IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社電通の特許一覧

特許7260085枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラム
<>
  • 特許-枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラム 図1
  • 特許-枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラム 図2
  • 特許-枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラム 図3
  • 特許-枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラム 図4
  • 特許-枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラム 図5
  • 特許-枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラム 図6
  • 特許-枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラム 図7
  • 特許-枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラム 図8
  • 特許-枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20230411BHJP
【FI】
G06Q30/0242
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019009940
(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公開番号】P2020119278
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100174528
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 晋朗
(74)【代理人】
【識別番号】100213643
【弁理士】
【氏名又は名称】新開 健一
(72)【発明者】
【氏名】岸本 渉
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-357248(JP,A)
【文献】国際公開第2015/079556(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告の枠交換のための対象である複数のキャンペーンを決定する制御部と、
前記複数のキャンペーンのそれぞれについての現在の枠情報と、前記複数のキャンペーンの少なくとも一方の枠交換後の許容予測視聴率に関する情報を含む前記枠交換のための設定情報と、を取得する取得部と、を有し、
前記制御部は、前記現在の枠情報及び前記設定情報に基づいて、前記複数のキャンペーンから前記枠交換の候補を決定し、
前記枠交換の候補は、前記複数のキャンペーンのうちあるキャンペーンにおいて交換される1つ以上の枠と、前記複数のキャンペーンのうちの別のキャンペーンにおいて交換される1つ以上の枠と、を示すプランであり、
前記キャンペーンの予測視聴率は、前記キャンペーンのキャンペーン期間における前記キャンペーンのための全広告枠の予測視聴率の総和であり、
前記制御部は、前記候補を、枠交換後の各キャンペーンの予測視聴率がそれぞれの許容予測視聴率を満たすように決定することを特徴とする枠交換評価システム。
【請求項2】
前記キャンペーンの予測視聴率は、視聴態度、視聴質及び購買需要係数の少なくとも1つを考慮して調整されることを特徴とする請求項1に記載の枠交換評価システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記候補を、重要枠に含まれない放出枠及び禁止枠に含まれない希望枠に基づいて決定し、
ここで、放出枠は、枠交換相手に渡す枠の候補に該当し、重要枠は、当該相手に移動させてはいけない枠に該当し、希望枠は、当該相手から貰いたい枠の候補に該当し、禁止枠は、当該相手から移動してこない枠に該当することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の枠交換評価システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記候補を、前記放出枠、前記希望枠及び調整枠に基づいて決定し、
ここで、調整枠は、前記放出枠及び前記希望枠のみでは前記候補が決定できない場合に、枠交換に利用される枠に該当することを特徴とする請求項3に記載の枠交換評価システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記調整枠における枠交換の数を、前記設定情報によって指定された交換する枠数に対応する数としてはカウントしないことを特徴とする請求項4に記載の枠交換評価システム。
【請求項6】
広告の枠交換のための対象である複数のキャンペーンを決定する制御部と、
前記複数のキャンペーンのそれぞれについての現在の枠情報と、前記複数のキャンペーンの少なくとも一方の枠交換後の許容予測視聴率に関する情報を含む前記枠交換のための設定情報と、を取得する取得部と、を有し、
前記制御部は、前記現在の枠情報及び前記設定情報に基づいて、前記複数のキャンペーンから前記枠交換の候補を決定し、
前記枠交換の候補は、前記複数のキャンペーンのうちあるキャンペーンにおいて交換される1つ以上の枠と、前記複数のキャンペーンのうちの別のキャンペーンにおいて交換される1つ以上の枠と、を示すプランであり、
前記キャンペーンの予測視聴率は、前記キャンペーンのキャンペーン期間における前記キャンペーンのための全広告枠の予測視聴率の総和であり、
前記制御部は、前記候補を、枠交換後の各キャンペーンの予測視聴率がそれぞれの許容予測視聴率を満たすように決定することを特徴とする枠交換評価装置。
【請求項7】
コンピュータに、
広告の枠交換のための対象である複数のキャンペーンを決定する手順と、
前記複数のキャンペーンのそれぞれについての現在の枠情報と、前記複数のキャンペーンの少なくとも一方の枠交換後の許容予測視聴率に関する情報を含む前記枠交換のための設定情報と、を取得する手順と、
記現在の枠情報及び前記設定情報に基づいて、前記複数のキャンペーンから前記枠交換の候補を決定する手順と、を実行させ、
ここで、前記枠交換の候補は、前記複数のキャンペーンのうちあるキャンペーンにおいて交換される1つ以上の枠と、前記複数のキャンペーンのうちの別のキャンペーンにおいて交換される1つ以上の枠と、を示すプランであり、
前記キャンペーンの予測視聴率は、前記キャンペーンのキャンペーン期間における前記キャンペーンのための全広告枠の予測視聴率の総和であり、
前記候補を、枠交換後の各キャンペーンの予測視聴率がそれぞれの許容予測視聴率を満たすように決定する手順を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送においては、広告としてコマーシャル(CM:Commercial Message)が放送される。CMは、タイムCM(time CM)及びスポットCM(spot CM)に大別される。タイムCMは、番組と一体で売買される枠で放送されるCMであって、プログラムコマーシャル(program commercial)、番組CM、提供CMなどと呼ばれてもよい。
【0003】
スポットCMは、テレビ局が定めたCM時間枠に放送されるCMに該当する。スポットCMは、番組間で放送されるステーションブレイク(SB:Station Break)、番組内に挿入されるが提供表示が付かないパーティシペーション(PT:Participation)(又はパーティシペーティングCM)などに分けられる。
【0004】
どのCMをどの時間帯に放送するか(広告枠選択、作案などと呼ばれてもよい)の作業は、プランナー、放送局における作案管理担当者(作案デスクなどと呼ばれてもよい)などが経験に基づいて決定する非常に複雑な作業であった。プランナー及び作案管理担当者は、多数存在する広告キャンペーン(advertising campaign)について、各キャンペーンの広告効果(例えば、GRP(累積視聴率)、TRP(ターゲット視聴率)、リーチなど)を最大化することが求められる。プランナーは、番組の視聴率、CM対象商品/サービスの認知度、スポンサー競合などを考慮しつつ、CMのスケジュールを決定してきた。
【0005】
そこで、プランナー及び作案管理担当者の負荷を軽減し、また広告効果をより高めるために、CMの作案を自動化する手法が検討されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-150107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
過去データから推察される最適な広告枠の選定や、実際に放映してからの反響を確認し、広告効果をより高めるために、一部のスポンサーの広告について、改案(CMの広告枠を変更)が求められる場合がある。しかしながら、特許文献1に記載される手法は、枠が全く決まっていない状態から各枠を埋めていく方法であって、既に広告枠がアサインされている場合には利用が難しい。
【0008】
このため、迅速に改案を作成することができないという課題があった。広告枠の交換の案について、効率的な生成、評価などを行うための方法が求められている。
【0009】
そこで本開示は、効率的に広告枠の交換を評価できる枠交換評価システム、枠交換評価装置及びプログラムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係る枠交換評価システムは、広告枠交換のための対象である複数のキャンペーンを決定する制御部と、前記複数のキャンペーンのそれぞれについての現在の枠情報と、前記複数のキャンペーンの少なくとも一方の枠交換後の許容予測視聴率に関する情報を含む前記枠交換のための設定情報と、を取得する取得部と、を有し、前記制御部は、前記現在の枠情報及び前記設定情報に基づいて、前記複数のキャンペーンから前記枠交換の候補を決定し、前記枠交換の候補は、前記複数のキャンペーンのうちあるキャンペーンにおいて交換される1つ以上の枠と、前記複数のキャンペーンのうちの別のキャンペーンにおいて交換される1つ以上の枠と、を示すプランであり、前記キャンペーンの予測視聴率は、前記キャンペーンのキャンペーン期間における前記キャンペーンのための全広告枠の予測視聴率の総和であり、前記制御部は、前記候補を、枠交換後の各キャンペーンの予測視聴率がそれぞれの許容予測視聴率を満たすように決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、効率的に広告枠の交換を評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る枠交換評価システムの概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、一実施形態に係る枠交換対象決定方法のフローチャートの一例を示す図である。
図3図3は、一実施形態に係る枠交換対象決定方法のフローチャートの別の一例を示す図である。
図4図4は、枠の属性の一例を示す図である。
図5図5は、予測視聴率に対して適用されるバイアスの一例を示す図である。
図6図6は、枠の属性を全期間のタイムテーブルに適用する一例を示す図である。
図7図7は、枠の属性を全系列局のタイムテーブルに適用する一例を示す図である。
図8図8は、一実施形態に係る評価装置の機能構成の一例を示す図である。
図9図9は、一実施形態に係る評価装置などのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
既存の改案については、以下の問題点が挙げられる:
・広告枠を交換した際の効果が不透明なためプランナーに頼らざるを得なかった、
・プランナーは、広告枠の交換元の広告主と交換先の広告主との両方の同意を得る必要があるため、改案が確定するまでに時間がかかる。
【0014】
そこで、本発明者らは、広告主同士が直接的にテレビCM枠を交換する取引を実現できる仕組みを着想した。
【0015】
本開示の一態様によれば、枠を交換した場合の広告効果の変動などを確認しつつ、枠交換後の広告パッケージを好適に生成できる。また、広告枠の交換元の広告主が枠交換案作成に関わることによって、交換先の広告主の同意を得られれば改案が確定できるため、短時間での改案作成が可能である。
【0016】
以下、本開示の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、同一の部には同一の符号が付される。同一の部は名称、機能などが同じであるため、詳細な説明は繰り返さない。
【0017】
(枠交換評価システム)
図1は、一実施形態に係る枠交換評価システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示す枠交換評価システム1は、枠交換評価装置10と、放送配信装置20と、枠交換案承認装置30と、を含む。
【0018】
枠交換評価装置10は、複数の広告キャンペーン間で広告枠の交換を試行し、交換結果についての情報を提供する装置である。枠交換評価装置10は、以下、単に評価装置10とも呼ぶ。
【0019】
なお、本開示において、枠交換は、枠廻し(又は枠回し)などで読み替えられてもよい。
【0020】
評価装置10は、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末などの携帯端末(移動通信端末)であってもよいし、パソコン(PC:Personal Computer)などの固定通信端末であってもよい。つまり、本開示における評価装置10は、通信デバイスで読み替えることができる。
【0021】
評価装置10は、有線及び/又は無線(例えば、LTE(Long Term Evolution)、Wi-Fi(登録商標)など)を介して、ネットワーク(インターネットなど)と通信してもよい。
【0022】
放送配信装置20は、テレビ(TV:television)に対して放送を配信する装置である。ここで、テレビ(テレビ受像機)は、地上波放送、放送衛星(BS:Broadcasting Satellite)/通信衛星(CS:Communications Satellite)による放送、インターネット放送(インターネットテレビ)などの少なくとも1つを受信する機能を有する装置であってもよい。例えば、テレビは、多機能テレビ、スマートTV、IP(Internet Protocol)TV、セットトップボックスなどであってもよい。
【0023】
なお、放送は、公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を意味し、無線放送、インターネット放送などを含んでもよい。
【0024】
枠交換案承認装置30は、評価装置10が出力した枠交換案(プラン)の承認(了承)に関する処理を行う装置である。枠交換案承認装置30は、以下、単に承認装置30とも呼ぶ。
【0025】
評価装置10など各装置の機能構成及びハードウェア構成の一例については、後述する。
【0026】
なお、当該システム構成は一例であり、これに限られない。例えば、各装置は、図1ではそれぞれ1つずつ含まれる構成としたが、各機器の数はこれに限られず、複数存在してもよい。枠交換評価システム1は、一部の装置を含まない構成としてもよいし、1つの装置の機能が複数の装置により実現される構成としてもよい。
【0027】
複数の装置の機能が1つの装置により実現される構成としてもよい。例えば、枠交換評価装置10と、放送配信装置20と、承認装置30と、の少なくとも2つが、1つのサーバ上で実装されてもよい。
【0028】
(枠交換評価方法)
本開示の一実施形態に係る枠交換評価方法について、以下で説明する。各枠交換評価方法は、上述の枠交換評価システムに適用されてもよい。
【0029】
<枠交換対象の決定>
図2は、一実施形態に係る枠交換対象決定方法のフローチャートの一例を示す図である。
【0030】
まず、評価装置10は、枠交換対象である複数のキャンペーンを決定する(ステップS101)。評価装置10は、ユーザの入力に基づいて当該複数のキャンペーンを決定してもよい。また、評価装置10は、任意の複数のキャンペーンを枠交換対象として決定してもよい。本開示においては、複数のキャンペーンのうち、広告枠の交換元のキャンペーンを、第1のキャンペーンとも呼び、交換先の任意のキャンペーンを、第2のキャンペーンとも呼ぶ。
【0031】
評価装置10は、各キャンペーンの現在の枠情報を取得する(ステップS102)。当該枠情報は、既に作案されたCMのタイムテーブルに基づくものであってもよい。
【0032】
ここで、枠情報は、広告に関する情報(広告情報、CM情報などと呼ばれてもよい)を含んでもよい。広告情報は、広告の内容(コンテンツ)に関する情報を含んでもよく、例えば、広告対象の商品又はサービスの内容(例えば、医療系、ギャンブル、金融、アルコール、たばこなどに関するか否か)を示してもよい。
【0033】
また、広告情報は、当該キャンペーンの当該枠における広告がタイムCMなのかスポットCMなのかに関する情報を含んでもよい。広告情報は、当該キャンペーンの当該枠における広告がSBなのかPTなのかに関する情報を含んでもよい。なお、本開示における枠交換は、スポットCM同士の交換を想定するが、これに限られない。
【0034】
また、広告情報は、当該キャンペーンの広告の出稿パターン(例えば、逆L型、全日型、ヨの字型、コの字型、逆F型、深夜型、全日昼型など)に関する情報を含んでもよい。
【0035】
枠情報は、広告が割り当てられる番組に関する情報(番組情報と呼ばれてもよい)を含んでもよい。番組情報は、例えば、放送日時(開始時間、終了時間、曜日、番組の時間長などを含んでもよい)、タイムランク(CM料金のランク)、番組のジャンル、番組の内容(コンテンツ)の情報、番組に関するキーワード、番組の予測視聴率などを含んでもよい。
【0036】
番組のジャンルは、例えば、ニュース、バラエティ、ドラマ、映画、音楽、スポーツ、その他などであってもよい。予測視聴率は、リアルタイム視聴率及びタイムシフト視聴率の少なくとも一方に基づいて算出される予測視聴率(又は見積視聴率)を含んでもよいし、バズ係数などその他の指標を含んでもよい。
【0037】
予測視聴率は、例えば、ターゲット層の個人視聴率の合計に相当するターゲット延べ視聴率(TRP:Target Rating Point)、世帯視聴率の合計に相当する延べ視聴率(GRP:Gross Rating Point)の少なくとも1つに関する予測視聴率を含んでもよい。また、予測視聴率は、個人全体視聴率であってリアルタイム視聴及び放送後7日目までのタイムシフト視聴を合算した視聴率(All、P+C7(Program + Commercial 7)などと呼ばれてもよい)について予測した視聴率を含んでもよい。
【0038】
なお、ターゲット層は、マーケティングの分野で用いられる性・年齢別区分(C(Child)層、T(Teen)層、M(Male)1-M3層、F(Female)1-F3層)であると想定するが、これに限られない。
【0039】
バズ係数は、対象の番組がどれくらい話題になっているか(バズっているか)を示す値であってもよい。当該バズ係数は、対象の番組に関する口コミ、インターネット上の書き込みなどの量及び/又は質に基づいて、算出又は予測されてもよい。
【0040】
評価装置10は、枠交換のための設定情報を取得する(ステップS103)。評価装置10は、ユーザの入力に基づいて当該設定情報を取得してもよい。
【0041】
当該設定情報は、枠交換対象の期間及び枠交換対象外の期間の少なくとも一方を含んでもよい。評価装置10は、枠交換対象の期間に該当する枠であれば交換可能と判断し、そうでなければ交換不可能(例えば、この枠は既に確定された)と判断してもよい。また、評価装置10は、枠交換対象外の期間に該当する枠であれば交換不可能と判断し、そうでなければ交換可能と判断してもよい。
【0042】
当該設定情報は、枠交換後の各キャンペーンの許容予測視聴率に関する情報を含んでもよい。評価装置10は、枠交換後の各キャンペーンの少なくとも一方の予測視聴率が許容予測視聴率を満たさないというプラン(改案プラン、枠交換プランなどと呼ばれてもよい)は選択(提示)しない制御を行ってもよい。なお、予測視聴率は、キャンペーン期間の全広告枠の予測視聴率の総和で読み替えられてもよい。
【0043】
許容予測視聴率は、枠交換後の予測視聴率の値又は値の範囲で直接的に示されてもよいし、枠交換前の予測視聴率を基準とした差分値又は差分値の範囲で示されてもよい。例えば、許容予測視聴率は、枠交換前のGRP、TRP及びALLのいずれかが、X%であることを示してもよいし、枠交換前からY%(Yは正の値、0、負の値のいずれでもよい)以上上がる若しくは下がる、又は枠交換前から±Y%の範囲であることを示してもよい。
【0044】
許容予測視聴率が複数設定される(例えば、GRPとALLについて設定される)場合、上記設定情報は、いずれの予測視聴率を優先的に高めるように選択するかの情報(プライオリティ情報)を含んでもよい。例えば、プライオリティ情報がGRP、ALLの順を示す場合、評価装置10は、GRPの値がより大きくなる枠交換を決定するように制御してもよい。なお、プライオリティ情報は、枠交換の決定に関係せず、単に枠交換結果の表示の際の優先付けのために用いられてもよい。
【0045】
許容予測視聴率は、交換元のキャンペーン及び交換先のキャンペーンの一方又は両方について設定されてもよい。
【0046】
上記設定情報は、交換先として適切な(交換対象の)番組情報を含んでもよい。評価装置10は、交換先として適切な番組情報に該当する枠であれば交換可能と判断し、そうでなければ交換不可能(例えば、交換先の枠は既に確定された)と判断してもよい。
【0047】
上記設定情報は、交換する枠の数(交換枠数)に関する情報を含んでもよい。ここで、当該情報は、交換元のキャンペーンにおいて交換する枠の数、交換先のキャンペーンにおいて交換する枠の数の少なくとも一方を含んでもよい。これらの枠の数は、同じであってもよい(つまりn対nで交換してもよい)し、異なってもよい(n対m(n≠m)で交換してもよい)。
【0048】
なお、評価装置10は、上記設定情報に含まれる各種値のデフォルト値を、交換元のキャンペーンと交換先のキャンペーンとの関係性に基づいて決定してもよい。当該関係性は、例えば、同じ又は類似した業種(商品)であるか否か、キャンペーンの期間がどれくらい重複しているか、などであってもよい。
【0049】
また、評価装置10は、上記設定情報の取得にあたって、ユーザに値の入力を促す画面を表示してもよい。評価装置10は、当該画面の表示の際には、上述のデフォルト値を最初に表示してもよい。
【0050】
評価装置10は、現在の枠情報及び設定情報に基づいて、枠交換の候補を決定する(ステップS104)。評価装置10は、決定した候補の情報を、ユーザの選択のために表示してもよい。なお、交換元のキャンペーンと、交換先のキャンペーンと、でメインのターゲット層が異なってもよい。
【0051】
例えば、ステップS103において、交換元のキャンペーンの現在の予測視聴率(キャンペーン期間の全広告枠の予測視聴率の総和)が、GRP=270.0、ALL=140.5、TRP=85.0であり、交換先のキャンペーンの現在の予測視聴率(キャンペーン期間の全広告枠の予測視聴率の総和)が、GRP=320.0、ALL=155.0、TRP=125.5である場合を例に考える。
【0052】
「GRPが0%以上上がる」という許容予測視聴率が両キャンペーンに設定される場合には、評価装置10は、交換元のキャンペーンのGRPが270.0以上かつ交換先のキャンペーンのGRPが320.0以上を満たすような枠交換の案を、両キャンペーンの枠交換対象の期間から選択する。
【0053】
なお、評価装置10は、現在の交換元又は交換先のキャンペーンについて、過去にどのような指標(予測視聴率)に基づいて選択が行われたのかの情報を表示してもよい。これにより、重視する傾向が高い指標を提示できるため、プランを選択する目安をユーザに提供できる。
【0054】
評価装置10は、過去に決定した枠交換候補のプランに基づいて、過去の傾向から自動で枠交換のプランを生成してもよい。この場合、ステップS101-S104の少なくとも一部が省略されてもよい。
【0055】
なお、広告の内容(コンテンツ)によっては、特定の時間帯における広告の放送が制限される場合がある。評価装置10は、制限される広告の内容と時間帯との関係について、上記設定情報として設定されてもよいし、予め情報を保持してもよい。
【0056】
評価装置10は、上述の枠情報の広告の内容に関する情報に基づいて、交換元の広告が交換先の時間帯での放送が制限されているか否かを確認し、制限されている場合には当該交換は行わないと判断してもよい。例えば、交換元の広告がアルコールの広告であって、交換先の時間帯で放送が制限されている場合には、枠交換は実施されなくてもよい。
【0057】
なお、ステップS101の複数のキャンペーンは、3つ以上であってもよい。この場合、ステップS104の枠交換の候補としては、例えばA社の枠をB社に、B社の枠をC社に、C社の枠をA社に、などが提示されてもよい。
【0058】
[枠の属性]
なお、上記の枠交換対象決定方法では、枠交換対象及び交換対象外の期間を設定可能であったが、さらに詳細な期間が設定可能であってもよい。
【0059】
ステップS103で示したような設定情報として、以下の枠の属性が設定可能であってもよい:
・放出枠(”out”)
・希望枠(”in”)
・重要枠(”importance”)
・禁止枠(”prohibition”)
・調整枠(”adjustment”)
【0060】
なお、枠の属性が適用される期間は、ゾーンと呼ばれてもよい。例えば、重要枠の期間は、重要枠ゾーンなどと呼ばれてもよい。ある枠には、複数の属性が設定されてもよい。
【0061】
放出枠は、相手に渡す枠(自分にとって不要な又は広告効果が低い枠)の候補に該当する。重要枠は、相手に移動させてはいけない枠である。ある枠が放出枠に設定されていても、当該枠が重要枠にも該当する場合には、当該枠は交換されないように制限される。
【0062】
希望枠は、相手から貰いたい枠(自分にとって有用な又は広告効果が高い枠)の候補に該当する。禁止枠は、相手から広告が移動してこない(相手が利用できない)枠である。ある枠が希望枠に設定されていても、当該枠が禁止枠にも該当する場合には、当該枠には相手の広告が移動してこないように制限される。
【0063】
調整枠は、放出枠及び希望枠のみでは条件を満たす枠交換が行えない場合に、予備的に枠交換に利用される枠である。
【0064】
なお、ある枠の時間帯が複数の期間にまたがっている場合に当該枠を交換対象とするか否かは、設定可能であってもよい。
【0065】
上述の枠の属性を利用することによって、第1のキャンペーンの広告枠Aと第2のキャンペーンの広告枠Bを相互に入れ替える以外にも、例えば、第1のキャンペーンの広告枠Aを第2のキャンペーンの広告枠Bに配置し、第2のキャンペーンの広告枠Dを第1のキャンペーンの広告枠Cに配置することが可能になる。
【0066】
図3は、一実施形態に係る枠交換対象決定方法のフローチャートの別の一例を示す図である。本例は、図2のステップS102の後、ステップS103において上記の枠の属性が設定された後のステップS104の詳細を示す。
【0067】
評価装置10は、まず、重要枠に含まれない放出枠及び禁止枠に含まれない希望枠に基づいて、キャンペーン間で枠交換の条件を満たすプランを決定することを試みる(ステップS201)。つまり、評価装置10は、第1のキャンペーンの放出枠に含まれる枠を第2のキャンペーンの希望枠に含まれる枠に交換枠数だけ移動させ、第2のキャンペーンの放出枠に含まれる枠を第1のキャンペーンの希望枠に含まれる枠に交換枠数だけ移動させるというプランの導出を試みる。この段階では、調整枠は使用されない。
【0068】
ステップS201でプランがなかった場合、評価装置10は、放出枠、希望枠及び調整枠に基づいて、キャンペーン間で枠交換の条件を満たすプランを決定することを試みる(ステップS202)。例えば、評価装置10は、ステップS201で述べたような交換枠数の放出枠及び希望枠の交換を行った後、さらにキャンペーン間の調整枠同士で枠交換を実施し、条件を満たすプランの導出を試みる。つまり、調整枠における交換は、交換枠数にカウントされなくてもよい。
【0069】
なお、ステップS202において、放出枠は、重要枠に含まれない放出枠であってもよいし、重要枠に含まれる枠及び含まれない枠を含んだ放出枠全体であってもよい。また、ステップS202において、希望枠は、禁止枠に含まれない希望枠であってもよいし、禁止枠に含まれる枠及び含まれない枠を含んだ希望枠全体であってもよい。また、ステップS202において、評価装置10は、放出枠又は希望枠と、調整枠と、の間で枠交換を実施してもよい。
【0070】
図4は、枠の属性の一例を示す図である。本例では、枠交換元であるキャンペーンAのタイムテーブルと、枠交換先であるキャンペーンBのタイムテーブルと、が示されている。
【0071】
キャンペーンAに関して設定される枠の属性と対応する時間帯は以下のとおりである:
・放出枠:水曜の9:30-10:30
・希望枠:金曜から日曜の19:00-24:00
・重要枠:月曜の16:50-17:53
・禁止枠:土曜の21:00-23:00
・調整枠:月曜から火曜の14:50-24:25
【0072】
また、キャンペーンBに関して設定される枠の属性と対応する時間帯は以下のとおりである:
・放出枠:土曜の24:55-25:25
・希望枠:土曜から日曜の7:00-11:45
・重要枠:なし
・禁止枠:なし
・調整枠:月曜から金曜の15:50-19:00
【0073】
本例の場合、評価装置10は、まずキャンペーンAの放出枠、キャンペーンBの希望枠、キャンペーンAの希望枠(禁止枠は除く)及びキャンペーンBの放出枠の組み合わせのみを用いて枠交換の条件を満たすプランがあるかを探索する。当該プランが存在する場合、キャンペーンA及びBは、それぞれの放出枠で放送するはずの広告を、それぞれの希望枠で放送できる。
【0074】
上記プランが存在しない場合、評価装置10は、さらに各キャンペーンの調整枠の交換も含めて、枠交換の条件を満たすプランがあるかを探索してもよい。
【0075】
[予測視聴率のバイアス]
上述した枠交換前及び枠交換後の予測視聴率は、所定のバイアスが適用された値であってもよい。例えば、予測視聴率は、視聴態度、視聴質及び購買需要係数の少なくとも1つを考慮して調整されてもよい。言い換えると、本開示の枠交換は、視聴率(予測視聴率)、視聴態度、視聴質及び購買需要係数の少なくとも1つに基づいて行われてもよい。評価装置10は、視聴率(予測視聴率)、視聴態度、視聴質及び購買需要係数の少なくとも1つに基づいて枠交換を評価又は実施してもよい。
【0076】
視聴態度(視聴質などと呼ばれてもよい)は、どのようにCMが見られているかを示す指標で表されてもよい。視聴態度は、視聴者が普通にCMを視聴する場合には、1(又は100%)と表現されてもよく、意識して見られていなかったりするような場合には1より小さい値で表現されてもよい。また、視聴態度は、視聴者がCMに非常に集中するような場合には、1より大きい値で表現されてもよい。なお、視聴質は、誰が見ているのか、どのように見ているのかなどといった要素を示してもよい。
【0077】
つまり、視聴態度が良い枠でCMを流すことにより、当該CMについての実質的な視聴率が向上する効果が期待できる。
【0078】
視聴態度は、以下のような条件によって変動すると想定されてもよい:
・時間帯(曜日、時間)、
・放送局、
・ターゲット層、
・CMのタイプ(例えば、PTかSBか)、
・番組(例えば、番組のコンテンツ)、
・キャンペーン(例えば、キャンペーンによる広告対象商品)。
【0079】
これらの条件について、複数のバイアスのテーブルが用いられてもよい。図5は、予測視聴率に対して適用されるバイアスの一例を示す図である。図5の左側は、時間帯によって変動する時間帯バイアスの一例を示す。例えば時間帯バイアスは、あるキャンペーンのCMがある放送局で放送される場合の値であってもよく、キャンペーンごと及び放送局ごとに異なるテーブルが規定されてもよい。
【0080】
また、図5の右側は、PT/SBの違いに対応するPT/SBバイアスの一例を示す。例えばPT/SBバイアスは、あるキャンペーンのCMがある放送局で放送される場合の値であってもよく、キャンペーンごと及び放送局ごとの少なくとも一方で、異なるテーブルが規定されてもよい。
【0081】
例えば、月曜5時の時間帯のSBで放送されるCMのTRPがX%である場合を考える。このCMが、図5に示す2つのバイアスが設定されている放送局で放送される場合には、調整されたTRPは、X*0.1*0.8=0.08X[%]となる。
【0082】
購買需要係数は、商品の購買環境、購買動向などに関連するパラメータに該当してもよい。購買需要係数は、天候(気温などを含んでもよい)、ソーシャルデータ(流行っているか否か)、社会状況、ある商品の値段、あるサービスの値段などの少なくとも1つに基づいて求められてもよい。
【0083】
一例として、購買需要係数は、ある食材(例えば、キャベツ)の価格が低下している期間において、当該食材を使った料理の素(例えば、回鍋肉の素)のCMを流すと、当該料理の素の売り上げがあがるというような関係に基づいて求められてもよい。このような場合に、当該料理の素のCMの購買需要係数は1より大きい値で表現されてもよい。
【0084】
例えば、回鍋肉の素のCMの購買需要係数=1.1である期間において、月曜5時の時間帯で放送されるCMのTRPがX%である場合において、このCMが回鍋肉の素のCMである場合には、調整されたTRPは、X*1.1=1.1X[%]と求められてもよい。
【0085】
以上説明した態様によれば、枠交換において視聴態度、購買需要係数などを考慮することによって、CMをより望ましい枠に好適に割り当てることができる。
【0086】
<枠交換対象の承認>
枠交換案(プラン)が決定された場合、評価装置10は、当該枠交換案を放送配信装置20に送信してもよい。放送配信装置20は、枠交換案の結果を反映したCMスケジュールに従って、CMを放送してもよい。なお、枠交換案は、テレビ広告電子データ交換(EDI:Electronic Data Interchange)システムを介して、送信されてもよい。
【0087】
しかしながら、交換元のキャンペーンの広告主及び交換先のキャンペーンの広告主の一方だけが枠交換に納得しているケースも考えられる。両広告主の了承を得ることが好ましい。また、CMが番組に与える影響も少なくないため、枠交換には放送局の了承も得られるとより好ましい。
【0088】
評価装置10は、決定した枠交換案に関する情報を、承認装置30に送信してもよい。承認装置30は、関係各所(交換元のキャンペーンの広告主、交換先のキャンペーンの広告主、交換元の放送局及び交換先の放送局の少なくとも2つ)の装置に対して、1つ又は複数の評価装置10から受信した枠交換案の了承を要求する情報を送信してもよい。また、承認装置30は、関係各所に対して上記了承を要求するメッセージを表示するための制御を行ってもよい。
【0089】
承認装置30は、上記関係各所から、上記枠交換案の了承を示す情報を受信した場合、上記枠交換案が了承されたと判断してもよい。承認装置30は、了承を得られた枠交換案を放送配信装置20に送信してもよい。放送配信装置20は、了承を得られた枠交換案の結果を反映したCMスケジュールに従って、CMを放送してもよい。
【0090】
なお、承認装置30は、1つ又は複数の評価装置10から複数の枠交換案を受信した場合、当該複数の枠交換案を考慮した新たな枠交換案を生成し、当該新たな枠交換案について上記関係各所の了承を得る制御を実施してもよい。
【0091】
以上説明した一実施形態によれば、効率的に広告枠の交換を評価できる。この結果、各キャンペーンでの広告効果を動的により高めるように調整できる。
【0092】
<変形例>
上述の実施形態に示した設定(例えば、枠の属性)、決定された枠交換案(プラン)などの内容は、広告キャンペーン期間のうち他の期間(例えば、全期間)のタイムテーブルにも適用されてもよいし、他の放送局(例えば、系列局)のタイムテーブルにも適用されてもよい。
【0093】
図6は、枠の属性を全期間のタイムテーブルに適用する一例を示す図である。本例では、キャンペーン期間が4月の一か月であると想定する。また、当該期間のうち、4月2日(月)から4月8日(日)の一週間のタイムテーブルを代表として用いることを想定する。
【0094】
評価装置10は、当該タイムテーブルのために設定された枠の属性を、上記代表の週以外の週のタイムテーブルに適用してもよい。また、評価装置10は、上記代表の週について決定された枠交換プランを、上記代表の週以外の週のタイムテーブルに適用してもよい。
【0095】
図7は、枠の属性を全系列局のタイムテーブルに適用する一例を示す図である。前提については図6と同様である。
【0096】
評価装置10は、当該タイムテーブルのために設定された枠の属性を、上記代表の週と同じ週の、他の系列局1-6のタイムテーブルに適用してもよい。また、評価装置10は、上記代表の週について決定された枠交換プランを、上記代表の週と同じ週の、他の系列局1-6のタイムテーブルに適用してもよい。
【0097】
この変形例の構成によれば、ある期間について設定した内容又は決定された枠交換を、他の期間又は他の局でも利用できるため、迅速に改案を作成できる。
【0098】
(機器の構成)
図8は、一実施形態に係る評価装置の機能構成の一例を示す図である。本例に示すように、評価装置10は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、入力部140と、出力部150と、を有する。なお、図8では、本実施形態における特徴部分の機能ブロックを主に示しており、評価装置10は、他の処理に必要な他の機能ブロックも有してもよい。また、一部の機能ブロックを含まない構成としてもよい。
【0099】
制御部110は、評価装置10の制御を実施する。制御部110は、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路又は制御装置により構成することができる。
【0100】
記憶部120は、評価装置10において利用する情報を記憶(保持)する。記憶部120は、例えば、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるメモリ、ストレージ、記憶装置などにより構成することができる。
【0101】
通信部130は、ネットワークを介した他の通信デバイス(機器、サーバなど)との通信を行う。通信部13は、受信した種々の情報を制御部110に出力してもよい。
【0102】
通信部130は、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置により構成することができる。なお、通信部130は、送信部及び受信部から構成されてもよい。
【0103】
入力部140は、ユーザからの操作により入力を受け付ける。また、入力部140は、所定の機器、記憶媒体などと接続され、データの入力を受け付けてもよい。入力部140は、入力結果を例えば制御部110に出力してもよい。
【0104】
入力部140は、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるキーボード、マウス、ボタンなどの入力装置、入出力端子、入出力回路などにより構成することができる。また、入力部140は、表示部と一体となった構成(例えば、タッチパネル)としてもよい。
【0105】
出力部150は、ユーザに対して知覚できる形式でデータ、コンテンツなどの出力を行う。例えば、出力部150は、画像を表示する表示部、音声を出力する音声出力部などを含んで構成されてもよい。
【0106】
表示部は、例えば、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるディスプレイ、モニタなどの表示装置により構成することができる。また、音声出力部は、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるスピーカーなどの出力装置により構成することができる。
【0107】
出力部150は、例えば、本開示に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される演算器、演算回路、演算装置、プレイヤー、画像/映像/音声処理回路、画像/映像/音声処理装置、アンプなどを含んで構成することができる。
【0108】
なお、制御部110は、図2図3などで示したステップに基づく処理を実施してもよい。例えば、制御部110は、広告枠交換対象である複数のキャンペーンを決定してもよい。
【0109】
通信部130又は入力部140は、取得部と呼ばれてもよい。取得部は、上記複数のキャンペーンについて、各キャンペーンの現在の枠情報を取得してもよい。また、取得部は、枠交換後の少なくとも一方のキャンペーン(交換元又は交換先のキャンペーン)の許容予測視聴率に関する情報を含む枠交換のための設定情報を取得してもよい。
【0110】
制御部110は、上記現在の枠情報及び上記設定情報に基づいて、枠交換の候補(枠交換プラン)を決定してもよい。例えば、制御部110は、上記候補を、枠交換後の各キャンペーンの予測視聴率が許容予測視聴率を満たすように決定してもよい。
【0111】
制御部110は、上記候補を、重要枠に含まれない放出枠及び禁止枠に含まれない希望枠に基づいて決定してもよい。ここで、放出枠は、枠交換相手に渡す枠の候補に該当し、重要枠は、当該相手に移動させてはいけない枠に該当し、希望枠は、当該相手から貰いたい枠の候補に該当し、禁止枠は、当該相手から移動してこない枠に該当してもよい。
【0112】
制御部110は、上記候補を、上記放出枠、上記希望枠及び調整枠に基づいて決定してもよい。ここで、調整枠は、上記放出枠(重要枠に含まれない放出枠)及び上記希望枠(禁止枠に含まれない希望枠)のみでは上記候補が決定できない場合に、枠交換に利用される枠に該当してもよい。
【0113】
制御部110は、上記調整枠における枠交換の数を、上記設定情報によって指定された交換する枠数に対応する数としてはカウントしなくてもよい。制御部110は、上記設定情報によって指定された交換する枠数に関わらず、上記調整枠を用いた枠交換の候補を決定してもよい。
【0114】
放送配信装置20、承認装置30などについても、図8と同様の構成を有してもよい。当業者であれば、図8の説明における評価装置10関連の記載を、適宜読み替えて理解できる。
【0115】
以下、いくつかの部について例示的に説明する。なお、図8の各機能ブロックに対応する各装置の符号は、各装置を示す符号の最初の一桁の数字(例えば、放送配信装置20であれば「20」の最初の一桁の「2」)を図8の最初の一桁の数字に適用して表す。
【0116】
放送配信装置20の通信部230は、決定された枠交換案を評価装置10から受信してもよい。放送配信装置20の通信部230は、了承された枠交換案を承認装置30から受信してもよい。放送配信装置20の制御部210は、上記枠交換案の結果を反映したCMスケジュールに従って、所定の時間帯に放送するCMを決定してもよい。放送配信装置20の通信部230は、当該CMを配信(送信)してもよい。
【0117】
承認装置30の通信部330は、決定された枠交換案を評価装置10から受信してもよい。承認装置30の制御部310は、関係各所(交換元のキャンペーンの広告主、交換先のキャンペーンの広告主、交換元の放送局及び交換先の放送局の少なくとも2つ)から了承を得るための処理を行ってもよい。承認装置30の通信部330は、了承を得られた枠交換案を放送配信装置20に送信してもよい。
【0118】
(ハードウェア構成)
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した2つ以上の装置を有線又は無線によって接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0119】
例えば、本開示の一実施形態における装置(評価装置10など)は、本開示の枠交換評価方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図9は、一実施形態に係る評価装置などのハードウェア構成の一例を示す図である。上述の評価装置10、放送配信装置20などは、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0120】
なお、本開示において、装置、回路、デバイス、ユニット、サーバなどは、互いに読み替えることができる。評価装置10、放送配信装置20などのハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0121】
例えば、プロセッサ1001は1つだけ図示されているが、複数のプロセッサがあってもよい。また、処理は、1のプロセッサによって実行されてもよいし、処理が同時に、逐次に、又はその他の手法を用いて、2以上のプロセッサによって実行されてもよい。なお、プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。
【0122】
評価装置10、放送配信装置20などにおける各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みなどを制御することによって実現される。
【0123】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。なお、上述の制御部110などの各部は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0124】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、制御部110は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。
【0125】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、RAM(Random Access Memory)、その他の適切な記憶媒体の少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、一実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0126】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD-ROM(Compact Disc ROM)など)、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、リムーバブルディスク、ハードディスクドライブ、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、磁気ストライプ、データベース、サーバ、その他の適切な記憶媒体の少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。なお、上述の記憶部120は、メモリ1002及び/又はストレージ1003によって実現されてもよい。
【0127】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、SIMカードを含んでもよい。なお、上述の通信部130は、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0128】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウスなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカーなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。なお、上述の入力部140及び出力部150は、それぞれ入力装置1005及び出力装置1006によって実現されてもよい。
【0129】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1008によって接続される。バス1007は、単一のバスによって構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0130】
また、評価装置10、広告配信サーバ50などは、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0131】
(変形例)
なお、本開示において説明した用語及び/又は本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0132】
本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。また、本開示においてパラメータなどに使用する名称は、いかなる点においても限定的なものではない。
【0133】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0134】
情報、信号などは、複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。入出力された情報、信号などは、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報、信号などは、上書き、更新又は追記をされ得る。出力された情報、信号などは、削除されてもよい。入力された情報、信号などは、他の装置へ送信されてもよい。
【0135】
また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的な通知に限られず、暗示的に(例えば、当該所定の情報の通知を行わないことによって又は別の情報の通知によって)行われてもよい。
【0136】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0137】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0138】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用され得る。
【0139】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0140】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0141】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素の参照は、2つの要素のみが採用され得ること又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0142】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びこれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0143】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳によって冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0144】
以上、本開示に係る発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示に係る発明が本開示中に説明した実施形態に限定されないということは明らかである。本開示に係る発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて定まる発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に係る発明に対して何ら制限的な意味をもたらさない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9