもよい。線状伝送部材22の端部には、線状伝送部材22と相手部材との接続形態に応じて、適宜端子、コネクタ等が設けられる。
【0037】
ベース材30は、線状伝送部材22が配設されている本体部32と、本体部32から延出する延出片34とを有する。延出片34には線状伝送部材22が配設されていない。配線部材20において本体部32の外側に延出片34が1周以上巻かれている。
【0038】
ベース材30を構成する材料は特に限定されるものではないが、ベース材30は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂を含む材料によって形成される。ベース材30は、不織布、織地、編地など繊維を有する繊維材等であってもよいし、非繊維材であってもよい。非繊維材としては、内部が一様に埋った充実状の部材、または樹脂が発泡成形された発泡体などであってもよい。ベース材30は、金属などの材料を含むこともあり得る。
【0039】
ベース材30は、単層であってもよいし、複数層積層されていてもよい。複数層積層されている場合、例えば、樹脂層と樹脂層とが積層されていることが考えられる。また例えば、樹脂層と金属層とが積層されていることが考えられる。また、ベース材30は、非繊維材層と非繊維材層とが重ねられたものであってもよいし、非繊維材層と繊維材層が重ねられたものであってもよいし、繊維材層と繊維材層とが重ねられたものであってもよい。
【0040】
ベース材30は、扁平配線部材20Bにおいて線状伝送部材22を2次元的に位置決めした状態で保持している。以下では、配線部材20における曲がった状態にあるベース材30と、扁平配線部材20Bにおける曲げられる前の広がった状態にあるベース材30とを区別する必要がある場合、扁平配線部材20Bにおける曲げられる前の広がった状態にあるベース材30をベース材30Bと称する。
【0041】
ベース材30Bの一方主面上に線状伝送部材22が配設されている。ベース材30Bは、複数の線状伝送部材22を並んだ状態に保持する。ベース材30Bは曲げ可能な部材である。以下では、ベース材30Bにおいて線状伝送部材22が固定された主面を主面31aとし、主面31aとは反対側の主面を主面31bとする。
【0042】
線状伝送部材22は、ベース材30Bの主面31a上において所定の経路に沿って配設された状態で、ベース材30Bに固定されている。ベース材30Bは、線状伝送部材22の経路に沿って延びる帯状に形成されている。ベース材30B上における線状伝送部材22の経路は適宜設定されていればよく、本例では、線状伝送部材22は、ベース材30B上で直線状に配設されている部分を有する。主として、線状伝送部材22が直線状に配設された部分においてベース材30Bが線状伝送部材22を囲うように曲げられている。
【0043】
線状伝送部材22がベース材30B上で曲がって配設されている部分を有していてもよい。この場合、ベース材30Bも線状伝送部材22の曲げに応じて主面31aに沿って曲がって形成されていてもよい。複数本の線状伝送部材22は、ベース材30B上で分岐したり、交差したりするように異なる経路で配設されていてもよい。この場合、ベース材30Bも分岐したり、交差したりするように形成されていてもよい。ベース材30Bが複数の線状伝送部材22の経路に沿った形状に形成されることで、ベース材30Bと他部品との干渉抑制、軽量化等が可能となる。
【0044】
線状伝送部材22とベース材30Bとは固定されており、ベース材30Bが曲げられてベース材30となった後も固定状態が維持されている。係る固定態様として、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。ここで接触部位固定とは、線状伝送部材22とベース材30Bとが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様である。例えば、縫糸、別のベース材、粘着テープなどが、線状伝送部材22をベース材30Bに向けて押え込んだり、縫糸、別のベース材、粘着テープなどが、線状伝送部材22とベース材30Bとを囲む状態などとなって、線状伝送部材22とベース材30Bとを挟み込んだりして、線状伝送部材22とベース材30Bとが固定された状態に維持するものである。以下では、線状伝送部材22とベース材30Bとが、接触部位固定の状態にあるものとして説明する。接触部位固定に関する各説明は、適用不可能な構成でない限り、非接触部位固定にも適用可能である。
【0045】
係る接触部位固定の態様として、間接固定であってもよいし、直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで間接固定とは、線状伝送部材22とベース材30Bとが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープ、面ファスナなどの介在部材60を介して間接的にくっついて固定されているものである。また直接固定とは、線状伝送部材22とベース材30Bとが別に設けられた接着剤等を介さずに直接くっついて固定されているものである。直接固定では、例えば線状伝送部材22とベース材30Bとのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによってくっついて固定されることが考えられる。以下では、線状伝送部材22とベース材30Bとが、直接固定の状態にあるものとして説明する。直接固定に関する各説明は、適用不可能な構成でない限り、間接固定にも適用可能である。
【0046】
係る直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、直接固定の状態としては、熱による直接固定の状態であってもよいし、溶剤による直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による直接固定の状態であるとよい。
【0047】
このとき直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、溶着、融着、溶接等の公知の手段を含む各種手段を用いることができる。例えば、溶着によって熱による直接固定の状態を形成する場合、超音波溶着、加熱加圧溶着、熱風溶着、高周波溶着など種々の溶着手段を採用することができる。またこれらの手段によって直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材22とベース材30Bとは、その手段による直接固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波溶着によって直接固定の状態が形成されると、線状伝送部材22とベース材30Bとは、超音波溶着による直接固定の状態とされる。溶着によって熱による直接固定の状態を形成した部分(線状伝送部材22とベース材30Bとの固定部分)を溶着部、このうち、超音波溶着による固定部分を超音波溶着部、加熱加圧溶着による固定部分を加熱加圧溶着部等と称してもよい。
【0048】
直接固定の場合、線状伝送部材22の被覆に含まれる樹脂のみが溶けていてもよいし、ベース材30Bに含まれる樹脂のみが溶けていてもよい。これらの場合において溶けた方の樹脂が他方の外面にくっついた状態となり、比較的はっきりした界面が形成されることがある。また、直接固定の場合、線状伝送部材22の被覆に含まれる樹脂とベース材30Bに含まれる樹脂の両方が溶けていてもよい。この場合、両方の樹脂が混ざり合ってはっきりした界面が形成されないことがある。特に、線状伝送部材22の被覆とベース材30Bとが、同じ樹脂材料など相溶しやすい樹脂を含む場合などに、両方の樹脂が混ざり合ってはっきりした界面が形成されないことがある。
【0049】
線状伝送部材22と直接固定されるベース材30Bとして、第1シート状部材と第2シート状部材とが積層されたものを用いることができる。第1シート状部材は第2シート状部材よりも線状伝送部材22との直接固定に適するものである。例えば、第1シート状部材は線状伝送部材22の被覆と同系材料によって充実シート状に形成されたものである。第1シート状部材はベース材30Bの主面31aに現れる。第1シート状部材に線状伝送部材22が直接固定される。第2シート状部材は第1シート状部材よりも保護性能の高いものである。例えば、第2シート状部材は不織布である。第2シート状部材がベース材30Bの主面31bに現れる。第2シート状部材は、配線部材20における外面に現れる。本例におけるベース材30は、金属製のシート状部材の層が積層されていないが、金属製のシート状部材の層が積層されていてもよい。
【0050】
配線部材20は横断面が渦巻状に巻かれた状態となっている。横断面が渦巻状に巻かれた状態とは、図3に示すように、巻き始め部分となるベース材30Bにおける一方側縁部分から、巻き終わり部分となる他方側縁部分に向けて新たに巻かれる部分がすでに巻かれた部分の外側に重なるように巻かれた状態である。渦巻状に巻かれた状態では、巻き始め部分が内周側に位置し、巻き終わり部分が外周側に位置する。ベース材30に延出片34が設けられている場合には、図3に示すようにベース材30のうち主面31aが主面31bに対して内側に位置するように巻かれていてもよいし、外側に位置するように巻かれていてもよい。延出片34が設けられていない場合には、主面31aが主面31bに対して内側に位置するように巻かれていると良い。
【0051】
もっとも、ベース材30が線状伝送部材22を囲うように曲がっていれば、配線部材20は横断面が渦巻状に巻かれた状態となっていることは必須ではない。例えば、図4に示すように、配線部材20は線状伝送部材22がベース材30よりも内側となるように折り畳まれていてもよい。
【0052】
配線部材20において内周側のベース材30と、外周側のベース材30との両方に接触している線状伝送部材22が存在していてもよい。図2に示す例では、渦巻状の配線部材20において外周側の線状伝送部材22(中心部から1周巻かれた部分より外側の線状伝送部材22)が、自身よりも内周側のベース材30と外周側のベース材30との両方に接触している。自身に対して内外方向の両方のベース材30に接触している線状伝送部材22は、内外方向の両方のベース材30のうちいずれか一方のみと接合されている。扁平配線部材20Bが巻かれて配線部材20とされているためである。図2に示す例では、主面31aが主面31bに対して内側に位置するように巻かれているため、内外方向の両方のベース材30に接触している線状伝送部材22は、内外方向の両方のベース材30のうち外周側のベース材30のみと接合されている。
【0053】
配線部材20において隣り合わない線状伝送部材22同士が間にベース材30を挟まずに直接向かい合う部分が存在していてもよい。図2に示す例では、渦巻状の配線部材20の中心部において間にベース材30を挟まずに線状伝送部材22同士が直接向かい合う部分が存在している。扁平配線部材20Bが巻かれて配線部材20とされているため、間にベース材30を挟まずに線状伝送部材22同士が直接向かい合う部分が存在することがある。
【0054】
ベース材30は、全体に厚みが一様となるように形成されていてもよいし、一部に厚みの異なる部分が存在するように形成されていてもよい。ベース材30が、一部に厚みの異なる部分が存在するように形成されている場合、車両等において配線部材20が配設された状態で周辺部品と接触する可能性の高い場所での厚みが、周辺部品と接触する可能性の低い場所での厚みよりも厚くされることが考えられる。このように、ベース材30が、一部に厚みの異なる部分が存在するように形成されている場合、例えば線状伝送部材22の長手方向に分かれて厚みの異なる部分が存在していてもよいし、線状伝送部材22の並ぶ方向に沿って厚みの異なる部分が存在していてもよい。
【0055】
固定部材40は、配線部材20に取付けられた取付部42と、取付部42に連なり配線部材20の固定対象80に固定される固定部50とを含む。取付部42は、ベース材30の外側に位置するように取付けられている。取付部42が配線部材20に取付けられた状態でベース材30が曲がった状態に維持されている。扁平配線部材20Bが巻かれて配線部材20となっており、取付部42が配線部材20から取り外されるとベース材30が広がって配線部材20から扁平配線部材20Bに戻ることが可能である。
【0056】
本例における固定部材40は、取付部42と固定部50とが一体成形された成形品である。取付部42は、環状部44と、環状維持部46とを有する。環状部44は、図2に示すような環状状態と図5に示すような非環状状態との間で状態変更可能である。環状部44は、環状状態で配線部材20を包囲している。環状維持部46は、環状部44の一端部に設けられている。環状維持部46は、環状部44の他端部を留めて環状部44を環状状態に維持する。
【0057】
具体的には、本例では、固定部材40としてバンドクランプ40が用いられている。つまり環状部44がバンド部44であり、環状維持部46がバンド固定部46である。バンド部44は、全体に曲げ変形可能に細帯状に形成されている。バンド固定部46は、例えばバンド部44を挿通可能なバンド挿通孔47hが形成された本体部47と、バンド挿通孔47hの内周面からバンド挿通孔47h内の空間に向けて突出するように形成された係止突起(図示省略)とを有する。バンド部44には係止突起が選択的に係止可能な複数の係止受部(図示省略)が形成される。バンド部44がバンド挿通孔47hに挿通された状態で、係止突起が係止受部に係止することによって、バンド部44がバンド固定部46に留められる。
【0058】
図2に示す例では、バンド部44の中間部が配線部材20の外周部に巻かれた状態で、バンド部44の先端部がバンド固定部46に固定されることによって、取付部42が配線部材20に取付けられた状態となる。取付部42は、配線部材20を締め付けていると良い。この場合、取付部42が取付けられた部分においてベース材30における不織布は、取付部42が取付けられていない部分のベース材30における不織布と比べて部分的に圧縮されていることが考えられる。取付部42が取付けられた部分のベース材30における不織布は、取付部42が取り外された際に、圧縮状態が戻る。また取付部42が取付けられた部分のベース材30における不織布は柔らかい状態を保っている。取付部42が取付けられた部分のベース材30における不織布は取付部42が取付けられていない部分のベース材30における不織布と同じかそれよりわずかに劣る程度に、柔らかい状態を保っていると良い。
【0059】
バンドクランプ40における固定部50は、パネルなどの板状部材80に形成された貫通孔82に係止可能に形成されている。固定部50は、バンド固定部46から突出するように形成された柱部52と、柱部52の先端部から柱部52の側方かつ基端側に向けて突出するように形成された一対の係止片54とを備える。一対の係止片54の基端側では、先端側に向けて徐々にその間隔が広がるように形成されている。そして一対の係止片54は、固定部50が貫通孔82に挿入されて貫通孔82の周縁部に接触したとき、貫通孔82の周縁部からの力を受けてその間隔が狭まるように弾性変形可能である。一対の係止片54は、先端部が貫通孔82を通過後、弾性復帰し、貫通孔82の周縁部に係止する。これにより固定部50が固定対象80に固定された状態となる。
【0060】
介在部材60は、ベース材30の外周部に固定されている。介在部材60は、環状部44とベース材30との間に介在する。環状部44に対する介在部材60の外面における摩擦係数が、環状部44に対するベース材30の外面における摩擦係数よりも高い。係る介在部材60の材料としては、環状部44に対する介在部材60の外面における摩擦係数が、環状部44に対するベース材30の外面における摩擦係数よりも高いものであれば、特に限定されるものではない。例えば介在部材60として粘着テープがベース材30の外面に巻かれて固定されたものとすることができる。
【0061】
配線部材において環状部との摩擦係数を高めるために、介在部材が用いられることは必須の構成ではない。ベース材の一部の領域において、表面粗さが他の部分よりも粗くされるなどして、環状部との摩擦係数が高められていてもよい。つまり配線部材のうち環状部と接触する部分が接触領域とされ、環状部と接触しない部分が非接触領域とされたときに、環状部に対する接触領域の少なくとも一部の外面における摩擦係数が、環状部に対する非接触領域の外面における摩擦係数よりも高くされていればよい。これによっても、固定部材がずれにくくなる。
【0062】
<製造方法>
上記固定部材付き配線部材10の製造方法について説明する。固定部材付き配線部材10の製造方法は以下の工程(a)、工程(b)、工程(c)を備える。
【0063】
工程(a)は、複数の線状伝送部材22と、複数の線状伝送部材22が並んだ状態で固定されたベース材30とを含み、扁平に形成された配線部材(扁平配線部材20B)を用意する工程である。ここでは扁平配線部材20Bとして、複数の線状伝送部材22がベース材30Bの主面31a上に並んだ状態で直接固定されることによって扁平に形成されたものが用意される。
【0064】
工程(b)は、配線部材のうち長手方向に沿った少なくとも一部の領域における幅を縮める工程である。ここでは工程(b)はベース材30が線状伝送部材22を囲うようにベース材30Bを曲げる工程である。ここでは、ベース材30Bのうち本体部32及び延出片34を両方曲げている。ここでは、扁平配線部材20Bのうち線状伝送部材22の並列方向に沿った一方縁部から他方縁部に向けて新たに巻かれる部分がすでに巻かれた部分の外周側に位置するように巻いていく。これにより、ベース材30が曲げられた後の配線部材20は、横断面が渦巻状になるように巻かれた状態となる。線状伝送部材22の配列について着目すると、扁平配線部材20Bにおいて一列に横並びの配列とされていた状態から、配線部材20において渦巻状の配列へと変更されている。線状伝送部材22が予めベース材30Bに固定された扁平配線部材20Bを巻いて配線部材20としているため、線状伝送部材22を押さえておく必要がなく、巻きやすい。また配線部材20となった状態で、線状伝送部材22の配列が所定の配列から乱れにくい。
【0065】
工程(c)は、外装部材における取付部を配線部材における幅が縮められた領域に取付けて、配線部材を幅が縮められた状態かつ取付部とベース材とのうち少なくとも一方が、複数の線状伝送部材を長手方向に沿って全体的に包んでいる状態に維持する工程である。ここでは工程(c)は、取付部42と、取付部42に連なり配線部材20の固定対象80に固定される固定部50とを含む固定部材40における取付部42をベース材30の外側に位置するように配線部材20に取付けて、ベース材30を曲がった状態に維持する工程である。ここでは、固定部材40は、取付部42としてバンド部44とバンド固定部46とを有するバンドクランプ40である。この場合、バンド部44をベース材30の外周に巻き付けた後に、バンド部44の先端部をバンド固定部46におけるバンド挿通孔47hに通し、固定する。
【0066】
なお、介在部材60を備える配線部材20を製造する場合は、工程(c)の前に介在部材を設ける工程が設けられると良い。例えば、介在部材60が粘着テープである場合、工程(b)の後に、配線部材20において固定部材40が設けられる部分における外周部に粘着テープが巻き付けられる。この際、かかる介在部材60としての粘着テープが巻き終わり部分を巻き終わり部分の内周側に重なる部分に留めるように巻かれていると良い。これにより介在部材60が、固定部材40が設けられるまでの間に配線部材20が広がることを抑制する仮留め部として機能する。
【0067】
固定部材付き配線部材10によると、配線部材20において取付部42が配線部材20に取付けられた状態で、ベース材30が線状伝送部材22を囲うように曲がった状態に維持されているため、配線部材20においてベース材30によって線状伝送部材22の周囲全体を保護することができる。配線部材20は横断面が渦巻状に巻かれた状態となっているため、ベース材30が線状伝送部材22を囲うように曲がった状態を簡易に形成可能である。
【0068】
固定部材40は、取付部42と固定部50とが一体成形された成形品であり、取付部42は、環状状態と非環状状態との間で状態変更可能であり環状状態で配線部材20を包囲している環状部44と、環状部44の一端部に設けられて環状部44の他端部を留めて環状部44を環状状態に維持する環状維持部46とを有することが考えられる。この場合、固定部材40として、本例のように汎用のバンドクランプ40を用いることができる。
【0069】
ベース材30は、線状伝送部材22が固定されている本体部32と、本体部32から延出する延出片34とを有し、配線部材20において本体部32の外側に延出片34が1周以上巻かれているため、延出片34によって本体部32の外側全体を覆うことができる。もっとも、配線部材20において本体部32の外側に延出片34が1周以上巻かれていることは必須ではない。配線部材20において本体部32の外側に延出片34が巻かれている領域は、半周以上1周未満であってもよいし、半周未満であってもよい。
【0070】
ベース材30の外周部に固定されて環状部44とベース材30のとの間に介在する介在部材60をさらに備え、環状部44に対する介在部材60の外面における摩擦係数が、環状部44に対するベース材30の外面における摩擦係数よりも高いため、環状部44が配線部材20の周方向に回ることを抑制できる。もっとも、介在部材60が設けられることは必須ではない。ベース材30の外面と環状部44の内面との摩擦係数が高い場合、介在部材60は設けずとも、ベース材30と環状部44との回り止めを図ることができる。例えば、ベース材30の外面が滑りにくい部材であったり、環状部44の内面に滑り止め用の突起が形成されていたりすることによって、ベース材30の外面と環状部44の内面との摩擦係数を高くすることができる。
【0071】
[実施形態2]
実施形態2に係る固定部材付き配線部材について説明する。図6は実施形態2にかかる固定部材付き配線部材110を示す正面図である。図7は固定部材140が開いた様子を示す説明図である。なお、本実施形態の説明においてこれまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。以下の他の実施形態の説明においても同様である。
【0072】
本例における固定部材付き配線部材110は、固定部材140の形状が、実施形態1における固定部材40の形状とは異なる。具体的には、本例においても、固定部材140は、取付部142と固定部150とが一体成形された成形品であり、取付部142は、環状状態と非環状状態との間で状態変更可能であり環状状態で配線部材20を包囲している環状部144と、環状部144の一端部に設けられて環状部144の他端部を留めて環状部144を環状状態に維持する環状維持部146とを有する。本例では、かかる固定部材140としてヒンジ回動型のクランプ140(コルゲートクランプなどともいう)が用いられている事例である。
【0073】
クランプ140において、環状部144は、複数(ここでは2つ)の部分環状部144a、144bと、ヒンジ部144cとを有する。部分環状部144a、144bは、周方向に分割された形状をなしている。複数の部分環状部144a、144bは、合わさることによって環状をなす。各部分環状部144a、144bは、部分的に環状となっている状態を保てる程度の剛性を有する。部分環状部144a、144bの内面にはリブが設けられている。リブは周方向に連続している。リブは、軸方向に離れて複数設けられる。リブは、配線部材20の外面に食い込むことができる。ヒンジ部144cは、隣り合う部分環状部144a、144bを相対回動可能に連結する。例えばヒンジ部144cは薄肉に形成された部分である。
【0074】
環状維持部146は、部分環状部144a、144bの周方向端部に設けられている。環状維持部146には係止突起147が形成されている。係止突起147は、部分環状部144bの周方向端部に形成された係止受部144dに係止可能である。
【0075】
固定部150は、固定対象180に設けられた板状の固定片84を挿入係止可能に形成されている。固定部150は、環状維持部146と一体となっている。具体的には、部分環状部144bの周方向端部に箱部が設けられ、箱部の一端に係止突起147が形成される共に箱部の他端に固定部150が設けられている。
【0076】
[実施形態3]
実施形態3に係る固定部材付き配線部材について説明する。図8は実施形態3にかかる固定部材付き配線部材210を示す側面図である。図9は実施形態3にかかる固定部材付き配線部材210を示す正面図である。
【0077】
本例における固定部材付き配線部材210は、固定部材240の形状が、実施形態1、2における固定部材40、140の形状とは異なる。具体的には、本例においても固定部材240は、取付部242と固定部50とが一体成形された成形品である。本例における取付部242は、長尺板状に形成された板状部242である。板状部242の長手方向は配線部材20の長手方向に沿った状態で取付けられている。板状部242における一方の主面は、配線部材20に向いている。固定部50は、板状部242の他方主面から突出するように設けられている。固定部50は、板状部242の長尺方向中間部に設けられているが、板状部242の長尺方向端部に設けられていてもよい。
【0078】
固定部材付き配線部材210は、取付部242と配線部材20とを結束する結束部材70をさらに備える。結束部材70としては、例えば粘着テープ70を用いることができる。粘着テープ70は、板状部242のうち固定部50が設けられた部分を避けた位置において、板状部242と配線部材20との周囲に巻付けられている。
【0079】
固定部材240は、取付部242と固定部50とが一体成形された成形品であり、取付部242は、配線部材20の長手方向に延在する板状に形成され、取付部242と配線部材20とを結束する結束部材70をさらに備えるため、固定部材240として、本例のように汎用のテープ止めタイプのクランプ240などを用いることができる。
【0080】
これまで外装部材が固定部材である例が示されたが外装部材は固定部材以外の部材であってもよい。以下では外装部材が固定部材以外の部材である例について説明される。以下では、外装部材が保護部材である例が説明される。
【0081】
[実施形態4]
実施形態4に係る外装部材付き配線部材について説明する。実施形態4に係る外装部材付き配線部材は、外装部材が外装シートである事例である。つまり実施形態4に係る外装部材付き配線部材は、外装シート付き配線部材である。図10は実施形態4にかかる外装シート付き配線部材310を示す正面図である。図11は実施形態4にかかる外装シート付き配線部材310を製造する様子を示す説明図である。
【0082】
外装シート340としては、内部が一様に埋った充実状の樹脂製シートであってもよい。樹脂としては特に限定されるものではないが、PVCなどであってもよい。また外装シート340としては、発泡シートであってもよい。
【0083】
配線部材20は、図11に示すように長手方向に沿った少なくとも一部の領域において幅が縮められた状態とされる。例えば配線部材20において幅が縮められた状態は、ベース材30が平坦な状態、つまり配線部材20が扁平配線部材20Bである場合と比べて、幅が縮められていればよい。配線部材20において幅が縮められた領域は、縦横比(アスペクト比)において扁平配線部材20Bよりも横の比率が小さくなり、縦の比率が大きくなっているととらえることもできる。例えば配線部材において幅が縮められた状態は、図2で示される渦巻状に巻かれた状態であってもよいし、図4で示される例のように折り曲げられた状態であってもよい。
【0084】
配線部材において幅が縮められた状態は、図12で示されるように、両側部がそれぞれ別々に渦巻状に巻かれた状態であってもよい。なお図12に示される配線部材220の例では、幅方向に沿った両側部において共にベース材30が線状伝送部材22の外側になるように巻かれているが、この必要はない。両側部において共にベース材30が線状伝送部材22の内側になるように巻かれていてもよい。また一側部においてベース材30が線状伝送部材22の外側になるように巻かれ、他側部においてベース材30が線状伝送部材22の内側になるように巻かれていてもよい。配線部材220のように両側部でそれぞれ別々に渦巻状に巻かれていると、配線部材20のように一側部から他側部に向けて一の渦巻状に巻かれた場合と比べて、高さを低くすることができる。
【0085】
このほか配線部材において幅が縮められた状態は、配線部材がねじられた状態であってもよい。また例えば、配線部材において幅が縮められた状態は、扁平な状態から単に幅方向に力が加えられて圧縮された状態であってもよい。この場合の例としては、扁平配線部材20Bが握られて変形した状態が挙げられる。
【0086】
図11に示す例では、外装部材が取付けられる部分において配線部材20の幅が縮められている。配線部材20において、外装部材が取付けられる部分以外の部分では、配線部材20の幅が縮められていなくてもよい。図11に示す例では、外装部材が配線部材20の中間部に取付けられている。図11に示す例では、配線部材20の長手方向に沿って、外装部材が取付けられる部分の両側に配線部材20の幅が縮められていない部分(ここでは扁平配線部材が扁平なままの部分)が存在する。つまり配線部材は、外装部材が取付けられた領域に対して長手方向に沿った両側に、外装部材が取付けられた領域よりも幅が広い領域を有する。幅が広い領域は、図11に示す例では扁平配線部材20Bのままとなっている部分であるが、幅の縮め方が異なるものであってもよい。配線部材において、外装部材が取付けられた領域の両側が幅広になっているため、外装部材が長手方向に沿ってずれにくい。
【0087】
外装部材が配線部材の端部に取付けられていてもよい。配線部材の長手方向に沿って、外装部材の一方側のみに配線部材の幅が縮められていない部分が存在してもよい。つまり配線部材は、外装部材が取付けられた領域に対して長手方向に沿った片側にのみ、外装部材が取付けられた領域よりも幅が広い領域を有していてもよい。この場合、配線部材において、端部に外装部材を外装しつつ、それよりも中間部側を扁平とすることができる。
【0088】
図11に示す例では、外装部材が取付けられる部分(幅が縮められた領域)から幅広の部分に向けて、徐々に幅広となる領域(拡幅領域)が存在する。拡幅領域は外装部材に対して長手方向に沿って外側に位置する。これにより、外装部材が取付けられた領域とそれより幅が広い領域との間にエッジが生じにくくなり、振動時などにエッジに起因する傷つきが生じることを抑制できる。
【0089】
もっとも拡幅領域は設けられていなくてもよい。例えばシートに幅方向縁部から中間部に向けてスリットが入れられることによって、スリットを境に、幅が縮められた領域とそれより幅広の領域とが設けられていてもよい。
【0090】
外装シート340が、配線部材20の幅が縮められた領域の周囲に巻き付けられた部分が取付部とされている。外装シート340が配線部材20に固定されるにあたり、その固定態様は特に限定されるものではない。例えば、接着剤又は両面粘着テープなどが外装シート340と配線部材20との間に介在することによって、外装シート340が配線部材20に固定されていてもよい。また例えば、配線部材20の長手方向に沿って外装シート340の端部と配線部材20との周囲に粘着テープが巻き付けられることによって、外装シート340が配線部材20に固定されていてもよい。
【0091】
また図10に示す例では外装シート340は一端部を内周側にして横断面が渦巻状となるように配線部材20の周囲に巻き付けられている。もっとも外装シート340はこれ以外の態様で配線部材20に巻き付けられていてもよい。例えば、外装シート340は中間部が配線部材20に巻かれ、一端部と他端部とがその外側で同じ面が接するように重なった状態に巻かれていてもよい。
【0092】
取付部が配線部材に取付けられた状態で配線部材の幅が縮められた状態に維持されている。なお配線部材の幅が縮められた状態は、取付部のみで維持されている必要はない。取付部以外に配線部材の幅が縮められた状態を維持する部材(例えば粘着テープなど)が設けられていてもよい。
【0093】
取付部が取付けられた領域において、取付部とベース材とのうち少なくとも一方が、複数の線状伝送部材22を長手方向に沿って全体的に包んでいる。ここでは取付部が取付けられた領域において、取付部、つまり外装シート340が複数の線状伝送部材22を長手方向に沿って全体的に包んでいる。またここでは取付部が取付けられた領域において、ベース材30も複数の線状伝送部材22を長手方向に沿って全体的に包んでいる。
【0094】
以上のように構成された外装シート付き配線部材310によると、外装シート340によって配線部材20を保護することができる。
【0095】
[実施形態5]
実施形態5に係る外装部材付き配線部材について説明する。実施形態5に係る外装部材付き配線部材は、外装部材がプロテクタである事例である。つまり実施形態5に係る外装部材付き配線部材は、プロテクタ付き配線部材である。図13は実施形態5にかかるプロテクタ付き配線部材410を示す正面図である。
【0096】
プロテクタ440は収容部442を有する。収容部442は底部443と底部443から突出する複数の側壁部444とを有する。底部443と複数の側壁部444とによって囲まれる空間が配線部材20の収容空間である。収容部442には、配線部材20の幅が縮められた領域が収容されている。収容部442が取付部とされている。プロテクタ440は通常、樹脂成形品である。
【0097】
プロテクタ440はさらに蓋445を有する。蓋445は収容部442の開口を開閉可能に設けられる。ここでは蓋445は一側部においてヒンジ446を介して収容部442に連結されている。蓋445はヒンジ446によって収容部442に対して回動可能である。これにより蓋445は収容部442の開口を開閉可能である。蓋445の他側部はロック部によってロックされる。ここでは蓋445にロック片447が設けられ、収容部442にロック受部448が設けられている。ロック片447がロック受部448に挿入されてロックされることによって、蓋445が収容部442を閉じた状態に維持される。もっともプロテクタ440は蓋445を有していなくてもよい。プロテクタが蓋445を有していない場合、配線部材20においてベース材30が開口部側に露出しているとよい。プロテクタ440は蓋445を有している場合でも、蓋445は、収容部442と別体にされていてもよい。この場合、蓋445の両側にロック部が設けられると良い。なおプロテクタ440には車両に固定される固定部が一体的に設けられていてもよい。かかる固定部は上記固定部50、150などの形状であってもよい。
【0098】
配線部材20の長手方向に沿って収容部442の端部に延出片(図示省略)が設けられていてもよい。延出片は、底部443又は側壁部444の一部が収容部442の外方に延びているように形成される。収容部442から外方に延出する配線部材20と、延出片との周囲に結束部材が巻き付けられる。これにより、プロテクタ440が配線部材20に位置決めされる。
【0099】
以上のように構成されたプロテクタ付き配線部材410によると、プロテクタ440によって配線部材20を保護することができる。
【0100】
[実施形態6]
実施形態6に係る外装部材付き配線部材について説明する。実施形態6に係る外装部材付き配線部材は、外装部材がチューブである事例である。つまり実施形態6に係る外装部材付き配線部材は、チューブ付き配線部材である。図14は実施形態6にかかるチューブ付き配線部材510を示す平面図である。
【0101】
チューブ540には、配線部材20の幅が縮められた領域が収容されている。チューブ540自体が取付部とされている。チューブ540は予めチューブ状に成形された部材である。チューブ540は配線部材20から取り外されてもチューブ状を維持できる部材である。
【0102】
かかるチューブ540として、図14に示す例ではコルゲートチューブ540が採用されている。コルゲートチューブ540は、環状凸部542と環状凹部544とを有する。環状凸部542と環状凹部544とは、長手方向に沿って交互に連続する。つまりチューブは長手方向に沿って同一形状が周期的に続く部材である。コルゲートチューブ540は、通常、樹脂成形品である。
【0103】
チューブとしてはコルゲートチューブ540以外のチューブであってもよい。例えばチューブは、外面に凹凸のない樹脂成形チューブであってもよい。つまりチューブは長手方向に沿って同じ横断面形状が一様に続く部材であってもよい。また例えばチューブは、編物チューブ、織物チューブなどの繊維材製チューブなどであってもよい。また例えばチューブは、熱収縮チューブであってもよい。
【0104】
チューブ540にはスリット546が設けられている。スリット546は長手方向に沿って一端部から他端部まで延びる。チューブ540はスリット546の部分から割られて、チューブ540の内部に配線部材20が収容される。
【0105】
もっともチューブにはスリット546が設けられていなくてもよい。この場合、チューブの長手方向に一端側開口から他端側開口に向けて配線部材20が挿入されてもよい。
【0106】
以上のように構成されたチューブ付き配線部材510によると、チューブ540によって配線部材20を保護することができる。
【0107】
[実施形態7]
実施形態7に係る外装部材付き配線部材について説明する。実施形態7に係る外装部材付き配線部材は、外装部材がグロメットである事例である。つまり実施形態7に係る外装部材付き配線部材は、グロメット付き配線部材である。図12は実施形態7にかかるグロメット付き配線部材610を示す側面図である。
【0108】
グロメット640は小径筒部642と小径筒部642に連なる大径筒部644とを有する。グロメット640は、ゴム又はエラストマーなどの弾性材料によって形成される。小径筒部642には、配線部材20の幅が縮められた領域が収容されている。小径筒部642が取付部とされている。小径筒部642の端部と、小径筒部642の端部から延出する配線部材20との周囲に粘着テープが巻かれていてもよい。小径筒部642の内面は配線部材20を押圧していてもよい。小径筒部642の内部に止水材が設けられていてもよい。止水材は小径筒部642の内面と配線部材20との隙間を埋める。止水材は小径筒部の内面と配線部材20とに接着して両者を固定する接着剤であってもよい。
【0109】
大径筒部644の外面には溝646が形成されている。この溝646にパネルなどに形成された貫通孔の周縁部が収まることによって、グロメット640が貫通孔に取付けられる。
【0110】
グロメットは、弾性材料によって形成された部品のほかに、硬質樹脂製の部品を有していてもよい。この場合、例えば硬質樹脂製の部品は弾性材料によって形成された部品に組み込まれる。弾性材料によって形成された部品に設けられた大径筒部の端面が貫通孔の周縁部における一方主面に接するリップ部となる。そして硬質樹脂製の部品に形成された係止突起が、貫通孔の周縁部における他方主面に係止する。これによりグロメットが貫通孔に取付けられる。
【0111】
以上のように構成されたグロメット付き配線部材610によると、グロメット640によって配線部材20を保護することができる。
【0112】
実施形態4から実施形態7は外装部材が保護部材である事例である。かかる保護部材は、複数の電線が束ねられた従来のワイヤーハーネスに使用可能なものが採用されてもよい。このように従来のワイヤーハーネスに使用可能な保護部材は使用実績が豊富なため、必要な条件を満たす保護部材の選択等が容易となる。
【0113】
外装部材が保護部材である実施形態4から7についても、介在部材が用いられたり、ベース材の一部の表面粗さが粗くされるなどして、取付部に対する接触領域の少なくとも一部の外面における摩擦係数が、取付部に対する非接触領域の外面における摩擦係数よりも高くされているとよい。接触領域とは、配線部材のうち取付部と接触する部分である。非接触領域とは配線部材のうち取付部と接触しない部分である。これにより、保護部材がずれにくくなる。
【0114】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。例えば外装部材が固定部材である例で示される構成と、外装部材が保護部材である例で示される構成とは、特に矛盾のない限り適宜組み合わされたり、置換されたりすることができる。
【符号の説明】
【0115】
10、110、210 固定部材付き配線部材
20、120、220 配線部材
20B 扁平配線部材
22 線状伝送部材
30 ベース材
31a、31b 主面
32 本体部
34 延出片
40、140、240 固定部材
42、142、242 取付部
44、144 環状部
144a、144b 部分環状部
144c ヒンジ部
144d 係止受部
46、146 環状維持部
47 本体部
47h バンド挿通孔
147 係止突起
50、150 固定部
52 柱部
54 係止片
60 介在部材
70 結束部材
80、180 固定対象
82 貫通孔
84 固定片
310 外装シート付き配線部材
340 外装シート
410 プロテクタ付き配線部材
440 プロテクタ
442 収容部
443 底部
444 側壁部
445 蓋
446 ヒンジ
447 ロック片
448 ロック受部
510 チューブ付き配線部材
540 チューブ
542 環状凸部
544 環状凹部
546 スリット
610 グロメット付き配線部材
640 グロメット
642 小径筒部
644 大径筒部
646 環状溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15