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特許7259869端末装置、基地局装置及び無線通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】端末装置、基地局装置及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/12 20230101AFI20230411BHJP
   H04W 28/02 20090101ALI20230411BHJP
【FI】
H04W72/12
H04W28/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020562310
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2019005417
(87)【国際公開番号】W WO2020136922
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/048454
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 義博
(72)【発明者】
【氏名】青木 信久
【審査官】田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-171952(JP,A)
【文献】特開2018-207493(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0139030(US,A1)
【文献】Fujitsu,Fujitsu, SR procedure with multiple SR configurations [online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #99bis R2-1710358, [検索日: 2022年9月4日],インターネット <URL: https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG2_RL2/TSGR2_99bis/Docs/R2-1710358.zip>,2017年09月29日,第1-3頁
【文献】LG Electronics Inc.,Discussion on SR counter handling in consideration of sr-ProhibitTimer [online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #104 R2-1818116, [検索日: 2022年9月4日],インターネット <URL: https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG2_RL2/TSGR2_104/Docs/R2-1818116.zip>,2018年11月02日,第1-2頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケジューリング要求を基地局装置へ送信する端末装置であって、
論理チャネルに対応するスケジューリング要求設定に関する設定情報を含む信号を受信できる受信部と、
前記スケジューリング要求設定に対応するカウンタを制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
スケジューリング要求の送信回数をカウント中、前記受信部が前記スケジューリング要求設定の再設定に関する設定情報を含む信号を受信した場合、前記再設定後のスケジューリング要求設定に対応するカウンタに、前記再設定前のスケジューリング要求の送信回数から継続してスケジューリング要求の送信回数をカウントさせる
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記受信部が前記スケジューリング要求設定の再設定に関する設定情報を含む信号を受信した場合、すべてのスケジューリング要求設定に対応するカウンタを初期化する
ことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記受信部が前記スケジューリング要求設定の再設定に関する設定情報を含む信号を受信した場合、複数のスケジューリング要求設定に対応する複数のカウンタのうち前記再設定後のスケジューリング要求設定に対応するカウンタのみを初期化することを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、
1つのスケジューリング要求設定に属する複数のスケジューリング要求が同時に起動された場合、前記1つのスケジューリング要求設定に対応するカウンタを初期化する
ことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記カウンタに初期値である0を設定して初期化することを特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載の端末装置。
【請求項6】
スケジューリング要求を基地局装置へ送信する端末装置であって、
論理チャネルに対応するスケジューリング要求設定に関する設定情報を含む信号を受信できる受信部と、
前記スケジューリング要求設定に対応するカウンタを制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
1つのスケジューリング要求設定に属する複数のスケジューリング要求が同時に起動された場合、前記1つのスケジューリング要求設定に対応するカウンタを初期化し、前記複数のスケジューリング要求を、1つのスケジューリング要求として送信するように制御することを特徴とする端末装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記カウンタに初期値である0を設定して初期化することを特徴とする請求項記載の端末装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記受信部が前記スケジューリング要求設定の再設定に関する設定情報を含む信号を受信した場合、前記再設定後のスケジューリング要求の設定において、スケジューリング要求送信がカウント中でない場合に、前記カウンタを初期化することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項9】
スケジューリング要求を端末装置から受信する基地局装置であって、
論理チャネルに対応するスケジューリング要求設定に関する設定情報を含む信号を送信できる送信部と、
前記送信部が前記スケジューリング要求設定の再設定に関する設定情報を含む信号を送信した場合、前記再設定後のスケジューリング要求設定及びスケジューリング要求の状態の少なくとも一方に応じて制御され、スケジューリング要求の送信回数をカウント中、前記スケジューリング要求設定の再設定に関する設定情報を含む信号を受信した場合、前記再設定後のスケジューリング要求設定に対応するカウンタに、前記再設定前のスケジューリング要求の送信回数から継続してスケジューリング要求の送信回数をカウントされるカウンタによって送信回数がカウントされるスケジューリング要求を受信できる受信部と、
前記受信部によってスケジューリング要求が受信された場合、スケジューリング要求に従って前記端末装置にリソースを割り当てるスケジューリング部と
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項10】
スケジューリング要求を送受信する端末装置と基地局装置とを有する無線通信システムであって、
前記端末装置は、
論理チャネルに対応するスケジューリング要求設定に関する設定情報を含む信号を受信できる受信部と、
前記スケジューリング要求設定に対応するカウンタを制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
スケジューリング要求の送信回数をカウント中、前記受信部が前記スケジューリング要求設定の再設定に関する設定情報を含む信号を受信した場合、前記再設定後のスケジューリング要求設定に対応するカウンタに、前記再設定前のスケジューリング要求の送信回数から継続してスケジューリング要求の送信回数をカウントさせる
ことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、基地局装置及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークにおいては、モバイル端末(スマートフォンやフィーチャーホン)のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使用するトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開に合わせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5Gまたは、NR(New Radio))の通信規格では、第4世代移動体通信(4G)の標準技術(例えば、非特許文献1~12)に加えて、さらなる高データ信号レート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。なお、第5世代通信規格については、3GPPの作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められており、2017年12月に、初版がリリースされている(非特許文献13~39)。
【0004】
上述したように、多種多様なサービスに対応するために、5Gでは、eMBB(Enhanced Mobile BroadBand)、Massive MTC(MachineType Communications)、及びURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)に分類される多くのユースケースのサポートを想定している。
【0005】
端末装置から基地局装置へ送信されるULデータ(Uplink data)が発生すると、端末装置は、基地局装置に対してスケジューリング要求(SR:Scheduling Request)を送信する。その後、基地局装置からリソースを割り当てられると、端末装置は、割り当てられたリソースを用いて、ULデータ量に応じたバッファステータスレポート(BSR:Buffer Status Report)を送信する。BSRを受信した基地局装置は、ULデータを送信するためのリソースを端末装置に割り当て、割当情報を端末装置へ送信する。端末装置は、割当情報を基にULデータを送信する。
【0006】
なお、端末装置には、スケジューリング要求の失敗をカウントするSRカウンタ(SR COUNTER)が設定されており、SRカウンタが所定値(設定値)を超えると無線回線エラー(Radio Link Failure)となる。無線回線エラーが多発しないように、SRカウンタを初期値に戻す条件が設定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】3GPP TS 36.133 V15.3.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.211 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.212 V15.2.1(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.213 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.300 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.321 V15.2.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.322 V15.1.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.323 V15.0.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.331 V15.2.2(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.413 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.423 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.425 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 37.340 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.201 V15.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.202 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.211 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.212 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.213 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.214 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.215 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.300 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.321 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.322 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.323 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.331 V15.2.1(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.401 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.410 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.413 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.420 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.423 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.470 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.473 V15.2.1(2018-07)
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.900 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.912 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.913 V15.0.0(2018-06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在、3GPPの会合では、5Gの様々なユースケースに対応するために新たな規定の追加及び検討がされている。しかしながら、現状のSRカウンタのカウント方法では、追加された新たな規定や検討されている規定に対しての動作が不十分である。すなわち、SRカウンタを初期値に戻す初期化の条件が不明確であり、スケジューリング要求のカウントを継続するのかSRカウンタを初期化するのか判然としない場合があるという問題がある。
【0009】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、SRカウンタを適切に動作させることができる端末装置、基地局装置及び無線通信システムを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
【0010】
本願が開示する端末装置は、1つの態様において、スケジューリング要求を基地局装置へ送信する端末装置であって、論理チャネルに対応するスケジューリング要求設定に関する設定情報を含む信号を受信できる受信部と、前記スケジューリング要求設定に対応するカウンタを制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記受信部が前記スケジューリング要求設定の再設定に関する設定情報を含む信号を受信した場合、前記再設定後のスケジューリング要求設定及びスケジューリング要求の状態の少なくとも一方に応じて、前記カウンタを制御する。
【発明の効果】
【0011】
本願が開示する端末装置、基地局装置及び無線通信システムの1つの態様によれば、SRカウンタを適切に動作させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態1に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態1に係る基地局装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係るスケジューリング要求の動作を示すフロー図である。
図4図4は、SRカウンタの制御の具体例を示すシーケンス図である。
図5図5は、標準仕様書の記載例を示す図である。
図6図6は、SRカウンタの制御の他の具体例を示すシーケンス図である。
図7図7は、標準仕様書の他の記載例を示す図である。
図8図8は、標準仕様書のさらに他の記載例を示す図である。
図9図9は、標準仕様書のさらに他の記載例を示す図である。
図10図10は、SRカウンタの制御のさらに他の具体例を示すシーケンス図である。
図11図11は、標準仕様書のさらに他の記載例を示す図である。
図12図12は、実施の形態2に係るスケジューリング要求の動作を示すフロー図である。
図13図13は、標準仕様書の記載例を示す図である。
図14図14は、標準仕様書の記載例を示す図である。
図15図15は、標準仕様書のさらに他の記載例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願が開示する端末装置、基地局装置及び無線通信システムの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る無線通信システムは、端末装置100と基地局装置200とを有する。端末装置100は、端末装置100から基地局装置200へUL(Uplink)データを送信する。このとき、端末装置100は、送信すべきULデータが発生したことをバッファステータスレポート(BSR)の送信のトリガとし、BSR送信のトリガが発生するとスケジューリング要求(SR)の送信を起動(トリガ)する。そして、端末装置100は、SRに対する応答として基地局装置200からULグラントを受信すると、ULグラントによって割り当てられるリソースを用いてBSRを送信する。その後、端末装置100は、基地局装置200からさらにULグラントを受信し、このULグラントによって割り当てられるリソースを用いてULデータを送信する。
【0015】
SRの送信が起動された後のSRの送信回数は、SRカウンタによってカウントされており、所定のSR終了条件を満たす前にSRの送信回数が所定回数に到達すると、無線回線エラー(Radio Link Failure)が発生したことが検知される。SRカウンタは、SRの送信に関する設定(SR configuration:以下「SR設定」という)ごとに設けられることがある。すなわち、例えばULデータのQoS(Quality of Service)などに応じて異なるSR設定が設定されており、それぞれのSR設定についてSRカウンタが設けられることがある。
【0016】
ところで、SR設定は、SRの送信が継続する間に変更されることが考えられる。具体的には、例えば端末装置100が複数の基地局装置と同時に接続する多元接続をする際に、接続するセルのグループ(CG:Cell Group)をMAC(Medium Access Control)レイヤの初期化(リセット)無しに再設定する場合、CGの再設定に応じてSR設定も再設定されることがある。このような場合、SR設定ごとのSRカウンタの動作について、現状では明確な規定がなく、プロトコルエラーが発生する恐れがある。そこで、実施の形態1では、SR設定が変更される場合のプロトコルエラーを防止する場合について説明する。
【0017】
図1は、実施の形態1に係る端末装置100の構成を示すブロック図である。図1に示す端末装置100は、プロセッサ110、メモリ120及び無線通信部130を有する。
【0018】
プロセッサ110は、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はDSP(Digital SignalProcessor)などを備え、端末装置100の全体を統括制御する。具体的には、プロセッサ110は、設定情報受信部111、SR送信制御部112、SRカウンタ113、SRカウンタ制御部114及びUL通信制御部115を有する。
【0019】
設定情報受信部111は、SR設定に関する設定情報を無線通信部130を介して受信する。具体的には、設定情報受信部111は、例えばSR設定ごとのSRの送信回数の上限などのパラメータを含む設定情報を受信する。また、設定情報受信部111は、ULデータとSR設定の対応関係を示す設定情報を受信する。すなわち、設定情報受信部111は、ULデータのSRをどのSR設定によって送信すべきかを示す設定情報を受信する。なお、設定情報受信部111は、例えばRRC(Radio Resource Control)によって基地局装置200から送信される設定情報を受信する。
【0020】
SR送信制御部112は、送信すべきULデータが発生した場合に、このULデータを送信するためのスケジューリングを要求するSRを無線通信部130を介して送信する。このとき、SR送信制御部112は、ULデータに対応するSR設定に従ってSRを送信する。例えばSR送信制御部112は、ULデータのQoSに応じたSR設定に従ってSRを送信する。したがって、例えばQoSが同じクラスの複数のULデータが発生した場合には、SR送信制御部112は、これらのULデータに対してまとめて1つのSRを送信しても良い。そして、SR送信制御部112は、所定のSR終了条件が満たされるまでは、繰り返してSRを送信する。なお、SR送信制御部112は、例えばPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)を用いてSRを送信する。
【0021】
SRカウンタ113は、SR設定ごとにSRの送信回数をカウントする。すなわち、所定のSR終了条件が満たされるまで繰り返してSRが送信されるため、SRカウンタ113は、SRの送信回数をカウントする。SRカウンタ113は、SRカウンタ制御部114の制御に従って、各SR設定におけるカウント回数を初期化する。
【0022】
SRカウンタ制御部114は、SRカウンタ113におけるSR設定ごとのカウント回数を制御する。具体的には、SRカウンタ制御部114は、SR送信制御部112によっていずれかのSR設定によるSRの送信が起動されると、該当するSR設定のカウント回数を0に初期化する。そして、SRカウンタ制御部114は、SR送信制御部112によってSRが送信されると、SRカウンタ113において、送信されたSRが属するSR設定のカウント回数をインクリメントさせる。また、SRカウンタ制御部114は、SR設定を再設定する設定情報が設定情報受信部111によって受信された場合に、SR設定ごとのカウント回数を制御する。すなわち、SRカウンタ制御部114は、SR設定が変更された場合に、SR設定ごとのカウント回数を継続するか初期化するかを制御する。
【0023】
UL通信制御部115は、端末装置100から基地局装置200へのUL(Uplink)の通信を制御する。具体的には、UL通信制御部115は、SR送信制御部112によって送信されたSRに対する応答として、基地局装置200から送信されるULグラントを無線通信部130を介して受信する。そして、UL通信制御部115は、ULグラントによって割り当てられるリソースを用いて、バッファにおけるULデータの滞留量を示すBSRを無線通信部130を介して送信する。その後、UL通信制御部115は、BSRに基づくスケジューリングの結果基地局装置200から送信されるULグラントを受信し、ULグラントによって割り当てられるリソースを用いて、ULデータを送信する。なお、UL通信制御部115は、例えばPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を用いてBSRを送信し、PUSCHを用いてULデータを送信する。
【0024】
メモリ120は、例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などを備え、プロセッサ110が処理を実行するために使用する情報を記憶する。
【0025】
無線通信部130は、プロセッサ110から出力されるSR、BSR及びULデータに対して、例えばD/A(Digital/Analog)変換及びアップコンバートなどの無線送信処理を施し、アンテナを介して無線送信する。また、無線通信部130は、アンテナを介して無線受信した受信データに対して、例えばダウンコンバート及びA/D(Analog/Digital)変換などの無線受信処理を施し、プロセッサ110へ出力する。無線通信部130が受信する受信データには、例えば設定情報及びULグラントが含まれる。
【0026】
図2は、実施の形態1に係る基地局装置200の構成を示すブロック図である。図2に示す基地局装置200は、無線通信部210、プロセッサ220及びメモリ230を有する。
【0027】
無線通信部210は、アンテナを介して信号を受信し、受信信号に対してダウンコンバート及びA/D変換などの所定の無線受信処理を施す。また、無線通信部210は、プロセッサ220から出力される送信信号に対してD/A変換及びアップコンバートなどの所定の無線送信処理を施し、アンテナを介して送信する。
【0028】
プロセッサ220は、例えばCPU、FPGA又はDSPなどを備え、基地局装置200の全体を統括制御する。具体的には、プロセッサ220は、UL通信制御部221、スケジューリング部222、ULグラント送信部223及び設定情報送信部224を有する。
【0029】
UL通信制御部221は、端末装置100から送信されるULの信号を無線通信部210を介して受信し、受信信号の復調及び復号を実行する。UL通信制御部221が受信するULの信号には、端末装置100から送信されるSR、BSR及びULデータが含まれる。
【0030】
スケジューリング部222は、端末装置100から送信されたSRがUL通信制御部221によって受信されると、端末装置100がBSRを送信するためのリソースを決定し、決定したリソースをULグラント送信部223へ通知する。また、スケジューリング部222は、端末装置100から送信されたBSRがUL通信制御部221によって受信されると、端末装置100がULデータを送信するためのリソースを決定し、決定したリソースをULグラント送信部223へ通知する。
【0031】
ULグラント送信部223は、スケジューリング部222からBSR送信のためのリソースが通知されると、このリソースを用いたBSRの送信を許可することを示すULグラントを生成し、無線通信部210を介して端末装置100へ送信する。また、ULグラント送信部223は、スケジューリング部222からULデータ送信のためのリソースが通知されると、このリソースを用いたULデータの送信を許可することを示すULグラントを生成し、無線通信部210を介して端末装置100へ送信する。
【0032】
設定情報送信部224は、SR設定に関する設定情報を無線通信部210を介して送信する。設定情報送信部224は、例えばULデータのQoSとSR設定との対応関係が変更された場合に、ULデータとSR設定の対応関係を示す設定情報を送信する。また、設定情報送信部224は、例えば端末装置100が接続するCGをMACレイヤの初期化無しに再設定する場合、CGの再設定に応じてSR設定を再設定するための設定情報を送信する。
【0033】
次いで、上記のように構成された無線通信システムにおけるスケジューリング要求の動作について、図3に示すフロー図を参照しながら説明する。以下においては、主に送信すべきULデータが発生した場合の端末装置100の動作について説明する。
【0034】
端末装置100において、送信すべきULデータの発生は、BSR送信のトリガとなる(ステップS101)。このため、SR送信制御部112によって、ULデータを送信するためのスケジューリング要求が起動される(ステップS102)。このとき、SR送信制御部112によって、設定情報が参照されることにより、例えばULデータのQoSに応じたSR設定のSRが起動される。そして、SRカウンタ制御部114によって、起動されたSRが属するSR設定のSRカウンタ113におけるカウント回数が初期化される(ステップS103)。すなわち、SRカウンタ制御部114によって、起動されたSRが属するSR設定のSR送信回数が初期値の0に設定される。
【0035】
ただし、このSR設定において、他のULデータに関するSR送信回数が既にカウント中である場合(SR pending)には、当該SR設定のSRカウンタ113におけるカウント回数は初期化されず、SRの送信回数が継続してカウントされる。ここでは、他のULデータに関するSR送信回数がカウント中ではなく、上記の起動されたSRがSR設定において最初に起動されたSRであるものとして説明を続ける。
【0036】
SRカウンタ113のカウント回数が初期化されると、SR送信制御部112によって、SRの送信が開始される。すなわち、SRが無線通信部130から基地局装置200へ送信される。SRが送信されると、SRカウンタ制御部114によって、SRカウンタ113がインクリメントされ、SRの送信回数がカウントされる(ステップS104)。SRは、所定のSR終了条件が満たされるまでは繰り返して送信されるため、SRが送信されるたびにSRカウンタ制御部114によってSRカウンタ113がインクリメントされる。所定のSR終了条件は、例えばULデータの送信が完了することなどである。
【0037】
ところで、SR設定が変更される場合には、SRの送信が繰り返される最中でも設定情報受信部111によって設定情報が受信され、SR設定が再設定される(ステップS105)。すなわち、例えばSRが起動された際のSR設定とは異なるSR設定でSRの送信が継続されることがある。このような場合、SR送信制御部112によって、再設定されたSR設定でSRが送信される。また、SRカウンタ制御部114によって、SRカウンタ113におけるSR設定ごとのカウント回数が制御される(ステップS106)。具体的には、SRカウンタ制御部114によって、再設定後のSR設定及び再設定前のSRの送信回数の少なくとも一方に応じてSRカウンタ113が制御される。
【0038】
次に、SR設定が再設定された場合のSRカウンタ113の制御の具体例について説明する。図4は、SRカウンタ113の制御の第1の具体例を示すシーケンス図である。
【0039】
ULデータに対応するSR設定が例えばSR設定#1である場合、SR送信制御部112によって、SR設定#1に従ってSRが送信される(ステップS201)。そして、所定のSR終了条件が満たされるまでは、SR送信制御部112によって、SRが繰り返して送信される(ステップS202)。このとき、SRカウンタ113において、SRが送信されるたびにSR設定#1に対応するカウント回数がインクリメントされ、SRの送信回数がカウントされる。
【0040】
SRの送信が繰り返される間、SR設定の変更があると、基地局装置200からSR設定の再設定を指示する設定情報が送信される(ステップS203)。設定情報は、端末装置100の設定情報受信部111によって受信され、SR設定が再設定される。ここでは、当該SR設定にマッピングされた論理チャネル(LCH:Logical CHannel)が起動した、送信中(又はSR pending中)のSRが属するSR設定がSR設定#1からSR設定#2に変更されたものとする。
【0041】
この場合、第1の具体例では、SRカウンタ113のカウント数が継続される(ステップS204)。すなわち、MAC初期化が行われないため、カウントも初期化されずに継続する。換言すれば、再設定前のSR設定#1におけるカウント数が再設定後のSR設定#2におけるカウント数として引き継がれる。そして、SR設定の再設定後は、SR送信制御部112によって、再設定後のSR設定#2に従ってSRが送信される(ステップS205)。第1の具体例では、SRカウンタ113のカウント数が継続されるため、例えばSR設定#1でのSR送信回数がX回である場合には、SR設定#2でのSR送信回数は(X+1)回からカウントされる。
【0042】
このように、SRカウンタ制御部114によって、SR設定が再設定される場合でもSRカウンタ113のカウント数が継続するように制御されることにより、あるLCHに到着した1つのULデータによって起動されたSRの送信回数を一貫してカウントすることができる。よって、例えばULデータの送信遅延が適切な範囲に収まるように制御することができる。なお、第1の具体例のようにSRカウンタ113が制御される場合には、3GPPの標準仕様書であるTS38.321の第5.4.4項は、例えば図5のように改めることが可能である。この例では、あるLCHがあるSR設定にマッピングされている限り、SRカウンタが継続することが規定される。
【0043】
図6は、SRカウンタ113の制御の第2の具体例を示すシーケンス図である。図6において、図4と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
第2の具体例では、SR設定が再設定されると、すべてのSR設定においてSR送信回数が改めて初期値からカウントされる。すなわち、MAC初期化は行われないが、SR設定が再設定されるためカウントが初期化される。換言すれば、すべてのSR設定に属するSRがキャンセルされ、SRカウンタ113が初期化される(ステップS211)。この結果、再設定後のSR設定#2のカウント回数も初期化され、SR設定#2のSR送信回数が例えば初期値の0になる。そして、SR設定の再設定後にSR設定#2に従ってSRが送信されると(ステップS205)、SR設定#2でのSR送信回数が1回からカウントされる。
【0045】
このように、SRカウンタ制御部114によって、SR設定が再設定される場合にSRカウンタ113を初期化するように制御されることにより、カウント回数が上限に達して無線回線エラーが発生する可能性を低減し、通信の継続を促進することができる。なお、第2の具体例のようにSRカウンタ113が制御される場合には、3GPPの標準仕様書であるTS38.321の第5.4.4項は、例えば図7~9のように改めることが可能である。
【0046】
図7においては、SR設定の再設定が発生する場合には、起動されているすべてのSRがキャンセルされることが規定されている。また、図8においては、SRがキャンセルされることに加えて、すべてのSR設定が新たに設定されることが規定されている。一方、図9においては、SRのキャンセルやSR設定が新規であること等は規定されず、SR設定が再設定された後にSRが起動されると、SRカウンタが初期化されることのみが規定されている。
【0047】
図10は、SRカウンタ113の制御の第3の具体例を示すシーケンス図である。図10において、図4と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
第3の具体例では、SR設定が再設定されると、再設定後のSR設定においてSR送信回数が改めて初期値からカウントされる。一方、再設定されないSR設定のカウントは初期化されずに継続する。つまり、第3の具体例は、第1の具体例と第2の具体例の中間的なSR設定方法である。第3の具体例においては、SR設定#2に属するSRがキャンセルされ、SRカウンタ113においてSR設定#2のカウント回数が初期化される(ステップS221)。この結果、SR設定#2のSR送信回数が例えば初期値の0になる。そして、SR設定の再設定後にSR設定#2に従ってSRが送信されると(ステップS205)、SR設定#2でのSR送信回数が1回からカウントされる。ただし、このとき、SR設定#2以外のSR設定に属するSRがキャンセルされることはなく、SRカウンタ113においてSR設定#2以外のSR設定のカウント数は継続する。
【0049】
このように、SRカウンタ制御部114によって、SR設定が再設定される場合にSRカウンタ113において再設定後のSR設定のカウント回数を初期化するように制御されることにより、カウント回数が上限に達して無線回線エラーが発生する可能性を低減し、通信の継続を促進することができる。また、他のSR設定に関しては、SR設定の再設定の影響を受けることなく、SRの送信回数を一貫してカウントすることができる。なお、第3の具体例のようにSRカウンタ113が制御される場合には、3GPPの標準仕様書であるTS38.321の第5.4.4項は、例えば図11のように改めることが可能である。図11では、BSRをトリガするLCHの、CG再設定前のオリジナルのSR設定をSR設定と定義している。したがって、CGの再設定が発生し、オリジナルのSR設定が変更された場合、当該LCHがトリガしたSRは無効となる。SRが無効になるため、新規のSRのトリガに応じてSRカウンタが初期化される。一方、オリジナルのSR設定が変更されない場合、当該LCHがトリガしたSRは引き続き有効のままである。SRが継続するため、新規にSRがトリガされてもSRカウンタは初期化されない。
【0050】
以上のように、本実施の形態によれば、ULデータのSRに関するSR設定が再設定される場合に、SRカウンタにおいてSR送信回数のカウントを継続する、又はカウントを初期化するように制御する。このため、SR設定の再設定時のSRカウンタの動作が明確になり、プロトコルエラーの発生を回避することができる。換言すれば、SRカウンタを適切に動作させることができる。
【0051】
なお、上記実施の形態1においては、端末装置100が接続するCGをMACレイヤの初期化無しに再設定する場合、CGの再設定に応じてSR設定も再設定されるものとした。しかし、CGが再設定される場合でも、基地局装置200の動作を制限してSR設定が再設定されないようにしても良い。すなわち、CG設定が再設定された場合でも、基地局装置200の設定情報送信部224から設定情報が送信されないようにしても良い。こうすることにより、CG設定の再設定に伴うSR設定の再設定がなく、SRカウンタ113の動作に影響がない。
【0052】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る無線通信システムは、実施の形態1と同様に、端末装置100と基地局装置200とを有する。実施の形態2に係る端末装置100及び基地局装置200の構成は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0053】
ところで、SRの送信回数をカウントするSRカウンタは、1つのSRが起動され、同じSR設定において他のSRが起動されていない場合に初期化されることが規定されている。しかしながら、例えば複数の論理チャネルで同時多発的に同じULデータが送信される場合などには、複数のSRが同時に起動されることが考えられる。このような場合、SRカウンタの初期化について、現状では明確な規定がなく、プロトコルエラーが発生する恐れがある。そこで、実施の形態2では、複数のSRが同時に起動される場合のプロトコルエラーを防止する場合について説明する。
【0054】
実施の形態2において、SRカウンタ制御部114は、SR送信制御部112によっていずれかのSR設定による複数のSRの送信が同時に起動された場合も、該当するSR設定のカウント回数を0に初期化する。すなわち、例えば複数の論理チャネルで送信すべきULデータが発生し、複数の論理チャネルそれぞれにおいて同じSR設定のSRが起動される場合、SRカウンタ制御部114は、該当するSR設定のカウント回数を初期値である0に設定する。
【0055】
次いで、上記のように構成された無線通信システムにおけるスケジューリング要求の動作について、図12に示すフロー図を参照しながら説明する。図12において、図3と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。以下においては、主に送信すべきULデータが発生した場合の端末装置100の動作について説明する。
【0056】
端末装置100において、送信すべきULデータの発生は、BSR送信のトリガとなる。このとき、このULデータが例えば複数の論理チャネルによって送信すべきものである場合は、複数のBSR送信のトリガが同時に発生する(ステップS301)。このため、SR送信制御部112によって、ULデータを送信するための複数のスケジューリング要求が起動される(ステップS302)。そして、SRカウンタ制御部114によって、起動されたSRが属するSR設定のSRカウンタ113におけるカウント回数が初期化される(ステップS103)。なお、同時に起動された複数のSRは同じSR設定に属するものとする。
【0057】
SRカウンタ113のカウント回数が初期化されると、SR送信制御部112によって、SRの送信が開始される。すなわち、SRが無線通信部130から基地局装置200へ送信される。ここで、同時に起動された複数のSRは、同じSR設定に属するため、1つのSRとしてまとめて送信される。SRが送信されると、SRカウンタ制御部114によって、SRカウンタ113がインクリメントされ、SRの送信回数がカウントされる(ステップS104)。
【0058】
そして、SR送信制御部112によって、所定のSR終了条件が満たされるか否かが判定され(ステップS303)、満たされない場合には(ステップS303No)、SRの送信とSR送信回数のカウントとが繰り返される。また、所定のSR終了条件が満たされる場合には(ステップS303Yes)、スケジューリング要求が完了する。
【0059】
このように、SRカウンタ制御部114によって、複数のSRが同時に起動される場合もSRカウンタ113を初期化するように制御されることにより、SRの送信回数を正しくカウントすることができる。なお、本実施の形態のようにSRカウンタ113が制御される場合には、3GPPの標準仕様書であるTS38.321の第5.4.4項は、例えば図13のように改めることが可能である。
【0060】
以上のように、本実施の形態によれば、同じSR設定に属する複数のSRが同時に起動される場合に、これらのSRを1つのSRとみなしてSRカウンタを初期化するように制御する。このため、複数のSRが同時に起動される場合のSRカウンタの動作が明確になり、プロトコルエラーの発生を回避することができる。換言すれば、SRカウンタを適切に動作させることができる。
【0061】
なお、上記実施の形態1、2は組み合わせて実施することが可能である。すなわち、複数のSRが同時に起動される場合、これらのSRを1つのSRとみなしてSRカウンタ113を初期化し、その後、SR設定の再設定があった場合には、再設定後のSR設定及び再設定前のSRの送信回数の少なくとも一方に応じてSRカウンタ113を制御しても良い。
【0062】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る無線通信システムは、実施の形態1及び実施の形態2と同様に、端末装置100と基地局装置200とを有する。実施の形態3に係る端末装置100及び基地局装置200の構成は、実施の形態1及び実施の形態2と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
ところで、SR設定は、SRの送信が継続する間に変更されることが考えられる。具体的には、例えば端末装置100が複数の基地局装置200と同時に接続する多元接続をする際に、接続するセルのグループ(CG:Cell Group)をMAC(Medium Access Control)レイヤの初期化(リセット)無しに再設定する場合がある。その場合に、CGの再設定に応じてSR設定も再設定されることがある。このような場合、SR設定ごとのSRカウンタの動作について、現状では明確な規定がなく、プロトコルエラーが発生する恐れがある。
【0064】
例えば、SRカウンタ113の初期値は、端末装置100が搭載しているオペレーティングシステムに応じて設定がなされる。そのため、SRカウンタ113の初期値が0ではない可能性もある。SRカウンタ113の初期値が0でない場合、SRの送信回数とSRカウンタ113の値とが一致しないため、SRの回数が正しく算出(COUNT)されない。その結果、無線回線エラー(Radio Link Failure)が正しく判断されない。なお、ここでは、SRカウンタ113の初期値の例を説明しているが、初期値以外でもSR設定の変更時にSRカウンタ113が0でない場合もある。そこで、実施の形態3では、他の実施の形態と同様に、SR設定が変更される場合のプロトコルエラーを防止する場合について説明する。
【0065】
実施の形態3において、SRカウンタ制御部114は、SR送信制御部112によっていずれかのSR設定によるSRの送信が起動され、当該SRの送信回数を既にカウント中(SR pending)にSR設定が再設定される場合、他のULデータに関するSR送信回数が既にカウント中(SR pending)であれば、当該SR設定のSRカウンタ113におけるカウント回数は初期化されない。一方、他のULデータに関するSR送信回数がカウント中でなければ、当該SR設定のSRカウンタ113におけるカウント回数が初期化(SRカウンタ113の値を0にする)される。すなわち、SR送信がカウント中(SR pending)か否かが、SRカウンタ113におけるカウント回数の初期化の条件となる。
【0066】
次いで、上記のように構成された無線通信システムにおけるスケジューリングリクエスト要求の動作について、実施の形態1で用いた図3を参照しながら実施の形態1との差分のみを説明する。
【0067】
ステップS105でSR設定が変更される(再設定される)場合に、SRが起動された際のSR設定とは異なるSR設定でSRの送信が継続されることがある。このような場合、SR送信制御部112によって、再設定されたSR設定でSRを送信するように制御される。また、SRカウンタ制御部114によって、SRカウンタ113におけるSR設定ごとのカウント回数が制御される(ステップS106)。具体的には、SRカウンタ制御部114によって、当該SR設定における他のULデータに関するSR送信回数が既にカウント中(SR pending)であれば、当該SR設定のSRカウンタ113におけるカウント回数は初期化されない。一方、他のULデータに関するSR送信回数がカウント中でなければ、当該SR設定のSRカウンタ113におけるカウント回数が初期化される。
【0068】
なお、3GPPの標準仕様書であるTS38.321の第5.4.4項は、例えば、図14あるいは図15のように改めることが可能である。図14では、SRカウンタの初期化に関する規定を改めて、本実施例のステップS106が規定される。図15では、SRカウンタの回数制御に関する規定を改めて、本実施例のステップS106が規定される。
【0069】
以上のように、本実施の形態によれば、ULデータのSRに関するSR設定が再設定される場合に、当該SRのSRカウンタと、再設定後のSR設定における他のULデータに関するSR送信回数のカウンタに応じて、SR送信回数のカウントを継続する、又は、カウントを初期化するように制御する。このため、SR設定の再設定時のSRカウンタの動作が明確になり、プロトコルエラーの発生を回避することができる。換言すれば、SRカウンタを適切に動作させることができる。その結果、無線回線エラー(Radio Link Failure)を正しく判断することができる。
【0070】
また、実施の形態3を実施の形態1と組み合わせて実施することが可能である。例えば、SRカウンタ制御部114は、SR設定の変更前と変更後それぞれのSRカウンタ113の値に応じてSRカウンタ113を制御する。具体的には、送信中(又はSR pending中)のSRがSR設定#1からSR設定#2に変更する場合、SRカウンタ制御部114は、SR設定#1とSR設定#2のうちカウント回数が大きい値(又は、小さい値)をSRカウント回数とするように制御しても良い。
【0071】
また、実施の形態1と組み合わせの他の具体例としては、送信中(又はSR pending中)のSRがSR設定#1からSR設定#2に変更される場合、SRカウンタ制御部114は、SR設定#1に対してのSRカウント回数の初期化を行い、SR設定#2に対してのカウント回数を、SR設定#2において、SR送信がカウント中(SR pending)か否かに応じて、実施の形態3で説明した制御をしても良い。
【0072】
また、実施の形態3を実施の形態2と組み合わせて実施することが可能である。例えば、複数のSRが同時に起動される場合、これらのSRを1つのSRとみなしてSRカウンタ113を初期化し、その後、SR設定の再設定があった場合には、再設定後のSR設定において、SR送信がカウント中(SR pending)か否かに応じて、SRカウンタ113におけるカウント回数の制御をしても良い。
【0073】
また、実施の形態1乃至3を組み合わせて実施しても良い。例えば、上記で説明した具体例を組み合わせて使用することができる。
【0074】
以上のように、各実施の形態によれば、SR設定の再設定時のSRカウンタの動作が明確になり、プロトコルエラーの発生を回避することができる。換言すれば、SRカウンタを適切に動作させることができる。
【符号の説明】
【0075】
110、220 プロセッサ
111 設定情報受信部
112 SR送信制御部
113 SRカウンタ
114 SRカウンタ制御部
115、221 UL通信制御部
120、230 メモリ
130、210 無線通信部
222 スケジューリング部
223 ULグラント送信部
224 設定情報送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15