(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2020166476
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】兼子 潔人
(72)【発明者】
【氏名】小川 慎也
(72)【発明者】
【氏名】宮永 真
【審査官】森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-134302(JP,A)
【文献】特開2005-211109(JP,A)
【文献】特開2018-153203(JP,A)
【文献】特開2016-022170(JP,A)
【文献】特開2022-057963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透かして見ると透かし模様が視認可能になる透かし部
と、
前記透かし部が設けられた突出部と、を備え、
前記突出部は、遊技者側から見て、遊技機のうち前記突出部を除く遊技機本体部からはみ出すように配置される遊技機。
【請求項2】
前記突出部には、前記透かし模様に遊技者側から重なる装飾部が形成されている請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
透かして見ると透かし模様が視認可能になる透かし部を有する遊技機であって、
前記透かし部は、透光性を有する透光部と、前記透光部を透視して視認可能で前記透かし模様を形成する透かし模様形成部と、を備え、
前記透かし部を有し、前記透光部のうち前記透かし模様形成部に遊技者側から重なる位置に装飾が施された装飾部材を備え、
前記装飾部材は、遊技者側から見て、遊技機のうち前記装飾部材を除く遊技機本体部からはみ出すように配置され、そのはみ出し部分に、前記透かし模様形成部が配置されている遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、前面に装飾が施された装飾部材を有する遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-018522号公報(
図2、
図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の遊技機に対し、今までにない斬新な遊技機が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の一態様は、透かして見ると透かし模様が視認可能になる透かし部を有する遊技機である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】前面扉から取り外されたトップユニットの正面図
【
図4】トップユニットの透かし模様形成部の周辺のA-A断面図
【
図5】(A)トップユニットの拡大正面図、(B)透かして見たときのトップユニットの拡大正面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、本開示のパチンコ遊技機10(以下、単に「遊技機10」という。)は、遊技盤11と、遊技盤11を支持する支持枠12と、その支持枠12の前面を覆う前面扉10Zと、を備え、前面扉10Zの窓部10Wを通して遊技盤11の前面に形成された遊技領域R1が視認可能になっている。
【0009】
前面扉10Zは、前方から見ると支持枠12の略全体を覆う縦長の矩形状をなし、支持枠12と左端部同士がヒンジ結合されている。
【0010】
前面扉10Zのうち窓部10Wより下方には、上皿26及び下皿27が上下に並べて設けられると共に、下皿27の右方には、発射ハンドル28が設けられている。発射ハンドル28を回動操作すると、上皿26に貯留された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0011】
図1に示すように、遊技領域R1には、第1及び第2始動入賞口14A,14Bと大入賞口15が備えられ、第1始動入賞口14A、第2始動入賞口14Bに遊技球が入球すると特図当否判定が行われる。特図当否判定の結果は、遊技領域R1に設けられた表示部13にて報知される。大入賞口15は、通常は、可動扉15Tで閉塞されて遊技球が入球困難な状態になっていて、上記特図当否判定の結果が当りとなったときに開放されて遊技球が入球可能な状態となる。なお、第2始動入賞口14Bは、通常は開閉部材14Cで閉塞されていて、遊技領域R1に設けられた始動ゲート18への遊技球の入球により行われる普図当否判定で当りになると、開閉部材14Cにより開放される。また、遊技領域R1には、図示しない一般入賞口も設けられている。なお、上述した始動入賞口14A,14B、大入賞口15又は一般入賞口に遊技球が入球すると、賞球が上皿26に払い出される。
【0012】
さて、
図1及び
図2に示すように、前側扉10Zの上部には、トップユニット60が取り付けられている。トップユニット60は、例えばキャラクター等の装飾が施された装飾部材になっている。本実施形態では、トップユニット60の上部には、キャラクターの顔の装飾が施された顔装飾部61が設けられ、顔装飾部61は、透光性を有している。
【0013】
図1及び
図3に示すように、トップユニット60は、前側扉10Z及び支持枠12から上方にはみ出している。具体的には、遊技機10のうちトップユニット60を除く遊技機本体部10Bから、トップユニット60のうち透光性を有する顔装飾部61がはみ出している。従って、遊技者側から見ると、トップユニット60の後側及び上側には、遊技機本体部10Bが配置されず、例えば、遊技店の天井の照明が顔装飾部61の後側面に到達し、顔装飾部61を透過する。
【0014】
図3に示すように、トップユニット60の顔装飾部61は、キャラクターを表す装飾シート63を有し、その装飾シート63を、顔装飾部61と遊技者との対向方向で(前側と後側とから)前側プレート部71と後側プレート部72により挟んだ構成となっている。本実施形態では、前側プレート部71と後側プレート部72は、透明な樹脂で構成される。また、装飾シート63は、前側プレート部71及び後側プレート部72よりは透光性が低くなっている。
【0015】
ここで、遊技機10では、透かして見ると透かし模様が視認可能になる透かし部が設けられている。具体的には、この透かし部は、顔装飾部61からなり、顔装飾部61を遊技者と反対側の(後側又は後斜め上方の)光りに透かして見ると、透かし模様20(
図5(B)参照)を視認することが可能となっている。なお、本実施形態では、透かし模様20は、顔装飾部61を前側からの光りのみで照らした場合には、視認困難となっている。
【0016】
透かし模様20を形成する透かし模様形成部50は、顔装飾部61のうち遊技者と反対側に配置される後側プレート部72に設けられている。具体的には、本実施形態では、
図4に示すように、透かし模様形成部51は、後側プレート部72の一部が後側に(遊技者とは反対側に)突出して、その突出した凸部62の前側に凹部64が形成されてなる。
【0017】
凸部62は、後側プレート部72の後側面から段状に突出した円形土台部62Bと、その円形土台部62Bの中心部から膨出した膨出部62Aと、からなる。なお、膨出部62Aは、丸みを帯びた略ドーム状をなしている。
【0018】
凹部64は、凸部62の円形土台部62Bと同心の円形開口部64Aと、凹部64の底面に向かってテーパ状に縮径するテーパ底部64Bと、からなる。凹部64の円形開口部64Aは、凸部62の円形土台部62Bの外径、及び、膨出部62Aの外径(外縁の径)よりも小径となっている。従って、透かし模様形成部50を、装飾シート63側から見ると、凸部62の円形土台部62Bの外周面と、凹部64の円形開口部64Aの内周面と、テーパ底部64Tのうち最小径となる底面の外縁等が、視認されるので、透かし模様20は、同心円状の模様(例えば、3重丸や4重丸の模様)に見える。
【0019】
本実施形態では、透かし模様形成部50(凸部62)は、後側プレート部72の樹脂成形時にできる、成形金型のキャビティへの樹脂の注入口の痕になっている。
【0020】
なお、本実施形態では、後側プレート部72のうち透かし模様形成部50が配置された部分と、装飾シート63とは、間隔をあけて配置されているが、接触していてもよい。また、前側プレート部71のうち透かし模様形成部50と重なる部分は、装飾シート63と間隔をあけて配置されているが、接触していてもよい。
【0021】
図5(A)に示すように、顔装飾部61を、主に前側(遊技者側)からの光で照らした場合には、透かし模様形成部50(透かし模様20)は、視認困難となる。これに対し、
図5(B)に示すように、顔装飾部61を、後側(遊技者とは反対側)の光に透かして見ると、透かし模様形成部50が視認可能となり、同心円状の透かし模様20が視認可能となる。顔装飾部61では、装飾シート63におけるキャラクターの装飾部分と、透かし模様20とが、重なる。詳細には、透かし模様20は、装飾シート63のうちキャラクターの目を表す部分と重なる。なお、透かし模様20の中心部を、キャラクターの目の中心部と合わせてもよいし、ずらしてもよい。前者の場合、透かし模様20をより目立ちやすくすることが可能となる。後者の場合、透かし模様20が目立ちすぎることを抑制できる。
【0022】
このように、本実施形態では、透かして見ると透かし模様20が視認可能になる顔装飾部61を有するという、今までにない斬新な遊技機10が提供できる。また、透かし模様20を形成する透かし模様形成部50が、凸部62や凹部64を有するので、平坦な模様である場合に比べて、後側からの透過光に変化をつけることが可能となり、透かし模様20の見え方に変化をつけることが可能となる。また、透かし模様形成部50が、丸みを帯びた形状で膨出する透明な凸部62で形成されることで、後側からの透過光により変化をつけることが可能となり、透かし模様20の見え方の趣向性を高めることが可能となる。
【0023】
また、本実施形態では、透光性を有する顔装飾部61が、装飾シート63を前側と後側のプレート部71,72で挟んだ構成となっている。従って、顔装飾部61を透かして見る場合に、後側プレート部72の透かし模様形成部50を、装飾シート63と前側プレート部71とを通して見るので、装飾シート63だけ又は前側プレート部71だけを通して透かし模様20を見る場合に比べて、透かし模様20の見え方に変化をつけることが可能となり、装飾部材の見え方の趣向性を向上させることが可能となる。また、顔装飾部61では、装飾シート63のキャラクターの装飾部分と、透かし模様20とが、重なるので、従来にないキャラクターの見せ方が可能となる。さらに、透かし模様20と、装飾シート63のうちキャラクターの目を表す部分とが重なるので、より斬新な見え方をする装飾部材を提供することが可能となる。
【0024】
また、遊技機10では、トップユニット60が、遊技者側(前側)から見たときに遊技機本体部10Bからはみ出した配置となっているので、遊技店の照明を利用して顔装飾部61に後側から光を透過させることが可能となる。従って、遊技店の照明を利用して透かし模様20を視認させることが可能となる。特に、トップユニット60は、遊技機本体部10Bから上方に突出しているので、遊技店の天井の照明を利用して透かし模様20を視認させることが容易となる。
【0025】
また、本実施形態では、透かし模様20を形成する透かし模様形成部50が、後側プレート部72の樹脂成形時のキャビティへの樹脂注入口の痕で構成される。本実施形態の顔装飾部61によれば、樹脂成形時にできる痕をデザインに利用することができる。
【0026】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、透かし模様形成部50が、後側プレート部72の後側面に突出形成されていたが、後側プレート部72の前側面に突出形成されていてもよい。この場合、後側プレート部72における前側面の上記突出部分の後方に凹部が形成されていてもよい。また、透かし模様形成部50は、後側プレート部72の後側面又は前側面に形成された凸部で構成されていてもよいし、後側プレート部72の後側面又は前側面に形成された凹部で構成されていてもよい。また、透かし模様形成部50は、装飾シート63の後側面又は前側面に形成された凸部又は凹部で構成されていてもよいし、前側プレート部71の後側面に形成された凸部又は凹部で構成されていてもよい。
【0027】
(2)上記実施形態では、透光性を有し透かし模様形成部50を有する透光部(顔装飾部61)が、遊技機10の上部に設けられていたが、側部に設けられていてもよい。この場合、この透光部を遊技者側から見たときに遊技機本体部10Bからはみ出すように配置すればよい。これにより、遊技店の照明を利用して透光部を透かして見ることで、透かし模様20を視認させることが可能となる。
【0028】
(3)上記実施形態では、透かし模様形成部50が、凸部又は凹部で構成されていたが、平面に形成された模様であってもよい。
【0029】
(4)上記実施形態では、透かし模様形成部50が、樹脂成形時の樹脂注入口の痕を利用したものであったが、樹脂注入口の痕とは別に形成されてもよい。
【0030】
(5)上記実施形態では、透かし模様形成部50の前側に重なった装飾部(装飾シート63)が、キャラクターを表していたが、アイテム(例えば、武器、防具、宝等)を表していてもよいし、建物又は乗り物を表していてもよい。
【0031】
(6)上記実施形態では、透かし模様形成部50に前側から重なった装飾部が設けられていたが、装飾部が設けられていなくてもよく、例えば、透かし模様形成部50の前側に透光性を有する単一色の透光部材が配置されていてもよい。
【0032】
(7)上記実施形態では、透光性を有し、透かし模様形成部50を有する透光部(顔装飾部61)が、遊技者側から見たときに遊技機本体部10Bからはみ出していたが、はみ出していなくてもよい。この場合でも、遊技機10の発光部材からの光りで透光部を透かして見せることで、透かし模様20を視認させることが可能となる。
【0033】
<付記>
以下、上述した各実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0034】
以下の特徴群は、遊技機に関し、「従来から、前面に装飾が施された装飾部材を有する遊技機が知られている(例えば、特開2017-018522号公報(
図2、
図3等)参照)。」という背景技術について、「上述した従来の遊技機に対し、今までにない斬新な遊技機が求められている。」という課題をもってなされたものと考えることができる。
【0035】
[特徴1]
透かして見ると透かし模様が視認可能になる透かし部を有する遊技機。
【0036】
特徴1の構成によれば、透かして見ると透かし模様が視認可能になる透かし部を有するという、今までにない斬新な遊技機が提供できる。
【0037】
[特徴2]
前記透かし部は、透光性を有する透光部と、前記透光部を透視して視認可能で前記透かし模様を形成する透かし模様形成部と、を備える、特徴1に記載の遊技機。
【0038】
[特徴3]
前記透かし模様形成部は、前記透光部のうち遊技者とは反対側を向く裏面に形成された凸部又は凹部を有する、特徴2に記載の遊技機。
【0039】
[特徴4]
前記透かし模様形成部は、前記透光部の前記裏面に形成され、丸みを帯びた形状で膨出する透明な凸部を有する、特徴3に記載の遊技機。
【0040】
[特徴5]
前記透光部は、遊技者との対向方向で装飾シートを第1壁部(後側プレート部72)と第2壁部(前側プレート部71)とで挟んでなり、
前記透かし模様形成部は、前記装飾シートに対して遊技者とは反対側に配置される第1壁部に形成されている、特徴2から4の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0041】
[特徴6]
前記透かし模様形成部は、前記第1壁部のうち遊技者とは反対側を向く裏側面に形成された凸部又は凹部を有する、特徴5に記載の遊技機。
【0042】
[特徴7]
前記透かし模様形成部は、前記第1壁部のうち遊技者側を向く表側面に形成された凸部又は凹部を有する、特徴5又は6に記載の遊技機。
【0043】
[特徴8]
前記透光部と前記透かし模様形成部を有し、前記透光部のうち前記透かし模様形成部に遊技者側から重なる位置に装飾が施された装飾部材を備える、特徴2から7の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0044】
[特徴9]
前記装飾部材は、遊技者側から見て、遊技機のうち前記装飾部材を除く遊技機本体部からはみ出すように配置され、そのはみ出し部分に、前記透かし模様形成部が配置されている、特徴8に記載の遊技機。
【0045】
[特徴10]
前記装飾部材は、前記遊技機本体部から上方にはみ出すように配置されている、特徴9に記載の遊技機。
【0046】
[特徴11]
前記透光部のうち前記透かし模様形成部に遊技者側から重なる部分には、キャラクターの装飾が施されている、特徴2から10の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【0047】
[特徴12]
前記透光部のうち前記透かし模様形成部に遊技者側から重なる部分には、前記キャラクターの目の装飾が施されている、特徴11に記載の遊技機。
【0048】
[特徴13]
前記透かし模様は、同心円状になっている、特徴1から12の何れか1の特徴に記載の遊技機。
【符号の説明】
【0049】
10 遊技機
20 透かし模様
50 透かし模様形成部
60 トップユニット
61 顔装飾部
62 凸部
63 装飾シート
64 凹部
71 前側プレート部
72 後側プレート部