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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20230411BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
A01B69/00 303F
A01C11/02 331D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020137527
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033560
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲
(72)【発明者】
【氏名】小佐野 光
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和之
(72)【発明者】
【氏名】飛田 秀平
(72)【発明者】
【氏名】川上 修平
(72)【発明者】
【氏名】山下 英希
(72)【発明者】
【氏名】東 靖之
(72)【発明者】
【氏名】白山 勝
(72)【発明者】
【氏名】堀口 剛包
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-165665(JP,A)
【文献】特開2020-028224(JP,A)
【文献】特開2019-107930(JP,A)
【文献】特開昭63-148909(JP,A)
【文献】特開2017-209070(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0256102(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00 ー 69/08
A01C 11/00 ー 11/02
11/04 - 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体の操舵量を調整するステアリング装置と、
前記ステアリング装置を回動させるモータと、
前記モータを制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記走行車体が自動旋回をする場合には、前記ステアリング装置の操作量を所定操作量とし、旋回開始から所定の方位となるまでの車輪のスリップ量を算出し、前記スリップ量に基づいて、前記走行車体が次工程の直進走行経路に合うように前記モータを制御することで前記ステアリング装置を制御する
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
測位手段から受信する情報に基づいて前記走行車体の現在の位置情報を取得する位置情報取得装置
を備え、
前記制御装置は、
前記車輪の回転数に基づいて算出された車速と、前記位置情報取得装置によって取得された情報に基づいて算出された前記走行車体の実車速とのずれに基づいて、前記スリップ量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記走行車体が自動直進している場合には、前記スリップ量が増加するほど前記ステアリング装置の操作を小さくする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記走行車体が自動直進している場合には、前記スリップ量を所定走行距離毎に算出する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の作業車両。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記走行車体が自動旋回している場合には、前記スリップ量が増加するほど前記走行車体の旋回半径が大きくなるように、前記ステアリング装置を制御する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の作業車両。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記走行車体が自動旋回しており、かつ前記スリップ量が所定スリップ量よりも小さい場合には、旋回内側の前記車輪をロックする
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作装置を直進位置に保持し、走行車体を自動直進走行させる作業車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-24541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、圃場を走行する場合には、圃場の状態によって走行車体の進行方向が変化するため、操舵量に対する実際の走行車体の進行方向にずれが生じるおそれがある。そのため、所望する進行方向と、実際の進行方向とにずれが生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、進行方向を安定させて走行可能な作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の一態様に係る作業車両は、走行車体の操舵量を調整するステアリング装置と、ステアリング装置を回動させるモータと、モータを制御する制御装置とを備える。制御装置は、走行車体が自動旋回をする場合には、ステアリング装置の操作量を所定操作量とし、旋回開始から所定の方位となるまでの車輪のスリップ量を算出し、スリップ量に基づいて、走行車体が次工程の直進走行経路に合うようにモータを制御することでステアリング装置を制御する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、作業車両は、進行方向を安定させて走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、作業車両を示す側面図である。
図2図2は、作業車両を示す平面図である。
図3図3は、苗移植機の制御装置を中心とした制御系を示すブロック図である。
図4図4は、苗移植機の圃場における自律走行の説明図である。
図5図5は、第1実施形態に係る自動旋回処理を説明するフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態に係る自動旋回処理を説明するフローチャートである。
図7図7は、苗移植機の概略を示す側面図である。
図8図8は、補助部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
<作業車両の概要>
まず、図1および図2を参照して第1実施形態に係る作業車両1の概要について説明する。図1は、作業車両1を示す側面図である。図2は、作業車両1を示す平面図である。
【0010】
なお、以下の説明では、前後方向とは、作業車両1の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定する。作業車両1の進行方向とは、直進時において、操縦席41からハンドル35(ステアリング装置)に向かう方向である(図1および図2参照)。
【0011】
左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向であり、「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、操縦者(作業者ともいう)が操縦席41に着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。
【0012】
上下方向とは、鉛直方向である。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交する。各方向は説明の便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
実施形態では、作業車両を、圃場作業装置として苗植付部4を備え、圃場に苗を受け付ける乗用型の苗移植機1として説明する。図1および図2に示すように、苗移植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク機構3を介して、圃場に苗を植え付ける昇降可能な苗植付部4を備える。
【0014】
走行車体2の後部上側には施肥装置5の本体部分が配置される。なお、作業車両が苗移植機1ではない場合、種子を供給する播種装置などを作業装置として備える場合がある。
【0015】
走行車体2は、車輪であり駆動輪である、左右の前輪10および後輪11を備える四輪駆動車両である。走行車体2の車体骨格を構成するメインフレーム15の前側には、苗植付部4などに駆動力を伝達するミッションケース13と、エンジン30から供給される駆動力、すなわち、エンジン30で発生した回転をミッションケース13に出力する油圧式の無段変速装置14とが設けられる。
【0016】
無段変速装置14は、いわゆるHST(Hydro Static Transmission)と呼ばれる静油圧式の無段変速機である。以下では、無段変速装置がHST14である場合を説明する。
【0017】
ミッションケース13内には、高速モードでの路上走行時や、低速モードでの苗の植え付け時などにおける走行車体2の走行モードを切り替える副変速機構16が設けられる。ミッションケース13の左右側方には、前輪ファイナルケース10aが設けられ、左右の前輪ファイナルケース10aの操向方向を変更可能な前輪支持部からそれぞれ外向きに突出する左右の前車軸10bに前輪10が取り付けられる。
【0018】
また、メインフレーム15の後部側には、横方向に設けられた後部フレーム22(図2参照)の左右両側に後輪ギヤケース11aが取付けられ、後輪ギヤケース11aからそれぞれ外向きに突出する左右の後車軸11bに後輪11がそれぞれ取り付けられる。
【0019】
また、後部フレーム22の上部には、昇降リンク機構3を支持する左右のリンク支持フレーム23が上方に向けて突設される。左右のリンク支持フレーム23の下部側で、かつ、左右の間には、左右一対のロワリンクアーム24が設けられる。左右のロワリンクアーム24の左右の間に、油圧により作動する昇降シリンダ25が設けられる。
【0020】
昇降シリンダ25の上方には、アッパリンクアーム26が設けられ、平行リンク機構である昇降リンク機構3が構成される。なお、それぞれ一端が走行車体2側に連結された、左右のロワリンクアーム24と、昇降シリンダ25と、アッパリンクアーム26の他端側とは、苗植付部4の前部に装着される。
【0021】
また、メインフレーム15上には、エンジン30が搭載される。エンジン30の回転動力が、ベルト伝動装置21およびHST14を介してミッションケース13に伝達される。ミッションケース13に伝達された回転動力は、ミッションケース13内の副変速機構16により変速された後、走行動力と外部取り出し動力に分けられる。
【0022】
また、エンジン30の回転動力は、図示しない油圧ポンプに伝達される。油圧ポンプで発生した油圧は、HST14や、ハンドル35のパワーステアリング機構88(図3参照)や、昇降シリンダ25などに供給される。
【0023】
ミッションケース13に伝達された回転動力から取り出される外部取り出し動力は、走行車体2の後部に設けられた植付クラッチケース27に伝達され、植付クラッチケース27から植付伝動軸67によって苗植付部4に伝達される。
【0024】
一方、ミッションケース13の後部には、左右のドライブシャフト42が設けられる。エンジン30からの回転動力は、ミッションケース13およびドライブシャフト42を介して左右の後輪ギヤケース11aに伝動される。
【0025】
なお、左右のドライブシャフト42よりも伝動方向上手側には、左右のドライブシャフト42に対する動力伝達を入切するサイドクラッチ44(図3参照)が配置される。図1に示すように、操縦席41の前側下部であり、かつ、左右一側には、左右のサイドクラッチ44を入切操作するサイドクラッチペダル43aが設けられる。
【0026】
左右のサイドクラッチペダル43aのうち、旋回内側のサイドクラッチペダル43aを踏み込んでサイドクラッチ44を切状態にしてからハンドル35を操作して旋回走行すると、旋回内側の後輪11の駆動回転を完全に遮断することができる。
【0027】
走行車体2の前側上部には、各部の操作を行う操縦パネル38を上部に配置されたボンネット39が設けられる。操縦パネル38には、モニタ86(図3参照)などが設けられる。
【0028】
また、ボンネット39には、走行車体2を操舵するハンドル35、HST14や苗植付部4を操作する変速操作レバー36、副変速機構16を操作する副変速操作レバー37などが設けられる。
【0029】
また、ボンネット39の前側には、開閉可能なフロントカバー40が設けられる。フロントカバー40の内部には、燃料タンクやバッテリ、ハンドル35の操舵に左右の前輪10および左右の前輪ファイナルケース10aの下部側を回動させる連動機構が設けられる。
【0030】
ボンネット39よりも後側で、かつ、エンジン30の上方位置には、エンジン30の上部および側部を覆うエンジンカバー30aが設けられ、エンジンカバー30aの上部には操縦者が着席する操縦席41が設けられる。
【0031】
操縦席41の後側であって、メインフレーム15の後端側には、施肥装置5が設けられる。施肥装置5の駆動力は、左右の後輪ギヤケース11aの左右一側から施肥装置5に臨むように設けられる、施肥伝動機構によって伝達される。
【0032】
エンジンカバー30aおよびボンネット39の下部における左右両側は、略水平なフロアステップ33が形成される。フロアステップ33は、図2に示すように、一部格子状であり、たとえば、フロアステップ33を歩く操縦者の靴などについた泥が落ちても、落ちた泥などが圃場に落下する。
【0033】
また、フロアステップ33の後方には、図2に示すように、リヤステップ330が連接される。リヤステップ330の表面には、作業時に足が滑りにくくなるように、たとえば、複数の突起パターンが形成された滑り止め加工が施されることが好ましい。
【0034】
また、走行車体2の前側であり、かつ、左右両側には、苗枠支柱51に複数の予備苗載せ台52を上下方向に間隔を空けて配置する予備苗枠50がそれぞれ設けられ、苗植付部4に補充される苗や肥料袋などの作業資材が載置可能となっている。
【0035】
また、昇降リンク機構3の後端部には、圃場に植え付ける苗を積載する苗タンク53が、左右方向に摺動させる摺動機構と共に装着されている。苗タンク53には、上下方向に長い苗仕切フェンス54を左右方向に所定間隔を空けてそれぞれ配置される。苗タンク53の下方には、積載された苗を掻き取って圃場に植え付ける苗植付装置55が配置される。
【0036】
苗植付装置55は、苗仕切フェンス54により区切られた植付作業条数と同数、すなわち、8条同時に植え付けるものであり、植付伝動ケース56が苗タンク53の下方に間隔を空けて4つ配置され、植付伝動ケース56の左右両側に回転しながら植込杆58により苗を取って圃場に植え付ける植付ロータリ57がそれぞれ装着される。
【0037】
施肥装置5は、肥料が貯留される施肥ホッパ70が、苗植付部4の作業条数と同数(図2に示す例では、8条分)に仕切られている。なお、8条分の施肥ホッパ70は、左右方向に長いため肥料の投入や着脱の利便性が低下するので、4条ずつに仕切られたものを左右にそれぞれ並べる、いわゆるサイド施肥構造であってもよい。
【0038】
施肥ホッパ70の下部には、肥料を設定量ずつ供給する繰出装置71が1条ごとに設けられる。繰出装置71の下方には、肥料を移動させる搬送風が通過する通風ダクト72が左右方向に設けられる。繰出装置71の下方には、苗植付部4の苗植付位置の近傍に肥料を案内する施肥ホース73が設けられる。また、通風ダクト72の一側端部には、ブロア用電動モータ76により作動して搬送風を発生するブロア74が設けられる。
【0039】
図1および図2に示すように、苗植付部4の下方には、圃場面に接地して滑走するセンターフロート62Cと、左右2つずつのサイドフロート62L、62Rとが、軸まわりに回動自在に設けられる。なお、センターフロート62Cおよび左右のサイドフロート62L、62Rを総称してフロート62という場合がある。
【0040】
また、苗植付部4の下方において、フロート62よりも前側には、圃場面の凹凸を整地する整地ロータ63が設けられる。など、整地ロータ63には、左右他側の後輪ギヤケース11aからロータ伝動シャフト63aを介して駆動力が伝達される。
【0041】
また、図1に示すように、苗植付部4の左右両側には、左右いずれか一方が圃場面に接地して、次の作業条(次工程)における走行の目安とする溝を形成する線引きマーカ65がそれぞれ設けられる。左右の線引きマーカ65は、左右一側が接地すると他側が上方に離間し、旋回時に苗植付部4を上昇させたときには左右両側共に上方に離間し、旋回後に苗植付部4が下降すると、左右一側が上方に離間して他側が接地する。
【0042】
また、図1および図2に示すように、走行車体2の左右中央部であり、かつ、ボンネット39の前方には、上下方向に長いセンターマスコット66が設けられる。センターマスコット66を左右の線引きマーカ65により圃場に形成された溝に合わせることにより、直前の作業条の作業位置に合わせた走行が可能になり、作業精度の向上や、非作業の発生防止を図ることができる。
【0043】
なお、圃場の土質によっては、左右の線引きマーカ65により形成されたガイド線がすぐに埋もれてしまい、直進の目安が消えてしまうことがある。このような場合には、左右の線引きマーカ65よりも前側に設けられた左右のサイドマーカ19を用いるとよい。すなわち、左右のサイドマーカ19を外側方向に移動させ、植え付けられた苗の上方にサイドマーカ19を位置させることで、前の作業条の苗の植え付けに合わせた植付作業が可能になる。
【0044】
また、図1に示すように、苗移植機1は、位置取得装置150(位置情報取得装置、方位取得装置)を備える。位置取得装置150は、苗移植機1の現在の位置、および方位を取得する。位置取得装置150は、例えば、方位センサや、GPS(Global Positioning System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)などの測位手段を含む。位置取得装置150は、複数の装置によって構成されてもよい。位置取得装置150は、カメラや、超音波センサを含んでもよく、圃場における旋回位置を取得し、旋回位置までの距離を検出してもよい。
【0045】
例えば、位置取得装置150は、測位手段から測位情報を受け取り、受け取った測位情報に基づいて走行車体2の現在の位置情報、および方位情報を作成し、現在の位置、および方位を取得する。位置取得装置150は、たとえば、取付ステー59に取り付けられ、走行車体2の上方に配置される。
【0046】
位置取得装置150による位置情報に基づいて作成される、直進制御用プログラムと、旋回制御用プログラムとは、互いに別の場所に格納される。直進制御用プログラムは、たとえば、位置取得装置150内の直進制御用ECU(Electronic Control Unit)100aに格納され、旋回制御用プログラムは、たとえば、ボンネット39に収容された旋回制御用ECU100bに格納される。なお、直進制御用ECU100aおよび旋回制御用ECU100bは、後述する制御装置100(図3参照)に含まれる。直進制御用ECU100aおよび旋回制御用ECU100bは、同一のECUに格納されてもよい。
【0047】
<苗移植機の制御系>
次に、図3を参照して苗移植機1の制御系について説明する。図3は、苗移植機1の制御装置100を中心とした制御系を示すブロック図である。苗移植機1は、電子制御によって各部を制御することが可能なものであり、各部を制御する制御装置(以下、コントローラという。)100を備える。
【0048】
コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶部、さらには入出力部が設けられ、これらは、互いに接続されて互いに信号の受け渡しが可能である。記憶部には、苗移植機1を制御するコンピュータプログラムなどが格納される。コントローラ100は、記憶部に格納されたコンピュータプログラムなどを読み出すことで、各機能を発揮させる。
【0049】
コントローラ100には、たとえば、アクチュエータ類として、スロットルモータ80、油圧制御弁81,82、植付クラッチ作動ソレノイド83、サイドクラッチ作動ソレノイド84、HST14モータ85、線引きマーカ昇降モータ87、ステアリングモータ95(モータ)、デフロック切替モータ96などが接続される。
【0050】
スロットルモータ80は、エンジン30の吸気量を調節するスロットルを作動させることにより、エンジン30の出力軸の回転数を増減させる。油圧制御弁81は、昇降シリンダ25の伸縮動作を制御する。油圧制御弁82は、パワーステアリング機構88を制御する。植付クラッチ作動ソレノイド83は、植付クラッチ27aを作動させる。
【0051】
サイドクラッチ作動ソレノイド84は、後輪11(図1参照)への動力伝達状態を切り替えるサイドクラッチ44を作動させる。なお、サイドクラッチ44は、左右の後輪11にそれぞれ設けられ、サイドクラッチ作動ソレノイド84は、各サイドクラッチ44に対応して2つ設けられる。
【0052】
HST14モータ85は、HST14のトラニオンの回動角度を変更することで、HST14の斜板の傾斜角を変更する。ステアリングモータ95は、自動旋回制御が行われる場合に、前輪10(図1参照)の操舵量(舵角)を調整するステアリング装置であるハンドル35を駆動するモータである。ステアリングモータ95は、ハンドル35を回動させる。線引きマーカ昇降モータ87は、線引きマーカ65を昇降させる。
【0053】
デフロック切替モータ96は、左右の走行車輪、具体的には、左右の前輪10を同じ回転速度で回転させるデファレンシャルロック機構97(以下、デフロック機構(同速回転機構)と称する。)の作動、および作動停止を切り替えるモータである。デフロック機構97が入り状態になることで、左右の走行車輪が同じ回転速度で回転する。
【0054】
コントローラ100には、検出装置である、回転数センサ90、操舵量センサ91、傾斜センサ92などが接続される。回転数センサ90は、左右の後輪11に対応して2つ設けられ、左右の後輪11の回転数をそれぞれ検出する。なお、回転数センサ90は、左右の前輪10の回転数を検出してもよい。
【0055】
操舵量センサ91は、ステアリング装置であるハンドル35の操作量、すなわち、前輪10の操舵量(舵角)を検出する。なお、操舵量は、ハンドル35の操作量がゼロの場合を基準位置として、すなわち、走行車体2の直進走行時を基準位置として、左右方向それぞれに検出される。傾斜センサ92は、走行車体2の傾きである傾斜角を検出する。
【0056】
また、コントローラ100には、操作信号として、変速操作レバー36、副変速操作レバー37、モード切替スイッチ46、植付部昇降スイッチ47、自動旋回切替スイッチ48、線引きマーカ自動昇降スイッチ49などから信号が入力される。
【0057】
モード切替スイッチ46は、自動旋回を可能とするか否かを切り替えるスイッチである。具体的には、モード切替スイッチ46は、走行モードを第1モード、または第2モードに切り替えるスイッチである。
【0058】
第1モードは、所定の旋回位置で走行車体2を停止させるモードである。所定の旋回位置は、例えば、後述する自動直進モードにおける自動直進の終了位置である。
【0059】
第2モードは、所定の旋回位置よりも、所定距離手前から、所定の旋回位置までの間に、苗植付部4が作業状態から非作業状態となった場合に、自動旋回を開始するモードである。所定距離は、予め設定された距離である。
【0060】
植付部昇降スイッチ47は、苗植付部4を昇降させるか否かを切り替えるスイッチである。植付部昇降スイッチ47は、「上昇」、および「降下」位置に変更される。
【0061】
植付部昇降スイッチ47が「上昇」位置にある場合には、苗植付部4は、所定の非作業位置まで上昇し、苗植付装置55が停止する非作業状態となる。植付部昇降スイッチ47が「降下」位置にある場合には、苗植付部4は、所定の作業位置まで降下し、苗植付装置55が作動する作業状態となる。すなわち、植付部昇降スイッチ47は、苗植付部4の作業状態を検知するスイッチである。なお、苗植付部4の作業状態を検知するスイッチが別途設けられてもよい。
【0062】
線引きマーカ自動昇降スイッチ49は、ハンドル35の操作量、すなわち、前輪10の操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させるか否かを切り替えるスイッチである。線引きマーカ自動昇降スイッチ49が「ON」の場合には、操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させる制御が実行される。一方、線引きマーカ自動昇降スイッチ49が「OFF」の場合には、操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させる制御は、実行されない。
【0063】
自動旋回切替スイッチ48は、自動旋回の実行を可能とするか否かを切り替えるスイッチである。自動旋回切替スイッチ48が「ON」にされている場合には、自動旋回を実行可能となる。自動旋回切替スイッチ48が「OFF」にされている場合には、自動旋回を実行不能となる。自動旋回切替スイッチ48が「OFF」にされている場合には、自動旋回を実行する条件が成立している場合であっても、自動旋回は実行されない。
【0064】
また、コントローラ100には、位置取得装置150から走行車体2の現在の位置情報などが入力される。コントローラ100は、走行車体2が自動で走行しながら作業を行う自律走行モードを実行する。
【0065】
<自律走行モード>
ここで、図4を参照して、苗移植機1による、圃場における自動旋回を含む自律走行(自動走行)について説明する。図4は、苗移植機1の圃場における自律走行の説明図である。コントローラ100(図3参照)は、前輪10(図1参照)の操舵量をフィードバックしながらステアリングモータ95(図3参照)を制御してハンドル35(図3参照)を操作する自律走行モードを有する。自律走行モードは、自動直進モードと、自動旋回モードとを含む。
【0066】
図4に示すように、自律走行モードにおいては、苗移植機1は、圃場において、予定走行経路に沿って直進および旋回を繰り返しながら苗の植え付け作業を自動で行う。なお、コントローラ100は、上記したように、走行車体2の上方に配置された位置取得装置150によって苗移植機1の現在の位置情報や、旋回位置に関する情報を取得する。
【0067】
苗移植機1は、圃場における所定の作業エリア内を往復しながら、苗の植付を行う。この場合、直進走行については、コントローラ100が自動直進モードを実行することにより、設定された直進走行経路L1に沿って自動走行を行う。また、旋回走行については、コントローラ100が自動旋回モードを実行することにより、旋回走行経路L2に沿った自動旋回が実行される。
【0068】
直進走行経路L1は、走行基準となる基準線L0に対して平行である。基準線L0は、苗の植え付け方向にあわせて、圃場において設定される。コントローラ100は、直進走行の開始位置および終了位置をそれぞれ基準始点(A点)および基準終点(B点)として取得し、A点およびB点を結ぶ線分を基準線L0として記憶する。
【0069】
コントローラ100は、苗移植機1の旋回中において、ハンドル35の操舵量が所定の操舵量になるようにステアリングモータ95を制御する。この場合、コントローラ100は、位置取得装置150が取得した位置情報に関わらず処理を実行する。所定の操舵量は、予め設定された値である。所定の操舵量は、苗移植機1の種類などによって設定される。所定の操舵量は、自動旋回から自動直進への受け渡しがスムーズに行われるように設定される。
【0070】
自動旋回後の苗移植機1の位置が、次工程の自動直進の直進走行経路L1からずれている場合には、自動旋回後に、次工程の自動直進の直進走行経路L1に合うように調整が行われ、走行車体2のぶれが大きくなる。また、例えば、次工程の自動直進の直進走行経路L1に合うように、作業者がハンドル35を操作し、条合わせを行わなければならず、作業者の負荷が大きくなる。また、苗移植機1の走行姿勢が崩れずおそれがある。このような点に鑑み、所定の操舵量は、自動旋回から自動直進への受け渡しがスムーズに行われるように設定される。
【0071】
なお、コントローラ100は、苗移植機1の旋回中において、位置取得装置150が取得した位置情報に基づいて、設定された旋回走行経路L2上のいずれか所望の位置に苗移植機1が到達するようステアリングモータ95を制御してもよい。また、コントローラ100は、上記した2つの自動旋回モードを組み合わせて自動旋回を行ってもよい。
【0072】
コントローラ100は、自動旋回によって旋回した後に、次工程の自動直進による植え付け開始位置に苗移植機1が到達するようにステアリングモータ95を制御する。
【0073】
コントローラ100は、走行車体2の走行中、例えば、自動走行中に車輪のスリップ量を算出する。コントローラ100は、回転数センサ90によって検出される後輪11の回転数と、位置取得装置150によって取得される走行車体2の位置情報とに基づいて、スリップ量を算出する。
【0074】
具体的には、コントローラ100は、回転数に基づいて算出される走行車体2の車速と、位置情報に基づいて算出される走行車体2の車速(実車速)との差(ずれ)を算出し、算出した差に基づいて車輪のスリップ量を算出する。なお、スリップ量は、スリップ率であってもよい。例えば、スリップ量は、回転数に基づいて算出される走行車体2の車速と、位置情報に基づいて算出される走行車体2の車速との比率であってもよい。車輪のスリップ量は、前輪10の回転数に基づいて算出されてもよい。また、車輪のスリップ量は、旋回内側の車輪の回転数に基づいて算出されてもよく、旋回外側の車輪の回転数に基づいて算出されてもよい。
【0075】
コントローラ100は、モード切替スイッチ46によって走行モードが第2走行モードにされており、走行車体2が所定の旋回位置よりも、所定距離手前から、所定の旋回位置までの間に苗植付部4が作業状態から非作業状態となった場合に、自動旋回条件を満たすと判定し、自動旋回を開始させる。
【0076】
なお、所定の旋回位置よりも、所定距離手前となっているか否かの判定は、位置取得装置150によって取得される位置情報や、今回の作業工程における走行距離などに基づいて行われる。
【0077】
<自動旋回処理>
次に、第1実施形態に係る自動旋回処理について図5のフローチャートを用いて説明する。図5は、第1実施形態に係る自動旋回処理を説明するフローチャートである。ここでは、自動旋回切替スイッチ48が「ON」にされているものとする。
【0078】
コントローラ100は、自動旋回条件を満たすか否かを判定する(S100)。コントローラ100は、自動旋回条件を満たさない場合には(S100:No)、今回の処理を終了する。
【0079】
コントローラ100は、自動旋回条件を満たす場合には(S100:Yes)、自動旋回を開始する(S101)。具体的には、コントローラ100は、ハンドル35の操舵量が所定の操舵値となるように制御し、自動旋回を開始する。
【0080】
コントローラ100は、走行車体2の方位が所定方位となったか否かを判定する(S102)。所定方位は、各旋回時に設定される方位であり、各旋回開始位置に対して設定される。所定方位は、走行車体2が次工程の直進走行経路L1に合うように、ハンドル35の操舵を調整可能とする位置(方位)である。所定方位は、旋回開始位置の方位を基準にして設定される。
【0081】
コントローラ100は、走行車体2の方位が所定方位となっていない場合には(S102:No)、走行車体2の方位が所定方位となるまで自動旋回を継続する(S102)。コントローラ100は、ハンドル35の操舵量を所定の操舵値に維持して自動旋回を継続する。
【0082】
コントローラ100は、走行車体2の方位が所定方位になった場合には(S102:Yes)、旋回開始から所定方位となるまでのスリップ量を算出する(S103)。
【0083】
コントローラ100は、ハンドル35の操舵を調整する(S104)。コントローラ100は、算出したスリップ量に基づいてハンドル35の操舵を調整する。具体的には、コントローラ100は、スリップ量に基づいて、走行車体2が次工程の直進走行経路L1に合うようにハンドル35の操舵量を算出する。
【0084】
具体的には、コントローラ100は、自動旋回から、自動直進への受け渡しがスムーズに行われ、走行車体2のぶれなどが低減するように、ハンドル35の操舵量を算出する。そして、コントローラ100は、算出した操舵量に応じてハンドル35の操舵量を調整する。すなわち、コントローラ100は、所定の操舵量によって自動旋回する場合の旋回経路に対し、旋回経路を補正する。
【0085】
例えば、コントローラ100は、スリップ量が第1所定スリップ量よりも小さい場合には、走行車体2が所望する旋回経路よりも大回りしていると判定し、ハンドル35の操舵を調整する。なお、所望する旋回経路とは、自動旋回から自動直進への受け渡しがスムーズに行われる旋回経路である。第1所定スリップ量は、自動旋回時に走行車体2が所望する走行経路を走行していると判定可能なスリップ範囲の下限値である。例えば、第1所定スリップ量は、同じ圃場における自動直進時に算出されたスリップ量に基づいて設定される。
【0086】
コントローラ100は、スリップ量が第1所定スリップ量よりも小さい場合には、例えば、ハンドル35の操舵量を大きくする。すなわち、コントローラ100は、ハンドル35の操舵角を所定の操舵値に対応する操舵角よりも大きくする。これにより、ハンドル35の操舵量が大きくされた走行車体2は、ハンドル35の操舵量を大きくしない場合の旋回半径よりも小さい旋回半径によって旋回するようになる。すなわち、走行車体2は、現在の旋回経路よりも旋回半径が小さくなるように旋回経路が補正されて、自動旋回する。これにより、走行車体2は、次工程の直進走行経路L1に合うように走行する。
【0087】
コントローラ100は、スリップ量が第1所定スリップ量よりも小さい場合にはスリップ量が小さいほど、走行車体2の旋回半径が小さくなるように、ハンドル35の操舵量を大きくする。
【0088】
コントローラ100は、スリップ量が第2所定スリップ量よりも大きい場合には、走行車体2が所望する旋回経路よりも小回りしていると判定し、ハンドル35の操舵を調整する。第2所定スリップ量は、自動旋回時に走行車体2が所望する走行経路を走行していると判定可能なスリップ範囲の上限値である。例えば、第2所定スリップ量は、同じ圃場における自動直進時に算出されたスリップ量に基づいて設定される。第2所定スリップ量は、第1所定スリップ量よりも大きい。
【0089】
コントローラ100は、スリップ量が第2所定スリップ量よりも大きい場合には、例えば、ハンドル35の操舵量を小さくする。すなわち、コントローラ100は、ハンドル35の操舵角を所定の操舵値に対応する操舵角よりも小さくする。これにより、ハンドル35の操舵量が小さくされた走行車体2は、ハンドル35の操舵量を小さくしない場合の旋回半径よりも大きい旋回半径によって旋回するようになる。すなわち、走行車体2は、現在の旋回経路よりも旋回半径が大きくなるように旋回経路が補正されて、自動旋回する。これにより、走行車体2は、次工程の直進走行経路L1に合うように走行する。
【0090】
コントローラ100は、スリップ量が第2所定スリップ量よりも大きい場合には、スリップ量が大きくなるほど、走行車体2の旋回半径が大きくなるように、ハンドル35の操舵量を小さくする。
【0091】
コントローラ100は、スリップ量が第1所定スリップ量以上であり、かつ第2所定スリップ量以下である場合には、上記するハンドル35の操舵を調整せずに、自動旋回を行う。すなわち、コントローラ100は、ハンドル35の操舵量を所定の操舵値に維持して自動旋回を継続する。
【0092】
なお、ハンドル35の操舵の調整方法は、ハンドル35の操舵量に限られず、ハンドル35の操作速度などが含まれてもよい。例えば、コントローラ100は、走行車体2が小回りになっている場合にはハンドル35の戻し速度を遅くし、走行車体2が大回りになっている場合にはハンドル35の戻し速度を早くする。
【0093】
コントローラ100は、戻しタイミングとなったか否かを判定する(S105)。例えば、コントローラ100は、走行車体2の方位と、次工程の直進走行経路L1における方位との差が、ハンドル戻し角度以下になると戻しタイミングになったと判定する。ハンドル戻し角度は、予め設定された角度である。ハンドル戻し角度は、作業者などによって設定可能であってもよい。
【0094】
コントローラ100は、戻しタイミングになっていない場合には(S105:No)、自動旋回を継続する(S104)。コントローラ100は、戻しタイミングになった場合には(S105:Yes)、ハンドル35を基準位置に戻す(S106)。
【0095】
ハンドル35の操舵を調整する方法は、上記方法に限られない。例えば、ハンドル35の操舵を調整する方法は、ハンドル35を基準位置に戻すタイミングであってよい。例えば、コントローラ100は、ハンドル35を戻し始めるタイミングを遅らせて、旋回半径が小さくなるように旋回経路を補正し、自動旋回を行ってもよい。
【0096】
なお、コントローラ100は、例えば、旋回内側の後輪11にブレーキをかけたり、ロックしたりすることによって、旋回半径が小さくなるように旋回経路を補正し、自動旋回を行ってもよい。これにより、苗移植機1は、簡易な制御によって精度の高い自動旋回を行うことができる。
【0097】
また、コントローラ100は、ハンドル35を戻し始めるタイミングを早めて、旋回半径が大きくなるように旋回経路を補正し、自動旋回を行ってもよい。なお、例えば、旋回時に後輪11内側のサイドクラッチ44が切り状態となっている場合には、コントローラ100は、後輪11内側のサイドクラッチ44を入り状態にし、旋回半径が大きくなるように旋回経路を補正し、自動旋回を行ってもよい。
【0098】
また、コントローラ100は、自動旋回における車速を変更することによって、旋回経路を補正してもよい。例えば、コントローラ100は、走行車体2が所望する旋回経路よりも小回りしている場合には、車速を低くし、旋回経路を補正し、自動旋回を行う。また、コントローラ100は、走行車体2が所望する旋回経路よりも大回りしている場合には、車速を高くし、旋回経路を補正し、自動旋回を行う。
【0099】
コントローラ100は、走行車体2のホイルベースを加味して、走行車体2が小回り、または大回りしていると判定する際の後輪11の回転数センサ90の範囲を変更してもよい。また、コントローラ100は、型式毎の条間を加味して、走行車体2が小回り、または大回りしていると判定する際の後輪11の回転数センサ90の範囲を変更してもよい。また、コントローラ100は、車輪の径や、種類を加味して、走行車体2が小回り、または大回りしていると判定する際の後輪11の回転数センサ90の範囲を変更してもよい。
【0100】
また、コントローラ100は、走行車体2が小回り、または大回りしている場合に、ハンドル35の操舵を調整するための、例えば、ハンドル35の操舵量を、走行車体2のホイルベースを加味して変更してもよい。コントローラ100は、走行車体2が小回り、または大回りしている場合に、ハンドル35の操舵を調整するための、例えば、ハンドル35の操舵量を、型式毎の条間を加味して変更してもよい。コントローラ100は、走行車体2が小回り、または大回りしている場合に、ハンドル35の操舵を調整するための、例えば、ハンドル35の操舵量を、車輪の径や、種類を加味して変更してもよい。
【0101】
また、コントローラ100は、ハンドル戻し角度を、走行車体2の条数や、車速に応じて変更してもよい。コントローラ100は、ハンドル戻し角度を、走行車体2のホイルベースを加味して変更してもよい。コントローラ100は、ハンドル戻し角度を、型式毎の条間を加味して変更してもよい。コントローラ100は、ハンドル戻し角度を、車輪の径や、種類を加味して変更してもよい。
【0102】
以上、自動旋回におけるハンドル35の操舵について説明したが、自動直進におけるハンドル35の操舵に適用されてもよい。
【0103】
コントローラ100は、自動直進におけるスリップ量に基づいて、ハンドル35の操舵を調整してもよい。コントローラ100は、例えば、スリップ量が増加するほどハンドル35の操舵量を小さくする。コントローラ100は、自動直進において、走行車体2が直進走行経路L1からずれた場合に、例えば、ハンドル35の操舵量を、スリップ量が増加するほど小さくする。例えば、スリップ量が「P1」、および「P2」であり、「P2」が「P1」よりも大きい場合には、スリップ量P2に対応するハンドル35の操舵量H2は、スリップ量P1に対応するハンドル35の操舵量H1よりも小さい。
【0104】
圃場がスリップし易く、スリップ量が大きい場合には、ハンドル35による操作の影響を受け易く、走行車体2の左右方向におけるふらつきが大きくなり、苗移植機1の直進走行性が低下するおそれがある。
【0105】
そこで、コントローラ100は、例えば、スリップ量が増加するほどハンドル35の操舵量を小さくする。これにより、コントローラ100は、苗移植機1の自動直進における直進走行性を向上させることができる。また、コントローラ100は、自動直進における苗移植機1の走行姿勢を安定させ、安全性を向上させることができる。
【0106】
なお、コントローラ100は、自動直進におけるスリップ量を、所定走行距離毎に算出してもよい。この場合、例えば、コントローラ100は、ハンドル35の操舵を調整する直前に算出されたスリップ量に基づいてハンドル35の操舵を調整する。また、コントローラ100は、ハンドル35の操舵を調整する直前に算出された複数のスリップ量の平均値に基づいてハンドル35の操舵を調整してもよい。これにより、コントローラ100は、苗移植機1の自動直進における直進走行性を向上させることができる。また、コントローラ100は、自動直進における苗移植機1の走行姿勢を安定させ、安全性を向上させることができる。
【0107】
<効果>
次に、第1実施形態に係る苗移植機1(作業車両)の効果について説明する。
【0108】
苗移植機1は、ハンドル35と、ステアリングモータ95と、コントローラ100とを備える。ハンドル35は、走行車体2の操舵量を調整する。ステアリングモータ95は、ハンドル35を回動させる。コントローラ100は、ステアリングモータ95を制御する。コントローラ100は、車輪のスリップ量に基づいてステアリングモータ95を制御することでハンドル35を制御する。
【0109】
これにより、苗移植機1は、例えば、自動旋回モードによって自動旋回を行う場合に、車輪のスリップ量に基づいて旋回経路を補正することができ、精度の高い自動旋回を行うことができる。すなわち、苗移植機1は、進行方向を安定させて走行させることができる。
【0110】
また、苗移植機1は、自動旋回から自動直進へ移行する際に、自動旋回から自動直進への受け渡しをスムーズ行うことができる。そのため、苗移植機1は、自動旋回から自動直進へ移行する際に、苗移植機1の走行姿勢を安定させ、安全性を向上させることができる。
【0111】
また、苗移植機1は、自動旋回における旋回経路を事前に設定せずに、簡易な制御で自動旋回を実行することができる。
【0112】
苗移植機1は、位置取得装置150を備える。位置取得装置150は、測位手段から受信する情報に基づいて走行車体2の現在の位置情報を取得する。コントローラ100は、車輪の回転数に基づいて算出された車速と、位置取得装置150によって取得された情報に基づいて算出された走行車体2の実車速との差に基づいて、スリップ量を算出する。
【0113】
これにより、苗移植機1は、スリップ量を正確に算出することができる。そのため、苗移植機1は、例えば、自動旋回モードによって自動旋回を行う場合に、精度の高い自動旋回を行うことができる。
【0114】
コントローラ100は、走行車体2が自動直進している場合には、スリップ量が増加するほどハンドル35の操作を小さくする。
【0115】
これにより、苗移植機1は、自動直進モードによって直進する場合に、スリップ量に応じたハンドル操作を行う。苗移植機1は、圃場がスリップし易い場合に、例えば、ハンドル35の操舵量が大きく変化して走行車体2がぶれることを抑制することができる。そのため、苗移植機1は、自動直進モードによって直進する場合に、自動直進における直進走行性を向上させることができる。また、苗移植機1は、自動直進における走行姿勢を安定させ、安全性を向上させることができる。
【0116】
コントローラ100は、走行車体2が自動直進している場合には、スリップ量を所定走行距離毎に算出する。
【0117】
これにより、苗移植機1は、例えば、ハンドル35の操作量を調整する際に、直前の圃場におけるスリップ量に基づいてハンドル35の操作量を調整することができる。そのため、苗移植機1は、圃場の場所に応じて変化するスリップ量に対応してハンドル35の操作量を調整することができる。従って、苗移植機1は、自動直進モードによって直進する場合に、自動直進における直進走行性を向上させることができる。また、苗移植機1は、自動直進における走行姿勢を安定させ、安全性を向上させることができる。
【0118】
コントローラ100は、走行車体2が自動旋回している場合には、スリップ量が増加するほど走行車体2の旋回半径が大きくなるように、ハンドル35を制御する。
【0119】
これにより、苗移植機1は、自動旋回モードによって旋回する場合に、スリップ量に応じて旋回経路を補正し、所望の旋回経路に沿って旋回することができる。苗移植機1は、例えば、スリップ量が大きく、走行車体2が旋回内側に寄って旋回している場合に、ハンドル35の操作によって、所望の旋回経路に沿って自動旋回することができる。そのため、苗移植機1は、自動旋回モードによって旋回する場合に、精度の高い自動旋回を行うことができる。
【0120】
コントローラ100は、走行車体2が自動旋回走行する場合には、旋回開始から所定の方位となるまでのスリップ量を算出する。
【0121】
これにより、苗移植機1は、旋回開始から、所定の方位となるまでのスリップ量に基づいて、所定の方位となった後の旋回経路を補正することができる。そのため、苗移植機1は、所定の方位となった後の旋回経路を、圃場の状態に合わせて補正し、所望の旋回経路に合わせた自動旋回を行うことができる。従って、苗移植機1は、精度の高い自動旋回を行うことができる。
【0122】
コントローラ100は、走行車体2が自動旋回を開始する場合には、ハンドル35の操作量を所定操作量とし、旋回開始から所定の方位なるまでのスリップ量を算出し、スリップ量に基づいて、走行車体2が次工程の直進走行経路L1に合うようにハンドル35を制御する。
【0123】
これにより、苗移植機1は、自動旋回から自動直進へ移行する際に、自動旋回から自動直進への受け渡しをスムーズ行うことができる。そのため、苗移植機1は、自動旋回から自動直進へ移行する際に、走行姿勢を安定させることができ、安全性を向上させることができる。
【0124】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る苗移植機1について説明する。ここでは、第1実施形態に係る苗移植機1とは異なる箇所を中心に説明し、第1実施形態に係る苗移植機1と同様の構成、および制御についての詳しい説明は省略する。第2実施形態に係る苗移植機1は、自動旋回処理が第1実施形態に係る自動旋回処理と異なっている。
【0125】
<自動旋回処理>
次に、第2実施形態に係る自動旋回処理について図6のフローチャートを用いて説明する。図6は、第2実施形態に係る自動旋回処理を説明するフローチャートである。ここでは、自動旋回切替スイッチ48が「ON」にされているものとする。
【0126】
コントローラ100は、自動旋回条件を満たすか否かを判定する(S200)。コントローラ100は、自動旋回条件を満たさない場合には(S200:No)、今回の処理を終了する。
【0127】
コントローラ100は、自動旋回条件を満たす場合には(S200:Yes)、自動旋回を開始する(S201)。具体的には、コントローラ100は、ハンドル35の操舵量が所定の操舵値となるように制御し、自動旋回を開始する。
【0128】
コントローラ100は、車輪の回転数の計測を開始する(S202)。具体的は、コントローラ100は、旋回開始位置からの車輪の回転数の計測を開始する。例えば、コントローラ100は、旋回内側の後輪11の回転数の計測を開始する。コントローラ100は、旋回外側の後輪11の回転数の計測を開始してもよい。なお、コントローラ100は、前輪10の回転数の計測を開始してもよい。
【0129】
コントローラ100は、走行車体2の方位が所定方位となったか否かを判定する(S203)。コントローラ100は、走行車体2の方位が所定方位となっていない場合には(S203:No)、走行車体2の方位が所定方位となるまで自動旋回を継続する(S203)。コントローラ100は、ハンドル35の操舵量を所定の操舵値に維持して自動旋回を継続する。なお、車輪の回転数の計測も継続される。
【0130】
コントローラ100は、走行車体2の方位が所定方位になった場合には(S203:Yes)、旋回開始から所定方位となるまでの車輪の到達回転数を算出する(S204)。例えば、コントローラ100は、旋回開始から所定方位となるまでの旋回内側の後輪11の到達回転数を算出する。コントローラ100は、旋回外側の後輪11の到達回転数を算出してもよい。なお、コントローラ100は、前輪10の到達回転数を算出してもよい。すなわち、車輪は、前輪10であっても、後輪11であってもよい。
【0131】
コントローラ100は、ハンドル35の操舵を調整する(S205)。コントローラ100は、算出した車輪の到達回転数に基づいてハンドル35の操舵を調整する。具体的には、コントローラ100は、車輪の到達回転数に基づいて、走行車体2が次工程の直進走行経路L1に合うようにハンドル35の操舵量を算出する。そして、コントローラ100は、算出した操舵量に応じてハンドル35の操舵量を調整する。すなわち、コントローラ100は、自動旋回における旋回経路を補正する。
【0132】
例えば、コントローラ100は、車輪の到達回転数が第1所定回転数よりも大きい場合には、走行車体2が所望する旋回経路よりも大回りしている判定し、ハンドル35の操舵を調整する。第1所定回転数は、走行車体2が所望する走行経路を走行していると判定可能な到達回転数の上限値である。第1所定回転数は、予め設定されてもよく、例えば、自動直進時に算出されるスリップ量に基づいて設定されてもよい。
【0133】
コントローラ100は、車輪の到達回転数が第1所定回転数よりも大きい場合には、例えば、ハンドル35の操舵量を大きくする。これにより、ハンドル35の操舵量が大きくされた走行車体2は、ハンドル35の操舵量を大きくしない場合の旋回半径よりも小さい旋回半径によって旋回するようになる。すなわち、走行車体2は、現在の旋回経路よりも旋回半径が小さくなるように旋回経路が補正されて、自動旋回する。これにより、走行車体2は、次工程の直進走行経路L1に合うように走行する。
【0134】
コントローラ100は、車輪の到達回転数が第1所定回転数よりも大きい場合には、車輪の到達回転数が大きくなるほどハンドル35の操作量を大きくする。
【0135】
コントローラ100は、車輪の到達回転数が第2所定回転数よりも小さい場合には、走行車体2が所望する旋回経路よりも小回りしている判定し、ハンドル35の操舵を調整する。第2所定回転数は、走行車体2が所望する走行経路を走行していると判定可能な到達回転数の下限値である。第2所定回転数は、予め設定されてもよく、例えば、自動直進時に算出されるスリップ量に基づいて設定されてもよい。第2所定回転数は、第1所定回転数よりも小さい。
【0136】
コントローラ100は、車輪の到達回転数が第2所定回転数よりも小さい場合には、例えば、ハンドル35の操舵量を小さくする。これにより、ハンドル35の操舵量が小さくされた走行車体2は、ハンドル35の操舵量を小さくしない場合の旋回半径よりも大きい旋回半径によって旋回するようになる。すなわち、走行車体2は、現在の旋回経路よりも旋回半径が大きくなるように旋回経路が補正されて、自動旋回する。これにより、走行車体2は、次工程の直進走行経路L1に合うように走行する。
【0137】
コントローラ100は、車輪の到達回転数が第2所定回転数よりも小さい場合には、車輪の到達回転数が小さくなるほどハンドル35の操作量を小さくする。
【0138】
コントローラ100は、車輪の到達回転数が第1所定回転数以上であり、かつ第2所定回転数以下である場合には、上記するハンドル35の操舵を調整せずに、自動旋回を行う。
【0139】
コントローラ100は、コントローラ100は、戻しタイミングとなったか否かを判定する(S206)。コントローラ100は、戻しタイミングになっていない場合には(S206:No)、自動旋回を継続する(S205)。コントローラ100は、戻しタイミングになった場合には(S206:Yes)、ハンドル35を基準位置に戻す(S207)。
【0140】
<効果>
次に、第2実施形態に係る苗移植機1(作業車両)の効果について説明する。
【0141】
苗移植機1は、苗移植機1は、ハンドル35と、ステアリングモータ95と、位置情報取得装置と、コントローラ100とを備える。ハンドル35は、走行車体2の操舵量を調整する。ステアリングモータ95は、ハンドル35を回動させる。位置情報取得装置は、測位手段から受信する情報に基づいて走行車体2の現在の方位情報を取得する。コントローラ100は、ステアリングモータ95を制御することでハンドル35を制御して自動旋回を行う。コントローラ100は、旋回開始位置に対する走行車体2の方位に基づいて自動旋回を行う。
【0142】
これにより、苗移植機1は、旋回開始位置を基準とした走行車体2の方位に基づいて自動旋回を行うことで、精度の高い自動旋回を行うことができる。また、苗移植機1は、自動旋回から自動直進へ移行する際に、苗移植機1の走行姿勢を安定させ、安全性を向上させることができる。
【0143】
また、苗移植機1は、自動旋回における旋回経路を事前に設定せずに、簡易な制御で自動旋回を実行することができる。
【0144】
コントローラ100は、旋回開始位置から、旋回開始位置に対する走行車体2の方位が所定方位となるまでの走行車体2の車輪の到達回転数に基づいてハンドル35を制御する。
【0145】
これにより、苗移植機1は、各旋回箇所における車輪の回転数に基づいてハンドル35を制御することによって、旋回箇所毎に精度の高い自動旋回を行うことができる。
【0146】
コントローラ100は、到達回転数が第1所定回転数よりも小さい場合には、走行車体2が小回りしていると判定してハンドル35を制御し、自動旋回における旋回経路を補正する。コントローラ100は、到達回転数が第2所定回転数よりも大きい場合には、走行車体2が大回りしていると判定してハンドル35を制御し、自動旋回走おける旋回経路を補正する。第2所定回転数は、第1所定回転数よりも大きい。
【0147】
これにより、苗移植機1は、各旋回箇所における走行車体2の旋回状況に合わせて、ハンドル35を制御し、自動旋回における旋回経路を補正することができる。そのため、苗移植機1は、旋回箇所毎に精度の高い自動旋回を行うことができる。
【0148】
(変形例)
コントローラ100は、走行車体2の車輪の回転数が、旋回開始位置を基準として所定回転数になった場合の走行車体2の方位に基づいてハンドル35の操舵を調整してもよい。所定回転数は、予め設定された回転数である。所定回転数は、走行車体2が次工程の直進走行経路L1に合うように、ハンドル35の操舵を調整可能とする回転数である。所定回転数は、走行車体2の種類などによって設定される。
【0149】
コントローラ100は、所定回転数になった時の走行車体2の方位の変化量が、第1所定変化量よりも小さい場合には、走行車体2が大回りしていると判定して、例えば、ハンドル35の操舵量を調整する。方位の変化量は、旋回開始位置の方位を基準にした変化量である。第1所定変化量は、自動旋回時に走行車体2が所望する走行経路を走行していると判定可能な下限変化量である。
【0150】
また、コントローラ100は、所定回転数になった時の走行車体2の方位の変化量が、第2所定変化量よりも大きい場合には、走行車体2が小回りしていると判定して、例えば、ハンドル35の操舵量を調整する。第2所定変化量は、自動旋回時に走行車体2が所望する走行経路を走行していると判定可能な上限変化量である。第2所定変化量は、第1所定変化量よりも大きい。
【0151】
これにより、苗移植機1は、上記実施形態と同様に、旋回箇所毎に精度の高い自動旋回を行うことができる。
【0152】
また、コントローラ100は、走行車体2の車輪の回転数が、旋回開始位置を基準として所定回転数になった場合に、旋回開始位置から進んだ距離に基づいてハンドル35の操舵を調整してもよい。距離は、回転数と車輪の直径とに基づいて算出される。なお、左右の車輪に対しそれぞれ算出された値の平均値が距離として算出されてもよい。また、上記したスリップ量は、距離に基づいて算出されてもよい。この場合、スリップ量は、車輪の回転数によって算出された距離と、位置情報取得装置によって取得された位置情報に基づいて算出された距離とから算出される。
【0153】
旋回開始位置から進んだ距離が、走行車体2が所望する走行経路を走行していると判定可能な所定距離の下限値よりも小さい場合には、コントローラ100は、旋回半径が大きくなるように旋回経路を補正して、自動旋回する。
【0154】
また、旋回開始位置から進んだ距離が、所定距離の上限値よりも大きい場合には、コントローラ100は、旋回半径が小さくなるように旋回経路を補正して、自動旋回する。
【0155】
コントローラ100は、走行車体2の車輪の回転数が、旋回開始位置を基準として所定回転数になった場合の走行車体2の方位に基づいて、スリップ量を算出してもよい。コントローラ100は、算出したスリップ量に基づいて旋回経路を補正し、自動旋回を行ってもよい。コントローラ100は、所定回転数になった場合の走行車体2の方位と、所望する走行経路において所定回転数となる場合の走行経路の方位とに基づいて、スリップ量を算出する。
【0156】
上記する実施形態において、コントローラ100は、自動旋回時に、走行車体2が大回りしている場合には、デフロック機構97を入り状態にしてもよい。
【0157】
これにより、苗移植機1は、自動旋回における旋回経路を補正し、小回りすることができる。そのため、苗移植機1は、精度の高い自動旋回を行うことができる。
【0158】
また、コントローラ100は、自動旋回時に、走行車体2が大回りしている場合には、デフロック機構97を切り状態にしてもよい。
【0159】
これにより、苗移植機1は、自動旋回における旋回経路を補正し、大回りすることができる。そのため、苗移植機1は、精度の高い自動旋回を行うことができる。
【0160】
コントローラ100は、自動旋回時に、ハンドル35の操作を調整して旋回経路を補正する場合に、ハンドル35の操作が調整された後の実際の旋回経路に基づいて、デフロック機構97の入り状態、切り状態を切り替えてもよい。コントローラ100は、デフロック切替モータ96に対するON-OFFのパルス出力を制御する。
【0161】
コントローラ100は、大回りに対する補正(小回りとなるような補正)を大きくする場合には、デフロック機構97の入り状態の時間を長くする。また、コントローラ100は、デフロック切替モータ96に対するパルス周期を短くしてもよい。
【0162】
コントローラ100は、小回りに対する補正(大回りとなるような補正)を大きくする場合には、デフロック機構97の入り状態の時間を短くする。また、コントローラ100は、デフロック切替モータ96に対するパルス周期を長くしてもよい。
【0163】
これにより、苗移植機1は、精度の高い自動旋回を行うことができる。
【0164】
また、コントローラ100は、自動旋回時に、ポンピングクラッチによるポンピングを作動させることによって、旋回経路を補正してもよい。ポンピングとは、後輪11への駆動力の伝達をON/OFFに繰り返すことである。
【0165】
コントローラ100は、小回りに対する補正(大回りとなるような補正)をする場合に、ポンピングを作動させて、旋回経路を補正する。コントローラ100は、旋回経路が大回りとなる補正を強くしたい場合には、ポンピングの作動時間を長くする。具体的には、コントローラ100は、旋回経路が大回りとなる補正を大きくする場合には、ポンピングのパルスオンタイムを長くする。コントローラ100は、旋回経路が大回りとなる補正を大きくする場合には、ポンピングのパルス周期を短くしてもよい。なお、コントローラ100は、旋回経路が大回りとなる補正を小さくする場合には、ポンピングの作動時間を短くするなどの動作をさせる。
【0166】
また、コントローラ100は、自動旋回時に、左右のサイドクラッチ44を入り状態、および切り状態に切り替えることによって、旋回経路を補正してもよい。
【0167】
コントローラ100は、小回りに対する補正(大回りとなるような補正)をする場合に、サイドクラッチ44を作動させて、旋回経路を補正する。具体的には、コントローラ100は、旋回経路が大回りとなる補正を大きくする場合には、サイドクラッチ44の作動時間(入り状態の時間)を長くする。コントローラ100は、旋回経路が大回りとなる補正を小さくする場合には、サイドクラッチ44のパルスオンタイムを長くしてもよい。コントローラ100は、旋回経路が大回りとなる補正を大きくする場合には、サイドクラッチ44のパルス周期を短くしてもよい。
【0168】
また、コントローラ100は、自動直進における基準始点、および基準終点が取得されていない場合には、自動旋回を禁止する。
【0169】
これにより、コントローラ100は、自動旋回における旋回終了位置が定まっていない状態で、自動旋回を開始することを禁止し、旋回後に次工程の植え付けに対し、走行車体2の位置がずれることを抑制することができる。そのため、苗移植機1は、旋回後の作業者による条合わせの負荷を低減させることができる。
【0170】
コントローラ100は、苗植付部4の昇降位置、および苗植付部4の駆動状態にかかわらず、自動旋回を可能とするモデモードを有してもよい。走行車体2は、例えば、スイッチの切り替えによってデモモードが選択された場合には、デモモードによる自動旋回を実行する。デモモードによる自動旋回は、ハンドル35の操舵量、具体的には、ハンドル35の切り角が、圃場における自動旋回よりも大きくなる。また、コントローラ100は、ハンドル35を戻す際のハンドル35の操舵角を小さくし、旋回走行における旋回半径を小さくする。これは、デモモードが実行される路面は、圃場よりもスリップしないためである。
【0171】
これにより、苗移植機1は、自動旋回における走行状態を、作業者や、見学者などに容易に確認させることができる。例えば、作業者は、圃場以外での自動旋回のテストや、デモンストレーションを容易に行うことができる。また、苗移植機1は、圃場以外で自動旋回を行う場合であっても、正確に自動旋回を行うことができる。
【0172】
なお、デモモードによって自動旋回を行う場合には、苗植付部4の最下げ位置における高さを通常の自動旋回における高さよりも高くする。これにより、デモモードによる自動旋回時に、苗植付部4が路面に接触することを抑制することができる。また、苗移植機1は、苗植付部4が路面に接触すること抑制するための支持部材や、油圧調整などを行わずに、デモモードによる自動旋回を実行することができる。
【0173】
また、コントローラ100は、デモモードでは、自動旋回を実行するための条件からハンドル35操作に応じて苗植付部4を昇降し、苗植付部4による植え付け状態を切り替えるスイッチがONとされる条件が除かれる。すなわち、デモモードでは、苗植付部4が作業状態から非作業状態となる条件が除かれる。
【0174】
また、コントローラ100は、デモモードでは、ハンドル35操作に応じて苗植付部4に植え付け状態を切り替えるスイッチがONにされて、自動旋回を行う場合に、苗植付部4の昇降を行うが、植込杆58の回転を禁止してもよい。これにより、デモモードにおいて植込杆58が回転することを抑制することができる。
【0175】
また、コントローラ100は、デモモードでは、前工程で走行した距離を基準始点(A点)から基準終点(B点)までとする。これにより、例えば、路上でのデモモードを実行中に、苗植付部4を昇降させずに自動旋回を行うことができる。
【0176】
また、コントローラ100は、デモモードでは、自動走行が開始されてから旋回開始までの距離を前工程における距離とする。これにより、例えば、路上でのデモモードを実行中に、苗植付部4を昇降させずに自動旋回を行うことができる。
【0177】
デモモードは、モニタ86での設定モードによって切り替え可能であってもよい。デモモード中は、キーオン時にデモモードであることをポップで表示する。ポップには、デモモードの切り方を表示してもよい。これにより、苗移植機1は、デモモードの切り忘れを抑制することができる。
【0178】
デモモードは、自動旋回スイッチがONであり、直進アシストレバーを所定の方向に所定の時間(例えば、10秒)操作した場合に実行可能であってもよい。デモモードは、キーオフの場合に自動でOFFになってもよい。
【0179】
上記する実施形態、および変形例は適宜組み合わせることも可能である。苗移植機1は、上記構成に加えて以下の構成を有してもよい。
【0180】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、作業者がリモコンを持っていない場合には、エンジン30の始動を禁止する。
【0181】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、リモコンがペアリングされた場合に、ペアリングしたリモコンでペアリングが解除されない限り、他のリモコンのペアリングを禁止する。
【0182】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、リモコンが一定距離離れている場合にエンジン30が始動されると、基地局に通知する。
【0183】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、リモコンが一定距離離れている場合に車輪が回転すると、基地局に通知する。
【0184】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、リモコンが一定距離離れている場合に油圧が作動すると、基地局に通知される。
【0185】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、リモコンが一定距離離れている場合にスイッチが操作されると、基地局に通知する。
【0186】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、リモコンが一定距離離れる場合には、苗移植機1の角度が変化すると、基地局に通知する。
【0187】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、リモコンが一定距離離れ、苗移植機1が移動する場合には、移動をGPS装置によって検知し、基地局に通知する。
【0188】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、リモコン操作中であっても、手動操作を優先する。
【0189】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、リモコンが苗移植機1の乗車範囲内にある場合には、作業を停止せず、一定距離の範囲内にある場合には安全のため停止する。
【0190】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、リモコンが苗移植機1よりも後方、または前方にあり、さらにリモコンが畔にある場合には、停止しない。なお、これは基準線L0の記憶した後に限られてもよい。
【0191】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、リモコンが苗移植機1の左右方向にあり、さらにリモコンが畔にある場合には、停止しない。なお、これは基準線L0の記憶した後に限られてもよい。
【0192】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、基準線L0を記憶する作業中は、安全機構が作動しない。
【0193】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、自動油圧感度を有する構成であってもよい。例えば、圃場が柔らかい場合には、リモコンによって車速を大きくする操作が行われても、苗移植機1は、車速を規制し最高速をおさえてもよい。また、例えば、苗植付部4に水深センサが設けられ、深水の場合には、リモコンによって車速を大きくする操作が行われても、苗移植機1は、車速を規制し最高速をおさえてもよい。
【0194】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、苗植付部4に角速度センサを設け、振動が大きくなると、リモコンによって車速を大きくする操作が行われても、車速を規制し最高速をおさえてもよい。
【0195】
リモートコントロールによって操作できる苗移植機1は、直進時に隣接条に接近した場合に、例えばGPSによって接近を検出し、リモコンによって車速を大きくする操作が行われても、車速を規制し最高速をおさえてもよい。
【0196】
リモートコントロールによって操舵できる苗移植機1は、畔が検出された場合に、リモコンによって車速を大きくする操作が行われても、車速を規制し最高速をおさえてもよい。
【0197】
リモートコントロールによって操舵できる苗移植機1は、作業中に、リモコンが一定距離離れた場合には、自動停止してもよく、エンジン30の始動を禁止してもよい。
【0198】
リモートコントロールによって操舵できる苗移植機1は、苗の減少が検出された場合、リモコンによって車速を大きくする操作が行われても、停止してもよい。
【0199】
リモートコントロールによって操舵できる苗移植機1は、リモコンアンテナを補助苗枠の上部に設ける。苗移植機1は、補助苗枠が収納状態、および作業状態のいずれの状態であっても、リモコンアンテナの一部が補助苗枠上で最も高い位置となるように設けられる。
【0200】
リモコンアンテナは、例えば、GNSSセンサの近傍に設けられる。例えば、リモコンアンテナは、GNSSセンサのステーの下部に取り付けられる。これにより、GNSSセンサのステーを利用し、安価な構成でリモコンアンテナを設置することができる。リモコンアンテナは、ステーに組み付けた状態で取り外し可能である。これにより、リモコンアンテナを取り外し、収納時の高さを低くすることができる。
【0201】
なお、リモコンアンテナは、取付ステーを介してGNSSセンサのステーに取り付けられてもよい。取付ステーは、ボルト締め付け部に切欠が設けられる。切欠は、GNSSセンサのステーのボルトを切欠に挿入できるように設けられる。これにより、GNSSセンサのステーのボルトを外さすに、ボルトを緩めた状態でボルトの側面から取付ステーを取り付けることができる。
【0202】
リモコンアンテナは、作業者の乗降用の手摺りに設けられる。例えば、リモコンアンテナは、手摺りの内側に取付ステーを介して取り付けられる。これにより、手摺りを利用し、安価な構成でリモコンアンテナを設置することができる。
【0203】
リモコンアンテナは、上下方向に伸縮可能なステーに取り付けられてもよい。ステーは、例えば、径が異なるパイプによって構成され、パイプを上下方向にスライドさせることで、上下方向に伸縮する。リモコンアンテナは、ステーよりも内側に設けられる。これにより、苗移植機1は、苗移植機1の長さや、幅が大きくなることを抑制することができる。なお、リモコンアンテナは、ステーよりも外側に設けられてもよい。これにより、苗移植機1は、作業スペースを確保することができる。
【0204】
苗移植機1は、圃場間を移動する場合、苗植付部4が上昇し、油圧ロックされていない場合には、始動しない。苗移植機1は、圃場間を移動する場合、線引きマーカ65が収納されていない場合には、始動しない。苗移植機1は、圃場間を移動する場合、両端の苗タンク53を収納していない場合には、始動しない。苗移植機1は、圃場間を移動する場合、両端の苗タンク53を収納し、端寄せしていない場合には、始動しない。苗移植機1は、圃場間を移動する場合、両端のマエイタを収納していない場合には、始動しない。苗移植機1は、圃場間を移動する場合、両端のマエイタガードを収納していない場合には、始動しない。
【0205】
苗移植機1は、例えば、道路の左端を検出するカメラを設け、圃場間を移動する場合、道路の左端を検出して走行してもよい。苗移植機1は、道路の左端の白線を検出して走行する。
【0206】
苗移植機1は、圃場間の移動中に、障害物があると、障害物を回避する。苗移植機1は、路上を走行する場合に、左端を走行し、障害物があると、右方に旋回し障害物を回避する。苗移植機1は、障害物を回避後、左端に寄るように走行してもよい。苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、カーブの手前で減速、または停止する。
【0207】
苗移植機1は、圃場間の移動中に、登り坂になるとエンジン30回転数のみ上昇させてもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に、下り坂になるとエンジン30回転数のみ下降させてもよい。
【0208】
苗移植機1は、圃場間の移動中に苗植付部4が昇降すると停止してもよい。例えば、苗移植機1は、圃場間の移動中に苗植付部4が降下すると停止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に苗植付部4が降下すると、苗植付部4を上昇させてもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に苗植付部4が昇降すると警報を鳴らしてもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に苗植付部4が昇降すると、エンジン30を停止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に苗植付部4が昇降すると、クラウドに連絡してもよい。
【0209】
苗移植機1は、圃場間の移動中、動く障害物を検出すると停止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中、走行車体2が急に傾くと停止してもよい。
【0210】
苗移植機1は、圃場間の移動中に迂回できない障害物がある場合には、停止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に迂回できない障害物がある場合には、クラウドに連絡してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に迂回できない障害物がある場合には、異なるルートを検索してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中にトラブルが発生した場合には、エンジン30を停止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中にトラブルが発生した場合には、クラウドに連絡してもよい。
【0211】
苗移植機1は、圃場間の移動中に、計画外のルートに変更された場合には、エンジン30を停止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に、計画外のルートに変更された場合には、クラウドに連絡してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に、計画外のルートに変更された場合には、停止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に、計画外のルートに変更された場合には、警報を鳴らしてもよい。
【0212】
苗移植機1は、圃場間を移動する場合、指定した圃場の出入り口を記憶し、記憶した出入り口で停止する。苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、目的の圃場に到着すると圃場の入り口でエンジン30を停止してもよい。また、苗移植機1は、圃場に入った後にエンジン30を停止してもよい。
【0213】
苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、走行前にエラーを検出すると、発進を禁止してもよい。苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、走行前にエラーを検出すると、クラウドに連絡してもよい。苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、走行前に燃料が少ないと、発進を禁止してもよい。苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、走行前に燃料が少ないと、クラウドに連絡してもよい。
【0214】
苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、予定外の停止をするとエンジン30を停止させてもよい。苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、予定外の停止をすると、例えば、クラウドに連絡してもよい。苗移植機1は、座席に重量センサを設け、圃場間を移動する場合に、重量を感知するとエンジン30を停止させてもよい。苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、重量を感知するとクラウドに連絡してもよい。苗移植機1は、リモコンを持つ作業者のみが設定を変更できる。
【0215】
苗移植機1は、圃場間の移動中に停止している場合に、計器類が触られると再発進を禁止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に停止している場合に、計器類が触られるとエンジン30を停止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に停止している場合に、計器類が触られると警報を鳴らしてもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に停止している場合に、計器類が触られるとクラウドに連絡してもよい。
【0216】
苗移植機1は、圃場間の移動中に停止している場合に、作業機が昇降すると再発進を禁止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に停止している場合に、作業機が昇降するとエンジン30を停止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に停止している場合に、作業機が昇降すると警報を鳴らしてもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に停止している場合に、作業機が昇降するとクラウドに連絡してもよい。
【0217】
苗移植機1は、圃場間の移動中に道幅をセンサによって検出し、道幅が苗移植機1の幅に余裕代(例えば、2000mm)を加算した長さよりも短い場合には、停止してもよい。
【0218】
苗移植機1は、圃場間の移動中に、障害物を回避する場合に、回避するための道幅が苗移植機1の幅よりも短い場合には、停止してもよい。この場合、苗移植機1は、走行した経路上の分岐路まで後退してもよい。また、苗移植機1は、分岐路において他の走行ルートを検索してもよい。
【0219】
苗移植機1は、圃場間の移動中にカメラによって撮影された画像に基づいて信号機を認識し、信号機が「赤」である場合には、停止してもよい。
【0220】
苗移植機1は、圃場間の移動中にカメラによって撮影された画像に基づいて前方の移動車のテールランプを認識し、テールランプが赤く発光した場合には、停止してもよい。
【0221】
苗移植機1は、圃場間を移動する際に、苗植付部4が上昇位置にあり、かつ苗植付部4がロックされたロック状態ではない場合に、走行を禁止してもよい。
【0222】
苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、ライトを自動で点灯してもよい。苗移植機1は、圃場間を移動する際に、ライトが点灯していない場合には、発進を禁止してもよい。苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、方向指示器を自動で点灯してもよい。
【0223】
苗移植機1は、圃場間の移動中に、前方から接近する物体を検出すると減速してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に、前方から接近する物体を検出すると停止してもよい。苗移植機1は、圃場間の移動中に、前方から接近する物体を検出すると、物体がすれ違うまで停止し、物体がすれ違った後に、再発進してもよい。
【0224】
苗移植機1は、圃場間を移動する場合に、異常振動を検出すると停止してもよい。
【0225】
苗移植機1は、納屋まで移動する場合に、納屋まで移動する指示に対して納屋の前方でエンジン30を停止してもよい。苗移植機1は、納屋まで移動する場合に、納屋まで移動する指示に対して納屋まで入り、エンジン30を停止してもよい。苗移植機1は、納屋まで移動する場合に、納屋まで移動する指示に対して納屋の収容位置まで戻ってもよい。
【0226】
苗移植機1は、植えじまいの際に、走行車体2が前上がりの状態になり始めると、ローターを徐々に深くする。苗移植機1は、ローターを最下げにし、センターフロート62Cが垂れ下がると、圃場から出たと判定し、苗植付部4を上昇させてもよい。また、苗移植機1は、さらに油圧をロックさせてもよい。
【0227】
苗移植機1は、超音波センサを設け、走行車体2が前上がりの状態になり始めると、超音波センサによって深さがゼロに近くなることにより、植えじまいと判定し、植え付けを中止する。また、苗移植機1は、その際、苗植付部4を上昇させたり、ローターを低くしたりしてもよい。
【0228】
苗移植機1は、リモコン操作によって運転モードを変更する場合に、リモコン上の液晶パネルに確認画面を表示させてもよい。これにより、苗移植機1は、誤操作を抑制することができる。
【0229】
苗移植機1は、リモコン操作によって運転モードを変更する場合に、運転モードを変更するボタン操作がされた後に、確認画面を表示させてもよい。また、苗移植機1は、確認画面の表示後、決定ボタンが押されると、運転モードを変更する。なお、確認画面の表示は、設定によって省略可能であってもよい。
【0230】
苗移植機1は、遠隔操作モードでHST14、ハンドル35、油圧、モータを動作させる場合に、リモコン上の液晶パネルに確認画面を表示させてもよい。これにより、作業者による押し間違えによる誤操作を抑制することができる。苗移植機1は、遠隔操作モードによるHST14などの操作が行われた後に、確認画面を表示させてもよい。また、苗移植機1は、確認画面の表示後、決定ボタンが押されると、HST14などの動作を開始してもよい。なお、確認画面の表示は、設定によって省略可能であってもよい。
【0231】
苗移植機1は、副変速が植付速の状態でのみ遠隔モードを利用可能としてもよい。副変速レバーの位置は、スイッチ、またはポテンショメータで検出される。
【0232】
苗移植機1は、遠隔モード移行操作時に、副変速が植付速ではない場合には、ブザーを鳴らしたり、リモコンの液晶パネルに表示したりしてもよい。
【0233】
苗移植機1は、圃場範囲の検出に用いる位置情報が多く、自動植付経路を作成できない場合には、圃場範囲の頂点を削除してもよく、エラー表示をさせてもよい。圃場エリアの測定後、位置情報が取得した地点は、タブレット上に表示されてもよい。位置情報の表示後、自動植付経路が表示されてもよい。タブレットでは、地図上に圃場範囲の頂点を表示し、地図上に表示された頂点が1つずつ選択されて削除可能であってもよい。自動植付経路を作成できない場合には、頂点が削除される毎に、自動植付経路の計算が行われてもよい。
【0234】
苗移植機1は、レバー操作によって自動運転モードを解除可能であってもよい。苗移植機1は、自動運転モード中に、主変速レバーが前進側に倒された場合に、自動運転モードから手動運転モードに切り替えてもよい。レバーの移動は、コラム内に設けられたポテンショメータによって検出される。
【0235】
苗移植機1は、自動運転モードから手動運転モードに移行した場合には、HST14を中立位置にしてもよい。この場合、苗移植機1は、HST14レバーが中立位置に戻されない限り、前後進できないようにしてもよい。また、苗移植機1は、駐車ペダルが踏み込まれ、セーフティスイッチが押されない限り、前後進できないようにしてもよい。また、苗移植機1は、HST14レバーが中立位置に戻され、かつ駐車ペダルが踏み込まれない限り、前後進できないようにしてもよい。
【0236】
苗移植機1は、畔寄せが行われて、苗が補給される場合に、自動で電動苗レールを展開してもよい。これにより、作業の効率化、および省エネルギー化を実現できる。
【0237】
苗移植機1は、自動運転中、資材補給側の畔から、例えば、3mの位置まで作業を行った場合に停止してもよい。この場合、リモコンによって幅寄せ(前進)信号が発信された時に、電動苗レールのモータが作動し、電動苗レールが展開してもよい。
【0238】
苗移植機1は、受信機がリモコンの前進信号を受信すると、HSTモータに前進側へ回転させる信号と、電動苗レールのモータに電動苗レールを展開する信号を出力してもよい。
【0239】
苗移植機1は、電動苗レールの向きが走行車体2の進行方向に対して平行ではない場合には、電動苗レールを自動で展開させなくてもよい。電動苗レールの向きは、補助苗枠の回転支点に設けられたポテンショメータ、またはスイッチによって検出される。
【0240】
苗移植機1は、植付作業前に基準線L0を取得するための順序を提案してもよい。これにより、作業者は、基準線L0を取得するための作業が容易になる。
【0241】
圃場の形状は、地図アプリ上で作成されてもよい。圃場の形状は、ドローン、およびドローンに設けられたカメラに撮影されたデータに基づいて作成されてもよい。圃場の形状は、トラクターによる代掻き作業時に、圃場の外周を回ることで得られたデータに基づいて作成されてもよい。
【0242】
苗移植機1は、上記方法によって作成された圃場の形状に基づいて基準線L0を取得するための順序を提案してもよい。基準線L0を取得するための順序は、苗移植機1のモニタ86は、タブレット端末に表示される。
【0243】
苗移植機1は、施肥装置5における施肥量を電動によって変更可能であってもよい。苗移植機1は、施肥量を調整するためのスイッチとして、2方向に入力可能なスイッチを設けてもよい。スイッチは、ハンドル35の下部の操作パネルの中心よりも右側に設けられる。
【0244】
苗移植機1は、スイッチが第1方向に操作されると、施肥量を減少させる。例えば、苗移植機1は、設定された基準施肥量に対して、1回のスイッチの操作に対して施肥量を5%減少させる。施肥量の減少可能な範囲は、5%~50%である。苗移植機1は、スイッチの操作が減少可能な範囲を下回る操作である場合、スイッチの入力を無効にする。苗移植機1は、スイッチの入力を無効にする場合、例えば、ブザーを鳴らし警告する。
【0245】
苗移植機1は、スイッチの操作によって施肥量を減少させている場合、モニタ86に施肥量を減少させていること、および減少率の少なくとも一方を表示させてもよい。
【0246】
苗移植機1は、スイッチが第2方向に操作されると、施肥量の減少をリセットし、基準施肥量にする。苗移植機1は、苗植付部4が上昇すると、施肥量の減少をリセットしてもよい。また、苗移植機1は、スタートキーがOFFにされ、再びONにされた場合に、リセットしてもよい。
【0247】
苗移植機1は、後輪11のスリップ量、またはスリップ率に応じてハンドル35の操作を行う自動操舵感度を自動で調整してもよい。
【0248】
苗移植機1は、施肥装置5の電動試し繰り出しの後に、試し繰り出しで使用した条以外を回転させて全条に肥料を充填させてもよい。これにより、苗移植機1は、施肥装置の繰り出しロールに肥料が充填されていない状態で、施肥が開始されることを抑制することができる。例えば、苗移植機1は、試し繰り出しを右端の2条で行う。
【0249】
苗移植機1は、試し繰り出しを行う右端の2条以外の施肥畔クラッチをモータによって切り状態にする。試し繰り出しは、繰り出しロールが10回転することで行われる。試し繰り出しは、施肥装置5の右端に設けたモータの駆動によって行われる。試し繰り出しの後、右端の2条の施肥畔クラッチは切り状態になり、右端の2条の以外の施肥畔クラッチは入り状態になる。その後、肥料繰り出しロッドが半回転する。肥料繰り出しロッドが半回転した後に、すべての肥料畔クラッチは入り状態になる。これらの動作は、施肥装置5の右端に設けられたボタンが押されることで実行される。
【0250】
苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、計器類が触られると停止する。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、計器類が触られるとエンジン30を停止する。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、計器類が触られると警報を鳴らす。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、計器類が触られるとクラウドに連絡する。
【0251】
苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、計画外のルートになると停止する。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、計画外のルートになるとエンジン30を停止する。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、計画外のルートになると警報を鳴らす。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、計画外のルートになるとクラウドに連絡する。
【0252】
自律走行モードで圃場を走行している場合に、リモコンを作業者が持っていない場合には、クラウドの操作ができない。
【0253】
苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、苗植付部4が予定外に昇降すると停止する。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、苗植付部4が予定外に昇降するとエンジン30を停止する。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、苗植付部4が予定外に昇降すると警報を鳴らす。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、苗植付部4が予定外に昇降するとクラウドに連絡する。
【0254】
苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、予定外の停止をすると再発進を禁止する。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、予定外の停止をするとエンジン30を停止する。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、予定外の停止をすると警報を鳴らす。苗移植機1は、自律走行モードで圃場を走行している場合に、予定外の停止をするとクラウドに連絡する。
【0255】
苗移植機1は、自動旋回中に、ハンドル35が目標位置の所定角α(例えば、10度)以内を検出した後に、ハンドル35が目標位置から所定角β(例えば、30度)以上のずれを検出した場合に自動旋回を中止してもよい。これにより、苗移植機1は、自動旋回中の緊急事態が生じた場合に、手動操作を優先して自動旋回を停止させることができる。
【0256】
苗移植機1は、自動旋回中に、ハンドル35が目標位置の所定角α(例えば、10度)以内を検出した後に、制御によって目標角が変化した場合には、再度、ハンドル35が目標位置の所定角α以内となるまで異常を検知しなくてもよい。
【0257】
苗移植機1は、自動旋回中に異常を検知した場合には、例えば、ブザー音のロングホーンで作業者に異常を報知してもよい。苗移植機1は、自動旋回中に異常を検知した場合には、モニタ86のポップ表示で作業者に異常を報知してもよい。
【0258】
苗移植機1は、自動旋回中に異常を検知した場合には、自動旋回をキャンセルし、走行を停止させなくてもよい。これにより、苗移植機1は、例えば、障害物を回避して走行することができる。苗移植機1は、自動旋回中に異常を検知した場合には、自動旋回をキャンセルし、走行を停止させてもよい。
【0259】
苗移植機1は、後輪11に設けた回転数センサ90によって車速を検出し、外付け補助車輪の設定が入り状態の場合、スリップ率を低く、例えば、3%低くして車速を算出してもよい。苗移植機1は、後輪11に設けた回転数センサ90によって車速を検出し、内付け補助車輪の設定が入り状態の場合、スリップ率を低く、例えば、3%低くして車速を算出してもよい。
【0260】
苗移植機1は、後輪11に設けた回転数センサ90によって検出される回転数に基づいて作業面積を算出し、外付け補助車輪、または内付け補助車輪の設定が入り状態の場合、スリップ率を低く、例えば、3%低くして車速を算出してもよい。
【0261】
苗移植機1は、ハンドル35操作に応じて苗植付部4による植え付け状態を切り替えるターン、いわゆるZターンにおける苗植付部4の降下タイミングを走行車体2のホイルベースを加味して変更してもよい。苗移植機1は、上記実施形態における自動旋回時においても同様に、苗植付部4の降下タイミングを変更してもよい。苗移植機1は、苗移植機1の型式毎の条間を加味して、Zターンにおける苗植付部4の降下タイミングを変更してもよい。苗移植機1は、車輪の径や、種類を加味して、Zターンにおける苗植付部4の降下タイミングを変更してもよい。
【0262】
苗移植機1は、走行車体2のホイルベースを加味して、Zターンにおいて苗植付部4によって植え付けを開始するタイミングを変更してもよい。苗移植機1は、型式毎の条間を加味して、Zターンにおいて苗植付部4によって植え付けを開始するタイミングを変更してもよい。苗移植機1は、車輪の径や、種類を加味して、Zターンにおいて苗植付部4によって植え付けを開始するタイミングを変更してもよい。
【0263】
苗移植機1は、図7に示すように、苗タンク53の上方に、苗を後方から補充可能とする補助部材200を設けてもよい。図7は、苗移植機1の概略を示す側面図である。補助部材200は、苗枠である。補助部材200は、後方に向けて突出する。補助部材200には、ベルト201が設けられ、苗を前後方向に移動可能である。補助部材200の後端側には、前方にのみ傾倒可能なストッパー202が設けられる。ストッパー202は、苗が落下することを防止する。補助部材200は、前端側を支点に回動可能である。補助部材200は、アクチュエータ203によって回動される。アクチュエータ203は、左右方向の両側に設けられる。ストッパー202は、補助部材200が下方に回動すると前方に傾倒する。これにより、苗が補助部材200から苗タンク53に向けて滑り落ち、苗タンク53に苗が補充される。補助部材200は、施肥装置5を囲むように設けられる。
【0264】
補助部材200は、図8に示すように、前後方向にスライド可能なスライド部210を設けてもよい。図8は、補助部材200の変形例を示す図である。スライド部210は、苗移植機1が苗を植え付けている場合には、重心が中央側となるように前方に収容される。スライド部210を支持する支持枠211は、施肥装置5よりも外側に設けられる。支持枠211は、苗植付部4の最上げ位置よりも上方に設けられる。支持枠211は、上下方向に移動可能であってもよい。支持枠211には、施肥装置5よりも後方に折りたたみ用の支点が設けられる。スライド部210は、支点付近に設けられたアクチュエータ212によって回動可能である。また、スライド部210は、別のアクチュエータによって前後方向に移動可能である。スライド部210は、苗植付部4によって苗の植え付けが開始されると、アクチュエータによって前方に移動する。
【0265】
苗移植機1は、線引きマーカ65の角度を検出するポテンショメータと、苗植付部4のローリング角を検出するポテンショメータとを設け、苗植付部4のローリング量に合わせて線引きマーカ65の角度を制御してもよい。これにより、苗移植機1は、走行車体2が傾いた場合であっても、確実に圃場に線を引くことができる。
【0266】
例えば、苗移植機1は、線引きマーカ65が左側に出ている状態で、走行車体2が左側に傾いた場合には、線引きマーカ65の角度を上げる。これにより、苗移植機1は、線引きマーカ65が圃場に食い込むことを抑制し、圃場に線を正確に引くことができる。また、苗移植機1は、線引きマーカ65が左側に出ている状態で、走行車体2が右側に傾いた場合には、線引きマーカ65の角度を下げる。これにより、苗移植機1は、線引きマーカ65が圃場から浮くことを抑制し、圃場に線を正確に引くことができる。
【0267】
なお、苗移植機1は、苗植付部4のローリング角を検出するポテンショメータによって検出された走行車体2の傾き量に応じて、線引きマーカ65の角度を設定する。これにより、苗移植機1は、走行車体2の傾きに応じて線引きマーカ65の角度を調整することでき、圃場に線を正確に引くことができる。
【0268】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0269】
1 苗移植機(作業車両)
2 走行車体
4 苗植付部
10 前輪
11 後輪
35 ハンドル(ステアリング装置)
90 回転数センサ
95 ステアリングモータ(モータ)
97 デファレンシャルロック機構
100 コントローラ
150 位置取得装置(位置情報取得装置、方位情報取得装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8