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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230411BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20230411BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230411BHJP
   B60L 53/31 20190101ALI20230411BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20230411BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
H01M10/46 101
H01M10/48 P
B60L53/31
B60L53/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019218103
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021090243
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】角田 憲哉
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-278775(JP,A)
【文献】特開2003-274515(JP,A)
【文献】特開2012-080628(JP,A)
【文献】特開2010-279208(JP,A)
【文献】特開2017-017905(JP,A)
【文献】特開2011-105499(JP,A)
【文献】特開平10-234137(JP,A)
【文献】特開2001-143802(JP,A)
【文献】特開平10-208801(JP,A)
【文献】特開平04-317899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/46
H01M 10/48
B60L 53/31
B60L 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体が走行する走行経路に設置された充電装置を具備し、前記走行体に搭載されたバッテリに対して充電を行う充電システムにおいて、
前記充電装置は、
前記バッテリを充電する充電器と、
前記充電器と電気的に接続された正極充電電極端子及び負極充電電極端子を有する電極部と、
前記電極部に取り付けられ、前記走行体の進行方向に相当する第1方向に垂直な第2方向に伸縮可能な伸縮部材と、
前記伸縮部材を伸縮動作させる駆動部とを備え、
前記正極充電電極端子及び前記負極充電電極端子は、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向に配列されており、
前記走行体は、前記バッテリと電気的に接続され、前記正極充電電極端子に接触する正極受電部と前記負極充電電極端子に接触する負極受電部とを有する受電ユニットを備え、
前記正極受電部及び前記負極受電部は、前記第3方向に配列されていると共に、前記第1方向に延在しており、
前記電極部は、筐体と、前記筐体の内部に配置された保持体と、前記筐体と前記保持体との間に配置され、前記正極充電電極端子及び前記負極充電電極端子を前記筐体の先端側に付勢するバネとを有し、
前記正極充電電極端子及び前記負極充電電極端子は、前記保持体及び前記筐体の一方に固定されていると共に、前記筐体の先端面から突出しており、
前記伸縮部材は、前記保持体及び前記筐体の他方に固定されており、
前記受電ユニットは、前記筐体と嵌合するユニット本体を有し、
前記正極受電部及び前記負極受電部は、前記ユニット本体の内部に配置されており、
前記充電システムは、
前記充電装置が設置された充電エリアに前記走行体が到達したかどうかを検知する到達検知部と、
前記正極充電電極端子が前記正極受電部に接触すると共に前記負極充電電極端子が前記負極受電部に接触したかどうかを検知する接触検知部と、
前記到達検知部により前記走行体が前記充電エリアに到達したことが検知されると、前記伸縮部材を伸長させるように前記駆動部を制御し、その後前記接触検知部により前記正極充電電極端子が前記正極受電部に接触すると共に前記負極充電電極端子が前記負極受電部に接触したことが検知されると、前記伸縮部材の伸長を停止させるように前記駆動部を制御し、その後前記充電器による前記バッテリの充電が完了すると、前記伸縮部材を収縮させるように前記駆動部を制御する伸縮制御部とを更に具備し、
前記接触検知部は、前記充電装置に備えられ、前記正極充電電極端子及び前記負極充電電極端子が前記バネの付勢力に抗して前記筐体の基端側に後退したかどうかを検出するセンサである充電システム。
【請求項2】
前記充電装置は、前記電極部に弾性体を介して回転可能に支持され、前記電極部の荷重を前記第3方向に受ける車輪を更に備える請求項1記載の充電システム。
【請求項3】
前記車輪は、全方向に移動可能な自由輪である請求項2記載の充電システム。
【請求項4】
前記ユニット本体の先端面における前記正極受電部と前記負極受電部との間には、前記第1方向に延在する壁部が突設されており、
前記壁部は、絶縁体で形成されており、
前記筐体の先端面における前記正極充電電極端子と前記負極充電電極端子との間には、前記第1方向に延在し、前記壁部と嵌合する溝部が設けられている請求項1~3の何れか一項記載の充電システム。
【請求項5】
走行体が走行する走行経路に設置された充電装置を具備し、前記走行体に搭載されたバッテリに対して充電を行う充電システムにおいて、
前記充電装置は、
前記バッテリを充電する充電器と、
前記充電器と電気的に接続された正極充電電極端子及び負極充電電極端子を有する電極部と、
前記電極部に取り付けられ、前記走行体の進行方向に相当する第1方向に垂直な第2方向に伸縮可能な伸縮部材と、
前記伸縮部材を伸縮動作させる駆動部とを備え、
前記正極充電電極端子及び前記負極充電電極端子は、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向に配列されており、
前記走行体は、前記バッテリと電気的に接続され、前記正極充電電極端子に接触する正極受電部と前記負極充電電極端子に接触する負極受電部とを有する受電ユニットを備え、
前記正極受電部及び前記負極受電部は、前記第3方向に配列されていると共に、前記第1方向に延在しており、
前記電極部は、筐体を有し、
前記正極充電電極端子及び前記負極充電電極端子は、前記筐体の先端面から突出しており、
前記受電ユニットは、前記筐体と嵌合するユニット本体を有し、
前記正極受電部及び前記負極受電部は、前記ユニット本体の内部に配置されており、
前記ユニット本体の先端面における前記第3方向の一端部には、前記第1方向に延在する第1壁部が設けられており、
前記ユニット本体の先端面における前記第3方向の他端部には、前記第1方向に延在する第2壁部が設けられており、
前記第1壁部と前記第2壁部との間における前記第1壁部側の領域は、正極受電領域であり、
前記正極受電領域の前記第1方向の両端は、開放されており、
前記第1壁部と前記第2壁部との間における前記第2壁部側の領域は、負極受電領域であり、
前記負極受電領域の前記第1方向の両端は、開放されている充電システム。
【請求項6】
前記充電装置は、前記電極部に弾性体を介して回転可能に支持され、前記電極部の荷重を前記第3方向に受ける車輪を更に備える請求項記載の充電システム。
【請求項7】
前記車輪は、全方向に移動可能な自由輪である請求項記載の充電システム。
【請求項8】
前記ユニット本体の先端面における前記正極受電部と前記負極受電部との間には、前記第1方向に延在する壁部が突設されており、
前記壁部は、絶縁体で形成されており、
前記筐体の先端面における前記正極充電電極端子と前記負極充電電極端子との間には、前記第1方向に延在し、前記壁部と嵌合する溝部が設けられている請求項5~7の何れか一項記載の充電システム。
【請求項9】
前記電極部は、前記筐体の内部に配置された保持体と、前記筐体と前記保持体との間に配置され、前記正極充電電極端子及び前記負極充電電極端子を前記筐体の先端側に付勢するバネとを有し、
前記正極充電電極端子及び前記負極充電電極端子は、前記保持体及び前記筐体の一方に固定されており、
前記伸縮部材は、前記保持体及び前記筐体の他方に固定されている請求項5~8の何れか一項記載の充電システム。
【請求項10】
前記充電装置が設置された充電エリアに前記走行体が到達したかどうかを検知する到達検知部と、
前記正極充電電極端子が前記正極受電部に接触すると共に前記負極充電電極端子が前記負極受電部に接触したかどうかを検知する接触検知部と、
前記到達検知部により前記走行体が前記充電エリアに到達したことが検知されると、前記伸縮部材を伸長させるように前記駆動部を制御し、その後前記接触検知部により前記正極充電電極端子が前記正極受電部に接触すると共に前記負極充電電極端子が前記負極受電部に接触したことが検知されると、前記伸縮部材の伸長を停止させるように前記駆動部を制御し、その後前記充電器による前記バッテリの充電が完了すると、前記伸縮部材を収縮させるように前記駆動部を制御する伸縮制御部とを更に具備し、
前記接触検知部は、前記充電装置に備えられ、前記正極充電電極端子及び前記負極充電電極端子が前記バネの付勢力に抗して前記筐体の基端側に後退したかどうかを検出するセンサである請求項記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、予め定められた走行経路に沿って走行する無人搬送車のバッテリに対して自動充電を行う充電システムが記載されている。特許文献1に記載の充電システムは、走行経路に設置された自動充電装置を具備している。自動充電装置は、充電装置本体と、無人搬送車のバッテリに充電電流を供給する充電器とを備えている。充電装置本体は、走行経路に対して垂直な方向に延在する伸縮ブームと、この伸縮ブームを伸縮動作させる駆動機構と、伸縮ブームの先端部に取り付けられた保持部と、この保持部に保持されると共に充電器と電線を介して接続され、無人搬送車の車両側電極端子と係合する充電側電極端子と、保持部に支持板を介して回転可能に支持された車輪とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-278775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術のような無人搬送車(走行体)の自動走行においては、走行経路の路面状況等により無人搬送車の停止精度にばらつきが生じるため、自動充電装置に対する無人搬送車の停止位置がずれることがある。
【0005】
本発明の目的は、充電装置に対する走行体の位置ずれを吸収することができる充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、走行体が走行する走行経路に設置された充電装置を具備し、走行体に搭載されたバッテリに対して充電を行う充電システムにおいて、充電装置は、バッテリを充電する充電器と、充電器と電気的に接続された正極充電電極端子及び負極充電電極端子を有する電極部と、電極部に取り付けられ、走行体の進行方向に相当する第1方向に垂直な第2方向に伸縮可能な伸縮部材と、伸縮部材を伸縮動作させる駆動部とを備え、正極充電電極端子及び負極充電電極端子は、第1方向及び第2方向に垂直な第3方向に配列されており、走行体は、バッテリと電気的に接続され、正極充電電極端子に接触する正極受電部と負極充電電極端子に接触する負極受電部とを有する受電ユニットを備え、正極受電部及び負極受電部は、第3方向に配列されていると共に、第1方向に延在している。
【0007】
このような充電システムにおいては、充電装置が設置された充電エリアに走行体が停止すると、駆動部により伸縮部材が走行体に向けて走行体の進行方向に相当する第1方向に垂直な第2方向に伸長することで、正極充電電極端子及び負極充電電極端子がそれぞれ正極受電部及び負極受電部に接触する。すると、充電器とバッテリとが電気的に接続され、充電器によりバッテリが充電される。ここで、伸縮部材が走行体に向けて第2方向に伸長するため、充電装置に対する走行体の第2方向の位置ずれが吸収される。また、正極充電電極端子及び負極充電電極端子は、第1方向及び第2方向に垂直な第3方向に配列されている。また、正極受電部及び負極受電部は、第3方向に配列されていると共に、第1方向に延在している。このため、正極充電電極端子及び負極充電電極端子と正極受電部及び負極受電部との接触範囲は、第1方向に広くなる。従って、正極充電電極端子及び負極充電電極端子がそれぞれ第1方向に対して正極受電部及び負極受電部に接触しやすくなる。これにより、充電装置に対する走行体の第1方向の位置ずれが吸収される。
【0008】
充電装置は、電極部に弾性体を介して回転可能に支持され、電極部の荷重を第3方向に受ける車輪を更に備えてもよい。このような構成では、電極部の荷重が車輪により支えられるため、充電装置に対する走行体の第3方向の位置ずれが吸収される。また、弾性体によって正極充電電極端子及び負極充電電極端子が第3方向に往復移動しやすくなる。このため、充電装置に対する走行体の第3方向の位置ずれが更に吸収される。
【0009】
車輪は、全方向に移動可能な自由輪であってもよい。このような構成では、伸縮部材の基端部を支点として伸縮部材が第1方向に沿って撓みやすくなるため、電極部が第1方向に沿って動きやすくなる。これにより、充電装置に対する走行体の第1方向の位置ずれが更に吸収される。また、充電装置に対する走行体の姿勢ずれも吸収される。
【0010】
電極部は、第3方向の長さ寸法が先端に向かって小さくなるようなテーパ状の筐体を有し、正極充電電極端子及び負極充電電極端子は、筐体の先端面から突出しており、受電ユニットは、筐体と嵌合するユニット本体を有し、正極受電部及び負極受電部は、ユニット本体の内部に配置されていてもよい。このような構成では、伸縮部材が走行体に向けて第2方向に伸長すると、筐体がユニット本体に嵌合するため、充電装置に対する走行体の第3方向の位置ずれが吸収される。
【0011】
ユニット本体の先端面における正極受電部と負極受電部との間には、第1方向に延在する壁部が突設されており、壁部は、絶縁体で形成されており、筐体の先端面における正極充電電極端子と負極充電電極端子との間には、第1方向に延在し、壁部と嵌合する溝部が設けられていてもよい。このような構成では、金属の破片や水等がユニット本体に付着しても、絶縁体で形成された壁部によって正極受電部と負極受電部との短絡が防止される。
【0012】
電極部は、筐体の内部に配置された保持体と、筐体と保持体との間に配置され、正極充電電極端子及び負極充電電極端子を筐体の先端側に付勢するバネとを有し、正極充電電極端子及び負極充電電極端子は、保持体及び筐体の一方に固定されており、伸縮部材は、保持体及び筐体の他方に固定されていてもよい。このような構成では、伸縮部材が走行体に向けて第2方向に伸長することで、正極充電電極端子及び負極充電電極端子がそれぞれ正極受電部及び負極受電部に接触すると、正極充電電極端子及び負極充電電極端子がバネの付勢力に抗して筐体の基端側に後退する。従って、正極充電電極端子及び負極充電電極端子がそれぞれ正極受電部及び負極受電部に接触したときの衝撃が吸収されるため、正極充電電極端子及び負極充電電極端子の損傷等が防止される。
【0013】
充電システムは、充電装置が設置された充電エリアに走行体が到達したかどうかを検知する到達検知部と、正極充電電極端子が正極受電部に接触すると共に負極充電電極端子が負極受電部に接触したかどうかを検知する接触検知部と、到達検知部により走行体が充電エリアに到達したことが検知されると、伸縮部材を伸長させるように駆動部を制御し、その後接触検知部により正極充電電極端子が正極受電部に接触すると共に負極充電電極端子が負極受電部に接触したことが検知されると、伸縮部材の伸長を停止させるように駆動部を制御し、その後充電器によるバッテリの充電が完了すると、伸縮部材を収縮させるように駆動部を制御する伸縮制御部とを更に具備し、接触検知部は、充電装置に備えられ、正極充電電極端子及び負極充電電極端子がバネの付勢力に抗して筐体の基端側に後退したかどうかを検出するセンサであってもよい。このような構成では、正極充電電極端子及び負極充電電極端子がそれぞれ正極受電部及び負極受電部に接触したかどうかを簡単に且つ安価に検出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、充電装置に対する走行体の位置ずれを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る充電システムを示す概略構成図である。
図2図1に示された無人搬送車及び充電装置の構成を概略的に示すブロック図である。
図3図1に示された無人搬送車の概略斜視図である。
図4図2に示された無人搬送車のコントローラにより実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
図5図1に示された充電装置の側面図である。
図6図5に示された電極部の概略図である。
図7図5に示された電極部の斜視図である。
図8図2に示された充電装置のコントローラにより実行される制御処理の手順を示すフローチャートである。
図9】充電装置に対する無人搬送車の進行方向及び横方向の位置ずれを示す平面図である。
図10】充電装置に対する無人搬送車の高さ方向の位置ずれを示す側面図である。
図11】充電装置に対する無人搬送車の姿勢ずれを示す平面図である。
図12】比較例としての電極部及び受電ユニットを概略的に示す斜視図である。
図13図5に示された伸縮ブームが進行方向に沿って撓む状態を示す平面図である。
図14図1に示された無人搬送車及び充電装置の変形例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図中、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る充電システムを示す概略構成図である。図1において、本実施形態の充電システム1は、無人搬送車2に搭載されたバッテリ5(図2参照)に対して無人で自動充電を行うシステムである。無人搬送車2は、例えば工場内において予め定められたループ状の走行経路3に沿って自動走行する走行体である。
【0018】
充電システム1は、走行経路3に設置された充電装置4を具備している。充電装置4は、充電を行うための充電エリアAに設置されている。充電装置4は、走行経路3の路面に載置されている。
【0019】
図2は、無人搬送車2及び充電装置4の構成を概略的に示すブロック図である。図2において、無人搬送車2は、バッテリ5と、受電ユニット6と、走行モータ7と、発光器8と、通信部9と、コントローラ10とを備えている。また、無人搬送車2は、図3に示されるように、車体11と、複数の車輪12とを備えている。バッテリ5、受電ユニット6、走行モータ7、発光器8、通信部9及びコントローラ10は、車体11に搭載されている。
【0020】
受電ユニット6は、車体11の一方の側部に取り付けられている。受電ユニット6は、充電装置4からの電力を受電するユニットである。受電ユニット6は、電線13,14を介してバッテリ5と電気的に接続されている。受電ユニット6については、後で詳述する。
【0021】
走行モータ7は、バッテリ5に蓄えられた電力により車輪12を回転駆動させるモータである。発光器8は、無人搬送車2の側方に向けてレーザ光を照射する。通信部9は、送受信アンテナ9aを有し、充電装置4の通信部20(後述)と無線通信を行う。
【0022】
コントローラ10は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ10は、発光器8からレーザ光を照射させるように発光器8を制御する。また、コントローラ10は、無人搬送車2を走行経路3に沿って走行させるように走行モータ7を制御する。
【0023】
図4は、コントローラ10により実行される走行モータ7の制御処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、無人搬送車2の走行時に充電装置4によりバッテリ5を充電する際に実行される。
【0024】
図4において、コントローラ10は、まずバッテリ5の充電が要求されたかどうかを判断する(手順S101)。このとき、バッテリ5の充電が要求されたかどうかの判断は、例えば上位システム(図示せず)からの指示信号に基づいて行ってもよいし、或いは電圧計により計測されたバッテリ5の電圧値に基づいて行ってもよい。
【0025】
コントローラ10は、バッテリ5の充電が要求されたと判断されるまで、手順S101を繰り返し実行する。コントローラ10は、バッテリ5の充電が要求されたと判断したときは、無人搬送車2を充電エリアAで停止させるように走行モータ7を制御する(手順S102)。
【0026】
その後、コントローラ10は、充電装置4からの発進許可指令信号(後述)を通信部9を介して受信したかどうかを判断する(手順S103)。コントローラ10は、充電装置4からの発進許可指令信号を受信したと判断されるまで、手順S103を繰り返し実行する。コントローラ10は、充電装置4からの発進許可指令信号を受信したと判断したときは、無人搬送車2の走行を再開させるように走行モータ7を制御する(手順S104)。
【0027】
図2に戻り、充電装置4は、装置本体15と、駆動モータ16と、受光器17と、リミットスイッチ18と、電圧センサ19と、通信部20と、コントローラ21とを備えている。
【0028】
装置本体15は、図2及び図5に示されるように、バッテリ5に充電電流を供給することにより、バッテリ5を充電する充電器22と、この充電器22に電線23,24を介して電気的に接続された正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26を有する電極部27と、この電極部27に取り付けられ、無人搬送車2の進行方向に垂直な方向に伸縮可能な2つの伸縮ブーム28と、この伸縮ブーム28を伸縮させる駆動機構29と、電極部27に回転可能に支持された車輪30とを備えている。
【0029】
無人搬送車2の進行方向(以下、単に進行方向という)は、第1方向(X方向)に相当する。進行方向に垂直な方向は、無人搬送車2に対する横方向(以下、単に横方向という)であり、第2方向(Y方向)に相当する。
【0030】
電極部27は、各伸縮ブーム28の先端部に取り付けられている。電極部27は、図6に示されるように、筐体31と、この筐体31内に配置された保持体32と、筐体31と保持体32との間に配置されたバネ33とを有している。筐体31及び保持体32は、例えば樹脂等の絶縁材料で形成されている。
【0031】
保持体32には、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26が固定されている。具体的には、保持体32は、充電装置4の上下方向に配列された2つの固定板32a,32bと、これらの固定板32a,32b同士を連結する連結板32cとからなっている。充電装置4の上下方向(以下、単に上下方向という)は、進行方向及び横方向に垂直な第3方向(Z方向)に相当する。
【0032】
正極充電電極端子25は、固定板32aの中心部に突設されている。負極充電電極端子26は、固定板32bの中心部に突設されている。従って、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26は、上下方向に配列されている。このとき、正極充電電極端子25は電極部27の上側に配置され、負極充電電極端子26は電極部27の下側に配置されている。
【0033】
筐体31は、図7に示されるように、上下方向の長さ寸法が先端に向かって小さくなるようなテーパ状を呈している。筐体31は、上面31aと、下面31bと、2つの側面31cと、先端面31dとを有している。なお、図6では、筐体31は、簡略化して示されている。
【0034】
上面31a及び下面31bは、矩形状を呈している。上面31a及び下面31bは、筐体31の基端から先端面31d側に向かって上面31aと下面31bとの間の距離が徐々に短くなるようなテーパ面となっている。側面31cは、台形状を呈している。各側面31cは、互いに平行に配置されている。つまり、各側面31cは、筐体31の基端から先端面31d側に向かって各側面31c間の距離が徐々に短くなるようなテーパ面とはなっていない。
【0035】
先端面31dは、矩形状を呈している。先端面31dには、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26を貫通させる2つの貫通孔(図示せず)が上下方向に並んで設けられている。従って、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26は、先端面31dから突出している。
【0036】
先端面31dにおける上下方向の中央部には、進行方向に延在する断面V字状の溝部34が設けられている。従って、溝部34は、正極充電電極端子25と負極充電電極端子26との間に配置されている。
【0037】
筐体31の基端部には、図6に示されるように、固定板35が設けられている。固定板35は、筐体31の一部である。バネ33は、連結板32cと固定板35との間に配置されている。バネ33は、保持体32を筐体31の先端側に付勢することにより、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26を筐体31の先端側に付勢する。
【0038】
伸縮ブーム28は、筐体31の上端部及び下端部に固定された伸縮部材である。駆動機構29は、例えば伸縮ブーム28に固定されたラックと、このラックと螺合するピニオンとからなっている。また、駆動機構29は、2つのスプロケットに掛け渡されたチェーンを有し、チェーンに伸縮ブーム28が固定されていてもよい。駆動機構29は、駆動モータ16と協働して、伸縮ブーム28を伸縮動作させる駆動部を構成している。
【0039】
車輪30は、図5に示されるように、筐体31に弾性体36を介して回転可能に支持されている。弾性体36は、ダンパまたはバネ等であり、電極部27と車輪30との間に配置されている。車輪30は、全方向(前後左右方向)に移動可能なキャスタ輪(自由輪)である。車輪30は、電極部27の荷重を上下方向に受けて床面に伝える。
【0040】
上記の受電ユニット6は、図3に示されるように、正極充電電極端子25に接触する正極受電部37と、負極充電電極端子26に接触する負極受電部38とを有している。正極受電部37及び負極受電部38は、それぞれ上記の電線13,14を介してバッテリ5と電気的に接続されている。
【0041】
また、受電ユニット6は、電極部27の筐体31と嵌合するユニット本体39を有している。ユニット本体39は、上面39aと、下面39bと、2つの側面39cと、先端面39dとを有している。上面39a及び下面39bは、互いに平行に配置されている。各側面39cは、互いに平行に配置されている。先端面39dは、筐体31の先端面31dと対向する。
【0042】
正極受電部37及び負極受電部38は、ユニット本体39の内部に配置されている。正極受電部37及び負極受電部38は、上下方向に配列されている。このとき、正極受電部37は受電ユニット6の上側に配置され、負極受電部38は受電ユニット6の下側に配置されている。
【0043】
正極受電部37は、先端面39dに開口した受電口37aを有している。負極受電部38は、先端面39dに開口した受電口38aを有している。受電口37a,38aは、断面矩形状を呈している。受電口37a,38aは、進行方向に延在している。従って、正極受電部37及び負極受電部38は、進行方向に延在している。
【0044】
ユニット本体39の先端面39dの上端部には、進行方向に延在する上壁部40が設けられている。上壁部40は、ユニット本体39の先端側に向かって先細りとなっている。上壁部40の外側壁面は、ユニット本体39の上面39aの一部である。上壁部40の内側壁面は、筐体31の上面31aと係合するテーパ面40aとなっている。
【0045】
ユニット本体39の先端面39dの下端部には、進行方向に延在する下壁部41が設けられている。下壁部41は、ユニット本体39の先端側に向かって先細りとなっている。下壁部41の外側壁面は、ユニット本体39の下面39bの一部である。下壁部41の内側壁面は、筐体31の下面31bと係合するテーパ面41aとなっている。
【0046】
ユニット本体39の先端面39dの上下方向の中央部には、進行方向に延在する短絡防止用の壁部42が突設されている。壁部42は、ユニット本体39における正極受電部37と負極受電部38との間に設けられている。壁部42は、断面山形状を呈している。筐体31に設けられた上記の溝部34は、壁部42と嵌合する。
【0047】
上壁部40と壁部42との間の領域は、正極受電領域43となっている。正極受電領域43の進行方向の両端は、開放されている。つまり、正極受電領域43の進行方向の両端部には、ユニット本体39の側面39cの一部を形成する壁部が設けられていない。下壁部41と壁部42との間の領域は、負極受電領域44となっている。負極受電領域44の進行方向の両端は、開放されている。つまり、負極受電領域44の進行方向の両端部には、ユニット本体39の側面39cの一部を形成する壁部が設けられていない。
【0048】
従って、電極部27の筐体31がユニット本体39に嵌合するときに、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26が進行方向に無理に引っ張られて折れ曲がることが防止される。
【0049】
ユニット本体39は、例えばゴムや樹脂等の絶縁体で形成されている。従って、短絡防止用の壁部42も、絶縁体で形成されている。
【0050】
図2に戻り、駆動モータ16は、駆動機構29を駆動するモータである。駆動モータ16は、例えばピニオンやスプロケット等の回転体を回転駆動させる。
【0051】
受光器17は、発光器8から照射されたレーザ光を受光する。受光器17は、発光器8と協働して、充電装置4が設置された充電エリアAに無人搬送車2が到達したかどうかを検知する到達検知部を構成している。
【0052】
リミットスイッチ18は、電極部27の保持体32との接触を検出することにより、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がバネ33の付勢力に抗して伸縮ブーム28側(筐体31の基端側)に後退したかどうかを検出する接触センサである。リミットスイッチ18は、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がそれぞれ正極受電部37及び負極受電部38に接触したかどうかを検知する接触検知部を構成している。
【0053】
電圧センサ19は、バッテリ5の電圧値を検出するセンサである。正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がそれぞれ正極受電部37及び負極受電部38に接触した状態では、充電器22とバッテリ5とが電線23、正極充電電極端子25、正極受電部37及び電線13を介して電気的に接続されると共に、充電器22とバッテリ5とが電線24、負極充電電極端子26、負極受電部38及び電線14を介して電気的に接続される。従って、電圧センサ19によりバッテリ5の電圧値を検出することが可能となる。通信部20は、送受信アンテナ20aを有し、無人搬送車2の通信部9(前述)と無線通信を行う。
【0054】
コントローラ21は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ21は、伸縮制御部45と、充電制御部46と、指令通知部47とを有している。
【0055】
伸縮制御部45は、受光器17及び電圧センサ19の検出信号に基づいて、伸縮ブーム28を伸縮動作させるように駆動モータ16を制御する。充電制御部46は、リミットスイッチ18及び電圧センサ19の検出信号に基づいて、充電器22を制御する。指令通知部47は、充電器22による充電に関する指令及び通知を行う。
【0056】
図8は、コントローラ21により実行される制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。本処理は、上位システム(前述)または無人搬送車2によりバッテリ5の充電が要求されたときに実行される。
【0057】
図8において、コントローラ21は、まず受光器17の検出信号を取得する(手順S111)。そして、コントローラ21は、受光器17の検出信号に基づいて、無人搬送車2が充電エリアAに到達したかどうかを判断する(手順S112)。このとき、無人搬送車2の発光器8から照射されたレーザ光が受光器17により受光されると、無人搬送車2が充電エリアAに到達したと判定される。
【0058】
コントローラ21は、無人搬送車2が充電エリアAに到達していないと判断したときは、手順S111を再度実行する。コントローラ21は、無人搬送車2が充電エリアAに到達したと判断したときは、伸縮ブーム28を伸長させるように駆動モータ16を制御する(手順S113)。
【0059】
続いて、コントローラ21は、まずリミットスイッチ18の検出信号を取得する(手順S114)。そして、コントローラ21は、リミットスイッチ18の検出信号に基づいて、正極充電電極端子25が正極受電部37に接触すると共に負極充電電極端子26が負極受電部38に接触した状態であるかどうかを判断する(手順S115)。このとき、保持体32がバネ33の付勢力に抗して後退してリミットスイッチ18に接触すると、正極充電電極端子25が正極受電部37に接触すると共に負極充電電極端子26が負極受電部38に接触した状態であると判定される。
【0060】
コントローラ21は、正極充電電極端子25が正極受電部37に接触すると共に負極充電電極端子26が負極受電部38に接触した状態でないと判断したときは、手順S114を再度実行する。コントローラ21は、正極充電電極端子25が正極受電部37に接触すると共に負極充電電極端子26が負極受電部38に接触した状態であると判断したときは、伸縮ブーム28の伸長を停止させるように駆動モータ16を制御する(手順S116)。
【0061】
続いて、コントローラ21は、電圧センサ19の検出信号を取得する(手順S117)。そして、コントローラ21は、バッテリ5の電圧値が充電可能電圧範囲内であるかどうかを判断する(手順S118)。充電可能電圧範囲は、バッテリ5の充電開始が可能な電圧値の範囲であり、バッテリ5によって異なる。コントローラ21は、バッテリ5の電圧値が充電可能電圧範囲内であると判断したときは、バッテリ5の充電を開始するように充電器22を制御する(手順S119)。
【0062】
その後、コントローラ21は、電圧センサ19の検出信号を取得する(手順S120)。そして、コントローラ21は、バッテリ5の電圧値が充電完了電圧以上であるかどうかを判断する(手順S121)。充電完了電圧は、バッテリ5の充電が完了する電圧値であり、バッテリ5によって異なる。コントローラ21は、バッテリ5の電圧値が充電完了電圧以上でないと判断したときは、手順S120を再度実行する。
【0063】
コントローラ21は、バッテリ5の電圧値が充電完了電圧以上であると判断したときは、バッテリ5の電圧値が充電完了電圧以上である状態が規定時間だけ継続しているかどうかを判断する(手順S122)。コントローラ21は、バッテリ5の電圧値が充電完了電圧以上である状態が規定時間だけ継続していないと判断したときは、手順S120を再度実行する。
【0064】
コントローラ21は、バッテリ5の電圧値が充電完了電圧以上である状態が規定時間だけ継続していると判断したときは、バッテリ5の充電を停止させるように充電器22を制御する(手順S123)。
【0065】
続いて、コントローラ21は、伸縮ブーム28を初期位置まで収縮させるように駆動モータ16を制御する(手順S124)。そして、コントローラ21は、発進許可指令信号を通信部20を介して送信する(手順S125)。発進許可指令信号は、無人搬送車2の発進を許可するための指令信号である。
【0066】
コントローラ21は、手順S118でバッテリ5の電圧値が充電可能電圧範囲内でないと判断したときは、接触不良通知信号を出力する(手順S126)。接触不良通知信号は、正極充電電極端子25が正極受電部37に正常に接触していない状態であるか、或いは負極充電電極端子26が負極受電部38に正常に接触していない状態であることを通知するための信号である。このとき、コントローラ21は、例えば接触不良通知信号を上位システムまたは充電装置4の表示部(図示せず)等に出力する。
【0067】
ここで、伸縮制御部45は、上記の手順S111~S116,S120~S122,S124を実行する。充電制御部46は、上記の手順S117~S123を実行する。指令通知部47は、上記の手順S117,S118,S120~S122,S125,S126を実行する。
【0068】
以上のような充電システム1において、無人搬送車2の走行中に、無人搬送車2のバッテリ5の充電が要求されると、無人搬送車2が充電エリアAの充電装置4の手前で停止する。すると、充電装置4の伸縮ブーム28が横方向に伸長することで、電極部27の正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26が無人搬送車2の受電ユニット6に向かって近づいていく。
【0069】
そして、正極充電電極端子25が正極受電部37に圧接すると共に負極充電電極端子26が負極受電部38に圧接すると、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がバネ33の付勢力に抗して電極部27の基端側に後退する。このため、伸縮ブーム28の伸長が停止する。
【0070】
次いで、電圧センサ19により検出されたバッテリ5の電圧値が充電可能電圧範囲内にあると、充電器22によりバッテリ5の充電が開始される。その後、電圧センサ19により検出されたバッテリ5の電圧値が充電完了電圧以上である状態が規定時間だけ継続すると、充電器22によるバッテリ5の充電が完了する。
【0071】
そして、伸縮ブーム28が収縮することで、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26が受電ユニット6から離れる。次いで、充電装置4において、発進許可指令信号が通信部20を介して送信される。すると、無人搬送車2では、充電装置4からの発進許可指令信号が通信部9を介して受信される。従って、無人搬送車2は、走行経路3に沿った走行を再開する。
【0072】
ところで、無人搬送車2は荷物を運搬するため、荷物の慣性や走行経路3の路面状況等により無人搬送車2の停止精度にばらつきが生じる。このため、無人搬送車2が充電エリアAにおける充電装置4の手前に停止する際に、充電装置4の電極部27に対する無人搬送車2の受電ユニット6の位置及び姿勢がずれることがある。このような充電装置4に対する無人搬送車2の位置及び姿勢のずれとしては、進行方向の位置ずれXと、横方向の位置ずれYと、高さ方向の位置ずれZと、姿勢ずれθとに分類される。
【0073】
進行方向の位置ずれXは、図9に示されるように、受電ユニット6の進行方向の中心と電極部27の進行方向の中心とのずれ量に相当する。横方向の位置ずれYは、図9に示されるように、走行経路3と無人搬送車2の車幅方向の中心とのずれ量に相当する。高さ方向の位置ずれZは、図10に示されるように、受電ユニット6の高さ方向の中心と電極部27の高さ方向の中心とのずれ量に相当する。姿勢ずれθは、図11に示されるように、走行経路3と無人搬送車2の前後方向に延びる線とのずれ角度に相当する。
【0074】
図12は、比較例としての電極部及び受電ユニットを概略的に示す斜視図である。本比較例の電極部51では、図12(a)に示されるように、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26が進行方向(X方向)に配列されている。本比較例の受電ユニット52では、図12(b)に示されるように、正極受電部37及び負極受電部38が進行方向に配列されている。
【0075】
このような構成では、充電装置4に対する無人搬送車2の進行方向の位置ずれを吸収しにくい。このため、充電装置4に対する無人搬送車2の進行方向の位置ずれに対し、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がそれぞれ正極受電部37及び負極受電部38に接触する確率が低くなる。その結果、バッテリ5の充電不具合が発生する可能性が高くなる。
【0076】
そのような問題に対し、本実施形態では、充電装置4が設置された充電エリアAに無人搬送車2が停止すると、駆動モータ16及び駆動機構29により伸縮ブーム28が無人搬送車2に向けて進行方向に垂直な横方向(Y方向)に伸長することで、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がそれぞれ正極受電部37及び負極受電部38に接触する。すると、充電器22とバッテリ5とが電気的に接続され、充電器22によりバッテリ5が充電される。ここで、伸縮ブーム28が無人搬送車2に向けて横方向に伸長するため、充電装置4に対する無人搬送車2の横方向の位置ずれが吸収される。また、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26は、進行方向及び横方向に垂直な高さ方向(Z方向)に配列されている。また、正極受電部37及び負極受電部38は、高さ方向に配列されていると共に、進行方向に延在している。このため、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26と正極受電部37及び負極受電部38との接触範囲は、進行方向に広くなる。従って、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がそれぞれ進行方向に対して正極受電部37及び負極受電部38に接触しやすくなる。これにより、充電装置4に対する無人搬送車2の進行方向の位置ずれが吸収される。その結果、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がそれぞれ正極受電部37及び負極受電部38に接触する確率が向上するため、バッテリ5の充電不具合率を低減することができる。
【0077】
また、本実施形態では、充電装置4は、電極部27に弾性体36を介して回転可能に支持され、電極部27の荷重を高さ方向に受ける車輪30を備えている。従って、電極部27の荷重が車輪30により支えられるため、充電装置4に対する無人搬送車2の高さ方向の位置ずれが吸収される。また、弾性体36によって正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26が高さ方向に上下動(往復移動)しやすくなる。このため、充電装置4に対する無人搬送車2の高さ方向の位置ずれが更に吸収される。その結果、バッテリ5の充電不具合率を更に低減することができる。
【0078】
また、本実施形態では、車輪30は、全方向に移動可能な自由輪である。従って、図13に示されるように、伸縮ブーム28の基端部を支点として伸縮ブーム28が進行方向に沿って撓みやすくなるため、電極部27が進行方向に沿って動きやすくなる。これにより、充電装置4に対する無人搬送車2の進行方向の位置ずれが更に吸収される。また、充電装置4に対する無人搬送車2の姿勢ずれも吸収される。その結果、バッテリ5の充電不具合率を一層低減することができる。
【0079】
また、本実施形態では、電極部27は、高さ方向の長さ寸法が先端に向かって小さくなるようなテーパ状の筐体31を有し、受電ユニット6は、筐体31と嵌合するユニット本体39を有している。このため、伸縮ブーム28が無人搬送車2に向けて横方向に伸長すると、筐体31がユニット本体39に嵌合するため、充電装置4に対する無人搬送車2の高さ方向の位置ずれが更に吸収される。
【0080】
また、本実施形態では、ユニット本体39の先端面39dにおける正極受電部37と負極受電部38との間には、進行方向に延在する壁部42が突設されており、筐体31の先端面31dにおける正極充電電極端子25と負極充電電極端子26との間には、壁部42と嵌合する溝部34が設けられている。このため、金属の破片や水等がユニット本体39に付着しても、絶縁体からなる壁部42によって正極受電部37と負極受電部38との短絡が防止される。
【0081】
また、本実施形態では、伸縮ブーム28が無人搬送車2に向けて横方向に伸長することで、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がそれぞれ正極受電部37及び負極受電部38に接触すると、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がバネ33の付勢力に抗して筐体31の基端側に後退する。従って、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がそれぞれ正極受電部37及び負極受電部38に接触したときの衝撃が吸収されるため、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26の損傷等が防止される。
【0082】
また、本実施形態では、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がバネ33の付勢力に抗して筐体31の基端側に後退したかどうかを検出するリミットスイッチ18を使用することにより、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26がそれぞれ正極受電部37及び負極受電部38に接触したかどうかを簡単に且つ安価に検出することができる。
【0083】
また、本実施形態では、充電装置4は走行経路3の路面に載置されているため、充電装置4の設置設備を簡素化することができる。
【0084】
図14は、図1に示された無人搬送車2及び充電装置4の変形例を示す概略構成図である。本変形例の無人搬送車2では、受電ユニット6は、図14(a)に示されるように、車体11の底部に取り付けられている。受電ユニット6の正極受電部37及び負極受電部38は、横方向(Y方向)に配列されている。横方向は、第1方向である進行方向(X方向)に垂直な第3方向に相当する。
【0085】
本変形例の充電装置4は、図14(b)に示されるように、地中に埋め込まれた状態で設置されている。充電装置4の正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26は、横方向に配列されている。充電装置4の伸縮ブーム28は、高さ方向(Z方向)に伸縮可能である。高さ方向は、進行方向及び横方向に垂直な第2方向に相当する。このとき、充電装置4の車輪30は、壁面49に沿って高さ方向に転動する。
【0086】
本変形例では、充電装置4は地中に設置されているため、作業者が充電装置4をあまり意識せずに作業を行うことができる。
【0087】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、電極部27において、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26は保持体32に固定され、伸縮ブーム28は筐体31に固定されているが、特にその形態には限られず、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26が筐体31に固定され、伸縮ブーム28が保持体32に固定されていてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、正極充電電極端子25は電極部27の上側に配置され、負極充電電極端子26は電極部27の下側に配置されているが、特にその形態には限られず、正極充電電極端子25が電極部27の下側に配置され、負極充電電極端子26が電極部27の上側に配置されていてもよい。この場合には、正極受電部37が受電ユニット6の下側に配置され、負極受電部38が受電ユニット6の上側に配置されることとなる。
【0089】
また、上記実施形態では、正極充電電極端子25及び負極充電電極端子26を筐体31の先端側に付勢するバネ33は、筐体31と保持体32との間に1つ配置されているが、バネ33の数としては、特に1つには限られず、複数であってもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、無人搬送車2に備えられた発光器8と充電装置4に備えられた受光器17とを用いて、無人搬送車2が充電エリアAに到達したかどうかが検知されているが、特にその形態には限られず、接触センサや位置センサ等を用いて、無人搬送車2が充電エリアAに到達したかどうかを検知してもよい。また、上位システムからの通知信号等によって、無人搬送車2が充電エリアAに到達したかどうかを検知してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、車輪30は、全方向に移動可能な自由輪であるが、使用する車輪としては、特に自由輪には限られず、一方向に転動する通常の車輪であってもよい。
【0092】
また、上記実施形態は、無人搬送車2に搭載されたバッテリ5に対して充電を行う充電システムであるが、本発明は、特に無人搬送車2に限られず、走行経路に沿って走行する移動ロボット等の走行体であれば、適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1…充電システム、2…無人搬送車(走行体)、3…走行経路、4…充電装置、5…バッテリ、6…受電ユニット、8…発光器(到達検知部)、16…駆動モータ(駆動部)、17…受光器(到達検知部)、18…リミットスイッチ(接触検知部)、22…充電器、25…正極充電電極端子、26…負極充電電極端子、27…電極部、28…伸縮ブーム(伸縮部材)、29…駆動機構(駆動部)、30…車輪、31…筐体、31d…先端面、32…保持体、33…バネ、34…溝部、36…弾性体、37…正極受電部、38…負極受電部、39…ユニット本体、39d…先端面、42…壁部、45…伸縮制御部、A…充電エリア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14