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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】フューエルキャップ保持構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
B60K15/05 B
B60K15/05 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020061133
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021160387
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】森山 誠
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 聡志
(72)【発明者】
【氏名】大西 幸泰
(72)【発明者】
【氏名】加藤 基
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0230992(US,A1)
【文献】特開2012-111245(JP,A)
【文献】特開2003-146092(JP,A)
【文献】特開平11-342998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の給油口から取り外したフューエルキャップを、前記車体に開閉可能に取り付けられたフューエルリッドに保持するフューエルキャップ保持構造において、
前記フューエルリッドに固定されたベース部と、
前記ベース部の上部に前記車体の上下方向に対して傾斜するように配置され、前記フューエルキャップに設けられた略円筒状のキャップ底部を保持するキャップホルダとを備え、
前記キャップホルダの傾斜方向の下側部分には、前記キャップ底部を保持したときに、前記フューエルキャップの自重により前記キャップ底部の内周面の先端部が当接するテーパ面が設けられているフューエルキャップ保持構造。
【請求項2】
前記キャップホルダは、前記キャップホルダの傾斜方向の上側部分に配置された第1保持部と、前記キャップホルダの傾斜方向の下側部分に前記第1保持部と離間するように配置され、前記テーパ面を有する第2保持部とを有し、
前記第1保持部は、前記キャップ底部を保持したときに、前記フューエルキャップの自重により前記キャップ底部の内周面が当接する当接面を有する請求項1記載のフューエルキャップ保持構造。
【請求項3】
前記キャップホルダは、前記第1保持部よりも前記キャップホルダの傾斜方向の上側部分に配置され、前記第1保持部と協働して前記キャップ底部が差し込まれる収容部を形成する保持壁部を更に有する請求項2記載のフューエルキャップ保持構造。
【請求項4】
前記キャップ底部が前記収容部に差し込まれた状態では、前記キャップ底部の先端が前記収容部の底面に当接する請求項3記載のフューエルキャップ保持構造。
【請求項5】
前記第1保持部の前記当接面と前記保持壁部との隙間は、前記キャップ底部の板厚よりも大きい請求項3または4記載のフューエルキャップ保持構造。
【請求項6】
前記キャップホルダは、前記ベース部の上部に設けられた円環状の突壁部を更に有し、
前記第1保持部は、前記突壁部における前記傾斜方向の上側部分と一体化されており、
前記第2保持部は、前記突壁部における前記傾斜方向の下側部分と一体化されている請求項2~5の何れか一項記載のフューエルキャップ保持構造。
【請求項7】
前記第1保持部及び前記第2保持部の合計数は、少なくとも3つである請求項2~6の何れか一項記載のフューエルキャップ保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フューエルキャップ保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフューエルキャップ保持構造としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載のフューエルキャップ保持構造は、略円筒状の挿入部を有するフューエルキャップを、車体にヒンジを介して開閉可能に取り付けられたフューエルリッドに保持する構造である。フューエルキャップ保持構造は、ヒンジの表面を覆うようにヒンジに取り付けられたカバーを備えている。カバーは、基部と、この基部のフューエルリッド側の端部に一体的に形成され、フューエルキャップを保持するホルダ部とを有している。ホルダ部は、フューエルキャップの挿入部に設けられた溝部と嵌合可能な保持爪と、フューエルキャップのキャップ部を支持する支持面とを有している。溝部が保持爪に嵌合すると共に、キャップ部の外周面が支持面に支持されることで、フューエルキャップがホルダ部に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-264816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、フューエルキャップがフューエルリッドのヒンジ側のみで保持されている構造であるため、衝撃等が加わると、フューエルキャップが外れるおそれがある。このため、略円筒状の挿入部(キャップ底部)を有するフューエルキャップを安定して保持することが困難になる。
【0005】
本発明の目的は、略円筒状のキャップ底部を有するフューエルキャップを安定して保持することができるフューエルキャップ保持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車体の給油口から取り外したフューエルキャップを、車体に開閉可能に取り付けられたフューエルリッドに保持するフューエルキャップ保持構造において、フューエルリッドに固定されたベース部と、ベース部の上部に車体の上下方向に対して傾斜するように配置され、フューエルキャップに設けられた略円筒状のキャップ底部を保持するキャップホルダとを備え、キャップホルダの傾斜方向の下側部分には、キャップ底部を保持したときに、フューエルキャップの自重によりキャップ底部の内周面の先端部が当接するテーパ面が設けられている。
【0007】
このようなフューエルキャップ保持構造において、フューエルキャップを保持するときは、フューエルキャップをキャップホルダ上に置く。このとき、キャップホルダは、ベース部の上部に車体の上下方向に対して傾斜するように配置されている。このため、フューエルキャップの自重によって、フューエルキャップのキャップ底部の内周面がキャップホルダの傾斜方向の上側部分に当接する。また、キャップホルダの傾斜方向の下側部分には、フューエルキャップの自重によりキャップ底部の内周面の先端部が当接するテーパ面が設けられている。このため、フューエルキャップの自重によって、キャップ底部の内周面の先端部がキャップホルダの傾斜方向の下側部分に当接する。このようにキャップホルダの傾斜方向の上側部分及び下側部分において、キャップ底部がキャップホルダに保持された状態となる。従って、衝撃等が加わっても、フューエルキャップがキャップホルダから外れにくい。これにより、略円筒状のキャップ底部を有するフューエルキャップが安定して保持される。
【0008】
キャップホルダは、キャップホルダの傾斜方向の上側部分に配置された第1保持部と、キャップホルダの傾斜方向の下側部分に第1保持部と離間するように配置され、テーパ面を有する第2保持部とを有し、第1保持部は、キャップ底部を保持したときに、フューエルキャップの自重によりキャップ底部の内周面が当接する当接面を有してもよい。このような構成では、フューエルキャップをキャップホルダ上に置くと、フューエルキャップの自重によって、フューエルキャップのキャップ底部の内周面が第1保持部の当接面に当接すると共に、キャップ底部の内周面の先端部が第2保持部のテーパ面に当接する。このようにキャップ底部が第1保持部及び第2保持部に保持された状態となるため、略円筒状のキャップ底部を有するフューエルキャップが確実に安定して保持される。
【0009】
キャップホルダは、第1保持部よりもキャップホルダの傾斜方向の上側部分に配置され、第1保持部と協働してキャップ底部が差し込まれる収容部を形成する保持壁部を更に有してもよい。このような構成では、フューエルキャップのキャップ底部がキャップホルダに保持されるときは、第1保持部と保持壁部との間の収容部にキャップ底部が差し込まれる。従って、衝撃等が加わっても、フューエルキャップがキャップホルダから更に外れにくい。
【0010】
キャップ底部が収容部に差し込まれた状態では、キャップ底部の先端が収容部の底面に当接してもよい。このような構成では、キャップ底部がキャップホルダに保持された状態において、キャップ底部が収容部から抜けにくくなるため、フューエルキャップがキャップホルダから一層外れにくい。
【0011】
第1保持部の当接面と保持壁部との隙間は、キャップ底部の板厚よりも大きくてもよい。このような構成では、キャップ底部の板厚のバラツキ、または第1保持部の当接面と保持壁部との隙間のバラツキがあっても、キャップ底部が収容部に差し込まれるため、フューエルキャップがキャップホルダから外れにくい。
【0012】
キャップホルダは、ベース部の上部に設けられた円環状の突壁部を更に有し、第1保持部は、突壁部における傾斜方向の上側部分と一体化されており、第2保持部は、突壁部における傾斜方向の下側部分と一体化されていてもよい。このような構成では、第1保持部及び第2保持部は、円周方向に沿って配置されることになる。従って、略円筒状のキャップ底部が第1保持部及び第2保持部に安定して保持される。
【0013】
第1保持部及び第2保持部の合計数は、少なくとも3つであってもよい。このような構成では、合計数が3つ以上の第1保持部及び第2保持部が円周方向に沿って間欠的に配置されることになる。従って、キャップホルダの軽量化及び低コスト化を図りつつ、キャップホルダにキャップ底部が保持される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、略円筒状のキャップ底部を有するフューエルキャップを安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るフューエルキャップ保持構造を備えた車両の一部を示す斜視図である。
図2図1に示されたフューエルキャップの斜視図である。
図3図1に示されたキャップホルダにフューエルキャップが保持された状態を示す断面図である。
図4図3に示されたキャップホルダの斜視図である。
図5図3に示されたキャップホルダにフューエルキャップが保持される様子を示す拡大断面図である。
図6】比較例としてのフューエルキャップ保持構造のキャップホルダにフューエルキャップが保持された状態を示す断面図である。
図7図6に示された保持部を含む部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るフューエルキャップ保持構造を備えた車両の一部を示す斜視図である。図1において、本実施形態のフューエルキャップ保持構造1は、車両の給油時にフューエルキャップ2を保持するために搭載されている。
【0018】
車体3の側部には、凹状のリッドボックス4が設けられている。リッドボックス4の底部には、給油ガン5により給油を行うための給油口6が設けられている。フューエルキャップ2は、給油口6に着脱可能に取り付けられている。
【0019】
フューエルキャップ2は、図2に示されるように、給油口6を覆うキャップ本体部7と、このキャップ本体部7と一体化された略円筒状のキャップ底部8とを有している。キャップ本体部7の上部には、ツマミ部9が設けられている。キャップ底部8の先端面8a(下端面)は、キャップ本体部7の下端面7aよりも突出している(図3参照)。キャップ底部8の外周面には、雄ネジ8bが形成されている。
【0020】
車体3には、リッドボックス4が取り付けられている。リッドボックス4には、フューエルリッド10が開閉可能に取り付けられている。具体的には、フューエルリッド10は、リッドボックス4にヒンジ部(図示せず)を介して開閉可能に取り付けられている。従って、フューエルリッド10は、車体3に開閉可能に取り付けられている。
【0021】
フューエルキャップ保持構造1は、給油口6から取り外したフューエルキャップ2をフューエルリッド10に保持する構造である。なお、図1(a)は、フューエルキャップ2が給油口6に装着された状態を示している。図1(b)は、フューエルキャップ2がフューエルリッド10に保持された状態を示している。
【0022】
フューエルキャップ保持構造1は、ベース部11と、キャップホルダ12とを備えている。ベース部11及びキャップホルダ12は、一体的に形成されている。ベース部11は、フューエルリッド10の内面10aに固定されている。フューエルリッド10の内面10aは、フューエルリッド10の車室内側(給油口6側)の面である。
【0023】
キャップホルダ12は、図3に示されるように、ベース部11の上部に車体3の上下方向(図3中のZ方向)に対して傾斜するように配置されている。キャップホルダ12は、フューエルキャップ2に設けられたキャップ底部8を保持する。このようにキャップ底部8を保持することにより、給油ガン5のスペースGを確保することができる。
【0024】
キャップホルダ12は、図3及び図4に示されるように、ベース部11の上部に設けられた円環状の突壁部13と、キャップホルダ12の傾斜方向(図3中のS方向)の上側部分に配置された複数(ここでは5つ)の上側保持部14と、この上側保持部14よりもキャップホルダ12の傾斜方向の上側部分に配置された保持壁部15と、キャップホルダ12の傾斜方向の下側部分に配置された複数(ここでは2つ)の下側保持部16とを有している。
【0025】
上側保持部14及び下側保持部16は、ベース部11から上方に突出したリブ構造を有している。上側保持部14及び下側保持部16は、突壁部13に沿って円周方向に間欠的に配置されている。下側保持部16は、上側保持部14と離間するように配置されている。
【0026】
上側保持部14は、フューエルリッド10がリッドボックス4に対して閉じた状態で、車体3の車幅方向の外側に配置された第1保持部である。上側保持部14の外壁面には、上側保持部14の突出方向に延びる突起17が設けられている。上側保持部14の外壁面は、上側保持部14の上側の壁面である。上側保持部14の突出方向は、突壁部13の軸方向に相当する。突起17の先端面は、図5に示されるように、キャップホルダ12がフューエルキャップ2のキャップ底部8を保持したときに、フューエルキャップ2の自重によりキャップ底部8の内周面8cが当接する当接面18となっている。なお、突起17は、無くてもよい。この場合には、上側保持部14の外壁面が当接面18となる。
【0027】
保持壁部15は、各上側保持部14の当接面18と対向する壁面15aを有している。壁面15aは、各上側保持部14の配列方向に沿って湾曲状に延びている。保持壁部15は、各上側保持部14と協働して、フューエルキャップ2のキャップ底部8が差し込まれる収容部19を形成している。図5に示されるように、上側保持部14の当接面18と保持壁部15の壁面15aとの隙間Wは、キャップ底部8の板厚Dよりも大きい。
【0028】
なお、キャップ底部8は、図5に示されるように、キャップホルダ12に保持された状態において、キャップ底部8の先端面8aが収容部19の底面19aに当接するような長さ寸法を有している。
【0029】
下側保持部16は、フューエルリッド10がリッドボックス4に対して閉じた状態で、車体3の車幅方向の内側に配置された第2保持部である。下側保持部16の外壁面は、キャップホルダ12がフューエルキャップ2のキャップ底部8を保持したときに、フューエルキャップ2の自重によりキャップ底部8の内周面8cの先端部が当接するテーパ面20となっている。下側保持部16の外壁面は、下側保持部16の下側の壁面である。
【0030】
テーパ面20は、図5に示されるように、キャップホルダ12によりキャップ底部8が保持された状態において、キャップ底部8の軸方向(図5中のJ方向)に平行に切った断面でキャップ底部8の内周面8cに対して傾斜している。キャップ底部8の軸方向は、キャップホルダ12の収容部19に対するキャップ底部8の差し込み方向に相当する。テーパ面20は、車体3の下側に向かうに従ってキャップ底部8の軸方向に対して拡がるように傾斜している。
【0031】
以上のようなフューエルキャップ保持構造1において、給油口6から取り外したフューエルキャップ2をキャップホルダ12に保持するときは、図5(a)に示されるように、フューエルキャップ2のキャップ底部8がキャップホルダ12の収容部19に差し込まれるように、フューエルキャップ2をキャップホルダ12上に置く。このとき、上側保持部14側に位置するキャップ底部8の先端面8aが収容部19の底面19aに当たると共に、下側保持部16側に位置するキャップ底部8の内周面8cの先端部が下側保持部16のテーパ面20に当たる。
【0032】
フューエルキャップ2がキャップホルダ12上に置かれると、フューエルキャップ2の自重によって、フューエルキャップ2が傾斜方向(図5中のS方向)の下側に移動する。このため、図5(b)に示されるように、上側保持部14側に位置するキャップ底部8の内周面8cが上側保持部14の当接面18に当たる。また、フューエルキャップ2の自重によって、下側保持部16側に位置するキャップ底部8の内周面8cの先端部が上側保持部14側に位置するキャップ底部8を支点としてテーパ面20に沿って車体3の下側に滑り落ちる。
【0033】
これにより、キャップ底部8と上側保持部14及び下側保持部16とのガタが詰まり、キャップ底部8がキャップホルダ12により保持された状態となる。
【0034】
図6は、比較例としてのフューエルキャップ保持構造のキャップホルダにフューエルキャップが保持された状態を示す断面図である。図6において、本比較例のフューエルキャップ保持構造50では、キャップホルダ51は、キャップホルダ51の傾斜方向(図6中のS方向)の上側部分に配置された保持部52と、キャップホルダ51の傾斜方向の下側部分に配置された複数の荷重受け部53とを有している。
【0035】
保持部52は、突壁部13に沿って間欠的に配置された複数の内壁54と、各内壁54よりもキャップホルダ51の傾斜方向の上側部分に配置された外壁55とを有している。外壁55は、各内壁54の配列方向に沿って湾曲状に延びている。
【0036】
内壁54及び外壁55は、図7に示されるように、協働してフューエルキャップ2のキャップ底部8が差し込まれる収容部56を形成している。内壁54は、外壁55と対向するテーパ面54aを有している。外壁55は、内壁54と対向するテーパ面55aを有している。テーパ面54a,55aは、収容部56の底面56aに向かって先細りとなるように形成されている。
【0037】
キャップホルダ51にキャップ底部8が保持された状態では、キャップ底部8と荷重受け部53との間には隙間が設けられている。荷重受け部53は、フューエルキャップ2に荷重がかかったときに荷重を受ける部分であり、キャップ底部8の保持には寄与していない。
【0038】
このようにフューエルキャップ保持構造50では、キャップホルダ51の傾斜方向の上側部分に配置された保持部52のみによってフューエルキャップ2のキャップ底部8が保持されているため、衝撃等が加わると、フューエルキャップ2が外れやすい。従って、フューエルキャップ2が安定して保持することが困難である。
【0039】
また、フューエルキャップ2は、同一車種でも仕向により種類が異なり、キャップ底部8の板厚のバラツキが大きい。また、保持部52における収容部56の幅(内壁54と外壁55との距離)にも、バラツキがある。そのようなキャップ底部8の板厚のバラツキ及び収容部56の幅のバラツキを許容するために、内壁54及び外壁55にキャップ底部8のくわえ込み用のテーパ面54a,55aがそれぞれ設けられている。
【0040】
しかし、キャップ底部8の板厚が大きい場合には、キャップ底部8が収容部56の奥まで入らない(図7の2点鎖線参照)。この場合には、キャップ底部8が浮いた状態でキャップホルダ51に保持されることになるため、フューエルキャップ2が僅かな衝撃で外れてしまう。
【0041】
そのような不具合に対し、本実施形態では、フューエルキャップ2を保持するときは、フューエルキャップ2をキャップホルダ12上に置く。このとき、キャップホルダ12は、ベース部11の上部に車体3の上下方向に対して傾斜するように配置されている。このため、フューエルキャップ2の自重によって、フューエルキャップ2のキャップ底部8の内周面8cがキャップホルダ12の傾斜方向の上側部分に当接する。また、キャップホルダ12の傾斜方向の下側部分には、フューエルキャップ2の自重によりキャップ底部8の内周面8cの先端部が当接するテーパ面20が設けられている。このため、フューエルキャップ2の自重によって、キャップ底部8の内周面8cの先端部がキャップホルダ12の傾斜方向の下側部分に当接する。このようにキャップホルダ12の傾斜方向の上側部分及び下側部分において、キャップ底部8がキャップホルダ12に保持された状態となる。従って、衝撃等が加わっても、フューエルキャップ2がキャップホルダ12から外れにくい。これにより、略円筒状のキャップ底部8を有するフューエルキャップ2が安定して保持される。
【0042】
また、本実施形態では、フューエルキャップ2をキャップホルダ12上に置くと、フューエルキャップ2の自重によって、フューエルキャップ2のキャップ底部8の内周面8cが上側保持部14の当接面18に当接すると共に、キャップ底部8の内周面8cの先端部が下側保持部16のテーパ面20に当接する。このようにキャップ底部8が上側保持部14及び下側保持部16に保持された状態となるため、略円筒状のキャップ底部8を有するフューエルキャップ2が確実に安定して保持される。
【0043】
また、本実施形態では、フューエルキャップ2のキャップ底部8がキャップホルダ12に保持されるときは、上側保持部14と保持壁部15との間の収容部19にキャップ底部8が差し込まれる。従って、衝撃等が加わっても、フューエルキャップ2がキャップホルダ12から更に外れにくい。
【0044】
また、本実施形態では、キャップ底部8が収容部19に差し込まれた状態では、キャップ底部8の先端面8aが収容部19の底面19aに当接する。従って、キャップ底部8がキャップホルダ12に保持された状態において、キャップ底部8が収容部19から抜けにくくなるため、フューエルキャップ2がキャップホルダ12から一層外れにくい。
【0045】
また、本実施形態では、上側保持部14の当接面18と保持壁部15との隙間Wは、キャップ底部8の板厚Dよりも大きい。従って、キャップ底部8の板厚Dのバラツキ、または上側保持部14の当接面18と保持壁部15との隙間Wのバラツキがあっても、キャップ底部8が収容部19に差し込まれるため、フューエルキャップ2がキャップホルダ12から外れにくい。
【0046】
また、本実施形態では、上側保持部14は、ベース部11の上部に設けられた円環状の突壁部13における傾斜方向の上側部分と一体化され、下側保持部16は、突壁部13における傾斜方向の下側部分と一体化されている。このため、上側保持部14及び下側保持部16は、円周方向に沿って配置されることになる。従って、略円筒状のキャップ底部8が上側保持部14及び下側保持部16に安定して保持される。
【0047】
また、本実施形態では、複数の上側保持部14及び下側保持部16が円周方向に沿って間欠的に配置されている。従って、キャップホルダ12の軽量化及び低コスト化を図りつつ、キャップホルダ12にキャップ底部8が保持される。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、上側保持部14及び下側保持部16の数は複数ずつであるが、上側保持部14及び下側保持部16の数としては、特にそれには限られない。
【0049】
上側保持部14及び下側保持部16の合計数が少なくとも3つであれば、キャップホルダ12の軽量化及び低コスト化を図りつつ、キャップホルダ12によりフューエルキャップ2のキャップ底部8を保持することができる。また、上側保持部14及び下側保持部16が突壁部13の周方向に延びていれば、上側保持部14及び下側保持部16の数は1つずつであってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、フューエルキャップ2のキャップ底部8が収容部19に差し込まれた状態では、キャップ底部8の先端面8aが収容部19の底面19aに当接しているが、特にその形態には限られず、キャップ底部8の先端面8aが収容部19の底面19aに当接していなくてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、上側保持部14よりもキャップホルダ12の傾斜方向の上側部分には、上側保持部14と協働してフューエルキャップ2のキャップ底部8が差し込まれる収容部19を形成する保持壁部15が配置されているが、そのような保持壁部15は、特に無くてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、ベース部11の上部に円環状の突壁部13が設けられているが、特にその形態には限られず、上側保持部14及び下側保持部16が円周方向に沿って配置されていれば、そのような突壁部13は、特に無くてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、キャップホルダ12の上側保持部14及び下側保持部16にフューエルキャップ2のキャップ底部8が保持されているが、キャップホルダ12の構成としては、特にそのような形態には限られない。キャップホルダは、キャップ底部8を保持したときに、キャップホルダの傾斜方向の下側部分に、フューエルキャップ2の自重によりキャップ底部8の内周面の先端部が当接するテーパ面が設けられていれば、例えば円錐台構造を有していてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…フューエルキャップ保持構造、2…フューエルキャップ、3…車体、6…給油口、8…キャップ底部、8a…先端面(先端)、8c…内周面、10…フューエルリッド、10a…内面、11…ベース部、12…キャップホルダ、13…突壁部、14…上側保持部(第1保持部)、15…保持壁部、16…下側保持部(第2保持部)、18…当接面、19…収容部、19a…底面、20…テーパ面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7