特許 7260143 床下換気口構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-04-10

(45)【発行日】2023-04-18

(54)【発明の名称】床下換気口構造

(51)【国際特許分類】

   E04B 1/70 20060101AFI20230411BHJP

【ＦＩ】

E04B1/70 C

【請求項の数】 4

(21)【出願番号】P 2019015434

(22)【出願日】2019-01-31

(65)【公開番号】P2020122343

(43)【公開日】2020-08-13

【審査請求日】2021-10-11

(73)【特許権者】

【識別番号】000133294

【氏名又は名称】株式会社ダイクレ

(74)【代理人】

【識別番号】100121728

【弁理士】

【氏名又は名称】井関 勝守

(74)【代理人】

【識別番号】100140338

【弁理士】

【氏名又は名称】竹内 直樹

(74)【代理人】

【識別番号】100170900

【弁理士】

【氏名又は名称】大西 渉

(74)【代理人】

【氏名又は名称】佐藤 晃一

(72)【発明者】

【氏名】三浦 隆男

(72)【発明者】

【氏名】川口 隆尚

(72)【発明者】

【氏名】上甲 信

(72)【発明者】

【氏名】福谷 雅文

(72)【発明者】

【氏名】藤井 一志

【審査官】須永 聡

(56)【参考文献】

【文献】登録実用新案第３１３６７０８（ＪＰ，Ｕ）

【文献】実開昭５９－１２２３０９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０１０－０４３５０９（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭５９－０５８１２１（ＪＰ，Ｕ）

【文献】実開昭６１－１３０８４０（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０１０－０９０６８３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０４－２６１９４３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００８－０８８７９１（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－００８６５５（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０４Ｂ １／６４

Ｅ０４Ｂ １／６６

Ｅ０４Ｂ １／７０

Ｅ０４Ｈ ９／１４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

基礎に形成の開口と、
前記開口の外側周縁に外側から当てがわれて前記開口の外側周縁に取付けられる枠と、前記枠内に一体形成される補強材および前記枠内に取着して張設される金網の少なくとも一方を含み前記開口に取り付けられる換気口部材と、
前記枠に当てがわれて前記開口を閉塞して止水可能な板又はシートと、を備え、
前記板又はシートのうち前記枠に当たる箇所と、前記枠のうち、一方には磁力を備えた磁粉が混入され、他方は強磁性体よりなること特徴とする床下換気口構造。

【請求項2】

前記換気口部材は、前記補強材および前記金網の双方を含む、請求項１に記載の床下換気口構造。

【請求項3】

前記換気口部材は既設の換気口部材であり、前記枠は強磁性体であり、前記板又はシートに前記磁粉が混入されることを特徴とする請求項１または２に記載の床下換気口構造。

【請求項4】

前記板又はシートは可撓性を有することを特徴とする請求項１～３のいずれかに記載の床下換気口構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、建物の床下換気口に浸水防止のために取外し可能に取付けられる止水具に関する。

【背景技術】

【0002】

多くの建物においては法令上、床下に防湿のため換気口を設置し、換気口にはねずみの侵入を防止する構造とすることが定められている。この換気口からは豪雨時に水が浸入して床下浸水をもたらすことがある。

【0003】

この問題を解決するため、下記特許文献１には、換気口周縁にシール部を介して喚起用の連通孔を多数形成した枠部を取付け、豪雨時には該枠部の下端に外向きに突出形成される挿入溝に蓋部を横向きにして挿入して換気口を被覆し、蓋部上端を枠部に取付けたパッチン錠で押えて固定する止水装置が開示され、特許文献２には、外壁換気口と床下換気口の双方に通ずる空間の入口に湿気を排出するための開口を備えたねずみ返し部を設置し、ヒンジにより上下に傾動して上位置と下位置に切換可能に軸支され、下位置に切換えたときには、ねずみ返し部を通した空気の流通を可能にし、上位置に切換えたときには、ねずみ返し部を塞いで浸水を防止する水切りが開示されている。

【0004】

また特許文献３には、床下にガイド部と、止水部で構成される床下換気口を設置し、該床下換気工を構成する空気通路の拡大する下部には、球体フロートを装着し、該球体フロートは常には自重により床下換気口下側面上に置かれて空気流通路を通した空気の流通を妨げないようにし、豪雨時には床下通機工に浸入した水の浮力で空気流通路の狭窄部を塞いで浸水防止を行う床下浸水防止装置が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【文献】特開２０１７－００８６５５号公報

【文献】特開２０１１－２２００４８号公報

【文献】特開２０１６－１３２８６９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

特許文献１記載の止水装置では、蓋部を取付けるのに、蓋部を枠部の挿入溝に挿入して換気口を塞ぐようにして位置決めしたのち、何か所かでパッチン錠により止着して取付ける必要があり、取付けに手間が掛かる。
特許文献２記載の浸水防止装置では、ヒンジが土砂などで詰まることにより正常に作動しなくなるおそれがある。

【0007】

特許文献３記載の水切りは、構造が複雑で製造にコスト高をもたらし、また球体フロートによる止水機能の確実性を欠き、また球体フロートが空気流通路の狭窄部を確実に塞いでいるかどうかの確認が困難である。
本発明は、上記の問題を解消し、換気口への取付け取外しが容易で、止水を確実に行うことができる止水具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

請求項１に係る発明は、基礎に形成の開口と、当該基礎の開口の外側周縁に外側から当てがわれて基礎の開口の外側周縁に取付けられる枠と、当該枠内に一体形成される補強材および枠内に取着して張設される金網の少なくとも一方を含み基礎の開口に取り付けられる換気口部材と、換気口部材の枠に当てがわれて基礎の開口を閉塞して止水可能な板又はシートと、を備え、板又はシートのうち枠に当たる箇所と、換気口部材の枠のうち、一方には磁力を備えた磁粉が混入され、他方は強磁性体よりなることを特徴とする。
請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明において、換気口部材は補強材および金網の双方を含む。

【0009】

請求項３に係る発明は、請求項１または２に係る発明において、換気口部材は既設の換気口部材であり、枠は強磁性体であり、板又はシートに磁粉が混入されることを特徴とする。
請求項４に係る発明は、請求項１～３のいずれかに係る発明において、板又はシートは可撓性を有することを特徴とする。

【発明の効果】

【0010】

請求項１および請求項２に係る発明によると、板又はシートは、換気口部材の枠に磁力により取着されるが、板又はシートは構造が簡単で、保管するスペースも左程必要とせず、その取付け及び取外しが容易であること、止水を確実の行うことができることなどの効果を有する。
請求項３に係る発明によると、既設の換気口部材にも簡易に取付けることができる。また、板又はシートに磁力を備えた磁粉が混入されることにより、家庭内の例えば冷蔵庫に取付けて保管することができる。また、磁粉を換気口に取付けた場合に換気口周辺の巻き上がった鉄粉或いは飛来する鉄粉が付着して換気口が汚れ易くなるおそれがあるのに対し、磁粉を板又はシートに混入させることからこうした問題を生じない。

【0011】

請求項４に係る発明によると、板又はシートを、通常は嵩張らないように丸め込んで保管することができる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】換気口を備えた床下の断面図。

【図2】換気口の正面図。

【図3】基礎の開口外側周縁に換気口を取付けた要部の拡大断面図。

【図4】基礎の開口内に換気口を取付けた断面図。

【図5】換気口に取付けられるマグネットシートの正面図。

【図6】基礎の開口外側周縁に図５に示すマグネットシートを取付けた換気口の断面図。

【図7】基礎の開口外側周縁に図５に示すマグネットシートを取付けた断面図。

【発明を実施するための形態】

【0013】

以下、本発明に係る換気口について図面により説明する。
図１は、換気口１を備えた床下の鉄筋コンクリート造りの基礎２を示すもので、換気口１は図２に示すように、矩形をなす強磁性体、例えば鉄、フェライト系ステンレス製等の枠３と、該枠３の全面に取付けられる多孔材、例えば上下及び左右の縁部が枠３に例えば溶接にて取着して張設される金網５と、前記枠内に該枠３と一体形成される金網補強用の菱形の補強材６とで構成され、枠３は基礎２の開口（図３及び図４において、符号７で示す）の外側周縁よりサイズが大で、該開口の外側周縁に外側から当てがわれて図示しないボルト、ネジ等の止着具により取付けられるか、或いは接着剤にて取付けられるようになっている。

【0014】

図３は、接着剤にて取付けた例を示すもので、換気口１が当てがわれる基礎２の開口７の外側周縁に枠３が接着剤８にて取着され、枠３の周りには防水のためシーリング材９が取付けてある。前記実施形態の換気口１は、開口周縁に宛がわれて取付けられるが、図４に示す実施形態においては、開口７内に取付けられる。

【0015】

換気口１が図４に示すように開口内に取付けられる場合、該換気口１は開口７と同形同大で、基礎施工後の開口７に外側から押込んで取付けるか、或いは基礎施工時に型枠に組み付けた状態でコンクリートを打設して取付けられる。基礎施工時に取付ける場合には通常、換気口１よりサイズが大きく形成され、固定されて取外しできないようにされる。

【0016】

前記実施形態の換気口１を構成する金網５は、ねずみはもとよりのこと、虫の侵入をも防止できるようになっている。図１において、１１は基礎２に埋設される鉄筋、１２は地面である。前記換気口１の枠３は、補強材６を菱形以外の他の形状にしてもよいし、省いて枠３のみで形成してもよい。

【0017】

図５は、前記枠３と同形の矩形で、若干小さめであるが、ほぼ同サイズをなし、全体に磁粉を均一に混入した可撓性のあるゴム又は樹脂製のマグネットシート１４を示すもので、前記強磁性体の枠３及び菱形の補強材６に磁力で取付けられるようになっている。

【0018】

このマグネットシート１４は、通常は嵩張らないように丸め込んで保管されるか、或いは家庭内の鉄製の器具、例えば鋼製をなす冷蔵庫の側面に取付けて保持され、換気口１から浸水し、或いは浸水するおそれがあるときには、マグネットシート１４を冷蔵庫から引き剥がして換気口１まで運び、拡げた状態で図６に示すように、開口外側周縁に取付けた枠３に位置決めして取付ける。

【0019】

水が引け、浸水のおそれがなくなったときには、マグネットシート１４を枠２より引き剥がして換気口１での通気に支障を来たさないようにする。
本発明者らは、箱の内部を枠３にマグネットシート１４を取付けた換気口１により２つに仕切り、一方に水を入れて他方への水漏れの有無を確認したところ、水漏れは生じず、マグネットシート１４の剥離も生じなかった。

【0020】

換気口１が開口内に取付けられる場合、図７に示すように強磁性体製の枠１６を図３と同様、開口外側周縁に接着剤を用いて取付け、その周縁にシーリング材を取付けてシーリングし、その後、マグネットシート１４を枠１６に取着する。

【0021】

前記実施形態のマグネットシート１４は、既設の換気口１に取付けることができるが、この場合、既設の換気口の枠が強磁性体でなく、磁石の磁力作用によるマグネットシート１４の取付けができない場合、既設の換気口の枠１に強磁性体製枠を止着手段、例えば接着材又はネジにて止着し、その後マグネットシート１４を前述するようにして取付ける。既設の換気口の枠と強磁性体製枠との間には、シールのためシート状のシール材を介在させておくのが望ましい。

【0022】

前記実施形態では、可撓性のあるマグネットシート１４を用いた例を示したが、別の実施形態では、枠３自体が磁石で形成されるか、或いは枠にマグネットシートを取付ける。この場合、枠を被覆するシート又は板としては磁粉を混入せず、磁力を有しない強磁性体のシート或いは板が用いられ、このシート或いは板は可撓性を有していても、有していなくてもよい。

【符号の説明】

【0023】

１・・換気口
２・・基礎
３・・枠
５・・金網
６・・補強材
７・・開口
１４・・マグネットシート

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】