IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社昭電の特許一覧

<>
  • 特許-光ファイバ芯線保持部材 図1
  • 特許-光ファイバ芯線保持部材 図2
  • 特許-光ファイバ芯線保持部材 図3
  • 特許-光ファイバ芯線保持部材 図4
  • 特許-光ファイバ芯線保持部材 図5
  • 特許-光ファイバ芯線保持部材 図6
  • 特許-光ファイバ芯線保持部材 図7
  • 特許-光ファイバ芯線保持部材 図8
  • 特許-光ファイバ芯線保持部材 図9
  • 特許-光ファイバ芯線保持部材 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】光ファイバ芯線保持部材
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
G02B6/46
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019029250
(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公開番号】P2020134743
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000145954
【氏名又は名称】株式会社昭電
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(74)【代理人】
【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】滝本 幸司
(72)【発明者】
【氏名】釜萢 敦生
(72)【発明者】
【氏名】竹井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】神尾 彰宏
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/110114(WO,A1)
【文献】特開平09-329717(JP,A)
【文献】特開2008-003332(JP,A)
【文献】特開2013-064825(JP,A)
【文献】特開2012-053134(JP,A)
【文献】特開平07-005328(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0003468(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
G02B 6/02
G02B 6/245-6/25
G02B 6/44
G02B 6/46-6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の光ファイバ芯線を有するスロットレス型の光ファイバケーブルに装着され、複数の前記光ファイバ芯線を収容したチューブを複数、保持可能な光ファイバ芯線保持部材であって、
前記光ファイバケーブルの端部が、その外周面に適合した湾曲内面に載置されるケーブル載置部と、
前記ケーブル載置部の先端部の両側にそれぞれ付設されて開閉可能であると共に、前記光ファイバケーブルの外周面に適合した湾曲内面を有する一対の開閉部と、
前記光ファイバケーブルの長さ方向に沿って、前記ケーブル載置部の湾曲内面及び前記開閉部の湾曲内面にそれぞれ立設された複数の芯線保持壁と、
隣接する前記芯線保持壁の相互間に形成されて前記光ファイバ芯線を収容した前記チューブを保持する保持凹部と、を備え、
前記一対の開閉部のうち一方の開閉部には係止突起が形成され、他方の開閉部には、前記係止突起に係止可能な係止孔が形成されていることを特徴とする光ファイバ芯線保持部材。
【請求項2】
請求項1に記載した光ファイバ芯線保持部材において、
前記ケーブル載置部の前記芯線保持壁とは反対側の端部に、前記光ファイバケーブルの外周面を保持するケーブル押さえを配置したことを特徴とする光ファイバ芯線保持部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した光ファイバ芯線保持部材において、
前記ケーブル載置部及び前記開閉部にそれぞれ形成された前記芯線保持壁の先端部に、前記光ファイバ芯線を収容した前記チューブの抜脱を防止する抜け止めを形成したことを特徴とする光ファイバ芯線保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光ファイバ芯線をチューブ内にまとめたテープ芯線を保持する光ファイバ芯線保持部材に関する。詳しくは、いわゆるスロット型ケーブルのように、テープ芯線を収容するスロットを光ファイバケーブル内に備えることなく、テープ芯線を互いに識別しながら保持可能としたスロットレス型の光ファイバ芯線保持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来のスロット型ケーブルの断面図である。図6において、104はスロット形成部101の外周面の複数箇所に形成されたスロットである。これらのスロット104には、複数の光ファイバ芯線103aをまとめたテープ芯線103がそれぞれ収容されている。なお、102はテンションメンバ、105は吸水材、106は外被を示している。
【0003】
図6に示すスロット型ケーブルでは、各スロット104にそれぞれテープ芯線103を収容することによって光ファイバ芯線103aの識別が容易であるという利点があるが、スロット104を備えたスロット形成部101の製造コストが高くなり、また、光ファイバケーブルが全体的に太くなるという問題がある。
【0004】
そこで、スロット型ケーブルが有する上記の問題を解決するものとして、スロットを用いずに多数の光ファイバ芯線を収容するようにしたスロットレス型ケーブルが提供されている。
例えば、図7は特許文献1に記載されたスロットレス型ケーブルの断面図であり、111は被覆、112はテンションメンバ、113は引裂き紐、114は多数の光ファイバ芯線である。
また、図8は特許文献2に記載されたスロットレス型ケーブルの断面図であり、121は被覆、122はテンションメンバ、123は引裂き紐、124はチューブ、125は多数の光ファイバ芯線である。
【0005】
図7図8に示したスロットレス型ケーブルによれば、図6の従来技術におけるスロット104がない分、製造コストの低減を期待することができる。しかしながら、その一方で、光ファイバ芯線ごとの識別が困難であるため、接続先を間違えてしまう等の恐れがある。
【0006】
なお、光ファイバ芯線や光コードの識別を目的とした従来技術としては、特許文献3に記載された光ファイバ用マークバンドや特許文献4に記載された光コード識別タグが知られている。
図9は、特許文献3に記載された光ファイバ用マークバンドを示しており、131は光ファイバ芯線、132は光ファイバ芯線131の回線番号等を表示する表示部、133は軟質部材、134は基板等への取付脚である。
また、図10は、特許文献4に記載された光コード識別タグを示しており、141は光コード、142は光コードに141にそれぞれ取り付けられた識別タグである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-146651号公報(段落[0020]、図3等)
【文献】国際公開第2017/145955(段落[0049]、図9等)
【文献】特開2000-89041号公報(段落[0006]~[0011]、図2等)
【文献】特開2011-160638号公報(段落[0035]、図9図10等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3に記載された光ファイバ用マークバンドは、例えば4本の光ファイバ芯線131を上下から挟持する構造であり、芯線の数が増えるに従ってマークバンドが全体的に大型化してしまい、広い設置スペースが必要になる。
また、特許文献4に記載された光コード識別タグは、光コード141の1本ずつに識別タグ142を装着しなくてはならないため、光コード141の本数が増加するほど、識別タグ142の装着作業に多くの手間と時間を要するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の解決課題は、スロットレス型ケーブルの外周面を同心状に包囲するような構造にして部材全体が大型化するのを防ぎ、しかも、光ファイバ芯線を容易に識別し得るように保持可能とした光ファイバ芯線保持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、多数の光ファイバ芯線を有するスロットレス型の光ファイバケーブルに装着され、複数の前記光ファイバ芯線を収容したチューブを複数、保持可能な光ファイバ芯線保持部材であって、
前記光ファイバケーブルの端部が、その外周面に適合した湾曲内面に載置されるケーブル載置部と、
前記ケーブル載置部の先端部の両側にそれぞれ付設されて開閉可能であると共に、前記光ファイバケーブルの外周面に適合した湾曲内面を有する一対の開閉部と、
前記光ファイバケーブルの長さ方向に沿って、前記ケーブル載置部の湾曲内面及び前記開閉部の湾曲内面にそれぞれ立設された複数の芯線保持壁と、
隣接する前記芯線保持壁の相互間に形成されて前記光ファイバ芯線を収容した前記チューブを保持する保持凹部と、
を備え、
前記一対の開閉部のうち一方の開閉部には係止突起が形成され、他方の開閉部には、前記係止突起に係止可能な係止孔が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載した光ファイバ芯線保持部材において、前記ケーブル載置部の前記芯線保持壁とは反対側の端部に、前記光ファイバケーブルの外周面を保持するケーブル押さえを配置したことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載した光ファイバ芯線保持部材において、前記ケーブル載置部及び前記開閉部にそれぞれ形成された前記芯線保持壁の先端部に、前記光ファイバ芯線を収容した前記チューブの抜脱を防止する抜け止めを形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光ファイバ芯線を収容した複数のチューブを回線ごとに識別しながら保持凹部によって保持することができる。このため、目的とする回線とは異なる回線の光ファイバ芯線を誤って引き出したり、誤接続するおそれがない。
また、本発明に係る芯線保持部材は、開閉部を閉じた状態で光ファイバケーブルの先端部を包囲する同心円状の部材として形成することができる。これにより、部材全体の小型化、低コスト化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の斜視図(図1(a))、正面図(図1(b))、及び、主要部の拡大正面図(図1(c))である。
図2】本発明の実施形態の平面図である。
図3】本発明の実施形態の側面図である。
図4】本発明の実施形態の使用状態を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態の使用状態を示す正面図である。
図6】従来のスロット型光ファイバケーブルの断面図である。
図7】特許文献1に記載されたスロットレス型光ファイバケーブルの断面図である。
図8】特許文献2に記載されたスロットレス型光ファイバケーブルの断面図である。
図9】特許文献3に記載された従来技術を示す斜視図である。
図10】特許文献4に記載された従来技術を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1(a)は本発明の実施形態に係る光ファイバ芯線保持部材の斜視図であり、図1(b)は同じく正面図、図1(c)は主要部の拡大正面図である。
【0016】
図1(a),(b)において、1は光ファイバケーブル(図示せず)の外周面に適合した湾曲内面を有するケーブル載置部であり、その後端部には、光ファイバケーブルの外周面を保持する一対のケーブル押さえ10,11が設けられている。
ケーブル載置部1の前端部内面には、ケーブル載置部1の長さ方向に沿って複数の芯線保持壁4が所定間隔で立設され、隣合う芯線保持壁4の相互間には保持凹部7が形成されている。これらの保持凹部7は、複数の光ファイバ芯線を収容し後述のシリコンチューブを保持するためのものである。
【0017】
また、ケーブル載置部1の前端部の左右には、ケーブル載置部1と同様に、光ファイバケーブルの外周面に適合した湾曲内面を有する開閉部2a,2bがそれぞれ開閉自在に付設されている。これらの開閉部2a,2bの内面にも、前述した芯線保持壁4と同様に芯線保持壁5,6がそれぞれ立設されており、隣合う芯線保持壁5の相互間、及び、芯線保持壁6の相互間には、前記同様に複数の光ファイバ芯線を収容したシリコンチューブを保持するための保持凹部8,9がそれぞれ形成されている。
更に、図1(b)の左側、及び、これを拡大した図1(c)に示すように、ケーブル載置部1及び開閉部2a,2bにそれぞれ形成された芯線保持壁4,5,6の各先端部には、複数の光ファイバ芯線を収容したシリコンチューブの抜脱を防止するための抜け止め4a,5a,6aが形成されている。
【0018】
開閉部2a,2bの、ケーブル載置部1側とは反対側の各一端には、係止突起3aと係止孔3bとがそれぞれ形成されている。図1(a),(b)の左側は開閉部2a,2bを開いた状態、右側は開閉部2a,2bを閉じた状態であり、開閉部2a,2bを閉じて係止突起3aを係止孔3bに係止させることにより、ケーブル載置部1上の図示されていない光ファイバケーブルを開閉部2a,2bによって確実に抱持することが可能になっている。
【0019】
なお、図2は開閉部2a,2bを開いた状態の平面図、図3は開閉部2a,2bを閉じた状態の側面図である。
ここで、本実施形態に係る光ファイバ芯線保持部材は、例えばプラスチックによって形成されている。
【0020】
次に、図4は、この実施形態の使用状態を示す斜視図である。図4において、20はスロットレス型ケーブルとしての光ファイバケーブルであり、多数の光ファイバ芯線21が外被22によって被覆されている。
また、光ファイバ芯線21を複数まとめて通したシリコンチューブ23は、例えばFTTH(Fiber To T he Home)用の光通信線として使用されるものであり、接続先の回線ごとに1本のシリコンチューブ23を対応させている。
【0021】
図5は、複数の光ファイバ芯線を収容した複数のシリコンチューブ23をこの芯線保持部材によって保持する様子を示している。
図示するように、複数の光ファイバ芯線を収容した複数のシリコンチューブ23はケーブル載置部1の内面の保持凹部7、または、開閉部2a,2bの内面の保持凹部8,9に挿入して保持することができる。図示例では、全ての保持凹部7,8,9を用いた場合に、最大で15本(15回線分)のシリコンチューブ23をそれぞれ分離した状態で収容することが可能である。
【0022】
なお、芯線保持壁4,5,6によって形成される保持凹部7,8,9の数は、図示例に何ら限定されないことは言うまでもなく、また、シリコンチューブ23に収容される光ファイバ芯線21の数も図示例に何ら限定されるものではない。
【0023】
本実施形態の芯線保持部材を用いれば、複数の光ファイバ芯線を収容した複数のシリコンチューブ23を回線ごとに識別しながら保持することができるため、目的とする回線とは異なる回線の光ファイバ芯線を誤って引き出したり、誤接続する等のおそれがない。
また、係止突起3aを係止孔3bに係止させることで開閉部2a,2bを強固に閉じてシリコンチューブ23及び光ファイバケーブル20を把持することができると共に、芯線保持壁4,5,6の先端部に形成した抜け止め4a,5a,6aにより、保持凹部7,8,9からのシリコンチューブ23の抜け落ちを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0024】
1:ケーブル載置部
2a,2b:開閉部
3a:係止突起
3b:係止孔
4,5,6:芯線保持壁
4a,5a,6a:抜け止め
7,8,9:保持凹部
10,11:ケーブル押さえ
20:光ファイバケーブル
21:光ファイバ芯線
22:外被
23:シリコンチューブ
24:テープ芯線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10