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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】カーテンレール装置
(51)【国際特許分類】
   A47H 1/04 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
A47H1/04 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019022085
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020127646
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】江上 達也
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-196408(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0261370(US,A1)
【文献】米国特許第3643288(US,A)
【文献】特開2011-130941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンレールのレール端部にフィニアルが取り付けられたカーテンレール装置であって、
前記フィニアルは、
前記レール端部が嵌合される底面が円形形状の嵌合凹部を備える基部と、
前記嵌合凹部の底面において、第1位置および第2位置に回転可能に設けられる固定金具とを備え、
前記固定金具が前記第1位置のとき、前記基部が一方の前記レール端部に対して取り付けられ、
前記固定金具が前記第2位置のとき、前記基部が他方の前記レール端部に対して取り付けられる
カーテンレール装置。
【請求項2】
前記カーテンレールは、前記固定金具が固定部材によって固定される固定部を備え、
側面視において、前後で非対称の形状を有している
請求項1に記載のカーテンレール装置。
【請求項3】
前記固定部は、前記カーテンレールの下部に対して背面側に偏倚して位置している
請求項2に記載のカーテンレール装置。
【請求項4】
前記固定金具は、第1片と第2片とを備え、
前記第1片が前記嵌合凹部の底面の中心を中心にして回転可能に取り付けられ、
前記第2片が前記レール端部に取り付けられる
請求項1ないし3のうち何れか1項に記載のカーテンレール装置。
【請求項5】
前記第1位置と前記第2位置とは、側面視において、前記底面の中心を通り、かつ、上下に延びる軸を対象軸とした線対称である
請求項4に記載のカーテンレール装置。
【請求項6】
前記フィニアルの外周面は、前記フィニアルの長手方向に延びる中心を通り、かつ、上下方向に広がる仮想平面を対称面として、前面側の意匠と背面側の意匠とが同じ意匠である
請求項5に記載のカーテンレール装置。
【請求項7】
前記第1位置と前記第2位置とは、側面視において、前記底面の中心を通り、かつ、前後に延びる軸を対象軸とした線対称である
請求項4に記載のカーテンレール装置。
【請求項8】
前記フィニアルの外周面は、前記カーテンレールの長手方向に延び、装飾シートを貼着する際の基準となる基準突条を備え、前記基準突条は、前記基部が前記レール端部に対して取り付けられたとき、背面側に位置する
請求項7に記載のカーテンレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンレールのレール端部に取り付けられる装飾部材を備えたカーテンレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンレール装置は、カーテンレールと、カーテンレールの各レール端部に取り付けられる専用フィニアルとを備えている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-51710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品点数の削減の観点からも、カーテンレール装置は、カーテンレールとフィニアルとの統一した意匠を維持しながら一方のレール端部に取り付けるフィニアルと他方のレール端部に取り付けるフィニアルとを共通部品とすることが望まれる。しかしながら、上記カーテンレールの一方のレール端部に取り付けたフィニアルと同じフィニアルを他方のレール端部に取り付けると、カーテンレールとフィニアルとの意匠上の統一感を得づらくなることもある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、カーテンレールの何れのレール端部にも、同じ装飾部材の取付を可能とし、カーテンレールと統一な意匠を得られるようにした装飾部材を備えたカーテンレール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのカーテンレール装置は、カーテンレールのレール端部に取り付けられる部材であって、前記部材に備える基部と、前記レール端部に対し前記基部が嵌合可能であり、第1位置および第2位置に回転可能に設けられる固定金具とを備え、前記固定金具が前記第1位置のとき、前記基部が一方の前記レール端部に対して取り付けられ、前記固定金具が前記第2位置のとき、前記基部が他方の前記レール端部に対して取り付けられる。
【0007】
上記カーテンレール装置において、前記カーテンレールは、前記固定金具が固定部材によって固定される固定部を備え、側面視において、前後で非対称の形状を有しているようにしてもよい。例えば、前記固定部は、前記カーテンレールの下部に対して背面側に偏倚して位置している。
【0008】
上記カーテンレール装置において、前記基部は、前記レール端部が嵌合される嵌合凹部を備え、前記固定金具は、第1片と第2片とを備え、前記第1片が前記嵌合凹部の底面の中心を中心にして回転可能に取り付けられ、前記第2片が前記レール端部に取り付けられるようにしてもよい。
【0009】
上記カーテンレール装置において、前記第1位置と前記第2位置とは、側面視において、前記底面の中心を通り、かつ、上下に延びる軸を対象軸とした線対称としてもよい。
上記カーテンレール装置において、前記装飾部材の外周面は、前記装飾部材の長手方向に延びる中心を通り、かつ、上下方向に広がる仮想平面を対称面として、前面側の意匠と背面側の意匠とが同じ意匠としてもよい。
【0010】
上記カーテンレール装置において、前記第1位置と前記第2位置とは、側面視において、前記底面の中心を通り、かつ、前後に延びる軸を対象軸とした線対称としてもよい。
上記カーテンレール装置において、前記装飾部材の外周面は、前記カーテンレールの長手方向に延び、装飾シールを貼着する際の基準となる基準突条を備え、前記基準突条は、前記基部が前記レール端部に対して取り付けられたとき、背面側に位置するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カーテンレールの何れのレール端部にも、同じ装飾部材の取付を可能とし、カーテンレールと統一な意匠を得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態におけるカーテンレール装置の斜視図。
図2】カーテンレール装置が取付面に取り付けられた状態の側面図。
図3】レール本体の側面図。
図4】カーテンレールの分解斜視図。
図5】フィニアルの分解斜視図。
図6】ベースのレール本体に対する固定機構の分解斜視図。
図7】(a)は、ベースをレール本体の左側端部に取り付けるときのベースと固定金具との位置関係を示す図4の左矢視図、(b)は、ベースがレール端部に固定された状態の図4の左矢視図。
図8】(a)は、ベースをレール本体の右側端部に取り付けるときのベースと固定金具との位置関係を示す図4の右矢視図、(b)は、ベースがレール端部に固定された状態の図4の右矢視図。
図9】(a)は、フィニアルの正面図、(b)は、側面図。
図10】第2実施形態におけるカーテンレールの分解斜視図。
図11】ベースのレール本体に対する固定機構の分解斜視図。
図12】(a)は、ベースをレール本体の左側端部に取り付けるときのベースと固定金具との位置関係を示す図10の左矢視図、(b)は、ベースがレール端部に固定された状態の図10の左矢視図。
図13】(a)は、ベースをレール本体の左側端部に取り付けるときのベースと固定金具との位置関係を示す図10の右矢視図、(b)は、ベースがレール端部に固定された状態の図10の右矢視図。
図14】第1実施形態の変形例であって、(a)は、ベースをレール本体の左側端部に取り付けるときのベースと固定金具との位置関係を示す図4の左矢視図、(b)は、ベースがレール端部に固定された状態の図4の左矢視図。
図15】第2実施形態の変形例であって、(a)は、ベースをレール本体の左側端部に取り付けるときのベースと固定金具との位置関係を示す図10の左矢視図、(b)は、ベースがレール端部に固定された状態の図10の左矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用されたカーテンレール装置について図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1および図2に示すように、カーテンレール装置1は、カーテンレール2と、カーテンレール2を取付面6に取り付けるブラケット3と、カーテンレール2の外周部に装着され、長手方向に沿って移動自在なカーテンランナとしてのC型ランナ4と、C型ランナ4の位置を規制するランナストッパ8とを備えている。カーテンレール装置1は、ドレープカーテンなどのカーテン7をカーテンレール2の長手方向に沿って移動自在に吊り下げ支持する装置であり、例えば建物や車両等の窓部付近に取り付けられている。カーテンレール2の長手方向の各レール端部は、ブラケット3よりも外側に突出しており、各レール端部には、カーテンレール2のレール端部を装飾する装飾部材であるフィニアル5が装着されている。カーテンレール2は、ブラケット3によって、取付面6に固定されている。
【0014】
カーテンレール2は、長尺部材であって、レール本体11と、レール本体11のレール端部を装飾する装飾部材であるフィニアル5とを備えている。カーテン7の上縁一端部は、カーテンレール2の一方のレール端部(正面から見て左側端部)に最も近くに位置するC型ランナ4aに吊り下げられており、ランナストッパ8によってカーテンレール2の長手方向である開閉方向に移動不能に固定されている。これに対して、カーテン7の上縁他端部は、カーテンレール2の他方のレール端部(正面から見て右側端部)側に位置する先頭のC型ランナ4bに吊り下げられている。したがって、カーテン7は、先頭のC型ランナ4bをカーテン7を閉める方向となる矢印D方向に移動させることで、カーテン7が引き出された状態に保持される。また、カーテン7は、カーテン7を開ける方向となる反矢印D方向に移動されることで畳み込まれる。
【0015】
レール本体11は、C型ランナ4を介してカーテン7を吊り下げる長尺な形材である。具体的に、図3に示すように、レール本体11は、金属材料を押し出し成形して形成されており、長手方向に対して直交する方向から見た側面視(断面視)において、同一の形状を有している。このようなレール本体11は、側面視の基本形状を同一半径の円形形状としている。そして、レール本体11は、側面視において、半円形形状に一方向に膨らむ意匠面部12を備えている。すなわち、意匠面部12は、側面視において、レール本体11の中心11aを通りレール本体11の長手方向に延びる仮想平面11bに対して一方向に膨らむ曲面で構成されている。なお、ここでの一方向は、例えば、カーテンレール2がブラケット3によって取付面6に取り付けられたとき、室内側に臨む正面方向である。
【0016】
レール本体11は、側面視において、意匠面部12の上端部となる位置に突出部13を備えている。すなわち、突出部13は、仮想平面11bが通るレール本体11の頂部となる位置に設けられており、意匠面部12を構成する曲面に対して突出している。そして、突出部13における意匠面部12側の一端部は、意匠面部12の一端部となる。なお、意匠面部12の他端部は、突出部13と反対側の位置であって、仮想平面11bが通る底部または固定部21までである。突出部13は、周囲よりも突出することで、視覚的におよび触覚的に作業者が意匠面部12の一端部を特定できるようにしている。また、突出部13は、カーテン7が吊り下げられている状態において、C型ランナ4の内周面が当接し走行する位置でもある。レール本体11においてこのように特定される意匠面部12には、装飾テープ12aが貼着される。ここでは、木目調の意匠が施されている。
【0017】
なお、意匠面部12や意匠面部12を含む外周面全体には、水圧転写加工によって意匠を施すようにしてもよい。樹脂部材の表面を塗装するための水圧転写加工では、水面に絵柄フィルムを浮かべ、絵柄を付ける意匠面部12を外周面を水面側にして上から沈めて外周面に絵柄を転写させる。すなわち、意匠面部12や意匠面部12を含む外周面全体には、フィルムに担持されているインクのみが転写される。水圧転写加工によれば、曲面に構成された意匠面部12や意匠面部12を含む外周面全体にも意匠を施すことができる。なお、塗装後は、その表面をトップコート(クリア塗装)して塗装を保護するようにしてもよい。
【0018】
レール本体11は、側面視において、意匠面部12と反対の背面側において、ブラケット3取り付けられる取付部14を備えている。レール本体11は、外周部において、突出部13の背面側の他端部より背面側に突出した外周板部10を備えている。外周板部10は、頂部から背面側に湾曲して延びる湾曲片である。取付部14は、外周板部10に次いで背面側に設けられ、意匠面部12と対向している。外周板部10は、レール本体11の背面側にまで回り込むように延在されることで、その先端部が突出部13より低く位置する。これにより、外周板部10は、取付部14を正面側から見えにくくしている。
【0019】
取付部14は、レール本体11の背面側において、内側に窪むV字型の凹部形状を有した取付溝である。取付部14は、ブラケット3が支持される支持面15と、取付部14に挿入されるブラケット3を案内する案内面16とを備えている。そして、取付部14は、開口端17がレール本体11の背面側に位置されている。開口端17の上側の端部は、外周板部10の先端部である。
【0020】
支持面15は、背面側から正面側に向かう水平面であって、中心11aより底部側に設けられている。支持面15は、中程に、位置決め凹部18を備えている。位置決め凹部18には、ブラケット3の位置決め突部が係合される。また、支持面15の最奥端から延びる案内面16は、支持面15に対して斜め上方に向かって延びている。支持面15と案内面16とは、最奥部から開口端17に向かって拡幅するように設けられており、ブラケット3の挿入口が広くなるようにしている。
【0021】
支持面15と案内面16とがなす最奥部は、案内面16が開口端17側の面に対して段差16aを介して内方に向かって突出し、ブラケット3の先端部が係合する係合凹部19aとなっている。係合凹部19aは、取付部14を構成する凹部のうちの最奥部に位置している。また、開口端17のうち上側の端部、すなわち外周板部10の先端部は、C型ランナ4の案内突起45が係合される案内部19となる。また、開口端17の下側の端部、すなわち支持面15の端部は、ブラケット3の支持部材34が係合される被係合部20となる。
【0022】
これに対して、ブラケット3は、上面側に、先端部に係合突起31と、段差16aに係合する係合段部32とを備えている。また、ブラケット3は、下面側に、位置決め凹部18に係合される位置決め突部33を備えている。さらに、ブラケット3は、下面側であって取付面6への取付部に偏った位置に支持部材34を備えている。支持部材34は、支持面15の端部にある被係合部20と係合する支持突起35を備えている。支持部材34は、別部材としてのコイルバネなどの弾性部材や一体の弾性部によって、被係合部20と係合する方向、すなわち支持突起35の突出方向に突出されている。
【0023】
次に、レール本体11のブラケット3への取付方法について説明する。ブラケット3にレール本体11を取り付けるにあたっては、レール本体11の開口端17の中にブラケット3の係合突起31を挿入する。この際、傾斜した案内面16に沿って、開口端17の内側に係合突起31を挿入することができる。そして、係合突起31が係合凹部19aに係合される。この後、この係合部分を支点にして、レール本体11は、支持面15がブラケット3の下面に近接する上方向に回動される。これにより、位置決め突部33は、位置決め凹部18に係合される。この際、支持部材34の支持突起35には、被係合部20が係合される。これにより、ブラケット3には、レール本体11が取り付けられることになる。
【0024】
なお、ブラケット3からレール本体11を取り外すときには、支持部材34を反突出方向に押圧することで、被係合部20と支持突起35との係合状態が解除される。これにより、容易にブラケット3からレール本体11を取り外すことができる。
【0025】
以上のようにブラケット3に対して取り付けられたカーテンレール2に対しては、C型ランナ4を取り付けることができる。基本形状を同一半径の円形形状の一部を切り欠いて全体がC型形状を有している。そして、C型ランナ4は、互いに離間した第1端部41と第2端部42とを備え、間に間隙を形成している。ここで、第1端部41は、カーテンレール2の外周に挿通されたとき、上側に位置する端部であり、第2端部42は、下側に位置する端部である。C型ランナ4は、レール本体11の外径よりも大きい内径を有しており、内周面の上側がレール本体11の突出部13に接触しているとき、その他の領域には、C型ランナ4とレール本体11との間に間隙39が形成される(図2参照)。内周部材43および外周部材44は、内周部材43の外周側に外周部材44が組み合わされることでランナ本体40を構成する。さらに、C型ランナ4は、ランナ本体40の外周側に取着される装飾部材47を備えている。
【0026】
内周部材43は、C型形状を有しており、高密度ポリエチレン(HDPE:high-density polyethylene)などの耐摩耗性に優れた樹脂材料で形成されている。内周部材43は、取付部14の開口端17において上側の端部となる案内部19に係合される案内突起45を備えている。案内突起45は、案内部19に係合するように鈎形状を有している。これにより、案内突起45は、レール本体11に対して上方に向かう力が加わったとしても案内部19との係合が外れにくくなる。そして、案内突起45は、案内部19と係合することによって、カーテン7を吊り下げる吊下部としてのフック46がランナ本体40から鉛直方向に垂下した姿勢に維持する。
【0027】
外周部材44も、全体がC型形状を有しているが、内周部材43よりも一回り大きく形成されている。外周部材44は、鉄などの内周部材43より剛性を有する金属材料で形成されている。したがって、外周部材44は、金属部材であり、C型ランナ4における強度部材となっている。
【0028】
装飾部材47も、全体がC型形状を有しているが、外周部材44よりも一回り大きく形成されている。装飾部材47は、木製部材であってもよいし、樹脂製部材であってもよい。装飾部材47は、内周部材43および外周部材44を組み合わせてランナ本体40が構成されると、そのランナ本体40の外周側に組み合わされる。
【0029】
以上のように構成されたC型ランナ4は、カーテンの上端部が係合されるフック46が取り付けられる。フック46は、取付軸が第2端部42の近傍に位置する内周部材43の取付孔、外周部材44の取付孔、および、装飾部材47の取付孔に挿通され、先端部がかしめられることによってC型ランナ4に取り付けられる。フック46は、内周部材43に対して外周部材44が組み合わされたランナ本体40に対して回転自在であり、カーテン7からの引張力の方向に合わせて回転可能である。
【0030】
以上のように構成されたC型ランナ4において、第1端部41と第2端部42との間隔Cは、レール本体11の直径Dより小さく、かつ、案内突起45を案内部19に係合したときに、レール本体11が通過可能な寸法に設定され、C型ランナ4がレール本体11から外れにくくなっている(図2参照)。C型ランナ4をレール本体11に取り付けるときには、先ず、案内突起45を案内部19に係合させてから、この係合位置を回動中心として、第1端部41と第2端部42の間の間隔にレール本体11をC型ランナ4の内側に挿通するように回動される。かくして取り付けられたC型ランナ4は、第1端部41と第2端部42とで構成された開口端がレール本体11の背面側を向き、正面からはリング形状のランナのように視認される。
【0031】
また、第1端部41と第2端部42との間隔Cは、ブラケット3の高さHより大きい。これにより、C型ランナ4は、レール本体11に沿って突出部13に接触しながら移動する際に、第1端部41および第2端部42がブラケット3と衝突することがなくなり、ブラケット3の取付部分であっても、当該部分を通過することができる。
【0032】
図4に示すように、レール本体11の各端部に取り付けられる装飾部材としてのフィニアル5は、レール本体11の各レール端部に固定されるベース51と、ベース51に対して取り付けられる付設部材52とを備えている。ベース51は、比較的扁平な円筒形状を有しており、レール本体11のレール端部に対して付設部材52を取り付けるための基部である。付設部材52は、細長の円錐台形状を有しており、フィニアル5の大部分の装飾的要素を占めている。フィニアル5の基端から先端に亘る太さは、C型ランナ4が挿通可能な太さであってもよいし、挿通不能な太さであってもよい。フィニアル5の太さがC型ランナ4が挿通不能な太さである場合は、レール本体11の端部からC型ランナ4が脱落することを防ぐことができる。フィニアル5の太さがC型ランナ4が挿通可能な太さである場合は、ランナストッパ8をレール本体11の各端部に取り付けることで、C型ランナ4がレール本体11から脱落することを防止することができる。
【0033】
図5および図6に示すように、ベース51は、円筒形状の外周壁56と、外周壁56のレール本体11に対する連結端側の空間と付設部材52に対する連結端側の空間とを区画する隔壁57とを備えている。ベース51は、レール本体11のレール端部が連結される連結端側において、外周壁56に囲まれる空間がレール本体11のレール端部が嵌合される嵌合凹部58を構成している。嵌合凹部58の底面は、レール端部の端面と対向する対向面であって、隔壁57によって構成されている。また、ベース51は、付設部材52が連結される連結端側において、付設部材52に嵌合される嵌合壁59を備えている。
【0034】
図6に示すように、ベース51は、固定機構61によってレール本体11のレール端部に固定される。レール端部とベース51との固定機構61は、次のように構成されている。レール本体11において、意匠面部12の他端部(レール本体11の底部)に隣接する位置は、フィニアル5を固定する固定部21となっている。すなわち、固定機構61としての固定部21は、意匠面部12の他端部と取付部14との間であって、仮想平面11bよりも背面側に偏倚して位置している。このように固定部21は、正面側の居住者から視認されにくい位置に設けられている。固定部21は、レール本体11の外周部を構成する外周板部22を貫通した固定溝23と、固定溝23に連続して各端部の内部に構成され、固定機構61を構成する固定金具62の第2片62bが挿入される空間部24とを備えている。空間部24には、位置決め凹部18の裏側となる突部25が臨んでいる。このような構成を有するレール本体11は、取付部14や固定部21を有することで、側面視において、前後で非対称である。すなわち、レール本体11の側面は、中心11a(図3参照)を通り、かつ、少なくとも上下(ここでは前後および上下)に延びる軸を対象軸として非対称の形状を有している。
【0035】
ベース51は、このような固定部21を利用してレール本体11のレール端部に固定される。すなわち、ベース51側の固定機構61は、固定金具62と、固定金具62をベース51に固定するための固定部材としてのタッピンネジ63と、固定金具62をレール本体11の端部に固定するための固定部材となる固定ネジ64とを備えている。
【0036】
固定金具62は、第1片62aと第2片62bとを備えたL字金具である。第1片62aは、ベース51に固定される片であって、貫通孔62cを備えている。貫通孔62cは、ベース51に取り付けられるときに、隔壁57の中心部に位置する。第2片62bは、先端の3辺に押圧片62dを備え、押圧片62dで囲まれた位置にネジ孔で構成された固定孔62eを備えている。固定孔62eには、固定ネジ64が締め付けられる。第2片62bは、押圧片62dおよび固定孔62eが外周壁56の端部より突出する長さを有している。押圧片62dの先端は、第2片62bが空間部24に挿入されたときに、固定溝23の周辺であって外周板部22の内面に圧接される。
【0037】
ベース51の内部を区画する隔壁57が構成する嵌合凹部58の底面には、側面視において扇型形状を有した位置決め溝65を備えている。位置決め溝65は、円形の隔壁57の中心部から扇状に広がった凹部で構成されており、固定金具62の第1片62aが配置される。そして、位置決め溝65内であって円形の隔壁57の中心部には、タッピンネジ63が締め付けられる中心孔66を備えている。また、位置決め溝65の一方の半径部分は、第1片62aを第1位置に位置決めする第1規制壁65aとなり、他方の半径部分は、第1片62aを第2位置に位置決めする第2規制壁65bとなる。すなわち、第1位置と第2位置とは、隔壁57の中心を通り、かつ、上下に延びる軸を対象軸70とした線対称である(図7および図8参照)。
【0038】
第1片62aは、貫通孔62cおよび中心孔66は中心が一致され、タッピンネジ63が締め付けられることになるが、タッピンネジ63を緩めた状態で、第1位置と第2位置との間において回転される。そして、タッピンネジ63は、第1片62aが第1規制壁65aに突き当てられ第1位置に位置決めされた状態、または、第1片62aが第2規制壁65bに突き当てられ第2位置に位置決めされた状態で締め付けられる。
【0039】
ところで、固定溝23は、仮想平面11bよりも背面側に偏倚して設けることによって、正面側の居住者から視認されにくくしている。これに伴い、ベース51は、レール本体11の一方のレール端部(正面から見て左側端部)に取り付けた場合とレール本体11の他方のレール端部(正面から見て右側端部)に取り付けた場合とで、レール本体11の端部に対する前後が反転してしまう。具体的には、例えば図6は、レール本体11の右側のレール端部に取り付けられるベース51および固定機構61を示している。固定金具62は、右側のレール端部にフィニアル5を取り付ける場合、第2位置に配置することになる。しかしながら、左側のレール端部にフィニアル5を取り付ける場合、固定金具62を第2位置のままとすると、固定金具62は、レール本体11の仮想平面11bよりも前方に偏倚して位置しまい、固定溝23と位置が合わなくなる。
【0040】
そこで、図7(a)に示すように、レール本体11の一方のレール端部(正面から見て左側端部)にベース51を取り付ける場合、第1片62aは、図7中右側に位置され、第1規制壁65aに突き当てられ第1位置に位置が決められる。図8(a)に示すように、レール本体11の他方のレール端部にベース51を取り付ける場合、ベース51は、図7の状態から左右反転される。そして、第1片62aは、図8中左側に位置され、第2規制壁65bに突き当てられ第2位置に位置が決められる。
【0041】
第1規制壁65aと隣接する位置には、第1指標部67aが設けられている。第1指標部67aは、ここでは「左」と表記されている。第2規制壁65bと隣接する位置には、第2指標部67bが設けられている。第2指標部67bは、ここでは「右」と表記されている。図7(a)に示すように、レール本体11の一方のレール端部にベース51を取り付けるときには、第1片62aが第1指標部67aの文字「左」に隣接する第1規制壁65aに寄せて位置される。また、図8(a)に示すように、レール本体11の他方のレール端部にベース51を取り付けるときには、第1片62aが第2指標部67bの文字「右」に隣接する第2規制壁65bに寄せて位置される。なお、第1指標部67aと第2指標部67bの構成は、漢字の「右」および「左」に限定されるものではなく、「R」と「L」などのアルファベット表記や記号などであってもよい。
【0042】
図5に示すように、付設部材52は、ベース51の嵌合壁59が嵌合される嵌合凹部69を備えている。ベース51の嵌合壁59は、嵌合凹部69に対して圧入によって嵌合される。これにより、付設部材52は、ベース51と一体化する。なお、嵌合壁59は、嵌合凹部69に対して圧入するだけでもよいが、さらに接着剤などによって強固に固定するようにしてもよい。
【0043】
図9(a)および(b)は、付設部材52の意匠を構成する模様を示すものであり、(a)は、正面図、(b)は、側面図である。また、付設部材52は、前後に対称な形状を有している。すなわち、側面視において、長手方向に延びる中心を通り、かつ、上下に延在する第1仮想平面68aに対して、前面側の形状と背面側の形状とが同じ形状となっている。これにより、付設部材52は、レール本体11の一方のレール端部(正面から見て左側端部)に取り付けた場合とレール本体11の他方のレール端部(正面から見て右側端部)に取り付けた場合とで前後を反転させることになるが、少なくとも前後で対称形状を有しているので、正面から見て形状の意匠が左右対称に見えることになる。なお、付設部材52は、長手方向に延びる中心を通り、かつ、前後方向に延在する第2仮想平面68bに対して同じ形状となるように設けられている。
【0044】
また、付設部材52は、意匠として木目調の模様が施されている。付設部材52は、側面視において、長手方向に延びる中心を通り、かつ、上下に延在する第1仮想平面68aに対して、前面側の模様と背面側の模様とが同じ模様となっている。具体的には、付設部材52の前面側の模様は、半環状の木目が基端側から先端側に向かって延び広がっている。付設部材52の背面側の模様も、半環状の木目が基端側から先端側に向かって延び広がっている。また、前面側および背面側の各模様は、長手方向に延びる中心を通り、かつ、前後方向に延在する第2仮想平面68bに対して対称となるように設けられている。このような付設部材52の意匠は、装飾シールの他、例えば水圧転写加工で施すことができる。そして、付設部材52の意匠は、レール本体11の意匠面部12の意匠と統一感の意匠とされる。ここでの付設部材52の意匠は、木目調であり、レール本体11の意匠面部12の木目調の意匠と統一感が得られるような意匠が採用されている。
【0045】
次に、ベース51に対して付設部材52が連結されたフィニアル5のレール本体11のレール端部への取付方法について説明する。
図7(a)および(b)に示すように、レール本体11の一方のレール端部(正面から見て左側端部)に連結する場合は、タッピンネジ63を緩めた状態で、第1片62aを第1規制壁65aに突き当ててタッピンネジ63を締め付けることによって第1位置に固定する。固定金具62が取り付けられたベース51は、レール本体11の一方のレール端部が嵌合凹部58に対して嵌合され、第2片62bが空間部24に挿入される。そして、固定溝23から外部に臨んでいる固定孔62eには、固定ネジ64が締め付けられる。すると、固定ネジ64は、その先端が突部25に圧接され、第2片62bの押圧片62dが固定溝23の周辺であって外周板部22の内面に螺進し圧接される。これにより、ベース51は、レール本体11の一方のレール端部に固定される。
【0046】
図8(a)および(b)に示すように、ベース51をレール本体11の他方のレール端部(正面から見て右側端部)に取り付ける場合、フィニアル5は、図7の状態から前後に反転される。そして、タッピンネジ63を緩めた状態で、固定金具62の第1片62aを第2規制壁65bに突き当ててタッピンネジ63を締め付けることによって第2位置に固定する。その後、固定金具62が取り付けられたベース51は、レール本体11の他方のレール端部が嵌合凹部58に対して嵌合され、第2片62bが空間部24に挿入される。そして、固定溝23から外部に臨んでいる固定孔62eには、固定ネジ64が締め付けられる。これにより、ベース51は、レール本体11の他方のレール端部に固定される。
【0047】
以上のような第1実施形態のカーテンレール装置1は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(1-1)フィニアル5は、レール本体11の一方のレール端部に取り付けるものと他方のレール端部に取り付けるものとで同じ部材を使用することができる。すなわち、ベース51、付設部材52、および、固定金具62、ネジ63,64を共通部品とすることができる。
【0048】
(1-2)フィニアル5は、一方のレール端部に取り付けたときにも、他方のレール端部に取り付けたときにも、レール本体11の意匠と統一感のある意匠を施すことができる。
【0049】
(1-3)フィニアル5は、レール本体11の一方のレール端部に取り付ける場合と他方のレール端部に取り付ける場合とで、対象軸70を中心に反転させて、かつ、固定金具62の位置をベース51の第1位置と第2位置との間で切り替えるだけでよく、取付作業が簡易である。固定金具62の位置を第1位置と第2位置とで切り替える際には、タッピンネジ63を緩めるだけでよく作業が容易である。
【0050】
(1-4)カーテンレール2は、固定溝23が仮想平面11bよりも背面側に偏倚して設けることによって、正面側の居住者から視認されにくくしている。カーテンレール2をこのような構成にしても、フィニアル5は、レール本体11の一方のレール端部および他方のレール端部の何れの端部に取り付ける場合も、固定金具62の位置を変えるだけでよい。
【0051】
(1-5)固定金具62の第1位置は、第1規制壁65aに第1片62aを突き当てることで、容易に位置決めすることができる。固定金具62第2の位置も、第2規制壁65bに第1片62aを突き当てることで、容易に位置決めすることができる。
【0052】
(1-6)付設部材52は、側面視において、長手方向に延びる中心を通り、かつ、上下方向に広がる第1仮想平面68aに対して、前面側の模様と背面側の模様とが同じ模様となっている。したがって、何れのレール端部にフィニアル5を連結しても、模様が正面視において、上下が逆になることもなく、左右対称に表れる。
【0053】
(1-7)フィニアル5は、ベース51に対して付設部材52が着脱可能であることで、フィニアル5の大部分の装飾的要素を占めている付設部材52を交換して、容易にデザイン変更することができる。
【0054】
〔第2実施形態〕
第2実施形態のフィニアル81について図10図13を用いて説明する。
図10に示すように、レール本体11の各レール端部に取り付けられる装飾部材としてのフィニアル81は、レール本体11の各レール端部に固定されるベース82と、ベース82に対して取り付けられる付設部材83とを備えている。ベース82および付設部材83は、レール本体11とほぼ同じ太さの円筒形状を有している。フィニアル81の基端から先端に亘る太さは、C型ランナ4が挿通可能な太さであってもよいし、挿通不能な太さであってもよい。フィニアル81の太さがC型ランナ4が挿通不能な太さである場合は、レール本体11のレール端部からC型ランナ4が脱落することを防ぐことができる。フィニアル81の太さがC型ランナ4が挿通可能な太さである場合は、ランナストッパ8をレール本体11の各レール端部に取り付けることで、C型ランナ4がレール本体11から脱落することを防止することができる。
【0055】
ベース82は、比較的扁平な円筒形状を有しており、レール本体11のレール端部に対して付設部材83を取り付けるための基部である。付設部材83は、細長の円柱形状を有しており、フィニアル81の大部分の装飾的要素を占めている。ベース82は、固定機構61によってレール本体11のレール端部に固定される。
【0056】
図11に示すように、ベース82は、長さ方向の中程に、外周壁84と、外周壁84で囲まれた内部空間を仕切る隔壁85とを備えている。ベース82の内部空間の中で隔壁85に対してレール本体11のレール端部と向き合う側は、レール本体11のレール端部が内側に嵌合される嵌合凹部86である。嵌合凹部86の底面は、レール端部の端面と対向する対向面であって、隔壁85で構成されている。嵌合凹部86の底面には、側面視においてV字形状を有した位置決め溝87を備えている。
【0057】
ところで、固定溝23は、仮想平面11bよりも背面側に偏倚して設けることによって、正面側の居住者から視認されにくくしている。これに伴い、ベース82は、レール本体11の一方のレール端部(正面から見て左側端部)に取り付けた場合とレール本体11の他方のレール端部(正面から見て右側端部)に取り付けた場合とで、レール本体11に対する上下が反転してしまう。具体的には、例えば図14は、レール本体11の右側のレール端部に取り付けられるベース82および固定機構61を示している。固定金具62は、右側のレール端部にフィニアル5を取り付ける場合、位置決め溝87の下側の第2位置に配置することになる。しかしながら、左側のレール端部にフィニアル5を取り付ける場合、固定金具62を第2位置のままとすると、固定金具62は、上側に位置してしまい、固定溝23と位置が合わなくなる。
【0058】
位置決め溝87は、円形の底面の中心から半径方向に延びる第1部分87aと第2部分87bとを備えている。そして、第1部分87aおよび第2部分87bの折曲部分には、タッピンネジ63が締め付けられる中心孔88を備えている。すなわち、位置決め溝87は、側面視において、隔壁85の中心(中心孔88の位置)を通り、かつ、前後方向に延びる横軸を対象軸89として線対称に設けられ、対象軸89を境に一方の領域が第1部分87aとなり、他方の部分が第2部分87bとなっている(図12および図13参照)。図12(a)に示すように、レール本体11の一方のレール端部にベース82を取り付ける場合、第1部分87aは、図12中下側に位置され、第1片62aが配置される。図13(a)に示すように、レール本体11の他方のレール端部にベース82を取り付ける場合、ベース82は、図12の状態から上下に反転されて、第2部分87bは、図13(a)中下側に位置され、第1片62aが配置される。位置決め溝87は、第1片62aとほぼ同じ幅を有しており、第1位置および第2位置の各々に位置する第1片62aを、両側縁がから支持する形状を有している。
【0059】
第1部分87aの隣接位置には、第1指標部91aが設けられている。第1指標部91aは、ここでは「左」と印刷や凸または凹によって表記されている。第2部分87bの隣接位置には、第2指標部91bが設けられている。第2指標部91bは、ここでは「右」と印刷や凸または凹によって表記されている。第1指標部91aと第2指標部91bとは、上下が反転されている。図12(a)に示すように、レール本体11の一方のレール端部(正面から見て左側端部)にベース82を取り付けるときには、第1指標部91aの文字「左」の上下が正しい状態となる向きにされ、隣接する位置にある第1部分87aに第1片62aが配置される。また、図13(a)に示すように、レール本体11の他方のレール端部(正面から見て右側端部)にベース82を取り付けるときには、第2指標部91bの文字「右」の上下が正しい状態となる向きにされ、隣接する位置にある第2部分87bに第1片62aが配置される。なお、第1指標部91aと第2指標部91bの構成は、漢字の「右」および「左」に限定されるものではなく、「R」と「L」などのアルファベット表記や記号などであってもよい。
【0060】
付設部材83は、ベース82に対して着脱可能な第1付設部83aと、第1付設部83aに対して着脱可能な第2付設部83bとを備えている(図11参照)。第1付設部83aは、ベース82とほぼ同じ長さを有している。これに対して、第2付設部83bは、ベース82や第1付設部83aよりも長く形成されている。第2付設部83bは、第1付設部83aに代えてベース82に対して着脱可能であり、付設部材83の全長を短くすることもできる。ベース82の付設部83a,83bに対する連結端は、嵌合壁を備えており、付設部83a,83bのベース82に対する連結端は、嵌合壁が嵌合される嵌合凹部を備えている。また、第1付設部83aの第2付設部83bに対する連結端も、嵌合壁を備えており、第2付設部83bの第1付設部83aに対する連結端は、嵌合壁に嵌合される嵌合凹部を備えている。ベース82に対して付設部83a,83bは、嵌合壁を嵌合凹部に嵌合させ、回転させることによって係合凹部と突起部を係合させて連結される。付設部83aに対して付設部83bも、嵌合壁を嵌合凹部に嵌合させ、回転させることによって係合凹部に突起部を係合させて連結される。係合凹部とは、嵌合壁および嵌合凹部の何れか一方に設けられ、突起部は、他方に設けられている。
【0061】
ベース82および付設部材83は、その外周面に、装飾シール92を巻き付けるようにして貼着する際の基準突条92aを備えている(図11参照)。基準突条92aは、レール本体11の長手方向に延びる直線形状の突条であり、装飾シール92の端部が位置される。すなわち、装飾シール92は、矩形形状を有しており、ベース82の外周面に貼着するとき、装飾シール92の一端部を基準突条92aに沿わせ、ベース82の外周面に一周分巻き付けると、他端部も基準突条92aに位置する。装飾シール92の繋ぎ目となる基準突条92aは、レール本体11のレール端部に取り付けられたとき、背面側に位置し、正面側から見えにくくなる。また、基準突条92aは、ベース51に対して第1付設部83aまたは第2付設部83bを連結する際に目印となる指標突条としても機能する。また、第1付設部83aと第2付設部83bとを連結する際に目印となる指標突条としても機能する。
【0062】
以上のように構成される付設部材83は、上下に対称な形状を有している。すなわち、側面視において、長手方向に延びる中心を通り、かつ、前後に延在する対象軸89を通る仮想平面に対して、上側の形状と下側の形状とが同じ形状となっている。これにより、付設部材52は、レール本体11の一方のレール端部(正面から見て左側端部)に取り付けた場合とレール本体11の他方のレール端部(正面から見て右側端部)に取り付けた場合とで、基準突条92aが前方に位置しないようにするため上下を反転させることになるが、少なくとも上下で対称形状を有しているので、正面から見て形状の意匠が左右対称に見えることになる。さらに、模様についても上側の模様と下側の模様とが同じことが好ましい。
【0063】
なお、ベース82および付設部材83の意匠は、装飾シールではなく、水圧転写加工で施すようにしてもよい。そして、付設部材83の意匠は、レール本体11の意匠面部12の意匠と統一感の意匠とされる。
【0064】
次に、ベース82のレール本体11の端部への取付方法について説明する。
図12(a)および(b)に示すように、ベース82をレール本体11の一方のレール端部(正面から見て左側端部)に取り付ける場合は、固定金具62の第1片62aが第1部分87aに配置される。そして、貫通孔62cおよび中心孔88は中心が一致され、タッピンネジ63が締め付けられる。固定金具62が取り付けられたベース82は、レール本体11の一方のレール端部が嵌合凹部86に対して嵌合され、第2片62bが空間部24に挿入される。そして、固定溝23から外部に臨んでいる固定孔62eには、固定ネジ64が締め付けられる。すると、固定ネジ64は、その先端が突部25に圧接され、第2片62bの押圧片62dが固定溝23の周辺であって外周板部22の内面に螺進し圧接される。これにより、ベース82は、レール本体11の一方のレール端部に固定される。
【0065】
図13(a)および(b)に示すように、ベース82をレール本体11の他方のレール端部(正面から見て右側端部)に取り付ける場合は、図12の状態から上下に反転される。そして、固定金具62の第1片62aが第2部分87bに配置される。その後、固定金具62が取り付けられたベース82は、レール本体11の他方のレール端部が嵌合凹部86に対して嵌合され、第2片62bが空間部24に挿入される。そして、固定溝23から外部に臨んでいる固定孔62eには、固定ネジ64が締め付けられる。これにより、ベース82は、レール本体11の他方のレール端部に固定される。
【0066】
フィニアル81は、レール本体11の一方のレール端部に取り付ける場合にも他方のレール端部に取り付ける場合にも、基準突条92aは、背面側に位置し、正面側からは見えにくい状態となる。
【0067】
以上のような第2実施形態のカーテンレール装置は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(2-1)フィニアル81は、レール本体11の一方のレール端部に取り付けるものと他方のレール端部に取り付けるものとで同じ部材を使用することができる。すなわち、ベース82、付設部材83、および、固定金具62およびネジ63,64を共通部品とすることができる。
【0068】
(2-2)フィニアル81は、一方のレール端部に取り付けたときにも、他方のレール端部に取り付けたときにも、レール本体11の意匠と統一感のある意匠を施すことができる。
【0069】
(2-3)フィニアル81は、レール本体11の一方のレール端部に取り付ける場合と他方のレール端部に取り付ける場合とで、対象軸89を中心に反転させて、かつ、固定金具62の位置をベース82の第1位置と第2位置との間で切り替えるだけでよく、取付作業が容易である。固定金具62の位置を第1位置と第2位置とで切り替える際には、タッピンネジ63を緩めるだけでよく作業が容易である。
【0070】
(2-4)フィニアル81は、レール本体11の一方のレール端部に取り付ける場合と他方のレール端部に取り付ける場合とで、対象軸89を中心に反転させるので、基準突条92aがカーテンレール2の前面側に位置することがなくなり、見栄えの悪化を抑えることができる。
【0071】
(2-5)フィニアル81は、ベース82に対して付設部材83が着脱可能であることで、フィニアル81の大部分の装飾的要素を占めている付設部材83を交換して、容易にデザイン変更することができる。例えば、ベース82に対して、付設部材83の第1付設部83aを連結し、第1付設部83aに対して第2付設部83bを連結すれば、フィニアル81を長くすることができる(第1長さ)。そして、第2付設部83bを省略すればフィニアル81の全長を短くすることができる(第2長さ)。このように、フィニアル81は、長さを変更するデザイン変更をすることができる。また、第1長さのフィニアル81が位置する場所に空調装置などの障害物が存在するときは第2長さとし短くすることで障害物を回避することができる。
【0072】
なお、以上のような第1実施形態および第2実施形態におけるカーテンレール装置は、さらに、例えば以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第1実施形態の変形例として、第1指標部91aおよび第2指標部91bは次のように設けることもできる。図14(a)に示すように、ベース51をレール本体11の左側端部に取り付ける場合、第1片62aが第1規制壁65aと隣接する位置に寄せられる。この際、位置決め溝65内において、第1片62aで隠れない第2規制壁65b側の位置に第1指標部67aが設けられ、ここでは「左」と表記されている。また、図14(b)に示すように、ベース51をレール本体11の右側端部に取り付ける場合、第1片62aが第2規制壁65bと隣接する位置に寄せられる。この際、位置決め溝65内において、第1片62aで隠れない第1規制壁65a側の位置に第2指標部67bが設けられ、ここでは「右」と表記されている。
【0073】
すなわち、位置決め溝65内には、第1片62aが配置されるとともに、その底面に、第1指標部91aおよび第2指標部91bが設けられている。そして、レール本体11の左側端部にフィニアル5を取り付ける場合は、第1指標部67aが露出するように第1片62aが移動される。また、レール本体11の右側端部にフィニアル5を取り付ける場合は、第2指標部67bが露出するように第1片62aが移動される。
【0074】
・第2実施形態の変形例として、第1指標部67aおよび第2指標部67bは次のように設けることもできる。図15(a)に示すように、ベース82をレール本体11の左側端部に取り付ける場合、第1片62aが第1部分87aに位置される。この際、第2部分87bは、第1片62aに隠れず露出する部分であり、ここには、第1指標部91aが設けられ、ここでは「左」と表記されている。また、図15(b)に示すように、ベース82をレール本体11の右側端部に取り付ける場合、第1片62aが第2部分87bに位置される。この際、第1部分87aは、第1片62aに隠れず露出する部分であり、ここには、第2指標部91bが設けられ、ここでは「右」と表記されている。
【0075】
このような例によれば、レール本体11の左側端部にフィニアル5を取り付ける場合は、第2部分87bの第1指標部91aが露出するように第1片62aが第1部分87aに移動される。また、レール本体11の右側端部にフィニアル5を取り付ける場合は、第1部分87aの第2指標部91bが露出するように第1片62aが第2部分87bに移動される。
【0076】
・第2実施形態において、フィニアル81は、外周面に装飾シール92を貼着しない構成としてもよい。例えば、フィニアル81が木製部材であったり、木目調の樹脂製部材である場合など、素材そのものの模様を利用する場合に、装飾シールを貼着しない構成とすることができる。そして、このような場合は、装飾シールを貼着するための基準突条の構成を省略するようにしてもよい。
【0077】
・第1実施形態において、フィニアル5の形状は、細長の円錐台形状に限定されるものではない。例えば、フィニアル5の形状は、基端よりも先端の方が太い形状であってもよいし、四角柱など多角中の形状をしていてもよい。第2実施形態においても、フィニアル81の形状も、円筒形状に限定されるものではない。また、フィニアル5,81は、枝葉などの立体的形状を有していてもよい。
【0078】
・第1実施形態において、付設部材52の外周面の模様は、前面側の意匠と背面側の意匠とが全く同じ意匠でなくてもよい。例えば、全体として意匠の思想が同じであれなよい。例えば、木目調の場合に、前面側と背面側が全く同じでなくても、木目の向きが同じであればよい。
【0079】
・第1実施形態において、位置決め溝65の形状は、扇型形状に限定されるものではない。例えば、位置決め溝65は、第1片62aを両側縁で支持して第1位置を規定する凹溝と、第1片62aを両側縁で支持して第2位置を規定する凹溝とで構成するようにしてもよい。すなわち、この場合における位置決め溝65の形状は、第2実施形態のように、V字形状を有した凹溝となる。また、第2実施形態において、V字形状を有した位置決め溝87は、第1実施形態のように、扇型形状を有した凹溝で構成されていてもよい。
【0080】
・レール本体11に設けられる固定溝23などの固定部21は、レール本体11の下部に対して背面側に偏倚した位置ではなく、最も下側に位置を含む下部に設けられていてもよい。
【0081】
・第1実施形態および第2実施形態において、固定金具62の回転中心は、タッピンネジ63が締め付けられる中心孔66,88の位置に限定されるものではない。例えば、固定金具62の回転中心は、ベース51の外周壁56の基端に近接する位置や隔壁57,85の中心に対して偏倚した位置であってもよい。
【0082】
・第1実施形態において、基部となるベース51と付設部材52とは、別体で着脱可能な構成ではなく、着脱を前提としない一体物であってもよい。例えば、ベース51と付設部材52とは、別体であっても、接着剤などの固定手段で一体化されていてもよい。また、第2実施形態において、ベース82と付設部材83とも、別体で着脱可能な構成ではなく、着脱を前提としない一体物であってもよい。例えば、ベース51と付設部材52とは、別体であっても、接着剤などの固定手段で一体化されていてもよい。
【0083】
・第1実施形態において、基部となるベース51に対して連結される付設部材の数は、1つに限定されるものではなく、第2実施形態のように、複数個の付設部材が連結可能であってもよい。第2実施形態において、ベース82に対して連結される付設部の数も2つに限定されるものではない。
【0084】
・カーテンランナとしては、C型ランナではなく、リングランナであってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…カーテンレール装置、2…カーテンレール、3…ブラケット、4(4a,4b)…C型ランナ、5…フィニアル、6…取付面、7…カーテン、8…ランナストッパ、10…外周板部、11…レール本体、11a…中心、11b…仮想平面、12…意匠面部、12a…装飾テープ、13…突出部、14…取付部、15…支持面、16…案内面、16a…段差、17…開口端、18…位置決め凹部、19…案内部、19a…係合凹部、20…被係合部、21…固定部、22…外周板部、23…固定溝、24…空間部、25…突部、31…係合突起、32…係合段部、33…位置決め突部、34…支持部材、35…支持突起、39…間隙、40…ランナ本体、41…第1端部、42…第2端部、43…内周部材、44…外周部材、45…案内突起、46…フック、47…装飾部材、51…ベース、52…付設部材、56…外周壁、57…隔壁、58…嵌合凹部、59…嵌合壁、61…固定機構、62…固定金具、62a…第1片、62b…第2片、62c…貫通孔、62d…押圧片、62e…固定孔、63…タッピンネジ、64…固定ネジ、65…位置決め溝、65a…第1規制壁、65b…第2規制壁、66…中心孔、67a…第1指標部、67b…第2指標部、68a…第1仮想平面、68b…第2仮想平面、69…嵌合凹部、70…対象軸、81…フィニアル、82…ベース、83…付設部材、83a…第1付設部、83b…第2付設部、84…外周壁、85…隔壁、86…嵌合凹部、87…位置決め溝、87a…第1部分、87b…第2部分、88…中心孔、89…対象軸、91a…第1指標部、91b…第2指標部、92…装飾シール、92a…基準突条、100…ブラケット、100a…第1支持部、100b…第2支持部、101…カーテンレール、102…レースカーテン、103…ランナ、103a…滑車。
図1
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