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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】作業機、および載置方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
H05K13/08 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018212363
(22)【出願日】2018-11-12
(65)【公開番号】P2020080354
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】石川 一真
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/051446(WO,A1)
【文献】特開2014-022633(JP,A)
【文献】特開2016-219474(JP,A)
【文献】特開2011-000685(JP,A)
【文献】特開平10-107495(JP,A)
【文献】国際公開第2017/013781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面の上に載置された部品を保持する保持具と、前記保持具を揺動させる揺動装置とを有する作業ヘッドと、
前記載置面の上に載置された部品を上方から撮像する撮像装置と、
前記揺動装置の作動を制御する制御装置と
を備え、
前記撮像装置は、
揺動した状態の前記保持具により保持された部品を上方から撮像し、
前記制御装置は、
揺動した状態の前記保持具により保持された部品の前記撮像装置による撮像データに基づいて前記部品の傾斜角度を演算し、当該演算された部品の傾斜角度に基づいて前記保持具を揺動させて、傾斜した状態の部品を保持するように、前記揺動装置の作動を制御する作業機。
【請求項2】
記制御装置は、
前記載置面に対して上面が傾斜した状態の部品を、前記演算された部品の傾斜角度に基づいて前記保持具を揺動させて保持するように、前記揺動装置の作動を制御する請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記保持具により保持された部品を所定の位置に載置する載置作業を、前記演算された部品の傾斜角度を考慮して実行する請求項1または請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
記制御装置は、
揺動した状態の前記保持具により保持された部品の傾斜角度を演算した後に、当該部品が前記載置面に再度載置され前記演算された部品の傾斜角度に基づいて前記保持具を揺動させて、前記載置面に再度載置されて傾斜した状態の部品を保持するように、前記揺動装置の作動を制御する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の作業機。
【請求項5】
前記保持具は、先端部が可撓性の有る素材により形成された吸着ノズルである請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の作業機。
【請求項6】
載置面の上に載置された部品を保持する保持具と、前記保持具を揺動させる揺動装置とを有する作業ヘッドを用いて、載置面に載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持した部品を所定の位置に載置する載置方法であって、
前記載置面の上に載置された部品を上方から撮像するための撮像装置によって、揺動した状態の前記保持具により保持された部品を上方から撮像する撮像工程と、
前記撮像工程により撮像された撮像データに基づいて前記部品の傾斜角度を演算する演算工程と、
前記載置面に対して上面が傾斜した状態の部品を、前記演算工程により演算された部品の傾斜角度に基づいて前記揺動装置により前記保持具を揺動させて保持する保持工程と、
前記保持具により保持された部品を、前記演算された部品の傾斜角度を考慮して、前記所定の位置に載置する載置工程と
を含む載置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具により部品を保持し、作業を行う作業機、および、保持具により保持された部品を所定の位置に載置する載置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、保持具により部品を保持し、作業を行う作業機に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/097904号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、保持具により適切に部品を保持することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、載置面の上に載置された部品を保持する保持具と、前記保持具を揺動させる揺動装置とを有する作業ヘッドと、前記載置面の上に載置された部品を上方から撮像する撮像装置と、前記揺動装置の作動を制御する制御装置とを備え、前記撮像装置は、揺動した状態の前記保持具により保持された部品を上方から撮像し、前記制御装置は、揺動した状態の前記保持具により保持された部品の前記撮像装置による撮像データに基づいて前記部品の傾斜角度を演算し、当該演算された部品の傾斜角度に基づいて前記保持具を揺動させて、傾斜した状態の部品を保持するように、前記揺動装置の作動を制御する作業機を開示する。
【0006】
上記課題を解決するために、本明細書は、載置面の上に載置された部品を保持する保持具と、前記保持具を揺動させる揺動装置とを有する作業ヘッドを用いて、載置面に載置された部品を前記保持具により保持し、前記保持具により保持した部品を所定の位置に載置する載置方法であって、前記載置面の上に載置された部品を上方から撮像するための撮像装置によって、揺動した状態の前記保持具により保持された部品を上方から撮像する撮像工程と、前記撮像工程により撮像された撮像データに基づいて前記部品の傾斜角度を演算する演算工程と、前記載置面に対して上面が傾斜した状態の部品を、前記演算工程により演算された部品の傾斜角度に基づいて前記揺動装置により前記保持具を揺動させて保持する保持工程と、前記保持具により保持された部品を、前記演算された部品の傾斜角度を考慮して、前記所定の位置に載置する載置工程とを含む載置方法を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、傾斜した状態の部品が、当該部品の傾斜角度に基づいて保持具を揺動させた状態で保持される。これにより、傾斜した状態の部品を適切に保持具により保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】部品実装機を示す斜視図である。
図2】部品実装機の部品装着装置を示す斜視図である。
図3】ばら部品供給装置を示す斜視図である。
図4】部品供給ユニットを示す斜視図である。
図5】部品供給ユニットを示す透過図である。
図6】部品供給ユニットを示す透過図である。
図7】部品散在装置を示す斜視図である。
図8】部品散在装置を示す斜視図である。
図9】部品保持ヘッドを示す斜視図である。
図10】リード部品が収納された状態の部品受け部材を示す図である。
図11】部品実装機の制御装置を示すブロック図である。
図12】旋回位置に旋回した状態の部品保持ヘッドを示す図である。
図13】吸着ノズルにより保持されたマスター部品を示す図である。
図14】吸着ノズルにより保持されたリード部品を示す図である。
図15】非旋回位置に位置する状態の部品保持ヘッドを示す図である。
図16】旋回位置に旋回した状態の部品保持ヘッドを示す図である。
図17】吸着ノズルにより保持されたリード部品を示す図である。
図18】旋回位置からリード部品の傾斜角度に相当する角度、下方に向かって旋回した状態の部品保持ヘッドを示す図である。
図19】非旋回位置からリード部品の傾斜角度に相当する角度、上方に向かって旋回した状態の部品保持ヘッドを示す図である。
図20】旋回位置を超えて旋回した状態の部品保持ヘッドを示す図である。
図21】旋回位置に旋回した状態の部品保持ヘッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0010】
(A)部品実装機の構成
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、撮像装置26,28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、制御装置(図11参照)34を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0011】
装置本体20は、フレーム40と、そのフレーム40に上架されたビーム42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0012】
部品装着装置24は、ビーム42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62は、吸着ノズル(図2参照)66を有しており、吸着ノズル66によって部品を保持する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、図2に示すように、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
【0013】
撮像装置26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、撮像装置26は、フレーム40上の任意の位置を撮像する。撮像装置28は、図1に示すように、フレーム40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配
設されている。これにより、撮像装置28は、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66に保持された部品を撮像する。
【0014】
部品供給装置30は、フレーム40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78とフィーダ型部品供給装置(図示省略)とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を部品装着装置24に供給する装置である。フィーダ型部品供給装置は、テープフィーダ(図示省略)、スティックフィーダ(図示省略)によって部品装着装置24に部品を供給する装置である。
【0015】
ばら部品供給装置32は、フレーム40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。以下に、部品供給装置32の構成について詳しく説明する。なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、大まかには異型部品、具体的には、例えば、電子回路部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
【0016】
ばら部品供給装置32は、図3に示すように、本体80と、部品供給ユニット82と、撮像装置84と、部品引渡し装置86とを有している。
【0017】
(a)部品供給ユニット
部品供給ユニット82は、部品供給器88と部品散在装置(図4参照)90と部品戻し装置(図4参照)92とを含み、それら部品供給器88と部品散在装置90と部品戻し装置92とが一体的に構成されたものである。部品供給ユニット82は、本体80のベース96に着脱可能に組み付けられており、ばら部品供給装置32では、5台の部品供給ユニット82が、X方向に1列に並んで配設されている。
【0018】
部品供給器88は、複数の部品の収納が可能であるように概して直方体の箱形状をなし、図4及び図5に示すように、Y方向に延びるように配設されている。なお、Y方向を部品供給器88の前後方向と記載し、部品供給ユニット82において、部品戻し装置92が配設されている側に向かう方向を、前方と記載し、部品供給器88が配設されている側に向かう方向を、後方と記載する。
【0019】
部品供給器88は、上面と前面とにおいて開口しており、上面の開口は、部品の投入口97とされ、前面の開口は部品の排出口98とされている。部品供給器88では、投入口97の下方に、傾斜板104が配設されている。傾斜板104は、部品供給器88の後方側の端面から中央方向に向かって、下方に傾斜するように配設されている。
【0020】
また、傾斜板104の前方側に、図5に示すように、コンベア装置106が配設されている。コンベア装置106は、傾斜板104の前方側端部から部品供給器88の前方に向かって、上方に傾斜するように配設されている。なお、コンベア装置106のコンベアベルト112は、図5での反時計回りに回転する。つまり、コンベア装置106による搬送方向は、傾斜板104の前端部から前方に向かって斜め上方とされている。
【0021】
また、コンベア装置106の前方側端部の下方には、傾斜板126が配設されている。傾斜板126は、部品供給器88の前方側の端面からコンベア装置106の下方に向かって配設されており、後方側の端部が斜め下方に傾斜している。さらに、その傾斜板126の下方にも、傾斜板128が配設されている。傾斜板128は、コンベア装置106の中
央部の下方から部品供給器88の排出口98に向かって、前方側の端部が下方に位置するように傾斜している。
【0022】
また、ベース96には、図4に示すように、1対のサイドフレーム部130が組み付けられている。1対のサイドフレーム部130は、対向した状態で互いに平行且つ、Y方向に延びるように立設されている。そして、1対のサイドフレーム部130の間の距離は、部品供給器88の幅方向の寸法より僅かに大きくされており、1対のサイドフレーム部130の間に、部品供給器88が着脱可能に装着されている。
【0023】
部品散在装置90は、部品支持部材150と部品支持部材移動装置152とを含む。部品支持部材150は、ステージ156と1対の側壁部158とによって構成されている。ステージ156は、概して長手形状の板形状をなし、1対のサイドフレーム部130の間に装着された部品供給器88の下方から前方に延び出すように、配設されている。なお、ステージ156の上面は、概して水平とされており、図5に示すように、部品供給器88の傾斜板128の前方側の端部と僅かなクリアランスのある状態で配設されている。また、1対の側壁部158は、図4に示すように、ステージ156の長手方向の両側部に立設された状態で固定されている。
【0024】
また、部品支持部材移動装置152は、部品支持部材150をエアシリンダ(図11参照)166の作動によりY方向にスライドさせる。この際、部品支持部材150は、部品供給器88の下方に格納された格納状態(図6参照)と、部品供給器88の下方から露出した露出状態(図5参照)との間で移動する。
【0025】
部品戻し装置92は、図7に示すように、部品収容容器180と容器搖動装置181とを含む。部品収容容器180は、概して箱状をなし、底面が円弧形状とされている。部品収容容器180は、部品支持部材150のステージ156の前方側の端部において搖動可能に保持されており、容器搖動装置181の作動により、揺動する。この際、部品収容容器180は、開口を上方に向けた収容姿勢(図7参照)と、開口を部品支持部材150のステージ156の上面に向けた戻し姿勢(図8参照)との間で搖動する。
【0026】
(b)撮像装置
撮像装置84は、図3に示すように、カメラ290とカメラ移動装置292とを含む。カメラ移動装置292は、ガイドレール296とスライダ298とを含む。ガイドレール296は、部品供給器88の上方において、ばら部品供給装置32の幅方向(X方向)に延びるように、本体80に固定されている。スライダ298は、ガイドレール296にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ(図11参照)299の作動により、任意の位置にスライドする。また、カメラ290は、下方を向いた状態でスライダ298に装着されている。
【0027】
(c)部品引渡し装置
部品引渡し装置86は、図3に示すように、部品保持ヘッド移動装置300と部品保持ヘッド302と2台のシャトル装置304とを含む。
【0028】
部品保持ヘッド移動装置300は、X方向移動装置310とY方向移動装置312とZ方向移動装置314とを含む。Y方向移動装置312は、X方向に延びるように、部品供給ユニット82の上方に配設されたYスライダ316を有しており、Yスライダ316は、電磁モータ(図11参照)319の駆動により、Y方向の任意の位置に移動する。X方向移動装置310は、Yスライダ316の側面に配設されたXスライダ320を有しており、Xスライダ320は、電磁モータ(図11参照)321の駆動により、X方向の任意の位置に移動する。Z方向移動装置314は、Xスライダ320の側面に配設されたZス
ライダ322を有しており、Zスライダ322は、電磁モータ(図11参照)323の駆動により、Z方向の任意の位置に移動する。
【0029】
部品保持ヘッド302は、図9に示すように、ヘッド本体330と吸着ノズル332とノズル旋回装置334とノズル回転装置335とを含む。ヘッド本体330は、Zスライダ322と一体的に形成されている。吸着ノズル332は、部品を保持するものであり、ホルダ340の下端部に着脱可能に装着されている。なお、吸着ノズル332は、先端部において部品を吸着保持するが、その先端部は可撓性のある素材により形成されている。
【0030】
また、吸着ノズル332が装着されるホルダ340は、支持軸344において屈曲可能とされており、ノズル旋回装置334の作動により、ホルダ340が支持軸344を中心に屈曲する。これにより、ホルダ340の下端部に装着されている吸着ノズル332は揺動する。なお、ノズル旋回装置334はホルダ340を任意の角度に屈曲させることが可能とされており、吸着ノズル332が任意の角度に揺動する。このため、例えば、ホルダ340が屈曲せずに、吸着ノズル332が旋回していない位置(以下、「非旋回位置」と記載する)から、ノズル旋回装置334の作動により、ホルダ340が上方向に90度屈曲することで、吸着ノズル332が90度、旋回し、旋回位置に搖動する。つまり、吸着ノズル332は、ノズル旋回装置334の作動により、旋回位置と非旋回位置との間で搖動可能とされている。もちろん、非旋回位置と旋回位置との間の任意の角度で吸着ノズル332を位置決め停止させることも可能であり、旋回位置から非旋回位置を超えて揺動させ、その非旋回位置を超えた位置で停止させること、および、非旋回位置から旋回位置を超えて揺動させ、その旋回位置を超えた位置で停止させることも可能である。また、ノズル回転装置335は、吸着ノズル332をそれの軸心周りに回転させる。
【0031】
また、2台のシャトル装置304の各々は、図3に示すように、部品キャリヤ388と部品キャリヤ移動装置390とを含み、部品供給ユニット82の前方側に横方向に並んで、本体80に固定されている。部品キャリヤ388には、5個の部品受け部材392が、横方向に一列に並んだ状態で着脱可能に装着されており、各部品受け部材392に、部品が載置される。
【0032】
なお、ばら部品供給装置32は、種々の部品を供給することが可能であり、部品受け部材392は、部品の形状に応じて種々のものが用意されている。ここでは、ばら部品供給装置32により供給される電子回路部品として、図10に示すように、リードを有するリード部品410に対応する部品受け部材392について説明する。リード部品410は、ブロック状の部品本体412と、部品本体412の底面から突出する2本のリード414とから構成されている。
【0033】
また、部品受け部材392には、リード部品410に応じた形状の部品受容凹部416が形成されている。部品受容凹部416は、段付き形状の凹部であり、部品受け部材392の上面に開口する本体部受容凹部418と、その本体部受容凹部418の底面に開口するリード受容凹部420とから構成されている。そして、リード部品410は、リード414が下方を向く姿勢で、部品受容凹部416の内部に挿入される。これにより、リード414がリード受容凹部420に挿入されるとともに、部品本体412が本体部受容凹部418に挿入された状態で、リード部品410が部品受容凹部416の内部に載置される。つまり、リード部品410は、部品本体412の側面において本体部受容凹部418により位置決めされた状態で、部品受け部材392の内部に載置される。なお、部品本体412の側面は、部品本体412の底面から上方に向かって延び出す面であり、部品本体412の底面と交差して交わる面である。また、本体部受容凹部418での部品本体412のガタ、つまり、本体部受容凹部418の内壁面と部品本体412の側面との間の距離は、約0.5mmとされている。これにより、複数の部品受け部材392に、複数のリード
部品410を位置決めされた状態で載置することが可能とされている。
【0034】
また、部品キャリヤ移動装置390は、図3に示すように、板状の長手部材であり、前後方向に延びるように、部品供給ユニット82の前方側に配設されている。部品キャリヤ移動装置390の上面には、部品キャリヤ388が前後方向にスライド可能に配設されており、電磁モータ(図11参照)430の駆動により、前後方向の任意の位置にスライドする。なお、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82に接近する方向にスライドした際には、部品保持ヘッド移動装置300による部品保持ヘッド302の移動範囲内に位置する部品受取位置までスライドする。一方、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82から離れる方向にスライドした際には、作業ヘッド移動装置64による作業ヘッド60,62の移動範囲内に位置する部品供給位置までスライドする。
【0035】
また、制御装置34は、図11に示すように、統括制御装置450と、複数の個別制御装置(図では1つのみ図示されている)452と、画像処理装置454とを含む。統括制御装置450は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に接続されている。これにより、統括制御装置450は、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32を統括して制御する。複数の個別制御装置452は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に対応して設けられている(図では、ばら部品供給装置32に対応する個別制御装置452のみが図示されている)。
【0036】
ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304を制御する。また、画像処理装置454は、撮像装置84に接続されており、撮像装置84により撮像された撮像データを処理する。その画像処理装置454は、ばら部品供給装置32の個別制御装置452に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、撮像装置84により撮像された撮像データを取得する。
【0037】
(B)部品実装機の作動
部品実装機10は、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、撮像装置26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、回路基材12の保持位置の誤差に関する情報が得られる。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、部品を供給する。なお、ばら部品供給装置32による部品の供給に関しては、後で詳しく説明する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル66によって部品を保持する。続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、撮像装置28の上方に移動し、撮像装置28によって、吸着ノズル66に保持された部品が撮像される。これにより、部品の保持位置の誤差に関する情報が得られる。そして、部品を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、保持している部品を、回路基材12の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正し、回路基材12上に装着する。
【0038】
(C)ばら部品供給装置の作動
ばら部品供給装置32では、リード部品410が、作業者によって部品供給器88の投
入口97から投入され、その投入されたリード部品410が、部品供給ユニット82,部品引渡し装置86の作動により、部品キャリヤ388の部品受け部材392に載置された状態で供給される。
【0039】
詳しくは、作業者は、部品供給器88の上面の投入口97から、リード部品410を投入する。この際、部品支持部材150は、部品支持部材移動装置152の作動により、部品供給器88の下方に移動しており、格納状態とされている(図6参照)。なお、部品支持部材150が格納状態とされている際に、部品支持部材150の前方側の端部に配設された部品収容容器180は、部品供給器88の前方に位置しており、部品収容容器180の開口を上方に向けた姿勢(収容姿勢)とされている。
【0040】
部品供給器88の投入口97から投入されたリード部品410は、部品供給器88の傾斜板104の上に落下し、傾斜板104の前方側の下端まで転がり落ちる。この際、傾斜板104の前方側の下端まで転がり落ちたリード部品410は、傾斜板104の前方側の下端と、コンベア装置106の後方側の下端との間に山積される。そして、コンベア装置106が作動されることで、コンベア装置106のコンベアベルト112が図6での反時計回りに周回する。この際、傾斜板104とコンベアベルト112との間に山積されたリード部品410のうちの所定数のリード部品410が、コンベアベルト112の隣り合う2つの突起部115の間に入り込み、それら複数のリード部品410が、コンベアベルト112によって斜め上方に向かって搬送される。
【0041】
そして、コンベアベルト112によって搬送されたリード部品410は、コンベア装置106の前方側の上端から傾斜板126の上に落下する。その傾斜板126の上に落下したリード部品410は、傾斜板126の上を後方に向かって転がり落ち、傾斜板128の上に落下する。その傾斜板128の上に落下したリード部品410は前方に向かって転がり落ち、部品供給器88の前方側の排出口98から排出される。
【0042】
これにより、部品供給器88の排出口98から排出されたリード部品410は、部品収容容器180の内部に収容される。そして、部品供給器88から所定量のリード部品410が排出されると、つまり、コンベア装置106が一定量作動すると、コンベア装置106が停止する。次に、部品支持部材150が、部品支持部材移動装置152の作動により、格納状態から前方に向かって移動する。
【0043】
そして、部品支持部材150が格納状態から所定量、露出状態となる前方に向かって移動したタイミングで、部品戻し装置92の容器搖動装置181が作動し、部品収容容器180が揺動する。これにより、部品収容容器180の姿勢が、開口を上方に向けた姿勢(収容姿勢)から、開口をステージ156に向けた姿勢(戻し姿勢)に勢いよく変化する。この際、部品収容容器180に収容されたリード部品410が、ステージ156に向かって勢いよく放出される。これにより、部品収容容器180からステージ156の上にリード部品410が散在される。
【0044】
上述した手順に従って、部品供給器88から部品支持部材150のステージ156の上にリード部品410が散在されると、撮像装置84のカメラ290が、カメラ移動装置292の作動により、部品支持部材150の上方に移動し、リード部品410を撮像する。そして、部品支持部材150の上面に散在された複数のリード部品410に対して、撮像データに基づいて、部品支持部材150上での位置、リード部品410の姿勢等の情報が演算される。
【0045】
そして、演算されたリード部品410の位置に関する情報などに基づいて、リード部品の上方に、部品保持ヘッド302が、部品保持ヘッド移動装置300の作動により移動し
、吸着ノズル332によってリード部品が吸着保持される。なお、吸着ノズル332によってリード部品が吸着保持される際には、吸着ノズル332は、非旋回位置に位置している。
【0046】
次に、リード部品410が吸着ノズル332によって保持された後に、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動する。この際、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品受取位置に移動している。また、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動する際に、吸着ノズル332は、旋回位置に旋回される。これにより、図12に示すように、旋回位置の吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414が、鉛直方向での下方を向く。
【0047】
部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動すると、リード414が鉛直方向での下方を向いた状態のリード部品410が、部品受け部材392の部品受容凹部416内に挿入される。これにより、リード部品410は、図10に示すように、リード414を鉛直方向での下方に向けた状態で、部品受け部材392に載置される。
【0048】
そして、リード部品410が部品受け部材392に載置されると、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品供給位置に移動する。部品供給位置に移動した部品キャリヤ388は、作業ヘッド60,62の移動範囲に位置しているため、ばら部品供給装置32では、この位置においてリード部品410が部品実装機10に供給される。このように、ばら部品供給装置32では、部品受け部材392において、リード414が下方を向き、リード414が接続されている底面と対向する上面が上方を向いた状態で、リード部品410が供給される。このため、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66は、適切にリード部品410を保持することができる。
【0049】
ただし、ばら部品供給装置32において、リード部品410が、ステージ156から吸着ノズル332により保持される際に、吸着ノズル332によるリード部品410の保持位置がズレる場合がある。このような場合には、吸着ノズル332に保持されたリード部品410が部品受け部材392に載置される際に、吸着ノズル332に保持されたリード部品410を、部品受け部材392の部品受容凹部416内に挿入できない虞がある。また、吸着ノズル332に保持されたリード部品410が、部品受け部材392の部品受容凹部416内に挿入されたとしても、リード部品410が部品受容凹部416の内部で傾く虞もある。このような場合には、部品受け部材392が部品供給位置に移動した際に、リード部品410を供給することができないため、部品実装機10による作業が停止し、部品実装機10の稼働率が低下する。
【0050】
このようなことに鑑みて、ばら部品供給装置32では、吸着ノズル332によるリード部品410の保持位置のズレが、カメラ290による撮像データに基づいて補正される。具体的には、まず、部品実装機10での装着作業が実行される前に、リード部品410のマスター部品を用いて、吸着ノズル332によるマスター部品の保持位置のズレ量が演算される。この際、マスター部品として、寸法精度の高いリード部品410が用いられる。つまり、部品本体412の長さ寸法,部品本体412の各面の平坦度などに、許容される公差より相当小さい誤差が設定され、その誤差の範囲内で製造されたリード部品410が、マスター部品として用いられる。
【0051】
そして、そのマスター部品がステージ156に上に散在され、リード部品410と同様の手法に従って、吸着ノズル332により吸着保持される。つまり、非旋回位置に位置している吸着ノズル332により、ステージ156の上からマスター部品が保持される。そして、吸着ノズル332が非旋回位置から旋回位置に旋回される。これにより、旋回位置に旋回している吸着ノズル332に保持されたマスター部品は、図12に示すように、リ
ード414を鉛直方向での下方に向けた姿勢となる。そして、部品保持ヘッド移動装置300の作動が制御されることで、吸着ノズル332に保持されたマスター部品がカメラ290の下方に位置するように、部品保持ヘッド302が移動する。この際、吸着ノズル332に保持されたマスター部品がカメラ290により撮像される。
【0052】
なお、リード414を鉛直方向での下方に向けた姿勢のマスター部品が、上方からの視点において、カメラ290により撮像されるため、その撮像時において、図13に示すように、リード414は撮像されず、部品本体412のみが撮像される。そして、コントローラ120は、その撮像データに基づいて、吸着ノズル332によるマスター部品の保持位置のズレ量αを演算する。ちなみに、マスター部品の保持位置のズレ量αは、旋回位置に旋回している吸着ノズル332の先端部の中心と、その吸着ノズル332により保持されたマスター部品の部品本体412の中心とのズレ量(つまりは、理想とされるマスター部品の保持位置と実際に保持したときのマスター部品のズレ量)であり、吸着ノズル332の延びる方向と直行し、かつ、水平な方向でのズレ量である。また、マスター部品の保持位置のズレ量αだけでなく、マスター部品の保持位置のズレ方向も演算される。
【0053】
そして、マスター部品の保持位置のズレ量α及びズレ方向が演算されると、ばら部品供給装置32での部品供給時において、マスター部品の保持位置のズレ量α及びズレ方向を考慮して、吸着ノズル332によりリード部品410が保持される。つまり、ばら部品供給装置32での部品供給時において、上述したように、ステージ156に散在されたリード部品410が、カメラ290により撮像され、その撮像データに基づいて、保持対象のリード部品のステージ156上でのXY方向における位置、リード部品410の姿勢等の情報が演算される。この際、演算されたリード部品のXY方向における位置、つまり、座標が、マスター部品の保持位置のズレ量α及びズレ方向に基づいて補正される。例えば、演算されたリード部品のXY方向における座標が(x1、y1)である場合に、ズレ方向がX方向であれば、(x1-α、y1)に補正される。そして、その補正された座標(x1-α、y1)に基づいて、吸着ノズル332によるリード部品410の保持作業が実行される。これにより、例えば、ホルダ340への吸着ノズル332の装着位置のズレ、部品保持ヘッド302によるホルダ340の支持位置のズレなどが生じている場合であっても、吸着ノズル332によって、ズレを生じさせることなくリード部品410を保持することができる。
【0054】
ただし、装着作業に用いられるリード部品410では、公差の範囲内で誤差が許容されているため、マスター部品と比較すると、寸法精度が低い。このため、マスター部品の保持位置のズレ量α及びズレ方向に基づいて、ステージ156でのリード部品の位置座標が補正されても、吸着ノズル332によるリード部品410の保持位置がズレる場合がある。そこで、補正されたリード部品の位置座標に基づいて、吸着ノズル332によるリード部品410の保持作業が実行された場合において、その保持作業により保持されたリード部品410がカメラ290により撮像され、その撮像データに基づいて、吸着ノズル332によるリード部品410の保持位置のズレ量αが演算される。
【0055】
詳しくは、補正されたリード部品の位置座標に基づいて、リード部品410の保持作業が実行される。この際、リード部品410は、非旋回位置に位置している吸着ノズル332により、ステージ156の上からリード部品410が保持される。そして、吸着ノズル332が非旋回位置から旋回位置に旋回される。これにより、旋回位置に旋回している吸着ノズル332に保持されたリード部品410は、図12に示すように、リード414を鉛直方向での下方に向けた姿勢となる。そして、部品保持ヘッド移動装置300の作動が制御されることで、吸着ノズル332に保持されたリード部品410がカメラ290の下方に位置するように、部品保持ヘッド302が移動する。この際、吸着ノズル332に保持されたリード部品410がカメラ290により撮像される。
【0056】
なお、リード部品410も、マスター部品と同様に、リード414を鉛直方向での下方に向けた姿勢で、上方からの視点においてカメラ290により撮像されるため、その撮像時において、図14に示すように、リード414は撮像されず、部品本体412のみが撮像される。そして、コントローラ120は、その撮像データに基づいて、吸着ノズル332によるリード部品410の保持位置のズレ量βを演算する。ちなみに、リード部品410の保持位置のズレ量βは、旋回位置に旋回している吸着ノズル332の先端部の中心と、その吸着ノズル332により保持されたリード部品410の部品本体412の中心とのズレ量であり、吸着ノズル332の延びる方向と直行し、かつ、水平な方向でのズレ量である。また、リード部品410の保持位置のズレ量βだけでなく、リード部品410の保持位置のズレ方向も演算される。
【0057】
そして、リード部品410の保持位置のズレ量β及びズレ方向が演算されると、そのリード部品410の保持位置のズレ量β及びズレ方向を考慮して、吸着ノズル332に保持されているリード部品410が部品受け部材392に載置される。具体的には、部品受け部材392のリード部品410の載置箇所、つまり、部品受容凹部416のXY方向における座標(x2、y2)がコントローラ120に記憶されている。そして、リード部品410の保持位置のズレ方向がX方向であれば、部品受容凹部416のXY方向における座標が(x2-β、y2)に補正される。そして、その補正された座標(x2-β、y2)に基づいて、吸着ノズル332に保持されているリード部品410の部品受け部材392への載置作業が実行される。これにより、寸法精度が低いリード部品410であっても、適切に部品受容凹部416の内部に挿入し、載置することができる。
【0058】
また、上記説明では、ステージ156に散在されたリード部品410が吸着ノズル332により保持される際に、吸着ノズル332は非旋回位置に位置しており、吸着ノズル332に保持されたリード部品410が部品受け部材392に載置される際に、吸着ノズル332は、非旋回位置から旋回位置に旋回する。しかしながら、そのように、吸着ノズル332が旋回位置から非旋回位置に旋回しても、吸着ノズル332を適切に部品受け部材392に載置することができない場合がある。
【0059】
詳しくは、図15に示すように、リード部品410の部品本体412の側面に凸部470が形成されている場合が有り、このような場合には、その凸部470が下方を向いた状態でリード部品410がステージ156の上に散在されると、リード部品410は傾斜した状態となる。なお、リード部品410が傾斜した状態とは、リード部品410の部品本体412の上面がステージ156の載置面に対して傾斜した状態であり、別の言い方をすれば、リード部品410の吸着ノズル332により吸着保持される面が、ステージ156の載置面に対して傾斜した状態である。そして、そのように傾斜した状態のリード部品410が、非旋回位置に位置している吸着ノズル332により保持されると、図15に示すように、吸着ノズル332の先端部が偏って変形した状態でリード部品410が保持される。これは、吸着ノズル332の先端部が、可撓性のある素材により形成されているためである。
【0060】
そして、リード部品410が吸着ノズル332に保持された後に、吸着ノズル332が非旋回位置から旋回位置に旋回すると、図16に示すように、吸着ノズル332に保持されたリード部品410は、リード414が鉛直方向に対して傾斜した姿勢となる。このように、リード414が鉛直方向に対して傾斜した姿勢では、リード部品410を適切に部品受け部材392に載置することができない。このため、部品実装機10では、図19に示すように、ステージ156に散在されたリード部品410の傾斜角度に基づいて、吸着ノズル332を非旋回位置から揺動させ、その揺動させた状態の吸着ノズル332によりリード部品410が保持される。
【0061】
詳しくは、まず、旋回位置に旋回している吸着ノズル332に保持されたリード部品410が、カメラ290により撮像される。この際、リード部品410は、リード414を鉛直方向での下方に向けた姿勢で、上方からの視点においてカメラ290により撮像されるため、その撮像時において、図17に示すように、リード414は撮像されず、部品本体412のみが撮像される。そして、リード部品410が傾斜している場合と、リード部品410が傾斜していない場合とで、撮像される部品本体412の位置が異なる。つまり、リード部品410が傾斜していない状態でステージ156に散在されている場合に、そのリード部品410が、非旋回位置に位置している吸着ノズル332により保持された後に、非旋回位置から旋回位置に旋回すると、図12に示すように、リード部品410のリード414は鉛直方向を向く。そして、その旋回位置に位置する吸着ノズル332に保持されたリード部品410がカメラ290により撮像されると、その撮像された部品本体412の位置は、図17の実線で示される位置となる。一方、リード部品410が傾斜している状態でステージ156に散在されている場合に、そのリード部品410が、非旋回位置に位置している吸着ノズル332により保持された後に、非旋回位置から旋回位置に旋回すると、図16に示すように、リード部品410のリード414は鉛直方向に対して傾斜する。この際、リード414の先端が吸着ノズル332から離れる方向に向かって、リード部品410も傾斜している。そして、その旋回位置に位置する吸着ノズル332に保持されたリード部品410がカメラ290により撮像されると、その撮像された部品本体412の位置は、図17の点線で示される位置となる。これは、リード414の先端、つまり、リード部品410の下端が吸着ノズル332から離れる方向に向かって、リード部品410が傾斜することで、部品本体412が吸着ノズル332に接近するためである。
【0062】
このように、リード部品410が傾斜して保持されている場合と、リード部品410が傾斜しておらず保持されている場合とで、撮像される部品本体412の位置が異なる。つまり、リード部品410が傾斜していない場合での部品本体412の中心位置Aと、リード部品410が傾斜している場合での部品本体412の中心位置Bとが異なる。そこで、撮像される部品本体412の中心位置がAとなるまで、リード部品410を保持する吸着ノズル332を非旋回位置から順次、揺動させる毎に、リード部品410が撮像され、その撮像データに基づいて、リード部品410の傾斜角度が演算される。
【0063】
具体的には、旋回位置に位置している吸着ノズル332により保持されたリード部品410がカメラ290により撮像された場合に、撮像された部品本体412の中心位置がBにある場合に、その部品本体412の中心位置がAに接近する方向に、吸着ノズル332を旋回位置から所定の角度、例えば、1度、揺動させる。なお、吸着ノズル332を旋回位置から下方に向かって揺動させることで、撮像された部品本体412の中心位置がBからAに接近する。このため、吸着ノズル332を旋回位置から1度、下方に向かって、つまり、非旋回位置に向かって揺動させて部品の保持角度を変更する。そして、吸着ノズル332を揺動させた後に、吸着ノズル332により保持されたリード部品410が、カメラにより撮像される。この際、撮像データがコントローラ120により分析され、撮像された部品本体412の中心位置がAとなっている否かが判断される。なお、Aの値は部品の種類毎にコントローラ120に記憶されている。
【0064】
そして、撮像された部品本体412の中心位置がAとなっていない場合には、吸着ノズル332を更に1度、下方に向かって揺動させて部品の保持角度を変更し、吸着ノズル332を揺動させた後に、吸着ノズル332に保持されたリード部品410が、カメラにより撮像される。続いて、撮像データがコントローラ120により分析され、撮像された部品本体412の中心位置がAとなっている否かが判断されるとともに、部品本体の中心位置の変化量が演算される。この際、撮像された部品本体412の中心位置がAとなっていない場合には、揺動させた角度と演算された中心位置の変化量が考慮されて、吸着ノズル
332の更なる下方への1度の揺動,搖動後のカメラ290によるリード部品410の撮像,撮像データの分析が、撮像された部品本体412の中心位置がAとなるように、繰り返される。
【0065】
そして、撮像された部品本体412の中心位置がAとなった場合に、図18に示すように、吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414が鉛直方向を向いた状態となる。このため、撮像された部品本体412の中心位置がAとなった際の吸着ノズル332の累積的な揺動角度、つまり、旋回位置からの搖動角度ωが、旋回位置に位置していた際の吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414の鉛直方向に対する傾斜角度と考えられる。また、旋回位置に位置していた際の吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414の鉛直方向に対する傾斜角度は、ステージ156に散在されたリード部品410の傾斜角度と同じである。このため、吸着ノズル332の累積的な揺動角度、つまり、旋回位置からの搖動角度ωが、ステージ156でのリード部品410の傾斜角度として決定される。
【0066】
そして、上記手法によりリード部品410の傾斜角度ωが決定されると、吸着ノズル332が非旋回位置に旋回し、吸着ノズル332に保持されていたリード部品410がステージ156の上に戻される。続いて、図19に示すように、吸着ノズル332を、非旋回位置から上方に向かって、つまり、旋回位置に向かって、リード部品410の傾斜角度ωに相当する角度、揺動させる。これにより、リード部品410の部品本体412の上面と、吸着ノズル332の吸着面とが平行となる。このため、吸着ノズル332を非旋回位置から上方に向かってリード部品410の傾斜角度ωに相当する角度、揺動させた状態で、リード部品410を吸着ノズル332により保持することで、吸着ノズル332の先端部が偏って変形することなく、リード部品410が吸着ノズル332により保持される。
【0067】
続いて、吸着ノズル332に保持されたリード部品410を部品受け部材392に載置するために、吸着ノズル332に保持されたリード部品410を、リード414が鉛直方向を向く姿勢に変更するべく、吸着ノズル332を旋回する必要がある。この際、リード部品410の傾斜角度ωを考慮して、吸着ノズル332が旋回される。つまり、リード部品410が保持される際に、吸着ノズル332は、既に、リード部品410の傾斜角度ωに相当する角度、揺動しているため、従来のように、吸着ノズル332を、更に90度揺動させると、図20に示すように、吸着ノズル332は、旋回位置を超えた位置まで搖動する。このように、吸着ノズル332が旋回位置を超えた位置まで搖動すると、吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414は鉛直方向に対して傾斜する。そこで、図21に示すように、リード部品410が保持される際に、吸着ノズル332は、既に、リード部品410の傾斜角度ωに相当する角度、揺動していることを考慮して、90度からリード部品410の傾斜角度ωを減算した角度(90-ω)に相当する角度、吸着ノズル332を揺動させる。これにより、吸着ノズル332は旋回位置まで搖動し、吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414は鉛直方向を向くことで、吸着ノズル332に保持されたリード部品410を適切に部品受け部材392に載置することができる。つまり、吸着ノズル332に保持されたリード部品410の部品受け部材392への載置作業を好適に行うことができる。
【0068】
このように、部品実装機10では、ステージ156でのリード部品410の傾斜角度ωが、リード部品410を保持した吸着ノズル332の撮像データに基づいて演算される。そして、非旋回位置から、演算されたリード部品410の傾斜角度ωに相当する角度、旋回位置に向かって吸着ノズル332を揺動させた状態で、リード部品410がステージ156の上から吸着ノズル332により保持される。これにより、吸着ノズル332の先端部を偏って変形させることなく、リード部品410が吸着ノズル332により保持される。そして、リード部品410の傾斜角度ωを考慮して、吸着ノズル332が旋回位置まで
搖動することで、吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414が鉛直方向を向く。これにより、吸着ノズル332に保持されたリード部品410の部品受け部材392への載置作業を好適に行うことができる。
【0069】
なお、部品実装機10は、作業機の一例である。ステージ156は、載置面の一例である。カメラ290は、撮像装置の一例である。部品保持ヘッド302は、作業ヘッドの一例である。吸着ノズル332は、保持具の一例である。ノズル旋回装置334は、揺動装置の一例である。個別制御装置452は、制御装置の一例である。
【0070】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、リード部品410が部品本体412に形成された凸部470によりステージ156の上で傾斜しているが、他の要因によりリード部品410が傾斜する場合がある。つまり、リード部品410の形状以外の要因により、リード部品410がステージ156において傾斜する場合がある。具体的には、例えば、ステージ156の上に異物があり、その異物の上にリード部品410が散在された場合に、リード部品410は傾斜した状態となる。また、リード部品410が、他のリード部品の上に乗り上げた場合にも、リード部品410は傾斜した状態となる。また、リード部品410が、ステージ156の構成物、例えば、側壁部158に乗り上げた場合にも、リード部品410は傾斜した状態となる。
【0071】
また、上記実施例では、上方に配置されたカメラ290により、吸着ノズル332に保持されたリード部品410が撮像されているが、下方に配置されたカメラ,側方に配置されたカメラにより、吸着ノズル332に保持されたリード部品410が撮像されてもよい。つまり、吸着ノズル332に保持された部品を、上方からの視点だけでなく、側方、下方など種々の方向からの視点において撮像されてもよい。なお、下方に配置されたカメラ,側方に配置されたカメラにより、吸着ノズル332に保持されたリード部品410が撮像される際に、非旋回位置に位置する吸着ノズル332に保持されたリード部品410を撮像できる場合には、非旋回位置に位置する吸着ノズル332に保持されたリード部品410を撮像すればよい。例えば、吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414が撮像できる場合においては、吸着ノズル332を旋回させることなく、その吸着角度は比較的容易に識別できる。またリード部品410を異なった方向から複数回、撮像することで、リード部品410のリード414の傾きを3次元的に取得することが出来、延いては、保持されるリード部品410の正確な傾きを取得することができる。また、リード部品410のリード414がステージ156の上に乗っている姿勢で散在されている場合には、上方からリード部品410を撮像しても、リード部品410のリード414を撮像することはできないことから、上方からの撮像に加え、少なくとも、リード部品410を保持した状態で撮像して、それらの撮像データに基づいて、リード414の傾きを取得してもよい。また、リード部品410が上方からリード414が撮像される姿勢で散在されている場合においても、リード414の3次元的な傾斜角度の識別は不可能であることから、前記の手法が採用される。
【0072】
また、上記実施例では、部品本体412の中心位置に基づいてリード部品410の傾斜角度ωが演算されているが、部品本体412の外形線,リード414の先端位置,リード414の傾斜角度等に基づいて、リード部品410の傾斜角度ωが演算されてもよい。
【0073】
また、上記実施例では、リード部品410の撮像データに基づいてリード部品410の傾斜角度ωが演算されているが、部品の上下方向へのズレを検出可能なセンサなどを用いて、リード部品410の傾斜角度ωが演算されてもよい。
【0074】
また、上記実施例では、吸着ノズル332に保持されたリード部品410が部品受け部材392に載置されているが、吸着ノズル332に保持されたリード部品410を任意の位置に載置することができる。例えば、吸着ノズル332に保持されたリード部品410を基板上に載置してもよい。この際、基板に形成された貫通穴にリード部品410のリード414が挿入される。つまり、吸着ノズル332に保持されたリード部品410の基板への装着作業時に、本発明を適用してもよい。また、例えば、リード部品410の形状以外の要因により、リード部品410がステージ156において傾斜している場合に、吸着ノズル332に保持されたリード部品410を、リード部品410の傾斜角度を考慮して、ステージ156に戻してもよい。これにより、リード部品410を傾斜しない状態でステージ156に戻すことができる。
【0075】
また、上記実施例では、吸着ノズル332に保持されたリード部品410が撮像され、その撮像データに基づいて、リード部品410の傾斜角度ωが演算されているが、例えば、ステージ156の上に散在されているリード部品410が上方から撮像され、その撮像データに基づいて、リード部品410の傾斜角度ωが演算されてもよい。具体的には、例えば、部品本体412に凸部470が形成されたリード部品410のように、リード部品410の形状に起因して、リード部品410がステージ156において傾斜する場合には、上方からの撮像データによって、散在する部品の傾斜姿勢はパターン化することができ、比較的容易にその傾斜角度を特定することが可能であることから、リード部品410の傾斜角度を予め測定しておくことができる。そこで、散在される部品種やその姿勢の種類に応じた部品の傾斜角度をマップデータとしてコントローラ120に設定しておく。そして、ステージ156の上に散在されているリード部品410の上方からの撮像データに基づいて、部品種やその姿勢の種類を特定し、特定された部品種の傾斜角度をマップデータから取得する。このように、散在された部品の姿勢の種類やその傾斜角度が特定されてもよい。その取得された部品種の傾斜角度に基づいて、その時に作業ヘッドや部品保持ヘッドに取り付けられている保持具としての吸着ノズルが散在された部品を保持にいく角度および部品の保持する角度が決定されるとともに、その保持が実行される。例えば、吸着ノズルによって散在された部品を保持する場合には、散在された部品の吸着する面と吸着ノズルの吸着端面(ノズル端面)とが平行となるように吸着に向かい、そして吸着される。
【0076】
また、上記実施例では、リード部品410に本発明が適用されているが、種々の種類の部品に本発明を適用することが可能である。大まかには異形部品、具体的には、例えば、太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品,リードを有さない電子回路部品等に、本発明を適用することが可能である。
【0077】
また、上記実施例では、吸着ノズル332を保持するホルダ340がノズル旋回装置334により屈曲することで、吸着ノズル332が揺動するが、異なる機構により吸着ノズル332が揺動してもよい。例えば、部品保持ヘッド302が揺動することで、吸着ノズル332が揺動してもよい。
【0078】
また、上記実施例では、部品を保持する保持具として、吸着ノズル332が採用されているが、把持爪により部品を把持する把持具、所謂、チャックが採用されてもよい。この場合、散在された部品の傾斜角度が取得され、その保持する部品の複数の保持面と平行となるように、把持爪や把持具が部品を把持する方向に移動して、その把持が実行される。例えば、散在されたリード部品が、リードが上方を向いた状態である場合には、把持具での保持が有効である。また、部品保持ヘッド302では、1個の保持具のみが装着されているが、複数の保持具を装着可能な作業ヘッドが採用されてもよい。また、保持具は、さまざまな種類のものが選択的に自動で交換がなされても良い。
【符号の説明】
【0079】
10:部品実装機(作業機) 156:ステージ(載置面) 290:カメラ(撮像装置) 302:部品保持ヘッド(作業ヘッド) 332:吸着ノズル(保持具)
334:ノズル旋回装置(搖動装置) 452:個別制御装置(制御装置)
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