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特許7259827フィールド機器ケース及びフィールド機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】フィールド機器ケース及びフィールド機器
(51)【国際特許分類】
   G01F 15/14 20060101AFI20230411BHJP
   G01D 11/24 20060101ALI20230411BHJP
   G01L 19/14 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
G01F15/14
G01D11/24 W
G01L19/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020182309
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072712
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】田口 雅矢
(72)【発明者】
【氏名】上原 彬
(72)【発明者】
【氏名】山田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】平井 由大
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-107192(JP,A)
【文献】中国実用新案第205808487(CN,U)
【文献】特開2018-189407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
G01F15/00-15/18
G01L 7/00-23/32
G01L27/00-27/02
G01D11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外被シールドを備えるケーブルを引き込む引込部が筒状の周壁に設けられた金属製のフィールド機器ケースであって、
前記フィールド機器ケースの開口端面と直交する軸方向において、前記開口端面から離れて形成された第1内面と、
前記軸方向において、前記第1内面よりも前記開口端面から離れて形成された第2内面と、
前記第1内面に固定され、前記引込部から引き込んだ前記ケーブルの前記外被シールドを前記第2内面に接触させるケーブル固定部材と、
を備えるフィールド機器ケース。
【請求項2】
前記第1内面において前記ケーブル固定部材を回り止めする回り止め部が形成されている、請求項1に記載のフィールド機器ケース。
【請求項3】
前記回り止め部は、前記第1内面から前記開口端面に向かって突出し、前記ケーブル固定部材の側面に当接する凸形状を有する、請求項2に記載のフィールド機器ケース。
【請求項4】
前記ケーブル固定部材は、前記ケーブルの横断面視において、前記外被シールドと前記第2内面とが接触する第1接触点と前記ケーブルの中心点とを通る中心線に対し、該中心線を挟み前記外被シールドと接触する第2接触点及び第3接触点を少なくとも備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィールド機器ケース。
【請求項5】
前記軸方向において、前記第2内面よりも前記開口端面から離れて形成された第3内面と、
前記第3内面から前記開口端面に向かって突出するように形成され、前記第2内面が設けられた台座部と、
を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィールド機器ケース。
【請求項6】
検出結果を出力する検出器と、
前記検出器とケーブルを介して接続される変換器と、を備え、
前記検出器及び前記変換器の少なくとも一方は、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィールド機器ケースを備える、
フィールド機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィールド機器ケース及びフィールド機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィールド機器の一つとして、下記特許文献1に記載の渦流量計が知られている。この渦流量計は、筒状の側壁と、この側壁の中央部分に設けられた隔壁と、を有する容器を備える。この容器の内部は、側壁と隔壁とによって端子箱室とアンプ室とに区分けされている。端子箱室には、信号端子部と電源端子部とを有する端子箱部が設けられている。アンプ室には、入力信号と電源入力を処理するアンプ部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-107192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記容器の開口端面は、蓋に覆われている。容器と蓋は、インロー嵌合しており、端子箱室にケーブルを引き込む引込口は、蓋の嵌合部と重ならないように、開口端面から離れた深い位置に配置されている。従来は、ケーブルのノイズ対策のため、外被シールドとなる編組シールドをほぐし、そのシールド素線を束ねて接続端子を取り付け、その接続端子を開口端付近に配置された端子箱部のグラウンド部分に接続していた。しかしながら、この接続方式は、端末処理が煩雑なため作業工数がかかり、ミスも発生しやすいという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、開口端面から離れた周壁部分からケーブルを引き込むフィールド機器ケース及びフィールド機器において、煩雑な端末処理をすることなく簡単にケーブルのノイズ対策を施すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様に係るフィールド機器ケースは、外被シールドを備えるケーブルを引き込む引込部が筒状の周壁に設けられた金属製のフィールド機器ケースであって、前記フィールド機器ケースの開口端面と直交する軸方向において、前記開口端面から離れて形成された第1内面と、前記軸方向において、前記第1内面よりも前記開口端面から離れて形成された第2内面と、前記第1内面に固定され、前記引込部から引き込んだ前記ケーブルの前記外被シールドを前記第2内面に接触させるケーブル固定部材と、を備える。
【0007】
(2)上記(1)に記載されたフィールド機器ケースであって、前記第1内面において前記ケーブル固定部材を回り止めする回り止め部が形成されていてもよい。
【0008】
(3)上記(2)に記載されたフィールド機器ケースであって、前記回り止め部は、前記第1内面から前記開口端面に向かって突出し、前記ケーブル固定部材の側面に当接する凸形状を有してもよい。
【0009】
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載されたフィールド機器ケースであって、前記ケーブル固定部材は、前記ケーブルの横断面視において、前記外被シールドと前記第2内面とが接触する第1接触点と前記ケーブルの中心点とを通る中心線に対し、該中心線を挟み前記外被シールドと接触する第2接触点及び第3接触点を少なくとも備えてもよい。
【0010】
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載されたフィールド機器ケースであって、前記軸方向において、前記第2内面よりも前記開口端面から離れて設けられた第3内面と、前記第3内面から前記開口端面に向かって突出すると共に、前記第2内面が設けられた台座部と、が形成されていてもよい。
【0011】
(6)本発明の一態様に係るフィールド機器は、検出結果を出力する検出器と、前記検出器とケーブルを介して接続される変換器と、を備え、前記検出器及び前記変換器の少なくとも一方は、上記(1)~(5)のいずれかに記載されたフィールド機器ケースを備える。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明の一態様によれば、開口端面から離れた周壁部分からケーブルを引き込むフィールド機器ケース及びフィールド機器において、煩雑な端末処理をすることなく簡単にケーブルのノイズ対策を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係るフィールド機器を示す斜視図である。
図2】一実施形態に係る変換器のケーブル接続容器から蓋体を取り外した状態を示す部分破断斜視図である。
図3】一実施形態に係る引込部に沿った金属ケースの断面図である。
図4】一実施形態に係るケーブル固定部材に沿った金属ケースの断面図である。
図5図4に示す領域Aの拡大図である。
図6】一実施形態に係る検出器のケーブル接続容器から第1蓋体を取り外した状態を示す部分破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るフィールド機器ケース及びフィールド機器について詳細に説明する。以下では、まず本発明の一実施形態の概要について説明し、続いて本発明の一実施形態の詳細について説明する。
【0015】
〔概要〕
上述した特許文献1の渦流量計は、管路内に置かれた渦発生体から放出されるカルマン渦の周波数を測定することで、流速、流量を測定する計測器である。渦周波数を検出する方式として応力検出方式があり、渦発生体の上部若しくは内部に応力検出素子を配置し、渦発生体に働く交番揚力を検出し、カルマン渦の周波数を測定する。応力検出素子からのセンサアナログ信号は、センサリード線で検出器から変換器に信号伝達する。変換器に伝達されたアナログ信号は、デジタル信号に変換される。
【0016】
特許文献1の渦流量計は、検出器と変換器が一体化されており、インテグラル型とも称される。一方、渦流量計には、検出器と変換器とを分離してケーブルを介して接続したリモート型が存在する。このリモート型の渦流量計は、ケーブルのノイズ対策のため、検出器と変換器の両方で、上述した煩雑なケーブルの端末処理をしなければならず、作業工数が倍かかると共に、特にミスが発生しやすい。
【0017】
ケーブルの端末処理をせずに、ノイズ対策を施す構造として、例えば、特開2020-107722号公報に開示されたアース構造が知られている。当該アース構造は、ケーブルの外被シールドを露出させ、当該外被シールドに当接させたクランプ部の両端部をフレームグラウンドにねじ止めするものである。この構造は、開口端面から離れた深い位置からケーブルを引き込むフィールド機器においては、深い位置でのねじ止め作業となり、作業性に優れていないという問題がある。
【0018】
本発明の一実施形態は、フィールド機器ケース及びフィールド機器において、開口端面から浅い位置に設けられた第1内面にケーブル固定部材を固定し、そのケーブル固定部材によって第1内面よりも深い位置に設けられた第2内面に、ケーブルの外被シールドを押し付けてグラウンドを取るものである。これにより、ケーブルの煩雑な端末処理をすることなく、また、開口端面から浅い位置での作業で済むため、簡単にケーブルのノイズ対策を施すことができる。
【0019】
〔実施形態〕
図1は、一実施形態に係るフィールド機器1を示す斜視図である。
図1に示すフィールド機器1は、リモート型の渦流量計であり、検出器2と、変換器3と、ケーブル4と、を備えている。ケーブル4は、検出器2と変換器3との間を接続している。図1に示す検出器2は、配管検出部10と、ケーブル接続容器20と、を備えている。
【0020】
なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。X軸方向は、配管検出部10において流体が流れる方向とする。Z軸方向は、上記X軸方向に直交する方向において、配管検出部10にケーブル接続容器20が接続される方向とする。Y軸方向は、上記X軸方向及び上記Z軸方向と直交する方向とする。
【0021】
配管検出部10は、X軸方向に延びる円筒状の配管部11を備えている。配管部11の両端には、図示しない外部配管と接続可能なフランジ12が設けられている。フランジ12には、配管部11の中心軸回りの周方向において間隔をあけて複数の接続孔12aが形成されている。配管部11の周面には、Z軸方向に台座部13が立設している。
【0022】
台座部13の上面には、検出部14を固定する固定ブロック15が、ボルト15aを介してねじ止めされている。検出部14は、ロッド状に形成され、台座部13の上面から配管部11の内部までZ軸方向に挿入されている。検出部14は、ロッド内部に図示しない応力検出素子を備えている。
【0023】
検出部14は、当該応力検出素子によって、配管部11の内部に配置された検出部14の渦発生体に働く交番揚力を検出し、カルマン渦の周波数を測定すると共に、該周波数から流体の流速、流量を測定する。なお、検出部14は、流速、流量の検出だけでなく、例えば、温度、湿度、圧力、振動、加速度、回転数などの各種の物理的パラメータを検出するセンサを備えてもよい。
【0024】
台座部13の上面には、固定ブロック15を跨ぐ一対の脚部を備えるホルダ16が、ボルト16aを介してねじ止めされている。ホルダ16の上端部には、ケーブル接続容器20がボルト16bを介してねじ止めされている。ケーブル接続容器20には、検出部14(応力検出素子)から延びるセンサリード線が、ホルダ16を貫通して内部に挿入されている。
【0025】
ケーブル接続容器20は、Y軸方向に延びる筒状の金属ケース21(フィールド機器ケース)と、金属ケース21のY軸方向の一端部に嵌合する第1蓋体22と、金属ケース21のY軸方向の他端部に嵌合する第2蓋体23と、を備えている。金属ケース21には、第1蓋体22及び第2蓋体23が重ならないY軸方向の中間位置にケーブル4を引き込む引込部24が設けられている。
【0026】
変換器3は、ケーブル接続容器30と、変換器本体40と、を備えている。ケーブル接続容器30は、X軸方向に延びる有底筒状の金属ケース31(フィールド機器ケース)と、金属ケース31のX軸方向の開口端部に嵌合する蓋体32と、を備えている。金属ケース31は、変換器本体40と接続可能な接続部33を備えている。金属ケース31には、上述した引込部24と同様に、ケーブル4を引き込む引込部34(後述する図2参照)が設けられている。
【0027】
変換器本体40には、検出部14(応力検出素子)から出力されるアナログ信号を、デジタル信号に変換する信号変換器などが収容されている。変換器本体40は、Y軸方向に延びる筒状の金属ケース41と、金属ケース21のY軸方向の一端部に嵌合する第1蓋体42と、金属ケース41のY軸方向の他端部に嵌合する第2蓋体43と、を備えている。
【0028】
なお、金属ケース41にも、上述した引込部24と同様の構成の引込部44が設けられているが、引込部44は、図示しない外部装置のケーブルを引き込むものである。検出器2から出力されたアナログ信号は、ケーブル4を伝わり、変換器3に伝達され、変換器本体40の内部でデジタル信号に変換された後、引込部44から図示しないケーブルを介して外部装置などに伝達される。なお、検出器2側で1度センサ出力をデジタル信号にしてから出力し、変換器3側で演算処理しても構わない。
【0029】
図2は、一実施形態に係る変換器3のケーブル接続容器30から蓋体32を取り外した状態を示す部分破断斜視図である。
図2に示すように、変換器3のケーブル接続容器30は、X軸方向に延びる有底筒状の金属ケース31と、金属ケース31の開口端面61を覆う蓋体32と、を備えている。以下、金属ケース31の開口端面61と直交する方向(X軸方向)を軸方向と称する場合がある。軸方向は、金属ケース31の中心軸O1が延びる方向である。
【0030】
金属ケース31は、周壁31aと、底壁31bと、を備えている。周壁31aの外周面には、蓋体32が嵌合する嵌合溝31a1と、蓋体32の嵌合部分と軸方向で対向するフランジ31a2と、が形成されている。なお、周壁31aの外周面には、蓋体32がねじにより装着されていても構わない。
【0031】
周壁31aには、金属ケース31の内部にケーブル4を引き込む引込部34が設けられている。引込部34は、周壁31aに嵌合する蓋体32と干渉しないように、フランジ31a2よりも底壁31b側の周壁31aから、周壁31aの内周面の略接線方向(Y軸方向)に突出して設けられている。引込部34には、金属ケース31の内部に連通する引込口34aが形成されている。
【0032】
金属ケース31の内部には、引込部34から引き込んだケーブル4と接続される端子箱部50と、ケーブル4を金属ケース31に固定するケーブル固定部材70と、が設けられている。以下、図3図5を追加参照して、金属ケース31の内部構造について詳しく説明する。
【0033】
図3は、一実施形態に係る引込部34に沿った金属ケース31の断面図である。図4は、一実施形態に係るケーブル固定部材70に沿った金属ケース31の断面図である。図5は、図4に示す領域Aの拡大図である。
図4に示すように、金属ケース31の内部には、軸方向(X軸方向)において開口端面61から離れて、端子箱設置面62、第1内面63、第2内面64、及び、第3内面65が階段状に形成されている。端子箱設置面62、第1内面63、第2内面64、及び、第3内面65は、中心軸O1に沿う平面視で互いに重ならず、且つ、金属ケース31の内部において開口端面61側を向いている面である。
【0034】
端子箱設置面62は、開口端面61に対して最も近くに形成されている。端子箱設置面62には、図3に示すように、端子箱部50がボルト51を介してねじ止めされている。図4に示すように、端子箱部50の直下には、空洞部31Aが形成されている。空洞部31Aは、接続部33の内部の接続通路33aに連通している。端子箱部50は、空洞部31A及び接続通路33aを通る図示しないケーブルを介して、変換器本体40側と接続されている。
【0035】
第1内面63は、端子箱設置面62よりも開口端面61から離れて設けられている。第1内面63には、ケーブル固定部材70がボルト80を介してねじ止めされている。
第2内面64は、第1内面63よりも開口端面61から離れて設けられている。第2内面64には、引込部34から引き込まれたケーブル4が、ケーブル固定部材70によって押し付けられている。
【0036】
第3内面65は、第2内面64よりも開口端面61から離れて設けられている。金属ケース31には、図3に示すように、第3内面65から開口端面61に向かって突出すると共に、上述した第2内面64が設けられた台座部64Aが形成されている。第2内面64は、X軸方向において、引込部34の引込口34aと略同じ位置に配置されている。なお、図2に示すように、台座部64Aの先端には、上述した第1内面63も形成されている。
【0037】
図5に示すように、ケーブル4は、複数の内部ケーブル4aと、複数の内部ケーブル4aの中心に配置された中心抗張力体4bと、複数の内部ケーブル4aの外側を囲う外被シールド4cと、外被シールド4cの外側を覆うシース4dと、を備えている。ケーブル4は、図3に示すように、第2内面64に載置される部分からその先の部分のシース4dが除去され、外被シールド4cが露出している。
【0038】
また、ケーブル4は、第2内面64より先の部分において外被シールド4cが除去され、複数の内部ケーブル4aが分離して、端子箱部50に接続されている。複数の内部ケーブル4aの根本の部分は、バンドキャップ4eによって束ねられている。外被シールド4cは、例えば、金属素線を編んだ編組シールドである。なお、外被シールド4cは、金属テープを螺旋巻きにしたものや、金属シートをシガレット巻きにしたものであっても構わない。
【0039】
ケーブル固定部材70は、図5に示すように、第1内面63に固定される固定部71と、固定部71から第2内面64に向かって垂設された垂設部72と、垂設部72から屈曲し、外被シールド4cに接触する接触部73と、を備えている。ケーブル固定部材70は、例えば、略長方形の金属板をクランク状に曲げて形成することができる。なお、ケーブル固定部材70は、樹脂成形部品であっても構わない。
【0040】
固定部71は、ボルト80を介して第1内面63に固定されている。金属ケース31には、第1内面63においてケーブル固定部材70を回り止めする回り止め部66が形成されている。回り止め部66は、第1内面63から開口端面61に向かって突出し、固定部71の側面に当接する凸形状を有する。回り止め部66は、上述した端子箱設置面62と第1内面63との段差部に相当する部分に設けられている。
【0041】
垂設部72は、固定部71に対し、開口端面61と反対側に略直角(固定部71との間の角度が略90°)に曲げられている。垂設部72は、金属ケース31に接触していないが、金属ケース31に接触していても構わない。
接触部73は、垂設部72に対し、台座部64Aの側面と離反する側に略直角(垂設部72との間の角度が略90°)に曲げられた第1接触部73aと、第1接触部73aに対し、開口端面61と反対側に略鈍角(第1接触部73aとの間の角度が略135°)に曲げられた第2接触部73bと、を有している。
【0042】
接触部73は、図5に示すように、ケーブル4の横断面視において、外被シールド4cと第2内面64とが接触する第1接触点P1とケーブル4の中心点Oとを通る中心線Lに対し、該中心線Lを挟み外被シールド4cと接触する第2接触点P2及び第3接触点P3を少なくとも備えている。具体的には、第1接触部73aが、第2接触点P2を備えている。また、第2接触部73bが、第3接触点P3を備えている。つまり、ケーブル4は、3点で固定されている。
【0043】
第2内面64は、開口端面61に対して平行な平面部64aと、平面部64aから開口端面61に向かって反り上がった斜面部64bと、を備えている。なお、斜面部64bは、傾斜面、湾曲面のいずれでも構わない。斜面部64bは、第1接触点P1を備えている。仮に平面部64aに第1接触点P1がある場合、円形のケーブル4は、ケーブル固定部材70の押し付けによって左右どちらにも逃げることができる。一方で、斜面部64bに第1接触点P1があることで、ケーブル4が逃げる方向が一方向に限定されるため、ケーブル4を安定して押さえ付けることができる。なお、接触部73及び第2内面64のいずれか一方が凹曲面に形成され、他方が平面である場合、二点接触であってもケーブル4の左右の逃げを抑制することができる。
【0044】
上記構成のフィールド機器1においては、図2に示すように、金属ケース31の開口端面61から浅い位置に設けられた第1内面63にケーブル固定部材70を固定し、そのケーブル固定部材70によって第1内面63よりも深い位置に設けられた第2内面64に、ケーブル4の外被シールド4cを押し付けてグラウンドを取るものである。これにより、ケーブル4の煩雑な端末処理をすることなく、また、開口端面61から浅い位置でのケーブル固定部材70の取り付け作業で済むため、簡単にケーブル4のノイズ対策を施すことができる。
【0045】
このように、上述した本実施形態によれば、外被シールド4cを備えるケーブル4を引き込む引込部34が筒状の周壁31aに設けられたフィールド機器1の金属ケース31であって、金属ケース31の開口端面61と直交する軸方向において、開口端面61から離れて設けられた第1内面63と、軸方向において、第1内面63よりも開口端面61から離れて設けられた第2内面64と、が形成され、金属ケース31は、第1内面63に固定され、引込部34から引き込んだケーブル4の外被シールド4cを第2内面64に接触させるケーブル固定部材70を備える、という構成を採用することによって、開口端面61から離れた周壁31a部分からケーブル4を引き込むフィールド機器1において、煩雑な端末処理をすることなく簡単にケーブル4のノイズ対策を施すことができる。
【0046】
また、本実施形態では、図5に示すように、金属ケース31には、第1内面63においてケーブル固定部材70を回り止めする回り止め部66が形成されている。この構成によれば、ケーブル固定部材70のボルト80を中心とする回転を抑制できる。このため、ケーブル固定部材70は、ケーブル4を安定して押さえ付けることができる。
【0047】
また、本実施形態では、回り止め部66は、第1内面63から開口端面61に向かって突出し、ケーブル固定部材70の側面に当接する凸形状を有している。この構成によれば、ケーブル固定部材70の側面が、回り止め部66の凸形状に当接することで、ケーブル固定部材70の回転を簡易な構造で抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、ケーブル固定部材70は、ケーブル4の横断面視において、外被シールド4cと第2内面64とが接触する第1接触点P1とケーブル4の中心点Oとを通る中心線Lに対し、該中心線Lを挟み外被シールド4cと接触する第2接触点P2及び第3接触点P3を少なくとも備えている。この構成によれば、ケーブル4を3点で安定して固定することができる。なお、少なくとも3点でケーブル4を固定できていれば、4点以上でケーブル4を固定しても構わない。
【0049】
また、本実施形態では、図3に示すように、金属ケース31には、軸方向において、第2内面64よりも開口端面61から離れて設けられた第3内面65と、第3内面65から開口端面61に向かって突出すると共に、第2内面64が設けられた台座部64Aと、が形成されている。この構成によれば、第3内面65から台座部64Aを立て、第2内面64をケーブル4の引込口34aと略同じ深さに形成し、ケーブル4に無理な曲げなどを加えることなく、第2内面64にケーブル4の外被シールド4cを押し付けてグラウンドを取ることができる。
【0050】
なお、図6に示すように、検出器2のケーブル接続容器20の金属ケース21も、上述した金属ケース31と略同様の構造を有している。
【0051】
図6は、一実施形態に係る検出器2のケーブル接続容器20から第1蓋体22を取り外した状態を示す部分破断斜視図である。
図6に示すように、検出器2のケーブル接続容器20は、Y軸方向に延びる筒状の金属ケース21を備えている。金属ケース21の周壁21aには、第1蓋体22が嵌合する嵌合溝21a1と、第1蓋体22の嵌合部分とY軸方向で対向するフランジ21a2と、が形成されている。
【0052】
以下、金属ケース21の開口端面91と直交する方向(Y軸方向)を軸方向と称する場合がある。軸方向は、金属ケース21の中心軸O2が延びる方向である。金属ケース21の内部には、軸方向Y軸方向)において開口端面91から離れて、第1内面92、第2内面93が形成されている。第1内面92、第2内面93は、中心軸O2に沿う平面視で互いに重ならず、且つ、金属ケース21の内部において開口端面91側を向いている面である。
【0053】
第1内面92には、端子箱部50A及び端子箱部50Bが設置される共に、ケーブル固定部材70の固定部71がボルト80を介してねじ止めされている。第2内面93は、第1内面92よりも開口端面91から離れて設けられている。この第2内面93は、金属ケース21の内部にケーブル4を引き込む引込口24aの内壁面となっている。なお、端子箱部50A及び端子箱部50Bは、ケーブル固定部材70よりも開口端面91に近い面で固定され、上述した回り止め部66を備えてもよい。また、端子箱部50A及び端子箱部50B自体がケーブル固定部材70の周り止めになっていても構わない。
【0054】
上記構成においても、金属ケース21の開口端面91から浅い位置に設けられた第1内面92にケーブル固定部材70を固定し、そのケーブル固定部材70によって第1内面92よりも深い位置に設けられた第2内面93に、ケーブル4の外被シールド4cを押し付けてグラウンドを取ることができる。これにより、ケーブル4の煩雑な端末処理をすることなく、また、開口端面91から浅い位置でのケーブル固定部材70の取り付け作業で済むため、簡単にケーブル4のノイズ対策を施すことができる。
【0055】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では、検出結果を出力する検出器2と、検出器2とケーブル4を介して接続される変換器3と、を備え、検出器2及び変換器3の両方が、上述したケーブル固定部材70を含む金属製のフィールド機器ケース(金属ケース21,31)を備える構成について説明した。しかしながら、検出器2及び変換器3のいずれか一方が、上述したケーブル固定部材70を含む金属製のフィールド機器ケースを備える構成であっても構わない。
【0057】
例えば、上記実施形態では、ケーブル4は、横断面視で円形であったが、四角形やその他の多角形、楕円形やその他の異形であっても構わない。
【符号の説明】
【0058】
1 フィールド機器
2 検出器
3 変換器
4 ケーブル
4c 外被シールド
21 金属ケース(フィールド機器ケース)
31 金属ケース(フィールド機器ケース)
31a 周壁
32 蓋体
34 引込部
61 開口端面
63 第1内面
64 第2内面
64A 台座部
65 第3内面
66 回り止め部
70 ケーブル固定部材
91 開口端面
92 第1内面
93 第2内面
L 中心線
O 中心点
P1 第1接触点
P2 第2接触点
P3 第3接触点
図1
図2
図3
図4
図5
図6