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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】フライホイール蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/00 20060101AFI20230411BHJP
   H02J 3/30 20060101ALI20230411BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
H02J9/00 120
H02J3/30
H02J15/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021504655
(86)(22)【出願日】2019-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2019009783
(87)【国際公開番号】W WO2020183582
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 恭祐
(72)【発明者】
【氏名】夏山 亮介
(72)【発明者】
【氏名】八田 義伸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健生
(72)【発明者】
【氏名】上田 洋三
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-055246(JP,U)
【文献】特開2005-020978(JP,A)
【文献】特開平11-341708(JP,A)
【文献】特開2002-130278(JP,A)
【文献】特開昭56-003338(JP,A)
【文献】特開2008-127145(JP,A)
【文献】特開2000-047739(JP,A)
【文献】特表2017-513450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0288271(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0249352(US,A1)
【文献】国際公開第2016/000017(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00
H02J 3/30
H02J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
慣性ロータの回転エネルギーとして電気エネルギーを蓄えるフライホイール蓄電装置と、
前記フライホイール蓄電装置に対する充電を行う電力変換装置と、前記フライホイール蓄電装置からの放電を行う電力変換装置と、を含む複数の電力変換装置と、を備え、
前記フライホイール蓄電装置は、前記慣性ロータの回転中心を囲むように並び前記慣性ロータに固定された複数の界磁部と、前記複数の電力変換装置にそれぞれ対応する複数の電機子部とを有し、
前記複数の電機子部のそれぞれは、前記複数の電力変換装置のうち対応する電力変換装置との間において、前記電気エネルギーから前記回転エネルギーへの変換又は前記回転エネルギーから前記電気エネルギーへの変換を行い、
前記複数の電力変換装置のそれぞれは前記フライホイール蓄電装置の電機子部側と、前記電機子部の逆側との間で電力変換を行
前記複数の界磁部は、前記回転中心を囲むように前記慣性ロータに固定された環状の界磁ディスクの外周に沿って並ぶ複数の外周側界磁部と、前記界磁ディスクの内周に沿って並ぶ複数の内周側界磁部とを含み、
前記複数の電機子部は、前記複数の外周側界磁部に対向する外周側電機子部と、前記複数の内周側界磁部に対向する内周側電機子部とを含む、フライホイール蓄電システム。
【請求項2】
前記フライホイール蓄電装置は、前記慣性ロータを磁気により浮上させた状態で回転させる磁気浮上型の蓄電装置である、請求項1記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項3】
記界磁部は、磁化方向が前記界磁ディスクに垂直となるように前記界磁ディスクに固定され、
前記電機子部は前記界磁ディスクの少なくとも片面に対向している、請求項1又は2記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項4】
前記界磁部は、前記界磁ディスクの両面を互いに逆極性にするように設けられ、
前記電機子部は、前記界磁ディスクの両面にそれぞれ対向し前記界磁ディスクを貫通する磁界を発生させる少なくとも一組のコイルを有する、請求項記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項5】
前記コイルは空芯コイルである、請求項記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項6】
前記複数の電力変換装置の少なくとも一つは、前記電機子部の逆側の電圧が目標値に追従するように電力変換を行う、請求項のいずれか一項記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項7】
前記複数の電力変換装置の少なくとも一つは、前記電機子部の逆側の電力が交流電力である場合に、前記電機子部の逆側の電圧振幅及び位相が目標値に追従するように電力変換を行う、請求項記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項8】
前記複数の電力変換装置の少なくとも一つは、前記フライホイール蓄電装置に充放電を行う充放電モードの運転状態と、前記フライホイール蓄電装置に充放電を行わない非充放電モードの運転状態とを、前記フライホイール蓄電装置の逆側の電流振幅に基づいて切り替える、請求項又は記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項9】
前記複数の電力変換装置の少なくとも一つは、前記フライホイール蓄電装置の電機子部と商用電源系統との間に介在する、請求項のいずれか一項記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項10】
前記フライホイール蓄電装置の電機子部と前記商用電源系統との間に介在する電力変換装置は、前記フライホイール蓄電装置に充放電を行う充放電モードの運転状態と、前記フライホイール蓄電装置に充放電を行わない非充放電モードの運転状態とを、前記慣性ロータの回転速度に関する情報に基づいて切り替える、請求項記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項11】
前記複数の電力変換装置の少なくとも一つは、前記電機子部側の電圧を前記慣性ロータの加速用の目標値に追従させる加速モードの電力変換を、前記慣性ロータの回転速度の上昇に応じて、前記電機子部の逆側の電圧を所定の目標値に追従させる定常モードの電力変換に切り替える、請求項10のいずれか一項記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項記載のフライホイール蓄電システムである複数のフライホイール蓄電システムを備え、
前記複数のフライホイール蓄電システムの前記フライホイール蓄電装置は、前記慣性ロータが同一の軸線まわりに回転するように重なって配置されている、請求項3~11のいずれか一項記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項13】
請求項11のいずれか一項記載のフライホイール蓄電システムである第1蓄電システム及び第2蓄電システムと、
前記第1蓄電システムの前記フライホイール蓄電装置と、前記第2蓄電システムの前記フライホイール蓄電装置との相互間で充放電を行う中継電力変換装置と、を備える、フライホイール蓄電システム。
【請求項14】
前記中継電力変換装置は、前記第1蓄電システム側の電圧と、前記第2蓄電システム側の電圧とのいずれかを所定の目標値に追従させるように電力変換を行う、請求項13記載のフライホイール蓄電システム。
【請求項15】
前記中継電力変換装置は、前記第1蓄電システム側の電圧及び前記第2蓄電システム側の電圧のいずれを前記目標値に追従させるかを設定に応じて切り替える、請求項14記載のフライホイール蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フライホイール蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはフライホイール蓄電装置が開示されている。特許文献1のフライホイール蓄電装置では、エネルギー貯蔵の為の慣性体にカップリング、もしくは慣性体シャフトに発電機界磁部を固定し、これに対向する電機子部は、フライホイール蓄電装置匡体に固定し、これら界磁部、電機子部を駆動制御することにより、電力を慣性エネルギーとして貯蔵する際にはモータとして、また慣性エネルギーを電力変換する際には発電機として駆動制御することにより、電力平準化システムを実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-96430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、分散電源の活用に有効なフライホイール蓄電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るフライホイール蓄電システムは、慣性ロータの回転エネルギーとして電気エネルギーを蓄えるフライホイール蓄電装置と、フライホイール蓄電装置に対する充放電を互いに独立して行う複数の電力変換装置と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、分散電源の活用に有効なフライホイール蓄電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るフライホイール蓄電装置の概略構成を示す断面図である。
図2図1中のII-II線による断面図である。
図3】界磁部及び電機子部の拡大図である。
図4】界磁部及び電機子部の変形例を示す図である。
図5】第1実施形態に係るフライホイール蓄電システムの概略構成を示す模式図である。
図6】エリア電力マシンコントローラの機能上の構成を例示するブロック図である。
図7】電力変換装置の機能上の構成を例示するブロック図である。
図8】加速/定常切替部の機能上の構成を例示する模式図である。
図9】出力電圧指令生成部の機能上の構成を例示するブロック図である。
図10】フライホイール蓄電システムの変形例を示す模式図である。
図11】第2実施形態に係るフライホイール蓄電システムの概略構成を示すブロック図である。
図12】電力変換装置の機能上の構成を例示するブロック図である。
図13】方向切替部の機能上の構成を例示するブロック図である。
図14】より大規模な蓄電システムの構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図を参照して説明する。なお、同一の構成又は同一機能を有する構成については同一の符号を付することにより、重複説明を適宜省略する。
【0009】
<第1実施形態>
まず、図1を参照しつつ、第1実施形態に係る多重電機子型フライホイール蓄電装置の機械的構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るフライホイール蓄電装置の概略構成を示す断面図である。図2は、図1中のII-II線による断面図である。
【0010】
図1に示すフライホイール蓄電装置100は、慣性ロータの回転エネルギーとして電気エネルギーを蓄える蓄電装置である。フライホイール蓄電装置100は、装置匡体101と、その内部に、慣性エネルギーと電気エネルギーの双方向エネルギー変換を行う電動発電部102とを有する。装置匡体101は、匡体ベース107と、匡体カバー108とを有する。匡体ベース107は環状体(例えば円形環状体)であり、その中心が鉛直となるように水平に配置されている。匡体カバー108は、匡体ベース107の上部空間を覆い環状の収容空間を構成している。
【0011】
電動発電部102は、慣性ロータ103と、複数の界磁部104と、複数の電機子部106とを有する。慣性ロータ103は環状体であり、装置匡体101と実質的に同心となる配置で上記収容空間内に収容されている。慣性ロータ103は、上記収容空間内において、装置匡体101の中心まわりに回転自在となっている。複数の界磁部104は、慣性ロータ103の回転中心を囲むように並び慣性ロータ103に固定されている。なお、複数の界磁部104は、少なくとも慣性ロータ103の回転中心を囲む円周の一部に沿って並んでいればよく、必ずしも当該円周の全周に亘って並んでいなくてもよい。複数の電機子部106は、後述の複数の電力変換装置160にそれぞれ接続され複数の界磁部104に対向する。
【0012】
一例として、電動発電部102は、慣性ロータ103の回転中心に垂直となるように慣性ロータ103に固定された界磁ディスク105を更に有し、複数の界磁部104のそれぞれは、磁化方向が界磁ディスク105に垂直となるように界磁ディスク105に固定されている。電機子部106は界磁ディスク105の少なくとも片面に対向している。
【0013】
界磁ディスク105は、慣性ロータ103と実質的に同心の環状板であり、慣性ロータ103の上部に固定されている。界磁ディスク105は、慣性ロータ103と共に装置匡体101の上記収容空間に収容されている。複数の界磁部104は、界磁ディスク105の外周に沿って並ぶ複数の外側界磁部112(外周側界磁部)と、界磁ディスク105の内周に沿って並ぶ複数の内側界磁部122(内周側界磁部)とを含み、複数の電機子部106は、複数の外側界磁部112に対向する外側電機子部114(外周側電機子部)と、複数の内側界磁部122に対向する内側電機子部124(内周側電機子部)とを含む。界磁ディスク105の外周に沿って隣り合う外側界磁部112同士の磁化方向は互いに逆向きとなっている。すなわち、界磁ディスク105の外周においては、磁化方向が互いに逆向きの外側界磁部112が交互に並んでいる。同様に、界磁ディスク105の内周に沿って隣り合う内側界磁部122同士の磁化方向も互いに逆向きとなっている。
【0014】
外側電機子部114は、支柱109により匡体ベース107上に固定されており、支柱109の高さによって外側電機子部114の高さが調節可能となっている。同様に、内側電機子部124も支柱109により匡体ベース107上に固定されており、支柱109の高さによって内側電機子部124の高さが調節可能となっている。この電動発電部102の構成において、外側電機子部114に例えば三相交流を供給することにより複数の外側界磁部112に回転トルクを発生させ慣性ロータ103を回転駆動することで、電気エネルギーを慣性(機械)エネルギーに変換貯蔵させる。また、慣性ロータ103の回転に伴い複数の内側界磁部122により作り出される回転磁界が内側電機子部124に誘起電圧を発生させ、内側電機子部124に接続された外部回路に電流が流れることにより、貯蔵された慣性(機械)エネルギーを電気エネルギーへと変換させる機能をもつ。また、電動発電部102の外側及び内側の機能を逆にすることも可能である。
【0015】
外側電機子部114及び内側電機子部124は、慣性ロータ103の周方向に複数個設けることも可能である。こうして設けた複数の外側電機子部114及び内側電機子部124のそれぞれから給電線を出すことで、複数の電力系統(電力消費系統又は電力供給系統)に接続できるようにすることも可能である。
【0016】
フライホイール蓄電装置100は、慣性ロータ103を磁気により浮上させた状態で回転させる磁気浮上型の蓄電装置であってもよい。一例として、フライホイール蓄電装置100は、浮上用固定磁石131と、浮上用回転磁石132とを更に有する。浮上用固定磁石131は、装置匡体101の匡体ベース107上に設けられ、浮上用回転磁石132は、慣性ロータ103の下部に設けられている。浮上用固定磁石131及び浮上用回転磁石132の磁化方向は互いに逆向きとなっている。これにより、浮上用固定磁石131及び浮上用回転磁石132の間に生じる反発力が慣性ロータ103を匡体ベース107から浮上させる。浮上用固定磁石131及び浮上用回転磁石132は、永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよい。
【0017】
磁気浮上支持構造の場合、界磁ディスク105と電機子部106との間のギャップを一定にする制御が必要となる。そこでフライホイール蓄電装置100は、例えば磁性体リング133と、ギャップ調整用電磁石134,135と、ギャップコントローラ136とを更に有する。
【0018】
磁性体リング133は、例えば鉄等の軟質磁性材料により構成されており、ギャップ調整用電磁石134,135の磁束磁路をなす。磁性体リング133は、慣性ロータ103と実質的に同心となるように配置され、慣性ロータ103の内周に固定されている。磁性体リング133は、慣性ロータ103の剛性(強度)補強の役割も兼ねている。
【0019】
ギャップ調整用電磁石134は、ラジアル方向で磁性体リング133に対向する。ギャップ調整用電磁石134は、ラジアル方向におけるギャップ変量(磁性体リング133とギャップ調整用電磁石134との間のギャップ変量)を検出するギャップセンサを内蔵している。フライホイール蓄電装置100は、慣性ロータ103の回転中心に対して対称配置された複数のギャップ調整用電磁石134を有してもよい。
【0020】
ギャップ調整用電磁石135は、重力方向で磁性体リング133に対向する。ギャップ調整用電磁石135は、重力方向におけるギャップ変量(磁性体リング133とギャップ調整用電磁石135との間のギャップ変量)を検出するギャップセンサを内蔵している。フライホイール蓄電装置100は、慣性ロータ103の回転中心に対して対称配置された複数のギャップ調整用電磁石135を有してもよい。
【0021】
ギャップコントローラ136は、このギャップ調整用電磁石134,135の上記ギャップセンサの信号に基づいて、ギャップ調整用電磁石134,135が生じる磁束を調節し、上記ギャップ変量を目標値の近傍に維持する。 慣性ロータ103が大気中で回転すると、空気との粘性摩擦によりブレーキがかかることになる。これを低減させるため、装置本体は、以下のような手段が講じられていてもよい。
【0022】
装置匡体101は、匡体ベース107と匡体カバー108との接合面がシールされた密閉構造となっており、上記収容空間が真空状態とされている。これにより、慣性ロータ103回転時の風損(空気との表面摩擦損)が低減されている。
【0023】
図3は、界磁部及び電機子部の拡大図である。図3の構造によれば、界磁部104と電機子部106との間に作用する力が、慣性ロータ103のアキシアル方向及びラジアル方向のいずれにおいても小さくなる。これにより、ギャップ調整用電磁石134,135による、アキシアル方向及びラジアル方向のギャップ調整を容易にし、ギャップ調整用電磁石134,135で発生する損失を低減させることができる。
【0024】
図3において、界磁部104は、界磁ディスク105の両面側を互いに逆極性にするように設けられ、電機子部106は、界磁ディスク105の両面にそれぞれ対向する少なくとも一組のコイルを有する。例えば外側界磁部112は界磁ディスク105を貫通する外側界磁磁石113により構成されており、内側界磁部122も界磁ディスク105を貫通する内側界磁磁石123により構成されている。外側界磁磁石113及び内側界磁磁石123は、例えば永久磁石である。界磁ディスク105は非磁性材料により構成されている。この構造により、界磁ディスク105の薄型化が可能となっている。
【0025】
外側電機子部114は、外側電機子部ヨーク115と一組の外側電機子部コイル116(コイル)とを有する。外側電機子部ヨーク115は、界磁ディスク105の外周に沿うリング状部材であり、鉄等の軟質磁性材料により構成されている。外側電機子部ヨーク115の断面は界磁ディスク105の中心側に開いたU字状であり、外側電機子部ヨーク115の内面は界磁ディスク105の両面に対向している。一方の外側電機子部コイル116は、外側電機子部ヨーク115の上側内面に取り付けられており、界磁ディスク105の上面に対向する。他方の外側電機子部コイル116は、外側電機子部ヨーク115の下側内面に取り付けられており、界磁ディスク105の下面に対向する。上側及び下側の外側電機子部コイル116はいずれも空芯コイルである。
【0026】
内側電機子部124は、内側電機子部ヨーク125と一組の内側電機子部コイル126(コイル)とを有する。内側電機子部ヨーク125は、界磁ディスク105の内周に沿うリング状部材であり、鉄等の軟質磁性材料により構成されている。内側電機子部ヨーク125の断面は界磁ディスク105の外周側に開いたU字状であり、内側電機子部ヨーク125の内面は界磁ディスク105の両面に対向している。一方の内側電機子部コイル126は、内側電機子部ヨーク125の上側内面に取り付けられており、界磁ディスク105の上面に対向する。他方の内側電機子部コイル126は、内側電機子部ヨーク125の下側内面に取り付けられており、界磁ディスク105の下面に対向する。上側及び下側の内側電機子部コイル126はいずれも空芯コイルである。
【0027】
このように、電機子部106のコイルと界磁部104の磁石とがアキシアル方向で対向する構成によれば、ラジアル方向において電機子部106と界磁部104との間に生じる力が小さくなる。また、電機子部106に電流が流れることにより発生する磁界が界磁ディスク105を貫通する構成にすれば、アキシアル方向において界磁部104の両側に作用する力が打ち消し合う。更に、外側電機子部コイル116及び内側電機子部コイル126が空芯であるため、アキシアル方向において界磁部104の両側に生じる力がいずれも小さくなる。従って、アキシアル方向において界磁部104に作用する合力が小さくなる。
【0028】
図4は、界磁部及び電機子部の変形例を示す図である。図4に、フライホイール電動発電部変形例の詳細構造を示す。図4の構造によれば、界磁部104と電機子部106との間に作用する力が大きくなるので、電動発電部102の小型化に有効である。図3に示す構造と同様に、ラジアル方向及びアキシアル方向のギャップ調整はギャップ調整用電磁石134,135により行われる。
【0029】
具体的に、図4においては、外側電機子部コイル116及び内側電機子部コイル126が空芯でない。外側電機子部コイル116には外側電機子部ヨーク115の内面から突出した芯が挿入されている。換言すると、外側電機子部コイル116は、外側電機子部ヨーク115の内面から突出した芯の間に嵌め込まれている。内側電機子部コイル126には内側電機子部ヨーク125の内面から突出した芯が挿入されている。換言すると、内側電機子部コイル126は、内側電機子部ヨーク125の内面から突出した芯の間に嵌め込まれている。この構造により、界磁部104と電機子部106との間のギャップ磁界強度が、コイルが空芯である場合に比べて強くなる。つまりは機器内の磁気ポテンシャルエネルギー密度が高くなる。この分、電動発電部102の小型化が可能となる。
【0030】
なお、図4は、界磁ディスク105を貫通する磁石に代えて、界磁ディスク105の両面にそれぞれ配置される一対の磁石により構成される例を示している。例えば、外側界磁部112は、界磁ディスク105の上側の外側界磁磁石143と、界磁ディスク105の下側の外側界磁磁石144とにより構成される。内側界磁部122は、界磁ディスク105の上側の内側界磁磁石153と、界磁ディスク105の下側の内側界磁磁石154とにより構成される。
【0031】
この場合、界磁ディスク105は、外側ロータディスク145と、内側ロータディスク155と、マグネットホルダ146とを含む。外側ロータディスク145及び内側ロータディスク155は、慣性ロータ103と同心の環状板であり、鉄等の軟質磁性材料により構成されている。外側ロータディスク145は、外側界磁磁石143,144の間に介在する。内側ロータディスク155は、内側界磁磁石153,154の間に介在する。マグネットホルダ146は、非磁性材料により構成されており、外側界磁磁石143,144、外側ロータディスク145、内側界磁磁石153,154及び内側ロータディスク155を保持する。外側界磁磁石143,144の磁化方向は互いに逆向きとなっていてもよい。同様に、内側界磁磁石153,154の磁化方向も互いに逆向きとなっていてもよい。この場合、界磁ディスク105の両側が同極性となる(磁束対称構造)。外側界磁磁石143,144の磁化方向は互いに同じ向きとなっていてもよい。同様に、内側界磁磁石153,154の磁化方向も互いに同じ向きとなっていてもよい。この場合、界磁ディスク105の両側が逆極性となる(磁束貫通構造)。この構造の場合、外側ロータディスク145及び内側ロータディスク155は省略可能である。
【0032】
本実施形態に係るフライホイール蓄電システム1においては、フライホイール蓄電装置100の外側電機子部114及び内側電機子部124のそれぞれには、電力変換装置160が接続されている。この電力変換装置160の機能としては、発電電力を慣性ロータ103にエネルギー貯蔵するエネルギーの流れと、貯蔵エネルギーを電力変換するエネルギーの流れの、双方向に電力変換が可能なものを用いる。
【0033】
次に、図5を参照しつつ、本実施形態に係るフライホイール蓄電システム1のシステム構成について説明する。図5は、フライホイール蓄電システム1の概略構成を示す模式図である。
【0034】
図5に示すように、フライホイール蓄電システム1は、上述したフライホイール蓄電装置100と、フライホイール蓄電装置100に対する充放電を互いに独立して行う複数の電力変換装置160とを備える。複数の電力変換装置160のそれぞれは、フライホイール蓄電装置100の電機子部106と充放電系統との間に介在し、フライホイール蓄電装置100の電機子部106側と、電機子部106の逆側(上記充放電系統側)との間で電力変換を行う。
【0035】
充放電系統は、主として余剰電力をフライホイール蓄電装置100に充電する系統(以下、「電力供給系統191」という。)と、主としてフライホイール蓄電装置100から放電された電力を消費する系統(以下、「電力消費系統192」という。)とのいずれであってもよい。一例として、フライホイール蓄電装置100の外側電機子部114には、電力供給系統191が電力変換装置160を介して接続される。電力供給系統191の具体例としては、風力発電システム、太陽光発電システム等の分散電源が挙げられる。フライホイール蓄電装置100の内側電機子部124には、電力消費系統192が電力変換装置160を介して接続される。電力消費系統192の具体例としては、工場、家屋等の需要家設備が挙げられる。なお、電力消費系統192という定義はあくまで便宜上のものであり、電力消費系統192が余剰電力をフライホイール蓄電装置100に充電する場合もありうる。例えば、工場、家屋等が風力発電システム又は太陽光発電システム等の分散電源を有し、その余剰電力をフライホイール蓄電装置100に充電する場合がある。より具体的に、電力消費系統192で電力のデマンドが生じた場合、慣性ロータ103の貯蔵エネルギーが界磁部104と電機子部106とによって電気エネルギーに変換され、電力変換装置160を介して電力消費系統192に供給される。一方、電力消費系統192で生じた余剰電力は電力変換装置160を介して電機子部106側に送られ、その電気エネルギーが電機子部106と界磁部104とによって回転エネルギーに変換されて慣性ロータ103に貯蔵される。このように、電力変換装置160を介したエネルギーの流れの方向は、双方向になる。
【0036】
電機子部106のいずれか(例えば外側電機子部114のいずれか)は、電力変換装置160を介して外部系統193(商用電源系統)に接続されていてもよい。換言すると、複数の電力変換装置160の少なくとも一つは、電機子部106と外部系統193との間に介在していてもよい。これにより、フライホイール蓄電システム1に余剰電力がある場合には、外部系統193側に売電を行い、フライホイール蓄電システム1の貯蔵エネルギーが不足する場合には、外部系統193から買電することができる。
【0037】
電力変換装置160は、フライホイール蓄電装置100の電機子部106に対して充放電される電力と、電力供給系統及び電力消費系統から入出力される電力との間の電力変換を行うものである。例えば電力変換装置160は、交流交流電力変換器である。交流交流電力変換器は、順変換器とインバータを直流リンク回路で接続したものであってもよく、直流リンク回路を介さずに交流交流変換を行うマトリクスコンバータであってもよい。電力変換装置160は、入出力される電力の形態に応じて、例えば交流直流電力変換器、直流直流電力変換器であってもよい。
【0038】
複数の電力変換装置160の少なくとも一つは、電機子部106の逆側の電圧が目標値に追従するように電力変換を行ってもよい。例えば複数の電力変換装置160の少なくとも一つは、電機子部106の逆側の電力が交流電力である場合に、電機子部106の逆側の電圧振幅及び位相が目標値に追従するように電力変換を行ってもよい。複数の電力変換装置160の少なくとも一つは、電機子部106側の電圧を慣性ロータ103の加速用の目標値に追従させる加速モードの電力変換を、慣性ロータ103の回転速度の上昇に応じて、電機子部106の逆側の電圧を目標値に追従させる定常モードの電力変換に切り替えてもよい。これらのエネルギーの流れを制御するため、フライホイール蓄電システム1は、エリア電力マシンコントローラ501を更に備えてもよい。エリア電力マシンコントローラ501は図5に示すとおり、各電力変換装置160に接続され、そこで行う電力変換に関する指令を各電力変換装置160に送出する。
【0039】
エリア電力マシンコントローラ501は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、入出力インターフェース回路で構成されるコンピュータシステムで、プロセッサはストレージからメモリにロードされたプログラムを実行することにより各制御機能を実現する。ストレージは、コンピュータによって読み取り可能な不揮発型の記憶媒体(例えばハードディスク又はフラッシュメモリ)である。ストレージは、後述の定常運転指令部502、起動運転指令部503及び指令切替部504を構成するためのプログラムの記憶領域を含む。入出力インターフェース回路は、プロセッサに入出力される信号外部回路とインターフェースする際に必要な信号変換を行う。なお、エリア電力マシンコントローラ501は必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。例えば、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
【0040】
図6は、エリア電力マシンコントローラ501の機能上の構成を例示するブロック図である。図6において、エリア電力マシンコントローラ501は、定常運転指令部502、起動運転指令部503、指令切替部504を有する。
【0041】
定常運転指令部502は、外側電機子部114に接続される各電力供給系統191、外部系統193、及び内側電機子部124に接続される各電力消費系統192の定格電圧の大きさを出力電圧指令とし、出力電圧指令を電力変換装置160に送出する。
【0042】
定常運転指令部502より、出力電圧指令を取得した電力変換装置160は、対応する電機子部106の逆側の電圧を本出力電圧指令に追従させるように電力変換を行う。これにより、電機子部106の逆側の電圧が出力電圧指令の近傍に維持された状態で、フライホイール蓄電装置100に対する充放電が行われる。この際電力変換装置160は、接続された電力供給系統191、外部系統193又は電力消費系統192の交流電圧の位相を検出し、検出した位相と、定常運転指令部502から取得した出力電圧指令とに基づき出力電圧指令を生成し、電機子部106の逆側の電圧を当該出力電圧指令に追従させる。これにより、各電機子部106にはそこに接続された電力供給系統191、外部系統193又は電力消費系統192の電力事情に応じた電流が、電力変換装置160を通して流れ、これら系統と慣性ロータ103の間で電力の授受が行われる。
【0043】
起動運転指令部503は、フライホイール蓄電装置100を起動する際の起動回転数指令を生成する。かかる起動回転数指令は、慣性ロータ103に対する回転数指令であり、回転数ゼロから所定の回転数まで所定の加速時間で上昇する回転数指令である。ここで所定の回転数とは、例えば慣性ロータ103に対して機械仕様として定められた通常運転時の回転数である。また所定加速時間内の回転数指令の上昇については、直線パターンによるものであってもよいし、さらにS字時間を設定したS字パターンによるものであってもよい。
【0044】
起動運転指令部503にて生成された起動回転数指令は、電力供給系統191又は外部系統193の接続された電力変換装置160のうち、起動制御用として定められたものに対して送出される。起動回転数指令が送出される電力変換装置160は一つであっても複数であってもよい。フライホイール蓄電装置100を起動する場合、エリア電力マシンコントローラ501より起動回転数指令を取得した電力変換装置160のみが起動し、他の電力変換装置160は停止状態である。起動回転数指令を所得した電力変換装置160は、起動回転数指令に従い慣性ロータ103を回転数ゼロから上記定常モード用の回転数まで上昇させる交流電圧を出力する。
【0045】
このとき電力変換装置160は、起動回転数指令をこの電力変換装置160が接続される外側電機子部114に対する起動周波数指令に変換する。この起動周波数指令は起動回転数指令による回転数で慣性ロータ103が回転したとき、外側電機子部114に発生する誘起電圧の周波数に相当する。電力変換装置160は起動周波数指令に基づき、例えばV/f一定制御により出力電圧を決定し、外側電機子部114に対して出力する。これにより、慣性ロータ103は起動回転数指令に従い通常運転時の回転数まで起動・加速する。
【0046】
以上のようにして、慣性ロータ103が通常回転速度まで加速した後、フライホイール蓄電装置100は定常運転に移行する。この時、エリア電力マシンコントローラ501はまず慣性ロータ103の起動・加速に使用された電力変換装置160を停止する。これにより、フライホイール蓄電装置100は、電力供給系統191、電力消費系統192及び外部系統193の全てから切り離され、慣性ロータ103は自身が持つ慣性モーメントにより惰性で回転を続け、各電機子部106には、慣性ロータ103の回転数に応じた誘起電圧が発生する。この状態でエリア電力マシンコントローラ501は全電力変換装置160を起動し、定常運転指令部502から電力変換装置160への出力電圧指令の出力を開始する。
【0047】
慣性ロータ103の起動に使用された電力変換装置160に対する指令は、指令切替部504によって起動運転指令部503による指令から定常運転指令部502による指令に切り替えられる。指令切替部504は慣性ロータ103の起動・加速時は、起動・加速に使用される電力変換装置160に対して、起動運転指令部503による起動回転数指令を送出する。慣性ロータ103が定常モード用の回転速度まで加速完了後、起動・加速に使用された電力変換装置160が停止する時、指令切替部504は起動回転数指令の送出を停止する。その後全電力変換装置160が起動するタイミングに合わせて、指令切替部504は起動・加速に使用された電力変換装置160に対する指令を定常運転指令部502による出力電圧指令に切り替える。
【0048】
図7は、電力変換装置160の機能上の構成を例示するブロック図である。電力変換装置160は電力変換部161と、出力フィルタ162と、系統電圧検出部163と、入力フィルタ164と、フライホイール電圧検出部165と、電流センサ167と、制御部166とを有する。電力変換部161は半導体スイッチング素子で構成され、制御部166が出力するスイッチング指令により半導体スイッチング素子がスイッチングを行うことにより、入力電力および出力電力の間の電力変換を行う。なお、電力変換部161の半導体スイッチング素子の回路構成は、電力変換装置160が交流交流電力変換器であるか交流直流電力変換器であるか直流直流電力変換器であるかによって異なる。
【0049】
本実施形態においては、電力変換部161は交流交流電力変換器であり、その中でも順変換器の一形態であるPWMコンバータと、インバータとを直流リンク回路で接続したものとしている。PWMコンバータとインバータは同じ回路構成となるが、ここでは便宜上、交流側が電機子部106に接続されたものをPWMコンバータ、交流側が電力系統に接続されたものをインバータとする。
【0050】
また、本実施形態では、直流リンク回路に電流検出部があり、直流リンク回路の直流電流の大きさ及び方向を検出し、検出した情報を制御部166に入力する構成としている。直流電流の方向は例えばPWMコンバータからインバータに流れる方向の電流の大きさを正の値、インバータからPWMコンバータに流れる方向の電流の大きさを負の値とすることで、検出する。
【0051】
出力フィルタ162は電力変換部161から出力される電流に含まれるスイッチングノイズを除去するために設けられるもので、電力変換部のスイッチング周波数の2倍以上のカットオフ周波数をもち、例えばリアクトルLやリアクトルLとコンデンサCで構成されるLCフィルタ、LCLフィルタである。
【0052】
系統電圧検出部163は、出力フィルタ162の系統接続側の電圧を検出するもので、例えば線間電圧、あるいは多相交流であれば中性点間の電圧を分圧抵抗で分圧した電圧の検出を行うものである。検出した電圧は制御部166に入力される。
【0053】
入力フィルタ164は電力変換部161と電機子部106との間に流れる電流に含まれる高調波成分を除去するために設けられるもので、例えばリアクトルL、あるいはLCフィルタ、LCLフィルタ等が使用される。
【0054】
フライホイール電圧検出部165は、電機子部106に発生する誘起電圧を検出するもので、系統電圧検出部163と同じく例えば線間電圧、あるいは多相交流であれば中性点間の電圧を分圧抵抗で分圧した電圧の検出を行うものである。検出した電圧は制御部166に入力される。
【0055】
電流センサ167は、出力フィルタ162と系統電圧検出部163との間に流れる電流を検出する。検出した電流は制御部166に入力される。
【0056】
制御部166は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、入出力インターフェース回路で構成されるコンピュータシステムで、プロセッサはストレージからメモリにロードされたプログラムを実行することにより各制御機能を実現する。ストレージは、後述の電圧振幅算出部170、電圧位相周波数検出部171、出力電圧指令生成部172、電圧振幅算出部173、電圧位相周波数検出部174、直流電圧指令設定部175、入力電流指令部177、入力電圧指令生成部178、回転数周波数変換部179、V/f指令部180、加速電圧指令生成部181、加速/定常切替部182及びスイッチング指令出力部183を構成するためのプログラムの記憶領域を含む。入出力インターフェース回路は、プロセッサに入出力される信号外部回路とインターフェースする際に必要な信号変換を行う。なお、制御部166は必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。例えば、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
【0057】
図7に示すとおり、制御部166は電圧振幅算出部170と、電圧位相周波数検出部171と、出力電圧指令生成部172と、電圧振幅算出部173と、電圧位相周波数検出部174と、直流電圧指令設定部175と、乗算器176と、入力電流指令部177と、入力電圧指令生成部178と、回転数周波数変換部179と、V/f指令部180と、加速電圧指令生成部181と、加速/定常切替部182と、スイッチング指令出力部183とを有する。
【0058】
制御部166では、上記加速モードと上記定常モードとで、電力変換装置160の制御の切替を実施する。この切替は加速/定常切替部182の切替動作により行われる。
【0059】
加速/定常切替部182は、電力変換部161のインバータに対する電圧指令、電力変換部161のPWMコンバータに対する電圧指令、入力電圧指令生成部178に入力される周波数検出値、振幅算出値、位相検出値を加速モードと定常モードとで切り替える。
【0060】
加速モードにおいて、電力の流れは電力系統からフライホイール蓄電装置100への方向となる。従って、電力変換部161のインバータが入力電力の制御を行い、PWMコンバータがフライホイール蓄電装置100への出力電力の制御を行う。
【0061】
このため加速モードにおいて、インバータ指令は系統電圧検出部163の検出した電圧の周波数、振幅、位相及び直流リンク回路を流れる電流に基づき、入力電圧指令生成部178で生成される入力電圧指令となり、PWMコンバータ指令はエリア電力マシンコントローラ501から取得した起動時回転数指令に基づき加速電圧指令生成部181で生成される加速電圧指令となる。
【0062】
これに対し定常モードでは、電力の流れは電力系統側の電力需給状態により、電力系統とフライホイール蓄電装置100との間で双方向の流れとなる。このため、電力変換装置160は電力変換部161のインバータより一定の大きさの交流電圧を出力し、この交流電圧と電力系統の実際の交流電圧との大小関係により、上記双方向の電力の流れが作り出される。電力変換装置160はフライホイール電圧検出部165の検出した電圧の周波数、振幅、位相及び直流リンク回路を流れる電流に応じた交流電圧を電力変換部161のPWMコンバータから出力することで、電力変換部161のインバータでの電力の流れと同じ方向の流れを電力変換部161のPWMコンバータでも作り出す。
【0063】
より具体的には定常モードにおいて、インバータ指令はエリア電力マシンコントローラ501から取得した出力電圧指令及び電力系統の実際の交流電圧の位相に基づき、出力電圧指令生成部172で生成される系統出力電圧指令となり、PWMコンバータ指令は電機子部106に発生する誘起電圧の周波数、振幅、位相及び直流リンク回路を流れる電流に基づき、入力電圧指令生成部178で生成される入力電圧指令となる。
【0064】
以上の加速モード、定常モードでの電力変換装置160の制御を切り替えるために、制御部166の加速/定常切替部182は、図8に示す定常モードに対応した状態A及び加速モードに対応した状態Bを切り替える。
【0065】
状態Aにおいては、インバータ指令が出力電圧指令生成部172の出力(出力電圧指令)に接続され、PWMコンバータ指令が入力電圧指令生成部178の出力(入力電圧指令)に接続され、入力電圧指令生成部178に入力される交流電圧周波数f、及び入力電流指令部177と入力電圧指令生成部178とに入力される入力電圧位相θが電圧位相周波数検出部174の出力(fIN及びθIN)に接続され、入力電圧指令生成部178に入力される入力電圧振幅Eが電圧振幅算出部173の出力(EIN)に接続される。
【0066】
また状態Bにおいては、インバータ指令が入力電圧指令生成部178の出力(入力電圧指令)に接続され、PWMコンバータ指令が加速電圧指令生成部181の出力(加速電圧指令)に接続され、入力電圧指令生成部178に入力される交流電圧周波数f、及び入力電流指令部177と入力電圧指令生成部178とに入力される入力電圧位相θが電圧位相周波数検出部171の出力(fOUT及びθOUT)に接続され、入力電圧指令生成部178に入力される入力電圧振幅Eが電圧振幅算出部170の出力(EOUT)に接続される。
【0067】
以上の信号接続の切替が加速/定常切替部182で行われる。続いて、加速/定常切替部182以外の制御部166の各部の動作を説明する。
【0068】
電圧振幅算出部170は、系統電圧検出部163で検出された電圧の振幅を算出する。例えば電力系統が三相交流システムの場合、系統電圧検出部163で検出された三相それぞれの電圧値を三相二相変換し、得られた二相の各電圧値の二乗和平方根を演算することで、振幅を算出する。
【0069】
電圧位相周波数検出部171は例えばPLL(Phase Locked Loop)であり、系統電圧検出部163で検出された電圧の位相と周波数を検出する。なお、位相の基準は例えば第一相電圧の負→正ゼロクロス時点とする。
【0070】
出力電圧指令生成部172は、エリア電力マシンコントローラ501より出力電圧指令E2を、また系統電圧位相周波数検出部151より系統電圧周波数fOUT及び系統電圧位相θOUTを取得し、電流センサ167より系統電流IOUTを取得し、これら取得した値に基づき出力電圧指令を生成する。出力電圧指令は、定常モードにおいて電力変換部161のインバータより電力系統側に出力する電圧の指令である。
【0071】
図9は、出力電圧指令生成部172の機能上の構成を例示するブロック図である。図9に示すように、出力電圧指令生成部172は、3相2相変換部172aと、電流振幅算出部172bと、比例・積分演算部172c,172dと、2相3相変換部172eとを有する。3相2相変換部172aは、系統電圧位相θOUTに基づいて系統電流IOUTに3相2相変換を施し、系統電圧と同相の電流成分Idと、これに対して位相が90度異なる電流成分Iqとを算出する。電流振幅算出部172bは、電流成分Idと電流成分Iqとの二乗和の平方根を電流振幅として算出する。比例・積分演算部172cは、電流振幅と電流成分Idとの偏差に比例・積分演算を行って出力電圧指令E2に対する加算成分を算出する。比例・積分演算部172dは、電流成分Iqに比例・積分演算を行って出力電圧指令E2に対する減算成分を算出する。2相3相変換部172eは、出力電圧指令E2に上記加算成分の加算と上記減算成分の減算とを行って出力電圧指令の補正値を算出し、当該補正値に対して系統電圧位相θOUTに基づく2相3相変換を施して出力電圧指令を算出する。
【0072】
上記電流成分Idは、フライホイール蓄電装置100に対する充放電を生じさせる有効電流である。一方、上記電流成分Iqは、フライホイール蓄電装置100に対する充放電を生じさせない無効電流であり、主として出力フィルタ162に起因して発生する。比例・積分演算部172c,172dによれば、電流成分Idを電流振幅に近付け、電流成分Iqをゼロに近付けるように出力電圧指令が補正される。これにより、出力フィルタ162による影響を軽減し、フライホイール蓄電装置100に対する充放電が実行される。
【0073】
以上のように、制御部166は、電圧振幅算出部170、電圧位相周波数検出部171、及び出力電圧指令生成部172により、エリア電力マシンコントローラ501にて設定された出力電圧指令E2に従って、電力変換装置160より電力系統に出力される交流電圧に対する指令を生成する。
【0074】
図7に戻り、電圧振幅算出部173は、フライホイール電圧検出部165で検出された電圧の振幅を算出する。例えばフライホイール蓄電装置100の電機子部106から出力される電圧が三相交流電圧の場合、フライホイール電圧検出部165で検出された三相それぞれの電圧値を三相二相変換し、得られた二相の各電圧値の二乗和平方根を演算することで、振幅を算出する。
【0075】
電圧位相周波数検出部174は例えばPLL(Phase Locked Loop)であり、フライホイール電圧検出部165で検出された電圧の位相と周波数を検出する。なお、位相の基準は例えば第一相電圧の負→正ゼロクロス時点とする。
【0076】
直流電圧指令設定部175は、電力変換部161の直流リンク回路の電圧指令値を設定する。この指令値は例えば、電力系統側の交流電圧の定格ピーク値と電機子部106から出力される交流電圧の定格ピーク値との間で大きい方の値に設定される。
【0077】
乗算器176は、電力変換部161の電流検出部で検出された直流リンク回路の直流電流値と直流電圧指令設定部175が出力する直流電圧指令とを乗算し、直流リンク回路の直流電力を算出する。
【0078】
入力電流指令部177は、乗算器176が出力する直流リンク回路の直流電力を加速/定常切替部182が出力する交流電圧振幅Eで除算し、除算結果を1/√3倍することで、入力電流指令Iacを算出し入力電圧指令生成部178に出力する。
【0079】
入力電圧指令生成部178は、入力側の力率が例えば以下となる入力電圧指令を生成する。すなわち電力変換装置160に入力側から電力が流れ込む場合力率は1、電力変換装置160に入力側から電力が流れ出す場合力率は-1とする。このため、入力電圧指令生成部178は、入力電流指令Iac以外に、加速/定常切替部182から交流電圧周波数f、入力電圧位相θ、入力電圧振幅Eを取得する。
【0080】
入力側の力率が上記のとおりである場合、出力フィルタ162及び入力フィルタ164のリアクトルLの両端に発生する電圧は、それぞれ系統電圧検出部163及びフライホイール電圧検出部165で検出した交流電圧とは90度の位相差を生じる。従って、入力側の力率を1とする入力電圧指令(入力側交流電圧の振幅指令)Eは次式で求まる。
【0081】
E=√{E +(2π・f・Lfil・Iac}・・・(1)
ここでLfilは、フィルタ内の1相当たりのリアクトルの合計インダクタンスである。
【0082】
またこのとき、電力変換装置160が出力する電圧と、系統電圧検出部163又はフライホイール電圧検出部165で検出される電圧との位相差をδとすると、位相差δは次式で求まる。
【0083】
|δ|=tan-1(2・f・Lfil・Iac/E)・・・(2)
ここで、δはフライホイール蓄電装置100の運転状態と電力変換装置160内部の電力の流れに応じて正負の符号を定める。具体的には、定常モードにおいては電力変換部161の電流検出部で検出される直流リンク回路を流れる電流の方向が、電力変換部161のPWMコンバータからインバータに向かう方向であればδは負の値とし、インバータからPWMコンバータに向かう方向であれば正の値とする。逆に、加速運転時は電力変換部161の電流検出部で検出される直流リンク回路を流れる電流の方向が、電力変換部161のPWMコンバータからインバータに向かう方向であればδは正の値とし、インバータからPWMコンバータに向かう方向であれば負の値とする。
【0084】
このように(1)式で定めた振幅E、(2)式で定めた位相差δにより、入力電圧指令生成部178は電力変換装置160から入力側に出力する電圧の指令である入力電圧指令を例えば次式により決定する。
【0085】
Vr=E・sin(θ+δ)
Vs=E・sin(θ+δ-2π/3)・・・(3)
Vt=E・sin(θ+δ-4π/3)
このように、制御部166は加速/定常切替部182、電圧振幅算出部173、電圧位相周波数検出部174、直流電圧指令設定部175、乗算器176、入力電流指令部177及び入力電圧指令生成部178により、電力変換装置160の入力側に、内部の電力の流れに応じた力率1又は-1の電流を流すために、入力側に出力する交流電圧指令を生成する。
【0086】
回転数周波数変換部179は、エリア電力マシンコントローラ501より起動回転数指令を受け取り、起動回転数指令で指定された回転数で慣性ロータ103を回転させるために、当該起動回転数指令を起動周波数指令fに変換する。起動周波数fは、電力変換装置160から例えば外側電機子部114側に出力する交流電圧の周波数の指令である。
【0087】
V/f指令部180は慣性ロータ103を回転させるために、例えば外側電機子部114に印加する交流電圧の周波数と振幅の関係を保持し、この関係に従い回転数周波数変換部179からの起動周波数指令fに対応した起動電圧振幅指令Vを得る。なお、この周波数と振幅の関係は式で表されるものであってもよいし、また周波数と電圧の組み合わせをいくつか設定したもので、起動周波数指令fによりこれらの設定組み合わせのうち二つを選び出して、補間により起動電圧振幅指令Vを定めるものであってもよい。
【0088】
加速電圧指令生成部181は、起動周波数指令f及び電圧振幅指令Vを用いて、加速電圧指令を例えば次式により決定する。
【0089】
Vu=V・sin(2π・f・t)
Vv=V・sin(2π・f・t-2π/3)・・・(4)
Vw=V・sin(2π・f・t-4π/3)
ここでtは起動開始時をゼロとし、起動開始時からの経過時間である。
【0090】
このように制御部166は回転数周波数変換部179、V/f指令部180及び加速電圧指令生成部181により、加速モードにおいてエリア電力マシンコントローラ501から指令される起動回転数指令に従って、フライホイール蓄電装置100の慣性ロータ103を起動させるために電力変換装置160がフライホイール蓄電装置100の例えば外側電機子部114側に出力すべき電圧を指令する交流電圧指令を生成する。
【0091】
以上のように、制御部166は出力電圧指令生成部172、入力電圧指令生成部178、加速電圧指令生成部181により、出力電圧指令、入力電圧指令及び加速電圧指令の3つの電圧指令をそれぞれ生成する。これら3つの電圧指令は加速/定常切替部182により、以下のとおり電力変換部161のインバータ及びPWMコンバータに対する指令となる。すなわち定常モードにおいては
インバータ指令:系統出力電圧指令
PWMコンバータ指令:入力電圧指令
であり、加速運転時は
インバータ指令:入力電圧指令
PWMコンバータ指令:加速電圧指令
となる。加速/定常切替部182は以上のインバータ指令及びPWMコンバータ指令をスイッチング指令出力部183に出力する。
【0092】
スイッチング指令出力部183は加速/定常切替部182からインバータ指令CINVとPWMコンバータ指令CPWMを取得し、これらの指令に基づき電力変換部161のインバータとPWMコンバータの半導体スイッチング素子をオン・オフするスイッチング指令を生成する。スイッチング指令出力部183は、例えば公知の三角波比較法により、インバータ指令CINV及びPWMコンバータ指令CPWMのそれぞれと三角波との大小関係に基づきスイッチング指令を生成し、電力変換部161に出力する。
【0093】
なお、スイッチング指令出力部183によるスイッチング指令の生成手法は三角波比較法に限らない。例えば三相の電圧指令として与えられるインバータ指令及びPWMコンバータ指令を空間ベクトルによる指令に変換し、公知の空間ベクトル法によりスイッチング指令を生成してもよい。また、上記の三相電圧指令を空間ベクトルに変換する方法としては、スイッチング指令出力部183で三相二相変換で三相電圧指令を二相電圧指令に変換し、この二相電圧指令から振幅と位相を求める方法等が挙げられる。
【0094】
以上の説明では、電力変換部161がインバータとPWMコンバータを直流リンク回路で接続した構成である場合の制御部166の構成と動作を説明した。電力変換部161がマトリクスコンバータであった場合は、制御部166の入力電圧指令生成部178は不要となる。また、加速/定常切替部182は、スイッチング指令出力部183にPWMコンバータ指令に代わって入力電圧位相θ及び入力電圧振幅Eを入力すればよい。スイッチング指令出力部183は、入力電圧位相θ及び入力電圧振幅Eから電圧を出力するために出力側に接続する入力電圧の相を選択し、インバータ指令により定まる出力電圧を出力するためのスイッチング指令を生成する公知のマトリクスコンバータのPWM方法により、スイッチング指令を生成すればよい。
【0095】
複数の電力変換装置160の少なくとも一つは、フライホイール蓄電装置100に充放電を行う充放電モードの運転状態と、フライホイール蓄電装置100に充放電を行わない非充放電モードの運転状態とを、フライホイール蓄電装置100の逆側の電流振幅に基づいて切り替えるように構成されていてもよい。非充放電モードと充放電モードとの切り替えは、例えば出力電圧指令生成部172において実行可能である。電力変換部161が、出力電圧指令E2に従って電力系統の電圧と同位相の電圧を出力すると、出力フィルタ162のリアクトルLには電力系統の電圧と電力変換部161の出力電圧の差電圧が印加される。その差電圧は電力系統の電圧と同相か逆相(180度位相差)となる。リアクトルLに流れる電流はこの差電圧から90度遅れるので、差電圧が同相、逆相いずれの場合においても電力系統の電圧と90度ずれることとなり、電力系統への出力電流は無効電流となる。このため、比例・積分演算部172cによる加算成分及び比例・積分演算部172dによる減算成分をゼロにすれば、電力変換装置160の運転状態が実質的に非充放電モードとなる。一方、上述したように比例・積分演算部172cが加算成分を算出し、比例・積分演算部172dが減算成分を算出すれば、電力変換装置160の運転状態が充放電モードとなる。これを利用し、電力変換装置160は、電流振幅算出部172bにより算出される電流振幅が第1の電流閾値を超えると比例・積分演算部172cによる加算成分の算出及び比例・積分演算部172dによる減算成分の算出を開始するように構成されていてもよい。更に電力変換装置160は、電流振幅算出部172bにより算出される電流振幅が第2の電流閾値を下回ると比例・積分演算部172cによる加算成分の算出及び比例・積分演算部172dによる減算成分の算出を停止する(すなわち加算成分及び減算成分をゼロにする)ように構成されていてもよい。第1の電流閾値は、第2の電流閾値より大きい値に設定されていてもよい。
【0096】
なお、充放電モードと非充放電モードとの切り替え手法は、出力電圧指令生成部172を用いた上記手法に限られない。例えば電力変換装置160は、非充放電モードでは電力変換部161による電力変換を停止させるように構成されていてもよい。
【0097】
加速/定常切替部182により状態Bを選択して加速電圧指令を生成する電力変換装置160は例えば、外側電機子部114に接続される電力変換装置160のうちのいずれかであればよい。もし外部系統193に接続される電力変換装置160があれば、その電力変換装置160の制御部166の加速/定常切替部182が状態Bを選択し、外部系統193から慣性ロータ103の加速に必要な電力の供給を受けることができる。
【0098】
また、慣性ロータ103の加速が完了した後には、外部系統193に接続された電力変換装置160により定常モードの電力変換を継続すれば、フライホイール蓄電装置100全体で余剰電力がある場合には外部系統193側に電力を送出し、フライホイール蓄電装置100からのデマンドがある場合には外部系統193側から電力の供給を受けることができる。このため、一度慣性ロータ103の加速が完了すれば、外部系統193が停電状態とならない限り、加速モードの電力変換は不要となる。
【0099】
電機子部106と外部系統193との間に介在する電力変換装置160は、上記充放電モードの運転状態と、上記非充放電モードの運転状態とを、慣性ロータ103の回転速度に関する情報に基づいて切り替えるように構成されていてもよい。慣性ロータ103の回転速度に関する情報は、例えばセンサなどによる慣性ロータ103の回転速度の実測値であってもよいし、慣性ロータ103の回転速度に相関する値の検出値であってもよい。慣性ロータ103の回転速度に相関する値の具体例としては、電圧位相周波数検出部174の出力であるフライホイール電圧の周波数、電機子部106に生じる誘起電圧等が挙げられる。例えば電力変換装置160は、上記フライホイール電圧の周波数が第1の周波数閾値を超えると比例・積分演算部172cによる加算成分の算出及び比例・積分演算部172dによる減算成分の算出を開始するように構成されていてもよい。更に電力変換装置160は、電機子部106に生じる誘起電圧が第2の周波数閾値を下回ると比例・積分演算部172cによる加算成分の算出及び比例・積分演算部172dによる減算成分の算出を停止する(すなわち加算成分及び減算成分をゼロにする)ように構成されていてもよい。第1の周波数閾値は、第2の周波数閾値より大きい値に設定されていてもよい。
【0100】
この場合における充放電モードと非充放電モードとの切り替え手法も、出力電圧指令生成部172を用いた上記手法に限られない。例えば電力変換装置160は、非充放電モードでは電力変換部161による電力変換を停止させるように構成されていてもよい。また、慣性ロータ103の回転速度に関する情報をエリア電力マシンコントローラ501においてモニタし、エリア電力マシンコントローラ501が電力変換装置160の運転・停止を切り替えてもよい。
【0101】
<第1実施形態変形例>
上述した1つのフライホイール蓄電システム1がカバーできるエリアには限界がある。そこで、フライホイール蓄電システムは、複数のフライホイール蓄電システム1を備えていてもよい。この場合、図10に示すように、複数のフライホイール蓄電システム1のフライホイール蓄電装置100は、慣性ロータ103が同一の軸線まわりに回転するように重なって配置されていてもよい(タンデム重畳構造)。複数のフライホイール蓄電システム1のそれぞれがエリア電力マシンコントローラ501を備える必要はなく、1つのエリア電力マシンコントローラ501で複数のフライホイール蓄電システム1のデマンドコントロールを行ってもよい。本変形例により、装置を大型化することなく、より広いエリアをカバーできるフライホイール蓄電システムを提供することが可能となる。
【0102】
以上説明したように、本実施形態に係るフライホイール蓄電システム1は、フライホイール蓄電装置100の慣性ロータ103と一体になった複数の界磁部104に、複数の電機子部106を有することにより、例えば複数の風力発電システム、又は太陽光発電システムからの発電電力を貯蔵するオペレーションと同時に、電力ユーザの電力デマンドに対応でき、あたかも本実施形態に係るフライホイール蓄電システム1を介して、スマートグリッドと同等の機能を得ることができる。
【0103】
また、複数の電機子部106の一つを、電力変換装置160を介して外部系統193に接続することで、フライホイール蓄電システム1全体で余剰がある場合には、外部系統193側に売電を行い、フライホイール蓄電システム1からのデマンドがある場合には、外部系統193から買電することができ、システム全体の電力授受の安定化が図れる。
【0104】
更に、フライホイール蓄電システム1の蓄電容量を増大させ、一日の電力取引裁定価格の中で、低価格の時間帯で外部系統193から電力需給を行い、これをフライホイール蓄電装置100に電力貯蔵し、高価格時間帯に貯蔵電力を消費することで、本実施形態に係るフライホイール蓄電システム1に接続された電力ユーザの、電力料金を安くすることが可能となるような運用法も可能となる。
【0105】
なお、図10に示すタンデム重畳構造においては、重畳配置された慣性ロータ103同士を連結して一体化してもよい。これにより、複数のフライホイール蓄電装置100間で慣性ロータ103の回転エネルギーを共有させ、貯蔵エネルギーの安定化を図ることができる。
【0106】
<第2実施形態>
次に、図11を参照しつつ、第2実施形態に係るフライホイール蓄電システム2について説明する。フライホイール蓄電システム2は、複数のフライホイール蓄電システム1と、中継用電力変換装置260(中継電力変換装置)とを有する。図11は、二つのフライホイール蓄電システム1(以下、「第1蓄電システム1A」及び「第2蓄電システム1B」という。)を示しているが、フライホイール蓄電システム1の数は2つに限られない。中継用電力変換装置260は、第1蓄電システム1Aのフライホイール蓄電装置100と第2蓄電システム1Bのフライホイール蓄電装置100との相互間で充放電を行う。例えば中継用電力変換装置260は、第1蓄電システム1A側の電圧と、第2蓄電システム1B側の電圧とのいずれかを目標値に追従させるように電力変換を行う。中継用電力変換装置260は、第1蓄電システム1A側の電圧及び第2蓄電システム1B側の電圧のいずれを上記目標値に追従させるかを設定に応じて切り替えるように構成されていてもよい。
【0107】
図11に示すように、各フライホイール蓄電装置100における複数の電機子部106は、中継電機子部204を更に含んでおり、中継用電力変換装置260は中継電機子部204同士を接続する。
【0108】
中継電機子部204は、他の電機子部106と異なり、他のフライホイール蓄電システム1に接続されることとなる。その結果、第2実施形態によれば、各フライホイール蓄電システム1における電力の授受を、外部系統だけではなく、他の同様のフライホイール蓄電システム1との間で実施することで、電力デマンドの共有エリアを広げていくことができる。なお、中継電機子部204は慣性ロータ103の外側にあっても、内側にあってもよい。換言すると、中継電機子部204は外側電機子部114と内側電機子部124のいずれであってもよい。
【0109】
中継用電力変換装置260の構成は、電力変換装置160との共通部分を含んでいるので、以下では電力変換装置160との相違点を中心に中継用電力変換装置260の構成を説明する。
【0110】
図12に示すように、中継用電力変換装置260は、電力変換部261と、フィルタ262と、電圧検出部263と、フィルタ264と、電圧検出部265と、電流センサ267,268と、制御部266とを有する。電圧検出部263は、その接続先が第1蓄電システム1Aの中継電機子部204である点を除き、系統電圧検出部163と同じである。電圧検出部265は、その接続先が第2蓄電システム1Bの中継電機子部204である点を除き、フライホイール電圧検出部165と同じである。電力変換部261及びフィルタ262,264は、電力変換部161、出力フィルタ162及び入力フィルタ164とそれぞれ同じである。電流センサ267は、電流センサ167と同様に電圧検出部263とフィルタ262との間に流れる電流を検出する。電流センサ268は、電圧検出部265とフィルタ264との間に流れる電流を検出する。
【0111】
制御部266は、制御部166の電圧振幅算出部170,173、及び電圧位相周波数検出部171,174を電圧振幅算出部270,273、及び電圧位相周波数検出部271,274にそれぞれ置き換え、更に方向切替部284を付加したものである。
【0112】
電圧振幅算出部270は、電圧振幅算出部170と同様に、電圧検出部263で検出された電圧の振幅(電圧振幅E12)を算出する。電圧位相周波数検出部271は、電圧位相周波数検出部171と同様に、電圧検出部263で検出された電圧の位相(電圧位相θ12)と周波数(電圧周波数f12)とを検出する。電圧振幅算出部273は、電圧振幅算出部173と同様に、電圧検出部265で検出された電圧の振幅(電圧振幅E11)を算出する。電圧位相周波数検出部274は、電圧位相周波数検出部174と同様に、電圧検出部263で検出された電圧の位相(電圧位相θ11)と周波数(電圧周波数f11)とを検出する。
【0113】
図13に示すように、方向切替部284は、第1蓄電システム1A側を制御部166における電力系統側とし、第2蓄電システム1B側を制御部166におけるフライホイール蓄電装置100側としたのに相当する状態Cと、第1蓄電システム1A側を制御部166におけるフライホイール蓄電装置100側とし、第2蓄電システム1B側を制御部166における電力系統側としたのに相当する状態Dとを切り替える。
【0114】
状態Cでは、電流センサ267により検出される電流I12が上記電流IOUTとされ、電圧振幅算出部270により算出される電圧振幅E12が上記電圧振幅EOUTとされ、電圧位相周波数検出部271により算出される電圧位相θ12が上記電圧位相θOUTとされ、電圧位相周波数検出部271により算出される電圧周波数f12が上記電圧周波数fOUTとされる。また、電圧振幅算出部273により算出される電圧振幅E11が上記電圧振幅EINとされ、電圧位相周波数検出部274により算出される電圧位相θ11が上記電圧位相θINとされ、電圧位相周波数検出部274により算出される電圧周波数f11が上記電圧周波数fINとされる。更に、上記インバータ指令CINVが第1蓄電システム1A側への電力変換指令C12とされ、上記PWMコンバータ指令CPWMが第2蓄電システム1B側への電力変換指令C11とされる。
【0115】
状態Dでは、電圧振幅算出部270により算出される電圧振幅E12が上記電圧振幅EINとされ、電圧位相周波数検出部271により算出される電圧位相θ12が上記電圧位相θINとされ、電圧位相周波数検出部271により算出される電圧周波数f12が上記電圧周波数fINとされる。また、電流センサ268により検出される電流I11が上記電流IOUTとされ、電圧振幅算出部273により算出される電圧振幅E11が上記電圧振幅EOUTとされ、電圧位相周波数検出部274により算出される電圧位相θ11が上記電圧位相θOUTとされ、電圧位相周波数検出部274により算出される電圧周波数f11が上記電圧周波数fOUTとされる。更に、上記インバータ指令CINVが第2蓄電システム1B側への電力変換指令C11とされ、上記PWMコンバータ指令CPWMが第1蓄電システム1A側への電力変換指令C12とされる。
【0116】
以上の方向切替部284の切替動作により、中継用電力変換装置260は二つの中継電機子部204の片方に対して、例えば(4)式で定まる電圧指令に応じて電圧を出力する。中継用電力変換装置260はエリア電力マシンコントローラ501から取得した出力電圧指令による所定の大きさの電圧を片方の中継電機子部204側に出力できる。
【0117】
また方向切替部284の切替動作により、中継用電力変換装置260は二つの中継電機子部204の片方に対して、その中継電機子部204を有するフライホイール蓄電装置100を起動する電力を、もう片方の中継電機子部204から供給することも可能である。
【0118】
以上説明したように、本実施形態に係るフライホイール蓄電システム2は、
1) 電力の授受を、外部系統だけではなく、他の同様のフライホイール蓄電システムとの間で実施することができるので、電力デマンドの共有エリアを広げていくことができ、変動する自然エネルギーによる発電システムにおいて、発電電力を無駄にせず効率的で経済性もよく、蓄電システムエリアの電力授受の独自性を高めることができる。
【0119】
2) このことは、外部系統への依存度が低下するため、災害時等、外部電力系統遮断の際でも、エリア内の電力需給が確保できるため、長時間の生活インフラを確保することが可能となる。
【0120】
<第2実施形態変形例>
第2実施形態における複数のフライホイール蓄電システム1を、第1実施形態変形例で示したタンデム重畳構造としてもよい。
【0121】
<本実施形態の効果>
以上に説明したように、フライホイール蓄電システム1は、慣性ロータ103の回転エネルギーとして電気エネルギーを蓄えるフライホイール蓄電装置100と、フライホイール蓄電装置100に対する充放電を互いに独立して行う複数の電力変換装置160と、を備える。
【0122】
フライホイール蓄電装置100においては、機械要素の劣化が生じない限り慣性ロータ103自体の蓄電性能は原理的に低下しない。このため、蓄電池に比較して高頻度の充放電に適応可能である。この性質を利用し、フライホイール蓄電システム1は、フライホイール蓄電装置100に対する充放電を互いに独立して行う複数の電力変換装置160を備える。これにより、消費時間帯と供給時間帯とのずれを吸収しつつ、多様な電力消費系統192と多様な電力供給系統191とを接続することができる。多様な電力消費系統192と多様な電力供給系統191との間に介在することによって、フライホイール蓄電装置100における電力の需給バランスが保たれ易くなる。このため、個々の系統による電力消費及び電力供給が不安定であっても、システム全体として電力の安定利用を図り易くなる。したがって、分散電源の更なる活用に有効である。
【0123】
フライホイール蓄電装置100は、慣性ロータ103を磁気により浮上させた状態で回転させる磁気浮上型の蓄電装置であってもよい。この場合、慣性ロータ103におけるエネルギーロスを低減し、分散電源の更なる有効活用を図ることができる。また、慣性ロータ103を磁気により浮上させることにより、機械要素の劣化が抑制されるので、フライホイール蓄電装置100の長寿命化も期待される。
【0124】
フライホイール蓄電装置100は、慣性ロータ103の回転中心を囲むように並び慣性ロータ103に固定された複数の界磁部104と、複数の電力変換装置160にそれぞれ接続され複数の界磁部104に対向する複数の電機子部106とを有し、複数の電力変換装置160のそれぞれはフライホイール蓄電装置100の電機子部106側と、電機子部106の逆側との間で電力変換を行ってもよい。
【0125】
フライホイール蓄電装置100は、回転中心に垂直となるように慣性ロータ103に固定された界磁ディスク105を有し、界磁部104は、磁化方向が界磁ディスク105に垂直となるように界磁ディスク105に固定され、電機子部106は界磁ディスク105の少なくとも片面に対向していてもよい。この場合、ラジアル方向において電機子部106と界磁部104との間に生じる力が小さくなる。このため、互いに独立した充放電に関与する複数の電機子部106が界磁ディスク105に対向していても、ラジアル方向における界磁ディスク105の位置が安定し易い。
【0126】
界磁部104は、界磁ディスク105の両面を互いに逆極性にするように設けられ、電機子部106は、界磁ディスク105の両面にそれぞれ対向し界磁ディスク105を貫通する磁界を発生させる少なくとも一組のコイル(外側電機子部コイル116又は内側電機子部コイル126)を有していてもよい。この場合、界磁ディスク105のアキシアル方向において、界磁部104の両側に生じる力が打ち消し合うので、アキシアル方向における界磁ディスク105の位置が安定し易い。
【0127】
コイル(外側電機子部コイル116又は内側電機子部コイル126)は空芯コイルであってもよい。この場合、アキシアル方向において界磁部104の両側に生じる力が小さくなるので、アキシアル方向における界磁ディスク105の位置が更に安定し易い。
【0128】
界磁ディスク105は環状であり、複数の界磁部104は、界磁ディスク105の外周に沿って並ぶ複数の外側界磁部112と、界磁ディスクの内周に沿って並ぶ複数の内側界磁部122とを含み、複数の電機子部106は、複数の外側界磁部112に対向する外側電機子部114と、複数の内側界磁部122に対向する内側電機子部124とを含んでいてもよい。この場合、界磁ディスク105の内周及び外周の両方を利用することで、より多くの電機子部106を配置することができる。
【0129】
複数の電力変換装置160の少なくとも一つは、電機子部106の逆側の電圧が目標値に追従するように電力変換を行ってもよい。この場合、各電力変換装置160の制御が簡素化されるので、システムを容易に構築することが可能となる。また、システム構築後における電力変換装置160の追加・削除も容易となる。
【0130】
複数の電力変換装置160の少なくとも一つは、電機子部106の逆側の電力が交流電力である場合に、電機子部106の逆側の電圧振幅及び位相が目標値に追従するように電力変換を行ってもよい。
【0131】
複数の電力変換装置160の少なくとも一つは、フライホイール蓄電装置100に充放電を行う充放電モードの運転状態と、フライホイール蓄電装置100に充放電を行わない非充放電モードの運転状態とを、フライホイール蓄電装置100の逆側の電流振幅に基づいて切り替えてもよい。この場合、例えば微小な充放電をカットすることで慣性ロータ103の加減速頻度を抑制し、蓄電状態の安定性を向上させることができる。
【0132】
複数の電力変換装置160の少なくとも一つは、フライホイール蓄電装置100の電機子部106と外部系統193との間に介在してもよい。この場合、フライホイール蓄電装置100の蓄電レベルの過不足が外部系統193により補われるので、蓄電状態の安定性を向上させることができる。
【0133】
フライホイール蓄電装置100の電機子部106と外部系統193との間に介在する電力変換装置160は、フライホイール蓄電装置100に充放電を行う充放電モードの運転状態と、フライホイール蓄電装置100に充放電を行わない非充放電モードの運転状態とを、慣性ロータ103の回転速度に関する情報に基づいて切り替えてもよい。この場合、フライホイール蓄電装置100と外部系統193との接続を制限することによって、蓄電電力のより有効な活用を図ることができる。
【0134】
複数の電力変換装置160の少なくとも一つは、電機子部106側の電圧を慣性ロータ103の加速用の目標値に追従させる加速モードの電力変換を、慣性ロータ103の回転速度の上昇に応じて、電機子部106の逆側の電圧を所定の目標値に追従させる定常モードの電力変換に切り替えてもよい。この場合、フライホイール蓄電装置100を容易に起動させることができる。
【0135】
フライホイール蓄電システム1は、上記のフライホイール蓄電システム1である複数のフライホイール蓄電システム1を備え、複数のフライホイール蓄電システム1のフライホイール蓄電装置100は、慣性ロータ103が同一の軸線まわりに回転するように重なって配置されていてもよい。この場合、限られたスペースにより多くのフライホイール蓄電システム1を設置することができる。
【0136】
フライホイール蓄電システム2は、上記のフライホイール蓄電システム1である第1蓄電システム1A及び第2蓄電システム1Bと、第1蓄電システム1Aのフライホイール蓄電装置100と第2蓄電システム1Bのフライホイール蓄電装置100との相互間で充放電を行う中継用電力変換装置260と、を備えていてもよい。この場合、二つのフライホイール蓄電システム1同士を電気的に接続することによって、より多くの電力消費系統192及び電力供給系統191を接続し、システム全体として電力の安定利用をより確実に図ることができる。
【0137】
中継用電力変換装置260は、第1蓄電システム1A側の電圧と、第2蓄電システム1B側の電圧とのいずれかを所定の目標値に追従させるように電力変換を行ってもよい。
【0138】
中継用電力変換装置260は、第1蓄電システム1A側の電圧及び第2蓄電システム1B側の電圧のいずれを目標値に追従させるかを設定に応じて切り替えてもよい。この場合、フライホイール蓄電システム1同士の関係を実情に合わせて柔軟に設定することができる。
【0139】
以上、本発明の実施形態について説明した。ただし、いわゆる当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態から適宜変更が可能であり、また、上記実施形態と変更例による手法を適宜組み合わせて利用することも可能である。すなわち、このような変更等が施された技術であっても、本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0140】
例えば図14に示すように、第2実施形態の手法により接続されるフライホイール蓄電システム1の数が多くなった場合に、これらを複数のグループに分けてグループごとにエリア電力マシンコントローラ501を配置し、更に複数のエリア電力マシンコントローラ501を統合するトータル電力マネジメントコントローラ520を設けてもよい。また、複数のエリア電力マシンコントローラ501を複数のグループに分けてグループごとにマスタコントローラ501Aとスレーブコントローラ501Bとを設定し、トータル電力マネジメントコントローラ520によって複数のマスタコントローラ501Aを統合してもよい。これらの構成によって、デマンドコントロールの処理を分散し、個別コントロールの効率向上と、データの一元化によるコントロールのスマート化(例えば機械学習の活用)との両立を図ることができる。
【符号の説明】
【0141】
1,2…フライホイール蓄電システム、100…フライホイール蓄電装置、103…慣性ロータ、104…界磁部、105…界磁ディスク、106…電機子部、112…外側界磁部(外周側界磁部)、114…外側電機子部(外周側電機子部)、116…外側電機子部コイル(コイル)、122…内側界磁部(内周側界磁部)、124…内側電機子部(内周側電機子部)、126…内側電機子部コイル(コイル)、160…電力変換装置、193…外部系統(商用電源系統)、260…中継用電力変換装置(中継電力変換装置)。
図1
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