(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】可撓性壁を用いた物体表面の異なる部分への力の制御
(51)【国際特許分類】
B30B 5/02 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
B30B5/02 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018098649
(22)【出願日】2018-05-23
【審査請求日】2021-05-10
(32)【優先日】2017-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・メーリング
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0061006(US,A1)
【文献】特開2016-179598(JP,A)
【文献】特開2010-120167(JP,A)
【文献】特開2017-128012(JP,A)
【文献】特開2015-229304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(190)の表面の第1の部分(192a’)及び第2の部分(192a’’)への力の印加を制御する方法(200)であって、前記方法(200)は、
背部支持体(170)に対して可撓性壁(110b)をシールするステップであって、前記物体(190)は、前記可撓性壁(110b)と前記背部支持体(170)との間の密閉空間に配置され、
少なくとも1つの接触部材(120a,120c)が、前記物体(190)と前記背部支持体(170)との間に形成される空隙部(171)内に配置される、ステップと、
前記可撓性壁(110b)を使用して第1の力(193a)を前記表面の前記第1の部分(192a’)に加えるステップと、
前記可撓性壁(110b)を使用して第2の力(193b)を前記表面の前記第2の部分(192a’’)に加えるステップと
を含む、方法(200)。
【請求項2】
前記第1の力(193a)を加えるステップが、前記可撓性壁(110b)を横切る圧力勾配を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記可撓性壁(110b)を横切る前記圧力勾配を生成するステップが、前記密閉空間内の圧力を減少させるステップを含む、請求項2に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記可撓性壁(110b)を横切る前記圧力勾配を生成するステップが、前記可撓性壁(110b)、前記背部支持体(170)、及び前記物体(190)を圧力チャンバ(101)内に配置し、前記圧力チャンバ(101)内の圧力を上昇させるステップを含む、請求項2または3に記載の方法(200)。
【請求項5】
前記第2の力(193b)を加えるステップが、
前記空隙部(171)の外部に配置される接触部材(120)に外力(195)を加えるステップを含み、前記表面の前記第2の部分(192a’’)は前記接触部材(120)に対応している、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法(200)。
【請求項6】
前記第1の力(193a)の大きさが前記第2の力(193b)の大きさと異なる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法(200)。
【請求項7】
前記第1の力(193a)を加えるステップと前記第2の力(193b)を加えるステップが、時間的に重なり合う、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法(200)。
【請求項8】
前記第1の力(193a)を加えるステップと前記第2の力(193b)を加えるステップが、時間的にずらされている、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法(200)。
【請求項9】
前記表面の前記第2の部分(192a’’)がコーナーを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法(200)。
【請求項10】
物体(190)の2つの表面の異なる部分への力の印加を制御する加圧工具装置(100)であって、前記加圧工具装置(100)は、
背部支持体(170)と、
内面及び外面を含む可撓性壁(110b)であって、前記内面は接触部分(116b)及び非接触部分(116a)を含み、前記外面は前記物体(190)又は前記背部支持体(170)に対してシールするように動作可能である、可撓性壁(110b)と、
前記可撓性壁(110b)の前記内面の前記接触部分(116b)に接触するように動作可能な
、前記物体(190)と前記背部支持体(170)との間に形成される空隙部(171)の外部に配置される接触部材(120)であって、前記接触部材(120)は前記可撓性壁(110b)の前記内面の前記非接触部分(116a)から離れて配置されている、接触部材(120)と、
前記接触部材(120)を支持し、前記接触部材(120)を前記可撓性壁(110b)に対して移動させるように動作可能な位置決め装置(184)
と、
前記空隙部(171)内に配置される少なくとも1つの接触部材(120a,120c)と
を備える、加圧工具装置(100)。
【請求項11】
圧力チャンバ(101)をさらに備え、前記背部支持体(170)、前記可撓性壁(110b)、
前記空隙部(171)の外部に配置される前記接触部材(120)、及び前記位置決め装置(184)は、前記圧力チャンバ(101)内に配置されている、請求項10に記載の加圧工具装置(100)。
【請求項12】
前記空隙部(171)の外部に配置される前記接触部材(120)が透過性である、請求項10または11に記載の加圧工具装置(100)。
【請求項13】
前記内面の前記接触部分(116b)に接触する
、前記空隙部(171)の外部に配置される前記接触部材(120)の表面が、非平面である、請求項10から12のいずれか1項に記載の加圧工具装置(100)。
【請求項14】
制御装置(180)及び前記制御装置(180)に通信可能に結合されたセンサ(186)をさらに備え、前記センサ(186)は、圧力センサ、温度センサ、及び視覚センサからなる群から選択され、前記制御装置(180)は、前記センサ(186)からの入力に基づいて第1の圧力(194a)を制御するように構成される、請求項10から13のいずれか1項に記載の加圧工具装置(100)。
【請求項15】
前記位置決め装置(184)に通信可能に結合され、
前記空隙部(171)の外部に配置される前記接触部材(120)の位置を制御するように動作可能な制御装置(180)をさらに備える、請求項10から14のいずれか1項に記載の加圧工具装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
膨張可能なマンドレル又は単にバッグとも称され得る加圧されたブラダ又はダイアフラムは、不規則な形状の表面、又は処理中及び圧力の印加中に形状が変化し得る表面に圧力を加えるために多くの用途において使用される。具体的には、気体又は液体などの加圧流体をバッグに流し込み、それによってバッグを加圧することができる。バッグは、物体の表面に保持され、表面の形状に関係なく、表面上に均一な圧力を及ぼすことができる。加圧流体は、バッグの内面に圧力を均一に及ぼすことができるだけである。このように、典型的には、バッグは表面上に均一な圧力を及ぼすことしかできない。この圧力均一性は、いくつかの用途には理想的であるが、様々な他の用途には、均一な圧力分布以外の何らかの恩恵を受ける可能性がある。例えば、バッグの様々な部分の伸張/再成形は、ブリッジを引き起こすことがあり、すなわち、バッグがその部分で分離するか、適切に押圧されない場合、この伸張/再形成に打ち勝つために圧力均一性以上のものを必要とする可能性がある。異なる圧力レベルを表面の異なる部分に加えるための方法及び装置が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
異なる力及び/又は圧力レベルを物体の表面の異なる部分に印加することによって物体を処理する方法及び装置が提供される。装置は、可撓性壁及び接触部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、可撓性壁は、接触部材がブラダの内部に配置されるようにブラダを形成する。動作中、可撓性壁は、壁を横切る圧力差を利用して(例えば、ブラダを加圧することによって)物体に押し付けられ得る。これにより、物体表面の第1の部分に作用する第1の力が生成される。さらに、接触部材は、可撓性壁に押し付けられ、壁を介して物体表面の第2の部分に第2の力を加えることができる。物体表面の第2の部分は、第1の部分のサブセットであってもよく、又は全く異なる部分であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0003】
いくつかの実施形態では、物体の表面の第1の部分及び第2の部分への力の印加を制御する方法は、物体の表面の第1の部分に第1の力を加えるステップを含む。第1の力は、可撓性壁によって形成されたブラダを使用して加えられる。方法は、物体の表面の第2の部分に第2の力を加えるステップをさらに含む。第2の力も、ブラダを使用して加えられる。
【0004】
いくつかの実施形態では、第1の力を加えるステップは、加圧流体をブラダ内に流すなど、ブラダを加圧するステップを含む。第2の力を加えるステップは、ブラダの内部に配置された接触部材に外力を加えるステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、接触部材は透過性である。第1の力を加えるステップは、ブラダを加圧するステップを含むことができ、このステップは、第2の力に加えて、第1の力を物体の表面の第2の部分に加えるステップをさらに含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、接触部材は圧縮可能である。これらの実施形態では、方法は、物体と背部支持体との間にブラダを配置するステップをさらに含むことができる。この位置決め動作は、ブラダの内部の圧力がブラダの外部の圧力以下である間に行われてもよい。接触部材が圧縮されている間に位置決め動作が行われてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、方法は、物体と背部支持体との間にブラダを配置するステップをさらに含む。接触部材に外力を加えるステップは、背部支持体を物体に向けて前進させるステップを含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2の力を加える前に、接触部材は可撓性壁から離れて配置される。あるいは、接触部材を可撓性壁に取り付けることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の力のベクトル及び第2の力のベクトルは、実質的に対向する方向を有する。さらに、第1の力の大きさは、第2の力の大きさと異なっていてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、表面の第2の部分はコーナーを含む。コーナーは、例えば、物体表面の平面部分よりも大きな力を必要とすることがある。この追加の力を、コーナーでのブリッジを防止するために使用することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の力を加えるステップと第2の力を加えるステップとは、時間的に重なり合う。同じ又は他の実施形態では、第1の力を加えるステップと第2の力を加えるステップは、時間的にずらされる。例えば、第1の力を加える前に第2の力を加えることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の力又は第2の力を加えながら、第1の力又は第2の力を変化させるステップをさらに含む。例えば、方法は、センサ入力を受け取るステップを含むことができ、このセンサ入力に基づいて第1の力又は第2の力を変化させるステップが実行され得る。いくつかの実施形態では、センサ入力は、圧力入力、温度入力、及び視覚入力のうちの1以上を含む。
【0012】
加圧工具装置も提供される。この装置は、ブラダを形成する可撓性壁を備えることができる。可撓性壁は内面を含む。内面は、接触部分と非接触部分とを含む。加圧工具装置はまた、可撓性壁の内面の接触部分と接触する接触部材を備える。接触部材は、可撓性壁の内面の非接触部分から離れて配置されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、接触部材は透過性である。さらに、接触部材は圧縮可能であってもよい。接触部材は、連続気泡発泡体及びバネのうちの一方であってもよい。いくつかの実施形態では、接触部材は、内面の接触部分に取り付けられる。さらに、内面の接触部分に接触する接触部材の表面は非平面である。可撓性壁は、エラストマー材料から形成されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、加圧工具装置は、制御装置及びバルブをさらに備える。制御装置は、ブラダ内の圧力を制御するために、バルブに通信可能に結合され得る。加圧工具装置は、制御装置に通信可能に結合されたセンサをさらに備えることができる。センサは、圧力センサ、温度センサ、及び視覚センサからなる群から選択されることができ、制御装置は、センサからの入力に基づいてブラダ内の圧力を制御するように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、物体の表面の第1の部分及び第2の部分への力の印加を制御する方法は、可撓性壁を背部支持体に対してシールするステップを含む。物体は、可撓性壁と背部支持体との間の密閉空間に配置される。次に、方法は、可撓性壁を使用して第1の力を表面の第1の部分に加えることで進行する。方法はまた、可撓性壁を使用して第2の力を表面の第2の部分に加えるステップを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の力を加えるステップには、可撓性壁を横切って圧力勾配を生成するステップが含まれる。可撓性壁を横切る圧力勾配を生成するステップは、密閉空間内の圧力を低下させるステップを含む。密閉空間外の圧力を一定レベルに保ったまま、密閉空間内の圧力を低下させることができる。密閉空間外の圧力は、周囲圧力であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、可撓性壁を横切って圧力勾配を生成するステップは、可撓性壁、背部支持体、及び物体を圧力チャンバ内に配置し、圧力チャンバ内の圧力を上昇させるステップを含む。密閉空間内の圧力を一定レベルに保ったまま、圧力チャンバ内の圧力を上昇させることができる。いくつかの実施形態では、密閉空間内の圧力の一定レベルは周囲圧力レベルである。さらに、密閉空間に真空を引き込むこともできる。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2の力を加えるステップは、接触部材に外力を加えるステップを含む。表面の第2の部分は、接触部材に対応する。接触部材に外力を加えるステップを、位置決め装置を使用して行うことができる。接触部材に外力を加えるステップは、位置決め装置を背部支持体に向けて前進させるステップを含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の力の大きさは、第2の力の大きさとは異なる。第1の力を加えるステップと第2の力を加えるステップは、時間的に重なり合ってもよい。さらに、第1の力を加えるステップと第2の力を加えるステップは、時間的にずらされてもよい。いくつかの実施形態では、表面の第2の部分はコーナーを含む。
【0020】
また、物体の2つの表面の異なる部分への力の印加を制御する方法が提供される。方法は、第1の可撓性壁によって形成されたブラダを、物体及び背部支持体によって形成された空隙部内に配置するステップを含むことができる。ブラダは、空隙部内に配置された第1の接触部材を有する空隙部を含むことができる。方法は、第2の可撓性壁を物体又は背部支持体に対してシールすることで進行することができる。物体を、第2の可撓性壁と背部支持体との間に配置することができる。方法はまた、第1の可撓性壁を使用して物体の第1の表面の第1の部分に第1の力を加えるステップを含む。第1の力を加えることは、ブラダを加圧するステップを含むことができる。さらに、方法は、第1の可撓性壁を使用して物体の第1の表面の第2の部分に第2の力を加えることで進行することができる。表面の第2の部分は、第1の接触部材に対応する。いくつかの実施形態では、方法はまた、第2の可撓性壁を使用して物体の第2の表面の第3の部分に第3の力を加えるステップを含む。第2の表面の第3の部分は、第2の接触部材に対応することができる。第2の力を加えるステップは、第2の接触部材に外力を加えることを含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、物体の少なくとも一部は、第1の可撓性壁と第2の可撓性壁との間に配置される。第1の力、第2の力、及び第3の力のそれぞれは、独立して制御可能であってもよい。方法は、第1の力、第2の力、及び第3の力のすべてを加えながら、第1の力、第2の力、又は第3の力を変化させるステップをさらに含むことができる。方法はまた、第2の可撓性壁を使用して物体の第2の表面の第4の部分に第4の力を加えるステップを含むことができる。第4の力を加えるステップは、第2の可撓性壁を横切って圧力を加えるステップを含む。この第4の力の印加は、センサ入力に基づくことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、物体の2つの表面の異なる部分への力の印加を制御するための加圧工具装置は、背部支持体と内面及び外面を含む可撓性壁とを含む。内面は、接触部分と非接触部分とを含む。外面は、物体又は背部支持体に対してシールするように動作可能であってもよい。加圧工具装置はまた、可撓性壁の内面の接触部分に接触するように動作可能な接触部材を備える。接触部材は、可撓性壁の内面の非接触部分から離れて配置される。加圧工具装置はまた、接触部材を支持し、接触部材を可撓性壁に対して移動させるように動作可能な位置決め装置を備える。
【0023】
いくつかの実施形態では、加圧工具装置は、圧力チャンバをさらに備える。背部支持体、可撓性壁、接触部材、及び位置決め装置を、圧力チャンバ内に配置することができる。
【0024】
接触部材は透過性である。同じ又は他の実施形態では、接触部材は圧縮可能である。接触部材は、連続気泡発泡体及びバネのうちの一方であってもよい。内面の接触部分に接触する接触部材の表面は、非平面であってもよい。
【0025】
可撓性壁は、エラストマー材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、可撓性壁は、可撓性壁を圧力チャンバ内の背部支持体に対してシールするためのシールを含む。シールは、可撓性壁の全周にわたって延在してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、加圧工具装置は、制御装置と、制御装置に通信可能に結合されたセンサとをさらに備える。センサは、圧力センサ、温度センサ、及び視覚センサのうちの1つであってもよい。制御装置を、センサからの入力に基づいて第1の圧力を制御するように構成することができる。さらに、このセンサ入力に基づいて他のパラメータを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1C】加圧工具装置のさらに別の例の概略図である。
【
図1D】加圧工具装置のさらに別の例の概略図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、物体を処理する方法に対応するプロセスフローチャートである。
【
図3】いくつかの実施形態による、加圧工具装置の一例である。
【
図4A】いくつかの実施形態による、加圧工具装置を使用して生成された被処理物体の表面上の圧力プロファイルの一例である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、加圧工具装置を使用して生成された被処理物体の表面上の圧力プロファイルの別の例である。
【
図4C】いくつかの実施形態による、加圧工具装置を使用して生成された被処理物体の表面上の圧力プロファイルのさらに別の例である。
【
図4D】いくつかの実施形態による、加圧工具装置を使用して生成された被処理物体の表面上の圧力プロファイルのさらに別の例である。
【
図5A】加圧工具装置の接触部材の一例の概略図である。
【
図5B】加圧工具装置の接触部材の別の例の概略図である。
【
図5C】加圧工具装置の接触部材のさらに別の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明では、提示された概念の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が述べられる。提示された概念は、これらの特定の詳細の一部又は全部を用いずに実施され得る。他の例では、周知のプロセス動作は、説明された概念を不必要に不明瞭にしないように詳細には記載されていない。いくつかの概念は特定の例と関連して説明されるが、これらの例は限定を意図するものではないことが理解されよう。
【0029】
序文
膨張可能なマンドレルとも称され得る従来の加圧されたブラダは、典型的には、被処理物体の様々な表面に圧力及び力を加えるために使用される。特に、加圧されたブラダを使用して、不規則な形状の表面及び/又は処理中にその形状を変化させる表面を押圧することができる。そのような加圧されたブラダの設計は、ブラダの可撓性壁に作用する均一な内圧と、異なる種類の表面に適合するこの可撓性壁の能力とを組み合わせる。しかしながら、これらの従来の装置は、同じ表面の異なる部分に加えられる圧力及び/又は力のレベルを独立して制御するようには設計されていない。従来の加圧されたブラダは、一般に、表面全体に均一な圧力/均一に分布した力を加えるように制限される。
【0030】
本明細書で説明する加圧工具装置は、この欠点に対処し、物体の同じ表面の異なる部分に適用される圧力レベル及び/又は力レベルを独立して制御及び変化させることを可能にする。例えば、物体の処理は、この物体の表面上のある部分(例えばコーナー)でより高い圧力/力を必要とし、別の部分(例えば平面部分)でより低い圧力/力を必要とし得る。単一の加圧工具装置をこの処理に使用することができる。具体的には、同じ加圧工具装置は、同じ表面の異なる部分に異なるレベルの圧力/力を加えることができる。これらの圧力/力レベルは、実質的に異なり、例えば伸張及び/又はコーナー効果に関連する変動をはるかに超えることがある。いくつかの実施形態では、圧力/力の大きさの差(同じ表面の異なる部分に同時に加えられる)は、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、又は少なくとも約200%であってもよい。いくつかの実施形態では、均一性が必要な場合に、加圧工具装置(本明細書に記載)を使用して、物体の表面に実質的に均一な圧力/力を加えることもできる(例えば、圧力変動が10%未満、5%未満、又は1%未満)ことに留意されたい。言い換えれば、上述の加圧工具装置は従来の加圧されたブラダの機能性を保持するが、これまでには利用できなかった付加的な特徴を追加する。例えば、表面の異なる部分での独立した圧力/力制御を用いて、処理中にこれらのレベルを動的に変化させることもできる。
【0031】
この制御レベルは、複雑な形状を有する複合物体(例えば、「グリーン」複合構造体)を硬化させるのに特に有用であり得る。この例では、より高い外部圧力が予想される1以上の箇所でより高い圧力が使用されてもよい。例えば、複合構造体が外部圧密力(例えば、真空バッグからの力)にさらされたときに、加圧工具装置を使用して、この構造体の内部空隙部を有する「グリーン」複合構造体を破砕しないように支持することができる。当業者であれば、他の様々な用途も該当することを理解されよう。一般に、加圧工具装置を、2つ以上の異なる圧力レベルを必要とする任意の用途に使用することができる。さらに、異なる圧力レベルに一般的な言及がなされているが、圧力の印加は力の印加に対応し、加圧工具装置を異なる力の印加に使用できることは当業者には理解されよう。用語「力」及び「圧力」は、場合によっては交換可能に使用することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、加圧工具装置は、可撓性壁及び接触部材を含む。動作中、可撓性壁の第1の側面(例えば、外側)は、物体の表面に対して配置され得る。第1の圧力は、(第1の壁の反対側の)可撓性壁の第2の側面(例えば、内側)に加えられる。例えば、可撓性壁は、この動作中に加圧され得る密閉されたブラダを形成することができる。ブラダは、物体と背部支持体との間の位置にあってもよい。あるいは、可撓性壁と物体とを含むスタックが、可撓性壁を物体に押し付けるために加圧された圧力チャンバ内に配置されてもよい。
【0033】
第1の圧力は、可撓性壁によって物体の表面(装置で処理されている)に加えられる圧力及び対応する力に変換される。このように、可撓性壁に接触する表面の一部は、第1の力を受ける。いくつかの実施形態では、可撓性壁によって物体表面に加えられる圧力/力は、可撓性壁の第2の側面(例えば、内側)に加えられる圧力/力と実質的に同じであってもよい。言い換えれば、可撓性壁の伸張/再形成に起因する損失/偏差は、この動作の間は無視できる。しかしながら、場合によっては、この伸張/再形成がブリッジを引き起こすことがある(可撓性壁が部品の形状に従わない場合)。力の分化を使用して、ブリッジを克服することができる。例えば、可撓性壁のいくつかの部分は、接触部材によって及ぼされる付加的な力を使用してさらに伸張されてもよい。さらに、可撓性壁に作用する空気圧又は油圧は均一である。このように、可撓性壁によって物体の表面に伝達される圧力及び力分布もまた均一であり得る。
【0034】
接触部材は、可撓性壁の第2の側面の一部に接触し、第1の圧力と区別するために、第2の圧力と見なすことができる力をこの部分に加える。具体的には、接触部材は、制御された力を使用して(例えば、位置決め装置を使用して接触部材に直接加えられるか、接触部材が可撓性壁によって形成されたブラダの内部に配置されるとき可撓性壁を介して接触部材に押し付けることによって)可撓性壁に押し付けられ得る。接触部材に強制的に加えられる量は、物体表面の第2の部分に加えられる必要がある所望の力及び/又は圧力に基づいて選択され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、接触部材は流体に対して透過性である。このように、第1の圧力(例えば、ブラダを加圧することによって生成される)は、接触部材をインタフェースする可撓性壁の部分にも加えられる。このため、接触部材に接触する可撓性壁の部分は、圧力と対応する力との組み合わせを受けることがある。
【0036】
可撓性壁の内面の異なる部分(例えば、接触部分及び非接触部分)に加えられる異なる圧力/力は、可撓性壁によって物体表面に伝達されることに留意されたい。このように、物体表面はまた、異なるレベルの圧力及び力を受ける。可撓性壁を通じた損失がないと仮定すると、可撓性壁の部分に加えられるこれらの圧力/力は、可撓性壁と接触している物体の表面に作用する圧力/力のレベルと同じである。このように、可撓性壁の非接触部分と、この非接触部分に対応する物体の表面の第1の部分とに加えられる第1の圧力/力を参照することができる。同様に、可撓性壁の接触部分と、この接触に対応する物体の表面の第2の部分とに加えられる複合圧力/力(例えば、第1及び第2の圧力/力)を参照することができる。
【0037】
上記のように、加圧工具装置はまた、第1の圧力及び第2の圧力(及び対応する力)のそれぞれを独立して制御することができる。この制御は、処理中に加圧工具装置を追加又は除去する必要なく、より具体的には、装置を使用して圧力/力を加えながら、実行され得る。例えば、第1の圧力を同じに保つことができる(例えば、可撓性壁によって形成されたブラダ内の流体圧力を一定にすることができる)一方で、第2の圧力を変化させてもよい(例えば、接触部材と可撓性壁との間の接触のレベルを変化させることによって、より具体的には、接触部材が可撓性壁に押し付けられる力を変化させることによって)。代替的に、第1の圧力を変化させることができる(例えば、可撓性壁によって形成されたブラダ内の流体圧力を、流体をブラダの内外に圧送することによって変化させることができる)一方で、第2の圧力は同じであってもよい(例えば、接触部材と可撓性壁との間に同じレベルの接触を維持することによって、より具体的には、接触部材に加えられる力を変化させないことによって)。さらに、第1の圧力と第2の圧力の両方を互いに独立して変化させることができる。この動的な圧力/力アプローチは、被処理表面に均一な圧力を及ぼす(変化したとしても、圧力は常に均一である)ように設計された従来の圧力バッグとは対照的である。このように、本明細書に記載の加圧工具装置は、より高いレベルの圧力制御(例えば、異なる部分に対する独立制御)を可能にし、それによって、品質を改善し、コストを節約し、再加工又は修復を低減し、新しいタイプのプロセス及び設計を可能にする。加圧工具装置はまた、新しい作業の実行を可能にする処理能力を拡張するか、現行では多段階処理を必要とし得る可能性のあるプロセスの単純化を可能にする。
【0038】
加圧工具装置の例
図1A~
図1Dは、参照のためにこれらの図に示されている物体190の表面192の異なる部分に異なる圧力/力レベルを加えるための加圧工具装置100の例を示している。当業者であれば、物体190が加圧工具装置100の一部ではないことを理解されよう。加圧工具装置100は、物体190を処理するために使用され、別個の構成要素である。処理中、加圧工具装置100は、例えば、
図1A~
図1Dに示すように、物体190の表面192の異なる部分に異なる圧力/力レベルを加えながら物体190と接触する。
【0039】
加圧工具装置100は、可撓性壁110と接触部材120とを備える。次に、これらの各構成要素について、より詳細に説明する。可撓性壁110は、第1の表面114と、第1の表面114とは反対側の第2の表面116とを含む。可撓性壁110が、例えば
図1Aに示されるようにブラダを形成するとき、第1の表面114は外面とも称されることがあり、第2の表面116は内面と称されることがある。
【0040】
加圧工具装置100の動作中、第1の表面114は、物体190の表面192と接触する。第2の表面116は、接触部分116b及び非接触部分116aの2つの部分を含む。
図1A及び
図1Cを参照すると、接触部材120は、可撓性壁110の第2の表面116の接触部分116bに(例えば、動作中又は常に)接触し得るか、取り付けられ得る。接触部材120は、第2の表面116の非接触部分116aに接触しない。
【0041】
第2の表面116の接触部分116b及び非接触部分116aに対する接触部材120のこの位置は、動作中に接触部分116b及び非接触部分116aに異なる圧力/力レベルを加えることを可能にする。具体的には、(例えば、接触部材120に加えられる力を制御することによって)接触部材120と接触部分116bとの間の接触のレベルを制御することにより、接触部分116bに加えられる全圧力/力を制御することができる。なお、この全圧力/力は、第2の表面116全体に均一に及ぼされる圧力(第1の圧力194aと称することができる)と接触部材120によって接触部分116bにのみ及ぼされる圧力(第2の圧力194bと称することができる)との組み合わせである。第1の圧力194aは、油圧又は空気圧であってもよく、第2の表面116全体に接触する流体(例えば、液体又は気体)によって及ぼされる。
図1Aに示すように、第2の圧力194bは、接触部材120によって及ぼされ、接触部材120と接触部分116bとの間の接触のレベルによって決定される機械的圧力であってもよい。
【0042】
例えば、接触部分116bに及ぼされる全圧力(すなわち、第1の圧力194aと第2の圧力194bとの組み合わせ)は、非接触部分116aに及ぼされる圧力(すなわち、第1の圧力194a)よりも高くてもよい。この例では、接触部材120によって接触部分116bに加えられる第2の圧力194bは正圧と称されることがある。言い換えれば、第1の圧力194a及び第2の圧力194b及び対応する力が、例えば
図1Aに示されるのと同じ方向に加えられる。
【0043】
第1の圧力194aに関連する力は、第2の圧力194bに関連する力(又は単に第2の力)と常に同じ方向を有するとは限らないことに留意されたい。一般に、第1の圧力194aに関連する力は、物体190の表面192に向けられる。ただし、接触部材120は、可撓性壁110を表面192に向かって押し付けるか、可撓性壁110を表面192から引き離すことができる。例えば、接触部材120は、可撓性壁110に、より具体的には、可撓性壁の接触部分116bに取り付けられてもよい。この例では、接触部材120は、接触部分116bを物体190から引き離すことができ、この場合、接触部分116bに及ぼされる全圧力(すなわち、第1の圧力194aと第2の圧力194bと対応する力との組み合わせ)は、(非接触部分116aに及ぼされる)第1の圧力194aより小さくてもよい。この例では、接触部材120が接触部分116b上に加える圧力/力は、負圧/負の力と称されることがある。
【0044】
接触部材120は、第1の圧力194aを印加するために使用される1以上の流体に対して透過性であってもよい。この透過性の特徴により、流体は、接触部材120を介してこの圧力を伝達するのではなく、可撓性壁110の接触部分116bに直接的に第1の圧力194aを及ぼすことができる。例えば、接触部材120は、接触部材120がこの接触部分116bと接触しているときでさえ、流体が第2の表面116の接触部分116bに達することを可能にするオープンセル又は他のタイプの開口部123を有することができる。接触部材120のいくつかの例には、連続気泡発泡体122(
図5Aに示す)、バネ124(
図5Bに示す)などが含まれる。加圧流体が(例えばブラダ111から)供給かつ/又は除去されている間、この流体は接触部材120を通って流れる。いくつかの実施形態では、加圧流体を、加圧工具装置100を使用する前に、加圧工具装置100から、より具体的にはブラダ111(
図1Aに示す)又は圧力チャンバ101(
図1Bに示す)から除去することができる。
【0045】
あるいは、接触部材120は非透過性であってもよい。この場合、接触部材120は、接触部材120が可撓性壁110とインタフェースする可撓性壁110の一部に加圧流体が達するのを阻止する。いくつかの実施形態では、接触部材120が可撓性壁110に作用する力は、物体190に加えられる第2の力193bに対応するだけであり、物体表面のこの第2の部分192b内の加圧流体からの寄与はない。あるいは、接触部材120は、ピストンとして動作可能であってもよく、(例えば、接触部材120が可撓性壁によって形成されたブラダを横切って延在していない場合)加圧流体から追加の力を生成することができる。
【0046】
いくつかの状態では、接触部材120は、可撓性壁110に、より具体的には、可撓性壁110の接触部分116bに、追加の圧力及び/又は力を加えなくてもよい。これらの状態では、接触部分116bと非接触部分116aの両方が(例えば、第2の表面116に接触する加圧流体からの)同じ圧力にさらされてもよい。さらに、接触部材120は、いくつかの動作段階の間、接触部分116bから分離されてもよい(すなわち、この部分に接触しない)。この分離能力は、例えば、使用していないときの接触部材120の除去/交換、均一な圧力の適用(例えば、接触部材120が可撓性壁110に接触しておらず、第2の圧力194bが実質的にゼロであるとき)、及びその他の目的に使用されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、接触部材120は、第2の表面116の接触部分116bに取り付けられる。例えば、接触部材120は、接触部分116bに糊付けされ、接着され、成形され、溶接され、モノリシックに一体化されるか、一緒に結合されてもよい。接触部材120は、第2の表面116の接触部分116bに恒久的に取り付けられてもよいし、取り外し可能に取り付けられてもよい。あるいは、接触部材120は、第2の表面116の接触部分116bに取り付けられなくてもよく、これにより、接触部材120を接触部分116bから離れるように動かすことを可能にする。
【0048】
接触部材120は、透過性であることに加えて、又は透過性であることに替えて、圧縮可能であってもよい。この圧縮可能な特徴を使用して、接触部材120を様々な形状の接触部分116bに適合させる、かつ/又は接触部材120が接触部分116bに及ぼす圧力/力分布を制御することができる。例えば、接触部材120の圧縮レベル(例えば、Z軸に沿った接触部材120の寸法変化)は、接触部分116bに及ぼされる力及び圧力に対応することができる(例えば、より高い圧力に対応するより高い次元の圧縮、及びその逆)。さらに、圧縮可能な特徴を使用して、接触部材120が接触部分116bに確実に適合させることができる。具体的には、可撓性壁110の第1の表面114は、物体190の表面192に適合することができ、これにより接触部分116bの形状を変化させることができる。接触部材120の圧縮性は、接触部材120と接触部分116bとの間の接触を失うことなく、形状におけるこれらの変化を可能にすることができる。接触部材120のいくつかの例は、連続気泡発泡体122(
図5Aに示す)、バネ124(
図5Bに示す)、及び油圧デバイスである。
【0049】
あるいは、接触部材120は、非圧縮性(例えば、金属ブロック)であってもよい。非圧縮性特徴は、膨張可能な工具装置100で処理されている間に、物体190の表面192を平滑化(例えば、平坦化)する必要がある場合に有用であり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、接触部材120の表面121(可撓性壁110に、より具体的には第2の表面116の接触部分116bに接触する)は、例えば
図5Cに示すように非平面であり得る。非平坦な表面121は、例えば、表面121のプロファイルが(可撓性壁110が任意のプロファイルに容易に適合し得ると仮定して)物体190の表面192の第2の部分192bのプロファイルと一致するとき、接触部分116bの表面116上に不均一な圧力を及ぼす(不均一な力分布を提供する)ために、及び/又は均一な圧力を及ぼす(均一な力分布を提供する)ために使用され得る。
【0051】
接触部材120の表面121によって(第2の表面116の接触部分116b上に)及ぼされる均一又は不均一な圧力/力分布の差は、例えば接触部材120の圧縮に依存し得る。例えば、表面121と第2の部分192bとの形状が異なる場合(例えば、一方が平面で他方が非平面である場合)、接触部材120は、表面121上の異なる点で異なって圧縮される。より高い圧縮を有する点でより高い圧力/力を受け、その逆もまた同様である。例えば、
図4Dは、第2の表面116に加えられる不均一な圧力プロファイルの一例を示している。この圧力プロファイルの例は、
図5Cに示す接触部材120を用いて物体190の平坦な表面に圧力/力を加えた結果であってもよい。再び
図4Dを参照すると、接触部材120の中心における圧縮がより大きい(接触部材120の中心は縁部よりも突出して、より高い圧力をもたらす)ため、第2の圧力は、中心(P
2-max)において縁部(P
2-min)よりも高い。その結果、接触部分116bの中心は、縁部(P
t-min)よりも高い圧力の全圧(P
t-max)を受ける。接触部材120の表面121及び第2の部分192bの形状が、両方とも平面である場合又は両方とも非平面であるが相補的である場合、接触部材120によって及ぼされる圧力は、例えば、
図4A~
図4Cに示すように、第2の部分192b全体にわたって均一であり得る。第2の部分192b(P
t)に対応する圧力は、典型的には、第1の部分192a(P
1)に対応する圧力とは異なることに留意すべきである。さらに、第1の部分192a(P
1)に対応する圧力は、ほぼ均一である。前述のように、第2の部分192b(P
t)に対応する圧力と第1の部分192a(P
1)に対応する圧力との間の典型的な差異に対して、(例えば、可撓性壁110の伸張による)第1の部分192aにおける可能な圧力変動は無視できる。
【0052】
いくつかの実施形態では、加圧工具装置100の別の構成要素に目を向けると、可撓性壁110は、エラストマー材料、例えばゴム、ポリマーから形成される。このため、可撓性壁110は伸張可能であってもよい。あるいは、可撓性壁110は非伸張性であってもよい。例えば、可撓性壁110は、薄い可撓性の金属シート(例えば、箔)から形成されてもよい。可撓性壁110は、(例えば、変形及び/又は伸張のために)第2の部分192b及び/又は接触部材120に実質的な追加の圧力/力を及ぼすことなく、第2の部分192bの形状に容易に適合することができる。それによって、加圧流体及び接触部材120によって可撓性壁110に加えられる圧力/力は、可撓性壁110によって物体190の表面192に加えられる圧力/力と同じであってもよい。可撓性壁110の厚さは均一であってもよい。
【0053】
図1Aを参照すると、可撓性壁110は、内部空隙部112を含むブラダ111を形成することができる。この例では、ブラダ111は、膨張可能なマンドレルと称されることもある。接触部材120を、ブラダ111の内部空隙部112内に配置することができる。可撓性壁110は、ブラダ111の内部空隙部112を加圧流体、例えば液体又は気体で充填するためのバルブ130を備えることができる。バルブ130は、ガスタンクやポンプなどの加圧流体源182及び/又はポンプなどのブラダ111から流体を除去するための装置に接続可能である。
【0054】
いくつかの実施形態では、接触部材120は、ブラダ111を横切って延在し、例えば
図1Aに示すように、第2の表面116の接触部分116b及び第2の表面116の追加の接触部分116cに相互作用する。追加の接触部分116cは、接触部材120が接触部分116bに圧力/力を及ぼす間、接触部材120を支持することができる。この手法では、接触部材120は、例えば
図1Bを参照して後述する位置決め装置184を使用して、外部的に支持される必要はない。可撓性壁110の接触部分116bと追加の接触部分116cとの間の距離(ブラダ111の厚さと称することができる)は、接触部材120の圧縮、結果として、接触部材120が接触部分116bに及ぼす圧力/力を制御するために使用され得る。したがって、ブラダ111は、第2の圧力194b及び可撓性壁110に作用する対応する力を制御するために、圧縮又は拡張され得る。ブラダ111内の流体の量は、第1の圧力194a及び可撓性壁110に作用する対応する力を制御することに留意されたい。
【0055】
図1Bを参照すると、いくつかの実施形態において、加圧工具装置100は、接触部材120を支持する位置決め装置184をさらに備える。位置決め装置184は、接触部材120を可撓性壁110に対して移動させ、いくつかの実施形態では、接触部材120に力を加えるように構成され得る。この移動は、接触部材120によって可撓性壁上に、より具体的には可撓性壁110の接触部分116b上に及ぼされる圧力及び/又は力を制御するために使用され得る。この及ぼされた圧力/力は、その後、可撓性壁110によって物体190の表面192に伝達される。例えば、位置決め装置184は、接触部材120を物体190に向かって押し付けて、圧力/力を増加させることができる。あるいは、位置決め装置184は、接触部材120を物体190から離して移動させて、圧力/力を減少させることができる。
【0056】
図1Bを参照すると、加圧工具装置100は、圧力チャンバ101を備えることができる。可撓性壁110及び接触部材120は、圧力チャンバ101内に配置される。加圧工具装置100の動作中、物体190も圧力チャンバ101の内部に配置される。圧力チャンバ101は、第1の圧力194a及び対応する力を可撓性壁110に加える間に、加圧流体を収容するために使用され得る。
図1Aに提示された例と同様に、可撓性壁110は、
図1Bに示す例では、加圧流体と物体190との間に配置される。加圧流体を圧力チャンバ101の内外へ圧送すると、第1の圧力194aが変化し、結果として、異なる力が可撓性壁110の非接触部分116a及び物体190の対応する部分に加えられる。圧力チャンバ101はまた、第1の圧力194aが可撓性壁110に加えられないように、周囲圧力で動作してもよいことに留意されたい。
【0057】
可撓性壁110は、可撓性壁110を(
図1Bに示すように)背部支持体170に対して、又は別の例では、物体190の表面192に対してシールするためのシール115を備えることができる。このように、可撓性壁110、背部支持体170、及び圧力チャンバ101の組み合わせは、膨張可能なマンドレルとして集合的に動作可能である。シール115は、可撓性壁110の全周にわたって延在してもよい。シール115のために、加圧流体は可撓性壁110と物体190との間を通り抜けることができず、それによって圧力差が生成され、可撓性壁110及び物体190に対して第1の圧力194aが加えられる。さらに、圧力チャンバ101内の圧力が変化すると、可撓性壁110を横切る圧力も変化し、それによって、可撓性壁110に接触する物体190の表面192に圧力/力を及ぼす。圧力チャンバ101の一例はオートクレーブである。ただし、他のタイプのチャンバもまた該当する。
【0058】
図1Dを参照すると、加圧工具装置100は、制御装置180及びバルブ130を備えることができる。制御装置180は、加圧流体の流れを制御し、それによって第1の圧力194a及び対応する力を制御するためにバルブ130に通信可能に結合され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、加圧工具装置100は、制御装置180に通信可能に結合された位置決め装置184をさらに備える。したがって、制御装置180は、位置決め装置184の動作及び位置決め装置184が可撓性壁に及ぼす力を制御するために使用され得る。位置決め装置184のいくつかの態様は、上に記載されている。例えば、位置決め装置184は、接触部材120を支持し、接触部材120を移動させるように動作可能である。位置決め装置184は、第2の圧力194bを決定する接触部材120と可撓性壁110の第2の表面116の接触部分116bとの間の接触レベル(例えば、圧力及び/又は力)を制御するために使用され得る。物体190は、位置決め装置184によって及ぼされる力に抗して、背部支持体170を用いて支持され得る。位置決め装置184が可撓性壁に対して押し付けられる力は、互いにプライ剪断/スリップを助け、皺を低減又は除去するように制御され得る。さらに、この力制御は、「ブリッジ」を除去又は低減するために使用され得る。いくつかの実施形態では、背部支持体170と位置決め装置184との相対位置が第2の圧力194bを決定する。
【0060】
位置決め装置184は、例えば
図1Bに示すように接触部材120を直接支持することができる。具体的には、位置決め装置184は、圧力チャンバ101内で可動のアーム(例えば、ロボットアーム)であってもよい。
【0061】
図1Bに示される加圧工具装置100における処理物体190の簡単な例は、加圧工具装置100のいくつかの特徴を説明するのに有用であり得る。物体190は、
図1Bに示すような最終形状に成形される前に、最初に平面基板(例えば成形マンドレル)上に形成されるか、他のツールを用いて予め成形されてもよい。さらに、物体190は、膨張可能な工具装置100を使用する前に最終形状に既に成形されていてもよく、加圧工具装置100を使用してこの形状を保持してもよい。加圧工具装置100を、他の工具/装置と共に使用してもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、物体190の成形は、例えば、位置決め装置184に加えられた力を用いて物体190を背部支持体170のコーナーに押し付け、可撓性壁110及び物体190に伝達するなど、背部支持体170と位置決め装置184の組み合わせを使用して実施され得る。この力は、特定の位置、例えばコーナーに加えられる必要があり得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、物体190を背部支持体170に押し付けることは、圧力チャンバ101の内部を加圧し、それによって、位置決め装置184に力を加えることに加えて、又はその代わりに第1の圧力194aを生成することを含み得る。背部支持体170は、物体190のための形態として効果的に動作可能であり、物体は、背部支持体170に適合するまでその形状を変えることができる。物体190が多プライ物体(例えば、複合物体)である場合、この成形動作の間、内側プライは、皺を避けるために外側プライに対してスリップすることがある。皺を防ぐために、及び/又は物体190が所望の形状及びサイズ/厚さ(例えば、圧力比が望ましい繊維)を有することを保証するために、力及び/又は圧力の様々な組み合わせ(
図2A及び
図2Bを参照して以下にさらに説明する)を使用することができる。例えば、第1の圧力194a(及び対応する力)を加える前に第2の圧力194b(及び対応する力)を加えて、内側プライをスリップさせ、皺を防ぐことができる。次いで、第1の圧力194a(及び対応する力)を制御して、物体190の望ましい厚さを達成することができる。
【0063】
図1Dを参照すると、いくつかの実施形態では、制御装置180は、第1の圧力194a及び第2の圧力194b及び対応する力を独立して制御するように構成される。例えば、第1の圧力194a及び対応する力を、バルブ130を制御することによって制御することができ、第2の圧力194b及び対応する力を、位置決め装置184を制御することによって制御することができる。バルブ130の動作は、位置決め装置184の動作とは無関係であってもよい。
【0064】
加圧工具装置100は、制御装置180に通信可能に結合されたセンサ186をさらに備えることができる。センサ186のいくつかの例には、圧力センサ、温度センサ、及び視覚センサが含まれるが、これらに限定されない。制御装置180は、センサ186から受け取った入力に基づいて、第1の圧力194a及び第2の圧力194bのうちの1以上を制御するように構成され得る。他の処理パラメータを、センサ入力に基づいて制御することもできる。
【0065】
いくつかの実施形態では、加圧工具装置100は、ヒーター188をさらに備える。ヒーター188は、制御装置180に通信可能に結合され、物体190の温度を制御するように構成され得る。具体的には、動作中、ヒーター188は、物体190に熱的に結合されてもよい。
【0066】
方法の例
図2は、物体190の表面192の第1の部分192a及び第2の部分192bへの力193a及び193bの印加を制御する方法200に対応するプロセスフローチャートを示している。
【0067】
いくつかの実施形態では、方法200の動作は、
図1Aに示す加圧工具装置100の例を使用して実行される。これらの実施形態では、方法200は、物体190と背部支持体170との間にブラダ111を配置するステップを含むことができる(
図2のブロック202を参照)。この位置決め動作を、ブラダ111の内部の圧力がブラダ111の外部の圧力よりも低い間に行うことができる。例えば、接触部材120は圧縮可能であり、接触部材120が圧縮されている間に位置決め動作を実行することができる。
【0068】
あるいは、方法200の動作は、
図1B及び
図1Cに示す加圧工具装置100の例を使用して実行される。これらの実施形態では、方法200は、背部支持体170に対して可撓性壁110をシールするステップを含むことができる(
図2のブロック206を参照)。
図1B及び
図1Cに示すように、物体190は、可撓性壁110と背部支持体170との間の密閉空間に配置される。
【0069】
方法200は、第1の部分192aに第1の力193aを加えるステップを含む(
図2のブロック210を参照)。
図1Aに示す例を参照すると、第1の力193aは、可撓性壁110によって形成されたブラダ111を使用して加えられてもよい。具体的には、第1の力193aを加えるステップは、ブラダ111を加圧するステップ(
図2のブロック212を参照)、より具体的にはブラダ111に加圧流体を流すステップ(
図3のブロック213を参照)を含み得る。
【0070】
図1Bに示す例を参照すると、第1の力193aは、可撓性壁110を横切る圧力勾配を生成するステップを含むことができる(
図2のブロック214を参照)。言い換えると、密閉空間と密閉空間の外部の領域との間に、すなわち可撓性壁110の内部と外部との間に圧力差が生じる。動作214は、密閉空間内の圧力を減少させるステップを含むことができる(
図2のブロック215を参照)。例えば、密閉空間の外部(例えば、圧力チャンバ101の内部)の圧力を一定レベルに維持しながら、動作215を実行することができる。例えば、密閉空間外の圧力は、周囲圧力であってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、動作214は、圧力チャンバ101内の圧力を増加させるステップを含むことができる(
図2のブロック218を参照)。言い換えれば、密閉空間の外部の領域の圧力を増加させることができる。密閉空間内の圧力を一定レベルに保った状態で動作218を実行することができる。いくつかの実施形態では、密閉空間内の圧力の一定レベルは周囲圧力レベルである。あるいは、動作215及び動作218は同時に実行されてもよい。
【0072】
方法200は、第2の力193bを第2の部分192bに加えるステップをさらに含む(
図2のブロック220を参照)。いくつかの実施形態では、第2の力193bを加えるステップは、接触部材120に外力195を加えるステップを含むことができる。
【0073】
図1Aに示す例を参照すると、接触部材120を、ブラダ111の内部に配置することができる。接触部材120が(上述のように)透過性である場合、動作212中の加圧ブラダ111は、第2の力193bを加えるステップに加えて、第1の力193aを第2の部分192bに加えるステップをさらに含む。さらに、ブラダ111が物体190と背部支持体170との間に配置される場合(例えば、
図1Aに示すように)、接触部材に外力195を加えるステップは、背部支持体170を物体190に向けて前進させるステップを含むことができる。
【0074】
図1Bに示す例を参照すると、位置決め装置184を使用して接触部材120に外力195を加えることができる。例えば、接触部材120に外力195を加えるステップは、位置決め装置184を背部支持体170に向けて前進させるステップを含むことができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、第1の力193aの大きさは、例えば、
図4Aに概略的に示されているように、第2の力193bの大きさと異なっていてもよい。この例では、第1の力193aのベクトルと第2の力193bのベクトルは同じ方向を有する(すなわち、両方の力が同じ方向に作用する)。さらに、この例では、物体表面の第2の部分192bは、(例えば、接触部材120が透過性である場合)第1の力193aと第2の力193bとの組み合わせを受け、これを合計力193cと称することがある。
【0076】
いくつかの実施形態では、例えば
図4Cに示すように、第1の力193aのベクトルと第2の力193bのベクトルは対向する方向を有する。この例では、物体表面の第2の部分192bはまた、(例えば、接触部材120が透過性である場合)第1の力193aと第2の力193bとの組み合わせを受け、これを合計力193cと称することがあるが、合計力193cは第1の力193aより小さい。
【0077】
いくつかの実施形態では、第2の力193bを加える前に、接触部材120は可撓性壁110から離れて配置される。あるいは、接触部材120を可撓性壁110に取り付けることができる。この取り付け特徴は、対向する方向を有する第1の力193a及び第2の力193bのベクトルを達成することを可能にする(例えば、接触部材120は、可撓性壁110の一部を物体190から引き離すことができる)。
【0078】
いくつかの実施形態では、例えば
図1B及び
図1Cに示すように、物体190の表面192の第2の部分192bはコーナーを含む。コーナーは、例えば、物体表面の平面部分よりも大きな力を必要とすることがある。この追加の力を、コーナーでのブリッジを防止するために使用することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、動作210中に第1の力193aを加え、動作220中に第2の力193bを加えることは時間的に重複する。さらに、これらの2つの動作は、時間的にずらされていてもよい。例えば、第1の力193aを加える前に第2の力193bを加えることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、方法200は、第1の力193a又は第2の力193bを変化させるステップをさらに含む(
図2のブロック230を参照)。第1の力193a及び第2の力193bを加えながら、動作230を実行することができる。言い換えれば、動作210,220,及び230を、同時に実行することができる。いくつかの実施形態では、動作230は、第1の力193aを変化させるステップ(
図2のブロック232を参照)を含むが、第2の力193bを同じに保つことができる。この例は、
図4Aから
図4Bへの移行によって示されており、例えば、加圧された流体をブラダ111に流すステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、動作230は、第2の力193bを変化させるステップ(
図2のブロック234を参照)を含むが、第1の力193aを同じに保つことができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、方法200は、センサ入力を受信するステップを含む(
図2のブロック228を参照)。これらの実施形態では、動作230中に第1の力193a及び/又は第2の力193bを変化させるステップを、このセンサ入力に基づいて実行することができる。いくつかの実施形態では、センサ入力は、圧力入力、温度入力、及び視覚入力のうちの1以上を含む。
【0082】
方法200は、物体190の2つの表面192’及び192’’の異なる部分への力の印加を制御するために使用され得る。方法200は、第1の可撓性壁110aによって形成されたブラダ111を、物体190及び背部支持体170によって形成された空隙部171内に配置するステップを含むことができる。ブラダ111は、空隙部の内部に配置された第1の接触部材120aを有する空隙部を含むことができる。
【0083】
方法200は、第2の可撓性壁110bを物体190又は背部支持体170に対してシールするステップで進行することができる。物体190は、第2の可撓性壁110bと背部支持体170との間に配置される。方法200はまた、第1の可撓性壁110aを使用して物体190の第1の表面192’の第1の部分192a’に第1の力193aを加えるステップを含む。上述したように、第1の力193aを加えるステップは、ブラダを加圧するステップを含むことができる。
【0084】
方法200は、第1の可撓性壁110aを使用して第1の表面192’の第2の部分192b’に第2の力193bを加えるステップで進行することができる。第2の部分192b’は、第1の接触部材120aに対応する。さらに、第2の部分192b’は物体190のコーナー191cであってもよく、それによって、例えば第1の部分192a’とは異なる力を必要とする。
【0085】
方法200はまた、第2の可撓性壁110bを使用して第2の表面192’’の第3の部分192a’’に第3の力193cを加えるステップを含むことができる。第3の部分192a’’は、第2の接触部材120bに対応することができる。第3の力193aを加えるステップは、第2の接触部材120bに外力195を加えるステップを含むことができる。
【0086】
最後に、方法200はまた、第2の可撓性壁110bを使用して物体190の第2の表面192’’の第4の部分192b’’に第4の力193dを加えるステップを含むことができる。第4の力193dを加えるステップは、第2の可撓性壁110bを横切って圧力を加えるステップを含むことができる。例えば、
図3に示す圧力チャンバ101を加圧することができる。
【0087】
本発明は、特許請求の範囲と混同されるべきではない以下の付記項でも言及される。
【0088】
A1.物体(190)の表面の第1の部分(192a’)及び第2の部分(192a’’)への力の印加を制御する方法(200)であって、方法(200)は、
背部支持体(170)に対して可撓性壁(110b)をシールするステップであって、物体(190)は、可撓性壁(110b)と背部支持体(170)との間の密閉空間に配置される、ステップと、
可撓性壁(110b)を使用して第1の力(193a)を表面の第1の部分(192a’)に加えるステップと、
可撓性壁(110b)を使用して第2の力(193b)を表面の第2の部分(192a’’)に加えるステップと
を含む。
【0089】
A2.第1の力(193a)を加えるステップが、可撓性壁(110b)を横切る圧力勾配を生成するステップを含む、付記項A1に記載の方法(200)。
【0090】
A3.可撓性壁(110b)を横切る圧力勾配を生成するステップが、密閉空間内の圧力を減少させるステップを含む、付記項A2に記載の方法(200)。
【0091】
A4.密閉空間外の圧力を一定レベルに保ったまま、密閉空間内の圧力を低下させるステップが実行される、付記項A3に記載の方法(200)。
【0092】
A5.密閉空間外の圧力が周囲圧力である、付記項A4に記載の方法(200)。
【0093】
A6.可撓性壁(110b)を横切る圧力勾配を生成するステップが、可撓性壁(110b)、背部支持体(170)、及び物体(190)を圧力チャンバ(101)内に配置し、圧力チャンバ(101)内の圧力を上昇させるステップを含む、付記項A2に記載の方法(200)。
【0094】
A7.密閉空間内の圧力を一定レベルに保ったまま、圧力チャンバ(101)内の圧力を上昇させるステップが実行される、付記項A6に記載の方法(200)。
【0095】
A8.密閉空間内の圧力の一定レベルが周囲圧力レベルである、付記項A7に記載の方法(200)。
【0096】
A9.第2の力(193b)を加えるステップが、接触部材(120)に外力(195)を加えるステップを含み、表面の第2の部分(192a’’)は接触部材(120)に対応している、付記項A1に記載の方法(200)。
【0097】
A10.接触部材(120)に外力(195)を加えるステップが、位置決め装置(184)を使用して実行される、付記項A9に記載の方法(200)。
【0098】
A11.接触部材(120)に外力(195)を加えるステップが、位置決め装置(184)を背部支持体(170)に向けて前進させるステップを含む、付記項A10に記載の方法(200)。
【0099】
A12.第1の力(193a)の大きさが第2の力(193b)の大きさと異なる、付記項A1に記載の方法(200)。
【0100】
A13.第1の力(193a)を加えるステップと第2の力(193b)を加えるステップが、時間的に重なり合う、付記項A1に記載の方法(200)。
【0101】
A14.第1の力(193a)を加えるステップと第2の力(193b)を加えるステップが、時間的にずらされている、付記項A1に記載の方法(200)。
【0102】
A15.表面の第2の部分(192a’’)がコーナーを含む、付記項A1に記載の方法(200)。
【0103】
本発明のさらなる態様によれば、以下が提供される。
【0104】
B1.物体(190)の2つの表面の異なる部分への力の印加を制御する方法(200)であって、方法(200)は、
第1の可撓性壁(110a)によって形成されたブラダ(111)を、物体(190)及び背部支持体(170)によって形成された空隙部(171)内に配置するステップであって、ブラダ(111)は、空隙部(112)の内部に配置された第1の接触部材(120a)を有する空隙部(112)を含む、ステップと、
物体(190)又は背部支持体(170)に対して第2の可撓性壁(110b)をシールするステップであって、物体(190)は、可撓性壁(110b)と背部支持体(170)との間に配置される、ステップと、
第1の可撓性壁(110a)を使用して物体(190)の第1の表面(114)の第1の部分(192a’)に第1の力(193a)を加えるステップであって、第1の力(193a)を加えるステップはブラダ(111)を加圧するステップを含む、ステップと、
第1の可撓性壁(110a)を使用して物体(190)の第1の表面(114)の第2の部分(192a’’)に第2の力(193b)を加えるステップであって、表面の第2の部分(192a’’)は第1の接触部材(120a)に対応する、ステップと、
第2の可撓性壁(110b)を使用して物体(190)の第2の表面(192’’)の第3の部分(192a’’)に第3の力(193c)を加えるステップであって、第2の表面(192’’)の第3の部分(192a’’)は第2の接触部材(120b)に対応し、第2の力(193b)を加えるステップは第2の接触部材(120b)に外力(195)を加えるステップを含む、ステップと
を含む。
【0105】
B2.物体(190)の少なくとも一部が、第1の可撓性壁(110a)と第2の可撓性壁(110b)との間に配置される、付記項B1に記載の方法(200)。
【0106】
B3.第1の力(193a)、第2の力(193b)、及び第3の力(193c)のそれぞれが独立して制御可能である、付記項B1に記載の方法(200)。
【0107】
B4.第1の力(193a)、第2の力(193b)、及び第3の力(193c)を加えながら、第1の力(193a)、第2の力(193b)、又は第3の力(193c)を変化させるステップをさらに含む、付記項B1に記載の方法(200)。
【0108】
B5.第2の可撓性壁(110b)を使用して物体(190)の第2の表面(192’’)の第4の部分(192b’’)に第4の力(193d)を加えるステップをさらに含み、第4の力(193d)を加えるステップは第2の可撓性壁(110b)を横切って圧力を加えるステップを含む、付記項B1に記載の方法(200)。
【0109】
本発明のさらなる態様によれば、以下が提供される。
【0110】
C1.物体(190)の2つの表面の異なる部分への力の印加を制御する加圧工具装置(100)であって、加圧工具装置(100)は、
背部支持体(170)と、
内面及び外面を含む可撓性壁(110b)であって、
内面は接触部分(116b)及び非接触部分(116a)を含み、
外面は物体(190)又は背部支持体(170)に対してシールするように動作可能である、
可撓性壁(110b)と、
可撓性壁(110b)の内面の接触部分(116b)に接触するように動作可能な接触部材(120)であって、
接触部材(120)は可撓性壁(110b)の内面の非接触部分(116a)から離れて配置されている、
接触部材(120)と、
接触部材(120)を支持し、接触部材(120)を可撓性壁(110b)に対して移動させるように動作可能な位置決め装置(184)と
を備える。
【0111】
C2.圧力チャンバ(101)をさらに備え、背部支持体(170)、可撓性壁(110b)、接触部材(120)、及び位置決め装置(184)は、圧力チャンバ(101)内に配置されている、付記項C1に記載の加圧工具装置(100)。
【0112】
C3.接触部材(120)が透過性である、付記項C1に記載の加圧工具装置(100)。
【0113】
C4.接触部材(120)が圧縮可能である、付記項C3に記載の加圧工具装置(100)。
【0114】
C5.接触部材(120)が、連続気泡発泡体(122)及びバネ(124)からなる群から選択される、付記項C4に記載の加圧工具装置(100)。
【0115】
C6.内面の接触部分(116b)に接触する接触部材(120)の表面が、非平面である、付記項C1に記載の加圧工具装置(100)。
【0116】
C7.可撓性壁(110b)がエラストマー材料から形成されている、付記項C1に記載の加圧工具装置(100)。
【0117】
C8.可撓性壁(110b)が、可撓性壁(110b)を圧力チャンバ(101)内の背部支持体(170)に対してシールするためのシール(115)を備える、付記項C1に記載の加圧工具装置(100)。
【0118】
C9.シール(115)が、可撓性壁(110b)の全周にわたって延在している、付記項C8に記載の加圧工具装置(100)。
【0119】
C10.制御装置(180)及び制御装置(180)に通信可能に結合されたセンサ(186)をさらに備え、センサ(186)は、圧力センサ、温度センサ、及び視覚センサからなる群から選択され、制御装置(180)は、センサ(186)からの入力に基づいて第1の圧力(194a)を制御するように構成される、付記項C1に記載の加圧工具装置(100)。
【0120】
C11.位置決め装置(184)に通信可能に結合され、接触部材(120)の位置を制御するように動作可能な制御装置(180)をさらに備える、付記項C1に記載の加圧工具装置(100)。
【0121】
結論
前述の概念は、理解を明確にするために詳細に記載されているが、上記の開示を読めば、添付の特許請求の範囲内で特定の変更及び修正を実施できることは明らかとされよう。プロセス及びシステムを実施する多くの代替方法があることに留意されたい。したがって、本発明の例は例示的なものであり、限定的ではないと考えられるべきである。
【0122】
上記の説明では、開示された概念の完全な理解を提供するために多くの特定の詳細が示されており、それをこれらの詳細の一部又は全部を用いずに実施することができる。他の例では、公知の装置及び/又はプロセスの詳細は、開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために省略されている。一部の概念は特定の例と関連して説明されるが、これらの例は限定を意図するものではないことが理解されよう。
【符号の説明】
【0123】
100 加圧工具装置、101 圧力チャンバ、110 可撓性壁、110a 第1の可撓性壁、110b 第2の可撓性壁、111 ブラダ、112 内部空隙部、114 第1の表面、115 シール、116 第2の表面、116a 非接触部分、116b 接触部分、116c 追加の接触部分、120 接触部材、120a 第1の接触部材、120b 第2の接触部材、121 表面、122 連続気泡発泡体、123 開口部、124 バネ、130 バルブ、170 背部支持体、171 空隙部、180 制御装置、182 加圧流体源、184 位置決め装置、186 センサ、188 ヒーター、190 物体、191c コーナー、192 表面、192’ 第1の表面、192’’ 第2の表面、192a 第1の部分、192a’ 第1の部分、192a’’ 第2の部分,第3の部分、192b 第2の部分、192b’ 第2の部分、192b’’ 第4の部分、193a 第1の力、193b 第2の力、193c 第3の力,合計力、193d 第4の力、194a 第1の圧力、194b 第2の圧力、195 外力、200 方法