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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】貝投入装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/54 20170101AFI20230411BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20230411BHJP
   B08B 1/02 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
A01K61/54
B08B1/04
B08B1/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019154204
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021029187
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】300021002
【氏名又は名称】株式会社森機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】弁理士法人ピー・エス・ディ
(72)【発明者】
【氏名】森 光典
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-101725(JP,A)
【文献】特開2005-192547(JP,A)
【文献】実開昭49-054269(JP,U)
【文献】特開平04-053431(JP,A)
【文献】特開2007-044620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/54
B08B 1/04
B08B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚貝が起立した状態でその表面を清浄にする貝清浄装置に二枚貝を投入するための貝投入装置であって、
二枚貝の入口と、
二枚貝の出口と、
前記入口と前記出口とを連通し、二枚貝が通過する通路と
を備え、
前記入口から入った二枚貝の姿勢を水平状態から起立状態に変化させる姿勢制御機構を有し、
前記姿勢制御機構は、前記通路に向けて水又は海水を噴射する噴射部を有し、該噴射部から噴射された水又は海水は、前記入口から入った二枚貝の一部に当たることによって二枚貝の姿勢を変化させることができる位置を通過する、
貝投入装置。
【請求項2】
前記姿勢制御機構は、前記通路に設けられた邪魔部材を有し、該邪魔部材は、水平状態で前記入口から入った二枚貝の一部に接触することによって二枚貝の姿勢を水平状態から変化させることができる形状を有する、
請求項1に記載の貝投入装置。
【請求項3】
前記入口は、二枚貝が水平状態で通過可能であり、前記出口は、二枚貝が起立状態を維持したまま通過できるように構成された、
請求項1又は請求項2に記載の貝投入装置。
【請求項4】
前記通路は、前記入口から前記出口に向かって幅が狭くなるとともに、前記出口の方向とは反対側の後壁が傾斜面又は曲面として形成されている、
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の貝投入装置。
【請求項5】
1つの二枚貝の幅に対応する幅を有し、前記入口に水平状態で二枚貝を落下させることができる平コンベアをさらに備えた、
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の貝投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホタテ貝などの二枚貝に付着した異物を除去することによって貝表面を清浄にする貝清浄装置に二枚貝を投入する貝投入装置に関し、より具体的には、水平状態の二枚貝の姿勢を起立状態に変化させることができるように構成された貝投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホタテ貝やカキ貝などの養殖貝の殻の表面には、その養殖過程において様々な異物が付着する。養殖貝に付着する異物として、例えば、泥、昆布やわかめなどの海藻類、フジツボ、カキ、イソギンチャクなどの微小な貝や生物などが挙げられる。これらの異物は、養殖貝の成長を促進するために中間管理段階で定期的に除去する必要がある。また、これらの異物は、商品価値が低下しないように、養殖貝の出荷に際して除去することが望ましい。
【0003】
養殖貝の成長と異物が付着する場所との関係に関して、例えば二枚貝であるホタテ貝を例にとると、成長が停止した部分と成長が持続している部分とでは、異物の付着の仕方や付着する量が異なる。すなわち、稚貝又は半成貝の段階では、殻全体が成長しており、その成長速度も速いため、異物が付着し難く、付着したとしてもその量は少なく、除去し易い物が多い。その後、貝は半成貝から成貝に至るが、この段階の貝においては、成長が停止する部分と成長が持続する部分とが存在する。成長が停止する部分は、貝の最も隆起した部分であり、この部分には異物が付着しやすく、付着した異物は除去し難いことが多い。また、成長が持続する部分である貝刃先は、付着物が少なく、付着したとしても除去し易いものが多い。一方、貝刃先の部分は、殻が薄いため割れたり欠けたりし易く、殻が割れた貝は、商品価値が低下する。したがって、貝の表面を清浄にするための装置においては、成長が持続している貝刃先の部分の損傷が生じないようにする構成が必要である。
【0004】
二枚貝の表面を清浄にする装置として、例えば特許文献1や特許文献2などに記載の装置が提案されている。これらの装置は、上部が開放され下部が狭まったV字状の横断面を有する貝移動通路内を、押板に押し付けられた貝が起立した状態で回転しながら移動する間に、貝移動通路の両側に設けられた金属やゴムの異物除去用の爪が貝表面の硬い異物を除去することによって、貝の表面を清浄にする装置である。V字状の貝移動通路は、例えばV字状に対向して配置し下端部を溶接した2本の棒材を一組とし、その棒材の組を櫛の歯状に複数並べることによって構成される。この装置は、V字状の貝移動通路の内部を貝が縦になって(貝表面が側方を向いた起立状態で)転がりながら移動し、移動している貝の中央部から外周に向けて爪を当てるようになっているため、貝の外周部の成長部分における摩耗が少なく、貝刃先を損傷することなく表面を清浄にすることができるとされている。
【0005】
こうした貝洗浄装置においては、二枚貝は、起立状態で貝移動通路に投入される必要がある。従来、貝清浄装置への二枚貝の投入は、作業者が一枚一枚、手作業で行うことが多かったが、これは極めて煩雑な作業であり、重労働である。貝清浄装置に投入する作業の負担を軽減する目的で、二枚貝を投入するためのホッパが開発されており、例えば特許文献3に記載される装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭51-97198号公報
【文献】特開2005-870号公報
【文献】特開2006-101725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3に記載されたホッパを始めとする従来の装置として種々の形態のものが存在するが、いずれの装置も、様々なサイズの二枚貝を確実に起立状態にすることができるものではない。例えば、特許文献3に記載されるホッパのように、内側が平面である対向する2つの側壁が出口側に向かって次第に狭まる構成の貝案内通路のみを利用して二枚貝を起立状態にするホッパは、小型の貝や付着物が少ない貝には適しているが、大型の貝や付着物が多い貝など厚みのある貝の場合は、貝が通路に詰まる場合がある。一方、大型の貝や付着物が多い厚みのある貝の場合は、側壁が外側に膨らんだ貝案内通路を備えるホッパが用いられることがあるが、このようなホッパは、貝が起立状態になりにくく、特に小型の貝には適さない。そのため、従来は、貝の大きさや貝の付着物の多少に応じてホッパを変更しながら使用するか、又は手作業で勢いよくホッパに投入していた。しかし、ホッパを変更しながら使用することは作業者の手間とコストの点で問題があり、手作業の場合は、作業者の力加減によっては貝が起立状態ではない状態でホッパ内に詰まることがあるとともに、作業が煩雑で作業者への負担が大きい。
【0008】
本発明は、水平状態で入った二枚貝を確実に起立状態にして出口から排出し、貝清浄装置に起立状態の貝を投入することができる貝投入装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、二枚貝が起立した状態でその表面を清浄にする貝清浄装置に二枚貝を投入するための貝投入装置を提供する。本装置は、二枚貝の入口と、二枚貝の出口と、入口と出口とを連通し、二枚貝が通過する通路とを備える。本装置は、入口から入った二枚貝の姿勢を水平状態から起立状態に変化させる姿勢制御機構を有する。
【0010】
一実施形態においては、姿勢制御機構は、通路に向けて水又は海水を噴射する噴射部を有し、該噴射部から噴射された水又は海水は、水平状態で入口から入った二枚貝の一部に当たることによって二枚貝の姿勢を水平状態から変化させることができる位置を通過することが好ましい。別の実施形態においては、姿勢制御機構は、通路に設けられた邪魔部材を有し、該邪魔部材は、水平状態で入口から入った二枚貝の一部に接触することによって二枚貝の姿勢を水平状態から変化させることができる形状を有することが好ましい。
【0011】
一実施形態において、入口は、二枚貝が水平状態で通過可能であり、出口は、二枚貝が起立状態を維持したまま通過できるように構成されていることが好ましい。一実施形態において、通路は、入口から出口に向かって幅が狭くなるとともに、出口の方向とは反対側の後壁が傾斜面又は曲面として形成されていることが好ましい。
【0012】
一実施形態において、本装置は、1つの二枚貝の幅に対応する幅を有し、入口に水平状態で二枚貝を落下させることができる平コンベアをさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水平状態で入口から入った二枚貝が自動的に起立状態に変化して出口から排出されるため、作業者は、入口につながる平コンベア上に二枚貝を置く程度の軽作業を行うだけでよく、作業能率の向上とともに作業負担の軽減が可能になる。また、本発明によれば、貝清浄装置に確実に起立状態の二枚貝が投入されるため、貝清浄装置の詰まりを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る貝投入装置を含む貝清浄システムの概略的な構造を示し、(a)は右側面図であり、(b)は正面図である。
図2】貝清浄システムに含まれる貝清浄装置の主要部の構造を示し、(a)は分解斜視図であり、(b)は組み立てた状態の主要部の正面図(i)及び右側面図(ii)である。
図3】貝清浄装置が備える貝移動通路を構成する1つの通路構成部の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る貝投入装置の概略的な構造を示し、(a)は上面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。
図5】貝投入装置において二枚貝が水平状態から起立状態に変化する動作を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は右側面図、(c)は正面図である。
図6】貝清浄システムに含まれる貝搬送装置の概略的な構造を示し、(a)は上面図、(b)は左側面図である。
図7】貝搬送装置において一定量の貝が収容部から取り出され、傾斜部分を上昇する動作を説明するための図であり、(a)は左側面図、(b)は傾斜部における搬送路の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、貝清浄装置2、本発明の一実施形態に係る貝投入装置4及び貝搬送装置6を含む貝清浄システム1の概略的な構造を示す。図1(a)は、貝清浄システム1全体の右側面図であり、図(b)は、正面図である。図1(b)においては、貝投入装置4及び貝搬送装置6は、貝清浄装置2の陰になるため、図面には現されていない。
【0016】
貝清浄システム1は、二枚貝Sの表面SAに付着した異物の除去等を行うための貝清浄装置2と、貝清浄装置2に二枚貝Sを投入するための貝投入装置4と、貝収容部(水槽式ホッパ)60から二枚貝Sを取り出して、一枚ずつ搬送するための貝搬送装置6とを備える。貝搬送装置6の貝進行方向の下流側には、平コンベア装置8を配置することが好ましい。二枚貝Sの表面SAに付着する異物は、一般に、泥、昆布やわかめなどの海藻類、フジツボ、カキ、イソギンチャクなどの微小な貝や生物などである。
【0017】
(貝清浄システムの概要)
最初に、貝清浄システム1の構成及び機能の概要を説明する。必要に応じて、詳細に後述される図2図7も参照されたい。貝清浄システム1においては、二枚貝Sは、多数の二枚貝Sが水中に収容された水槽式のホッパ60から取り出され、取り出された二枚貝Sは、貝投入装置4まで一枚ずつ搬送される。貝投入装置4に投入される直前では、二枚貝Sの姿勢は、表面SAが上下方向を向いた水平状態になっている。ここで、水平状態とは、二枚貝の表面SAの最も突出した部分が鉛直方向を向いた状態をいうが、最も突出した部分が完全に鉛直方向を向いた状態だけでなく、最も突出した部分が鉛直方向からずれて斜め上方及び斜め下方を向いた状態も含む。水平状態で貝投入装置4に入れられた二枚貝Sは、貝投入装置4の内部で表面SAが側方を向いた起立状態に姿勢が変化し、起立状態で貝投入装置4から排出される。ここで、起立状態とは、表面SAの最も突出した部分が水平方向を向いた状態をいうが、最も突出した部分が完全に水平方向を向いた状態だけでなく、最も突出した部分が水平方向からずれて斜め上方及び斜め下方を向いた状態も含む。起立状態の二枚貝Sは、貝清浄装置2の貝移動通路22内を起立状態で回転しながら移動し、貝移動通路22の側方に配置された貝表面清浄機構26によって、表面SAの異物が除去される。
【0018】
図1に示される貝清浄システム1においては、貝搬送装置6が、ホッパ60から搬出された貝の進行方向と貝清浄装置2における貝移動方向とが直線になるように配置されているが、これに限定されるものではなく、貝搬送装置6が、貝清浄装置2の貝移動方向に対して横方向に配置されてもよい。
【0019】
(貝清浄装置)
次に、貝清浄装置2を説明する。図2は、貝清浄装置2の主要部の構造、すなわち、貝移動通路22、貝押付機構24及び貝清浄機構26を示す。図2(a)は、主要部の分解斜視図であり、図2(b)は、組み立てた状態の主要部の正面図(i)及び右側面図(ii)である。また、図3は、貝移動通路22を構成する1つの通路構成部221の斜視図である。貝清浄装置2は、二枚貝Sの表面SAが側方を向いた起立状態で二枚貝Sを回転させながら移動させ、連続的に表面SAの異物を除去することができる装置である。
【0020】
貝清浄装置2は、貝投入装置4から投入された二枚貝Sが起立状態で回転しながら移動することができるように構成された貝移動通路22と、貝移動通路22内の二枚貝Sを貝押付体241を用いて移動させる貝押付機構24とを備える。貝清浄装置2は、さらに、貝移動通路22内を起立状態で回転しながら移動する二枚貝Sの表面SAを異物除去体262(262a、262b)を用いて清浄にする貝表面清浄機構26と、異物が除去された二枚貝Sを外部に排出する貝排出経路28(図1参照)とを備える。貝押付機構24及び貝清浄機構26は、駆動機構29によって動作する。貝移動通路22、貝押付機構24、貝清浄機構26、貝排出経路28及び駆動機構29は、筐体20に取り付けられる。
【0021】
貝移動通路22は、貝移動通路22の長さ方向(二枚貝Sの移動方向)に並置された複数の通路構成部221によって構成されることが好ましい。通路構成部221の各々は、一対の棒状部材222を有する。一対の棒状部材222は、上端から下端に向かって次第に間隔が狭くなるように配置されており、一対の棒状部材222の間の空間が、起立状態の二枚貝Sが回転しながら移動する貝移動空間226となる。複数の通路構成部221の棒状部材222は、二枚貝Sの移動方向に並置されており、それらの棒状部材221全体が貝移動通路22の側壁を構成する。
【0022】
貝移動通路22の長さ方向に隣接する棒状部材222の間の空間は、異物除去体262が貝移動空間226に挿入される、側壁に設けられた開口227として機能する。棒状部材222の横断面の形状は、円形であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば多角形でもよい。横断面が多角形の棒状部材222の場合には、多角形の辺の部分が貝移動空間226に面するように棒状部材222が配置されることが好ましい。
【0023】
一対の棒状部材222は、それぞれの上端が筐体20のいずれかの位置に適当な方法で取り付けられ、下端間にわたって結合部材224が取り付けられている。結合部材224には、一対の棒状部材222の下端が所定の間隔をおいて取り付けられており、それぞれの下端間の部分には平坦部225が形成されている。平坦部225の幅(すなわち、一対の棒状部材222のそれぞれの下端が結合部材224に取り付けられている部分の間の長さ)は、一例として5mm~6mm程度である。通路構成部221において、一対の棒状部材222と結合部材224の平坦部225とによって囲まれた空間は、上方が開放された略逆台形状を有し、複数の通路構成部221が並置されたときのこの空間が、略逆台形状の貝移動空間226である。貝移動空間226の高さは、二枚貝Sの大きさ(限定されるものではないが、通常は、直径が約10cm~約15cmである)より高く、底面の幅は、結合部材224の平坦部225の長さである。
【0024】
貝移動空間226が略逆台形状に形成されていることによって、貝移動通路22に二枚貝が詰まることなく貝清浄処理を連続的に行うことができる。すなわち、上述のように、従来の貝清浄装置では、V字の貝移動通路の最下端(鋭角部分)に貝刃先が刺さったり、V字の鋭角部分やその近くの貝移動通路を構成する丸棒と貝刃先との点接触による貝刃先の破損が生じたりすることによって、二枚貝が貝移動通路に詰まるという課題がある。これに対して、本発明に係る貝清浄装置においては、貝移動空間226の最下端に平坦部225が存在するため、貝刃先が挟まることがなく、貝刃先にかかる力が小さいので貝刃先が砕けることもない。したがって、貝移動通路22に二枚貝Sが詰まることを防止することができる。
【0025】
別の実施形態においては、貝移動通路22の側壁は、例えば、長尺の2つの板状体で構成することもできる。この場合、2つの板状体は、それぞれの一方の長辺が上方に、他方の長辺が下方に位置し、一方の長辺から他方の長辺にかけて間隔が狭くなるように配置される。下方の長辺間には、貝移動空間226に面する部分が平坦に形成された別の長尺の板状体を取付けることができる。この板状体は、結合部材224に相当する。したがって、この実施形態における貝移動通路22は、長さ方向を横切る方向の断面が、上方が開放された略逆台形状を有することになる。長尺の2つの板状体には、後述される異物除去体262を貝移動空間226に突出させるための開口が設けられる。
【0026】
貝移動通路22の側壁は、二枚貝Sの少なくとも一部が接触したときに、接触した部分が二枚貝Sの移動方向に動くように構成されていることが好ましい。したがって、図3に示される実施形態、すなわち、貝移動通路22が一対の棒状部材222を有する複数の通路構成部221によって構成されており、一対の棒状部材222の横断面形状が円形である実施形態においては、一対の棒状部材222のそれぞれに円筒部材223が被せられている。図3においては、1つの棒状部材222に1つの円筒部材223が被せられているが、1つの棒状部材222には、その長さ方向に複数の円筒部材223が被せられていてもよい。
【0027】
円筒部材223は、棒状部材222の円周方向に自在に回転できるように、内径が棒状部材222の直径より若干大きく形成されることが好ましい。さらに、円筒部材223は、棒状部材222の長さ方向に自在に移動できるように、棒状部材222の露出部分(筐体20への取り付け部分と、結合部材224への取り付け部分を除いた部分)の長さより短いことが好ましい。このように円筒部材223が棒状部材222に被せられていることによって、二枚貝Sが移動中に円筒部材223に接触したときには、円筒部材223がその移動方向に回転したり、棒状部材222に沿って上下に移動したりすることになる。
【0028】
貝移動通路22が、例えば2つの板状体とそれらの下部長辺を連結する別の板状体とで構成されている実施形態においては、例えば、2つの板状体の内面に、二枚貝Sが接触したときにその進行方向に自在に回転するとともに上下方向にも移動可能に構成された、複数のローラ部を設けた構成とすることもできる。
【0029】
貝移動通路22の側壁が、二枚貝Sが接触したときに貝移動方向に移動するように構成されていることによって、貝移動通路22に二枚貝Sが詰まることなく貝清浄処理を連続的に行うことができる。すなわち、上述のように、従来の貝清浄装置では、貝移動通路の丸棒の隙間に二枚貝の表面に付着した異物が挟まることによって、二枚貝が貝移動通路内を移動できなくなり、その結果として二枚貝が貝移動通路に詰まるという課題がある。これに対して、本発明に係る貝清浄装置においては、貝移動通路22の側壁が貝の移動方向に動くようになっているため、表面SAと側壁との摩擦抵抗を低下させ、表面SAに付着した異物が側壁の隙間に食い込むことを防止することができ、したがって、貝移動通路22に二枚貝Sが詰まることを防止することができる。
【0030】
貝清浄装置2は、さらに、図2に示されるように、二枚貝Sを押し付けて貝移動通路22の貝移動空間226内を移動させるための貝押付機構24を備える。貝押付機構24として、例えば特許文献1又は特許文献2等に記載のものと同じ構造のものを用いることもできる。貝押付機構24は、貝移動通路22の上部に配置されており、典型的には、二枚貝Sを一方向に押し付けるための複数の貝押付体241と、複数の貝押付体241が間隔をあけて外周に取り付けられた無端状のチェン242と、チェン242を回転させる一対の回転軸243とを有する。一対の回転軸243は、動力伝達機構(図面の煩雑を避けるために詳細には図示されない)を介して連結された駆動機構29の動力によって回転させることができる。
【0031】
図2(b)(ii)に示されるように、チェン242は、貝移動空間226に対向する部分が貝移動方向と同じ方向に移動するように回転し、チェン242の回転に伴って、取り付けられた複数の貝押付体241が一方向に移動する。貝押付体241は、チェン242の回転方向とは反対の方向に向かって傾斜するようにチェン242に取り付けられることが好ましく、その少なくとも一部が、貝移動空間226内に突出する。貝押付体241の形状は、特に限定されるものではないが、少なくとも貝移動空間226内に突出する部分が、貝移動空間226の側壁と干渉することなく側壁間の距離に対応する幅と、二枚貝Sを押し付けるのに十分な長さとを有することが好ましい。貝押付体241の材質は、特に限定されるものではないが、二枚貝Sの損傷を防止するために、例えばゴムや樹脂などであることが好ましい。貝投入装置4から貝移動通路22に起立状態で投入された二枚貝Sは、後方から貝押付体241に押し付けられることによって、起立状態のままで回転しながら、貝排出経路28の方向に向かって移動する。
【0032】
貝清浄装置2は、さらに、貝移動通路22内を回転しながら移動する二枚貝Sの表面SAの異物を除去するための貝表面清浄機構26を備える。貝表面清浄機構として、例えば特許文献1又は特許文献2等に記載のものと同じ構造のものを用いてもよい。貝表面清浄機構26は、左右一対の清浄部26a、26bから構成されており、それぞれ貝移動通路22の側方に設けられている。清浄部26a、26bの各々は、複数の無端状のベルト261a、261bと、複数のベルト261a、261bの各々の外周に間隔をあけて取り付けられた複数の異物除去体262a、262bと、ベルト261a、261bを回転させる回転軸263a、263bとを有する。
【0033】
回転軸263a、263bは、貝移動通路22の長さ方向に延びる軸を有し、貝移動通路22の高さ方向上部及び下部の側方に一対ずつ設けられている。一対の回転軸263aには、ベルト261aがかけ渡される複数のプーリ264aが、回転軸263aの長さ方向に間隔をもって取り付けられ、一対の回転軸263bには、ベルト261bがかけ渡される複数のプーリ264bが、回転軸263bの長さ方向に間隔をもって取り付けられている。回転軸263a、263bは、動力伝達機構(図面の煩雑を避けるために詳細には図示されない)を介して連結された駆動機構29の動力によって回転させることができる。
【0034】
このように構成された貝表面清浄機構26においては、図2(b)(i)に示されるように、ベルト261a、261bが、貝移動通路22に面する部分が上方から下方に向かって移動するように回転し、ベルト261a、261bの回転に伴って、取り付けられた複数の異物除去体262a、262bが貝移動通路22の側壁の開口227から貝移動空間226内に突出し、移動する二枚貝Sの表面SAの異物を除去する。清浄部26a、26bは、異物除去体262a、262bが表面SAの中心から外周に向けて二枚貝Sに当たる位置において貝移動空間226に入り込むように配置されることが好ましい。異物除去体262a、262bがこのように二枚貝Sを清浄にすることにより、二枚貝Sの外周部の成長点の摩耗が少なく、成長も阻害されず、見映えもよくなる。
【0035】
異物除去体262a、262bは、二枚貝Sの表面SAに硬く付着した異物も除去することができるように金属製の爪状体であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、清浄対象である二枚貝及びその付着物に応じて、金属より柔らかい材質、例えば樹脂やゴムなどを用いてもよい。また、異物除去体262a、262bは、ベルト261a、261bの回転方向とは反対の方向に向かって傾斜するように、ベルト261a、261bに取り付けられていることが好ましい。
【0036】
貝表面清浄機構26は、ベルト261a、261bに異物除去体262a、262bを取り付けた構成に限定されるものではなく、例えば、貝移動通路22の側方においてその長さ方向に延びる回転軸の周りに回転する複数の回転体と、その回転体の各々の外周面に取り付けられた複数の異物除去体とによって構成することもできる。
【0037】
(貝投入装置4)
次に、本発明の一実施形態に係る貝投入装置4を説明する。図4は、貝投入装置4の概略的な構造を示す。図4(a)は上面図(図の上方が二枚貝の進行方向である)、図4(b)は背面図、図4(c)は右側面図、図4(d)は左側面図である。図4(b)~図4(d)については、内部の構造がわかるように示されている。また、図4(c)では、上部の奥に配置されている海水噴射部47は省略されている。貝投入装置4は、水平状態で搬送されてきた二枚貝Sを受け取り、その姿勢を水平状態から起立状態に変化させて、貝清浄装置2に受け渡すための装置である。
【0038】
貝投入装置4は、水平状態の二枚貝Sが入る入口42と、起立状態になった二枚貝Sが出る出口44と、入口42から入った二枚貝Sが出口44に向かって通過する通路46とを有し、通路46は、入口42から出口44に向かって概ねL字形状に形成されている。また、通路46は、入口42から出口44の方向に向かって次第に幅が狭くなるように形成されている。さらに、通路46は、後壁463、すなわち出口44とは反対側に位置する通路46の壁面が、傾斜面又は曲面として形成されていることが好ましい。入口42は、二枚貝Sが水平状態で通過することができる程度の広さを有し、出口44は、二枚貝Sが起立状態を維持したまま通過することができるように、二枚貝Sに対応した形状を有する。すなわち、出口44の幅は、処理される二枚貝Sの厚みと同程度又はそれより多少広いことが好ましく、高さは、処理される二枚貝Sの直径より高いことが好ましい。
【0039】
貝投入装置4は、入口42から入った二枚貝Sの姿勢を水平状態から起立状態に変化させる姿勢制御機構を有する。貝投入装置4は、姿勢制御機構として、海水噴射部47及び邪魔部材48を有することが好ましい。
【0040】
海水噴射部47は、入口42付近に配置されていることが好ましい。海水噴射部47は、海水を通路46に向けて噴射する噴射ノズル471を有する。海水に代えて、真水を噴射するようにしてもよい。例えば図示されない供給部から供給された海水は、噴射ノズル471から、通路46内の邪魔部材48がない位置に向かって噴射される。噴射ノズル471は、通路46の側壁461に沿って前後方向に延びる平ノズルであることが好ましい。入口42に水平状態で入った二枚貝Sは、通路46内を落下する途中で、その一部(二枚貝の一方の片側S1)に、噴射ノズル471から下向きに噴射された海水が当たることによって回転し、姿勢が水平状態から起立状態に変化する。噴射された海水は、通路46の内部で後壁463に沿って二枚貝Sを押し流し、出口44から排出される。
【0041】
邪魔部材48は、入口42付近において、通路46の側壁462から通路46内の概ね中間位置まで張り出すように配置されることが好ましい。邪魔部材48は、側壁462から水平方向に張り出し、端部に向かって下方に屈曲又は湾曲するような形状の板状体であることが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、邪魔部材48は、側壁462から通路46の概ね中間位置まで延びる平板であってもよい。あるいは、邪魔部材48は、側壁462から通路46の概ね中間位置まで延びる直線状又は曲線状の複数の棒状体であってもよい。また、邪魔部材48の材質は、二枚貝Sに損傷を与えないものであれば、限定されるものではない。入口42に水平状態で入った二枚貝Sは、通路46内を落下する途中で、その一部(二枚貝の一方の片側S2)が邪魔部材48に当たることによって回転し、姿勢が水平状態から起立状態に変化する。
【0042】
貝投入装置4における二枚貝Sの姿勢変化を説明する。図5は、貝投入装置4において二枚貝Sの姿勢が水平状態から起立状態に変化する動作を示す図であり、図5(a)は上面図、図5(b)は右側面図、図5(c)は正面図である。まず、二枚貝Sは、例えば平コンベア装置8などによって入口42まで搬送される。平コンベア装置8は、二枚貝Sを水平状態で搬送することができるとともに、複数の二枚貝Sが同時に入口42に入らないように、1枚分の二枚貝Sの大きさに対応する幅を有するものであることが好ましく、入口42に水平状態で二枚貝Sを落下させることができるように入口42の近くに排出端が配置される。平コンベア装置8の搬送速度は、投入される複数の二枚貝Sが内部で詰まらない程度の速度で入口42に二枚貝Sを入れることができるものであることが好ましい。
【0043】
二枚貝Sは、入口42に入ったときには、表面SAが上下方向を向いた水平状態である。入口42に入った二枚貝Sは、水平状態で落下し始める。図5(c)に示されるように、二枚貝Sは、水平状態で落下する途中で、噴射ノズル471から噴射された海水が、二枚貝Sの一方の片側S1に上方からあたり、片側S1が下方に押し下げられる。また、他方の片側S2は邪魔部材48に接触し、片側S2が上方に持ち上げられる。片側S2が邪魔部材48に接触するタイミングは、片側S1に海水が当たる前でも後でもよい。一方の片側S1が下方に押し下げられ、他方の片側S2が上方に持ち上げられることによって、二枚貝Sは、貝投入装置4の前後方向に延びる軸線を中心に横回転し、表面SAが側方を向いた起立状態となる。姿勢制御機構(すなわち、海水噴射部47及び邪魔部材48)の作用によって起立状態となった二枚貝Sは、出口44の方向に向かって次第に幅が狭くなる通路46内を起立状態のまま落下し、出口44から排出され、例えば上述の貝清浄装置2に投入される。
【0044】
(貝搬送装置)
次に、貝搬送装置6を説明する。図6は、貝清浄システム1に含まれる貝搬送装置6の概略的な構造を示し、図6(a)は上面図、図6(b)は左側面図である。貝搬送装置6は、海水又は水とともに多数の二枚貝Sが収容されたホッパ(貝収容部)60から少量ずつ(1枚又は数枚ずつ)二枚貝Sを取り出し、取り出された二枚貝Sが複数枚の場合には搬送途中で1枚ずつ分離することによって、二枚貝を搬送する平コンベア装置8に一枚ずつ載せることができるようにするための装置である。
【0045】
貝搬送装置6は、多数の二枚貝Sを海水中又は水中に収容するためのホッパ60と、ホッパ60内の二枚貝Sが搬送される略L字形状のL字搬送路62とを有する。ホッパ60のサイズは、貝清浄装置2における連続処理容量に対応する数の二枚貝Sを収容することが可能なサイズであることが好ましく、収容される海水又は水の水深は、収容される多数の二枚貝Sのすべてが水面から出ることなく十分な浮力を得られる程度である。ホッパ60は、後述される水平部621上に二枚貝が集まるように、二枚貝Sの搬送方向に対して左右に位置する両内壁が、上方から下方に向かって幅が狭くなるように傾斜していることが好ましい。
【0046】
L字搬送路62は、貝がその上を移動する面(貝移動面621f、622f)を持つ水平部621及び傾斜部622を有する。貝移動面621f、622fは、例えば板状体の上面である。水平部621は、ホッパ60の底部に配置される。傾斜部622は、水平部621の端部に連続し、そこから斜め上方に延び、二枚貝Sがホッパ60の水面より高い位置まで搬送されるように配置される。水平部621及び傾斜部622の貝移動面621f、622fの幅は、広くても二枚貝Sが二枚並ばない程度であり、一例として約16cmとすることができる。L字搬送路62の傾斜部622とホッパ60の側面601との間には、側壁64が配置されることが好ましい。
【0047】
水平部621の端部付近と、そこから最も遠い傾斜部622の端部付近には、それぞれ回転軸621a、622aが設けられ、回転軸621a、622aには、その幅方向に間隔をあけて、2本の無端状のチェン623がかけられている。回転軸622aは、駆動部68の動力によって回転するようになっており、回転軸622aの回転によって、2本のチェン623が図6(b)の矢印の方向に移動する。2本のチェン623は、水平部621及び傾斜部622の貝移動面621f、622fの幅方向両端部付近を、水平部621から傾斜部622の方向(すなわち、矢印の方向)に向かって移動し、回転軸622aの外面に沿って方向を転換して、傾斜部622及び水平部621の貝移動面621f、622fの下方を、傾斜部622から水平部621の方向に向かって移動する。
【0048】
2本のチェン623には、複数の境界部材、好ましくは複数の区画プレート624が取り付けられる。複数の区画プレート624は、2本のチェン623の間にわたされるように、チェン623の移動方向に所定の間隔をあけて取り付けられている。隣接する区画プレート624の間隔は、限定されるものではないが、広くても二枚貝Sが二枚並ばない程度であり、一例として、約16cmとすることができる。隣接する区画プレート624の間は、二枚貝Sの大きさに対応し、好ましくは二枚貝Sが二枚並ばない程度のサイズの区画626となる。すなわち、L字搬送路62には、複数の区画プレート624によって画定される複数の区画626が、2本のチェン623の間においてチェン623の移動方向に沿って連続的に並んでいることになる。複数の区画626は、チェン623の移動にともなって水平部621の貝移動面621f上を傾斜部622の方向に移動し、傾斜部622の貝移動面622f上を水中から傾斜部622の端部まで移動した後、貝移動面622fの下方を水平部621の方向に移動し、さらに水平部621の貝移動面621fの下方を移動することになる。
【0049】
区画プレート624の高さ(すなわち、L字搬送路62の貝移動面から垂直方向の高さ)は、少なくとも一枚の二枚貝Sが、傾斜部622を搬送される時でも区画626内から脱落しない程度の高さであることが好ましく、一例として約2cmとすることができる。区画プレート624は、搬送する二枚貝Sの異物を含む厚みに応じて、高さを変えることができるように構成されることが好ましい。
【0050】
水面より上方の位置において、傾斜部622の上方に、制限部66が設けられることが好ましい。制限部66は、各々の一端が対応する側壁64に軸支された2つのプレート661と、各々のプレートの他端間にわたされた接触棒662とを有する。制限部66は、接触棒662が傾斜部622の貝移動面622fから垂直方向に所定の距離だけ離れた位置に配置されるように、取り付けられている。接触棒662は、その位置から、チェン623の移動方向にのみ動くことができるように取り付けられていることが好ましい。所定の距離は、限定されるものではないが、二枚貝Sの1枚分の厚みより若干大きい距離であることが好ましい。このような位置に接触棒662が配置されることによって、傾斜部622を移動する1つの区画626に二枚以上の二枚貝Sが重なった状態で接触棒662の下を通過するときに、不安定に重なった余分な二枚貝Sを接触棒662に接触させることによって区画626から脱落させ、1つの区画626に一枚の二枚貝Sが残るようにすることができる。
【0051】
次に、貝搬送装置6において二枚貝Sが搬送される工程を説明する。図7は、多数の二枚貝Sが収容されたホッパ60から二枚貝Sが取り出され、傾斜部622を上昇する動作の説明図であり、図7(a)は左側面図、図7(b)は傾斜部における搬送路の一部拡大上面図である。貝搬送装置6においては、ホッパ60には海水又は水Wが収容されており、海水又は水Wの中には、多数の二枚貝Sが入れられている。水中の二枚貝Sは、浮力が作用することによって、表面に異物が付着していても流動性、分離性がよいため、多数の二枚貝Sが重なっていてもそれぞれの二枚貝Sの移動が制限されることがない。
【0052】
水中の二枚貝Sは、ホッパ60の下方に沈み、水平部621の貝移動面621f上に形成された複数の区画626の各々に複数枚ずつ入る。区画626に入った二枚貝Sは、貝移動面621f上を移動する区画プレート624に押され、傾斜部622の方向に移動する。区画626に入った状態で移動する二枚貝Sは、次に傾斜部622の水中部分に移り、その貝移動面622f上を、区画プレート624に押されてさらに移動する。貝移動面622f上を移動する二枚貝Sは、浮力が作用しており、流動性及び分離性が良いため、傾斜部622の水中部分を上昇する間に、重なった二枚貝Sが滑り落ち、各々の区画626には、通常、1枚~2枚程度の二枚貝Sが残る。
【0053】
区画プレート624がホッパ60の水面から出るときには、図7(a)に示されるように、区画プレート624の移動により貝移動面622fに沿って上昇する水流が水面近傍で反転して、傾斜部622から離れる方向の流れFになる。したがって、傾斜部622を上昇する二枚貝Sが水中から水上に出る際には、区画626から滑り落ちた二枚貝Sが上記の水の流れFによって傾斜部622から離れる方向に移動するため、傾斜部622の水面付近における二枚貝Sの重なりや詰まりが生じない。このように重なった二枚貝Sが水面上に出る際に落下する傾斜部622の好ましい角度は、限定されるものではないが、約50°である。また、区画プレート624の好ましい移動速度は、水面付近で強く反転する水の流れFを発生させるとともに、重なった二枚貝Sを落下させるのに適した速度として、約17m/分である。
【0054】
仮に、傾斜部622の水際で二枚貝Sが滑り落ちず、1つの区画626に2枚の二枚貝Sが重なった状態で上昇した場合でも、このような状態の二枚貝Sは不安定であるため、傾斜部622の途中に配置された制限部66の接触棒662に触れて落下することになる。結果として、図7(b)に示されるように、区画626の各々には1枚の二枚貝Sが配置された状態で、傾斜部622を上昇することになる。
【0055】
以上に説明した実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。また、本発明に係る貝投入装置は、本実施形態に示される貝清浄装置及び貝搬送装置だけでなく、他の貝清浄装置及び/又は貝搬送装置と組み合わせて用いることができる。さらに、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好ましい効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
1 貝清浄システム
2 貝清浄装置
20 筐体
22 貝移動通路
221 通路構成部
222 棒状部材
223 円筒部材
224 結合部材
225 平坦部
226 貝移動空間
227 開口
24 貝押付機構
241 貝押付体
242 チェン
243 回転軸
26 貝表面清浄機構
26a、26b 清浄部
261a、261b ベルト
262a、262b 異物除去体
263a、263b 回転軸
264a、264b プーリ
28 貝排出経路
29 駆動機構
4 貝投入装置
40 筐体
42 入口
44 出口
46 通路
461、462 側壁
463 後壁
47 海水噴射部
471 噴射ノズル
48 邪魔部材
6 貝搬送装置
60 ホッパ
601 側面
602 底面
62 L字搬送路
621 水平部
622 傾斜部
621a、622a 回転軸
621f、622f 貝移動面
623 チェン
624 区画プレート
626 区画
64 側壁
66 制限部
661 プレート
662 接触部材
68 駆動部
F 水の流れ
8 平コンベア装置
S 二枚貝
SA 表面
S1 一方の片側
S2 他方の片側

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7