(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】媒質に含まれたニコチンの移行量が増大するようにエアロゾルを生成するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/30 20200101AFI20230411BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20230411BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20230411BHJP
【FI】
A24F40/30
A24F40/57
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2020563929
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 KR2019015027
(87)【国際公開番号】W WO2020262766
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-02-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0075222
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2018年11月28日から2019年6月24日まで、リール ミニマリウム 江南店、東大門店、および仁川松島店で販売。 2018年11月28日から2019年6月24日まで、GSリテール、BGFリテール、コリアセブン、ミニストップコリア、イーマート、およびウリンに納品。
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ヨン ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】ゴ、ギョウン ミン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ジャン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、チュル ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン チュル
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、ジュン セオプ
(72)【発明者】
【氏名】シン、ガ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】シン、スン ホ
【審査官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0111460(KR,A)
【文献】特表2018-512117(JP,A)
【文献】特表2019-502402(JP,A)
【文献】国際公開第2018/037562(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0374035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ヒータがエアロゾル形成剤を含む液状組成物を加熱してエアロゾルを生成する段階と、
第2ヒータがニコチンを含む媒質を加熱する段階と、
前記第1ヒータで生成されたエアロゾルが前記媒質の内部に流入される段階と、
前記媒質に流入されたエアロゾルが前記第2ヒータによって加熱されたニコチンを吸収する段階と、
ニコチンを吸収したエアロゾルが前記媒質から排出される段階と、を含み、
前記エアロゾル形成剤は、重量比(ratio)が
90:
10から100:0であるグリセリン(glycerin)及びプロピレングリコール(propylene glycol)を含む、エアロゾル生成方法。
【請求項2】
前記媒質を加熱する段階は、
前記第2ヒータが前記第1ヒータよりも低温に加熱する段階を含む、請求項1に記載のエアロゾル生成方法。
【請求項3】
前記媒質から排出されたニコチンを吸収したエアロゾルがフィルタロッドを通過して外部に排出される段階をさらに含む、請求項1または2に記載のエアロゾル生成方法。
【請求項4】
バッテリと、
エアロゾル形成剤を含む液状組成物を収容するコンテナと、
前記バッテリから電力を供給され、前記コンテナの液状組成物を加熱してエアロゾルを生成する第1ヒータと、
ニコチンを含み、前記第1ヒータによって生成されたエアロゾルが流れる経路上に位置してエアロゾルを通過させる媒質と、
前記バッテリから電力を供給され、前記媒質を加熱する第2ヒータと、
前記バッテリから前記第1ヒータ及び前記第2ヒータに供給される電力を制御する制御部と、を含み、
前記媒質は、前記媒質の内部に流入され、前記第2ヒータによって加熱されたニコチンを吸収したエアロゾルを排出し、
前記エアロゾル形成剤は、重量比(ratio)が
90:
10から100:0であるグリセリン(glycerin)及びプロピレングリコール(propylene glycol)を含む、エアロゾル生成システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2ヒータの加熱温度が前記第1ヒータの加熱温度よりも低くなるように、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータに供給される電力を制御する、請求項4に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項6】
前記媒質及び前記媒質から排出されたニコチンを吸収したエアロゾルが通過するフィルタロッドを含むシガレットをさらに含む、請求項4または5に記載のエアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチンを含むエアロゾルを生成する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、伝統的なシガレットを代替する非燃焼式エアロゾル生成物品とエアロゾル生成装置の需要が増加している。非燃焼式エアロゾル生成装置は、シガレットを燃焼させず、所定温度に加熱することで、シガレットに含まれたエアロゾル生成物質からエアロゾルを生成するか、液体物質を加熱してエアロゾルを生成してエアロゾルを空気と共に、吸い込むようにした装置を言う。
【0003】
一方、ユーザに十分な量のニコチンを伝達するために、シガレットに含まれたニコチンの移行量を増加させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、エアロゾルのニコチン含量が増大するように、エアロゾルを生成する方法及びシステムを提供することである。
本発明の技術的課題は、上述した内容に限定されず、以下の例から他の技術的課題が類推されうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面によるエアロゾル生成方法は、第1ヒータがエアロゾル形成剤を含む液状組成物を加熱してエアロゾルを生成する段階と、第2ヒータがニコチンを含む媒質を加熱する段階と、前記第1ヒータで生成されたエアロゾルが前記媒質の内部に流入される段階と、前記媒質に流入されたエアロゾルが前記第2ヒータによって加熱されたニコチンを吸収する段階と、ニコチンを吸収したエアロゾルが前記媒質から排出される段階と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
エアロゾル生成システムは、媒質とエアロゾル形成剤を分離して配置し、互いに異なるヒータで加熱する。したがって、エアロゾル形成剤の沸点を考慮せずとも、ニコチンの沸点のみを考慮して媒質を加熱することができる。したがって、媒質を過度に加熱して有害物質が発生することを防止することができる。
【0007】
また、エアロゾル形成剤に含まれるグリセリンとプロピレングリコールの重量比を適切に設定して、媒質に含まれたニコチンの移行量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】エアロゾル生成システムの例を示す図面である。
【
図2】エアロゾル生成システムの例を示す図面である。
【
図5】
図1及び
図2に図示されたエアロゾル生成システムにおいてエアロゾルを生成する過程を概略的に示す図面である。
【
図6】エアロゾル生成方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7A】第1実験によってエアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルの成分を示すグラフである。
【
図7B】第1実験によってエアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルの成分を示すグラフである。
【
図7C】第1実験によってエアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルの成分を示すグラフである。
【
図7D】第1実験によってエアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルの成分を示すグラフである。
【
図8A】第2実験によってエアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルの成分を示すグラフである。
【
図8B】第2実験によってエアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルの成分を示すグラフである。
【
図8C】第2実験によってエアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルの成分を示すグラフである。
【
図8D】第2実験によってエアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルの成分を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一側面によるエアロゾル生成方法は、第1ヒータがエアロゾル形成剤を含む液状組成物を加熱してエアロゾルを生成する段階と、第2ヒータがニコチンを含む媒質を加熱する段階と、前記第1ヒータで生成されたエアロゾルが前記媒質の内部に流入される段階と、前記媒質に流入されたエアロゾルが前記第2ヒータによって加熱されたニコチンを吸収する段階と、ニコチンを吸収したエアロゾルが前記媒質から排出される段階と、を含む。
【0010】
上述した方法において、前記媒質を加熱する段階は、前記第2ヒータが前記第1ヒータよりも低温に加熱する段階を含む。
【0011】
上述した方法において、前記エアロゾル形成剤は、重量比(ratio)が約70:30から約100:0であるグリセリン(glycerin)及びプロピレングリコール(propylene glycol)を含む。
【0012】
上述した方法は、前記媒質から排出されたニコチンを吸収したエアロゾルがフィルタロッドを通過して外部に排出される段階をさらに含む。
【0013】
一側面によるエアロゾル生成システムは、バッテリと、エアロゾル形成剤を含む液状組成物を収容するコンテナと、前記バッテリから電力を供給され、前記コンテナの液状組成物を加熱してエアロゾルを生成する第1ヒータと、ニコチンを含み、前記第1ヒータによって生成されたエアロゾルが流れる経路上に位置してエアロゾルを通過させる媒質と、前記バッテリから電力を供給され、前記媒質を加熱する第2ヒータと、前記バッテリから前記第1ヒータ及び前記第2ヒータに供給される電力を制御する制御部と、を含み、前記媒質は、前記媒質の内部に流入され、前記第2ヒータによって加熱されたニコチンを吸収したエアロゾルを排出する。
【0014】
上述したシステムにおいて、前記制御部は、前記第2ヒータの加熱温度が前記第1ヒータの加熱温度よりも低くなるように、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータに供給される電力を制御する。
【0015】
上述したシステムにおいて、前記エアロゾル形成剤は、重量比(ratio)が約70:30から約100:0であるグリセリン(glycerin)及びプロピレングリコール(propylene glycol)を含む。
【0016】
上述したシステムは、前記媒質及び前記媒質から排出されたニコチンを吸収したエアロゾルが通過するフィルタロッドを含むシガレットをさらに含む。
【0017】
実施例で使用される用語は、本発明での機能を考慮しながら、可能な限り、現在広く使用される一般的な用語を選択したが、それは、当分野に携わる技術者の意図、判例、または新たな技術の出現などによっても異なる。また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、その場合、当該発明の説明部分において、詳細にその意味を記載する。従って、本発明で使用される用語は、単純な用語の名称ではない、その用語が有する意味と、本発明の全般にわたる内容とを基に定義されなければならない。
【0018】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、それは、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいということを意味する。また、明細書に記載された「…部」、「…モジュール」というような用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、それは、ハードウェアまたはソフトウェアによって具現されるか、あるいはハードウェアとソフトウェアとの結合によっても具現される。
【0019】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施例について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施可能なように詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態としても具現され、ここで説明する実施例に限定されない。
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施例について詳細に説明する。
【0021】
図1及び
図2は、エアロゾル生成システムの例を示す図面である。
【0022】
図1及び
図2を参照すれば、エアロゾル生成システム100は、エアロゾル生成装置1及びシガレット2を含んでもよい。シガレット2は、エアロゾル生成装置1の内部空間に挿入される。
【0023】
図1及び
図2に図示されたエアロゾル生成装置1は、図示された構成要素以外に他の汎用的な構成要素をさらに含んでもよいということを、本実施例に係わる技術分野で通常の知識を有する者であれば、理解できるであろう。
【0024】
図1には、バッテリ11、制御部12、蒸気化器14、及び第2ヒータ13が一列に配置されていると図示されている。また、
図2には、蒸気化器14及び第2ヒータ13が並列に配置されていると図示されている。しかし、エアロゾル生成装置1の内部構造は、
図1及び
図2に図示されたところに限定されない。すなわち、エアロゾル生成装置1の設計によって、バッテリ11、制御部12、第2ヒータ13、及び蒸気化器14の配置は変更されうる。
【0025】
シガレット2がエアロゾル生成装置1に挿入されれば、エアロゾル生成装置1は、第2ヒータ13及び蒸気化器14を作動させ、エアロゾルを発生させることができる。第2ヒータ13及び蒸気化器14によって発生したエアロゾルは、シガレット2を通過して、ユーザに伝達される。
【0026】
バッテリ11は、エアロゾル生成装置1の動作に用いられる電力を供給する。例えば、バッテリ11は、第2ヒータ13、または蒸気化器14が加熱されるように電力を供給し、制御部12の動作に必要な電力を供給することができる。また、バッテリ11は、エアロゾル生成装置1に設けられたディスプレイ、センサー、モータなどの動作に必要な電力を供給することができる。
【0027】
制御部12は、エアロゾル生成装置1の動作を全般的に制御する。具体的に、制御部12は、バッテリ11、第2ヒータ13、及び蒸気化器14だけでなく、エアロゾル生成装置1に含まれた他の構成の動作を制御する。また、制御部12は、エアロゾル生成装置1の構成それぞれの状態を確認し、エアロゾル生成装置1が動作可能な状態であるか否かを判断してもよい。
【0028】
制御部12は、少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイとしても具現され、汎用的なマイクロプロセッサと、該マイクロプロセッサで実行されるプログラムが保存されたメモリの組合わせによっても具現される。また、他の形態のハードウェアとしても具現されるということを、本実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、理解できるであろう。
【0029】
第2ヒータ13は、バッテリ11から供給された電力によって加熱される。例えば、シガレットがエアロゾル生成装置1に挿入されれば、第2ヒータ13は、シガレットの外部に位置してもよい。したがって、加熱された第2ヒータ13は、シガレット内のエアロゾル生成物質の温度を上昇させることができる。
【0030】
第2ヒータ13は、電気抵抗性ヒータでもある。例えば、第2ヒータ13には、電気伝導性トラック(track)を含み、電気伝導性トラックに電流が流れることによって第2ヒータ13が加熱される。しかし、第2ヒータ13は、上述した例に限定されず、希望温度まで加熱されるものであれば、制限なしに該当しうる。ここで、希望温度は、エアロゾル生成装置1に既に設定されていてもよく、ユーザによって所望の温度に設定されてもよい。
【0031】
一方、他の例において、第2ヒータ13は、誘導加熱式ヒータでもある。具体的に、第2ヒータ13には、シガレットを誘導加熱方式で加熱するための電気伝導性コイルを含み、シガレットは、誘導加熱式ヒータによって加熱されるサセプタを含んでもよい。
【0032】
例えば、第2ヒータ13は、管状の第1ヒータ、板状の第1ヒータ、針状の第1ヒータまたは棒状の第1ヒータを含み、第1ヒータの形状によってシガレット2の内部または外部を加熱することができる。
【0033】
また、エアロゾル生成装置1には、第2ヒータ13が複数個配置されてもよい。この際、複数個の第2ヒータ13は、シガレット2の内部に挿入されるように配置され、シガレット2の外部に配置されてもよい。また、複数個の第2ヒータ13の一部は、シガレット2の内部に挿入されるように配置され、残りは、シガレット2の外部に配置される。また、第2ヒータ13の形状は、
図1及び
図2に図示された形状に限定されず、多様な形状にも作製される。
【0034】
蒸気化器14は、液状組成物を加熱してエアロゾルを生成し、生成されたエアロゾルは、シガレット2を通過して、ユーザにも伝達される。すなわち、蒸気化器14によって生成されたエアロゾルは、エアロゾル生成装置1の気流通路に沿って移動し、気流通路は、蒸気化器14によって生成されたエアロゾルがシガレットを通過して、ユーザに伝達されるようにも構成される。
【0035】
例えば、蒸気化器14は、液体保存部、液体伝達手段、及び第1ヒータを含んでもよいが、それに限定されない。例えば、液体保存部、液体伝達手段、及び第1ヒータは独立的なモジュールとしてエアロゾル生成装置1に含まれてもよい。
【0036】
液体保存部は、液状組成物を保存することができる。例えば、液状組成物は、揮発性タバコ香成分を含むタバコ含有物質を含む液体でもあり、非タバコ物質を含む液体でもある。液体保存部は、蒸気化器14から/に脱/付着するように作製され、蒸気化器14と一体として作製されてもよい。
【0037】
例えば、液状組成物は、水、ソルベント、エタノール、植物抽出物、香料、香味剤、またはビタミン混合物を含んでもよい。香料は、メントール、ペパーミント、スペアミントオイル、各種果物の香り成分などを含むが、それらに制限されるものではない。香味剤は、ユーザに多様な香味または風味を提供する成分を含んでもよい。ビタミン混合物は、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC及びビタミンEのうち、少なくとも1つが混合されたものでもあるが、それらに制限されるものではない。また、液状組成物は、グリセリン及び/またはプロピレングリコールのようなエアロゾル形成剤を含んでもよい。
【0038】
例えば、液状組成物に含まれるグリセリンの重さとプロピレングリコールの重さとの比は、約50:50から約100:0でもある。この際、100:0の比率は、液状組成物がグリセリンのみ含み、プロピレングリコールは含まないことを意味する。
【0039】
液体伝達手段は、液体保存部の液状組成物を第1ヒータに伝達することができる。例えば、液体伝達手段は、綿繊維、セラミック繊維、ガラスファイバ、多孔性セラミックのような芯(wick)にもなるが、それに限定されない。
【0040】
第1ヒータは、液体伝達手段によって伝達される液状組成物を加熱するための要素である。例えば、第1ヒータは、金属熱線、金属熱板、セラミックヒータなどにもなるが、それに限定されない。また、第1ヒータは、ニクロム線のような伝導性フィラメントで構成され、液体伝達手段に巻かれる構造によっても配置される。第1ヒータは、電流供給によって加熱され、第1ヒータと接触された液体組成物に熱を伝達し、液体組成物を加熱することができる。その結果、エアロゾルが生成される。
【0041】
例えば、蒸気化器14は、カトマイザ(cartomizer)または霧化器(atomizer)とも称されるが、それらに限定されない。
【0042】
一方、エアロゾル生成装置1は、バッテリ11、制御部12、第2ヒータ13、及び蒸気化器14以外に汎用的な構成をさらに含んでもよい。例えば、エアロゾル生成装置1は、視覚情報の出力が可能なディスプレイ及び/または触覚情報の出力のためのモータを含んでもよい。また、エアロゾル生成装置1は、少なくとも1つのセンサー(パフ感知センサー、温度感知センサー、シガレット挿入感知センサーなど)を含んでもよい。また、エアロゾル生成装置1は、シガレット2が挿入された状態でも、外部空気が流入されるか、内部気体が流出される構造によっても作製される。
【0043】
図1及び
図2には、図示されていないが、エアロゾル生成装置1は、別途のクレードルと共に、システムを構成することもできる。例えば、クレードルは、エアロゾル生成装置1のバッテリ11の充電に用いられる。または、クレードルとエアロゾル生成装置1が結合された状態で第2ヒータ13が加熱されてもよい。
【0044】
シガレット2は、一般の燃焼型シガレットと類似している。例えば、シガレット2は、エアロゾル生成物質を含む第1部分とフィルタなどを含む第2部分にも区分される。または、シガレット2の第2部分にもエアロゾル生成物質が含まれる。例えば、顆粒またはカプセル状に作製されたエアロゾル生成物質が第2部分にも挿入される。
【0045】
エアロゾル生成装置1の内部には、第1部分の全体が挿入され、第2部分は、外部に露出されうる。または、エアロゾル生成装置1の内部に第1部分の一部だけ挿入されもし、第1部分の全体と、第2部分の一部とが挿入されてもよい。ユーザは、第2部分を口にした状態でエアロゾルを吸い込むことができる。この際、エアロゾルは、外部空気が第1部分を通過することで生成され、生成されたエアロゾルは、第2部分を通過して、ユーザの口に伝達される。
【0046】
一例として、外部空気は、エアロゾル生成装置1に形成された少なくとも1つの空気通路を介しても流入される。例えば、エアロゾル生成装置1に形成された空気通路の開閉及び/または空気通路の大きさは、ユーザによっても調節される。これにより、霧化量、喫煙感などがユーザによっても調節される。他の例として、外部空気は、シガレット2の表面に形成された少なくとも1つの孔(hole)を通じてシガレット2の内部にも流入される。
【0047】
以下、
図3及び
図4を参照して、シガレット2の例を説明する。
【0048】
【0049】
図3を参照すれば、シガレット2は、媒質21及びフィルタロッド22を含む。
図1及び
図2を参照して上述した第1部分21は、媒質21を含み、第2部分22は、フィルタロッド22を含む。
【0050】
図3には、フィルタロッド22が単一セグメントとして図示されているが、それに限定されない。すなわち、フィルタロッド22は、複数のセグメントで構成されてもよい。例えば、フィルタロッド22は、エアロゾルを冷却するセグメント及びエアロゾル内に含まれた所定の成分をフィルタリングするセグメントを含んでもよい。また、必要に応じて、フィルタロッド22には、他の機能を行う少なくとも1つのセグメントをさらに含んでもよい。
【0051】
シガレット2は、少なくとも1枚のラッパ24によっても包装される。一例として、シガレット2は、1枚のラッパ24によっても包装される。他の例として、シガレット2は、2以上のラッパ24によって重畳的に包装されてもよい。
【0052】
媒質21は、ニコチンを含む。
【0053】
媒質21は、多様に作製されうる。例えば、媒質21は、シート(sheet)によって作製され、ストランド(strand)によっても作製される。また、媒質21は、タバコシートが細かく切られた刻みタバコによっても作製される。また、媒質21は、熱伝導物質によって取り囲まれる。例えば、熱伝導物質は、アルミニウムホイルのような金属ホイルでもあるが、それに限定されない。一例として、媒質21を取り囲む熱伝導物質は、媒質21に伝達される熱を均一に分散させて媒質に加えられる熱伝導率を向上させ、これにより、タバコ味を向上させうる。また、媒質21を取り囲む熱伝導物質は、誘導加熱式ヒータによって加熱されるサセプタとしての機能が可能である。この際、図示はされていないが、媒質21は、外部を取り囲む熱伝導物質以外にも追加のサセプタをさらに含んでもよい。
【0054】
フィルタロッド22は、酢酸セルロースフィルタでもある。一方、フィルタロッド22の形状には、制限がない。例えば、フィルタロッド22は、円柱状ロッドでもあり、内部に中空を含むチューブ状ロッドでもある。また、フィルタロッド22は、リセス状ロッドでもある。もし、フィルタロッド22が複数のセグメントで構成された場合、複数のセグメントのうち、少なくとも1つが異なる形状にも作製される。
【0055】
また、フィルタロッド22には、少なくとも1つのカプセル23が含まれる。ここで、カプセル23は、香味を発生させる機能を行い、エアロゾルを発生させる機能を行うこともできる。例えば、カプセル23は、香料を含む液体を被膜で覆い包む構造でもある。カプセル23は、球状または円筒状を有するが、それに制限されない。
【0056】
図4を参照すれば、シガレット3は、前端プラグ33をさらに含んでもよい。前端プラグ33は、媒質31において、フィルタロッド32に反対となる一側に位置してもよい。前端プラグ33は、媒質31の外部への離脱を防止し、喫煙中に媒質31から液状化されたエアロゾルがエアロゾル発生装置(
図1及び
図2の1)に流れて行くことを防止することができる。
【0057】
シガレット3は、少なくとも1枚のラッパ35によっても包装される。
【0058】
また、フィルタロッド32には、少なくとも1つのカプセル34が含まれる。ここで、カプセル34は、香味を発生させる機能を行い、エアロゾルを発生させる機能を行うこともできる。例えば、カプセル34は、香料を含む液体を被膜で覆い包む構造でもある。カプセル34は、球状または円筒状を有するが、それに制限されない。
【0059】
前述のエアロゾル生成システムがエアロゾルを生成する方法について説明する。
【0060】
図5は、
図1及び
図2に図示されたエアロゾル生成システムにおいてエアロゾルを生成する過程を概略的に示す。
図6は、エアロゾル生成方法の一例を示すフローチャートである。
【0061】
図5及び
図6を参照すれば、段階S1において、第1ヒータ141は、エアロゾル形成剤を含む液状組成物を加熱してエアロゾルを生成する。蒸気化器14の液体保存部142には、エアロゾル形成剤を含む液状組成物が含まれる。蒸気化器14の第1ヒータ141は、液体伝達手段によって伝達される液状組成物を加熱してエアロゾルを生成することができる。
【0062】
段階S2において、第2ヒータ13は、ニコチンを含む媒質21、31を加熱することができる。媒質21、31は、
図3及び
図4に図示されたシガレット(
図3の2、
図4の3)に含まれる媒質でもある。ニコチンの沸点は、約247℃と、グリセリンの沸点である約290℃よりも低い。したがって、制御部は、ニコチンを加熱する第2ヒータ13がグリセリンを加熱する第1ヒータ141よりも低温に加熱されるように、第1ヒータ141及び第2ヒータ13に供給される電力を制御することができる。例えば、制御部は、第1ヒータ141が約290℃に加熱され、第2ヒータ13が約247℃に加熱されるように制御することができる。
【0063】
段階S3において、第1ヒータ141で生成されたエアロゾルが媒質21、31の内部に流入される。第1ヒータ141で生成されたエアロゾルは、気流パスに沿って移動して媒質21、31の内部に流入される。
【0064】
段階S4において、媒質21、31に流入されたエアロゾルが第2ヒータ13によって加熱されたニコチンを吸収することができる。媒質21、31の内部にグリセリン及びプロピレングリコールなどを含むエアロゾルが流入され、エアロゾルが媒質21、31を通過しながら第2ヒータ13によって加熱されたニコチンと共に、移動することができる。
【0065】
段階S5において、ニコチンを吸収したエアロゾルが媒質21、31から排出される。排出されたエアロゾルは、フィルタロッド(
図3の22、
図4の32)を通過して、ユーザに提供される。
【0066】
前述したエアロゾル生成システム及びエアロゾル生成方法を用いて生成されたエアロゾルの成分を測定する第1実験及び第2実験を遂行した。
【0067】
第1実験で使用されたエアロゾル生成システムは、シガレットの媒質がニコチンを2.1重量%、及びグリセリンを25重量%含み、液状組成物においてグリセリンとプロピレングリコールの重量比が70:30である。また、第2ヒータが媒質を加熱する初期温度230℃であり、末期温度は、140℃である。また、パフに関する条件は、流量55ml/2sec(2秒間55mlのエアロゾルを吸入)、パフ間隔20sec、及びパフ回数14回である。
【0068】
第1実験は、3種のエアロゾル生成システムに対して遂行された。実験1-1及び実験1-2には、比較実験群のためのエアロゾル生成システムが使用され、実験1-3には、
図1及び
図2に図示されたエアロゾル生成システムが使用された。具体的に、実験1-1には、媒質なしに液状組成物のみ含むエアロゾル生成システム、実験1-2には、液状組成物なしに媒質のみ含むエアロゾル生成システム、及び実験1-3には、媒質と液状組成物をいずれも含むエアロゾル生成システムが使用された。
【0069】
図7Aは、第1実験によって、エアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルのグリセリン含量を示す。
図7Bは、第1実験によって、エアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルのプロピレングリコール含量を示す。
図7Cは、第1実験によって、エアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルのグリセリン及びプロピレングリコール含量を示す。
図7Dは、第1実験によって、エアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルのニコチン含量を示す。
【0070】
図7Aから
図7Dを参照すれば、
図7Aから
図7Cにおいて、実験1-2の結果値のみ0であり、
図7Dにおいて、実験1-1の結果値のみ0なので、第1実験が正常に遂行されたということを確認することができる。
【0071】
図7Dを参照すれば、全体パフに対して実験1-3の結果値が実験1-1及び実験1-2の結果値よりも高いということが分かる。したがって、媒質と液状組成物をいずれも含むエアロゾル生成システムでエアロゾルを生成すれば、ニコチンの移行量を増大させ、ニコチン含量が高いエアロゾルを生成可能であるということが分かる。
【0072】
第2実験において使用されたエアロゾル生成システムは、シガレットの媒質がニコチンを2.6重量%及びグリセリンを15重量%含む。また、第2ヒータが媒質を加熱する初期温度は、230℃であり、末期温度は、140℃である。また、パフに関する条件は、流量55ml/2sec(2秒間55mlのエアロゾルを吸入)、パフ間隔20sec、及びパフ回数14回である。
【0073】
第2実験は、4種の液状組成物を含むエアロゾル生成システムに対して遂行された。実験2-1のエアロゾル生成システムは、グリセリンとプロピレングリコールの重量比が70:30であり、実験2-2のエアロゾル生成システムは、グリセリンとプロピレングリコールの重量比が80:20であり、実験2-3のエアロゾル生成システムは、グリセリンとプロピレングリコールの重量比が90:10であり、実験2-4のエアロゾル生成システムは、グリセリンとプロピレングリコールの重量比が100:0である。
【0074】
図8Aは、第2実験によって、エアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルのグリセリン含量を示す。
図8Bは、第2実験によって、エアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルのプロピレングリコール含量を示す。
図8Cは、第2実験によって、エアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルのグリセリン及びプロピレングリコール含量を示す。
図8Dは、第2実験によってエアロゾル生成システムで生成されたエアロゾルのニコチン含量を示す。
【0075】
図8Bを参照すれば、実験2-4の結果値のみ0なので、第2実験が正常に遂行されたということを確認することができる。
【0076】
図8Dを参照すれば、グリセリンとプロピレングリコールの重量比によって、エアロゾルのニコチン含量が変わることが分かる。また、8番目のパフのみ除いて、全体パフに対して実験2-3の結果値が最も高いということが分かる。すなわち、グリセリンとプロピレングリコールの比を90:10としたとき、ニコチンの移行量が極大化され、ニコチン含量が極大化されたエアロゾルを生成可能であるということが分かる。
【0077】
本実施例に係わる技術分野で通常の知識を有する者は、前記記載の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態に具現されうるということを理解できるであろう。したがって、開示された方法は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されねばならない。本発明の範囲は前述した説明ではなく請求範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての相違点は、本発明に含まれると解釈されねばならない。