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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】冷却システム及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20230411BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20230411BHJP
   B23Q 11/12 20060101ALN20230411BHJP
【FI】
F24F5/00 102Z
F28D20/02 Z
B23Q11/12 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019138906
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021021541
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-19
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164035
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 正人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 基啓
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-36996(JP,A)
【文献】特開2013-217508(JP,A)
【文献】特開平4-273931(JP,A)
【文献】実開昭56-81337(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
F28D 20/02
B23Q 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄冷材を収容した蓄冷ユニットと、
熱媒液を貯留し、前記蓄冷ユニットを浸漬配置した蓄熱槽と、
前記熱媒液が流通可能に前記蓄熱槽と連通した混合槽と、
前記熱媒液を冷却する冷却装置と、
前記熱媒液が、前記混合槽から流入し、冷却対象を冷却するための第1冷却部を経由して、前記混合槽に流出する第1冷却流路と、
前記熱媒液が、前記混合槽から流入し、前記冷却装置により冷却される第2冷却部を経由して、前記蓄熱槽に流出する第2冷却流路と、
を備え、
前記蓄冷材の融点は、前記熱媒液の融点より高く、あらかじめ設定された前記冷却対象の温度より低い、
冷却システム。
【請求項2】
前記第1冷却流路における前記熱媒液の吸込口を、前記第1冷却流路における前記熱媒液の吐出口より低い位置に配置した、
請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記蓄熱槽における前記混合槽と前記蓄冷ユニットとの間で且つ前記熱媒液の液面より低い第1の位置と、前記第2冷却流路における前記混合槽の前記熱媒液の液面の位置と前記第2冷却部との間の第2の位置と、を接続して前記熱媒液が流れる第1のバイパス流路と、
前記蓄熱槽において前記蓄冷ユニットに対して前記混合槽と反対側の位置に貯留された前記熱媒液の温度を検出する温度検出手段と、
前記第1のバイパス流路に配置され、前記温度検出手段で検出された温度に応じて、前記第1のバイパス流路を流れる前記熱媒液の流量を制御する第1の流量調整器と、
をさらに備えた、
請求項1または2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記第2冷却流路における前記第2の位置と前記第2冷却部との間の第3の位置と、前記第2冷却流路における前記第2冷却部と前記蓄熱槽の前記熱媒液の液面の位置との間の第4の位置と、を接続して前記熱媒液が流れる第2のバイパス流路と、
前記第2のバイパス流路に配置され、前記温度検出手段で検出された温度に応じて、前記第2のバイパス流路を流れる前記熱媒液の流量を制御する第2の流量調整器と、
をさらに備えた、
請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記混合槽は、
前記熱媒液が流通可能に前記蓄熱槽と連通した第1貯留槽と、
前記熱媒液が流通可能に前記第1貯留槽と連通した第2貯留槽と、
を有し、
前記第2冷却流路は、
前記第1貯留槽から前記熱媒液を流入し、
前記第1冷却流路は、
前記第1貯留槽から前記熱媒液を流入するとともに、前記第2貯留槽に前記熱媒液を流出する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記第2貯留槽と前記第1貯留槽との間、及び、前記第1貯留槽と前記蓄熱槽との間の
それぞれに、前記熱媒液が流通可能な区画壁をさらに備えた、
請求項5に記載の冷却システム。
【請求項7】
請求項1に記載の冷却システムにおいて、前記熱媒液が前記第1冷却流路を流れて前記冷却対象を冷却して前記混合槽に流出しているときに、第1運転と第2運転とを切り替えて運転する冷却システムの運転方法であって、
前記第1運転は、
前記熱媒液が前記第2冷却流路を流れて前記冷却装置により前記蓄冷材の融点未満で且つ前記熱媒液の融点より高い温度に冷却され前記蓄熱槽に流出するステップと、
前記蓄熱槽に流出した、前記蓄冷材の融点未満で且つ前記熱媒液の融点より高い温度の前記熱媒液が、前記蓄熱槽に貯留されていた前記熱媒液と混合するステップと、
混合した前記熱媒液が前記蓄冷ユニットを流れて前記蓄冷材に蓄冷させるステップと、を有し、
前記第2運転は、
前記熱媒液が前記第2冷却流路を流れて前記冷却装置により前記蓄冷材の融点以上で且つ前記あらかじめ設定された前記冷却対象の温度より低い温度に冷却され前記蓄熱槽に流出するステップと、
前記蓄熱槽に流出した、前記蓄冷材の融点以上で且つ前記あらかじめ設定された前記冷却対象の温度より低い温度の前記熱媒液が、前記蓄熱槽に貯留されていた前記熱媒液と混合するステップと、
混合した前記熱媒液が前記蓄冷ユニットを流れて前記蓄冷材に放冷させるステップと、を有する、
運転方法。
【請求項8】
前記冷却システムは、
前記蓄熱槽における前記混合槽と前記蓄冷ユニットとの間で且つ前記熱媒液の液面より低い第1の位置と、前記第2冷却流路における前記混合槽の前記熱媒液の液面の位置と前記第2冷却部との間の第2の位置と、を接続して前記熱媒液が流れる第1のバイパス流路と、
前記蓄熱槽において前記蓄冷ユニットに対して前記混合槽と反対側の位置に貯留された前記熱媒液の温度を検出する温度検出手段と、
をさらに備え、
前記温度検出手段で検出された温度に応じて、前記第1のバイパス流路を流れる前記熱媒液の流量を制御する、
請求項7に記載の運転方法。
【請求項9】
前記冷却システムは、
前記第2冷却流路における前記第2の位置と前記第2冷却部との間の第3の位置と、前記第2冷却流路における前記第2冷却部と前記蓄熱槽の前記熱媒液の液面の位置との間の第4の位置と、を接続して前記熱媒液が流れる第2のバイパス流路、
をさらに備え、
前記温度検出手段で検出された温度に応じて、前記第2のバイパス流路を流れる前記熱媒液の流量を制御する、
請求項8に記載の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却システム及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、潜熱蓄熱システムを開示する。この潜熱蓄熱システムは、潜熱蓄熱材を収容した多数の蓄熱容器と、これを槽内熱媒液に浸漬させる状態で設置した蓄熱槽と、その一端部に設けた熱源装置に供給される熱媒液の取出口と、負荷装置からの戻し口と、槽他端部に設けた熱源装置からの戻し口と、負荷装置への取出口と、槽一端部と槽他端部の途中に設けた、熱源装置に供給される熱媒液の中間取出口と、制御手段とを有する。制御手段は、中間取出口からの取り出し熱媒液の温度が潜熱蓄熱材の相変化温度よりも低温の設定停止温度まで低下したとき、中間取出口からの熱媒液の取り出しを停止する。
【0003】
特許文献2は、蓄熱槽内に配置された蓄冷材を用いる潜熱蓄冷システムを開示する。この潜熱蓄冷システムは、熱媒液が貯留された蓄熱槽と、蓄熱槽から取り出された熱媒液を冷却する冷凍機と、冷凍機で冷却された熱媒液によって蓄冷される蓄冷材と、蓄熱槽を、蓄冷材が配置される第1区域と蓄冷材が配置されない第2区域とに区画する区画壁と、冷凍機で冷却された熱媒液を第1区域または第2区域に供給する供給部と、を備える。区画壁の上端は、蓄冷材よりも上側であって、熱媒液の液面よりも下側の位置に設けられる。蓄熱槽は、熱媒液の取出口を、第1区域における蓄冷材よりも上側であって、区画壁の上端よりも下側の位置に有する。供給部は、蓄熱槽から取り出された熱媒液の温度に応じて、第1区域に供給する熱媒液の量と第2区域に供給する熱媒液の量とを調整する。
【0004】
特許文献3は、蓄熱運転を行いながら放熱運転を行うことを可能にする蓄熱装置およびその運転方法を開示する。この蓄熱装置は、少なくとも、熱源機と、蓄熱槽と、これらに熱媒体を循環させる配管系と、蓄熱槽を複数個に分割し、それぞれの蓄熱槽ごとに負荷側に接続する冷温水配管系およびその切替弁と、を備える。この蓄熱装置は、複数個の蓄熱槽の少なくとも1個の蓄熱量の多い蓄熱槽に接続する冷温水配管の切替弁を開にして、負荷側に放熱する。同時に、複数個の蓄熱槽の、他の蓄熱槽に接続する冷温水配管の切替弁を閉にして、当該蓄熱槽に熱源機から熱媒体を循環させて蓄熱を続ける。そして、負荷側に対する接続を、切替弁で冷温水配管の接続を切り替えることにより、放熱の終わった蓄熱槽と蓄熱が十分となった蓄熱槽とで順次切り替えて蓄熱・放熱同時運転を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3907539号公報
【文献】特許第5414118号公報
【文献】特開平5-106877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、従来よりも熱媒液の冷却に要するエネルギーを減らしつつ、冷却対象を冷却する熱媒液の流路の変更を行うことなく、冷却装置を動作させながら、蓄冷材の蓄冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、及び、蓄冷材の放冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、を切り替えて行うことができる冷却システム及びその運転方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示における冷却システムは、蓄冷材を収容した蓄冷ユニットと、熱媒液を貯留し蓄
冷ユニットを浸漬配置した蓄熱槽と、熱媒液が流通可能に蓄熱槽と連通した混合槽と、熱媒液を冷却する冷却装置と、熱媒液が混合槽から流入し冷却対象を冷却するための第1冷却部を経由して混合槽に流出する第1冷却流路と、熱媒液が混合槽から流入し冷却装置により冷却される第2冷却部を経由して蓄熱槽に流出する第2冷却流路と、を備え、蓄冷材の融点が、熱媒液の融点より高く、あらかじめ設定された冷却対象の温度より低い。
【0008】
また、本開示における冷却システムの運転方法は、熱媒液が第1冷却流路を流れて冷却対象を冷却して混合槽に流出しているときに、第1運転と第2運転とを切り替えて運転する運転方法であって、第1運転は、熱媒液が第2冷却流路を流れて冷却装置により蓄冷材の融点未満で且つ熱媒液の融点より高い温度に冷却され蓄熱槽に流出するステップと、蓄熱槽に流出した蓄冷材の融点未満で且つ熱媒液の融点より高い温度の熱媒液が蓄冷ユニットを流れて蓄冷材に蓄冷させるステップと、を有し、第2運転は、熱媒液が第2冷却流路を流れて冷却装置により蓄冷材の融点以上で且つあらかじめ設定された冷却対象の温度より低い温度に冷却され蓄熱槽に流出するステップと、蓄熱槽に流出した蓄冷材の融点以上で且つあらかじめ設定された冷却対象の温度より低い温度の熱媒液が蓄冷ユニットを流れて蓄冷材に放冷させるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示における冷却システム及びその運転方法は、蓄熱槽の熱媒液よりも高い温度の熱媒液を冷却装置に送ると同時に、冷却対象を冷却し高温となった熱媒液よりも低い温度の熱媒液を冷却対象に送ることができる。そのため、熱媒液の冷却に要するエネルギーを減らしつつ、冷却対象を冷却する熱媒液の流路を変更せずに、冷却装置を動作させながら、蓄冷材の蓄冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、及び、蓄冷材の放冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、を切り替えて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1における冷却システムの構成図
図2】実施の形態1における蓄熱槽の内部構造図
図3】実施の形態1における蓄冷ユニットの内部構造図
図4】実施の形態2における冷却システムの構成図
図5】実施の形態2における蓄冷材の蓄冷と冷却対象の冷却とを同時に行う時の熱媒液の流れの状態図
図6】実施の形態2における蓄冷材の放冷と冷却対象の冷却とを同時に行う時の熱媒液の流れの状態図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、少なくとも、熱源機と、蓄熱槽と、これらに熱媒体を循環させる配管系と、蓄熱槽を複数個に分割し、それぞれの蓄熱槽ごとに負荷側に接続する冷温水配管系およびその切替弁と、を備える、蓄熱装置の技術があった。この従来の蓄熱装置は、複数個の蓄熱槽の少なくとも1個の蓄熱量の多い蓄熱槽に接続する冷温水配管の切替弁を開にして負荷側に放熱するとともに、他の蓄熱槽に接続する冷温水配管の切替弁を閉にして当該蓄熱槽に熱源機から熱媒体を循環させて冷却することで蓄熱を行う。そして、負荷側に対する接続を、切替弁で冷温水配管の接続を切り替えることにより、放熱の終わった蓄熱槽と蓄熱が十分となった蓄熱槽とで順次切り替えて蓄熱・放熱同時運転を行う、蓄熱装置の運転方法の技術があった。これにより、蓄熱運転と負荷側を冷却する運転とを同時に行うことができる。
【0012】
しかしながら、この従来の蓄熱装置では、蓄熱運転の開始後、早期の段階で、蓄熱槽から熱源機に戻る熱媒体の温度が下がり、熱源機における冷却温度との差が小さくなる。そ
のため、熱媒液の搬送に要する動力が大きくなり、蓄熱、ひいては蓄熱槽の熱媒体を循環させて負荷側を冷却するための熱媒体の冷却に要するエネルギーが大きくなるとともに、負荷側に対して複数の蓄熱槽との冷温水配管の接続を切り替えて運転する必要があるという第1の課題がある。
【0013】
一方、潜熱蓄熱材を収容した多数の蓄熱容器と、これを槽内熱媒液に浸漬させた状態で設置した蓄熱槽と、その一端部に設けた熱源装置に供給される熱媒液の取出口と、負荷装置からの戻し口と、槽他端部に設けた熱源装置からの戻し口と、負荷装置への取出口と、槽一端部と槽他端部の途中に設けた、熱源装置に供給される熱媒液の中間取出口と、中間取出口からの取り出し熱媒液の温度が潜熱蓄熱材の相変化温度よりも低温の設定停止温度まで低下したとき、中間取出口からの熱媒液の取り出しを停止する制御手段と、を備える、潜熱蓄熱システムの技術があった。なお、ここでの熱源装置は冷凍機であり、蓄熱と蓄冷とは同義であるとする。これにより、端部に設けた熱源装置に供給される熱媒液の取出口からの熱媒液温度の早期低下を抑制することができる。そのため、熱源装置における冷却温度との差が大きくなり、蓄熱に要する時間を効果的に短縮する、及び単位時間当りの蓄熱量を効果的に増大させることができる。
【0014】
また、熱媒液が貯留された蓄熱槽と、蓄熱槽から取り出された熱媒液を冷却する冷凍機と、冷凍機で冷却された熱媒液によって蓄冷される蓄冷材と、蓄熱槽を、蓄冷材が配置される第1区域と蓄冷材が配置されない第2区域とに区画する区画壁と、冷凍機で冷却された熱媒液を第1区域または第2区域に供給する供給部とを備え、区画壁の上端は、蓄冷材よりも上側であって、熱媒液の液面よりも下側の位置に設けられ、蓄熱槽は、熱媒液の取出口を、第1区域における蓄冷材よりも上側であって、区画壁の上端よりも下側の位置に有し、供給部は、蓄熱槽から取り出された熱媒液の温度に応じて、第1区域に供給する熱媒液の量と第2区域に供給する熱媒液の量とを調整する、潜熱蓄冷システムの技術があった。これにより、高い温度の熱媒液を冷凍機に送ることができる。そのため、冷凍機における目標冷却温度との差が大きくなり、蓄冷運転における冷凍機の成績係数の低下を抑制することができる。
【0015】
しかしながら、これらのシステムの場合は、蓄冷運転と、負荷装置を冷却する運転と、を同時に行うことができないという第2の課題がある。
【0016】
本発明者らは、これら第1及び第2の課題を発見し、これらの課題をまとめて解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0017】
そこで本開示は、従来よりも熱媒液の冷却に要するエネルギーを減らしつつ、冷却対象を冷却する熱媒液の流路を変更せずに、冷却装置を動作させながら、蓄冷材の蓄冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、及び、蓄冷材の放冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、を切り替えて行うことができる冷却システム及びその運転方法を提供する。
【0018】
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る冷却システムは、
蓄冷材を収容した蓄冷ユニットと、
熱媒液を貯留し、前記蓄冷ユニットを浸漬配置した蓄熱槽と、
前記熱媒液が流通可能に前記蓄熱槽と連通した混合槽と、
前記熱媒液を冷却する冷却装置と、
前記熱媒液が、前記混合槽から流入し、冷却対象を冷却するための第1冷却部を経由して、前記混合槽に流出する第1冷却流路と、
前記熱媒液が、前記混合槽から流入し、前記冷却装置により冷却される第2冷却部を経由して、前記蓄熱槽に流出する第2冷却流路と、
を備え、
前記蓄冷材の融点は、前記熱媒液の融点より高く、あらかじめ設定された前記冷却対象の温度より低い。
【0019】
第1態様に係る技術は、蓄熱槽で蓄冷又は放冷した後の熱媒液と、冷却対象を冷却し高温となった熱媒液と、を混合槽で混ぜることで、第1冷却流路の経路を変更せずに、第2冷却流路を用いて、蓄熱槽で蓄冷又は放冷した後の熱媒液よりも高い温度の熱媒液を冷却装置に送ることができる。また、第2冷却流路において、冷却装置の出口側の熱媒液の温度と、冷却装置に送られる熱媒液との温度差を大きくすることができる。また、冷却装置において同じ熱交換量を得るために必要な熱媒液の流量を小さくすることができる。さらに、冷却対象を冷却し高温となった熱媒液よりも低い温度の熱媒液を、冷却対象に送ることができる。そのため、熱媒液の搬送に要する動力が小さくなり、熱媒液の冷却に要するエネルギーを減らすことができる。また、冷却対象の冷却運転を同時に行うことができる。このように、熱媒液の冷却に要するエネルギーを減らしつつ、冷却対象を冷却する熱媒液の流路を変更せずに、冷却装置を動作させながら、蓄冷材の蓄冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、及び、蓄冷材の放冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、を切り替えて行うことができる。
【0020】
本開示の第2態様は、例えば、第1態様に係る冷却システムにおいて、
前記第1冷却流路における前記熱媒液の吸込口を、前記第1冷却流路における前記熱媒液の吐出口より低い位置に配置してもよい。
【0021】
第2態様によれば、冷却対象を冷却し高温となった熱媒液は、第1冷却流路から混合槽内に吐出され、蓄熱槽で蓄冷又は放冷した後の熱媒液と混ざるので、熱媒液の温度は下がり、密度が大きくなって下降する。そのため、この熱媒液を第1冷却流路に吸込み、冷却対象に送ることで、熱媒液の吸込口と熱媒液の吐出口との間で熱媒液の温度差を確保することができるので、冷却対象の冷却運転を確実に行うことができる。
【0022】
本開示の第3態様は、例えば、第1態様または第2態様に係る冷却システムにおいて、
前記蓄熱槽における前記混合槽と前記蓄冷ユニットとの間で且つ前記熱媒液の液面より低い第1の位置と、前記第2冷却流路における前記混合槽の前記熱媒液の液面の位置と前記第2冷却部との間の第2の位置と、を接続して前記熱媒液が流れる第1のバイパス流路と、
前記蓄熱槽において前記蓄冷ユニットに対して前記混合槽と反対側の位置に貯留された前記熱媒液の温度を検出する温度検出手段と、
前記第1のバイパス流路に配置され、前記温度検出手段で検出された温度に応じて、前記第1のバイパス流路を流れる前記熱媒液の流量を制御する第1の流量調整器と、
をさらに備えてもよい。
【0023】
冷却装置において高い成績係数で一定運転が行われる場合、冷却対象の温度が上昇して混合槽から冷却装置に送られる熱媒液の温度が高くなった場合には、第2冷却流路において冷却装置を出る熱媒液の温度も高くなり、条件によっては、蓄冷材の融点を上回る可能性がある。しかし第3態様によれば、混合槽から第2冷却流路に流入して冷却装置に送られる熱媒液と、第1のバイパス流路を流れる熱媒液とを、第2冷却流路の冷却装置の入口側で混ぜることで、混合槽から第2冷却流路に流入するときの熱媒液よりも低い温度の熱媒液を、冷却装置に送ることができる。ここで、冷却装置において高い成績係数で一定運転が行われる場合には、第2冷却流路において冷却装置を出た熱媒液の温度、すなわち蓄熱槽へ流出する熱媒液の温度も同様に低くすることができる。さらに、温度検出手段で検出された温度に応じて、第1のバイパス流路を流れる熱媒液の流量を制御することで、第2冷却流路から蓄熱槽に流出する熱媒液の温度を、蓄冷材の融点未満に下げることが可能
となる。そのため、冷却装置において高い成績係数で一定運転が行われる場合に、冷却対象の温度が上昇した時においても、冷却対象を冷却する熱媒液の流路を変更せずに、1つの冷却装置で、蓄冷材の蓄冷運転と冷却対象の冷却運転とを同時に行うことができる。
【0024】
本開示の第4態様は、例えば、第3態様に係る冷却システムにおいて、
前記第2冷却流路における前記第2の位置と前記第2冷却部との間の第3の位置と、前記第2冷却流路における前記第2冷却部と前記蓄熱槽の前記熱媒液の液面の位置との間の第4の位置と、を接続して前記熱媒液が流れる第2のバイパス流路と、
前記第2のバイパス流路に配置され、前記温度検出手段で検出された温度に応じて、前記第2のバイパス流路を流れる前記熱媒液の流量を制御する第2の流量調整器と、
をさらに備えてもよい。
【0025】
冷却装置において高い成績係数で一定運転が行われる場合、冷却対象の温度が低下して混合槽から冷却装置に送られる熱媒液の温度が低くなった場合には、第2冷却流路において冷却装置を出る熱媒液の温度も低くなり、条件によっては、蓄冷材の融点を下回る可能性がある。しかし第4態様によれば、第2冷却流路において冷却装置を出た熱媒液と、第2のバイパス流路を流れる熱媒液とを、第2冷却流路の冷却装置の出口側で混ぜることで、冷却装置を出た熱媒液よりも高い温度の熱媒液を、蓄熱槽に送ることができる。さらに、温度検出手段で検出された温度に応じて、第2のバイパス流路を流れる熱媒液の流量を制御することで、第2冷却流路から蓄熱槽に流出する熱媒液の温度を、蓄冷材の融点以上に上げることが可能となる。そのため、冷却装置において高い成績係数で一定運転が行われる場合に、冷却対象の温度が低下した時においても、冷却対象を冷却する熱媒液の流路を変更せずに、1つの冷却装置で、蓄冷材の放冷運転と冷却対象の冷却運転とを同時に行うことができる。
【0026】
本開示の第5態様は、例えば、第1から第4態様のいずれか1つに係る冷却システムにおいて、
前記混合槽は、
前記熱媒液が流通可能に前記蓄熱槽と連通した第1貯留槽と、
前記熱媒液が流通可能に前記第1貯留槽と連通した第2貯留槽と、
を有し、
前記第2冷却流路は、
前記第1貯留槽から前記熱媒液を流入し、
前記第1冷却流路は、
前記第1貯留槽から前記熱媒液を流入するとともに、前記第2貯留槽に前記熱媒液を流出する、
構成としてもよい。
【0027】
冷却装置において高い成績係数で一定運転が行われる場合、冷却対象の温度が大きく変動して第1貯留槽から冷却装置に送られる熱媒液の温度も大きく変動した場合には、第2冷却流路において冷却装置を出た熱媒液の温度も同様に大きく変動し、条件によっては、蓄冷材の蓄冷時に蓄冷材の融点を上回ったり、蓄冷材の放冷時に蓄冷材の融点を下回ったりする可能性がある。しかし第5態様によれば、冷却対象を冷却し高温となって第1冷却流路から第2貯留槽に流出した熱媒液が、一旦第2貯留槽に貯留されてから、第1貯留槽に送られることで、第2貯留槽から第1貯留槽に送られる熱媒液の温度の変動が小さくなる。また、第1貯留槽から第2冷却流路に流入して冷却装置に送られる熱媒液の温度の変動も小さくすることができる。ここで、冷却装置において高い成績係数で一定運転が行われる場合には、第2冷却流路において冷却装置を出た熱媒液の温度、すなわち蓄熱槽へ流出する熱媒液の温度の変動も同様に小さくすることができる。そのため、冷却装置において高い成績係数で一定運転が行われる場合に、冷却対象の温度が大きく変動する時におい
ても、冷却対象を冷却する熱媒液の流路を変更せずに、冷却装置を動作させながら、蓄冷材の蓄冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、及び、蓄冷材の放冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、を切り替えて行うことができる。
【0028】
本開示の第6態様は、例えば、第5態様に係る冷却システムにおいて、
前記第2貯留槽と前記第1貯留槽との間、及び、前記第1貯留槽と前記蓄熱槽との間のそれぞれに、前記熱媒液が流通可能な区画壁をさらに備えてもよい。
【0029】
第6態様によれば、隣り合う槽を熱媒液が流通可能な区画壁で仕切ることで、貯留される熱媒液の温度が高い順に、第2貯留槽、第1貯留槽、蓄熱槽と配置されるため、第2貯留槽から蓄熱槽への熱移動量が抑制される。これにより、蓄熱槽において蓄冷ユニットに流入する前の熱媒液の温度を低く保つことが可能となり、蓄冷材の蓄冷運転時にはこの熱媒液を蓄冷材の融点未満とすることができる。そのため、熱媒液の冷却に要するエネルギーを減らしつつ、冷却対象を冷却する熱媒液の流路を変更せずに、1つの冷却装置で、蓄冷材の蓄冷運転と冷却対象の冷却運転とを同時に行うことができる。
【0030】
本開示の第7態様に係る冷却システムの運転方法は、
第1態様に係る冷却システムにおいて、前記熱媒液が前記第1冷却流路を流れて前記冷却対象を冷却して前記混合槽に流出しているときに、第1運転と第2運転とを切り替えて運転する冷却システムの運転方法であって、
前記第1運転は、
前記熱媒液が前記第2冷却流路を流れて前記冷却装置により前記蓄冷材の融点未満で且つ前記熱媒液の融点より高い温度に冷却され前記蓄熱槽に流出するステップと、
前記蓄熱槽に流出した、前記蓄冷材の融点未満で且つ前記熱媒液の融点より高い温度の前記熱媒液が、前記蓄熱槽に貯留されていた前記熱媒液と混合するステップと、
混合した前記熱媒液が前記蓄冷ユニットを流れて前記蓄冷材に蓄冷させるステップと、を有し、
前記第2運転は、
前記熱媒液が前記第2冷却流路を流れて前記冷却装置により前記蓄冷材の融点以上で且つ前記あらかじめ設定された前記冷却対象の温度より低い温度に冷却され前記蓄熱槽に流出するステップと、
前記蓄熱槽に流出した、前記蓄冷材の融点以上で且つ前記あらかじめ設定された前記冷却対象の温度より低い温度の前記熱媒液が、前記蓄熱槽に貯留されていた前記熱媒液と混合するステップと、
混合した前記熱媒液が前記蓄冷ユニットを流れて前記蓄冷材に放冷させるステップと、を有する。
【0031】
第7態様によれば、熱媒液の冷却に要するエネルギーを減らしつつ、冷却対象を冷却する熱媒液の流路を変更せずに冷却対象の冷却運転を継続した状態で、冷却装置を動作させながら、蓄冷材の蓄冷運転と蓄冷材の放冷運転とを切り替えて行うことができる。
【0032】
本開示の第8態様は、例えば、第7態様に係る運転方法において、
前記冷却システムは、
前記蓄熱槽における前記混合槽と前記蓄冷ユニットとの間で且つ前記熱媒液の液面より低い第1の位置と、前記第2冷却流路における前記混合槽の前記熱媒液の液面の位置と前記第2冷却部との間の第2の位置と、を接続して前記熱媒液が流れる第1のバイパス流路と、
前記蓄熱槽において前記蓄冷ユニットに対して前記混合槽と反対側の位置に貯留された前記熱媒液の温度を検出する温度検出手段と、
をさらに備え、
前記温度検出手段で検出された温度に応じて、前記第1のバイパス流路を流れる前記熱媒液の流量を制御してもよい。
【0033】
第8態様によれば、第3態様と同様に、冷却装置において高い成績係数で一定運転が行われる場合に、冷却対象の温度が上昇した時においても、冷却対象を冷却する熱媒液の流路を変更せずに、1つの冷却装置で、蓄冷材の蓄冷運転と冷却対象の冷却運転とを同時に行うことができる。
【0034】
本開示の第9態様は、例えば、第8態様に係る運転方法において、
前記冷却システムは、
前記第2冷却流路における前記第2の位置と前記第2冷却部との間の第3の位置と、前記第2冷却流路における前記第2冷却部と前記蓄熱槽の前記熱媒液の液面の位置との間の第4の位置と、を接続して前記熱媒液が流れる第2のバイパス流路、
をさらに備え、
前記温度検出手段で検出された温度に応じて、前記第2のバイパス流路を流れる前記熱媒液の流量を制御してもよい。
【0035】
第9態様によれば、第4態様と同様に、冷却装置において高い成績係数で一定運転が行われる場合に、冷却対象の温度が低下した時においても、冷却対象を冷却する熱媒液の流路を変更せずに、1つの冷却装置で、蓄冷材の放冷運転と冷却対象の冷却運転とを同時に行うことができる。
【0036】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0037】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0038】
(実施の形態1)
以下、図1図3を用いて、実施の形態1を説明する。
【0039】
[1-1.構成]
図1において、冷却システム100は、蓄熱槽105と、蓄冷ユニット115と、混合槽125と、区画壁130と、冷却装置135と、第1冷却流路180と、第2冷却流路190と、を備える。冷却システム100は、冷却すべき冷却対象155を効率的に冷却するためのシステムである。
【0040】
蓄熱槽105は、熱媒液110を貯留し、蓄冷ユニット115を浸漬配置している。熱媒液110は、水である。蓄冷ユニット115は、図1及び図2に示すように、縦、横、高さ方向にそれぞれ複数配置されている。蓄冷ユニット115のそれぞれは、直方体形状のアルミラミネートパックあるいは樹脂ケース等に封入された蓄冷材120を収容している(図3参照)。蓄冷材120は、液体から固体へ相変化することにより蓄冷し、固体から液体へ相変化することにより放冷する、クラスレートハイドレートである。蓄冷材120としては、その融点(例えば、7℃)が、熱媒液110の融点(0℃)より高く、且つ、あらかじめ設定されている冷却対象155の温度(幅がある場合はその下限値)より低いものが用いられる。冷却対象155は、例えば、製造プロセスにおいて12℃での温度調整を要する機器である。
【0041】
混合槽125は、熱媒液110を貯留し、熱媒液110が流通可能に蓄熱槽105と連通している。区画壁130は、熱媒液110が流通可能な構成で、混合槽125と蓄熱槽105との間に設けられている。
【0042】
第1冷却流路180は、冷却対象155を冷却するための第1冷却部185を有する。このため、第1冷却部185は、その中を流れる熱媒液110と冷却対象155とが熱交換可能となる構成を有し、第1冷却部185を流れる熱媒液110によって、冷却対象155が冷却される。第1冷却流路180にはポンプ160が配置され、熱媒液110が、吸込口165から第1冷却流路180に流入し、第1冷却部185を経由して、吐出口170から流出する。第1冷却流路180における吸込口165および吐出口170は、混合槽125に貯留された熱媒液110の中に配置されている。吸込口165は、吐出口170よりも低い位置に設けられている。
【0043】
第2冷却流路190は、冷却装置135により冷却される第2冷却部195を有する。このため、第2冷却部195は、その中を流れる熱媒液110と冷却装置135とが熱交換可能となる構成を有し、冷却装置135によって、第2冷却部195を流れる熱媒液110が冷却される。第2冷却流路190にはポンプ150が配置され、熱媒液110が、混合槽125の熱媒液110の中に配置された吸込口から第2冷却流路190に流入し、第2冷却部195を経由して、蓄熱槽105の熱媒液110の中に配置された吐出口から流出する。第2冷却流路190における熱媒液110の吐出口は、蓄熱槽105における、蓄冷ユニット115に対して混合槽125と反対側の位置に貯留された熱媒液110の中に配置されている。
【0044】
次に図2を用いて蓄熱槽105の内部構造を説明する。蓄熱槽105は、熱媒液110を貯留し、蓄冷材120(図3参照)を収容した蓄冷ユニット115を浸漬配置している。蓄冷ユニット115は、架台116の上に複数個積層して配置されている。架台116は、最下部の蓄冷ユニット115の下に熱媒液110を流すためのスペースを形成している。
【0045】
上流側仕切板117及び下流側仕切板118は、蓄冷ユニット115に熱媒液110を流すための流路を形成している。上流側仕切板117は、熱媒液110が蓄冷ユニット115を通過せずに短絡して流れることを抑制するため、その上端部が熱媒液110の液面より高く配置されている。下流側仕切板118は、熱媒液110が蓄冷ユニット115へ流れ込むように、その下端部が蓄熱槽105の底面に接する位置に配置されている。そして蓄冷ユニット115から流出した熱媒液110が混合槽125の方に流れるように、下流側仕切板118は、その上端部が熱媒液110の液面より低く配置されている。
【0046】
区画壁130は、蓄冷ユニット115から流出した熱媒液110が混合槽125へ流通可能となるように、その上端部が熱媒液110の液面より低く配置されている。
【0047】
次に図3を用いて蓄冷ユニット115の内部構造を説明する。蓄冷ユニット115は、蓄冷材収容箱121内に、熱媒液110が流通する間隙を設けて、複数個の蓄冷材120を配列して構成される。前述のように、蓄冷材120は、直方体形状のアルミラミネートパックあるいは樹脂ケース等に封入されている。本明細書においては、蓄冷材120とは、蓄冷材そのものを示すだけでなく、便宜上、蓄冷材がアルミパックあるいはアルミケース等に封入されたセットの状態のものを示すこともある。蓄冷材収容箱121は、天井部及び底部に、熱媒液110の流通用の開口付き蓋122をそれぞれ備える。このため熱媒液110は、蓄冷ユニット115の中に容易に流れ込むことができる。したがって、蓄冷材120とその周囲を流れる熱媒液110との間で熱交換を行うことができる。
【0048】
[1-2.動作]
以上のように構成された冷却システム100について、その動作を以下説明する。
【0049】
冷却装置135が高い成績係数で運転するためには、熱媒液110の流量及び温度に制約がある。具体的には、一定の冷却能力(熱媒液110の流量及び温度差が一定)で運転すること等が有効である。
【0050】
図1から図3を用いて、冷却システム100の動作を説明する。最初に、蓄熱槽105に配置された蓄冷ユニット115の蓄冷材120を蓄冷する運転と、冷却対象155を冷却する運転とを同時に行う時の動作を説明する。
【0051】
蓄冷材120を蓄冷する運転は、次のように行なわれる。
【0052】
まず、混合槽125に貯留されている熱媒液110が、第2冷却流路190に流入し、第2冷却部195において冷却装置135により冷却される。ここで熱媒液110は、熱媒液110の融点より高く、且つ、蓄冷材120の融点未満に冷却される。
【0053】
冷却された熱媒液110は、第2冷却流路190から蓄熱槽105へ流出する。ここで、蓄熱槽105へ流出した熱媒液110は、蓄熱槽105に貯留されていた熱媒液110と混合される。
【0054】
蓄熱槽105で混合された熱媒液110は、架台116を設けることで形成された、最下部の蓄冷ユニット115の下のスペースに流れ込んだ後、おおよそ下側から上側に向かって複数の蓄冷ユニット115を通過する。個々の蓄冷ユニット115では、熱媒液110が、底部の開口付き蓋122を通過して内部に流れ込み、蓄冷材収容箱121内に複数個配列された蓄冷材120の周囲を流れ、天井部の開口付き蓋122を通過して外部に流出する。このとき、熱媒液110と蓄冷材120との間で熱交換が行われる。この熱交換の結果、蓄冷材120は、上流側すなわち下側の蓄冷ユニット115から順に下流側すなわち上側の蓄冷ユニット115において、融点未満の温度に下がり、液体から固体へ相変化することで、蓄冷される。
【0055】
複数の蓄冷ユニット115を通過した熱媒液110は、区画壁130の上端部を乗り越えて、混合槽125内に流れ込む。
【0056】
冷却対象155を冷却する運転は、次のように行なわれる。
【0057】
まず、混合槽125に貯留されている熱媒液110が、吸込口165から第1冷却流路180に流入し、第1冷却部185において冷却対象155を冷却する。ここで熱媒液110は、冷却対象155を冷却することで高温となる。
【0058】
高温となった熱媒液110は、第1冷却流路180を流れて吐出口170から混合槽125に流出する。混合槽125に流出した熱媒液110は、混合槽125に貯留されていた熱媒液110と混合される。混合槽125に貯留されていた熱媒液110には、区画壁130を乗り越えて混合槽125に流れ込んだ、蓄熱槽105で蓄冷材に蓄冷した後の熱媒液110も混合されている。
【0059】
ここで、第1冷却流路180と第2冷却流路190とは、互いに構成が独立しているため、冷却対象の冷却運転と蓄冷材120の蓄冷運転とを同時に行うことができる。さらに、この2つの流路においては、熱媒液110の流れの方向を切り替えるなどの流路の変更
を行わずに、両方の運転を連続して行うことができる。
【0060】
また、混合槽125において、蓄熱槽105で蓄冷材120に蓄冷した後の熱媒液110と、冷却対象155を冷却し高温となった熱媒液110とが混ざることで、混合槽125から第2冷却流路190に流入して冷却装置135に送られる熱媒液110の温度は、蓄熱槽105で蓄冷材120を蓄冷した後の熱媒液110よりも高くなる。また、混合槽125から第1冷却流路180に流入して冷却対象155に向かって送られる熱媒液110の温度は、冷却対象155を冷却し高温となった熱媒液110よりも低くなる。このため、混合槽125の熱媒液110は、第1冷却流路180の吐出口170から吐出された時よりも、密度が大きくなって下降する。第1冷却流路180の吸込口165は、吐出口170より低い位置に設けられているため、混合槽125において、密度が大きくなって下降した熱媒液110は、吸込口165から再び第1冷却流路180に吸い込まれ、冷却対象155に向かって送られる。
【0061】
次に、蓄熱槽105に配置された蓄冷ユニット115の蓄冷材120から放冷する運転と、冷却対象155を冷却する運転とを同時に行う時の動作を説明する。
【0062】
蓄冷材120から放冷する運転は、次のように行なわれる。
【0063】
まず、混合槽125に貯留されている熱媒液110が、第2冷却流路190に流入し、第2冷却部195において冷却装置135により冷却される。ここで熱媒液110は、蓄冷材120の融点以上で且つ、あらかじめ設定される冷却対象155の温度よりも低い温度に冷却される。
【0064】
冷却された熱媒液110は、第2冷却流路190から蓄熱槽105へ流出する。ここで、蓄熱槽105へ流出した熱媒液110は、蓄熱槽105に貯留されていた熱媒液110と混合される。
【0065】
蓄熱槽105で混合された熱媒液110は、架台116を設けることで形成された、最下部の蓄冷ユニット115の下のスペースに流れ込んだ後、おおよそ下側から上側に向かって複数の蓄冷ユニット115を通過する。個々の蓄冷ユニット115では、熱媒液110が、底部の開口付き蓋122を通過して内部に流れ込み、蓄冷材収容箱121内に複数個配列された蓄冷材120の周囲を流れ、天井部の開口付き蓋122を通過して外部に流出する。このとき、熱媒液110と蓄冷材120との間で熱交換が行われる。この熱交換の結果、蓄冷材120は、上流側すなわち下側の蓄冷ユニット115から順に下流側すなわち上側の蓄冷ユニット115において、融点以上の温度に上がり、固体から液体へ相変化することで、放冷される。
【0066】
複数の蓄冷ユニット115を通過した熱媒液110は、区画壁130の上端部を乗り越えて、混合槽125内に流れ込む。
【0067】
冷却対象155を冷却する運転は、次のように行なわれる。
【0068】
まず、混合槽125に貯留されている熱媒液110が、吸込口165から第1冷却流路180に流入し、第1冷却部185において冷却対象155を冷却する。ここで熱媒液110は、冷却対象155を冷却することで高温となる。
【0069】
高温となった熱媒液110は、第1冷却流路180を流れて吐出口170から混合槽125に流出する。混合槽125に流出した熱媒液110は、混合槽125に貯留されていた熱媒液110と混合される。混合槽125に貯留されていた熱媒液110には、区画壁
130を乗り越えて混合槽125に流れ込んだ、蓄熱槽105で蓄冷材を放冷させた後の熱媒液110も混合されている。
【0070】
ここで、第1冷却流路180と第2冷却流路190とは、互いに構成が独立しているため、冷却対象の冷却運転と蓄冷材120の放冷運転とを同時に行うことができる。さらに、この2つの流路においては、熱媒液110の流れの方向を切り替えるなどの流路の変更を行わずに、両方の運転を連続して行うことができる。
【0071】
また、混合槽125において、蓄熱槽105で蓄冷材120に蓄冷した後の熱媒液110と、冷却対象155を冷却し高温となった熱媒液110とが混ざることで、混合槽125から第2冷却流路190に流入して冷却装置135に向かって送られる熱媒液110の温度は、蓄熱槽105で蓄冷材120を放冷させた後の熱媒液110よりも高くなる。また、混合槽125から第1冷却流路180に流入して冷却対象155に向かって送られる熱媒液110の温度は、冷却対象155を冷却し高温となった熱媒液110よりも低くなる。このため、混合槽125の熱媒液110は、第1冷却流路180の吐出口170から吐出された時よりも、密度が大きくなって下降する。第1冷却流路180の吸込口165は、吐出口170より低い位置に設けられているため、混合槽125において、密度が大きくなって下降した熱媒液110は、吸込口165から再び第1冷却流路180に吸い込まれ、冷却対象155に向かって送られる。
【0072】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、冷却システム100は、蓄熱槽105と、蓄冷ユニット115と、混合槽125と、冷却装置135と、第1冷却流路180と、第2冷却流路190と、を備える。蓄熱槽105は、熱媒液110を貯留し、蓄冷ユニット115を浸漬配置している。蓄冷ユニット115は、蓄冷材120を収容している。蓄冷材120の融点は、熱媒液110の融点より高く、且つ、あらかじめ設定されている冷却対象155の温度より低い。混合槽125は、熱媒液110を貯留し、蓄熱槽105と連通している。第1冷却流路180は、熱媒液110が、混合槽125から流入し、冷却対象155を冷却するための第1冷却部185を経由して、混合槽125に流出する構成を有する。第2冷却流路190は、熱媒液110が、混合槽125から流入し、冷却装置135により冷却される第2冷却部195を経由して、蓄熱槽105に流出する構成を有する。
【0073】
これにより、混合槽125において、蓄熱槽105で蓄冷材120に蓄冷又は放冷させた後の熱媒液110と、冷却対象155を冷却し高温となった熱媒液110とを混ぜることで、蓄熱槽105で蓄冷材120に蓄冷又は放冷させた後の熱媒液110よりも高い温度の熱媒液110を、混合槽125から第2冷却流路190に流入して冷却装置135に送ることができる。
【0074】
また、蓄冷ユニット115から流出する熱媒液110の温度と蓄冷材120の融点との温度差が小さくなる、蓄冷又は放冷運転の後半においても、第2冷却流路190において、冷却装置135の出口145側の熱媒液110の温度と、冷却装置135の入口140側の熱媒液110の温度との温度差を大きく保つことができる。
【0075】
また、冷却装置135において同じ熱交換量を得るために必要な熱媒液110の流量を小さく保つことができる。
【0076】
さらに、冷却対象155を冷却し高温となった熱媒液110よりも低い温度の熱媒液110を、冷却対象155に送ることができる。そのため、熱媒液110の搬送に要する動力を小さく保ち、熱媒液の冷却に要するエネルギーを減らすことができる。また、蓄冷又は放冷運転の後半においても、冷却能力を保ちつつ運転することで、冷却装置135の成
績係数を高く保つことができる。
【0077】
さらに、第1冷却流路180と第2冷却流路190とは、互いに構成が独立しているため、熱媒液110の流れの方向を切り替えるなどの流路の変更を行わずに、冷却対象155の冷却運転と、蓄冷材120の蓄冷又は放冷運転と、を同時に行うことができるとともに、冷却対象155の冷却運転を行いながら、蓄冷材120の蓄冷運転と放冷運転とを切り替えて行うことができる。
【0078】
このように、従来よりも熱媒液の冷却に要するエネルギーを減らしつつ、冷却対象を冷却する熱媒液の流路の変更を行なうことなく、冷却装置135を動作させながら、蓄冷材の蓄冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、及び、蓄冷材の放冷と冷却対象155の冷却とを同時に行う運転、を切り替えて行うことができる。
【0079】
また、本実施の形態のように、冷却システム100は、第1冷却流路180において、吸込口165と、吐出口170と、を備え、冷却対象155を冷却するために熱媒液110が混合槽125から流入する吸込口165は、熱媒液110が冷却対象155を冷却して混合槽125に流出する吐出口170より低い位置に設けるようにしてもよい。
【0080】
これにより、冷却対象155を冷却し高温となった熱媒液110は、混合槽125内に吐出され、混合槽125において、蓄熱槽105で蓄冷材に蓄冷又は放冷させた後の熱媒液110と混ざる。熱媒液110の温度は下がり、密度が大きくなって下降する。そのため、この熱媒液110を第1冷却流路180に吸込み、冷却対象155を冷却して吐出することで、吸込口165と吐出口170との間で熱媒液110の温度差を確保し、冷却対象155の冷却運転を確実に行うことができる。
【0081】
以上のように、熱媒液110の冷却に要するエネルギーを減らしつつ、冷却対象155を冷却する熱媒液110の流路を変更せずに、冷却装置135を動作させながら、蓄冷材120の蓄冷と冷却対象155とを同時に行う運転、及び、蓄冷材120の放冷と冷却対象155の冷却とを同時に行う運転を、切り替えながら確実に行うことができる。
【0082】
(実施の形態2)
以下、図4図6を用いて、実施の形態2を説明する。
【0083】
[2-1.構成]
実施の形態2にかかる冷却システム200は、少なくとも、熱媒液槽205と、第1のバイパス流路215と、第1の流量調整器220と、温度検出手段225と、第2のバイパス流路230と、第2の流量調整器235と、を備える点で、実施の形態1にかかる冷却システム100と異なる。以下、実施の形態1で説明した構成要素と同じ構成、配置を有するものは、説明を省略することがある。
【0084】
熱媒液槽205は混合槽125と蓄熱槽105とを有し、混合槽125は第1貯留槽240と第2貯留槽245とを有する。熱媒液槽205では、第2貯留槽245、第1貯留槽240、及び蓄熱槽105の順に配置される。第2貯留槽245と第1貯留槽240との間には、熱媒液110が流通可能に区画する区画壁131が配置される。第1貯留槽240と蓄熱槽105との間には、熱媒液110が流通可能に区画する区画壁130が配置される。
【0085】
第1のバイパス流路215は、蓄熱槽105における第1貯留槽240と蓄冷ユニット115との間で且つ熱媒液110の液面より低い第1の位置142と、第2冷却流路190における第1貯留槽240の熱媒液110の液面の位置と第2冷却部195との間の第
2の位置144と、を接続して熱媒液110が流れる。
【0086】
温度検出手段225は、サーミスタであり、蓄熱槽105において蓄冷ユニット115に対して第1貯留槽240と反対側の位置に貯留された熱媒液110の温度を検出する。なお、温度検出手段225はサーミスタに限らず、熱電対、あるいは温度カメラ等を用いて温度を検出できるものであれば何でもよい。
【0087】
第1の流量調整器220は、電磁弁であり、第1のバイパス流路215に配置され、温度検出手段225で検出された温度に応じて、第1のバイパス流路215を流れる熱媒液110の流量を制御する。
【0088】
第2のバイパス流路230は、第2冷却流路190における第2の位置144と第2冷却部195との間の第3の位置146と、第2冷却流路190における第2冷却部195と蓄熱槽105の熱媒液110の液面の位置との間の第4の位置148と、を接続して熱媒液110が流れる。すなわち第2のバイパス流路230は、冷却装置135の入口140側と冷却装置135の出口145側とを接続する。
【0089】
第2の流量調整器235は、電磁弁であり、第2のバイパス流路230に配置され、温度検出手段225で検出された温度に応じて、第2のバイパス流路230を流れる熱媒液110の流量を制御する。
【0090】
[2-2.動作]
以上のように構成された冷却システム200について、その動作を以下説明する。
【0091】
冷却装置135が高い成績係数で運転するためには、熱媒液110の流量及び温度に制約がある。具体的には、一定の冷却能力(熱媒液110の流量及び温度差が一定)で運転すること等が有効である。
【0092】
図4及び図5を用いて、冷却システム200の動作を説明する。最初に、蓄熱槽105に配置された蓄冷ユニット115の蓄冷材120を蓄冷する運転と、冷却対象155を冷却する運転とを同時に行う時の動作を説明する。この運転モードでは、第2の流量調整器235を閉とし、第2のバイパス流路230に熱媒液110が流れないようにしている。冷却装置135では、高い成績係数で一定運転が行われている。
【0093】
蓄冷材120を蓄冷する運転は、次のように行なわれる。
【0094】
まず、第1貯留槽240から第2冷却流路190に流入した熱媒液110と、蓄熱槽105から第1のバイパス流路215に流入した熱媒液110とを、第2の位置144で合流させて混合し、混合した熱媒液110は第2冷却部195において冷却装置135により冷却される。ここで熱媒液110は、熱媒液110の融点より高く、且つ、蓄冷材120の融点未満に冷却される。
【0095】
冷却された熱媒液110は、第2冷却流路190から蓄熱槽105へ流出する。ここで、蓄熱槽105へ流出した熱媒液110は、蓄熱槽105に貯留されていた熱媒液110と混合される。
【0096】
蓄熱槽105で混合された熱媒液110は、架台116を設けることで形成された、最下部の蓄冷ユニット115の下のスペースに流れ込んだ後、おおよそ下側から上側に向かって複数の蓄冷ユニット115を通過する。個々の蓄冷ユニット115では、熱媒液110が、底部の開口付き蓋122を通過して内部に流れ込み、蓄冷材収容箱121内に複数
個配列された蓄冷材120の周囲を流れ、天井部の開口付き蓋122を通過して外部に流出する。このとき、熱媒液110と蓄冷材120との間で熱交換が行われる。この熱交換の結果、蓄冷材120は、上流側すなわち下側の蓄冷ユニット115から順に下流側すなわち上側の蓄冷ユニット115において、融点未満の温度に下がり、液体から固体へ相変化することで、蓄冷される。
【0097】
複数の蓄冷ユニット115を通過した熱媒液110は、区画壁130の上端部を乗り越えて、第1貯留槽240内に流れ込む。
【0098】
冷却対象155を冷却する運転は、次のように行なわれる。
【0099】
まず、第1貯留槽240に貯留されている熱媒液110が、吸込口165から第1冷却流路180に流入し、第1冷却部185において冷却対象155を冷却する。ここで熱媒液110は、冷却対象155を冷却することで高温となる。
【0100】
高温となった熱媒液110は、第1冷却流路180を流れて吐出口170から第2貯留槽245に流出する。第2貯留槽245に流出した熱媒液110は、区画壁131の上端部を乗り越えて、第1貯留槽240に流れ込む。このように、一旦、第2貯留槽245を経由することで、第1貯留槽240に送られる熱媒液110の温度の変動は、小さくなる。また、区画壁131の上端部を乗り越えた後の熱媒液110は、第1貯留槽240に貯留されていた熱媒液110と混合される。第1貯留槽240に貯留されていた熱媒液110には、区画壁130の上端部を乗り越えて第1貯留槽240に流れ込んだ、蓄熱槽105で蓄冷材120に蓄冷させた後の熱媒液110も混合されている。
【0101】
ここで、第1冷却流路180と第2冷却流路190とは、互いに構成が独立しているため、冷却対象の冷却運転と蓄冷材120の蓄冷運転とを同時に行うことができる。さらに、第1冷却流路180においては、熱媒液110の流れの方向を切り替えるなどの流路の変更を行わずに、連続して運転を行うことができる。
【0102】
また、冷却対象155を冷却し高温となった熱媒液110が第2貯留槽245から区画壁131の上端部を乗り越えて第1貯留槽240に流れ込むとともに、蓄熱槽105で蓄冷材120に蓄冷させた後の熱媒液110が蓄熱槽105から区画壁130の上端部を乗り越えて第1貯留槽240に流れ込んで、第1貯留槽240で混合される。ここで、第1貯留槽240に貯留される熱媒液110の温度は、蓄熱槽105で蓄冷材120を蓄冷させた後の熱媒液110よりも高くなるが、冷却対象155を冷却し高温となって吐出口170から吐出される熱媒液110よりも低くなる。この結果、第2貯留槽245から第1貯留槽240に流れ込んだ熱媒液110の温度は下がり、密度が大きくなって下降するため、対流により混合が促進される。そのため、第1冷却流路180の吸込口165からこの熱媒液110を吸込み、冷却対象155に向かって送ることで、吸込口165と吐出口170との間で熱媒液110の温度差を確保し、冷却対象155の冷却運転を確実に行うことができる。
【0103】
ここで、冷却対象155の温度が上昇すると、第1冷却流路180を流れて吐出口170から第2貯留槽245に流出する熱媒液110の温度も上昇し、第1貯留槽240に流れ込む熱媒液110の温度も上昇する。この結果、第1貯留槽240に貯留されている熱媒液の温度も上昇する。この場合、第1貯留槽240から第2冷却流路190に流入して冷却装置135に送られる熱媒液110の温度も上昇するため、第2冷却流路190から蓄熱槽105に流出する熱媒液110の温度も上昇し、温度検出手段225で検出される熱媒液110の温度も高くなる。
【0104】
そこで、この検出された温度に応じて、第1の流量調整器220により、第1のバイパス流路215を流れる熱媒液110の流量が大きくなるように制御する。そうすることで、第1貯留槽240から第2冷却流路190に流入したときの熱媒液110の温度よりも低い温度の熱媒液110が、より多く冷却装置135に送られる。ここで、高い成績係数を有する冷却能力での一定運転が行われる場合には、第2冷却流路190において第2冷却部195で冷却装置135により冷却された熱媒液110の温度、及び、第2冷却流路190から蓄熱槽105に流出した熱媒液110の温度も同様に低くすることができる。このようにして、蓄冷ユニット115に流入する前の熱媒液110の温度を、熱媒液110の融点より高く、且つ、蓄冷材120の融点未満に制御することができる。
【0105】
次に、図4及び図6を用いて、冷却システム200の動作を説明する。最初に、蓄熱槽105に配置された蓄冷ユニット115の蓄冷材120から放冷する運転と、冷却対象155を冷却する運転とを同時に行う時の動作を説明する。この運転モードでは、第1の流量調整器220を閉とし、第1のバイパス流路215に熱媒液110が流れないようにしている。冷却装置135では、高い成績係数で一定運転が行われている。
【0106】
蓄冷材120から放冷する運転は、次のように行なわれる。
【0107】
まず、第1貯留槽240から第2冷却流路190に流入した熱媒液110が、第3の位置146で分岐して、冷却装置135と第2のバイパス流路230とに送られる。そして、第2冷却流路190における第2冷却部195で冷却装置135により冷却された熱媒液110と、第2のバイパス流路230を流れた冷却されていない熱媒液110とが、第4の位置148で合流して混ざるため、第2冷却流路190から蓄熱槽105に流出する熱媒液110の温度を蓄冷材120の融点以上にすることができる。
【0108】
第4の位置148で合流して混合された熱媒液110は、第2冷却流路190から蓄熱槽105に流出する。ここで、蓄熱槽105に流出した熱媒液110は、蓄熱槽105に貯留されていた熱媒液110と混合される。
【0109】
蓄熱槽105で混合された熱媒液110は、複数の蓄冷ユニット115をおおよそ下側から上側に向かって通過する。個々の蓄冷ユニット115では、熱媒液110が蓄冷材収容箱121内に複数個配列された蓄冷材120の周囲を流れる。このとき、熱媒液110と蓄冷材120との間で熱交換が行われる。この熱交換の結果、蓄冷材120は、上流側すなわち下側の蓄冷ユニット115から順に下流側すなわち上側の蓄冷ユニット115において、融点以上の温度に上がり、固体から液体へ相変化することで、放冷される。
【0110】
複数の蓄冷ユニット115を通過した熱媒液110は、区画壁130の上端部を乗り越えて、第1貯留槽240内に流れ込む。
【0111】
冷却対象155を冷却する運転は、次のように行なわれる。
【0112】
まず、第1貯留槽240に貯留されている熱媒液110が、吸込口165から第1冷却流路180に流入し、第1冷却部185において冷却対象155を冷却する。ここで熱媒液110は、冷却対象155を冷却することで高温となる。
【0113】
高温となった熱媒液110は、第1冷却流路180を流れて吐出口170から第2貯留槽245に流出する。第2貯留槽245に流出した熱媒液110は、区画壁131の上端部を乗り越えて、第1貯留槽240に流れ込む。このように、一旦、第2貯留槽245を経由することで、第1貯留槽240に送られる熱媒液110の温度の変動は、小さくなる。また、区画壁131の上端部を乗り越えた後の熱媒液110は、第1貯留槽240に貯
留されていた熱媒液110と混合される。第1貯留槽240に貯留されていた熱媒液110には、区画壁130の上端部を乗り越えて第1貯留槽240に流れ込んだ、蓄熱槽105で蓄冷材120に放冷させた後の熱媒液110も混合されている。
【0114】
ここで、第1冷却流路180と第2冷却流路190とは、互いに構成が独立しているため、冷却対象の冷却運転と蓄冷材120の放冷運転とを同時に行うことができる。さらに、第1冷却流路180においては、熱媒液110の流れの方向を切り替えるなどの流路の変更を行わずに、連続して運転を行うことができる。
【0115】
また、冷却対象155を冷却し高温となった熱媒液110が第2貯留槽245から区画壁131の上端部を乗り越えて第1貯留槽240に流れ込むとともに、蓄熱槽105で蓄冷材120に放冷させた後の熱媒液110が蓄熱槽105から区画壁130の上端部を乗り越えて第1貯留槽240に流れ込んで、第1貯留槽240で混合される。ここで、第1貯留槽240に貯留される熱媒液110の温度は、蓄熱槽105で蓄冷材120を放冷させた後の熱媒液110よりも高くなるが、冷却対象155を冷却し高温となって吐出口170から吐出される熱媒液110よりも低くなる。この結果、第2貯留槽245から第1貯留槽240に流れ込んだ熱媒液110の温度は下がり、密度が大きくなって下降するため、対流により混合が促進される。そのため、第1冷却流路180の吸込口165からこの熱媒液110を吸込み、冷却対象155に向かって送ることで、吸込口165と吐出口170との間で熱媒液110の温度差を確保し、冷却対象155の冷却運転を確実に行うことができる。
【0116】
ここで、冷却対象155の温度が低下すると、第1冷却流路180を流れて吐出口170から第2貯留槽245に流出する熱媒液110の温度も低下し、第1貯留槽240に流れ込む熱媒液110の温度も低下する。この結果、第1貯留槽240に貯留されている熱媒液の温度も低下する。この場合、第1貯留槽240から第2冷却流路190に流入して冷却装置135に送られる熱媒液110の温度も低下するため、第2冷却流路190から蓄熱槽105に流出する熱媒液110の温度も低下し、温度検出手段225で検出される熱媒液110の温度も低くなる。
【0117】
そこで、この検出された温度に応じて、第2の流量調整器235により、第2のバイパス流路230を流れる熱媒液110の流量が大きくなるように制御する。そうすることで、冷却装置135を出たときの熱媒液110の温度よりも高い温度の熱媒液110を、第2冷却流路190から蓄熱槽105に流出することができる。このようにして、蓄冷ユニット115に流入する前の熱媒液110の温度を、蓄冷材120の融点以上で且つ冷却対象155の設定温度より低い温度に制御することができる。
【0118】
[2-3.効果等]
以上のように、冷却装置135において、高い成績係数で一定運転が行われる場合、冷却対象155の温度が上昇し、第1貯留槽240から冷却装置135に送られる熱媒液110の温度が高くなった時には、第2冷却流路190において冷却装置135を出る熱媒液110の温度も高くなり、条件によっては、蓄冷材120の融点を上回る可能性もある。
【0119】
これに対して、本実施の形態において、冷却システム200は、第1のバイパス流路215と、第1の流量調整器220と、温度検出手段225と、を備えるようにしてもよい。第1のバイパス流路215は、蓄熱槽105における第1の位置142と第2冷却流路190における第2の位置144とを接続して熱媒液110が流れる。温度検出手段225は、蓄熱槽105において蓄冷ユニット115に対して第1貯留槽240と反対側の位置に貯留された熱媒液110の温度を検出する。第1の流量調整器220は、温度検出手
段225で検出された温度に応じて、第1のバイパス流路215を流れる熱媒液110の流量を制御する。
【0120】
これにより、第1貯留槽240から第2冷却流路190に流入した熱媒液110と、蓄熱槽105から第1のバイパス流路215に流入した熱媒液110とを、第2の位置144で混ぜることで、第1貯留槽240から第2冷却流路190に流入したときの熱媒液110よりも低い温度の熱媒液110を、冷却装置135に送ることができる。
【0121】
ここで、高い成績係数で一定運転が行われる場合には、第2冷却流路190において冷却装置135を出た熱媒液110の温度、及び、第2冷却流路190から蓄熱槽105に流出する熱媒液110の温度も同様に低くすることができる。
【0122】
さらに、温度検出手段225で検出された温度に応じて、第1のバイパス流路215を流れる熱媒液110の流量を制御することで、第2冷却流路190から蓄熱槽105に流出する熱媒液110の温度を下げ、蓄熱槽105において蓄冷ユニット115に流入する前の熱媒液110の温度を、熱媒液110の融点より高く、且つ、蓄冷材120の融点未満とすることができる。
【0123】
そのため、冷却装置135において、高い成績係数で一定運転が行われる場合に、冷却対象155の温度が上昇した時においても、冷却対象155を冷却する熱媒液110の流路の変更を行なうことなく、冷却装置135を動作させながら、蓄冷材120の蓄冷運転と、冷却対象155の冷却運転とを同時に行うことができる。
【0124】
また、冷却装置135において、高い成績係数で一定運転が行われる場合、冷却対象155の温度が低下し、第1貯留槽240から冷却装置135に送られる熱媒液110の温度が低くなった時には、第2冷却流路190において冷却装置135を出る熱媒液110の温度も低くなり、条件によっては、蓄冷材120の融点を下回る可能性もある。
【0125】
これに対して、本実施の形態のように、冷却システム200は、第2のバイパス流路230と、第2の流量調整器235と、を備えるようにしてもよい。第2のバイパス流路230は、第2冷却流路190における第3の位置146と第2冷却流路190における第4の位置148とを接続して熱媒液110が流れる。第2の流量調整器235は、温度検出手段225で検出された温度に応じて、第2のバイパス流路230を流れる熱媒液110の流量を制御する。
【0126】
これにより、冷却装置135により冷却された熱媒液110と、第2のバイパス流路230を流れた冷却されていない熱媒液110とが、第4の位置148で合流して混ざるため、冷却装置135を出たときの熱媒液110よりも高い温度の熱媒液110を、蓄熱槽105に送ることができる。
【0127】
さらに、温度検出手段225で検出された温度に応じて、第2のバイパス流路230を流れる熱媒液110の流量を制御することで、第2冷却流路190から蓄熱槽105に流入する熱媒液110の温度を上げ、蓄熱槽105において蓄冷ユニット115に流入する前の熱媒液110の温度を、蓄冷材120の融点以上で且つ冷却対象155の設定温度より低い温度とすることができる。
【0128】
そのため、冷却装置135において、高い成績係数で一定運転が行われる場合に、冷却対象155の温度が低下した時においても、冷却対象155を冷却する熱媒液110の流路の変更を行なうことなく、冷却装置135を動作させながら、蓄冷材120の放冷運転と、冷却対象155の冷却運転とを同時に行うことができる。
【0129】
また、冷却装置135において、高い成績係数で一定運転が行われる場合、冷却対象155の温度が大きく変動し、第1貯留槽240から冷却装置135に送られる熱媒液110の温度も大きく変動した時には、第2冷却流路190において冷却装置135を出た熱媒液110の温度も同様に大きく変動する。条件によっては、蓄冷運転時に、蓄冷材120の融点を上回ったり、放冷運転時に、蓄冷材120の融点を下回ったりする可能性もある。
【0130】
これに対して、本実施の形態のように、冷却システム200は、第2貯留槽245を備えるようにしてもよい。第2貯留槽245は、熱媒液110が流通可能に第1貯留槽240と連通し、冷却対象155を経由する第1冷却流路180は、第1貯留槽240に吸込口165を、第2貯留槽245に吐出口170を配置する。
【0131】
これにより、冷却対象155を冷却し高温となった熱媒液110が第1冷却流路180から第2貯留槽245に流出し、一旦、第2貯留槽245に貯留されてから、第1貯留槽240に流れ込むことで、第1貯留槽240に流れ込む熱媒液110の温度の変動が小さくなる。また、第1貯留槽240から第2冷却流路190に流入して冷却装置135に送られる熱媒液110の温度の変動も小さくすることができる。ここで、高い成績係数で一定運転が行われる場合には、第2冷却流路190において第2冷却部195で冷却装置135により冷却された熱媒液110の温度、及び、第2冷却流路190から蓄熱槽105に流出した熱媒液110の温度の変動も同様に小さくすることができる。
【0132】
そのため、冷却装置135において、高い成績係数で一定運転が行われる場合に、冷却対象155の温度が大きく変動する時においても、1つの冷却装置135で、蓄冷材120の蓄冷と冷却対象155の冷却とを同時に行う運転、及び、蓄冷材120の放冷と冷却対象155の冷却とを同時に行う運転、を切り替えて行うことができる。
【0133】
さらに、本実施の形態のように、冷却システム200は、区画壁130と、区画壁131と、熱媒液槽205と、を備えるようにしてもよい。熱媒液槽205内には、第2貯留槽245、第1貯留槽240、及び蓄熱槽105が、この順に配置される。熱媒液110が流通可能に区画する区画壁131は第2貯留槽245と第1貯留槽240との間に配置され、熱媒液110が流通可能に区画する区画壁130は、第1貯留槽240と蓄熱槽105との間に配置される。
【0134】
これにより、第2貯留槽245、第1貯留槽240、蓄熱槽105の順で、これらが温度の高い順に配置されることで、蓄熱槽105への熱移動量を抑制し、蓄熱槽105内の蓄冷ユニット115に入る前の熱媒液110の温度を、低く保つとともに、蓄冷材120の融点未満とすることができる。
【0135】
そのため、熱媒液110の冷却に要するエネルギーを減らしつつ、冷却対象155を冷却する熱媒液110の流路の変更を行うことなく、冷却装置135を動作させながら、蓄冷材120の蓄冷と冷却対象155の冷却とを同時に行う運転、及び、蓄冷材120の放冷と冷却対象155の冷却とを同時に行う運転、を切り替えて行うことができる。
【0136】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0137】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0138】
実施の形態1および2では、熱媒液110の一例として水を説明した。熱媒液110は、その融点が蓄冷材の融点よりも低く、利用温度帯において流動できるものであればよい。したがって、熱媒液110は、水に限定されない。ただし、熱媒液110として水を用いれば、安価で大量に入手することができるという効果がある。
【0139】
また、実施の形態1および2では、蓄冷ユニット115の一例として架台116の上に複数個積層して配置されている構成を説明した。蓄冷ユニット115は、蓄冷材120を収容できるものであればよい。したがって、蓄冷ユニット115は、架台116の上に複数個積層して配置されている構成に限定されず、適切に設計された1つの蓄冷ユニットであってもよい。ただし、蓄冷ユニット115として架台116の上に複数個積層して配置する構成を用いれば、複数個の蓄冷ユニット115を分割して蓄熱槽105内に搬入することができるため、取扱いが容易になるという効果がある。
【0140】
また、実施の形態1および2では、蓄冷ユニット115に熱媒液110を流すための流路の一例として、上流側仕切板117及び下流側仕切板118を備える構成を説明した。蓄冷ユニット115に熱媒液110を流すための流路は、蓄冷ユニット115を通過せずに短絡して流れることを抑制できるものであればよい。したがって、蓄冷ユニット115に熱媒液110を流すための流路は、上流側仕切板117及び下流側仕切板118を備える構成に限定されない。ただし、上流側仕切板117及び下流側仕切板118を備える構成を用いれば、熱媒液110が蓄冷ユニット115を短絡して流れることを抑制できるという効果がある。
【0141】
また、蓄冷ユニット115に熱媒液110を流すための流路として、最下部の蓄冷ユニット115の下のスペースに、第2冷却流路190の吐出口を配置するとともに、蓄冷ユニット115を熱媒液110の液面より高い位置まで積層する構成を用いても良い。この構成によれば、上流側仕切板117の設置を省略し、より簡易な構成にできるという効果がある。
【0142】
また、実施の形態1および2では、蓄冷材120の一例として、クラスレートハイドレートを説明した。蓄冷材120は、所定の温度で、液体から固体へ相変化することにより蓄冷し、固体から液体へ相変化することにより放冷するものであればよい。したがって、蓄冷材120は、クラスレートハイドレートに限定されない。ただし、蓄冷材120としてクラスレートハイドレートを用いれば、ゲスト物質を変えることで、利用する温度帯に近い温度で、液体から固体へ相変化することにより蓄冷し、固体から液体へ相変化することにより放冷することができるという効果がある。
【0143】
また、実施の形態1および2では、蓄冷材120の形状の一例として、直方体形状を有することを説明した。蓄冷材120は、所定の温度で、液体から固体へ相変化することにより蓄冷し、固体から液体へ相変化することにより放冷するものであればよい。したがって、蓄冷材120の形状は、直方体形状に限定されない。
【0144】
さらに、実施の形態1および2では、冷却対象155の一例として、製造プロセスにおける温度調整を要する機器を説明した。冷却対象155は、その温度が蓄冷材120の融点より高い温度で維持されるものであればよい。したがって、冷却対象155は、製造プロセスにおける温度調整を要する機器に限定されない。製造に伴い熱を発生する装置あるいは空調機、ファンコイルユニット等であってもよい。
【0145】
なお、実施の形態1および2で用いた、第1冷却流路180及び第2冷却流路190は
、ポンプと冷却部とを除いて、典型的には配管が用いられる。配管は、例えば金属で作製されるが、これに限定されず、用いる熱媒体の種類などの条件に応じて適切な材料で作製されていればよい。
【0146】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本開示は、熱媒液の冷却に要するエネルギーを減らしつつ、冷却対象を冷却する熱媒液の流路を変更せずに、冷却装置を動作させながら、蓄冷材の蓄冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、及び、蓄冷材の放冷と冷却対象の冷却とを同時に行う運転、を切り替えて行う冷却システムに適用可能である。具体的には、冷熱利用の時間帯をシフトするため、蓄冷材を収容した蓄冷ユニットを熱媒液に浸漬配置した蓄熱槽を有し、空調、又は、製造プロセスの冷却に利用する熱媒液を供給する冷却システムなどに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0148】
100 冷却システム
105 蓄熱槽
110 熱媒液
115 蓄冷ユニット
116 架台
117 上流側仕切板
118 下流側仕切板
120 蓄冷材
121 蓄冷材収容箱
122 開口付き蓋
125 混合槽
130 区画壁
131 区画壁
135 冷却装置
140 入口
142 第1の位置
144 第2の位置
145 出口
146 第3の位置
148 第4の位置
150 ポンプ
155 冷却対象
160 ポンプ
165 吸込口
170 吐出口
180 第1冷却流路
185 第1冷却部
190 第2冷却流路
195 第2冷却部
200 冷却システム
205 熱媒液槽
215 第1のバイパス流路
220 第1の流量調整器
225 温度検出手段
230 第2のバイパス流路
235 第2の流量調整器
240 第1貯留槽
245 第2貯留槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6