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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】ミラー駆動機構
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20230411BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20230411BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
B81B3/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019239366
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107876
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】松崎 純平
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-120085(JP,A)
【文献】特開2000-162538(JP,A)
【文献】特開平07-092409(JP,A)
【文献】特開2009-058577(JP,A)
【文献】特開2008-298857(JP,A)
【文献】特開平02-176620(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0156481(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10
G02B 26/08
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する板状のベース部と、
ミラーを含み、前記貫通孔内に配置されるミラー部と、
前記貫通孔を取り囲む前記ベース部の内壁面と前記ミラー部の外縁とを連結し、前記ミラー部を揺動可能に支持する板状の支持部と、
前記ミラー部の外縁に接続されており、前記ミラー部と前記支持部とを含み揺動運動を行う揺動部の固有振動数に一致する固有振動数を有する動吸振材と、を含み、
前記支持部は、
前記支持部の揺動の中心軸に直交する方向にそれぞれ延び、互いに平行に配置される複数の第1部分と、
隣り合う前記第1部分の長手方向の一方側の端部同士および他方側の端部同士を交互に接続する第2部分と、
前記複数の第1部分のそれぞれの長手方向に沿って延び、前記第1部分に対応する領域における、厚み方向の一方側に位置する面上に配置される圧電素子と、を含む、ミラー駆動機構。
【請求項2】
前記動吸振材は、前記支持部の揺動の中心軸に直交する方向における前記ミラー部の外縁に一対配置される、請求項1に記載のミラー駆動機構。
【請求項3】
前記動吸振材は、
前記ミラー部の厚みよりも厚い第3部分と、
前記第3部分と前記ミラー部の外縁とを接続する第4部分と、を含む、請求項1または請求項2に記載のミラー駆動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ミラー駆動機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミラーを有するミラー部を含み、ミラー部を揺動させて光を走査する光走査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような光走査装置を用い、ミラーによって反射される光を所望の経路に沿って走査することにより、文字や図形等の画像を描画することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2018-120085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミラー部を揺動させるミラー駆動機構において、ミラー部を揺動させる揺動軸を例えば直交する二軸とすることにより、二次元の画像を描画することができる。画像の描画時において光を走査する際に、ミラー部を揺動可能に支持する支持部に意図しない不要な振動が生じると、適切に光を走査することができない。そうすると、描画される画像の画質が劣化してしまう。そこで、描画される画像の画質の劣化を抑制することができるミラー駆動機構を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に従ったミラー駆動機構は、貫通孔を有する板状のベース部と、ミラーを含み、貫通孔内に配置されるミラー部と、貫通孔を取り囲むベース部の内壁面とミラー部の外縁とを連結し、ミラー部を揺動可能に支持する板状の支持部と、ミラー部の外縁に接続されており、ミラー部と支持部とを含み揺動運動を行う揺動部の固有振動数に一致する固有振動数を有する動吸振材と、を備える。支持部は、支持部の揺動の中心軸に直交する方向にそれぞれ延び、互いに平行に配置される複数の第1部分と、隣り合う第1部分の長手方向の一方側の端部同士および他方側の端部同士を交互に接続する第2部分と、複数の第1部分のそれぞれの長手方向に沿って延び、第1部分に対応する領域における、厚み方向の一方側に位置する面上に配置される圧電素子と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
上記ミラー駆動機構によれば、描画される画像の画質の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態1におけるミラー駆動機構を示す概略平面図である。
図2図2は、実施の形態1におけるミラー駆動機構を線分II-IIで切断した場合の概略断面図である。
図3図3は、実施の形態2におけるミラー駆動機構を示す概略平面図である。
図4図4は、実施の形態2におけるミラー駆動機構を線分IV-IVで切断した場合の概略断面図である。
図5図5は、実施の形態2におけるミラー駆動機構を線分V-Vで切断した場合の概略断面図である。
図6図6は、実施の形態3におけるミラー駆動機構を図1中の線分VI-VIで切断した場合の概略断面図である。
図7図7は、実施の形態3におけるミラー駆動機構を図1中の線分VII-VIIで切断した場合の概略断面図である。
図8図8は、実施の形態4におけるミラー駆動機構において、第1部分が配置される領域の概略平面図である。
図9図9は、実施の形態4におけるミラー駆動機構を図8中の線分IX-IXで切断した場合の概略断面図である。
図10図10は、実施の形態5におけるミラー駆動機構において、第1部分が配置される領域の概略平面図である。
図11図11は、実施の形態5におけるミラー駆動機構を図10中の線分XII-XIで切断した場合の概略断面図である。
図12図12は、実施の形態6におけるミラー駆動機構において、第1部分が配置される領域の概略平面図である。
図13図13は、実施の形態6におけるミラー駆動機構を図12中の線分XIII-XIIIで切断した場合の概略断面図である。
図14図14は、実施の形態6におけるミラー駆動機構を図12中の線分XIV-XIVで切断した場合の概略断面図である。
図15図15は、実施の形態7におけるミラー駆動機構において、第1部分が配置される領域の概略平面図である。
図16図16は、実施の形態7におけるミラー駆動機構を図15中の線分XVI-XVIで切断した場合の概略断面図である。
図17図17は、実施の形態8におけるミラー駆動機構において、第1部分が配置される領域の概略平面図である。
図18図18は、実施の形態8におけるミラー駆動機構を図17中の線分XVIII-XVIIIで切断した場合の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係るミラー駆動機構は、貫通孔を有する板状のベース部と、ミラーを含み、貫通孔内に配置されるミラー部と、貫通孔を取り囲むベース部の内壁面とミラー部の外縁とを連結し、ミラー部を揺動可能に支持する板状の支持部と、ミラー部の外縁に接続されており、ミラー部と支持部とを含み揺動運動を行う揺動部の固有振動数に一致する固有振動数を有する動吸振材と、を備える。支持部は、支持部の揺動の中心軸に直交する方向にそれぞれ延び、互いに平行に配置される複数の第1部分と、隣り合う第1部分の長手方向の一方側の端部同士および他方側の端部同士を交互に接続する第2部分と、複数の第1部分のそれぞれの長手方向に沿って延び、第1部分に対応する領域における、厚み方向の一方側に位置する面上に配置される圧電素子と、を含む。
【0009】
本発明者は、描画される画像の画質の劣化を抑制することができる構成について検討した。その結果、以下の構成を採用することにより、描画される画像の画質の劣化を抑制することができることを見出した。
【0010】
支持部を板状として厚みを薄くすることにより、支持部の軽量化を図りつつ支持部の変形量を大きくして、揺動の振幅を大きくすることができる。また、圧電素子に供給する電圧の波形として、三角波や鋸波のようなリニアに電圧が変化する領域が大きい波形を利用することにより、光の走査に利用できる揺動の振幅の範囲を大きくすることができる。このような構成を採用すると、光の利用効率の向上を図る上で有利である。しかし、波形が三角波や鋸波である電圧を圧電素子に供給した場合、薄い板状の支持部であることに起因して、ミラー部および支持部の揺動に高周波成分が含まれてしまう。特に支持部の揺動の中心軸に直交する方向に延びる第1部分においては、高周波成分によりミラー部と支持部とを含み揺動運動を行う揺動部の共振周波数での振動が誘発され、揺動時において第1部分に意図しない不要な振動が発生する。その結果、描画される画像の画質の劣化が生じる問題がある。
【0011】
本開示のミラー駆動機構は、ミラー部の外縁に接続されており、ミラー部と支持部とを含み揺動運動を行う揺動部の固有振動数に一致する固有振動数を有する動吸振材を備える。本発明者の検討によれば、このようにすることにより、ミラー部に接続された動吸振材により揺動運動を行う揺動部に生じた振動を吸収して、ミラー部の共振を抑制することができる。よって、より確実にミラー部における不要な振動の発生を抑制することができる。したがって、描画される画像の画質の劣化を抑制することができる。
【0012】
上記ミラー駆動機構において、動吸振材は、支持部の揺動の中心軸に直交する方向におけるミラー部の外縁に一対配置されてもよい。このようにすることにより、ミラー部が揺動する際に、一方側の動吸振材と他方側の動吸振材の双方において、適切に振動を吸収することができる。よって、より確実にミラー部における不要な振動の発生を抑制することができる。したがって、描画される画像の画質の劣化を抑制することができる。
【0013】
上記ミラー駆動機構において、動吸振材は、ミラー部の厚みよりも厚い第3部分と、第3部分とミラー部の外縁とを接続する第4部分と、を含んでもよい。このようにすることにより、ミラー部よりも厚い第3部分を有効に活用して、振動を吸収する形状に調整することが容易になる。よって、より容易にミラー部における不要な振動の発生を抑制することができる。したがって、描画される画像の画質の劣化を抑制することができる。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示のミラー駆動機構の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0015】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1に係るミラー駆動機構について説明する。図1は、実施の形態1におけるミラー駆動機構を示す概略平面図である。図2は、実施の形態1におけるミラー駆動機構を線分II-IIで切断した場合の概略断面図である。
【0016】
図1図2および図3を参照して、本実施の形態におけるミラー駆動機構11pは、板状のベース部12を備える。図1に示すようにベース部12を厚み方向に見て、ベース部12の外形形状は、長方形である。ベース部12の長辺は、図1中の矢印Xで示す方向に延びている。ベース部12は、厚み方向に貫通する第1貫通孔13を有する。なお、ベース部12の厚み方向は、図2中の矢印Zで示す方向である。
【0017】
ミラー駆動機構11pは、第1貫通孔13内に配置されるミラー部14を備える。ミラー部14は、板状である。ミラー部14の厚みは、ベース部12の厚みよりも薄い。ミラー部14は、ミラー15を含む。ミラー15は、ミラー駆動機構11pの外部から入射された光を反射するミラー面15aを有する。ミラー15は、円板状である。ミラー15のミラー面15aには、例えば、アルミニウムといった金属が成膜されている。
【0018】
ミラー部14は、第2貫通孔16を有する。ミラー15は、第2貫通孔16内に配置される。ミラー部14は、一対の軸部17a,17bを含む。一対の軸部17a,17bは、それぞれ細い棒状である。一対の軸部17a,17bは、ベース部12の厚み方向に見て、円板状のミラー15の中心を回転中心として180度回転させた位置に配置される。一対の軸部17a,17bはそれぞれ、第2貫通孔16を取り囲むミラー部14の内壁面18とミラー15の外縁19とを連結する。
【0019】
ミラー部14は、圧電素子であるピエゾ素子21a,21b,21c,21dを含む。4つのピエゾ素子21a~21dはそれぞれ、ベース部12の厚み方向に見て長方形の形状を有する。ピエゾ素子21a~21dは、板状のミラー部14において、厚み方向の一方側の面、本実施形態ではミラー面15aが位置する側の面に配置される。ピエゾ素子21a,21bは、X方向に間隔をあけて配置される。ピエゾ素子21c,21dは、X方向に間隔をあけて配置される。ピエゾ素子21a,21cは、Y方向に間隔をあけて配置される。ピエゾ素子21b,21dは、Y方向に間隔をあけて配置される。Y方向において、ピエゾ素子21a,21c間およびピエゾ素子21b,21d間には、第2貫通孔16が配置される。なお、ピエゾ素子21a~21dに接続される配線については、図示を省略している。
【0020】
ミラー駆動機構11pは、板状の支持部31aを備える。支持部31aの厚みは、ベース部12の厚みよりも薄い。支持部31aは、第1貫通孔13を取り囲むベース部12の内壁面22とミラー部14の外縁23とを連結する。支持部31aは、ミラー部14を揺動可能に支持する。揺動の中心軸24aは、図1中において一点鎖線で図示している。揺動の中心軸24aは、X方向に延びている。揺動の中心軸24aは、ベース部12の厚み方向に見て、ミラー15の中心を通る。
【0021】
支持部31aは、揺動の中心軸24aに直交する方向にそれぞれ延び、互いに平行に配置される複数の第1部分32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hと、隣り合う第1部分32a~32hの長手方向の一方側の端部同士および他方側の端部同士を交互に接続する第2部分33a,33b,33c,33d,33e,33fと、を含む。支持部31aは、第1部分32aとベース部12の内壁面22とを連結する連結部34aと、第1部分32dとミラー部14の外縁23とを連結する連結部34bと、第1部分32eとベース部12の内壁面22とを連結する連結部34cと、第1部分32hとミラー部14の外縁23とを連結する連結部34dと、を含む。支持部31aは、ミアンダ構造を有する。支持部31aとミラー部14との境界を図1において破線で示す。
【0022】
支持部31aは、複数の第1部分32a~32hのそれぞれの長手方向に沿って延び、第1部分32a~32hに対応する領域における、厚み方向の一方側に位置する面35a上に配置される圧電素子であるピエゾ素子36a,36b,36c,36d,36e,36f,36g,36hを含む。ピエゾ素子36a~36hはそれぞれ、ベース部12の厚み方向に見て長方形の形状を有する。なお、ピエゾ素子36a~36hに接続される配線の図示を省略している。
【0023】
隣り合う第1部分32a~32hにそれぞれ配置されるピエゾ素子36a~36hに供給する電圧を交互に逆位相とすることにより、隣り合う第1部分32a~32hを交互に逆向きに反らせるよう変形させることができる。ミラー部14は、隣り合う第1部分32a~32hの交互の逆向きの反りにより、揺動の中心軸24aを揺動軸として揺動する。揺動の周波数としては、例えば画像のフレームレートから選択される。
【0024】
また、ミラー部14において、隣り合うように配置されるピエゾ素子21a~21dに供給する電圧を交互に逆位相とすることにより、ミラー部14を変形させて、軸部17a,17bをねじる方向に変形させ、ミラー15を揺動させることができる。揺動の中心軸24bは、Y方向に延びている。揺動の中心軸24bは、ベース部12の厚み方向に見て、ミラー15の中心を通る。揺動の中心軸24bは、一対の軸部17a,17bの中心を通る。図1に示すミラー駆動機構11pにおいて、ベース部12の厚み方向に見て、揺動の中心軸24aと揺動の中心軸24bとは直交し、ミラー15の中心において交わる。ミラー15は、ミラー部14および軸部17a,17bの構造により決まるミラー部14の共振周波数で揺動し、フレームレートよりも高い周波数となる。
【0025】
ミラー駆動機構11pは、X方向に延びる揺動の中心軸24aおよびY方向に延びる揺動の中心軸24bを揺動軸として、ミラー15を揺動させることができる。よって、ミラー駆動機構11pは、二次元の画像を描画することができる。
【0026】
ここで、ミラー駆動機構11pは、動吸振材51a,51bを含む。動吸振材51a,51bはそれぞれ、ミラー部14の外縁23に接続されている。具体的には、動吸振材51aは、軸部17aが配置されている側のミラー部14の外縁23に接続されている。動吸振材51bは、軸部17bが配置されている側のミラー部14の外縁23に接続されている。動吸振材51a,51bは、揺動の中心軸24aに直交する方向におけるミラー部14の外縁23に一対配置されている。動吸振材51a,51bはそれぞれ、厚みの厚い第3部分53a,53bと、第3部分53a,53bよりも薄く、第3部分53a,53bとミラー部14の外縁23とをそれぞれ接続する第4部分52a,52bとを含む。動吸振材51a,51bは、揺動運動を行う揺動部25の固有振動数に一致する固有振動数を有する。本実施形態においては、動吸振材51a,51bは、形状および質量を調整することにより、動吸振材51a,51b自身とミラー部14と支持部31aとを含み揺動運動を行う揺動部25の共振周波数と一致する周波数で振動するようになっている。
【0027】
このようなミラー駆動機構11pによると、ミラー部14に接続された動吸振材51a,51bにより揺動運動を行う揺動部25に生じた振動を吸収して、ミラー部14の共振を抑制することができる。よって、より確実にミラー部14における不要な振動の発生を抑制することができる。したがって、描画される画像の画質の劣化を抑制することができる。
【0028】
上記ミラー駆動機構11pでは、動吸振材51a,51bは、揺動の中心軸24aに直交する方向におけるミラー部14の外縁23に一対配置されている。よって、揺動の中心軸24aを中心にミラー部14が揺動する際に、一方側の動吸振材51aと他方側の動吸振材51bの双方において、適切に振動を吸収することができる。よって、より確実にミラー部14における不要な振動の発生を抑制することができる。したがって、描画される画像の画質の劣化を抑制することができる。
【0029】
上記ミラー駆動機構では、動吸振材51a,51bは、ミラー部14の厚みよりも厚い第3部分53a,53bと、第3部分53a,53bとミラー部14の外縁23とを接続する第4部分52a,52bと、を含む。よって、ミラー部14よりも厚い第3部分53a,53bを有効に活用して、振動を吸収する形状に調整することが容易になる。よって、より容易にミラー部14における不要な振動の発生を抑制することができる。したがって、描画される画像の画質の劣化を抑制することができる。
【0030】
なお、ミラー駆動機構11pの製造方法の一例について簡単に説明すると、以下の通りである。まず、SOI(Silicon on Insulator)基板を準備し、当該基板に電極層やピエゾ層、アルミニウム層を形成する。その後、フォトリソグラフィー、反応性イオンエッチング等により、ピエゾ素子を含む上記したミラー駆動機構11pを得る。
【0031】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図3は、実施の形態2におけるミラー駆動機構を示す概略平面図である。図4は、実施の形態2におけるミラー駆動機構を線分IV-IVで切断した場合の概略断面図である。図5は、実施の形態2におけるミラー駆動機構を線分V-Vで切断した場合の概略断面図である。実施の形態2のミラー駆動機構は、カウンターウェイトを含む点、さらに動吸振材が設けられる位置において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0032】
図3図4および図5を参照して、実施の形態2におけるミラー駆動機構11qは、動吸振材56a,56bと、重りとなるカウンターウェイト56cとを含む。動吸振材56a,56bはそれぞれ、ミラー部14の外縁23に接続されている。具体的には、動吸振材56aおよび動吸振材56bはそれぞれX方向に間隔をあけて、軸部17bが配置されている側のミラー部14の外縁23に接続されている。一方、カウンターウェイト56cは、軸部17aが配置されている側のミラー部14の外縁23に接続されている。動吸振材56a,56bはそれぞれ、厚みの厚い第3部分58a,58bと、第3部分58a,58bよりも薄く、第3部分58a,58bとミラー部14の外縁23とをそれぞれ接続する第4部分57a,57bとを含む。動吸振材56a,56bは、動吸振材56a,56b自身とミラー部14と支持部31aとカウンターウェイト56cとを含み揺動運動を行う揺動部25の固有振動数に一致する固有振動数を有する。
【0033】
このようなミラー駆動機構11qによると、ミラー部14に接続された動吸振材56a,56bにより揺動運動を行う揺動部25に生じた振動を吸収して、ミラー部14の共振を抑制することができる。よって、より確実にミラー部14における不要な振動の発生を抑制することができる。したがって、描画される画像の画質の劣化を抑制することができる。
【0034】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。図6は、実施の形態3におけるミラー駆動機構を図1中の線分VI-VIで切断した場合の概略断面図である。図7は、実施の形態3におけるミラー駆動機構を図1中の線分VII-VIIで切断した場合の概略断面図である。実施の形態3のミラー駆動機構は、第1部分が厚肉部を有する点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0035】
図6および図7を参照して、実施の形態3におけるミラー駆動機構11aに含まれる支持部に含まれる複数の第1部分32a~32hは、第1部分32a~32hの長手方向に延び、第2部分33a~33fの厚みよりも厚い厚肉部37dを有する。本実施形態においては、全ての第1部分32a~32hは、上記厚肉部37dを有する。厚肉部37dの厚みT図6に示される。厚肉部37dは、第1部分32a~32hの長手方向の全域にわたって延びるように形成される。
【0036】
上記ミラー駆動機構11aでは、複数の第1部分32a~32hは、第1部分32a~32hの長手方向に延び、第2部分33a~33fの厚みよりも厚い厚肉部37dを有する。したがって、支持部31aの変形量を維持しながら第1部分32a~32hの剛性を高くすることができる。よって、高周波成分に対する第1部分32a~32hの共振を抑制することができる。したがって、支持部31aの変形量の維持および第1部分32a~32hの高い剛性を両立させることができる。よって、このようなミラー駆動機構11aは、光の利用効率の向上と描画される画像の画質劣化の抑制とを両立することができるミラー駆動機構となっている。
【0037】
本実施形態においては、厚肉部37dは、第1部分32a~32hの長手方向の全域にわたって延びるように形成される。よって、より確実に第1部分32a~32hの高い剛性を確保することができる。
【0038】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。図8は、実施の形態4におけるミラー駆動機構において、第1部分が配置される領域の概略平面図である。図9は、実施の形態4におけるミラー駆動機構を図8中の線分IX-IXで切断した場合の概略断面図である。実施の形態4のミラー駆動機構は、厚肉部がリブである点において実施の形態3の場合とは異なっている。
【0039】
図8および図9を参照して、実施の形態4におけるミラー駆動機構に含まれる支持部に含まれる厚肉部は、第1部分32iに対応する領域における、厚み方向の他方側に位置する面に形成され、第1部分32iの長手方向に延びるリブ37iである。リブ37iは、一つであって、第1部分32iの長手方向の全域にわたって配置されている。リブ37iのX方向の長さであるリブ37iの幅Wは、第1部分32iの幅Wよりも小さい。リブ37iは、第1部分32iの幅方向の中央、すなわち、X方向における中央に形成されている。
【0040】
このようなミラー駆動機構は、支持部31aの軽量化を図りつつ支持部31aの変形量を維持しながら、第1部分32iの剛性を高くすることが容易である。したがって、支持部31aの変形量の維持および第1部分32iの高い剛性の両立を容易にすることができるミラー駆動機構となっている。
【0041】
(実施の形態5)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。図10は、実施の形態5におけるミラー駆動機構において、第1部分が配置される領域の概略平面図である。図11は、実施の形態5におけるミラー駆動機構を図10中の線分XI-XIで切断した場合の概略断面図である。実施の形態5のミラー駆動機構は、複数のリブを備える点において実施の形態4の場合とは異なっている。
【0042】
図10および図11を参照して、実施の形態5におけるミラー駆動機構に含まれる支持部に含まれる厚肉部は、第1部分32jに対応する領域における、厚み方向の他方側に位置する面に形成され、第1部分32jの長手方向に延びる複数のリブ37j,38jである。リブ37j,38jは2本形成されている。リブ37j,38jはそれぞれ、第1部分32jの長手方向の全域にわたって形成されている。リブ37j,38jは、幅方向に間隔をあけて配置されている。
【0043】
このようなミラー駆動機構は、複数のリブ37j,38jを利用して、支持部31aの軽量化を図りつつ31aの変形量を維持しながら、第1部分32jの剛性を高くすることができる。したがって、支持部31aの変形量の維持および第1部分32jの高い剛性の両立を容易にすることができる。
【0044】
(実施の形態6)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態6について説明する。図12は、実施の形態6におけるミラー駆動機構において、第1部分が配置される領域の概略平面図である。図13は、実施の形態6におけるミラー駆動機構を図12中の線分XIII-XIIIで切断した場合の概略断面図である。図14は、実施の形態6におけるミラー駆動機構を図12中の線分XIV-XIVで切断した場合の概略断面図である。図13および図14に示す断面は、Y方向の位置が異なっている断面である。実施の形態6のミラー駆動機構は、リブが第1部分の長手方向の途中で分岐している点において実施の形態4の場合とは異なっている。
【0045】
図12図13および図14を参照して、実施の形態6におけるミラー駆動機構に含まれる支持部に含まれる厚肉部は、第1部分32kに対応する領域における、厚み方向の他方側に位置する面に形成され、第1部分32kの長手方向に延びるリブ37kである。リブ37kは、第1部分32kの長手方向の両端部に近い位置において、幅方向(X方向)にそれぞれ2つに分岐した分岐領域41k,42k,44k,45kを含む。第1部分32kの長手方向の中央領域43kにおいては、リブ37kは分岐していない。
【0046】
このようなミラー駆動機構は、リブ37kを有するため、支持部31aの軽量化を図りつつ支持部31aの変形量を維持しながら、第1部分32kの剛性を高くすることが容易である。したがって、支持部31aの変形量の維持および第1部分32kの高い剛性の両立を容易にすることができるミラー駆動機構となっている。また、本実施形態においては、リブ37kは、第1部分32kの長手方向の両端部に近い領域において、幅方向に分岐している構成を採用する。支持部31aの変形時には、第1部分32kに長手方向(Y方向)の成分の力に加え、幅方向(X方向)の成分の力が加えられる場合がある。このような場合、第1部分32kにねじれの力が負荷される。しかし、長手方向の両端部において幅方向に広がる分岐領域41k,42k,44k,45kを有する第1部分32kの場合、この分岐領域41k,42k,44k,45kにおける幅方向の剛性を高めることができるため、第1部分32kのねじれによる変形を抑制することができる。よって、揺動時における第1部分32kの適切な変形が確保できるため、より画質の劣化を抑制することができる。
【0047】
(実施の形態7)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態7について説明する。図15は、実施の形態7におけるミラー駆動機構において、第1部分が配置される領域の概略平面図である。図16は、実施の形態7におけるミラー駆動機構を図15中の線分XVI-XVIで切断した場合の概略断面図である。実施の形態7のミラー駆動機構は、リブが第1部分の長手方向に蛇行しながら延びている点において実施の形態4の場合とは異なっている。
【0048】
図15および図16を参照して、実施の形態7におけるミラー駆動機構に含まれる支持部に含まれる厚肉部は、第1部分32mに対応する領域における、厚み方向の他方側に位置する面に形成され、第1部分32mの長手方向に延びるリブ37mである。リブ37mは、第1部分32mの長手方向に蛇行しながら延びている。すなわち、リブ37mは、X方向に延びる部分も有する。リブ37mは、ピエゾ素子36dが配置されていない面側から見て、波状の形状を有する。
【0049】
このようなミラー駆動機構は、リブ37mによって、支持部31aの軽量化を図りつつ支持部31aの変形量を維持しながら、第1部分32mの剛性を高くすることが容易である。したがって、支持部31aの変形量の維持および第1部分32mの高い剛性の両立を容易にすることができるミラー駆動機構となっている。また、本実施形態においても、リブ37mは波状の形状を有するため、幅方向の剛性を高めることができる。よって、第1部分32mのねじれによる変形を抑制することができる。したがって、揺動時における第1部分32mの適切な変形が確保できるため、より画質の劣化を抑制することができる。
【0050】
(実施の形態8)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態8について説明する。図17は、実施の形態8におけるミラー駆動機構において、第1部分が配置される領域の概略平面図である。図18は、実施の形態8におけるミラー駆動機構を図17中の線分XVIII-XVIIIで切断した場合の概略断面図である。実施の形態8のミラー駆動機構において、厚肉部は、平面視において正六角柱状の部材を等間隔で除去した形状であって、残部の幅が同じになるように構成されている点において実施の形態2の場合とは異なっている。
【0051】
図17および図18を参照して、実施の形態8におけるミラー駆動機構に含まれる支持部に含まれる厚肉部37nは、第1部分32nに対応する領域における、厚み方向の他方側に位置する面に形成されている。厚肉部37nは、平面視において正六角柱状の部材を等間隔で除去した形状であって、残部の幅が同じになるように構成されている。
【0052】
このようなミラー駆動機構は、厚肉部37nによって、支持部31aの軽量化を図りつつ支持部31aの変形量を維持しながら、第1部分32nの剛性を高くすることが容易である。したがって、支持部31aの変形量の維持および第1部分32nの高い剛性の両立を容易にすることができるミラー駆動機構となっている。また、本実施形態において、厚肉部37nは、平面視において正六角柱状の部材を等間隔で除去した形状であって、残部の幅が同じになるように構成されている。よって、第1部分32nのねじれによる変形を抑制することができる。したがって、揺動時における第1部分32nの適切な変形が確保できるため、より画質の劣化を抑制することができる。
【0053】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、複数の第1部分の全てが厚肉部を有することとしたが、これに限らず、複数の第1部分のうちの少なくともいずれか一つが、上記厚肉部を有する構成としてもよい。厚肉部を一つだけ形成するのであれば、複数の第1部分のうち、最もミラー部に近い位置に配置される第1部分に形成するのが良い。このような第1部分は、最も変形量が大きく、不要な振動の発生による画質への影響が大きいためである。
【0054】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示のミラー駆動機構は、描画される画像の画質の劣化の抑制が求められる場合に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0056】
11a,11p,11q ミラー駆動機構
12 ベース部
13 第1貫通孔
14 ミラー部
15 ミラー
15a ミラー面
16 第2貫通孔
17a,17b 軸部
18,22 内壁面
19,23 外縁
21a,21b,21c,21d,36a,36b,36c,36d,36e,36f,36g,36h ピエゾ素子
24a,24b 中心軸
25 揺動部
31a 支持部
32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h,32i,32j,32k,32m,32n 第1部分
33a,33b,33c,33d,33e,33f 第2部分
34a,34b,34c,34d 連結部
35a 面
37d,37n 厚肉部
37i,37j,37k,37m,38j リブ
41k,42k,44k,45k 分岐領域
43k 中央領域
51a,51b,56a,56b 動吸振材
52a,52b,57a,57b 第4部分
53a,53b,58a,58b 第3部分
56c カウンターウェイト
図1
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