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特許7260124コンテナターミナル及びコンテナターミナルの運用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】コンテナターミナル及びコンテナターミナルの運用方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 63/00 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
B65G63/00 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020025039
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021130518
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】518126144
【氏名又は名称】株式会社三井E&Sマシナリー
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】栢菅 信哉
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-172195(JP,A)
【文献】特開昭56-149922(JP,A)
【文献】特開2019-206426(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0112476(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 63/00-63/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナが蔵置される蔵置ブロックと、構内シャーシ及び外来シャーシが走行する走行路を備えるコンテナターミナルにおいて、
前記走行路が、前記蔵置ブロックの一端側から他端側を経由して前記一端側に前記蔵置ブロックの周囲を周回する外来シャーシ周回路と、前記蔵置ブロックの前記他端側から前記一端側を経由して前記他端側に前記蔵置ブロックの周囲を周回する構内シャーシ周回路とを備えていて、
前記外来シャーシ周回路及び前記構内シャーシ周回路は周回方向が同一であり且つ前記一端側から前記他端側に延びる直進走行部分が前記構内シャーシと前記外来シャーシで共有されることを特徴とするコンテナターミナル。
【請求項2】
前記走行路が、
前記蔵置ブロックの前記一端側に形成されて荷役レーン、外来ターンレーン、及び逆走レーンの順で構成された前記外来シャーシ周回路に接続される外来シャーシ専用走行路と、
前記蔵置ブロックの前記他端側に形成されて逆走レーン、構内ターンレーン、及び荷役レーンの順で構成された前記構内シャーシ周回路に接続される構内シャーシ専用走行路と、
を備える請求項1に記載のコンテナターミナル。
【請求項3】
前記蔵置ブロックの前記一端側から前記他端側に延びる第1方向に対して直交する第2方向に沿って、前記外来シャーシ専用走行路と前記構内シャーシ専用走行路とがそれぞれ延設されていて、
複数の前記蔵置ブロックが前記第2方向に沿って配置される請求項2に記載のコンテナターミナル。
【請求項4】
前記第1方向に沿って複数の前記蔵置ブロックが配置されていて、
前記外来シャーシ専用走行路と前記構内シャーシ専用走行路とが前記第1方向に沿って前記蔵置ブロックの間に交互に配置される請求項3に記載のコンテナターミナル。
【請求項5】
前記蔵置ブロックの周囲に形成される前記外来シャーシ周回路と前記構内シャーシ周回路に対して、前記外来シャーシ及び前記構内シャーシのうちの一方の進入を一時的に禁止する進入禁止機構を備える請求項1~4のいずれかに記載のコンテナターミナル。
【請求項6】
コンテナが蔵置される蔵置ブロックと、構内シャーシ及び外来シャーシが走行する走行路を備えるコンテナターミナルの運用方法において、
前記走行路が、前記蔵置ブロックの一端側から他端側を経由して前記一端側に前記蔵置ブロックの周囲を周回する外来シャーシ周回路と、前記蔵置ブロックの前記他端側から前記一端側を経由して前記他端側に前記蔵置ブロックの周囲を周回する構内シャーシ周回路とを備えていて、前記外来シャーシ周回路及び前記構内シャーシ周回路は周回方向が同一であり且つ前記一端側から前記他端側に延びる直進走行部分が前記構内シャーシと前記外来シャーシで共有される構成を有していて、
前記蔵置ブロックの前記一端側からの前記外来シャーシの進入と、前記蔵置ブロックの前記他端側からの前記構内シャーシの進入を、進入場所に設置した進入禁止機構により制御することを特徴とするコンテナターミナルの運用方法。
【請求項7】
予め設定された期間内は、前記構内シャーシ又は前記外来シャーシの一方のみを前記蔵置ブロックに誘導する請求項6に記載のコンテナターミナルの運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナターミナル及びコンテナターミナルの運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンテナ荷役の安全性と荷役効率を向上させるため、コンテナを主に一般公道で搬送する外来シャーシと、コンテナターミナル内でのみ搬送を行う構内シャーシのコンテナターミナル内での走行通路を分離したコンテナターミナルが提案されている。
これは、本船の係留時間をできるだけ短くするために、本船荷役中は揚げ降ろしのコンテナを搬送する構内シャーシを最優先で通行させ、本船積みの対象となるコンテナが蔵置されているか、もしくは本船揚げコンテナを蔵置する予定のブロック付近には、外来シャーシを近づけないことを目的としたものである。
しかしながら、タイミングによっては本船荷役に使用する蔵置ブロックと同一ブロックに蔵置されたコンテナを、場内の地理不案内な外来シャーシが受領しに来たり、蔵置計画によっては外来シャーシに対して本船積み用コンテナの蔵置ブロックと同一ブロックに蔵置指示が出されたりして、外来シャーシと構内シャーシの混在や接近を完全に防止することは難しいものとされてきた。
特許文献1には、コンテナの蔵置領域内では構内シャーシのみが搬送を行うコンテナターミナルが記載されている。このコンテナターミナルでは、外来シャーシと構内シャーシとの間で、それぞれの運行範囲を物理的に完全に分離し、その間を受け渡し専用の門型クレーンを用いてコンテナの受け渡しを行うものである。
また、特許文献2には、コンテナの蔵置領域内に外来シャーシと構内シャーシの専用通行路を設置し、クレーンの両側にそれぞれのシャーシ用荷役レーンを配置し、交差点は遮断機と信号機で交通整理するコンテナターミナルが記載されている。この構成では、コンテナ蔵置領域内の通路はそれぞれ専用となるため、両者が干渉する交差点に遮断機と信号機を設けることで、混在を防ぐとともに安全性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-150957号公報
【文献】特開2000-044063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のコンテナターミナルでは、通常のコンテナターミナルと比較して、受け渡し専用のクレーンで外来シャーシと構内シャーシの間の受け渡し荷役を行うため、余計な荷役作業とそのための荷役時間が必要となる。両者で直接コンテナを受け渡す場合、互いに同一タイミングでそろってクレーン下で待機していないと作業ができないので、両シャーシが揃うまではどちらかに待ち時間が発生する。また、待ち時間を少なくするため、前記受け渡し専門のクレーン下にコンテナをいったん仮置きする場合、クレーンにとってはさらに余計な置きと積みの作業が発生し、そのための荷役時間が必要となる。このように運行範囲を分離しても余計な荷役作業が発生し、荷役効率が十分に向上しないという問題がある。
また、特許文献2のコンテナターミナルでは、クレーン下に外来シャーシと構内シャーシの各専用通路を設けることとなるので、クレーンの横行可能範囲を大きくする必要があり、クレーン自体が大型化してしまう。また、クレーンやターミナルの遠隔運転化や自動化を行おうとした場合は、クレーン両側に外来シャーシ用と構内シャーシ用それぞれ自動化のための機器を別々に取り付ける必要があり、高コストの自動化コンテナクレーンとなってしまうという問題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、同じ蔵置領域内を外来シャーシと構内シャーシが通行する場合でも、安全性と荷役効率を両立できる、低コストのコンテナターミナルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するため、本発明のコンテナターミナルは、コンテナが蔵置される蔵置ブロックと、構内シャーシ及び外来シャーシが走行する走行路を備えるコンテナターミナルにおいて、前記走行路が、前記蔵置ブロックの一端側から他端側を経由して前記一端側に前記蔵置ブロックの周囲を周回する外来シャーシ周回路と、前記蔵置ブロックの前記他端側から前記一端側を経由して前記他端側に前記蔵置ブロックの周囲を周回する構内シャーシ周回路を備えていて、前記外来シャーシ周回路及び前記構内シャーシ周回路は周回方向が同一であり且つ前記一端側から前記他端側に延びる直進走行部分が共有されていることを特徴とする。
【0006】
本発明では外来シャーシと構内シャーシが荷役の際に同一方向で蔵置ブロックの周囲の同一直線路を通行するため、外来シャーシと構内シャーシは周回方向前方の安全を確保できれば接触事故を防止できる。
そのため、同じ蔵置領域内を外来シャーシと構内シャーシが通行する場合でも、安全性と荷役効率を両立できる。
また、走行路は外来シャーシと構内シャーシが混走可能なため、門型クレーンの下に外来シャーシと構内シャーシの各専用通路を設けたり、クレーンの横行可能範囲を大きくしたりする必要がなく、門型クレーンを大型化させる必要もない。また、クレーンやターミナルの遠隔運転化や自動化を行う場合でも、門型クレーンの両側に外来シャーシと構内シャーシそれぞれの自動化のための機器を別々に取り付ける必要もない。よって本実施形態のコンテナターミナルは同じ蔵置領域内を外来シャーシと構内シャーシが通行する場合でも、低コストにできる。
【0007】
さらに、本発明のコンテナターミナルの運用方法は、コンテナが蔵置される蔵置ブロックと、構内シャーシ及び外来シャーシが走行する走行路を備えるコンテナターミナルの運用方法において、前記走行路が、前記蔵置ブロックの一端側から他端側を経由して前記一端側に前記蔵置ブロックの周囲を周回する外来シャーシ周回路と、前記蔵置ブロックの前記他端側から前記一端側を経由して前記他端側に前記蔵置ブロックの周囲を周回する構内シャーシ周回路とを備えていて、前記外来シャーシ周回路及び前記構内シャーシ周回路は周回方向が同一であり且つ前記一端側から前記他端側に延びる直進走行部分が前記構内シャーシと前記外来シャーシで共有される構成を有していて、前記蔵置ブロックの前記一端側からの前記外来シャーシの進入と、前記蔵置ブロックの前記他端側からの前記構内シャーシの進入を、進入場所に設置した進入禁止機構により制御することを特徴とする。
【0008】
本発明では外来シャーシと構内シャーシ相互の進入の可否を時間的に分割することにより、外来シャーシと構内シャーシの混在を防ぐことが可能となる。外来シャーシは本船荷役中であっても、構内シャーシがクレーンのハッチ代え等の短時間の荷役の都合等によって、安全性を向上しつつ同一の蔵置ブロックに対して外来シャーシ及び構内シャーシの両方の作業に対応でき、荷役効率を向上させられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、同じ蔵置領域内を外来シャーシと構内シャーシが通行する場合でも、安全性と荷役効率を両立できる、低コストのコンテナターミナルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るコンテナターミナルの概観を示す上面図である。
図2図1の1つの蔵置ブロックを示す上面図である。
図3図1の複数の蔵置ブロックを示す上面図である。
図4】本実施形態に係るコンテナターミナルの運用方法を示すフロー図である。
図5】本実施形態に係るコンテナターミナルの変形例の概観を示す上面図である。
図6】本実施形態に係るコンテナターミナルの別の変形例の概観を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づき本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
最初に図1を参照して本実施形態に係るコンテナターミナル1の概略構成を説明する。図1に示すようにコンテナターミナル1は、岸壁エプロン領域3、蔵置領域5及びゲート領域8を備える。
【0012】
岸壁エプロン領域3は岸壁7に沿って設けられた領域であり、岸壁7に接岸したコンテナ船11と構内シャーシ13の間でコンテナ15の荷役を行う領域である。岸壁エプロン領域3には、岸壁7に沿って岸壁クレーン16が設けられる。岸壁クレーン16は、コンテナ船11と構内シャーシ13の間でコンテナ15の荷役を行うクレーンである。
【0013】
構内シャーシ13とは、コンテナターミナル1内でのみコンテナ15を搬送する車両を意味する。具体的には構内シャーシ13は、蔵置領域5と、岸壁エプロン領域3との間でコンテナ15を搬送する。
構内シャーシ13はコンテナ15を搬送できる車両であれば構造は特に限定されない。例えばコンテナ輸送用のトレーラと、該トレーラを牽引するトラクター等からなる車両を例示できる。構内シャーシ13の操作方式も限定されない。構内シャーシ13に運転手が乗り込んで操作する有人シャーシでもよいし、管理棟44等の構内シャーシ13外の施設から運転手が構内シャーシ13を遠隔操作する無人シャーシでもよい。あるいはAGV(Automated Guided Vehicle)等の自動運転を行う無人シャーシでもよい。
【0014】
蔵置領域5はコンテナ15を一時的に蔵置する領域である。
例えばコンテナ15をコンテナ船11に蔵置する場合、コンテナ15を積んだ外来シャーシ17がコンテナターミナル1に到着してから、当該コンテナ15を蔵置するコンテナ船11が接岸するまで相応の日数が経過する場合がある。また、コンテナ15内の貨物を輸出する場合、通関や検疫等の手続にも相応の日数が必要である。そのため、この間は外来シャーシ17がコンテナ15を蔵置領域5に蔵置する。
あるいは、コンテナ15が蔵置されたコンテナ船11が接岸してから、当該コンテナ15を受け取る外来シャーシ17がコンテナターミナル1に到着するまで相応の日数が経過する場合もある。また、コンテナ15内の貨物を輸入する場合も、通関や検疫等の手続に相応の日数を要する。そのため、この間は構内シャーシ13がコンテナ15を蔵置領域5に蔵置する。
【0015】
外来シャーシ17とは、コンテナターミナル1内とコンテナターミナル1外でコンテナ15の搬送を行う車両を意味する。外来シャーシ17は、コンテナターミナル1の内外でコンテナ15を搬送できる車両であれば構造は特に限定されない。通常の外来シャーシ17は、コンテナ輸送用のトレーラと、該トレーラを牽引するトラクター等からなる有人搬送車両である。
【0016】
ゲート領域8は、陸上において、コンテナターミナル1の内外を接続する領域であり、図1ではコンテナターミナル1の陸側端部に設けられる。
ゲート領域8は、外来シャーシ入退場ゲート43及び管理棟44を備える。また、図示はしないが、コンテナ15の補修や洗浄用の設備も設けられる。
外来シャーシ入退場ゲート43はコンテナターミナル1の内外を接続するゲートであり、外来シャーシ17がコンテナターミナル1に入退場する際に通過する。
管理棟44はコンテナターミナル1における荷役を管理するTOS(Terminal Operating System)等の設備及び管理用の人員が配置された建物である。
以上がコンテナターミナル1の概略構成の説明である。
【0017】
次に、図1~3を参照して蔵置領域5の構成を具体的に説明する。
図1に示すように蔵置領域5は、複数の蔵置ブロック6である蔵置ブロック6a~6l、及び走行路21を有する。
蔵置ブロック6はコンテナ15を蔵置する領域であり、図1では図1のX方向(第1方向ともいう)に延在する平面視長方形の領域である。
蔵置ブロック6にはY方向を跨ぐように門型クレーン23が配置されている。門型クレーン23は図1のX方向に走行可能であり、さらにX方向に直交する横行方向(Y方向、第2方向ともいう)に移動する図示しない吊り具を備え、吊り具でコンテナ15を吊り上げる。以下の説明では、特に断りがない限り、蔵置ブロック6のうち、図1で陸側から見て左上隅に配置された蔵置ブロック6aを例にして蔵置ブロック6の構成を説明する。
【0018】
走行路21は、構内シャーシ13又は外来シャーシ17が、蔵置ブロック6a~6lとの間でコンテナ15の荷役を行う際に走行する道路である。図2に示すように、蔵置ブロック6aの走行路21は、外来シャーシ周回路25、構内シャーシ周回路27、構内シャーシ専用走行路29、外来シャーシ専用走行路31、及び進入禁止機構33を備える。
【0019】
外来シャーシ周回路25は外来シャーシ17が蔵置ブロック6aとの荷役の際に走行する走行路であり、図2では実線の矢印で示している。外来シャーシ周回路25は荷役レーン35、外来ターンレーン37、及び逆走レーン39の順で構成された平面視でU字形の走行路であり、蔵置ブロック6aの一端側から他端側を経由して一端側に蔵置ブロック6aの周囲を周回する走行路である。
図1では蔵置ブロック6aの一端側は、蔵置ブロック6aの長手方向であるX方向において、陸側から見た右端側である。蔵置ブロック6aの他端側は、X方向において、陸側から見て左端側である。外来シャーシ周回路25は入口である外来入口25aと、出口である外来出口25bを備える。外来入口25aは、図2では蔵置ブロック6aを構成する長方形の、陸側から見て右下隅に対応する位置に設けられる。外来出口25bは、図2では蔵置ブロック6aを構成する長方形の、陸側から見て右上隅に対応する位置に設けられる。
【0020】
構内シャーシ周回路27は構内シャーシ13が走行する走行路であり、図2では破線の矢印で示している。構内シャーシ周回路27は逆走レーン39、構内ターンレーン41、及び荷役レーン35の順で構成された平面視でU字形の走行路であり、蔵置ブロック6aの他端側(X方向の左端側)から一端側(X方向の右端側)を経由して他端側に蔵置ブロック6aの周囲を周回する走行路である。
構内シャーシ周回路27は、外来シャーシ周回路25と周回方向が同一である。図2では周回方向は時計回りである。構内シャーシ周回路27は、一端側から他端側に延びるX方向に沿った直進走行部分(延在方向に平行な部分)が、外来シャーシ周回路25と共有される。
構内シャーシ周回路27は入口である構内入口27aと、出口である構内出口27bを備える。構内入口27aは、図2では蔵置ブロック6aを構成する長方形の、陸側から見て左上隅に対応する位置に設けられる。構内出口27bは、図2では蔵置ブロック6aを構成する長方形の、陸側から見て左下隅に対応する位置に設けられる。
【0021】
この構造では、蔵置ブロック6aにおける荷役の際には、走行路21内で外来シャーシ17と構内シャーシ13が同一方向で蔵置ブロック6aの周囲を周回する。そのため、いずれのシャーシも走行方向前方の安全を確保すれば、シャーシ同士の接触事故の可能性を大きく減少させられ、荷役の安全性を向上させられる。
特に、構内シャーシ13を無人シャーシとする場合、有人シャーシと比べて走行時の安全確保のために、周囲の情報を検知する位置センサやカメラ等の設備が多く必要となる。しかしながら本実施形態では外来シャーシ17と構内シャーシ13が同一方向で蔵置ブロック6aの周囲を周回するため、最低限、走行方向前方の車両を検出できるセンサやカメラがあれば蔵置ブロック6aでの荷役時の安全性を確保できる点で、特に有利である。
また、外来シャーシ17と構内シャーシ13の両方を走行路21に進入させて蔵置ブロック6aと荷役を行えるため、同じ蔵置領域5内を外来シャーシ17と構内シャーシ13が通行する場合でも、安全性を確保しつつ荷役効率を向上させられる。
【0022】
さらに、走行路21では構内シャーシ周回路27の出入り口(構内入口27aと構内出口27b)と外来シャーシ周回路25の出入り口(外来入口25aと外来出口25b)が蔵置ブロック6aを挟んで延在方向(X方向)に分離されている。
そのため、走行路21外であって、構内シャーシ周回路27の出入り口又は外来シャーシ周回路25の出入り口付近で外来シャーシ17と構内シャーシ13が衝突する可能性も極めて低く、同じ蔵置領域5内を外来シャーシ17と構内シャーシ13が通行する場合でも、荷役の安全性が益々向上する。
また、走行路21は外来シャーシ17と構内シャーシ13が混走するため、門型クレーン23の下に外来シャーシ17と構内シャーシ13の各専用通路を設ける必要がない。そのため、クレーンの横行可能範囲を大きくする必要がなく、門型クレーン23を大型化する必要もない。また、クレーンやターミナルの遠隔運転化や自動化を行う場合でも、門型クレーン23の両側に外来シャーシ17と構内シャーシ13それぞれの自動化のための機器を別々に取り付ける必要もなく、低コストのコンテナターミナルを提供できる。
【0023】
図2に示すように、蔵置ブロック6aの外来シャーシ周回路25は、荷役レーン35、外来ターンレーン37、及び逆走レーン39を備える。
荷役レーン35は、外来シャーシ17と蔵置ブロック6aの間で門型クレーン23を介して荷役を行う走行路である。図1ではX方向に沿って、蔵置ブロック6aの陸側に設けられている。蔵置ブロック6aにおける荷役レーン35の走行方向は、陸側から見て、一端側(右側)から他端側(左側)に向かう一方通行である。
【0024】
荷役レーン35の道路幅は特に限定しないが、最低限、外来シャーシ17及び構内シャーシ13の車幅より広い必要がある。
車線は1車線であれば、後方のシャーシが追い越しできず、追い越し時の衝突事故が起き難いため、荷役の安全性の観点からは有利である。
ただし荷役レーン35は一方通行であれば複数の車線があってもよい。例えば門型クレーン23の脚間の車線を荷役用の車線とし、それ以外の車線を追い越し車線としてもよい。複数の車線を設けることで、荷役中のシャーシが停止中に、その後方のシャーシが渋滞を起こし難くなり、荷役効率向上の観点からは有利である。
【0025】
外来ターンレーン37は荷役レーン35と逆走レーン39を連結する走行路であり、図2ではY方向に沿って、陸側から見た蔵置ブロック6aの左端に設けられている。外来ターンレーン37は荷役レーン35から逆走レーン39に向かう一方通行の走行路である。図2では陸側から海側に向かう一方通行の走行路である。
外来ターンレーン37の車幅も特に限定しないが最低限、外来シャーシ17の車幅より広い必要がある。また、外来ターンレーン37と、荷役レーン35及び逆走レーン39の連結部は、外来シャーシ17の旋回半径より大きいR値の旋回スペースが必要である。
【0026】
逆走レーン39は荷役レーン35での荷役を終えた外来シャーシ17が一端側(図2の右端側)に戻る際に走行する走行路であり、図1では蔵置ブロック6aのX方向に沿って、海側に設けられている。逆走レーン39の走行方向は陸側から見て左端側(一端側)から右端側(他端側)に向かう一方通行である。図1では逆走レーン39では荷役を行っていないが、荷役を行ってもよい。
逆走レーン39の道路幅は特に限定しないが、最低限、外来シャーシ17及び構内シャーシ13の車幅より広い必要がある。
【0027】
図2に示すように、構内シャーシ周回路27は、逆走レーン39、構内ターンレーン41、及び荷役レーン35を備える。逆走レーン39及び荷役レーン35は外来シャーシ周回路25と共有される。
構内ターンレーン41は逆走レーン39と荷役レーン35とを連結する走行路であり、図2ではY方向に沿って、陸側から見た蔵置ブロック6aの右端側(一端側)に設けられている。構内ターンレーン41は逆走レーン39から荷役レーン35に向かう一方通行の走行路である。図2ではY方向海側から陸側に向かう一方通行の走行路である。
構内ターンレーン41の車幅も特に限定しないが、最低限、構内シャーシ13の車幅より広い必要がある。また構内ターンレーン41と、荷役レーン35及び逆走レーン39の連結部は、構内シャーシ13の旋回半径より大きいR値の旋回スペースが必要である。
【0028】
外来シャーシ専用走行路31は、外来シャーシ周回路25に進入する外来シャーシ17、及び外来シャーシ周回路25から退出した外来シャーシ17が走行する走行路である。外来シャーシ専用走行路31は、蔵置ブロック6aの一端側(図2のX方向右端側)に形成されて外来シャーシ周回路25に接続される。図2では外来シャーシ専用走行路31は外来入口25aと外来出口25bに接続される。
外来シャーシ専用走行路31の終端は、ゲート領域8に接続される。外来シャーシ専用走行路31は一方通行としてもよいし、2車線以上にして外来シャーシ17が往復する構成としてもよい。
【0029】
なお、図2に示すように、外来シャーシ専用走行路31と構内ターンレーン41は互いに隣接しているが、外来入口25aと外来出口25bが設けられた部分を除き、ガードレール等の分離帯34で物理的に分離するのが好ましい。
分離帯34を設けることで、構内ターンレーン41を走行中の構内シャーシ13が誤って外来シャーシ専用走行路31に進入するのを防止できる。また、外来シャーシ専用走行路31を走行中の外来シャーシ17が誤って構内ターンレーン41に進入するのを防止できる。よって荷役の安全性が益々向上する。
【0030】
構内シャーシ専用走行路29は、構内シャーシ周回路27に進入する構内シャーシ13、及び構内シャーシ周回路27から退出した構内シャーシ13が走行する走行路である。構内シャーシ専用走行路29は、蔵置ブロック6aの他端側(図2のX方向左側)に形成されて構内シャーシ周回路27に接続される。図2では構内シャーシ専用走行路29は、構内入口27aと構内出口27bに接続される。
構内シャーシ専用走行路29の終端は、岸壁エプロン領域3に接続される。構内シャーシ専用走行路29は一方通行としてもよいし、2車線以上にして構内シャーシ13が往復する構成としてもよい。
【0031】
なお、図2に示すように、構内シャーシ専用走行路29と外来ターンレーン37は互いに隣接しているが、構内入口27aと構内出口27bが設けられた部分を除き、ガードレール等の分離帯36で物理的に分離するのが好ましい。
分離帯36を設けることで、外来ターンレーン37を走行中の外来シャーシ17が誤って構内シャーシ専用走行路29に進入するのを防止できる。また、構内シャーシ専用走行路29を走行中の構内シャーシ13が誤って外来ターンレーン37に進入するのを防止できる。よって荷役の安全性が益々向上する。
【0032】
このように、コンテナターミナル1では、外来シャーシ専用走行路31と構内シャーシ専用走行路29が蔵置ブロック6aを挟んで延在方向(X方向)に分離された構造となる。
この構成では、構内シャーシ13が誤って外来シャーシ専用走行路31に進入して外来シャーシ17の走行の妨げとなったり、外来シャーシ17に衝突したりするのを防止できる。さらに外来シャーシ17が誤って構内シャーシ専用走行路29に進入して構内シャーシ13の走行の妨げとなったり、構内シャーシ13に衝突したりするのも防止できる。よって荷役効率と荷役の安全性が益々向上する。
【0033】
特に、構内シャーシ13の運用に対して、外来シャーシ17の存在は外乱要因となりやすい。これは、構内シャーシ13の運転手(AGVの場合は制御部)はコンテナターミナル1の構造を熟知しているのに対し、外来シャーシ17の運転手はコンテナターミナル1を初めて訪れる場合もあり、構造を理解できていない場合もあるためである。このような場合は、外来シャーシ専用走行路31と構内シャーシ専用走行路29を分離した構造とすることにより、構内シャーシ13の運用効率を向上させることができる。
【0034】
図3に示すように、蔵置ブロック6の延在方向に直交するY方向(第2方向)に沿って複数の蔵置ブロック6が配置されている場合、外来シャーシ専用走行路31と構内シャーシ専用走行路29とがそれぞれY方向に沿って延設されるのが好ましい。
この構成とすることで、Y方向に沿って隣接する蔵置ブロック6間で、外来シャーシ専用走行路31及び構内シャーシ専用走行路29を共有できる。
例えば図3では、Y方向に沿って隣接する蔵置ブロック6aと蔵置ブロック6dは、外来シャーシ専用走行路31と構内シャーシ専用走行路29を共有している。
隣接する蔵置ブロック6間で、外来シャーシ専用走行路31及び構内シャーシ専用走行路29を共有することで、蔵置ブロック6ごとに別個に外来シャーシ専用走行路31及び構内シャーシ専用走行路29を設ける場合と比べて走行路21が短く単純な構成になる。その結果、荷役効率がさらに向上する。
【0035】
また、この構成では、Y方向に沿って隣接する蔵置ブロック6は、延在方向であるX方向における同じ端部側に外来シャーシ専用走行路31と構内シャーシ専用走行路29が設けられる。例えば図3でY方向に沿って隣接する蔵置ブロック6aと蔵置ブロック6dでは、いずれも外来シャーシ専用走行路31がX方向右端に設けられている。構内シャーシ専用走行路29はいずれも陸側から見てX方向左端に設けられている。
そのため、複数の蔵置ブロック6間でも外来シャーシ専用走行路31と構内シャーシ専用走行路29が蔵置ブロック6を挟んで延在方向(X方向)に分離される。よって、構内シャーシ13が誤って外来シャーシ専用走行路31に進入したり、外来シャーシ17が誤って構内シャーシ専用走行路29に進入したりする事故を防止でき、荷役効率と荷役の安全性が益々向上する。
【0036】
図3に示すように、蔵置ブロック6の延在方向(X方向)に沿って複数の蔵置ブロック6が配置されている場合、外来シャーシ専用走行路31と構内シャーシ専用走行路29とが蔵置ブロック6のX方向に沿って蔵置ブロック6の間に交互に配置されるのが好ましい。
この構成とすることで、X方向に隣接する蔵置ブロック6間では、外来シャーシ専用走行路31又は構内シャーシ専用走行路29の一方を共有できる。例えば図3では、X方向に沿って隣接する蔵置ブロック6a、6b間で外来シャーシ専用走行路31を共有している。これにより、蔵置ブロック6ごとに別個に外来シャーシ専用走行路31及び構内シャーシ専用走行路29を設ける場合と比べて走行路21が短く単純な構成になり、荷役効率がさらに向上する。
【0037】
また、図3では複数の蔵置ブロック6のいずれも、X方向において対向する端部側は、両方とも外来シャーシ専用走行路31が配置されるか、両方とも構内シャーシ専用走行路29が配置されるか、いずれかの配置となる。例えば蔵置ブロック6aと蔵置ブロック6bでは、X方向において互いに対向する端部側は、両方とも外来シャーシ専用走行路31が配置されている。一方で、蔵置ブロック6bと蔵置ブロック6cでは、X方向におい互いに対向する端部側は、両方とも構内シャーシ専用走行路29が配置されている。
この構成では、複数の蔵置ブロック6の延在方向において対向する端部側で、外来シャーシ専用走行路31と構内シャーシ専用走行路29が隣接することがない。
よって、対向する端部近傍で構内シャーシ13が誤って外来シャーシ専用走行路31に進入したり、外来シャーシ17が誤って構内シャーシ専用走行路29に進入したりする事故を防止でき、荷役効率と荷役の安全性が益々向上する。
【0038】
進入禁止機構33は外来シャーシ周回路25と構内シャーシ周回路27に対して、予め定められた期間内は、外来シャーシ17及び構内シャーシ13のうちの一方の進入を一時的に禁止する機構である。図2では進入禁止機構33として、外来入口25aを閉鎖することで、外来シャーシ17の進入を一時的に禁止する機構を例示している。構内シャーシ13の侵入を禁止したい場合は、進入禁止機構33を構内入口27aに設ければよい。ただし、進入禁止機構33は外来シャーシ17の侵入を一時的に禁止する機構であるのが好ましい。理由は以下の通りである。
コンテナターミナル1における荷役は、コンテナ船11と構内シャーシ13の間の荷役が全ての作業において優先される。コンテナ船11は、その係留時間に比例して港湾使用料金が増加するためである。そのため、外来シャーシ17の侵入で構内シャーシ13の移動が妨げられて荷役が遅れないようにするため、進入禁止機構33で外来シャーシ17の侵入を一時的に禁止するのが好ましい。
【0039】
進入禁止機構33で一方のシャーシの進入を禁止している期間は外来シャーシ周回路25と構内シャーシ周回路27内に他方のシャーシしか進入できない。そのため、この期間は外来シャーシ周回路25と構内シャーシ周回路27内で外来シャーシ17と構内シャーシ13が接触する事故がほとんど起こらなくなる。そのため、荷役の安全性をさらに高められる。
【0040】
予め定められた期間とは、例えば特定のコンテナ船11が接岸している期間である。この期間は、当該コンテナ船11に蔵置するコンテナ15が蔵置された特定の蔵置ブロック6の外来シャーシ周回路25に外来シャーシ17が進入するのを進入禁止機構33が禁止する。このような制御を行うことで、他のコンテナ船11に蔵置するコンテナ15を運んできた外来シャーシ17が、誤って特定のコンテナ船11に蔵置するコンテナ15が蔵置された蔵置ブロック6に進入するトラブルが生じ難くなる。
【0041】
特定のコンテナ船11が接岸している期間は、コンテナターミナル1におけるコンテナ船11の発着スケジュールから取得できる。具体的には、発着スケジュールから、コンテナ船11が接岸する期間、及びそのコンテナ船11が荷役するコンテナ15が蔵置された蔵置ブロック6を抽出すれば、当該蔵置ブロック6への外来シャーシ17の侵入を禁止する期間を設定できる。
【0042】
具体的な進入禁止機構33の構成としては、外来入口25aを閉鎖する遮断機、又は外来入口25aへの外来シャーシ17の進入の可否を表示する交通信号機等の規制手段が例示できる。さらに、進入禁止機構33は必要に応じて遮断機や交通信号機の動作を制御する制御部を備える。規制手段として遮断機を用いる場合、外来シャーシ周回路25への外来シャーシ17の進入を禁止したい場合は、遮断機の遮断稈を降下させて外来入口25aを閉鎖する。
規制手段として交通信号機を用いる場合、外来シャーシ周回路25への外来シャーシ17の進入を禁止したい場合は、信号機を赤信号等の進入禁止を示す色に点灯させる。
【0043】
進入禁止機構33が制御部を備える場合、進入禁止機構33は予め定められたスケジュールが記憶された記憶部をさらに備えてもよい。この場合、該スケジュールを制御部が参照して、外来シャーシ周回路25への外来シャーシ17の進入を禁止する蔵置ブロック6及び禁止する期間を設定する。なお、所定の期間が経過したか否かは制御部のタイマー等で判断してもよい。
【0044】
進入禁止機構33は、制御部の代わりに遮断機又は交通信号機を手動で動作できる構成であってもよい。この構成では、予め定められたスケジュールに従って、管理棟44のオペレータ等が遠隔操作で遮断機又は交通信号機を手動で操作する。
以上が本実施形態に係るコンテナターミナル1の構成の説明である。
【0045】
次に、図4を参照して、本実施形態に係るコンテナターミナル1の運用方法を簡単に説明する。
以下の説明では蔵置ブロック6aへの外来シャーシ17又は構内シャーシ13の進入を、進入場所に設置した進入禁止機構33により制御することで、構内シャーシ13及び外来シャーシ17を誘導する場合を例に説明する。ただし、蔵置ブロック6b~6lに外来シャーシ17又は構内シャーシ13を誘導する場合も同様である。
【0046】
まず、誘導に先立って、事前設定として、予め蔵置ブロック6aに外来シャーシ17を誘導するのを禁止する期間を以下の手順で設定する。
最初に、進入禁止機構33の制御部あるいは管理棟44のオペレータ等は、コンテナターミナル1におけるコンテナ船11の発着スケジュールを取得する(図4のS0-1)。
次に、進入禁止機構33の制御部あるいは管理棟44のオペレータ等は、取得した発着スケジュールから、蔵置ブロック6a~6lのうち、接岸するコンテナ船11に対応する蔵置ブロック6を抽出する(図4のS0-2)。この例では蔵置ブロック6aが抽出されたとする。
次に、進入禁止機構33の制御部あるいは管理棟44のオペレータ等は、発着スケジュールを参照して、蔵置ブロック6aの外来シャーシ周回路25への外来シャーシ17の進入を禁止する期間を設定する(図4のS0-3)。
以上が事前設定の手順である。
このように、外来シャーシ17と構内シャーシ13相互の蔵置ブロック6への進入の可否を時間的に分割することにより、外来シャーシ17と構内シャーシ13の混在を防ぐことが可能となる。これにより、外来シャーシ17は本船荷役中であっても、構内シャーシ13が岸壁クレーン16のハッチ代え等の短時間の荷役の都合等によって、安全性を向上しつつ同一の蔵置ブロック6に対して外来シャーシ17及び構内シャーシ13の両方の作業に対応でき、荷役効率を向上させられる。
【0047】
事前設定が終わると、以下の手順で進入禁止機構33の制御部あるいは管理棟44のオペレータ等が外来シャーシ17及び構内シャーシ13の誘導を開始する。
まず、コンテナターミナル1が進入禁止機構33を備える場合、進入禁止機構33の制御部あるいは管理棟44のオペレータ等は、外来シャーシ17の進入を禁止する期間内か否かを判断する(図4のS1)。禁止する期間内である場合はS2に進み、禁止する期間内でない場合はS3に進む。
進入を禁止する期間内である場合は、進入禁止機構33の制御部あるいは管理棟44のオペレータ等は外来入口25aを閉鎖する等して、外来シャーシ17の進入を一時的に禁止する(図4のS2)。
【0048】
進入を禁止する期間内でない場合、進入禁止機構33の制御部あるいは管理棟44のオペレータ等は、蔵置ブロック6aの外来シャーシ周回路25に外来シャーシ17を誘導する(図4のS3)。
具体的には、まず、進入禁止機構33の遮断機等が下りた状態である場合は、遮断機を上昇させて、外来シャーシ周回路25に外来シャーシ17が進入できる状態とする。
次に、外来シャーシ入退場ゲート43において、誘導する対象となる蔵置ブロック6aの位置を外来シャーシ17の運転手に対して係員が伝える等して、誘導する対象となる蔵置ブロック6aの位置を外来シャーシ17に知得させる。
【0049】
蔵置ブロック6aの位置を知得した外来シャーシ17は、外来シャーシ専用走行路31を走行して、対象となる蔵置ブロック6aの外来シャーシ周回路25の荷役レーン35に図2の外来入口25aから進入する。
【0050】
外来シャーシ周回路25に進入した外来シャーシ17は、荷役レーン35の所定位置で停車して門型クレーン23を介して蔵置ブロック6aとの間でコンテナ15の受け渡しを行う。受け渡しが終了すると、外来シャーシ17は、荷役レーン35、外来ターンレーン37、逆走レーン39の順番で一方通行にて構内シャーシ周回路27を走行して外来出口25bから退出し、外来シャーシ専用走行路31に進入する。その後はゲート領域8を経て外来シャーシ入退場ゲート43から退出する。
【0051】
S2又はS3を実施した後は、進入禁止機構33の制御部あるいは管理棟44のオペレータ等は、図2に示す蔵置ブロック6aの構内シャーシ周回路27に構内シャーシ13を誘導して、外来シャーシ17と同じ方向に周回させる(図4のS4)。
具体的にはまず、構内シャーシ13が有人の場合は、誘導する対象となる蔵置ブロック6aの位置を示す情報を、管理棟44等から構内シャーシ13の運転手に無線等で伝える。
構内シャーシ13が遠隔操作方式の場合は、遠隔操作用の操縦室に在室中の運転手に、誘導する対象となる蔵置ブロック6aの位置を示す情報を、管理等から有線又は無線通信手段で伝える。
構内シャーシ13がAGVの場合は、誘導する対象である蔵置ブロック6aの位置を示す情報及び走行指令を管理棟44からAGVの制御部に無線等で送信する。
【0052】
これらの情報を受信した構内シャーシ13は、構内シャーシ専用走行路29を走行して、対象となる蔵置ブロック6aの構内シャーシ周回路27の逆走レーン39に構内入口27aから進入する。
【0053】
構内シャーシ周回路27に進入した構内シャーシ13は、逆走レーン39、構内ターンレーン41の順番に一方通行にて構内シャーシ周回路27を走行して荷役レーン35に進入する。荷役レーン35に進入した構内シャーシ13は、所定位置で停車して門型クレーン23を介して蔵置ブロック6aとの間でコンテナ15の受け渡しを行う。受け渡しが終了すると、構内シャーシ13は、荷役レーン35を一方通行で走行して構内出口27bから退出し、構内シャーシ専用走行路29に進入する。その後は管理棟44等からの指令に応じて岸壁エプロン領域3に戻る等の動作を行う。
【0054】
この際、構内シャーシ周回路27の荷役レーン35及び逆走レーン39では構内シャーシ13と外来シャーシ17が混在する場合がある。この場合でも、荷役レーン35及び逆走レーン39は一方通行であり、構内シャーシ13と外来シャーシ17は同一方向に走行するため、前方の安全確保を行えば構内シャーシ13と外来シャーシ17が接触する事故はほとんど起こらない。
【0055】
なお、図4では外来シャーシ17を構内シャーシ13よりも先に誘導しているが、構内シャーシ13を外来シャーシ17よりも先に誘導してもよい。具体的には図4のS4をS1よりも先に実行してもよい。あるいは、構内シャーシ13と外来シャーシ17を同時に誘導してもよい。
以上がコンテナターミナル1の運用方法の説明である。
【0056】
このように本実施形態のコンテナターミナル1では、外来シャーシ17と構内シャーシ13が蔵置ブロック6と荷役を行う際に同一方向で蔵置ブロック6の周囲を周回する。そのため、外来シャーシ17と構内シャーシ13は周回方向前方の安全を確保できれば接触事故を防止できる。
そのため、同じ蔵置領域5内を外来シャーシ17と構内シャーシ13が通行する場合でも、安全性と荷役効率を両立できる。
また、走行路21は外来シャーシ17と構内シャーシ13が混走するため、門型クレーン23の下に外来シャーシ17と構内シャーシ13の各専用通路を設けたり、クレーンの横行可能範囲を大きくしたりする必要がなく、門型クレーン23を大型化させる必要もない。また、クレーンやターミナルの遠隔運転化や自動化を行う場合でも、門型クレーン23の両側に外来シャーシ17と構内シャーシ13それぞれの自動化のための機器を別々に取り付ける必要もない。よって本実施形態のコンテナターミナル1は同じ蔵置領域5内を外来シャーシ17と構内シャーシ13が通行する場合でも、低コストにできる。
【0057】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において各種変形例及び改良例に想到するのは当然のことであり、これらも本発明に含まれる。
【0058】
例えば上記した実施形態では、蔵置ブロック6の延在方向が海陸方向に直交する向きで蔵置ブロック6を配置しているが、本発明はこの配置に限定されない。図5に示すように蔵置ブロック6の延在方向が海陸方向に平行な配置でもよい。
【0059】
また、上記した実施形態では、荷役レーン35が蔵置ブロック6の延在方向に沿って設けられているが、延在方向に直交する方向に沿って荷役レーン35を設けてもよい。
【0060】
さらに、上記した実施形態では、全ての蔵置ブロック6毎に、荷役レーン35、外来ターンレーン37、逆走レーン39、及び構内ターンレーン41が設けられているが、図6に示すように、複数の蔵置ブロック6で逆走レーン39を共有してもよい。
【0061】
例えば図6ではY方向に隣接する蔵置ブロック6a、6dの間に1つの逆走レーン39が設けられており、この1つの逆走レーン39を蔵置ブロック6aと蔵置ブロック6bで共有している。図6では1つの構内入口27aが逆走レーン39の入口に、1つの外来出口25bが逆走レーン39の出口に接続され、蔵置ブロック6aと蔵置ブロック6dがこれらも共有する。さらに図6では蔵置ブロック6aの外来シャーシ周回路25及び構内シャーシ周回路27の周回方向は矢印A1で示すように反時計回りである。一方で蔵置ブロック6bの外来シャーシ周回路25及び構内シャーシ周回路27の周回方向は矢印A2で示すように時計回りであり、蔵置ブロック6aと周回方向が逆である。
この構成では蔵置ブロック6a、6dで荷役を行う外来シャーシ17は、蔵置ブロック6a、6dに対応する別々の外来入口25aから対応する荷役レーン35に進入して荷役を行う。荷役後はA1方向又はA2方向に各々外来シャーシ周回路25を周回して、蔵置ブロック6a、6dで共有する逆走レーン39を通って共有する外来出口25bから退出する。
一方で蔵置ブロック6a、6dで荷役を行う構内シャーシ13は、蔵置ブロック6a、6dで共有する構内入口27aから共有する逆走レーン39に進入する。進入後の構内シャーシ13は、逆走レーン39の走行端で蔵置ブロック6a、6dのいずれかに対応する構内ターンレーン41に進入し、A1方向又はA2方向に周回して蔵置ブロック6a、6dに対応する荷役レーン35に進入して荷役を行う。荷役後は蔵置ブロック6a、6dに対応する別の構内出口27bから各々退出する。
このように複数の蔵置ブロック6で逆走レーン39を共有することで、蔵置ブロック6毎に逆走レーン39を設ける場合と比べてY方向における走行路21の占めるスペースを削減でき、コンテナターミナル1の蔵置領域5を省スペース化できる。
【符号の説明】
【0062】
1 コンテナターミナル
3 岸壁エプロン領域
5 蔵置領域
6、6a~6l 蔵置ブロック
7 岸壁
8 ゲート領域
11 コンテナ船
13 構内シャーシ
15 コンテナ
16 岸壁クレーン
17 外来シャーシ
21 走行路
23 門型クレーン
25 外来シャーシ周回路
25a 外来入口
25b 外来出口
27 構内シャーシ周回路
27a 構内入口
27b 構内出口
29 構内シャーシ専用走行路
31 外来シャーシ専用走行路
33 進入禁止機構
34、36 分離帯
35 荷役レーン
37 外来ターンレーン
39 逆走レーン
41 構内ターンレーン
43 外来シャーシ入退場ゲート
44 管理棟
図1
図2
図3
図4
図5
図6