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特許7260280電装部品冷却装置、それを有するチリングユニット及び空気調和機の室外機
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  • 特許-電装部品冷却装置、それを有するチリングユニット及び空気調和機の室外機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】電装部品冷却装置、それを有するチリングユニット及び空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/24 20110101AFI20230411BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230411BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
F24F1/24
F25B1/00 399Y
H05K7/20 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018199856
(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公開番号】P2020067227
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】清水 健
(72)【発明者】
【氏名】左海 将之
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 剛
(72)【発明者】
【氏名】岩本 繁
(72)【発明者】
【氏名】清水 健志
(72)【発明者】
【氏名】舟山 智歌子
(72)【発明者】
【氏名】末廣 諭
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 将平
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-178113(JP,A)
【文献】特開2016-044825(JP,A)
【文献】特開2016-201473(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116938(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/24
F25B 1/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電装部品ごとに設けられた複数のヒートシンクを有し、前記ヒートシンクを突出させた面同士が向かい合うように配置されることで、鉛直方向に延びる流路を間に形成する一対の電装箱と、
前記流路の上端部に設けられ、前記ヒートシンクを経て下方から上方に向かう空気の流れを形成する軸流ファンと、
前記電装箱を配置して、前記軸流ファンから水平方向に離れた位置に空気を排気する排気孔を設けた機械室を形成するハウジングと、
を備え
前記軸流ファンは、前記流路の上端部に水平方向に間隔をあけて複数配列され、
隣接する一対の前記軸流ファンは、該軸流ファンが並ぶ方向に交差する方向における互いに異なる方向に前記空気を流すように、前記鉛直方向に対して回転軸が傾斜して配置されている電装部品冷却装置。
【請求項2】
前記軸流ファンは、前記流路の上端部の空間に配置され、
前記空間は、前記一対の電装箱の上方で、前記軸流ファンの半径方向に広がって形成されている請求項1に記載の電装部品冷却装置
【請求項3】
複数の前記軸流ファンは、前記機械室の前記排気孔に向かう方向に前記空気を流すように、前記鉛直方向に対して回転軸が傾斜して配置されている請求項1又は2に記載の電装部品冷却装置。
【請求項4】
送風機と
前記送風機によって取り込まれた空気と冷媒との間で熱交換する空気熱交換器とつながる冷媒回路内の冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記冷媒と水との間で熱交換することで温度調節された水を生成する給水系統の、
動作を制御するコントローラとしての前記電装箱を有する請求項1からのいずれか一項に記載の電装部品冷却装置と、
を備えるチリングユニット。
【請求項5】
送風機と
前記送風機、及び前記送風機によって取り込まれた空気と冷媒との間で熱交換する空気熱交換器とつながる冷媒回路内の冷媒を圧縮する圧縮機の動作を制御するコントローラとしての前記電装箱を有する請求項1からのいずれか一項に記載の電装部品冷却装置を備える空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを用いたチリングユニット及び空気調和機の室外機の電装部品冷却装置と、それを有するチリングユニット及び空気調和機とに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプを用いた空気調和機や冷温水供給装置(チリングユニット)は、空気熱交換器と、空気熱交換器に送風する送風機と、冷媒回路内の冷媒を圧縮する圧縮機と、を主に有している。送風機による送風が空気熱交換器に触れることで、冷媒回路を循環する冷媒と、外部の空気との間で熱交換が行われる。
【0003】
このような装置の効率向上には圧縮機や送風機の消費電力削減が欠かせず、そのための駆動電力制御にIPM (インテリジェントパワーモジュール)に代表される電力用半導体素子が用いられる。これらの電装部品は駆動用の大電流を扱うため発熱を伴い、自身の発熱で壊れないように冷却するためヒートシンクが取り付けられている。さらに、ヒートシンク冷却用の送風機を設けて積極的にヒートシンク周囲の空気を流してその放熱を促進させることが行われる。この種の構成を有する電装部品冷却装置の具体例として、下記特許文献1に記載されたものが挙げられる。特許文献1に記載された装置では、板金部品で形成された流路を経てヒートシンク冷却用の送風機として軸流ファン(プロペラファン)を用いてヒートシンクに空気が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-201473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された構成では、ヒートシンク冷却用の送風機である軸流ファンとヒートシンクとが離れて配置されており、さらに空気の流路が複雑であるため、流路の圧力損失が増大し、空気を効率的にヒートシンクに供給できない可能性がある。さらに空気の流路が複雑であることで部品点数の増加、及び組立工数の増加によって、製造コストも増大してしまう可能性がある。したがって、低コストかつ、より効率的に放熱することが可能な電装部品冷却装置が求められる。
【0006】
そこで本発明は、低コストかつ、より効率的に放熱することが可能な電装部品冷却装置、それを有するチリングユニット及び空気調和機の室外機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、電装部品冷却装置は、複数の電装部品ごとに設けられた複数のヒートシンクを有し、前記ヒートシンクを突出させた面同士が向かい合うように配置されることで、鉛直方向に延びる流路を間に形成する一対の電装箱と、前記流路の上端部に設けられ、前記ヒートシンクを経て下方から上方に向かう空気の流れを形成する軸流ファンと、前記電装箱を配置して、前記軸流ファンから水平方向に離れた位置に空気を排気する排気孔を設けた機械室を形成するハウジングと、を備え、前記軸流ファンは、前記流路の上端部に水平方向に間隔をあけて複数配列され、隣接する一対の前記軸流ファンは、該軸流ファンが並ぶ方向に交差する方向における互いに異なる方向に前記空気を流すように、前記鉛直方向に対して回転軸が傾斜して配置されている。
【0008】
この構成によれば、一対の電装箱によって両者の間に流路が形成され、軸流ファンは当該流路の上端部に設けられている。このため向かい合うように配置された電装箱のヒートシンクを一括で冷却することができ、軸流ファンの個数を削減することができる。また、流路の上端部に軸流ファンが設けられていることで軸流ファンをヒートシンクの直上に配置して、空気を流路から吸い出すことができる。このため流路の圧力損失を小さくすることができる。その結果、ヒートシンクに対して効率的に空気を供給することができる。
さらに、この構成によれば、流路の上端部に水平方向に間隔をあけて複数の軸流ファンが配列されている。これにより、流路内、即ち、電装箱同士の間における空気の流量や速度に偏りが生じる可能性を低減することができる。その結果、ヒートシンクの放熱性能を十分に発揮させることができる。
また、この構成によれば、隣接する一対の軸流ファンが、軸流ファンが並ぶ方向に交差する方向における互いに異なる方向に空気を流すように配置されていることから、軸流ファンからの吐出空気の流れ同士が互いに干渉してしまうことを低減することができる。その結果、機械室内で高温の空気が滞留する可能性を低減することができる。
【0009】
また、前記軸流ファンは、前記流路の上端部の空間に配置され、前記空間は、前記電装箱の上方で、前記軸流ファンの半径方向に広がって形成されていてもよい。
【0010】
このような下流が半径方向に広がる空間に軸流ファンが配置されることで、軸流ファンから吹き出す空気を軸流ファンの半径方向の外側に導くことができる。よって軸流ファンからの吐出流れが主に半径方向外側に向かうような風量と静圧の運転域で運転した場合であっても、軸流ファンから流出する空気の流れが遮られることなく、軸流ファンが配置された吐出側空間での圧力損失の増大を抑えることができる。
【0013】
また、複数の前記軸流ファンは、前記機械室の前記排気孔に向かう方向に前記空気を流すように、前記鉛直方向に対して回転軸が傾斜して配置されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、軸流ファンが、機械室の排気孔に向かう方向に空気を流すように配置されていることから、空気を機械室の排気孔に向かって積極的に流すことができる。その結果、機械室内で高温の空気が滞留する可能性を低減することができる。
【0017】
また本発明の一態様によれば、チリングユニットは、送風機と、前記送風機によって取り込まれた空気と冷媒との間で熱交換する空気熱交換器と、冷媒を圧縮する圧縮機と空気熱交換器と圧縮機を繋ぐ冷媒回路と、前記冷媒と水との間で熱交換する水熱交換器を備え温度調節された水を生成する給水系統と、前記送風機、前記圧縮機及び前記給水系統の動作を制御するコントローラとしての前記電装箱を有する上記電装部品冷却装置とを備える。
【0018】
また本発明の一態様によれば、空気調和機の室外機は、送風機と、前記送風機、及び前記送風機によって取り込まれた空気と冷媒との間で熱交換する空気熱交換器と冷媒回路内の冷媒を圧縮する圧縮機を備え、前記送風機、前記圧縮機の動作を制御するコントローラとしての前記電装箱を有する上記電装部品冷却装置を備える。
【発明の効果】
【0019】
上記態様の電装箱を有する電装部品冷却装置、それを有するチリングユニット及び空気調和機の室外機によれば、低コストかつ、より効率的に電装部品を冷却し放熱することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一実施形態に係るチリングユニットの一例を示す模式図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る機械室に配置された電装箱をヒートシンク突出面の正面から見た断面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る機械室に配置された電装箱をヒートシンク突出面の側方から見た断面図である。
図4】本発明の第二実施形態に係る機械室に配置された電装箱をヒートシンク突出面の正面から見た断面図である。
図5】本発明の第三実施形態に係る機械室に配置された電装箱をヒートシンク突出面の正面から見た断面図である。
図6図5のVI-VI断面図である。
図7図5のVII-VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、チリングユニットを例に図1から図5を参照して説明する。後述する本実施形態に係る電装部品冷却装置90における電装箱6は、チリングユニット100のコントローラに好適に適用される。まず、チリングユニット100の構成について説明する。チリングユニット100は、水等の各種の液体を、温度をコントロールしながら循環させるための装置であり、空調機や給湯機を含む様々な産業機械に付随して設置される。
【0022】
具体的には図1に示すように、チリングユニット100は、送風機1と、冷媒回路2と、給水系統3と、ハウジング4、軸流ファン9、及び電装箱6(コントローラ)とを有する電装部品冷却装置90と、を備えている。
【0023】
送風機1の下方には、一対の空気熱交換器21(後述)が設けられている。一対の空気熱交換器21は、水平方向に互いに対向するように間隔をあけて配置されている。詳しくは図示しないが、空気熱交換器21は内部に冷媒が流通する伝熱管とフィンを有している。送風機1により外部から空気熱交換器21を介して空気を取りこみ、空気熱交換器21で熱交換した後、送風機1の上方に吹き出す。
【0024】
冷媒回路2は、空気熱交換器21と、圧縮機22と、膨張弁23と、水熱交換器24と、四方弁(不図示)と、を有している。空気熱交換器21、圧縮機22、膨張弁23、四方弁は、ハウジング4内の空間である機械室10に配置されている。空気熱交換器21、圧縮機22、膨張弁23、及び四方弁は配管によって接続されて冷媒回路2を構成する。
【0025】
給水系統3は、温度調節された水を生成する。給水系統3は、水と上記の水熱交換器24を流通する冷媒との間で熱交換させるための配管と、水を圧送するポンプ31と、を有している。水熱交換器24は、ハウジング4内の機械室10における空気熱交換器21の下方に配置されている。水熱交換器24はポンプ31と接続されており、ポンプ31によって圧送された水は、水熱交換器24内を通過することで加熱されたり冷却されたりする。
【0026】
次に、冷媒回路2に接続された各部品の動作について説明する。まず、圧縮機22は、冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を冷媒回路に供給する。空気熱交換器21は、冷媒と、送風機1によって取り込まれた外部の空気との間で熱交換を行う。膨張弁23は、空気熱交換器21内で熱交換をすることで液化した高圧の冷媒を膨張させて低圧化する。空気熱交換器21は、冷却運転時には、凝縮器として用いられ室外へ放熱し、加熱運転時には、蒸発器として用いられ室外から吸熱する。
【0027】
水熱交換器24は、冷媒と、給水配管を通じて取り込まれた水との間で熱交換を行う。水熱交換器24は、冷却運転時には蒸発器として用いられ、水の熱を吸熱し、加熱運転時には凝縮器として用いられ、水に対して放熱する。四方弁は、冷却運転時と加熱運転時とで冷媒の流通する方向を切り替える。これにより、冷却運転時には、冷媒が、圧縮機22、空気熱交換器21、膨張弁23及び水熱交換器24の順に循環する。一方、加熱運転時には、冷媒が、圧縮機22、水熱交換器24、膨張弁23及び空気熱交換器21の順に循環する。
【0028】
電装部品冷却装置90は、複数の電装箱6と、複数の軸流ファン9と、これらを収容する機械室10を形成するハウジング4とを備えている。
電装箱6は、機械室10の内部に圧縮機22、水熱交換器24、ポンプ31、冷媒回路2及び給水系統3などを形成する配管などとともに収容されている。
電装箱6に納められた電装部品7の回路によって、上記のような冷却運転と加熱運転の切換や、吐出される水の温度を調節するための制御を行う。複数の電装箱6は、互いに同等の機能・構成を有しそれぞれに対応する圧縮機22や送風機1を制御する。
【0029】
図2に示すように、電装箱6は、複数の電装部品7と、電装部品7が貼りつけられて当接するヒートシンク8と、を備えている。図3に示すように、電装箱6の一面となるヒートシンク突出面6Sにはヒートシンク8が突出し、このヒートシンク8が互いに向かい合うように配置されている。冷却が必要で、ヒートシンク8に貼りつけられる電装部品7の具体例としては、IPM(インテリジェントパワーモジュール)やDM(ダイオードモジュール)等の電力用半導体素子が挙げられる。
【0030】
電装箱6のヒートシンク突出面6S同士の間の空間は、軸流ファン9によって形成された空気の流れが流通する流路Fとされている。この流路Fの上端部(鉛直上方の端部)に、水平方向に間隔をあけて複数(4つ)の軸流ファン9が配列されている。
【0031】
各軸流ファン9は、流路F内で下方から上方に向かって空気の流れを形成することができるような姿勢で配置されている。即ち、本実施形態では、各軸流ファン9の回転軸O1は鉛直方向に延びている。そして軸流ファン9が配置される機械室10内の空間Sは、流路Fの上端部からファンの半径方向に広がっている。より具体的にはこの空間Sは、ファン9が並ぶ方向、及び電装箱6のヒートシンク突出面6S同士が向かい合う方向となる機械室10の幅方向の両側に広がっている。
【0032】
機械室10を形成するハウジング4は箱状をなしており、図2に示すようにハウジング4の一部に、軸流ファン9から水平方向に離れた位置に空気を排気して排熱するための排気孔10Hが設けられている。
【0033】
以上説明した本実施形態では、上述のようにチリングユニット100を運転すると各電装部品7が発熱する。この熱は、ヒートシンク8に伝わり、流路Fにおいて軸流ファン9によって流通する空気がヒートシンク8に触れることで、熱を奪い、機械室10を経て排気孔10Hから装置の外部に放出される。これにより各電装部品7が冷却される。
【0034】
そして本実施形態では、一対の電装箱6によって両者の間に流路Fが形成され、ヒートシンク8は当該流路F中に、電装箱6の一面となるヒートシンク突出面6Sから突出して露出している。さらに、流路Fの上端部に軸流ファン9が設けられている。このため、互いに向かい合うように配置された電装箱6のヒートシンク突出面6S上のヒートシンク8を一括で冷却することができるため、軸流ファン9の個数を削減することができる。また、流路Fの上端部に軸流ファン9が設けられていることで軸流ファン9が流路Fのヒートシンク8の直上で、空気を流路Fから吸い出すことができる。このため流路Fの圧力損失を小さくすることができる。その結果、ヒートシンク8に対して効率的に冷却空気を供給することができる。
【0035】
さらに本実施形態では、軸流ファン9が配置された機械室10内の空間Sが軸流ファン9の半径方向に広がっている。したがって、軸流ファン9から吹き出す空気を軸流ファン9の半径方向の外側に導くことができる。よってファン9からの流れが主に半径方向外側に向かうような風量と静圧の運転域であっても、軸流ファン9から吹出した空気の流れが遮られることなく、軸流ファン9が配置された空間Sでの圧力損失の増大を抑制することができる。
【0036】
さらに、流路Fの上端部に沿って水平方向に間隔をあけて複数の軸流ファン9が配列されている。これにより、流路F内、即ち、電装箱6のヒートシンク突出面6Sの間における空気の流量や速度に偏りが生じる可能性を低減することができる。その結果、ヒートシンク8の放熱性能を十分に発揮させることができる。
【0037】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば上記実施形態では、4つの電装箱6、及び4つの軸流ファン9を有する構成した例について説明した。しかしながら、電装箱6、及び軸流ファン9の個数や配置は上記に限定されず、2つや、6つ以上であってもよい。
【0038】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図4を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図4に示すように、本実施形態では、各軸流ファン9Bの姿勢が、上記第一実施形態とは異なっている。より具体的には、本実施形態では、各軸流ファン9Bは、下方から上方に向かうに従って上述の排気孔10Hに向かう方向に空気を流すように配置されている。即ち、各軸流ファン9Bの回転軸O2は、鉛直方向に対して、排気孔10Hに向かう側に傾斜している。なお、軸流ファン9B同士の間で、回転軸O2の傾斜角度は互いに同一である。
【0039】
この構成によれば、軸流ファン9Bが、排気孔10Hに向かう方向に空気を吹き出すように配置されていることから、空気を排気孔10Hに向かって積極的に流すことができる。その結果、機械室10内で高温の空気が滞留する可能性を低減することができる。
【0040】
以上、本発明の第二実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば上記実施形態では、軸流ファン9B同士の間で、回転軸O2の傾斜角度が互いに同一である例について説明した。しかしながら、軸流ファン9Bの姿勢は上記に限定されず、軸流ファン9B同士の間で、回転O2の傾斜角度が互いに異なっている構成を採ることも可能である。例えば排気孔10Hから離れている軸流ファン9Bほど、傾斜角度を大きくし、排気孔10Hに近い軸流ファン9Bほど、傾斜角度を小さくする構成を採ることが可能である。このような構成によれば、機械室10内における空気の滞留をより一層低減することができる。
【0041】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図5から図7を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図6図7に示すように、本実施形態では、互いに隣接する一対の軸流ファン9Cは、鉛直方向から見て互いに異なる方向に空気を流すように配置されている。より具体的には、互いに隣接する一対の軸流ファン9Cの各回転軸O3は、軸流ファン9が並ぶ方向に交差する方向、即ちケーシング10の幅方向に、互いに異なる方向に傾斜して延びている。図6に示すように、隣接する一対の軸流ファン9Cのうち、一方の軸流ファン9C1は、下方から上方に向かうに従って、紙面の右方に向かって空気の流れを形成するように傾斜している。図7に示すように、他方の軸流ファン9C2は、下方から上方に向かうに従って、紙面左方に向かって空気の流れを形成するように傾斜している。さらに、これらの軸流ファン9C1,9C2の回転軸O3は、上記の第二実施形態で説明したように、下方から上方に向かうに従って排気孔10Hに向かう方向にも傾斜している。
【0042】
この構成によれば、互いに隣接する一対の軸流ファン9Cが、鉛直方向から見て互いに異なる方向に空気を流すように配置されていることから、軸流ファン9Cによる空気の流れ同士が互いに干渉してしまうことを低減することができる。その結果、機械室10内で高温の空気が滞留する可能性を低減することができる。
【0043】
以上、本発明の第三実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記の各実施形態では、電装箱6をチリングユニット100のコントローラに適用した例について説明した。しかしながら、電装箱6の適用対象はチリングユニット100に限定されず、他の空気調和装置の室外機や給湯機等に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…送風機
2…冷媒回路
3…給水系統
4…ハウジング
6…電装箱
6S…ヒートシンク突出面
7…電装部品
8…ヒートシンク
9,9B,9C…軸流ファン
9C1…一方の軸流ファン
9C2…他方の軸流ファン
10…機械室
10H…排気孔
21…空気熱交換器
22…圧縮機
23…膨張弁
24…水熱交換器
31…ポンプ
90…電装部品冷却装置
100…チリングユニット
F…流路
S…空間
O1、O2、O3…回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7