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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】緊急制動システム及び緊急制動方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230411BHJP
   B66B 1/32 20060101ALI20230411BHJP
   H02P 3/18 20060101ALI20230411BHJP
   H02P 3/22 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02M7/48 L
B66B1/32
H02P3/18 101D
H02P3/22 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018179608
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2019068728
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】15/718,607
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
【住所又は居所原語表記】One Carrier Place,Farmington,Connecticut,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】プラサンナ ナガラジャン
(72)【発明者】
【氏名】シャシャンク クリシュナムルシー
(72)【発明者】
【氏名】コンダ レッディ チェッヴァ
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特公平6-97875(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0118675(US,A1)
【文献】特開平2-23080(JP,A)
【文献】特開2014-143920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42-7/98
B66B 1/32
H02P 3/00-3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流(AC)電源及び直流(DC)バスに操作可能に接続され、前記AC電源の各相と前記DCバスの各相とを選択的に接続する第一の複数のスイッチングデバイスを含むコンバータと、
モータ及び前記DCバスに操作可能に接続され、前記モータの複数の相の各相と前記DCバスの各相とを選択的に接続する第二の複数のスイッチングデバイスを含むインバータと、
前記モータにより駆動される負荷についての緊急停止条件の検出に応答して受動遅延回路を介して、前記モータおよび/または前記負荷の物理的制動のためのブレーキをかけることを命令し、前記AC電源の少なくとも1つの相に対応する前記コンバータの相脚の各前記第一の複数のスイッチングデバイスを切断状態にすることにより前記AC電源の前記少なくとも1つの相を無効にすること、及び、前記DCバスから前記AC電源へ電圧を戻すように残りの少なくとも1つの相を前記コンバータにより機能させ続けることによって、前記ブレーキを物理的にかける前に電圧を前記DCバス上で低下させるように構成されたコントローラと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記緊急停止条件の検知に応答して前記インバータをオフ状態にするように命令するようにさらに操作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記緊急停止条件の検知に応答して前記モータへ電圧降下機能を適用するようにさらに操作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記モータの速度を監視し、また閾値条件が満たされるまで、前記電圧降下機能を前記モータへ適用し続けるように操作可能である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第一の複数のスイッチングデバイスのうちの1つ以上を開放し、前記電圧を前記DCバス上で低下させるように操作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、ダイナミック制動抵抗器を介して前記DCバスのハイサイドとローサイドとの間の電気接続を選択的に確立し、前記電圧を前記DCバス上で低下させるように操作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記DCバスの前記ハイサイドと前記ローサイドとの間のDCリンクキャパシタをさらに備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、電圧を前記DCバスから前記AC電源へ前記コンバータを介して戻すようにさらに操作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記受動遅延回路は、少なくとも1つのダイオードを直列で備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記負荷は、前記モータにより駆動される乗員搬送を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
コンバータを交流(AC)電源及び直流(DC)バスへ操作可能に接続し、前記コンバータが前記AC電源の各相と前記DCバスの各相とを選択的に接続する第一の複数のスイッチングデバイスを含み、
インバータをモータ及び前記DCバスへ操作可能に接続し、前記インバータが前記モータの複数の相の各相と前記DCバスの各相とを選択的に接続する第二の複数のスイッチングデバイスを含み、
コントローラにより、前記モータにより駆動される負荷についての緊急停止条件の検出に応答して受動遅延回路を介して、前記モータおよび/または前記負荷の物理的制動のためのブレーキをかけることを命令し、
前記AC電源の少なくとも1つの相に対応する前記コンバータの相脚の各前記第一の複数のスイッチングデバイスを切断状態にすることにより前記AC電源の前記少なくとも1つの相を無効にすること、及び、前記DCバスから前記AC電源へ電圧を戻すように残りの少なくとも1つの相を前記コンバータにより機能させ続けることによって、前記ブレーキを物理的にかける前に電圧を前記DCバス上で低下させる、
ことを備える、方法。
【請求項12】
前記緊急停止条件の検出に応答して前記インバータをオフ状態にするように命令する、
ことをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記緊急停止条件の検出に応答して電圧降下機能を前記モータへ適用する、
ことをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記モータの速度を監視し、
閾値条件が満たされるまで、前記電圧降下機能を前記モータへ適用する、
ことをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の複数のスイッチングデバイスのうちの1つ以上を開放し、前記電圧を前記DCバス上で低下させる、
ことをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
ダイナミック制動抵抗器を介して前記DCバスのハイサイドとローサイドとの間の電気接続を選択的に確立し、前記電圧を前記DCバス上で低下させる、
ことをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
DCリンクキャパシタは、前記DCバスの前記ハイサイドと前記ローサイドとの間にある、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記AC電源の一相または二相を無効にし、
電圧を残りの一相を介して前記DCバスから前記AC電源へ戻す、
ことをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記受動遅延回路は、少なくとも1つのダイオードを直列で備える、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記負荷は、前記モータにより駆動される乗員搬送を備える、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される発明の主題は、一般に、駆動系に関し、さらに特に、駆動系のための緊急制動に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動系は、モータを使用して接続された負荷運動を制御する、多くの用途に使用される。搬送システムにおいて、モータを使用して、エレベーターかごの移動及び位置決めを制御するように、負荷をある位置に移動させることも、保持することも可能である。物理的なブレーキは、エレベーターかごを停止位置に保持する、または固定する特定の状況において係合される。いくつかのタイプの故障状態下で、制動及びモータトルクの能動的制御は、停電事象中などに、速度を制御することが可能であることができる。いくつかの緊急状態において、ブレーキの能動的制御は、不可能であり、乗員に対してより衝撃的な緊急停止事象をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
例示的な実施形態に従い、システムは、交流(AC)電源及び直流(DC)バスに操作可能に接続されるコンバータ、モータ及びDCバスに操作可能に接続されるインバータ、ならびにコントローラを含む。コンバータは、AC電源及びDCバスの各相と選択的に通信する第一の複数のスイッチングデバイスを含む。インバータは、モータ及びDCバスの各相と選択的に通信する第二の複数のスイッチングデバイスを含む。コントローラは、モータにより駆動される負荷についての緊急停止条件に応答して受動遅延回路を介してブレーキのドロッピングを命令し、そしてAC電源の少なくとも一相を落とすこと、及び/またはブレーキを物理的に落とす前にダイナミック制動抵抗器を使用することによりDCバス上で電圧を低下させるように操作可能である。
【0004】
上記の、または下記の特徴のうちの1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、コントローラが緊急停止条件に応答してインバータをオフ状態にするように命令するようにさらに操作可能であることを備えることができる。
【0005】
上記の、または下記の特徴のうちの1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、コントローラが緊急停止条件に応答して電圧降下機能をモータへ適用するようにさらに操作可能であることを備えることができる。
【0006】
上記の、または下記の特徴のうちの1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、コントローラがモータの速度を監視し、また閾値条件を満たすまで、電圧降下機能をモータへ適用し続けるように操作可能であることをさらに備えることができる。
【0007】
上記の、または下記の特徴のうちの1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、コントローラが第一の複数のスイッチングデバイスのうちの1つ以上を開放し、電圧をDCバス上で低下させることを備えることができる。
【0008】
上記の、または下記の特徴のうちの1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、コントローラがダイナミック制動抵抗器を介してDCバスのハイサイドとローサイドとの間の電気接続を選択的に確立し、電圧をDCバス上で低下させるように操作可能であることを備えることができる。
【0009】
上記の、または下記の特徴のうちの1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、DCバスのハイサイドとローサイドとの間にDCリンクキャパシタを含むことができる。
【0010】
上記の、または下記の特徴のうちの1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、コントローラがコンバータを介してDCバスからAC電源へ電圧を戻すようにさらに操作可能であることを備えることができる。
【0011】
上記の、または下記の特徴のうちの1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、受動遅延回路が少なくとも1つのダイオードを直列で含むことを備えることができる。
【0012】
上記の、または下記の特徴のうちの1つ以上に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、負荷がモータにより駆動される乗員搬送であることを備えることができる。
【0013】
別の実施形態に従い、方法は、コンバータをAC電源及びDCバスへ操作可能に接続することを備え、そこでコンバータは、AC電源及びDCバスの各相と選択的に通信する第一の複数のスイッチングデバイスを含む。インバータは、モータ及びDCバスに選択的に接続され、そこでインバータは、モータ及びDCバスの各相と操作可能に通信する第二の複数のスイッチングデバイスを含む。コントローラは、モータにより駆動される負荷についての緊急停止条件に応答して受動遅延回路を介してブレーキのドロッピングを命令し、DCバス上の電圧は、ブレーキを物理的に落とす前に低下する。
【0014】
本開示の実施形態の技術的な効果は、強化された緊急停止を駆動系に提供することを備える。
【0015】
前述の特徴及び要素は、別段に明示的に示されない限り、排他的ではない、さまざまな組み合わせにおいて結合されることができる。これらの特徴及び要素、またその操作は、以下の説明、及び添付の図面を鑑みてさらに明らかになるであろう。しかしながら、以下の説明及び図面が本質的に例示及び説明であり、また非限定的であることを意図されることを理解するであろう。
【0016】
本開示は、実施例として示され、同様の参照番号が同様の要素を示す添付の図面に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に従う電力系の構成要素のブロック図である。
図2】実施形態に従う駆動系の簡略図である。
図3】実施形態に従う直流リンク回路の簡略図である。
図4】実施形態に従うエレベーターシステムの簡略図である。
図5】実施形態に従う方法のフローチャートを描写する。
図6】実施形態に従う方法の別のフローチャートを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
開示されたシステム及び方法の1つ以上の実施形態の発明を実施するための形態は、例示として本明細書に提示され、図面に関する限定ではない。一般に、本明細書の実施形態は、モータ励起信号を生成してモータを駆動するインバータへ順に電圧を供給する直流(DC)バスを提供するアクティブコンバータを用いるモータ駆動のための緊急制動に関する。緊急制動応答は、モータへ供給される電圧を低下させ、モータにより駆動される負荷の停止応答を滑らかにしながら、受動遅延回路を介してブレーキのドロッピングを命令することにより強化される。本明細書の実施形態は、交流(AC)側正弦波電流から一般的に生成されるDC電圧を能動的に制御する、コンバータ用の駆動及びモータシステムを記載する。DC電圧は、モータを制御するためにパワーエレクトロニクスデバイスの高速スイッチングを使用してAC励起電圧を生成するために用いられる。
【0019】
本開示の原理の理解を促進する目的のために、ここで参照は、図面の中に示される実施形態に行われ、特定の言語は、同一のものを説明するために使用される。それにもかかわらず、本開示の範囲の制限がこれにより意図されないことを理解するであろう。以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その用途または使用を限定することを意図されない。図面全体を通して、対応する参照番号が同様の、または対応する部品及び機能を示すことを理解するであろう。本明細書に使用されるように、用語、コントローラは、処理回路を指し、処理回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、電子回路、非一時的な形態に格納された1つ以上のソフトウェアまたはファームウェアプログラムを実行する電子プロセッサ(共有の、専用の、またはグループの)及びメモリ、組み合わせ論理回路、及び/または記述された機能性を提供する他の適切なインタフェース及び構成要素を含むことができる。
【0020】
図1は、1つ以上の負荷23に電力を供給するために用いられることができるような、実施形態の電力系10の構成要素のブロック図である。電力系10は、電気主幹線(たとえば、440ボルト、三相)などの、AC電源12を含む。AC電源12は、AC電力を駆動系20へ供給する。駆動系20は、駆動される負荷23の制動中にモータ22から回生エネルギーを動力化することが可能であるモータ駆動及び回生駆動として動作可能であることができる。また駆動系20は、受動遅延回路24を介してブレーキ25の係合を始動させ、負荷23の運動を停止させることが可能である。受動遅延回路24は、1つ以上のダイオード、キャパシタ、インダクタ、及び同様のものなどの、電気構成要素を誘導する1つ以上の受動遅延を備えることが可能である。受動遅延回路24は、駆動系20によりモータ22の回転を能動的に減速させながら、モータ22及び/または負荷23の物理的制動を能動的に遅延させることを回避する。ブレーキ25は、受動遅延回路24を介して伝播するブレーキコマンドに応答して負荷23の運動を迅速に停止させるばね力または同様の機構によって閉成するように操作可能である機械式ブレーキである。実施形態において、電力系10は、エレベーターシステム101(図4)に関して説明されるが、モータ駆動を用いるいずれかのシステムへの適用を見込むことができる。たとえば、いくつかの実施形態において、負荷23は、エスカレーター、動く歩道、トロリー、または同様のものなどの、モータにより駆動されるいずれかのタイプの乗員搬送であることが可能である。
【0021】
図2は、より詳細に描写される駆動系20を含む電力系10の簡略図である。電力系10内のAC電源12は、たとえば、電気主幹線(たとえば、440ボルト、三相)であることが可能である。図2の実施例において、駆動系20は、三相脚R、S、及びTを含むコンバータ32を含む回生駆動であることが可能である。各相脚R、S、及びTは、コントローラ30からの制御信号により制御されるスイッチングデバイス31を含み、これは、ハイサイド36及びローサイド38を含むDCバス34上でAC電力をDC電力へ変換する。また駆動系20は、三相脚W、V、及びUを含むインバータ40を備える。各相脚W、V、及びUは、コントローラ30からの制御信号により制御されるスイッチングデバイス31を含み、これは、DCバス34にわたるDC電力をAC駆動信号へ変換し、モータ22に電力を供給する。実施形態において、DCリンク回路46は、本明細書にさらに記述されるように、DCバス34のハイサイド36とローサイド38との間に操作可能に接続され、DCバス34のエネルギーを選択的に消散する。コントローラ30は、図1の受動遅延回路24を介してブレーキ閉成コマンドをトリガし、図1のブレーキ25を物理的に落とし、負荷23の運動を停止させるように操作可能である。コントローラ30は、記憶媒体上に格納されるコンピュータプログラムを実行する汎用マイクロプロセッサを使用して実装され、本明細書に記述される操作を実行することができる。代替に、コントローラ30は、ハードウェア(たとえば、ASIC、FPGA)において、またはハードウェア/ソフトウェアの組み合わせにおいて実装されることができる。
【0022】
図3は、例示的な実施形態に従いより詳細にDCリンク回路46を描写する。図3の実施例において、DCリンク回路46は、DCバス34のハイサイド36とローサイド38との間にダイナミック制動抵抗器72と直列にスイッチング素子70と並列にDCリンクキャパシタ62を含む。図2のコントローラ30は、ダイナミック制動制御信号71を介してスイッチング素子70の開放または閉成をトリガするように操作可能である。通常の操作中に、スイッチング素子70は、ダイナミック制動抵抗器72を介して電路を除去する閉成を命令される。ダイナミック制動抵抗器72がDCバス34のハイサイド36及びローサイド38の両方に電気的に接続されないときに、DCリンクキャパシタ62は、DCバス34上で充電されることが可能であり、リプル電流を低減させるように機能することができる。制動条件において、スイッチング素子70は、ダイナミック制動制御信号71に応答して閉成し、電気接続は、ダイナミック制動抵抗器72を介してDCバス34のハイサイド36とローサイド38との間に確立され、電圧をDCバス34上で低下させる。DCリンクキャパシタ62と並列に電気接続されるときに、ダイナミック制動抵抗器72は、エネルギーを消散させ、そして電圧をDCバス34上で降下させ、図1及び2のモータ22を減速させるように操作可能である。いくつかの実施形態において、スイッチング素子70及びダイナミック制動抵抗器72は、省かれ、電圧降下は、図2のコンバータ32、または他の電圧降下素子の状態を制御することにより提供されることが可能である。DCリンク回路46が監視回路などの、図3に描写されない他の素子を含むことが可能であることを理解するであろう。
【0023】
図4は、エレベーターかご103、釣り合いおもり105、1つ以上の耐荷重部材107、ガイドレール109、機械111、位置エンコーダ113、及びエレベーターコントローラ115を含む、エレベーターシステム101の斜視図である。エレベーターかご103及び釣り合いおもり105は、耐荷重部材107によって相互に接続される。耐荷重部材107は、たとえば、ロープ、スチールケーブル、及び/またはコーティングスチールベルトであることができる。釣り合いおもり105は、エレベーターかご103の負荷を平衡させるように構成され、同時に、またエレベーターシャフト117内の釣り合いおもり105に関して対向方向に、またガイドレール109沿いにエレベーターかご103の移動を促進するように構成される。エレベーターかご103及び釣り合いおもり105は、図1の負荷23の実施例であり、そこでエレベーターかご103は、乗員搬送である。
【0024】
耐荷重部材107は、エレベーターシステム101のオーバーヘッド構造の部分である、機械111を係合する。この機械111は、エレベーターかご103と釣り合いおもり105との間の移動を制御するように構成される。位置エンコーダ113は、スピードガバナーシステム119の上部シーブ上に載せられることができ、エレベーターシャフト117内のエレベーターかご103の位置に関する位置信号を提供するように構成されることができる。他の実施形態において、位置エンコーダ113は、機械111の移動構成要素に直接載せられることができる、または当該技術分野に知られているような、他の位置及び/または構成要素内に設置されることができる。
【0025】
エレベーターコントローラ115は、示されるように、エレベーターシャフト117のコントローラルーム121内に設置され、エレベーターシステム101、及び特にエレベーターかご103の操作を制御するように構成される。たとえば、エレベーターコントローラ115は、図1及び2の駆動系20を含み、エレベーターかご103の加速、減速、レベリング、停止などを制御する駆動信号を機械111へ提供することができる。またエレベーターコントローラ115は、位置エンコーダ113から位置信号を受信するように構成されることができる。ガイドレール109沿いにエレベーターシャフト117内で上または下に移動させるときに、エレベーターかご103は、エレベーターコントローラ115により制御されるように1つ以上のランディング125において停止させることができる。コントローラルーム121内に示されるが、当業者は、エレベーターコントローラ115がエレベーターシステム101内の他の場所または位置内に設置される、及び/または構成されることが可能である。いくつかの実施形態において、エレベーターコントローラ115は、限定されないが、照明、ディスプレイ画面、音楽、スポークンオーディオワードなどを含む、エレベーターかご103における機能を制御するように構成されることが可能である。
【0026】
機械111は、図1及び2のモータ22、及び図1のブレーキ25及び受動遅延回路24を含む制動系を備えることができる。ロープベースの耐荷重システムによって示され、記述されるが、図1のモータ22、ブレーキ25、及び受動遅延回路24を使用してエレベーターシャフト内でエレベーターかごを移動させる他の方法及び機構を用いるエレベーターシステムは、本開示の実施形態を用いることができる。図4は、例示及び説明目的のために提示される非限定的な実施例に過ぎない。
【0027】
図5は、実施形態に従う方法200のフローチャートを描写する。方法200は、図1~5を参照して説明され、また図5に描写され、記述されるこれらを越える追加の要素を含むことができる。方法200の順序は、図5のシーケンスにより制限されず、これは、説明目的のための実施例を提供する。
【0028】
ブロック205において、コンバータ32は、AC電源12及びDCバス34に操作可能に接続される。コンバータ32は、AC電源12及びDCバス34の各相R、S、Tと選択的に通信する第一の複数のスイッチングデバイス31を含む。
【0029】
ブロック210において、インバータ40は、モータ22及びDCバス34に操作可能に接続される。インバータ40は、モータ22及びDCバス34の各相W、V、Uと選択的に通信する第二の複数のスイッチングデバイス31を含む。
【0030】
ブロック215において、コントローラ30は、モータ22により駆動される負荷23についての緊急停止条件に応答して受動遅延回路24を介してブレーキ25のドロッピングを命令する。モータ22を駆動させるセーフティチェーンの損失をもたらす任意の外部事象として緊急条件を、または駆動系20により検出される操作条件のような他の条件を検出することが可能である。セーフティチェーンは、コンタクタを通過する電気信号であり、また駆動入力である。セーフティチェーンは、モータ22及び/またはブレーキ25へのエネルギーの流れを中断することが可能である、少なくとも1つのリレーを制御する。コンタクタを開放する場合に、セーフティチェーン信号を中断し、駆動系20は、電力をモータ22へ供給する、及び/またはブレーキ25を落とす能力を失う可能性がある。1つの実施例として、セーフティチェーン信号は、エレベーターかごのドア、及び1つ以上の昇降路ドア(たとえば、存在する場合、正面及び背面ドア)上のコンタクタを通過することが可能である。いずれかのコンタクタを開放する場合に、それは、緊急状態とみなされることが可能であり、駆動系20は、セーフティチェーンを失い、電力の中断をモータ22及び/またはブレーキ25にもたらす。駆動系20は、非常に高いモータ電流、速度追従故障、安全故障、及び同様のものなどの、いくつかの緊急状態を内部に検出する可能性がある。
【0031】
ブロック220において、コントローラ30は、ブレーキ25を物理的に落とす前に電圧をDCバス34上で低下させる。たとえば、受動遅延回路24は、所定の遅延時間量(たとえば、10~50ミリ秒)をブレーキ25の作動へ加えることが可能である。ブレーキ25の、遅延期間及びいずれかの固有の作動遅延中に、コントローラ30は、DCバス34上での電圧の降下によりモータ22の速度を能動的に低下させる。ダイナミック制動抵抗器72などの、DCリンク回路46の1つ以上の素子を使用して、電圧をDCバス34上で降下させることが可能である。代替として、またはさらなる組み合わせにおいて、コントローラ30は、コンバータ32のスイッチングデバイス31の状態を制御し、電圧をDCバス34上で下方向に下げることが可能である。たとえば、AC電源12の一相以上は、少なくとも残りの一相がDCバス34からAC電源12へ電圧を戻すことが可能でありながら、コンバータ32において電気的に切断され、AC電源12の一相以上を落とすことが可能である。
【0032】
図6は、実施形態に従う方法300のフローチャートを描写する。方法300は、図1~6に関して記述され、図6に描写され、記述されるこれらを越える追加の要素を含むことができる。方法300の順序は、説明目的のための実施例を提供する、図6のシーケンスにより限定されない。方法300は、コントローラ30により実装され、緊急停止条件における負荷23の運動をさらに滑らかなに停止させることが可能である。
【0033】
方法300は、ブロック302において開始し、ブロック304において緊急停止検出を実行する。緊急停止条件は、先に記述されるように、コントローラ30における中断をトリガし、負荷23の迅速な停止を命令することができる。ブロック304において、検出される緊急停止条件がない場合に、つぎにブロック306において、さらなる緊急関連作動を実行する必要はない。ブロック304において、検出される緊急停止条件がある場合に、ブロック308において、つぎに受動遅延回路24を使用してブレーキ25を落とすように命令し、緊急停止条件に応答してインバータ40をオフ状態にするように命令することができる。
【0034】
ブロック310において、コントローラ30は、緊急停止条件に応答して電圧降下機能をモータ22へ適用し、モータ22の減速を制御するシーケンスを開始する。DCバス34の電圧降下は、コンバータ32のスイッチングデバイス31を選択的に開放すること、及び/またはスイッチング素子70を閉成ことにより実行され、ダイナミック制動抵抗器72を介してDCバス34のハイサイド36とローサイド38との間に電気接続を確立し、電圧をDCバス34上で低下させることが可能である。またコントローラ30は、DCバス34からAC電源12へ電圧を戻すように制御されることができる。ブロック314において、コントローラ30は、モータ22の速度を監視し、閾値条件がブロック310~314を繰り返すことにより満たされるまで、電圧降下機能をモータ22へ適用し続けることが可能である。閾値条件は、公差に関してゼロに近い値であり、たとえば、毎分10回転未満である。閾値条件を満たす場合に、ブロック316において、つぎに駆動系20は、緊急停止条件に対処するまで、操作を停止させることが可能である。
【0035】
本明細書に記述されるように、いくつかの実施形態において、さまざまな機能または動作は、所与の位置において、及び/または1つ以上の装置、システム、またはデバイスの操作と関連して、行われることができる。たとえば、いくつかの実施形態において、所与の機能または動作の一部は、第一デバイスまたは位置において実行されることができ、また機能または動作のリマインダは、1つ以上の追加のデバイスまたは位置において実行されることができる。
【0036】
実施形態は、1つ以上の科学技術を使用して実装されることができる。いくつかの実施形態において、装置またはシステムは、1つ以上のプロセッサと、この1つ以上のプロセッサにより実行されるときに、装置またはシステムに本明細書に記述されるような1つ以上の方法論的動作を実行させるインストラクションを格納するメモリとを含むことができる。当業者に知られているさまざまな機械的構成要素は、いくつかの実施形態において使用されることができる。
【0037】
実施形態は、1つ以上の装置、システム、及び/または方法として実装されることができる。いくつかの実施形態において、インストラクションは、一時的な、及び/または非一時的なコンピュータ可読媒体などの、1つ以上のコンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体上に格納されることができる。これらのインストラクションは、実行時に、本明細書に記述されるような1つ以上の方法論的動作をエンティティに実行させることができる。
【0038】
用語「約」は、本出願の出願時に利用可能である機器に基づく特定の量の測定と関連する誤差の程度を有することを意図される。たとえば、「約」は、所与の値の±8%または5%、または2%の範囲を含むことが可能である。
【0039】
本明細書に使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明するためであり、本開示の制限であることを意図されない。本明細書に使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段に文脈が明示的に示さない限り、複数形も含むことを意図される。用語「comprises(含む)」、及び/または「comprising(含む)」が本明細書に使用されるときに、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/またはそれらの群の存在または追加を妨げないことをさらに理解するであろう。
【0040】
加えて、用語「例示的な」は、「実施例、例または例示として機能する」ことを意味するように本明細書に使用される。「例示的な」として本明細書に記述される、いずれかの実施形態または設計は、他の実施形態または設計よりも好ましい、または有利であると必ずしも解釈されない。用語「少なくとも1つの」、及び「1つ以上の」は、1つより多い、または1つに等しい任意の整数、すなわち、1、2、3、4などを含むように理解される。用語「複数の」は、2つより多い、または2つに等しい任意の整数、すなわち、2、3、4、5などを含むように理解される。用語「接続」は、間接的な「接続」、及び直接的な「接続」を含むことが可能である。
【0041】
本開示は、例示的な単一の実施形態、または複数の実施形態を参照して記述されるが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更が行われることができ、均等物がその要素の代替となることができることを理解するであろう。加えて、多くの変更形態は、その本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるように行われることができる。したがって、本開示を実行するために企図される最良のモードとして開示される特定の実施形態に本開示が限定されないが、本開示が特許請求の範囲内に入るすべての実施形態を含むことを意図する。
図1
図2
図3
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図5
図6