(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】教示システム及び教示方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20230411BHJP
G05B 19/42 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B25J9/22 Z
G05B19/42 H
(21)【出願番号】P 2022113613
(22)【出願日】2022-07-15
【審査請求日】2022-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(73)【特許権者】
【識別番号】521139003
【氏名又は名称】太平貿易株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125737
【氏名又は名称】廣田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】天春 夢人
(72)【発明者】
【氏名】重廣 洋一郎
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-041992(JP,A)
【文献】特開2020-203364(JP,A)
【文献】特開2017-177279(JP,A)
【文献】特開平04-002461(JP,A)
【文献】特開2017-074669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G05B 19/42 - 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームと、前記アームの先端側に配されロボットの手先を構成するエンドエフェクタと、ワークに対する前記エンドエフェクタの押圧力を所定値となるように調整可能な押圧力調整機構とを備え、前記押圧力調整機構が押圧力の調整に伴って伸縮することにより、前記エンドエフェクタにて前記ワークに当接する部分と前記アームの先端との相対距離が変化するように構成されたロボットに適用され、前記ワークにおける面状又は線状の所定部分に前記エンドエフェクタを当接させた状態を維持しながら当該エンドエフェクタを前記所定部分に沿うようにして移動させる動きをダイレクトティーチングにより教示可能なロボット用の教示システムであって、
ロボット運転時に加えて前記ダイレクトティーチング時にも前記押圧力調整機構を伸縮させることが可能な構成となっており、
前記押圧力調整機構に前記ワークと前記エンドエフェクタとの当接に伴う収縮が発生している状況下にてユーザが取得操作を行った場合に、前記ロボットにおける各軸の回転角度を示す情報を取得し、前記ロボット運転時に前記手先を移動させる制御点を示す教示データを、それら回転角度を示す情報と
押圧力の前記調整に伴う収縮が発生していな
い状態となっている場合の前記押圧
力調整機構の長さを示す情報とに基づいて設定する設定部を備えている教示システム。
【請求項2】
アームと、前記アームの先端側に配されロボットの手先を構成するエンドエフェクタと、ワークに対する前記エンドエフェクタの押圧力を所定値となるように調整可能な押圧力調整機構とを備え、前記押圧力調整機構が押圧力の調整に伴って伸縮することにより、前記エンドエフェクタにて前記ワークに当接する部分と前記アームの先端との相対距離が変化するように構成されたロボットに適用され、前記ワークにおける面状又は線状の所定部分に前記エンドエフェクタを当接させた状態を維持しながら当該エンドエフェクタを前記所定部分に沿うようにして移動させる動きをダイレクトティーチングにより教示する教示方法であって、
前記押圧力調整機構を伸縮させることが可能となっている状況下にて、前記エンドエフェクタを前記所定部分に当接させた状態とし、
前記エンドエフェクタを前記所定部分に当接させた状態で前記ロボットの各軸の回転角度を示す情報を取得し、
前記ロボット運転時に前記手先を移動させる制御点を示す教示データを、それら回転角度を示す情報と
押圧力の前記調整に伴う収縮が発生していな
い状態となっている場合の前記押圧
力調整機構の長さを示す情報とに基づいて設定する教示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教示システム及び教示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多関節型ロボット等の産業用ロボットをティーチングする際には、ティーチングペンダント等の操作端末を用いて動作プログラムを作成する手法が採用されていた。しかしながら、このような手法ではロボットに対して直観的に指示を行うことができず、不慣れな作業者では所望の動きを実現するための時間が多大になるという問題があった。近年では、ティーチングの効率化等を実現すべく、ロボットを作業者が直接触って教示する手法(所謂ダイレクトティーチング)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えばワークの搬送等の単純な動きについては、ダイレクトティーチングによって動きを教示することは比較的容易である。これに対して、ワークを削ったり磨いたりする動きをダイレクトティーチングによって教示しようとした場合には、削りムラ等を抑えた均一な加工を実現する上、ワークの加工面に押圧力が一定となるようにしてエンドエフェクタを押し当てたまま当該エンドエフェクタを加工面に沿って移動させるといった細やかな対応が必要となり、ダイレクトティーチングの難易度が極めて高くなる。ダイレクトティーチングについてもユーザの熟練が必要となることは、ロボットによる自動化を促進する上で好ましくない。また、熟練度が高いユーザであっても、上述したような細やかな対応が必要になることで、高い集中力が必要になったりティーチングのやり直しが発生したりする。これは、作業効率の向上を図る上で好ましくない。このように、ダイレクトティーチングを簡易に効率よく実施可能とする上では、当該ティーチングに係る構成や具体的な手法には未だ改善の余地がある。
【0005】
なお、上述したダイレクトティーチングに係る課題については、削りや磨き等の加工作業に限って発生する課題ではなく、対象にエンドエフェクタを押圧力が一定となるように押し当てたまま当該対象に沿ってエンドエフェクタを移動させる必要のある他の作業についてダイレクトティーチングによる教示を行う場合にも発生し得る。
【0006】
本発明は、上記例示した課題等に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、ダイレクトティーチングを簡易に且つ効率よく実施できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0008】
第1の手段.アームと、前記アームの先端側に配されたエンドエフェクタと、前記アームと前記エンドエフェクタとの間に介在し、ワークに対する前記エンドエフェクタの押圧力を所定値となるように調整可能な押圧力調整機構とを備え、前記押圧力調整機構が押圧力の調整に伴って伸縮することにより、前記アームの先端と前記エンドエフェクタとの相対距離が変化するように構成されたロボットに適用され、前記ワークにおける面状又は線状の所定部分に前記エンドエフェクタを当接させた状態を維持しながら当該エンドエフェクタを前記所定部分に沿うようにして移動させる所定の動きをダイレクトティーチングにより教示可能なロボット用の教示システムであって、
前記押圧力調整機構が起動している状況下にて前記ダイレクトティーチングが実行される構成となっており、
前記エンドエフェクタを前記所定部分に当接させた状態でユーザが動作位置の指定操作を行った場合に現在の動作位置の情報を取得し、取得した現在の前記動作位置の情報に基づいて前記所定の動きを教示するための教示データを設定する設定部を備え、
前記設定部は、前記動作位置の情報を取得した際の前記押圧力調整機構の状態が所定状態になっている場合と当該所定状態よりも収縮した状態となっている場合との何れの場合であっても、前記押圧力調整機構が前記ワークと前記エンドエフェクタとの当接に伴う押圧力の調整が発生していない待機状態となっているものとして又は前記押圧力調整機構の収縮を加味することなく、前記教示データを設定する。
【0009】
第1の手段に示す構成によれば、押圧力調整機構が押圧力の調整によって収縮している場合であっても、あたかも収縮していないかのようにして教示データが設定される。設定された教示データに従ってロボットを動作させる場合(自動運転時)には、制御上で想定している手先(例えばエンドエフェクタ)の位置等と実際の手先の位置等とにギャップが生じることとなる。敢えてこのようなギャップを生じさせることにより、自動運転により制御上で想定されている想定押圧位置に向けて手先を移動させる場合に、実際の手先の位置を想定上の手先の位置よりも先行させることができる。これにより、自動運転時には、ロボットの姿勢を変化させている途中で、すなわち想定押圧位置への到達前に、手先がワークに当たり、手先が当該想定押圧位置に向けて移動しようとする力(前進力)はワークを押圧する押圧力に変わることとなる。この際、例えば実際の押圧力が上記所定の押圧力を超えるような場合には、押圧力調整機構によって余剰な押圧力が吸収され、ワークが適切に押圧される。なお、上記ギャップを生じさせることは、自動運転時にエンドエフェクタとワークとの間に隙間が生じるといった不都合、すなわち両者が非接触となるといった不都合を生じにくくする上で有利である。これは、押圧力調整機能が上手く発揮されなくなることを抑制する上で好ましい。
【0010】
また、第1の手段に示す構成によれば、押圧力調整機構が伸縮することでアームの先端とエンドエフェクタとの相対距離が変更される。言い換えれば、ダイレクトティーチング時にエンドエフェクタがワークに当接してから更に押し込まれたとしても、少なくとも押圧力調整機構によって相対距離が変更される(小さくなる)範囲内においては、自動運転時の実際の押圧力がダイレクトティーチング時の余計な押し込みに比例して高くなるといった事象を回避できる。つまり、所望とする押圧力となるように作業者が押し込みの程度をピンポイントで調整する必要がないため、当接確認→指定操作までの時間を短縮することができる。以上の理由から、ティーチングを簡易に且つ効率よく実施できる。これは、ティーチングの熟練度に対する要求を引き下げて、ロボットによる自動化を促進する上で好ましい。
【0011】
第2の手段.アームと、前記アームの先端側に配されたエンドエフェクタと、前記アームと前記エンドエフェクタとの間に介在し、ワークに対する前記エンドエフェクタの押圧力を所定値となるように調整可能な押圧力調整機構とを備え、前記押圧力調整機構が押圧力の調整に伴って伸縮することにより、前記アームの先端と前記エンドエフェクタとの相対距離が変化するように構成されたロボットに適用され、前記ワークにおける面状又は線状の所定部分に前記エンドエフェクタを当接させた状態を維持しながら当該エンドエフェクタを前記所定部分に沿うようにして移動させる所定の動きをダイレクトティーチングにより教示する教示方法であって、
前記押圧力調整機構が起動している状況下にて、前記エンドエフェクタを前記所定部分に当接させた状態とし、
前記エンドエフェクタを前記所定部分に当接させた状態で現在の動作位置の情報を取得し、
前記動作位置の情報を取得した際の前記押圧力調整機構の状態が所定状態になっている場合と当該所定状態よりも収縮した状態となっている場合との何れの場合であっても、前記押圧力調整機構が前記ワークと前記エンドエフェクタとの当接に伴う押圧力の調整が発生していない待機状態となっているものとして又は前記押圧力調整機構の収縮を加味することなく、前記所定の動きを教示するための教示データを設定する。
【0012】
第2の手段に示す方法によれば、ダイレクトティーチングを簡易に且つ効率よく実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】ロボットシステムの電気的構成を示すブロック図。
【
図5】ストロークの一部規制に係る構成を示す概略図。
【
図9】押圧力調整機構の状態と制御点との関係を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、工場の研磨工程などで用いられるロボットシステムに具現化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1に示すように、ロボットシステム10は、垂直多関節型(6軸)の産業用ロボットであるロボット11と、当該ロボット11を制御するコントローラ51(
図2参照)とを備えている。ロボット11は、床等に固定されるベース22と、ベース22に取り付けられたアーム23とからなるロボット本体21を有している。アーム23は複数の可動部が連結されてなり、関節部毎にそれら可動部を駆動させるモータ25と、各関節部(軸)の回転角度を検出するエンコーダ26とが配設されている(
図2参照)。
【0016】
アーム23の先端部24には、エンドエフェクタ42及び押圧力調整機構43がユニット化されてなる先端ユニット41が配されており、エンドエフェクタ42が押圧力調整機構43を介してアーム23の先端部24に取り付けられている。エンドエフェクタ42は、研磨用のディスクとディスク用の駆動部としてモータとを含み、ディスクがアーム23の先端部24と同じ方向に延びる軸線CL(詳しくは第6軸の軸線)を中心に回転可能となっている。このモータはコントローラ51(詳しくはユニットコントローラ53)に接続されており、このコントローラ51によって回転速度等が制御される。
【0017】
本ロボットシステム10が適用された研磨工程では、ロボット11に併設されたテーブルTBにワークW(例えばヘルメット)がセットされ、エンドエフェクタ42を回転させた状態で当該エンドエフェクタ42をワークWに押し当てることで、ワークWの表面(曲面状をなす外周部)を研磨する。本実施形態においては、ワークWの表面が「所定部分」に相当する。
【0018】
図2に示すように、コントローラ51には、パーソナルコンピュータやティーチングペンダント等の設定支援装置61が接続されている。設定支援装置61の制御部62には、ユーザによるロボット11の動きの設定(オフラインティーチングやダイレクトティーチングを含む)を支援するアプリケーションがインストールされている。ティーチングにより設定された動作指示についてはメモリ63に記憶され、ロボット11の自動運転を実行する場合にコントローラ51に送信される。この動作指示には、ロボット11用の制御点を示す情報(「教示データ」に相当)が含まれる。
【0019】
コントローラ51では、設定支援装置61からの動作指示を受けてプログラム記憶部から動作指示に対応した動作プログラムを読み込み且つアーム23を構成している各可動部の動作目標位置を特定する。動作指示から特定した動作目標位置と各可動部の現在の位置とを滑らかに繋ぐ目標軌道を生成し、当該目標軌道を細分化した位置である補間位置をロボット本体21に内蔵のサーボアンプ(図示略)に順次送信する。サーボアンプには、モータ25やエンコーダ26が接続されており、コントローラ51(詳しくはロボットコントローラ52)からの指示及びエンコーダ26により検出された回転角度等に基づいて各関節用のモータ25の駆動制御等を行う。
【0020】
ここで、ワークWの表面を研磨する場合には、エンドエフェクタ42をワークWに押し当てる力(押圧力)の大きさによってワークWの削り具合に差が生じる。言い換えれば、研磨のムラを抑えるためには、押圧力を極力一定になるようにして研磨を行う必要がある。本実施形態に示すロボット11では、そのような押圧力の変化を抑えるべく(押圧力の一定化を図るべく)、アーム23とエンドエフェクタ42との間に上記押圧力調整機構43を介在させている。ここで、
図3を参照して、押圧力調整機構43について補足説明する。
【0021】
押圧力調整機構43は、ソレノイド式のアクチュエータであり、ケース44と当該ケース44によって上記軸線CLと同じ方向に移動可能となるように保持されたプランジャ45とを有している。プランジャ45の一端には、上記エンドエフェクタ42が固定されており、エンドエフェクタ42は当該プランジャ45に追従して軸線CL方向に変位する。押圧力調整機構43はユニットコントローラ53に接続されており、ユニットコントローラ53ではエンドエフェクタ42によるワークWの押圧力を監視している。ユニットコントローラ53においては、ユーザが所望とする押圧力を任意に設定可能となっており、ユーザにより設定された基準値と押圧力の監視結果とを対比して、押圧力の実測値=基準値となるように当該押圧力調整機構43に供給する電力を変化させる。
【0022】
図3(a)に示す例では、押圧力の実測値=21Nとなっており、基準値である20Nを上回っている。この事象は、例えばアーム23がワークWに対して近づき過ぎていることが要因となって発生する。この場合、ユニットコントローラ53では、供給電力を減らすことで押圧力調整機構43の出力を引き下げる。これより、押圧力の実測値が降下して20Nとなり、実測値と基準値とが一致している。このような押圧力の変化に伴ってプランジャ45の突出量(圧縮側の残りストローク)が減少している(S1→S2)。
【0023】
一方、
図3(b)に示す例では、押圧力の実測値=19Nとなっており、基準値である20Nを下回っている。この事象は、例えばアーム23がワークWに対して離れ過ぎていることが要因となって発生する。この場合、ユニットコントローラ53では、供給電力を増やすことで押圧力調整機構43の出力を引き上げる。これより、押圧力の実測値が上昇して20Nとなり、実測値及び基準値が一致している。このような押圧力の変化に伴ってプランジャ45の突出量(圧縮側の残りストローク)が増加している(S1→S3)。
【0024】
なお、プランジャ45を双方向に移動させるための具体的構成については任意である。1の方向へは磁力によって移動させる一方、他の方向へはバネ等の付勢力によって移動させる構成としてもよいし、1の方向へ磁力によって移動させるための駆動部(例えば第1のソレノイド)と、他の方向へ磁力によって移動させる駆動部(例えば第2のソレノイド)とを併用してもよい。
【0025】
次に、押圧力調整機構43が搭載されたロボット11によってワークWを研磨する場合の動きをロボット11に教示する手法について説明する。本実施形態では、当該手法として、ユーザがロボットを直接手で動かして制御点を指定するダイレクトティーチングについて具体化している。
【0026】
図4に示すように、ロボット11は、安全に配慮して、工場の加工エリアを囲む安全柵G内に設置されている。本実施形態では、ロボット11と当該ロボット11を小型化した類似のロボット111とを連携させることにより、ロボット11,111間でリーダフォロワの関係を構築している。具体的には、ロボット111をリーダロボット(以下、リーダロボット111ともいう)とし、ロボット11を当該リーダロボット111と同じ姿勢となるようにして動作するフォロワロボット(以下、フォロワロボット11ともいう)としている。
【0027】
リーダロボット111は、フォロワロボット11と同様に、垂直多関節型(6軸)となっており、作業台等に載置されるベース122と、ベース122に取り付けられたアーム123とからなるロボット本体121を有している。アーム123は複数の可動部が連結されてなり、関節部毎にそれら可動部を駆動させるモータと、各関節部(軸)の回転角度を検出するエンコーダとが配設されている。リーダロボット111は、コントローラ51に接続されており、フォロワロボット11、リーダロボット111、コントローラ51及び設定支援装置61によって「教示システム」が構築されている。リーダロボット111の動作情報やフォロワロボット11の動作情報については、コントローラ51を通じて設定支援装置61に送信される。
【0028】
ユーザEがリーダロボット111に触れて当該リーダロボット111の姿勢を変更した場合には、当該リーダロボット111の各関節部の回転角度がコントローラ51を経由して設定支援装置61に入力される。設定支援装置61では、リーダロボット111の各関節部の回転角度に合わせてフォロワロボット11の各関節部の回転角度を決定し、コントローラ51にフォロワロボット11の姿勢変更の指令を送信する。コントローラ51は、当該指令に基づいてフォロワロボット11の姿勢を変更する。これにより、リーダロボット111の姿勢変更の結果が、フォロワロボット11に反映されることとなる。
【0029】
リーダロボット111のアーム123(詳しくは先端部124寄りとなる部分)には、ユーザにより操作される操作部である移動ボタン128及び位置取込ボタン129が設けられている。ダイレクトティーチング中はリーダロボット111の姿勢変更が規制されており、移動ボタン128を押している間に限ってリーダロボット111の姿勢を変更が可能となる。
【0030】
ユーザが位置取込ボタン129を操作すると、その取込コマンドが設定支援装置61に送信される。この取込コマンドを受信した設定支援装置61は、フォロワロボット11のエンコーダ26等から各軸の回転角度を示す情報であるエンコーダ情報を取得し、それらエンコーダ情報から特定した制御点を示す情報(手先の位置情報)を教示データとして当該設定支援装置61のメモリ63に記憶する。
【0031】
ユーザは、リーダロボット111のアーム123の移動操作と位置取込操作とを繰り返すことにより、上記フォロワロボット11についてアーム123の動きを教示することができる。そして、設定支援装置61の制御部62は、メモリ63により時系列に記録された上記教示データから各制御点を特定し、それら制御点を手先が通るようにアーム23を駆動制御するで、教示された動作を再現する。
【0032】
本実施形態では、自動運転中だけでなくダイレクトティーチング中についても押圧力調整機構43がONとなる。そして、ダイレクトティーチングの開始時等にユーザが設定した基準値となるようにして押圧力が調整される。この基準値については、自動運転により研磨を行う場合の基準値(例えば20N)よりも低くなるように設定される(例えば10N)。これは、ダイレクトティーチング中にワークWに対してエンドエフェクタ42が押し当てられた場合に、押圧力調整に伴うストローク変化を生じやすくさせる工夫である。
【0033】
但し、ダイレクトティーチング中は、押圧力調整機構43の機能が一部制限される。具体的には、押圧力調整時のプランジャ45のストローク範囲が狭められることとなる。本実施形態に示す押圧力調整機構43については、プランジャ45の突出量が最大となっている状態(最長状態)が基本状態となっており、押圧力の調整が行われていない状況下においてはこの状態に維持される構成となっている。ダイレクトティーチングが開始される場合には、プランジャ45の最大突出量が基本状態と比べて小さくなるようにストローク量が規制されることとなる。ここで、
図5を参照して、当該規制に係る構成について説明する。
【0034】
プランジャ45には、当該プランジャ45の軸部から突出するようにしてフランジ49が形成されている。ケース44内には、フランジ49に対して押圧方向における先側(下側)から当接するストッパ48が設けられている。ストッパ48に対してフランジ49が当接することで、それ以上の突出が不可となる。すなわち、当該ストッパ48によってプランジャ45の最大突出量が規定されている(SMAX参照)。
【0035】
ケース44の側面には内外に貫通するスリットが形成されており、このスリットを通じて板状の規制部材46を挿入可能となっている。規制部材46を所定の装着位置へ押し込むことで、当該規制部材46がストッパ48及び係止部47によって挟まれた状態となり、係止部47が引っ掛かることでケース44からの脱落が抑制される。
【0036】
規制部材46にはプランジャ45の軸部が挿入される切り欠きが形成されており、規制部材46を上記所定の装着位置に押し込むことで、この切り欠きに軸部が挿入された状態となる。切り欠きは、上記フランジ49が通過不可となる大きさとなっており、規制部材46を装着する際には、エンドエフェクタ42を押し込んでフランジ49をストッパ48から離間させて、フランジ49とストッパ48との間に当該規制部材46の挿入可能な隙間を確保する必要がある。
【0037】
規制部材46を装着した状態では、当該規制部材46がストッパ48とフランジ49との間に介在することになる。規制部材46に対して押圧方向における先側からフランジ49が当接することで、それ以上のプランジャ45の突出が回避される。すなわち、当該規制部材46によってプランジャ45の最大突出量が基本状態と比べて小さくなるように規制される(SMAX→Smax)。より具体的には、全ストローク中の規制区間と許容区間とを比較して規制区間が許容区間よりも小さくなるように差が生じている。これは、押圧力調整機構43本来の機能が低下することを抑制するための工夫である。次に、
図6を参照して、本実施形態におけるダイレクトティーチングの流れについて説明する。
【0038】
ダイレクトティーチングを行う場合には、リーダロボット111に設けられた移動ボタン128を押した状態のままリーダロボット111を押し引きして当該リーダロボット111の姿勢を変更する。このようなリーダロボット111の姿勢の変化に追従するようにして、フォロワロボット11の姿勢も変更される。リーダロボット111の傍にはワークWに相当するものがなく、フォロワロボット11の傍にワークWが配置される。このため、ユーザは、リーダロボット111のエンドエフェクタ42とワークWとを目視で確認しながら、手元でリーダロボット111を操作してエンドエフェクタ42をワークWに近づける。
【0039】
図6(a)→
図6(b)に示す例では、リーダロボット111の姿勢を変更した結果、フォロワロボット11のエンドエフェクタ42がワークWに当接している。
図6(b)→
図6(c)に示すように、リーダロボット111の姿勢変更を更に続けることで、エンドエフェクタ42がワークWに対して強く押し付けられることとなり、押圧力が基準値である10Nを超える。この際、押圧力調整機構43による押圧力の調整が実行される。この調整によってプランジャ45の突出量が減り、押圧力調整機構43の全長が短くなる。
【0040】
図6に示す例では、エンドエフェクタ42がワークWに当接してから更に姿勢変更を続けた後に位置取込ボタン129が操作されている。この時点で、上記教示データが設定される。その後も、エンドエフェクタ42をワークWの表面に沿って移動させて位置を変えながら、位置取込ボタン129の操作が繰り返されることとなる。
図6(d)に示す例では、
図6(c)に示す例とは異なる位置で位置取込ボタン129が操作されているが、これら2つの例では、押圧力調整機構43のプランジャ45の突出量が相違している(S4,S5参照)。エンドエフェクタ42とワークWにピタリと当てた状態とすることは困難であるが、押圧力調整機構43をONにしてある程度の誤差を許容することで、教示作業が簡易化されている。
【0041】
このように押圧力調整機構43を自動運転中だけでなくダイレクトティーチング中にもONにすることには技術的意義がある。但し、このような構成においては、ティーチングによる教示データの設定について以下の点に留意する必要がある。以下、
図7の対比例を参照して当該留意点(課題)について説明する。
【0042】
図7に示す対比例では、ダイレクトティーチングに際して押圧力調整機構43が最短状態となっている。この最短状態では、アーム23の先端部24と先端ユニット41との接続点EPからフォロワロボット11Xの手先(エンドエフェクタ42のツールセンタポイントAPX)までの距離が最小となっている(全長L1)。つまり、接続点EPを軸線CL方向に当該全長L1と同じ距離だけオフセットした位置にツールセンタポイントAPXが位置している。ここで、設定支援装置61の制御部62においては、各軸のエンコーダ情報と押圧力調整機構43の全長を加味することでツールセンタポイントAPXを特定可能である。仮に、ツールセンタポイントAPXの位置を示す情報を教示データ(制御点)として記憶した場合には、自動運転によりワークWを研磨する際の制御点CPXはワークWの表面上の点となり、この制御点CPXにエンドエフェクタ42のツールセンタポイントAPXが一致するようにしてアーム23が動作することとなる。つまり、押圧力調整機構43による調整代を最大限に残した状態(基本状態)でエンドエフェクタ42がワークWに当接することとなる。
【0043】
このような当接態様については、アーム23の軌道がワークWに対して近づく側にずれたり、ワークWのセット位置がロボット11Xに近づく側にずれたりした場合には、押圧力調整機能を上手く発揮させることができるため有利となる。一方、アーム23の軌道がワークWに対して離れる側にずれたり、ワークWのセット位置がロボット11Xから離れる側にずれたりした場合には、それ以上のストロークの拡大が困難であり、押圧力調整機能が上手く発揮されなくなると懸念される。ワークWの表面に沿ってエンドエフェクタ42を移動させる場合には、移動距離がある程度が長くなり、その過程で上記事象が発生すると部分的に研磨が不十分となり得る。これは、加工品質の向上を図る上で好ましくない。本実施形態においてはこのような事情に配慮した工夫がなされている。以下、
図8及び
図9を参照して、本実施形態における教示データの設定に係る構成について説明する。
【0044】
図8に示す様に、教示データを設定する場合には先ず、設定支援装置61の制御部62が、フォロワロボット11の各エンコーダ26からエンコーダ情報を取得する。一方、押圧力調整機構43からは当該押圧力調整機構43の状態を示す情報(制御情報やストローク情報)については取得しない。制御部62では、押圧力調整機構43が基本状態(最長状態)となっているものとして取り扱い、取得したそれらのエンコーダ情報及び予め記憶されている基本状態における押圧力調整機構43の最大全長LMAXを示す情報、具体的には接続点EPからツールセンタポイントAPまでの距離とに基づいて制御点CPを設定する。
【0045】
例えば、
図9(a)に示すように、押圧力調整機構43が全長L1となるようにして圧縮された状態となっている場合には、全長L1ではなく最大全長LMAXに基づいて制御点CP1が設定されている。このため、設定された制御点CP1はワークWの表面よりも押圧方向における先側にずれた位置となる。自動運転による研磨を行う場合には、この制御点CP1とツールセンタポイントAPとが一致するようにして、アーム23が動作することで、エンドエフェクタ42がワークWに非接触となることを抑制できる。
【0046】
また、
図9(b)に示す例では、
図9(a)と同様に押圧力調整機構43が圧縮された状態となってはいるものの、その全長L2については上記全長L1と異なっている。この場合にも、全長L2ではなく最大全長LMAXに基づいて制御点CP2が設定されている。このため、設定された制御点CP2はワークWの表面よりも押圧方向における先側にずれた位置となる。自動運転による研磨を行う場合には、この制御点CP2とツールセンタポイントAPとが一致するようにして、アーム23が動作することで、エンドエフェクタ42がワークWに非接触となることを抑制できる。
【0047】
図9(c)には、制御点が設定されるエリアを概略的に示している。上記ティーチングによって設定される制御点については、ワークWの表面SLと、当該表面SLから規制状態における押圧力調整機構43のストローク量だけ内側にオフセットした仮想面FLとの間の領域に収まることとなる。このため、制御点を結んだ目標動作軌道についてもワークWの表面SLよりも内側となり、この目標動作軌道に沿って移動するエンドエフェクタ42についてはワークWとの当接状態が維持され、押圧力調整機構43の調整効果の範囲内となるため、当該押圧力調整機構43による押圧力を一定にする機能を好適に発揮させることができる。
【0048】
以上、詳述した実施形態によれば、以下の優れた効果が期待できる。
【0049】
押圧力調整機構43が押圧力の調整によって収縮している場合であっても、あたかも収縮していないかのようにして教示データ(制御点)が設定される。設定された教示データに従ってロボット11を動作させる場合(自動運転時)には、制御上で想定しているエンドエフェクタ42の位置等と実際のエンドエフェクタ42の位置等とにギャップが生じることとなる。敢えてこのようなギャップを生じさせることにより、自動運転により制御上で想定されている想定押圧位置に向けてエンドエフェクタ42を移動させる場合に、実際のエンドエフェクタ42の位置を想定上のエンドエフェクタ42の位置よりも先行させることができる。これにより、自動運転時には、ロボット11の姿勢を変化させている途中で、すなわち想定押圧位置への到達前に、エンドエフェクタ42がワークWに当たり、エンドエフェクタ42が当該想定押圧位置に向けて移動しようとする力(前進力)はワークWを押圧する押圧力に変わることとなる。この際、例えば実際の押圧力が基準値を超えるような場合には、押圧力調整機構43によって余剰な押圧力が吸収され、ワークWが適切に押圧される。なお、上記ギャップを生じさせることは、自動運転時にエンドエフェクタ42とワークWとの間に隙間が生じるといった不都合、すなわち両者が非接触となるといった不都合を生じにくくする上で有利である。これは、押圧力調整機能が上手く発揮されなくなることを抑制する上で好ましい。
【0050】
また、押圧力調整機構43が伸縮することでアーム23の先端部24とエンドエフェクタ42との相対距離が変更される。言い換えれば、エンドエフェクタ42がワークWに当接してから更に押し込んだとしても押圧力調整機構43によって相対距離が変更される(小さくなる)範囲内においては実際に研磨を行った際の押圧力がダイレクトティーチング時の押し込み分だけ高くなるといった事象を回避できる。つまり、所望とする押圧力となるようにユーザが押し込みの程度をピンポイントで調整する必要がないため、当接確認→指定操作までの時間を短縮することができる。以上の理由から、ティーチングを簡易に且つ効率よく実施できる。これは、ティーチングの熟練度に対する要求を引き下げて、ロボットによる自動化を促進する上で好ましい。
【0051】
本実施形態では、上記相対距離が最大となる状態(待機状態)に基づいて教示データを設定することにより、当該教示データに基づいてロボット11が動作した際に、エンドエフェクタ42とワークWとの間に隙間が生じるといった不都合が生じる機会を一層好適に減らすことができる。
【0052】
ダイレクトティーチング中に押圧力調整機構43が伸縮可能となるストローク範囲が自動運転中に押圧力調整機構43が伸縮可能となるストローク範囲に含まれる構成とすることにより、ダイレクトティーチングにストローク範囲を考慮して指定したにも関わらず自動運転中に押圧力調整機構によるサポート外になる等して、ティーチングのやり直しが発生することを好適に抑制できる。
【0053】
ワークWの表面が僅かに湾曲していたり僅かに凹凸が生じていたりする場合には、ワークWとエンドエフェクタ42との距離が想定よりも大きくなる。このような場合に、伸長側でのサポートが困難となることは押圧力を一定にする機能を上手く発揮させることができない要因になる。この点、本実施形態に示したように、ダイレクトティーチング中は最短状態~中間状態の範囲で押圧力調整機構43が利用される構成とすれば、すなわち少し縮めておく構成とすれば、研磨を実行させる場合に伸長側でのサポートにある程度の余裕代を確保することができ、上記湾曲等への追従性を高めることができる。
【0054】
本実施形態に示したように、リーダロボット111に追従するようにしてフォロワロボット11を動作させる構成においては、フォロワロボット11を見ながら手元のリーダロボット111を操作することで当該フォロワロボット11から離れた位置にて遠隔によるダイレクトティーチングが可能となる。これは、ユーザが手で触って動かすことが困難なロボットについてもダイレクトティーチングによる教示を可能とする上で好ましい。但し、このような手法では、遠くにあるフォロワロボット11を目視しながら手元のリーダロボット111を操作してエンドエフェクタ42の位置(フォロワロボット11の姿勢)を微調整することは困難となる。このような細かな作業が必須となることは、熟練度が高いユーザにとってもストレスとなる。ここで、本実施形態に示したように制御点の設定にある程度余裕代を設ける構成とすれば、リーダロボット111を用いて遠くからティーチングを実施する場合の不都合を好適に解消できる。
【0055】
ダイレクトティーチングと自動運転とでは理想的な押圧力が異なる可能性がある。そこで、ダイレクトティーチングが実行される場合と、自動運転が実行される場合とで基準となる押圧力(基準値)を個別に設定可能とすることで、ティーチング時の押圧力が過度に大きくなったり、過度に小さくなったりすることを抑制できる。
【0056】
本実施形態に示したようにダイレクトティーチング中に押圧力調整機構43を中間状態としておくことには以下のメリットがある。すなわち、若干圧縮させた状態で動作位置が教示されるため、押圧力が低下した場合であっても押圧力調整機構43が伸長する余地が生じる。これにより、ワークWの設置位置のずれやワークWの個体差等によって、エンドエフェクタ42がワークWの表面から浮き上がりそうな場合であっても、当該表面との当接を好適に担保できる。
【0057】
<変形例>
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記実施形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記実施形態に対して適用してもよい。
【0058】
・上記実施形態では、押圧力調整機構43の伸張状態に関係なく何れも最大伸張状態(基本状態)となっているものとして、当該最大伸張状態の情報とフォロワロボット11のエンコーダ情報とに基づいて制御点を設定する構成としたが、押圧力調整機構の状態を加味することなく、フォロワロボット11のエンコーダ情報に基づいて制御点を設定する構成としてもよい。このような構成とする場合には、ツールセンタポイントAPを制御点に一致させるようにして駆動制御を行うのではなく、アーム23の先端部24(上記接続点EP)を制御点に一致させるようにして駆動制御を行う構成とするとよい。なお、上記実施形態では、ティーチング中は押圧力調整機構43からの当該押圧力調整機構43の状態を示す情報が設定支援装置61に入力されない構成としたが、当該情報を設定支援装置61に入力する一方、同情報を制御点の設定時は参照しない構成とすることも可能である。例えば、押圧力調整機構43の状態を示す情報については後述する報知に利用する構成とするとよい。
【0059】
・上記実施形態では、ダイレクトティーチングに際して押圧力調整機構43のストロークが短くなるように規制する場合には、押圧力調整機構43に規制部材46をユーザが手作業で取り付ける構成を前提としたが、これを変更し、設定支援装置61等にてダイレクトティーチングの開始操作が行われた場合には、押圧力調整機構に設けられたロック装置等を作動させて自動的に上記規制がなされる構成とすることも可能である。
【0060】
・規制部材46を用いて押圧力調整機構43のストロークが短くなるように規制する場合は、全ストローク中の規制区間と許容区間とを比較して規制区間が許容区間よりも小さくなるように差を設けるが、これに限定されるものではない。規制区間と許容区間とを同じ長さとしてもよいし、規制区間が許容区間よりも大きくなるように差を設けてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、リーダロボット111を用いてフォロワロボット11のダイレクトティーチングを行う構成としたが、これに限定されるものではない。ロボット11を手で直接動かしてダイレクトティーチングを行う構成とすることも可能である。
【0062】
・上記実施形態に示した押圧力調整機構43については電動式としたが、押圧力を調整することができるのであれば足り、油圧式や空圧式に変更してもよい。
【0063】
・ダイレクトティーチング中は、設定支援装置61にて押圧力調整機構43の状態を把握し、当該押圧力調整機構43がどのような状態(伸張状態)となっているかを当該設定支援装置61のディスプレイにて報知する構成としてもよい。例えば、押圧力調整機構43の残りの調整代が閾値よりも小さくなった場合や0となった場合にはその旨を報知する構成としてもよい。また、ダイレクトティーチング中はユーザがロボット11を注視しながら作業を行う点に鑑みれば、ロボット11に設けられたランプ等を所定の表示態様となるように発光させることで当該報知を行う構成とすればユーザが当該報知を見逃す機会を減らすことができる。
【0064】
・上記実施形態では、ティーチングを実施する場合と自動運転を実施する場合とで、押圧力調整機構43にて調整目標とする基準押圧力(基準値)を相違させる構成について例示したが、ティーチングを実施する場合と、自動運転を実施する場合とで基準値が同一となる構成を否定するものではない。
【0065】
・上記実施形態に示したダイレクトティーチング時のストローク規制については必須の構成ではなく、当該ストローク規制を行わない構成としてもよい。
【0066】
・上記実施形態では、ロボット11を用いてワークWの研磨を行う構成について例示したが、一定の押圧力を加えた状態を維持しながらワークの表面に沿ってエンドエフェクタを移動させる動作を好適に実行できる点に鑑みれば、研磨以外の作業にロボット11を適用することも可能である。例えば、ロボット11を用いてワークの研削を行う構成としてもよい。なお、研磨や研削を行う対象については必ずしも面状部分に限定されるものではなく、例えばヘルメットのつばの先端部分等の線状部分を研磨や研削の対象とすることも可能であり、曲面状ではなく平面状となる部分を研磨や研削の対象とすることも可能である。また、ロボット11をアセンブリ工程に従事させてもよい。例えばウェザーストリップやトリム等の樹脂部材を溝部に組み付ける場合には、樹脂部材を一定の圧力で溝部へ押し付けながら押圧位置を当該溝部の長手方向へずらすといった作業が行われる。このような作業にロボット11を適用してもよい。
【0067】
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上記実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0068】
特徴1.アーム(アーム23)と、前記アームの先端(先端部24)側に配されたエンドエフェクタ(エンドエフェクタ42)と、前記アームと前記エンドエフェクタとの間に介在し、ワーク(ワークW)に対する前記エンドエフェクタの押圧力を一定となるように調整可能な押圧力調整機構(押圧力調整機構43)とを備え、前記押圧力調整機構が押圧力の調整に伴って伸縮することにより、前記アームの先端と前記エンドエフェクタとの相対距離が変化するように構成されたロボット(ロボット11)に適用され、前記ワークにおける面状又は線状の所定部分(ワークWの表面)に前記エンドエフェクタを当接させた状態を維持しながら当該エンドエフェクタを前記所定部分に沿うようにして移動させる所定の動きをダイレクトティーチングにより教示可能なロボット用の教示システムであって、
前記押圧力調整機構が起動している状況下にて前記ダイレクトティーチングが実行される構成となっており、
前記エンドエフェクタを前記所定部分に当接させた状態でユーザが動作位置の指定操作(位置取込ボタン129の操作)を行った場合に現在の動作位置の情報(各軸の角度)を取得し、取得した現在の動作位置の情報に基づいて前記所定の動きを教示するための教示データ(ツールセンタポイント用の制御点等)を設定する設定部(例えば設定支援装置61)を備え、
前記設定部は、前記動作位置の情報を取得した際の前記押圧力調整機構の状態が所定状態になっている場合と当該所定状態よりも収縮した状態となっている場合との何れの場合であっても、前記押圧力調整機構が前記ワークと前記エンドエフェクタとの当接に伴う押圧力の調整が発生していない待機状態(最長状態)となっているものとして又は前記押圧力調整機構の収縮を加味することなく、前記教示データを設定する教示システム。
【0069】
本特徴に示す構成によれば、押圧力調整機構が押圧力の調整によって収縮している場合であっても、あたかも収縮していないかのようにして教示データが設定される。設定された教示データに従ってロボットを動作させる場合(自動運転時)には、制御上で想定している手先(例えばエンドエフェクタ)の位置等と実際の手先の位置等とにギャップが生じることとなる。敢えてこのようなギャップを生じさせることにより、自動運転により制御上で想定されている想定押圧位置に向けて手先を移動させる場合に、実際の手先の位置を想定上の手先の位置よりも先行させることができる。これにより、自動運転時には、ロボットの姿勢を変化させている途中で、すなわち想定押圧位置への到達前に、手先がワークに当たり、手先が当該想定押圧位置に向けて移動しようとする力(前進力)はワークを押圧する押圧力に変わることとなる。この際、例えば実際の押圧力が上記所定の押圧力を超えるような場合には、押圧力調整機構によって余剰な押圧力が吸収され、ワークが適切に押圧される。なお、上記ギャップを生じさせることは、自動運転時にエンドエフェクタとワークとの間に隙間が生じるといった不都合、すなわち両者が非接触となるといった不都合を生じにくくする上で有利である。これは、押圧力調整機能が上手く発揮されなくなることを抑制する上で好ましい。
【0070】
また、本特徴に示す構成によれば、押圧力調整機構が伸縮することでアームの先端とエンドエフェクタとの相対距離が変更される。言い換えれば、ダイレクトティーチング時にエンドエフェクタがワークに当接してから更に押し込まれたとしても、少なくとも押圧力調整機構によって相対距離が変更される(小さくなる)範囲内においては、自動運転時の実際の押圧力がダイレクトティーチング時の余計な押し込みに比例して高くなるといった事象を回避できる。つまり、所望とする押圧力となるように作業者が押し込みの程度をピンポイントで調整する必要がないため、当接確認→指定操作までの時間を短縮することができる。以上の理由から、ティーチングを簡易に且つ効率よく実施できる。これは、ティーチングの熟練度に対する要求を引き下げて、ロボットによる自動化を促進する上で好ましい。
【0071】
なお、「一定」とは、押圧力が完全に一定になる場合だけでなく、ワークの加工や組付け等において許容できる誤差の範囲内での押圧力のばらつきを含む。因みに、「押圧力調整機構」に関する記載を「前記アームと前記エンドエフェクタとの間に介在し、ワークに対する前記エンドエフェクタの押圧力を所定値(所定の押圧力)となるように調整可能」としてもよい。
【0072】
特徴2.前記待機状態は、前記アームの先端と前記エンドエフェクタとの前記相対距離が最大となる状態である特徴1に記載の教示システム。
【0073】
相対距離が最大となる状態(待機状態)に基づいて教示データを設定することにより、当該教示データに基づいてロボットが動作した際に、エンドエフェクタとワークとの間に隙間が生じるといった不都合が生じる機会を一層好適に減らすことができる。
【0074】
特徴3.前記教示データは、前記ロボットの手先の目標位置となる制御点(制御点CP等)を示すものであり、
各前記動作位置の情報を取得した際の前記押圧力調整機構が所定状態になっている場合と当該所定状態よりも収縮した状態となっている場合との何れの場合であっても、前記押圧力調整機構が前記ワークと前記エンドエフェクタとの当接に伴う押圧力の調整が発生していない待機状態(最長状態)となっているものとして又は前記押圧力調整機構の収縮を加味することなく、前記教示データが設定されることにより、前記制御点を前記所定部分における前記エンドエフェクタとの当接箇所(ワークWの表面)に対して前記エンドエフェクタによる押圧方向における先側に配する特徴1又は特徴2に記載の教示システム。
【0075】
ロボットの手先の目標位置となる制御点がワークとエンドエフェクタとの当接箇所に対して押圧方向における先側に位置するようにして教示データが設定される。この制御点に合わせるようにしてロボットが動作すれば、必然的にエンドエフェクタがワークに当接した状態となる。このような構成とすれば、特徴1に示した技術的思想を好適に具現化できる。
【0076】
特徴4.前記ダイレクトティーチング中に前記押圧力調整機構が伸縮可能となるストローク範囲は、前記ロボットの自動運転中に前記押圧力調整機構が伸縮可能となるストローク範囲に含まれている特徴1乃至特徴3のいずれか1つに記載の教示システム。
【0077】
本特徴に示すように、ダイレクトティーチング中に押圧力調整機構が伸縮可能となるストローク範囲が自動運転中に押圧力調整機構が伸縮可能となるストローク範囲に含まれる構成とすることにより、ダイレクトティーチングにストローク範囲を考慮して指定したにも関わらず自動運転中に押圧力調整機構によるサポート外になる等して、ティーチングのやり直しが発生することを好適に抑制できる。
【0078】
特徴5.前記押圧力調整機構の状態として、前記アームの先端と前記エンドエフェクタとの前記相対距離が最長となる最長状態と、前記アームの先端と前記エンドエフェクタとの前記相対距離が最短となる最短状態と、それら最長状態及び最短状態の中間となる中間状態とを含み、
前記ダイレクトティーチング中は、前記押圧力調整機構の状態が前記最短状態と前記中間状態との間を遷移するようにして規制可能となっている特徴1乃至特徴4のいずれか1つに記載の教示システム。
【0079】
ワークの表面が僅かに湾曲していたり僅かに凹凸が生じていたりする場合には、ワークとエンドエフェクタとの距離が想定よりも大きくなる。このような場合に、伸張側でのサポートが困難となることは押圧力を一定にする機能を上手く発揮させることができない要因になる。この点、本特徴に示すように、ダイレクトティーチング中は最短状態~中間状態の範囲で押圧力調整機構が利用される構成とすれば、すなわち少し縮めておく構成とすれば、所定の動作を実行させる場合に伸張側でのサポートにある程度の余裕代を確保することができ、上記湾曲等への追従性を高めることができる。
【0080】
なお、「中間状態」については、最長状態に近い状態や最短状態に近い状態としてもよいし、最長状態及び最短状態の真ん中の状態としてもよい。
【0081】
特徴6.前記ロボットは、教示の対象となる対象ロボット(フォロワロボット11)であり、
ユーザが直接触れて操作することで姿勢を変更可能となるように構成された操作ロボット(リーダロボット111)と、
前記操作ロボットの姿勢に合わせて前記対象ロボットの姿勢を制御する制御部(コントローラ51及び設定支援装置61)と
を備え、
前記操作ロボットは、前記対象ロボットが有する前記エンドエフェクタ及び前記押圧力調整機構を不具備となっており、
前記操作ロボットには前記指定操作用の操作部(位置取込ボタン129)が設けられている特徴1乃至特徴5のいずれか1つに記載の教示システム。
【0082】
本特徴に示す構成によれば、対象ロボットを見ながら手元の操作ロボットを操作することで対象ロボットから離れた位置にて遠隔によるダイレクトティーチングが可能となる。これは、ユーザが手で触って動かすことが困難なロボットについてもダイレクトティーチングによる教示を可能とする上で好ましい。但し、このような手法では、遠くにある対象ロボットを目視しながら手元の操作ロボットを操作してエンドエフェクタの位置(対象ロボットの姿勢)を微調整することは困難となる。このような細かな作業が必須となることは、熟練度が高い作業者にとってもストレスとなる。ここで、特徴1等に示した技術的思想を適用すれば、適正な押圧力となる押し込み量にある程度の幅を持たせることができる。このようにして、ある程度の作業ばらつきを許容できる構成となれば、操作ロボットを用いて遠くからティーチングを実施する場合の不都合を好適に解消できる。
【0083】
特徴7.前記ダイレクトティーチング中に、前記押圧力調整機構の伸縮状態をユーザに報知する報知部(例えば表示画面やランプ)を備えている特徴1乃至特徴6のいずれか1つに記載の教示システム。
【0084】
例えばエンドエフェクタが強くワークに押し付けられる等して押圧力調整機構が大きく縮んだ状態で動作位置が指定されると、自動運転時に押圧力調整機構が調整可能な範囲が圧縮側にて小さくなるように大きく偏ることになる。これはワークの個体差やワークの設置位置のずれ等を吸収する上で好ましくない。そこで、本特徴に示すように、押圧力調整機構の伸縮状態をユーザに報知すれば、ティーチング時に押圧力調整機構への配慮を促すことができるため、上記懸念の解消に寄与できる。なお、特徴6との組み合わせにおいては、ユーザが対象ロボットを見ながら操作を行うと想定されるため、当該対象ロボットに報知を設けることが好ましい。
【0085】
特徴8.前記押圧力調整機構は、前記ワークに対する前記エンドエフェクタの押圧力を所定の押圧力となるように調整するものであり、
前記所定の押圧力を設定する押圧力設定部(ユニットコントローラ53)を備え、
前記ダイレクトティーチングが実行される場合と、前記ロボットが自動運転される場合とで、前記所定の押圧力を別々の値となるように設定可能となっている特徴1乃至特徴7のいずれか1つに記載の教示システム。
【0086】
ダイレクトティーチングと自動運転とでは理想的な押圧力が異なる可能性がある。そこで、ダイレクトティーチングが実行される場合と、自動運転が実行される場合とで基準となる所定の押圧力(値)を個別に設定可能とすることで、ティーチング時の押圧力が過度に大きくなったり、過度に小さくなったりすることを抑制できる。
【0087】
なお、例えばダイレクトティーチングが実行される場合の所定の押圧力を、ロボットが自動運転される場合の所定の押圧力よりも低く設定するとよい。
【0088】
特徴9.前記エンドエフェクタは回転可能に設けられており、回転した状態で前記ワークの前記所定部分に押し付けられることで当該所定部分を研削又は研磨するものである特徴1乃至特徴8のいずれか1つに記載の教示システム。
【0089】
特徴1等に示した技術的思想を適用すれば、ワークの所定部分をロボットによって切削又は研磨する場合の加工ムラを抑え、均一な加工が可能となる。このような機能を発揮させるには、動作位置の教示データを設定する際に、敢えて押圧力制御機構の収縮を加味しない構成とすることで、エンドエフェクタを所定部分に押し当てた状態とすることができる。言い換えれば、所定部分からエンドエフェクタが浮き上がる等して、部分的に加工が不十分になることを抑制できる。ここで、ティーチング時は、エンドエフェクタがワークに当たるようにして指定操作を行えばよく、押圧力調整機構を正常に作動させるための押し込み量の調整が不要であるため、作業の容易化及び効率化に寄与できる。
【0090】
特徴10.特徴1乃至特徴9の何れか1つに記載された教示システムに適用され、前記所定部分に前記エンドエフェクタを当接させた状態を維持しながら当該エンドエフェクタを前記所定部分に沿うようにして移動させる動きを前記ダイレクトティーチングにより教示する教示方法であって、
前記押圧力調整機構が起動している状況下にて、前記エンドエフェクタを前記所定部分に当接させた状態とし、
当該当接させた状態にて前記動作位置の指定操作を行う教示方法。
【0091】
ダイレクトティーチング中は、エンドエフェクタを所定部分に到達させた状態で指示操作を行う場合に、エンドエフェクタを多少押し込み過ぎたとしても、その影響が教示データに及ぶことを抑制できる。これは、ティーチング作業の簡易化や効率化を図る上で好ましい。
【0092】
なお、本特徴に示す「当該当接させた状態にて前記動作位置の指定操作を行う」との記載を「当該当接させた状態且つ前記押圧力調整機構を収縮させた状態で前記動作位置の指定操作を行う」とすることも可能である。
【0093】
特徴11.アーム(アーム23)と、前記アームの先端(先端部24)側に配されたエンドエフェクタ(エンドエフェクタ42)と、前記アームと前記エンドエフェクタとの間に介在し、ワーク(ワークW)に対する前記エンドエフェクタの押圧力を一定となるように調整可能な押圧力調整機構(押圧力調整機構43)とを備え、前記押圧力調整機構が押圧力の調整に伴って伸縮することにより、前記アームの先端と前記エンドエフェクタとの相対距離が変化するように構成されたロボット(ロボット11)に適用され、前記ワークにおける面状又は線状の所定部分(ワークWの表面)に前記エンドエフェクタを当接させた状態を維持しながら当該エンドエフェクタを前記所定部分に沿うようにして移動させる所定の動きをダイレクトティーチングにより教示する教示方法であって、
前記押圧力調整機構が起動している状況下にて、前記エンドエフェクタを前記所定部分に当接させた状態とし、
前記エンドエフェクタを前記所定部分に当接させた状態で現在の動作位置の情報を取得し、
前記動作位置の情報を取得した際の前記押圧力調整機構の状態が所定状態になっている場合と当該所定状態よりも収縮した状態となっている場合との何れの場合であっても、前記押圧力調整機構が前記ワークと前記エンドエフェクタとの当接に伴う押圧力の調整が発生していない待機状態となっているものとして又は前記押圧力調整機構の収縮を加味することなく、前記所定の動きを教示するための教示データを設定する教示システム。
【0094】
ダイレクトティーチング中は、エンドエフェクタを所定部分に到達させた状態で指示操作を行う場合に、エンドエフェクタを多少押し込み過ぎたとしても、その影響が教示データに及ぶことを抑制できる。これは、ティーチング作業の簡易化や効率化を図る上で好ましい。
【0095】
特徴12.前記押圧力調整機構の状態として、前記アームの先端と前記エンドエフェクタとの前記相対距離が最長となる最長状態と、前記アームの先端と前記エンドエフェクタとの前記相対距離が最短となる最短状態と、それら最長状態及び最短状態の中間となる中間状態とが含まれており、
前記押圧力調整機構を前記中間状態とし、当該中間状態からの前記最長状態への遷移を規制したまま、前記ダイレクトティーチングを実行する特徴10又は特徴11に記載の教示方法。
【0096】
本特徴に示すように押圧力調整機構を中間状態としておくことには以下のメリットがある。すなわち、若干圧縮させた状態で動作位置が教示されるため、押圧力が低下した場合であっても押圧力調整機構が伸張する余地が生じる。これにより、ワークの設置位置のずれやワークの個体差等によって、エンドエフェクタが所定部分から浮き上がりそうな場合であっても、当該所定部分との当接を好適に担保できる。
【0097】
なお、ユーザが手動で中間状態としてもよいし、ティーチングモードとなった場合に自動で中間状態となる構成としてもよい。
【0098】
特徴13.前記最長状態から前記中間状態に遷移させる場合のストロークは、前記中間状態から前記最短状態に遷移させる場合のストロークよりも小さい特徴12に記載の教示方法。
【0099】
本特徴に示す構成によれば、特徴10等に示した効果を発揮させつつ、ティーチング時の押し込み量の許容幅が圧迫されることを抑制できる。
【符号の説明】
【0100】
10…ロボットシステム、11…ロボット(フォロワロボット)、21…ロボット本体、23…アーム、24…先端部、41…先端ユニット、42…エンドエフェクタ、43…押圧力調整機構、46…規制部材、51…コントローラ、61…教示装置、62…制御部、63…メモリ、111…ロボット(リーダロボット)、129…位置取込ボタン、CL…軸線、W…ワーク。
【要約】
【課題】ダイレクトティーチングを簡易に且つ効率よく実施できるようにすること。
【解決手段】ロボットのアームの先端部には、エンドエフェクタ42が押圧力調整機構43を介して取り付けられている。押圧力調整機構43は、エンドエフェクタ42によってワークを押圧する際の押圧力を一定となるようにして調整可能であり、押圧力調整機構43が押圧力の調整に伴って伸縮することでアームの先端部とエンドエフェクタ42との相対距離が変更される。ロボット用のコントローラ51に接続された設定支援装置61では、ユーザが位置取込操作を行った場合に各関節部のエンコーダ26から関節部毎の角度を示すエンコーダ情報を取得し、位置取込操作が行われた際に押圧力調整機構が最長状態になっているものとして、当該最長状態となっている押圧力調整機構43の長さの情報と、上記エンコーダ情報と基づきロボットの動きを教示するための制御点を設定する。
【選択図】
図2