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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】裁断機
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/20 20060101AFI20230411BHJP
   B26D 1/10 20060101ALN20230411BHJP
   B26D 1/18 20060101ALN20230411BHJP
【FI】
B26D7/20
B26D1/10
B26D1/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019117954
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2020006506
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2018125604
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104087
【氏名又は名称】カール事務器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112162
【弁理士】
【氏名又は名称】朝日 直子
(72)【発明者】
【氏名】石原 宗幸
(72)【発明者】
【氏名】大倉 康弘
(72)【発明者】
【氏名】浦辺 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】橘 竜人
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5996459(US,A)
【文献】登録実用新案第3167536(JP,U)
【文献】特開2000-203729(JP,A)
【文献】特開平9-269703(JP,A)
【文献】特開2015-116619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/20
B26D 1/10
B26D 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が載置される基台(10、110、210、310)と、加工刃(2)をスライド自在に取り付けたレール部材(20、120、220)と、からなる裁断機であって、
前記基台(10、110、210)の始端部に規格サイズの用紙の長辺を当接させるための段差部(212)を設けると共に、該段差部(212)から前記用紙の短辺の長さ(S1、S2)の位置に配された横線(61)と、前記加工刃(2)から該用紙の長辺の1/2の長さ(L1、L2)の位置に配された縦線(62)と、前記横線(61)と縦線(62)の交点を直角に切欠いた切欠部を有する角位置表示(63)と、によって構成された中央位置表示(60)を、前記基台(210、310)の盤面に設けたことを特徴とする裁断機。
【請求項2】
前記基台(10、110、210、310の盤面を磁性体で構成すると共に、
前記角位置表示(63)と同一形状の底面を吸着面とし、前記切欠部から伸びるL字状の壁面(66)を用紙の角を当接させるための角当て面とした磁石部材(65)を含んで構成したことを特徴とする請求項1に記載の裁断機。
【請求項3】
前記加工刃(2)が前記基台(210)の横方向中央に配されるように前記レール部材(220)を設けると共に、先端に紙当て部(52)を立設した一対のゲージ部材(50)を、前記基台(210)の内部に設けられたギア(51)を介して左右方向同一長さに進出するように取り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の裁断機。
【請求項4】
前記基台(10、210、310)を、一側縁から前記加工刃(2)までの本体盤面(10a、210a、310a)と、該加工刃(2)から他側縁までの付属盤面(10b、210b、310b)と、によって構成し、
該付属盤面(10b、210b、310b)に、加工の始端部から終端部に向けて前記レール部材(20、220)に沿って平行にのびる複数条の表示線(17、70)を設けたことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1つの請求項に記載の裁断機。
【請求項5】
前記基台(10、110、210)は、本体部(11)と、該本体部(11)の一側縁に取り付けられた基台付属部(12)と、によって構成されており、該基台付属部(12)の開放側縁から前記加工刃(2)までの長さが、前記規格サイズよりも大きい他の規格サイズの用紙の長辺の1/2の長さ(L)になるように設計されたことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1つの請求項に記載の裁断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に裁断等の加工を施すための裁断機に関し、特に、多様な位置合わせを迅速かつ正確に行うことができる裁断機に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙の特定位置に加工を施すための裁断機としては、用紙が載置される基台の一側部にレール部を設け、それに裁断刃等の加工具をスライド自在に取り付けた構成が一般的である。加工具を押さえながら移動させることで用紙加工が行われるが、この際、利き手とは反対側の手で、裁断側とは反対側の用紙の縁部を基台上の目盛に合わせることで位置合わせを行なったり(特許文献1)、基台上に紙当て定規を突設し、それに用紙の端部を当接させることで位置合わせを行なったりしている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015‐116619号公報
【文献】特開2006‐7383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、用紙に施される加工は多様であり、A4判やB4判などの規格サイズの用紙を半分に裁断して1サイズ小さい用紙を作成したい場合もあれば、用紙を所定幅に細長く裁断したい場合もある。狭いスペースで作業を行わなければならない場合もあれば、迅速に位置合わせを行いたい場合もある。
そこで、本発明は、多様な用紙加工を正確かつ迅速に行うことができる裁断機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、用紙が載置される基台と、加工刃をスライド自在に取り付けたレール部材と、からなる裁断機であって、前記基台の始端部に規格サイズの用紙の長辺を当接させるための段差部を設けると共に、該段差部から前記用紙の短辺の長さの位置に配された横線と、前記加工刃から該用紙の長辺の1/2の長さの位置に配された縦線と、前記横線と縦線の交点を直角に切欠いた切欠部を有する角位置表示と、によって構成された中央位置表示を、前記基台の盤面に設けたことを特徴とするものである。
【0008】
場合、前記基台の盤面を磁性体で構成すると共に、前記角位置表示と同一形状の底面を吸着面とし、前記切欠部から伸びるL字状の壁面を用紙の角を当接させるための角当て面とした磁石部材を含んだ構成としてもよい。
また、前記加工刃が前記基台の横方向中央に配されるように前記レール部材を設けると共に、先端に紙当て部を立設した一対のゲージ部材を、前記基台の内部に設けられたギアを介して左右方向同一長さに進出するように取り付けてもよい。
また、前記基台を、一側縁から前記加工刃までの本体盤面と、該加工刃から他側縁までの付属盤面と、によって構成し、該付属盤面に、加工の始端部から終端部に向けて前記レール部材に沿って平行にのびる複数条の表示線を設けてもよい。
【0009】
また、前記基台は、本体部と、該本体部の一側縁に取り付けられた基台付属部と、によって構成されており、該基台付属部の開放側縁から前記加工刃までの長さが、前記規格サイズよりも大きい他の規格サイズの用紙の長辺の1/2の長さになるように設計されたものであってもよい
【発明の効果】
【0012】
請求項に係る裁断機は、基台の始端部に段差部を設け、その段差部から格サイズの用紙の短辺の長さの位置に配された横線と、加工刃から一側縁に向けて用紙の長辺の1/2の長さの位置に配された縦線と、該横線と縦線との交点を直角に切欠いた切欠部を有する状の角位置表示と、によって構成された中央位置表示を基台の盤面に設けたので、用紙の中央を加工する際の位置合わせが容易にできる。
特に、角位置表示の切欠部に、加工しようとする用紙の角部を合わせることで、表示線の内側に用紙の角部を合わせるべきか、それとも外側に合わせるべきかについて悩むことなく、精度の高い位置合わせが可能となる
【0014】
請求項に係る裁断機は、角位置表示と同一形状の底面を吸着面とする磁石部材を含んで構成したので、この磁石部材を、本体盤面上の中央位置表示の部位に吸着させ、L字状の壁面に被加工用紙の角部を当接させることで、迅速且容易に位置合わせを行うことができる。
請求項に係る裁断機は、加工刃が基台の横方向中央に配されるようにレール部材を設け、先端に紙当て部を立設した一対のゲージ部材を、基台内部に設けられたギアを介して左右方向同一長さに進出するように取り付けたので、規格サイズ外の用紙であっても中央位置に加工を施すことができるようになる。
【0015】
請求項に係る裁断機は、基台を、一側縁から加工刃までの本体盤面と、加工刃から他側縁までの付属盤面と、によって構成し、付属盤面に、加工の始端部から終端部に向けて前記レール部材に沿って平行にのびる複数条の表示線を設けたので、加工を施す側の用紙側縁部を表示線に沿わせることで、細長い加工を正確に行うことができる
請求項5に係る裁断機は、前記基台を、本体部と、該本体部の一側縁に取り付けられた基台付属部と、によって構成し、該基台付属部の開放側縁から前記加工刃までの長さを、前記規格サイズよりも大きい他の規格サイズの用紙の長辺の1/2の長さになるように設計したので、基台付属部の開放側縁に用紙の端を位置させることで、用紙の中央位置に加工を施すことができる。そのため、加工刃を裁断刃とした場合、1サイズ小さな用紙を2枚作成することが容易になる。また、基台を、本体部と基台付属部とによって構成したので、付属部を畳んでおくことで、コンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る裁断機を示す斜視図である。
図2】上記裁断機の側面図である。
図3】上記裁断機の基台付属部を回動させて折り畳んだ状態を示す斜視図である。
図4】スライダの断面図であり、(a)は初期状態、(b)はスライダを押し下げて裁断している状態を示す。
図5】上記裁断機の使用状態を示し、(a)は正確な位置合わせを行う際の斜視図であり、(b)は基台を折り畳んだ状態で裁断する際の斜視図である。
図6】上記裁断機の第1変形例を示す斜視図である。
図7】上記変形例の変形態様を示し、(a)は裁断刃側から見た正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図、(e)は平面図である。
図8】上記変形例において、基台付属部を折り畳んだ状態を示し、(a)は裁断刃側から見た正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
図9】本実施形態の第2変形例として、レール部材を基台始端部側に回動可能に取り付けたものを示し、(a)は裁断刃側から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図である。
図10】上記変形例の使用状態を示す平面図であり、(a)は裁断の始端部で位置合わせする状態、(b)は裁断の終端部で位置合わせする状態を示す。
図11】本発明の第2実施形態に係る裁断機を示す平面図である。
図12】上記裁断機の基台からレール部材を取り外した状態を示す平面図である。
図13】基台の説明図であり、(a)は付属部を本体部側に回動させる状態、(b)は折り畳んで収納する状態を示す。
図14】上記裁断機に用紙をセットした状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はA-A矢視断面図、(d)は側面図、(e)はB-B矢視断面図である。
図15】上記基台への紙当て部材の取り付け状態を示す断面図であり、(a)紙当て部材を盤面上に突出させた状態、(b)は盤面下に収容した状態を示す。
図16】レール部材が基台から取り外される状態を示す説明図である。
図17】大きなサイズの用紙の中央を裁断する状態を示す説明図であり、(a)は裁断開始時、(b)は用紙をずらす状態を示す。
図18】基台に取り付けられたレール部材を回動させる状態を示す説明図である。
図19】レール部材の取付部の変形例を示し、(a)は取り付ける前の状態、(b)は取り付けられた状態を示す。
図20図19において、レール部材が回動する際に嵌合が維持される状態を示し、(a)は断面図、(b)はC-C線断面図、(c)はD-D線断面図である。
図21】取付部の変形例として、基台とレール部材20との間に磁力を作用させた状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は断面図である。
図22】紙当て部材の第1変形例を示す平面図である。
図23】紙当て部材の第2変形例及び基台の第1変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図24】レール部材の第2変形例を示す平面図である。
図25】基台の第2変形例及びレール部材の第1変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
図26】本発明の第3実施形態に係る裁断機を示す斜視図である。
図27】上記裁断機の角表示を示す説明図である。
図28】従来の角位置表示を示す説明図である。
図29】上記裁断機の基台内部を示し、(a)はゲージ部材を基台内に収容することで、規格サイズ(A4判)の用紙を半分に裁断する状態、(b)はゲージ部材を引き出して他の規格サイズ(B4判)の用紙を半分に裁断する状態、(c)はゲージ部材を最大長さまで引き出して最大規格サイズ(A4判)の用紙を半分に裁断する状態、(d)はそれ以上の大きさの用紙を裁断する状態を示す。
図30】上記裁断機の基台内部を示し、(a)はゲージ部材を基台内に収容することで、規格サイズ(A4判)の用紙を半分に裁断する状態、(b)はゲージ部材を引き出して他の規格サイズ(B4判)の用紙を半分に裁断する状態、(c)はゲージ部材を最大長さまで引き出して最大規格サイズ(A4判)の用紙を半分に裁断する状態を示す。
図31】上記裁断機を使用して規格サイズの用紙を半分に切断する状態を示す平面図である。
図32】上記裁断機を使用して小さなサイズの用紙を半分に裁断する状態を示す平面図である。
図33】角位置表示の第1変形例を示す説明図である。
図34】角位置表示の第2変形例が適用された裁断機を示す平面図である。
図35】上記第2変形例に係る裁断機の使用状態を示す平面図である。
図36】磁石部材65を示し、(a)は斜視図、(b)は使用状態を示す部分斜視図である。
図37】本発明の第4実施形態に係る裁断機を示す斜視図である。
図38】上記裁断機を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は右側面図、(e)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、用紙が載置される基台と、加工刃をスライド自在に取り付けたレール部材と、からなる裁断機であって、基台の側縁部から加工刃までの長さが、規格サイズの用紙の長辺の1/2の長さになるように設計されたことを特徴とするものである。以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る裁断機1を示す斜視図である。
この裁断機1は、用紙が載置される基台10と、裁断刃2をスライド自在に取り付けたレール部材20と、によって構成される。
基台10は、本体部11の一側部に付属部12を取り付けることで矩形状に構成される。即ち、基台付属部12は、取付軸部17を介して本体部11に回動可能に取り付けられており、本体部11の横辺11hと、それに連続する付属部12の横辺12hとによって、基台10の横辺10hが形成される(図2を参照)。
【0020】
基台付属部12の裏面縁部には、本体部11の高さに合わせるための脚部18が設けられている。
不使用時には、付属部12を本体部11の裏側(底面)に向けて回動させることで、本体部11と一体化される(図3を参照)。使用時には、本体部11の底面から離反する方向に付属部12を回動させてフラットにする。フラットにした際に、基台10の横辺10hは、規格サイズ(例えばA4判)の用紙3の長辺の1/2の長さになるように設計されている。
【0021】
基台付属部12の側縁部には、用紙3の側縁を当接させて位置合わせを行うための紙当て部材30が上方に向けて突設されている。この紙当て部材30の底面側には、基台本体部11に設けられた係止部19に嵌合されて一体化させるための被係止部19aが設けられている。
基台本体部11の前端部(裁断の始端部)と後端部に、レール部材20を架設するための取付部14が設けられている。取付部14の内壁面は、用紙3の端縁を当接させて位置合わせを行うための紙当て部39、39としての機能も兼ねている。
【0022】
取付部14は、規格サイズの用紙3の中央が裁断されるような位置にレール部材20を取り付けることができるように設計されている。即ち、基台10の側縁部からレール部材20の裁断刃2の側の縁部までの長さ(10h)が、規格サイズの用紙3の長辺の1/2の長さとなるように設計されており、このラインに沿って裁断刃2が移動することで、用紙3が中央で裁断される。
この裁断ラインに沿って、裁断刃2を受けるためのカッターマット4が埋設されており、その上方にレール部材20が架設されることとなる。
【0023】
レール部材20は、一条のレール部23と、そのレール部23を移動するスライダ40と、によって構成される。
レール部23は、用紙3を固定することができるよう所定の幅を有しており、それを跨ぐようにスライダ40が取り付けられる。
【0024】
スライダ40は、図4に示すように、レール部23にスライド可能に取り付けられる基部41と、下端部に裁断刃2を備えた操作部42と、によって構成される。
スライダ操作部42は、バネ43を介し、スライダ基部41に対して上下動可能に取り付けられており、上面を押し下げて裁断刃2を下降させた状態で移動させることで、基台10上の用紙3が裁断されるようになっている。
【0025】
上記構成の裁断機1を使用して規格サイズの用紙3を半分に切断する状態を説明する。先ず、図5(a)に示すように、基台10とレール部材20との間に用紙3を挿入し、用紙3の側縁部を基台10の側縁の紙当て部材30に当接させる。
その際、用紙3の前端縁部(裁断の始端部)を紙当て部39に当接させながら、用紙3の側縁部を紙当て部材30に当接させる。この状態で用紙3を固定し、スライダ操作部42を押し下げながら移動させる。
【0026】
基台10の側縁部からレール部材20の裁断刃側縁部までの長さ(10h)が、規格サイズの用紙3の長辺の1/2の長さに設計されているので、紙当て部材30に用紙の端部を当接させることで、用紙の中央位置を正確に裁断することができる。
そのため、例えばA4判の用紙3を裁断した際に、同一サイズのA5判用紙を2枚作成することが可能となる。
【0027】
不使用時には基台10の付属部12を回動させて折り畳むことができる。この際、基台本体部11の係止部19と付属部12の被係止部19aにおいて付属部12が固定される。
図5(b)に示すように、付属部を開けることなく裁断することができるので、狭い場所で裁断せざるを得ない場合に便利である。本実施形態に係る裁断機1では、場所や目的に応じた態様での精度の高い位置合わせが可能となる。
【0028】
なお、裁断時に裁断刃2を下降させる機構として、本実施例ではスライダ40の内部にバネ43を設ける構成を採用したが、図6に示す裁断機1’のように、取付部14とレール部材20の間にバネ43を配し、スライダ40’を押し下げることによって、レール部材20’ごと下降するようにしてもよい。
基台付属部12’と本体部11’を一体化するための係止部19’、19a’を底に設けると共に、基台付属部12’の側縁部を僅かに延長して、基台付属部12’を開放する際の摘み部18aとした。この実施例では紙当て部材を設けず、基台10’の縁部に用紙の縁部を沿わせて位置合わせするようにしている。
【0029】
また、図6に示す裁断機1”のように、基台10を一側縁から加工刃までの本体盤面10aと、加工刃から他側縁までの付属盤面10bとによって構成し、付属盤面10bに、加工の始端部から終端部に向けてレールに沿って平行にのびる複数条の等幅表示17を設けてもよい。細長い帯状の紙片を作成する際、用紙の側縁部を、この等幅表示17に沿わせることで、等幅な裁断が可能となる。
或いは、図7に示すように、レール部材20の裁断ライン(K)の始端部(T)を中心とした所定角度ごとの角度目盛り64を設け、その延長上に、裁断ラインに平行な縦線62と、該縦線に直交する横線61との交点を切り欠いた多角形状の角位置表示63”を設けてもよい。
【0030】
前記規格サイズの用紙の長辺を当接させるための段差部212を設けると共に、該段差部239から他の規格サイズの用紙の短辺の長さ(S1,S2)の位置に配された横線61と、裁断刃2から一側縁に向けて用紙の長辺の1/2の長さ(L1,L2)の位置に配された縦線62と、それらの交点を直角に切欠いた切欠部を備えた多角形状の角位置表示63”と、によって構成された斜め加工表示を、基台10’の盤面に設けてもよい。用紙を等幅に細長く裁断する場合は、図8に示すように、基台付属部12を折り畳んだ状態でも使用することができる。
【0031】
レール部材20”を、基台10”の始端部側に回動可能に取り付けて裁断機1”を構成してもよい(図9を参照)。
この裁断機1”は、基台10”の前端部に回動支軸を設け、リング状の取付部14”を介してレール部材20”を回動可能に取り付けて構成した。レール部材20”の終端部側が開放されるようにしたので、用紙を前方にずらしながら裁断することができ、大きなサイズの用紙3’の裁断が可能となる(図10を参照)。
【0032】
この裁断機1”では、基台10”から出没可能な紙当て部材30a、30cを、基台付属部12”の縦方向両角部に設けて構成した。使用に際しては、先ずは始端部側の紙当て部材30aを突出さて位置合わせし(この際、終端部側の紙当て部材30cは基台10”の下に収容しておく)、その状態で途中まで裁断したら、レール部材20”を基台上10”から離反させて用紙を始端部側にずらし、終端部側の紙当て部材30c”を突出させて位置合わせを行う。これによって、A4判用裁断機(A4判用紙を半分に裁断するための裁断機)であっても、A3判サイズの用紙を裁断してA5判サイズの用紙を複数作成することが可能となる。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の第2実施形態に係る裁断機100について、図11を参照して説明する。この裁断機100も、用紙が載置される基台110と、裁断刃2をスライド自在に取り付けたレール部材120と、によって構成されるが、レール部材120が着脱可能となっている点で、第1実施形態に係る裁断機とは相違する(図12を参照)。以下、第1実施形態と同一構成の部材は同一の符号を付すことで、その説明を省略する。
基台110は、本体部111の一側部に基台付属部112を回動可能に取り付けることで長方形状に構成される。
【0034】
即ち、基台付属部112は、取付軸部117を介して本体部111に回動可能に取り付けられており、本体部111の横辺11aと、それに連続する付属部112の横辺12aとによって、基台110の横辺10aが形成される。
基台付属部112は、本体部11に向けて上方に回動し、折り畳んだ際にそれぞれの盤面が密接されるようになっている(図13を参照)。使用時には、本体部111の盤面から離反する方向に回動させてフラットにする。
【0035】
フラットにした際の基台10の横辺10aは、規格サイズ(例えばA4判)の用紙3の長辺と同一長さである。即ち、基台付属部112を開けてフラットにした際の基台横辺の長さ10hが、規格サイズ(例えばA4判)の用紙3の長辺と同一になるように設計されている。そして、付属部112の紙当て部材30aからの長さ(12a)を、封筒サイズの幅よりもわずかに短い長さとしている。
【0036】
基台110のそれぞれの角部には、図14に示すように、用紙3の端縁を当接させて位置合わせを行うための紙当て部材30a、30b、30c、30dが設けられる。
紙当て部材30は、図15に示すように、基台110の角部に設けられた溝部13に係止部31を挿入させた状態で、それぞれ取り付けられている。
【0037】
即ち、溝部13の上端部と下端部に抜け止め部13a、13bが設けられており、用紙を当接させて位置合わせを行う際には、紙当て部材30を引き上げて上方位置の抜け止め部13aに係止させる。紙当て部材30を盤面下に収容する際には、紙当て部材30を押下げて係止部31を抜け止め部13bに係止させる。これによって、大きなサイズの用紙を載置する場合であっても、用紙3を基台110の上にフラットに載置することが可能となる。
【0038】
基台110の一側部(正面側の横辺)には、レール部材120を取り付けるための取付部114が設けられている。
取付部114は、規格サイズの用紙の中央を裁断することができるような位置にレール部材120を取り付けることができるよう設計されている。
例えば、基台110の横辺をA4サイズの長辺と同一長さとした場合は、その中央が裁断される位置にレール部材120を取り付けるための第1の取付部114aと、A4サイズの短辺に相当する位置を裁断するようにレール部材120を取り付ける第2の取付部114bと、の2つの取付部を有している。
【0039】
これらの取付部114は、レール部材120を外れないように取り付けるための嵌合部としての機能と、回動可能とするための回動支軸としての機能を合せもつように設計するのが好ましい。
即ち、レール部材120への取付部114を、基台110の始端部側に設け、終端部側に向けて中央位置を維持しつつ裁断刃2が移動するように、例えば、図16に示すように、ある一定の角度(θ)以上レール部材120を回動させることで初めて、基台側110の取付部114と、レール部材120の嵌合部121との係合が外れるように設計するのが好ましい。
【0040】
取付部114を介して基台110に取り付けられるレール部材120は、本体部としての定規部122と、定規部122の一側に設けられた一条のレール部123と、そのレール部123を移動するスライダ40と、によって構成される。
定規部122は用紙3を固定するための紙押え部としての機能と共に、規格サイズ(長3形など)の封筒に適する大きさに折り畳む際の定規としての機能を有するもので、レール部123が設けられていない側の端面に、用紙を折り曲げるための筋付部124を形成している。
【0041】
即ち、レール部123とは反対側の定規部122の端縁は、下面側が接面積の広いテーパ部となっており、下面側の鋭角な角で筋付けできるようになっている。付属部112の横辺の長さを規格の封筒サイズの幅よりもわずかに短くすると共に、本体部111の上面に密接するように付属部112を回動可能に取り付けた。裁断刃2とは反対側の側縁部が、本体部111への取付軸部117に位置するようにレール部材112を設計することで、筋付け定規としての機能をも備えた定規部122とすることができる。
【0042】
レール部123にはスライダ40が取り付けられており、そのスライダ40に裁断刃2が上下動可能に取り付けられている。このスライダ40の上面を押下げることで、裁断刃2が下がり、基台110上の用紙3が裁断されるようになっている。
基台110の表面に横方向中央位置(即ち、裁断ライン)が表示されている。そして、裁断刃2を定規部122の一側縁に略摺接する位置に配設することで、中央位置を確認しながら裁断することが可能となる。
【0043】
上記構成の裁断機100を使用してA4判の用紙3を半分に切断する方法を説明する。
先ず、第1の取付部114aにレール部材120を取り付ける。そして、紙当て部材30a、30bを基台110の上方に突出させる。そして、用紙3の角部を紙当て部材30a、30bに当接させながら、基台110とレール部材120との間に載置する。
裁断の始端部において用紙3を位置合わせした状態で、用紙3をレール部材12の定規部122で固定し、スライダ40を押し下げながら移動させて裁断する。このようにすれば、A4判の用紙3の中央位置で裁断することができるので、正確なサイズのA5判の用紙を2枚作成することができる。
【0044】
次に、1サイズ大きな用紙(A3判)を半分に裁断してA4判の用紙を作成する方法を、図17を参照して説明する。
この場合、第2の取付部114bにレール部材120を取り付ける。そして、始端部側の一方の角部に設けられた紙当て部材30aを基台110の上方に突出させ、そこに用紙3の角部を当接させて位置合せを行う。その状態でレール部材120の定規部122で用紙3を固定し、スライダ40を押し下げながら移動させる。
【0045】
レール部材120は、前記規格サイズ(即ちA4判)の用紙の短辺に相当する位置に取り付けられているので、基台110から用紙がはみ出してしまうこととなるが、途中まで裁断した後、レール部材120を基台110から離反する方向に回動する。そして、図17(b)のように、用紙を始端部側にずらして未裁断の部位が基台110に配置されるようにし、レール部材120を回動して用紙3を固定する。レール部材120を回動した際に、スライダ40が自重で始端部側に滑り落ちるので(図18を参照)、終端部に向けてそのままスライダ40を移動することで、連続的な裁断が可能となる。
【0046】
次に、規格サイズ(例えば長形3号)の窓付き封筒に適する位置で用紙を折り畳む方法を説明する。
先ず、折り畳んだ際に内側になる面を上にした状態で、位置合わせ側の端部(封筒の窓から露呈させたい情報が記載されている方の端部)を、付属部112の側紙当て部材130に当接させる。そして、本体部111と付属部112を接続部(取付軸部117)に定規部122の筋付部が位置するようにレール部材120を載置し、その状態で、基台付属部112を回動させる。このようにすれば、定型サイズの封筒に適する位置で用紙を折り曲げることができるので、封筒の窓から宛名が現れる位置で用紙を折り畳むことができる。
【0047】
本実施形態では、基台の横辺を規格サイズの用紙3の長辺と同一長さとし、用紙3の長辺の1/2の位置だけでなく、短辺の位置も裁断されるようにレール部材120を取り付け可能としたので、1サイズ大きな用紙の中央裁断も可能となる。
基台110の縦辺をA4判の短辺と同一長さに設計すれば、縦方向両角部に設けられた紙当て部材130a、130cに当接させ、始端部から終端部に向けて一機に移動させて裁断することもできる。用紙の一側部のみで位置合わせを行う場合は、基台の縦方向両角部のみに紙当て部材30a、30cを設けてもよいし、裁断の始端部のみで位置合わせする場合は、横方向両角部のみに紙当て部材30a、30bを設けてもよい。あるいは紙当て部材を設けなくてもよい。
【0048】
レール部材120の取り付けも如何なる方法でもよく、例えば、図19に示すように、取付部114の上方からレール部材120を嵌め込んで装着するようにしてもよい。この場合、レール部材120を基台110から離反させても、基台110に対するレール部材120の位置(裁断位置)が維持されるように設計する。例えば、基台110の取付部114に嵌めこんだ後、レール部材120を回動させることで双方の取付部において係合されるようにしてもよい(図20を参照)。
【0049】
レール部材の取付部を磁石によって構成してもよい。例えば、図21に示すように、基台110’の所定位置に磁石15(又は鉄部材)を設け、レール部材120’の下面部に鉄部材121’(又は磁石)を設けることで、裁断刃2が基台110の横辺の中央位置を移動するようにレール部材120’を取り付けるようにすることができる。
また、規格サイズの用紙の短辺の1/2に相当する位置を裁断刃2が移動するようにレール部材120’を取り付けるための取付部(磁石15c)、長辺の1/4に相当する位置を裁断刃2が移動するように取り付けるための取付部(磁石15d)などを設けてもよい。
【0050】
紙当て部材は、基台110の一方の縦方向両角部のみに設けられていてもよいし、図22に示すように、角部を避けて辺部に設けても良い。基台110の盤面から出没しない構成としてもよいし、一切設けなくても良い。
図23に示すように、基台110は、単一部材で構成してもよいし、他の規格サイズ(例えばB4判)用の基台110’とセット販売してもよい。基台110へのレール部材120の取り付けも、着脱可能な構造であればよく、例えば、基台110の所定位置に溝状の取付部16を設け、レール部材120に設けられたヘアピン状の取付部121”を差し込んでもよい(図24を参照)。
【0051】
加工刃の異なるスライダ40を各種設け、それをレール部123に付け替えて使用することもできる。
規格サイズの用紙の短辺の1/2に相当する長さになるように該レール部材を取り付けるための第2の取付部(114b)と、規格サイズの用紙の短辺の1/2に相当する長さになるように該レール部材を取り付けるための第3の取付部(114c)を設けてもよい。
【0052】
例えば、図25に示す基台110”のように、一方の辺(図中縦方向の辺)を第1の規格サイズ(A4判)の長辺と同一の長さとし、それに隣接する辺(図中横方向の辺)を第2の規格サイズ(B4判)の長辺と同一長さとすることで、1つの基台110”で複数の規格サイズの用紙の中央裁断ができるようにすることもできる。
基台110”の横辺には第1のサイズ(A判)用の取付部114a、114b、114cを設け、縦辺には第2のサイズ(B判)用の取付部115a、115b、115cを設けることで、あらゆるサイズの用紙に対応させることができる。
レール部材120’は複数のスライダ40、40’を有するものであってもよい。この場合、第2のスライダ40’用のレール部123’を設け、その始端部の側にレール部材120’を基台110’に取り付けるための取付部121’を設ける構成が採用できる。
【0053】
異なる加工刃(ミシン目刃、筋付け刃など)を有するレール部材をセット販売することもできる。
加工刃を用紙3に折り目をつけるための筋付け刃とし、基台一側部(紙当て部材30a)からの長さが規格の封筒サイズの幅よりもわずかに短い位置を、筋付け刃5が移動するようにレール部材120”を取り付けるように第4の取付部114dを設けることで、規格サイズの封筒に適した位置で用紙を折り畳むことができる。
【0054】
レール部材120’は複数のスライダ40、40’を有するものであってもよい。この場合、第2のスライダ40’用のレール部123’を設け、その始端部の側にレール部材120’を基台110’に取り付けるための取付部121’を設ける構成が採用できる。
或いは、異なる加工刃(ミシン目刃、筋付け刃など)を有するレール部材をセット販売することもできる。
【0055】
加工刃を用紙3に折り目をつけるための筋付け刃とし、基台一側部(紙当て部材30a)からの長さが規格の封筒サイズの幅よりもわずかに短い位置を、筋付け刃5が移動するようにレール部材120”を取り付けるように第4の取付部114dを設けることで、規格サイズの封筒に適した位置で用紙を折り畳むことができる。加工刃の異なるスライダ40を各種設け、それをレール部123に付け替えて使用することもできる。
【実施例3】
【0056】
次に、本発明の第3実施形態に係る裁断機200について、図26を参照して説明する。この裁断機200は、裁断刃2が基台210の横方向中央に配されるようにレール部材220を設け、先端に紙当て部52を立設した一対のゲージ部材50を、基台内部から左右方向に伸び縮みできるようにした点で、他の実施例の裁断機とは相違する。
基台210は、矩形状の盤面の前端と後端に段差部を設け、その内壁面をもって用紙の端縁を当接させて位置合わせをするための当接部239としている。段差部には、レール部材220を上下動可能に取り付けるための取付部221が設けられており、この取付部221の一方に、カッターマット4を脱着可能に取り付けるための着脱部222が設けられている。
【0057】
基台210の盤面は、本体盤面210aと付属盤面210bとによって構成されており、夫々の盤面210a,210bに、用紙に各種の加工を施す際の位置合わせ表示60、70が各所に設けられている。
本体盤面210aは、裁断刃2が取り付けられていない側の基台側縁部(一側縁)から裁断刃2までの領域であり、横方向の長さ(L)が、規格サイズの用紙(例えばA4判)の長辺の1/2に設定されている。本体盤面210aには、A4判、B5判、A5判などの規格サイズの用紙の中央を裁断するための中央位置表示60が各所に設けられている。この中央位置表示60は、図27に示すように、縦線61と、横線62と、角位置表示63とによって構成される。
【0058】
縦線61は、段差部212から直角方向にのびるラインであり、裁断刃2から規格サイズの用紙の長辺の1/2の長さの位置を、レール220と平行にのびる。横線62は、用紙の短辺の長さの位置を、段差部212の内壁面と平行にのびる。いずれも、規格サイズの用紙を半分に裁断する際に、その用紙の縦辺と横辺を合わせるラインであるが、この際、図28に示すように、幅の広いラインとすると、角を合わせるべき位置が、ラインの内側なのか、外側なのか、あるいは中央に合わせるのかが不明となる。そこで、角位置表示63を含めた構成とした。
【0059】
角位置表示63とは、横線61と縦線62の交点に配された略楕円形状の表示で、縦線61(又はその延長)と横線62(又はその延長)の交点を直角に切欠いた形状のマークである。角位置表示63は、盤面210aの色彩とは異なる色彩で表示されており、内部に、加工しようとする用紙(或いは、当該用紙加工によって作成しようとする用紙)の種類を示すサイズ名が表示されている。
本実施例の場合、中央裁断によって形成される用紙のサイズを示す表示が記載されており、A5判の用紙を横方向に載置してA6判の用紙を2枚作成する際の表示として「A6」、B5判の用紙を横方向に載置してB6判の用紙を2枚作製する際の表示として「B6」が表示されている。
【0060】
これによって、基台盤面210aの色彩との境目に用紙の角部を合わせることで、ラインの内側に合わせるべきか、外側に合わせるべきかを悩むことなく、位置合わせを行うことができる。また、角位置表示を略楕円形状としたので、位置合わせの際の用紙の向きを直感的に理解することができる。なお、略楕円形状とは、長方形の角部にアールを持たせた形状をも含むものとする。
付属盤面210bは、裁断刃2が取り付けられている側の基台側縁部から裁断刃2までの領域で、用紙を等幅に裁断するための等幅表示70が設けられている。等幅表示70とは、盤面前端部(加工の始端部)から後端部(加工の終端部)に向けて配されたレール部材220と平行なラインである。裁断刃2から、例えば1cm、2cm、3cm…と等間隔に複数条設けることで、用紙を細長く裁断して帯状の用紙を作成する際の等幅性を担保することができる。
【0061】
基台210の内部には、横方向中央位置にギア51が設けられている(図29を参照)。このギア51には、先端に紙当て部52を立設した一対のゲージ50a,50bが左右方向に伸び縮み可能に取り付けられており、一方のゲージ50aを引き出すことで、他方のゲージ50bも同一長さに引き出されるようになっている(図30を参照)。
ゲージ50a,50bの表面部には、切断刃2からの紙当て部52までの長さ(M)が、所定の規格サイズの長辺の長さと同一になる位置で、基台210の側縁部に係止させるための係止部53が設けられており、規格表示54と共に設けられている。
【0062】
上記裁断機200を使用して、規格サイズの用紙を半分に切断する状態を、図31を参照して説明する。この説明において、基台210の一側縁から裁断刃2までの長さLは、A4判の用紙3の長辺の1/2の長さ(即ちA5判の用紙の短辺の長さ)となるように設計されている。
A4判の用紙3を半分に裁断してA5判の用紙を2枚作製する場合は、図30(a)のように、ゲージ部材50を基台210の内部に収容した状態で紙当て部52を起立させる。そして、用紙3を基台210とレール部材220との間に滑りこませ、そのままスライダ40を移動させる。基台210の一側縁から加工刃40までの長さが、規格サイズの用紙の長辺の1/2の長さなので、目盛りなどに合わせることなく用紙の中央位置を裁断することが可能となる。
【0063】
それよりも大きなサイズの用紙(B4判)を半分に裁断して、B5判の用紙を2枚作製したい場合は、図30(b)のように、ゲージ部材50を「B5」の表示のところまで引き出した状態で、紙当て部52に用紙の両側縁を当接させ、スライダ40を移動させる。さらに大きなサイズ(A3判)の用紙を半分に裁断して、A4判の用紙を2枚作製したい場合は、ゲージ部材50を「A4」のところまで引き出した状態で用紙を載置して裁断する(図30(c)を参照)。さらに、横方向に長い用紙を裁断したい場合は、ゲージ部材50先端の紙当て部52を倒して使用する。
【0064】
基台210のサイズより小さなサイズ(例えばA5判)の用紙3’を半分に裁断してA6判の用紙を2枚作成する場合は、図32に示すように、用紙3’の長辺(横辺)を始端側の紙当て部239に当接させた状態で基台210に載置する。そして、用紙3’の角部を角位置表示63の切欠に合わせ、その角部に隣接する辺を中央位置表示60の縦線61と横線62とに夫々沿わせた状態でスライダ40を移動する。この縦線61と横線62が太く、ラインの内側に沿わせるべきか、それとも外側に沿わせるべきか、ということを悩むことなく、精度の高い位置合わせが可能となる。また、角位置表示が略楕円形状なので、位置合わせの際の用紙の向きを直感的に理解することができる。略楕円形状とは、長方形の角部にアールを持たせた形状をも含むものとする。
【0065】
なお、角位置表示63は楕円形状のみならず、三角形形状、四角形形状、六角形形状などの多角形状としてもよい。例えば、図33(a)のように、横線61と縦線62との交点を中心とした正方形状の角位置表示63’とし、その交点における縦線61と横線62の切欠を設けた構成とし、その角部と、縦線61と横線62との交点とに用紙3の側縁を合わせ、裁断始端部(T)に用紙3の角部を合わせることで、45度の傾斜させた斜め裁断が可能となる(図33(b)を参照)。
【0066】
或いは、図34に示すように、レール部材20の裁断ライン(K)の始端部(T)を中心とした所定角度ごとの角度目盛り64’を設け、その延長上に、裁断ラインに平行な縦線62と、該縦線に直交する横線61との交点を切り欠いた多角形状の角位置表示63”とすることで、斜め加工表示としての機能をも持たせてもよい。角位置表示の形状を正六角形状とすれば、その角部と、縦線61と横線62との交点とに用紙3の側縁を合わせ、裁断始端部Tに用紙の角部を合わせることで、30度又は60度に傾斜させた斜めに裁断が可能となる(図35を参照)。
【0067】
図36のように、角位置表示と同一形状の底面を吸着面とする磁石部材65を含んで構成してもよい。この磁石部材65を、本体盤面210上の角位置表示の部位に吸着させ、L字状の壁面66に被加工用紙の角部を当接させることで、迅速且容易に位置合わせを行うことができる。
細長い帯状の用紙を作成する場合は、付属盤面210bの目盛りに用紙の縁部を合わせ、等幅表示70と平行に載置した状態でスライダを移動させる。用紙の縁部が等幅表示70のラインを見ながら裁断できるので、裁断位置がずれるのを防止し、裁断幅を一定に維持することができる。
【実施例4】
【0068】
次に、本発明の第4実施形態に係る裁断機300について、図37及び図38を参照して説明する。この裁断機300は、基台310の一側縁から裁断刃2までの長さが規格の用紙サイズを考慮しないで設計されている点で他の実施形態とは相違するが、基台310の利き手側の盤面(付属盤面310b)を細長く裁断するための領域とし、利き手とは反対側の盤面(本体盤面310a)を、用紙を半分に裁断するための領域とした点で第3実施形態に係る裁断機と共通する。規格サイズの用紙を半分に裁断して1サイズ小さい用紙を作成したい場合は利き手とは反対側の領域で位置合わせをし、位置ずれしないように確認しながらスライダ40を移動させ、用紙を所定幅に細長く裁断したい場合は、用紙が切り取られる部分を確認しながらスライダ40を移動させることができるので、多様な用紙加工を正確かつ迅速に行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、シート状の用紙に加工を施す際に使用されるあらゆる器具に適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1、100,200,300…裁断機
2…裁断刃(加工具)
3…用紙
10、110,210,310…基台
11、111…本体部
12、112…付属部
14、114…取付部
15…磁石
20、120,220…レール部材
122…定規部
23、123…レール部
30…紙当て部材
39、239…紙当て部
40…スライダ
50…ゲージ部材
51…ギア
52…紙当て部
60…中央位置表示
61…横線
62…縦線
63…角位置表示
70…等幅表示


図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図11
図12
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