(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】オイルセンサユニット、及び圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/02 20060101AFI20230411BHJP
G01F 23/263 20220101ALI20230411BHJP
【FI】
F04B39/02 A
G01F23/263
(21)【出願番号】P 2019043938
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】池田 顕夫
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩児
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一樹
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/042809(WO,A1)
【文献】特開2015-004561(JP,A)
【文献】特開平09-079711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00-39/16
F04B 23/00-29/12
G01F 23/263
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮部を収容するとともに、底部に油が溜められたハウジングの底部に設けられ、陰極板、及び前記油または空気が流入する隙間を介して前記陰極板と対向配置された陽極板を有するオイルセンサと、
静電容量計測部、前記油の有無を判定する際に使用する判定基準値が格納された記憶部、演算部、及び判定部を有する静電容量計測判定装置と、
一端が前記静電容量計測判定装置と接続され、他端が前記オイルセンサと接続された第1のケーブルと、
前記第1ケーブルと静電容量が等しくなるように前記第1のケーブルと同じ構造とされ
、かつ、前記第1のケーブルと同じ経路で引き回されて
いるとともに、一端が前記静電容量計測判定装置と接続され、他端が前記静電容量計測判定装置を含む機器と電気的に接続されていない第2のケーブルと、
を備え、
前記静電容量計測部は、前記第1のケーブルの静電容量と前記オイルセンサの静電容量とを含む第1の静電容量と、前記第1のケーブルの静電容量と等しい前記第2のケーブルの第2の静電容量と、を計測し、
前記演算部は、前記第1の静電容量から前記第2の静電容量を減算することで、前記オイルセンサの第3の静電容量を取得し、
前記判定部は、前記第3の静電容量と前記判定基準値とを比較することで、前記隙間における前記油の有無を判定するオイルセンサユニット。
【請求項2】
前記記憶部には、前記オイルセンサの静電容量と前記油に含まれる前記冷媒の希釈率との関係を示すデータが格納されており、
前記静電容量計測判定装置は、前記記憶部及び前記演算部と電気的に接続され、前記データと前記オイルセンサの静電容量とに基づいて、前記油に含まれる前記冷媒の希釈率を取得する希釈率取得部を有する請求項1記載のオイルセンサユニット。
【請求項3】
前記第1及び第2のケーブルは、それぞれ2本ずつ設けられている請求項1または2記載のオイルセンサユニット。
【請求項4】
前記第1のケーブルは、グラウンド用ケーブルと、センサ用ケーブルと、を有し、
前記第2のケーブルは、1本のみ設けられており、
前記グラウンド用ケーブルは、前記第2のケーブルのグラウンド用ケーブルとして機能する請求項1または2記載のオイルセンサユニット。
【請求項5】
請求項1から4のうち、いずれか一項記載のオイルセンサユニットと、
前記ハウジングと、
前記圧縮部と、
を備える圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルセンサユニット、及び圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機は、圧縮機のハウジングの底に溜まった油(潤滑油)のレベルを検知するオイルセンサを備える(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、圧縮機のハウジングの底部に設けられた静電容量式のオイルセンサと、圧縮機の外側に設けられた静電容量計測判定装置と、オイルセンサの出力値の比較に用いられ、静電容量計測判定装置内に設けられた基準コンデンサと、を備えたオイルセンサユニットが開示されている。
【0003】
オイルセンサは、隙間を介在させた状態で、互いに対向配置された2枚の金属板を有する。静電容量計測判定装置は、ケーブルを介して、オイルセンサと電気的に接続されている。静電容量計測判定装置は、オイルセンサの静電容量を計測する。
特許文献1では、基準コンデンサの第1の静電容量の大きさと、ケーブル及びオイルセンサの合計の第2の静電容量の大きさとを比較することで、オイルセンサが油に浸漬されているか否かの判定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許出願公開第102213214号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ケーブルの経路や人や物等に起因する外乱によりグラウンドとケーブルとの間には、静電容量(寄生容量)が発生する。
このため、上述した特許文献1の圧縮機を用いる場合、上記第2の静電容量にケーブルの静電容量が含まれてしまう。そのため、オイルセンサに基づいて、油の有無の判定を正確に行うことが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、オイルセンサを用いて、油の有無の判定を正確に行うことの可能なオイルセンサユニット、及び圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るオイルセンサユニットは、冷媒を圧縮する圧縮部を収容するとともに、底部に油が溜められたハウジングの底部に設けられ、陰極板、及び前記油または空気が流入する隙間を介して前記陰極板と対向配置された陽極板を有するオイルセンサと、静電容量計測部、前記油の有無を判定する際に使用する判定基準値が格納された記憶部、演算部、及び判定部を有する静電容量計測判定装置と、一端が前記静電容量計測判定装置と接続され、他端が前記オイルセンサと接続された第1のケーブルと、前記第1ケーブルと静電容量が等しくなるように前記第1のケーブルと同じ構造とされ、かつ、前記第1のケーブルと同じ経路で引き回されているとともに、一端が前記静電容量計測判定装置と接続され、他端が前記静電容量計測判定装置を含む機器と電気的に接続されていない第2のケーブルと、を備え、前記静電容量計測部は、前記第1のケーブルの静電容量と前記オイルセンサの静電容量とを含む第1の静電容量と、前記第1のケーブルの静電容量と等しい前記第2のケーブルの第2の静電容量と、を計測し、前記演算部は、前記第1の静電容量から前記第2の静電容量を減算することで、前記オイルセンサの第3の静電容量を取得し、前記判定部は、前記第3の静電容量と前記判定基準値とを比較することで、前記隙間における前記油の有無を判定する。
【0008】
本発明によれば、第2のケーブルを第1のケーブルと同じ構造にするとともに、第1のケーブルと同じ経路で第2のケーブルを引き回すことで、第2のケーブルの第2の静電容量と第1のケーブルの静電容量とを等しくすることが可能となる。
このため、上記構成とされた静電容量計測部、記憶部、演算部及び判定部を有する静電容量計測判定装置を備えることで、第1の静電容量から第2の静電容量を減算して、第1のケーブルの静電容量を含んでいないオイルセンサの静電容量を取得することが可能となる。
これにより、第1のケーブルの静電容量を含んでいないオイルセンサの静電容量と判定基準値とに基づいて、油の有無の判定を行うことが可能となるので、オイルセンサの隙間における油の有無の判定を正確に行うことができる。
【0009】
また、上記本発明の一態様に係るオイルセンサユニットにおいて、前記記憶部には、前記オイルセンサの静電容量と前記油に含まれる前記冷媒の希釈率との関係を示すデータが格納されており、前記静電容量計測判定装置は、前記記憶部及び前記演算部と電気的に接続され、前記データと前記オイルセンサの静電容量とに基づいて、前記油に含まれる前記冷媒の希釈率を取得する希釈率取得部を有してもよい。
【0010】
このような構成とされた記憶部及び希釈率取得部を有することで、第1のケーブルの静電容量を含んでいないオイルセンサの静電容量と、オイルセンサ部の静電容量と油に含まれる冷媒の希釈率との関係を示すデータと、に基づいて、油に含まれる冷媒の希釈率を取得することができる。
【0011】
また、上記本発明の一態様に係るオイルセンサユニットにおいて、前記第1及び第2のケーブルは、それぞれ2本ずつ設けられていてもよい。
【0012】
このように、第1及び第2のケーブルをそれぞれ2本ずつ設けてもよい。
【0013】
また、上記本発明の一態様に係るオイルセンサユニットにおいて、前記第1のケーブルは、グラウンド用ケーブルと、センサ用ケーブルと、を有し、前記第2のケーブルは、1本のみ設けられており、前記グラウンド用ケーブルは、前記第2のケーブルのグラウンド用ケーブルとして機能してもよい。
【0014】
このように、第1のケーブルを構成するグラウンド用ケーブルを第2のケーブルのグラウンド用ケーブルとして用いることで、第2のケーブルの本数を1本にすることが可能となるので、オイルセンサユニットの構成を簡略化することができる。
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る圧縮機は、上記オイルセンサユニットと、前記ハウジングと、前記圧縮部と、を備える。
【0016】
本発明によれば、油の有無の判定を正確に行うことが可能となるので、圧縮機を安定して稼働させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、オイルセンサを用いて、油の有無の判定を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る圧縮機の概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す圧縮機のうち、領域Aで囲まれた部分を拡大した図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係るオイルセンサユニットを説明するための拡大図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態に係るオイルセンサユニットを説明するための拡大図である。
【
図5】オイルセンサの静電容量と油に含まれる冷媒の希釈率との関係を示すグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1及び
図2を参照して、第1の実施形態に係る圧縮機10について説明する。
図1において、Z方向はハウジング21が延びる方向(鉛直方向)、O
1はハウジング21、回転軸23の回転軸本体23A、及び吐出管29の軸線(以下、「軸線O
1」という)、O
2は偏心軸部23Bの軸線(以下、「軸線O
2」という)をそれぞれ示している。
図1では、圧縮機10の一例として、空気調和機や冷凍装置等に用いられる密閉型の電動ロータリ圧縮機を例に挙げて図示する。
図2において、
図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0021】
圧縮機10は、オイルセンサユニット20を含み、圧縮機本体11と、アキュムレータ13と、ブラケット14と、吸入管15と、第1のケーブル16A,16Bと、第2のケーブル17A,17Bと、静電容量計測判定装置18と、表示装置19と、を備える。
オイルセンサユニット20は、第1のケーブル16A,16Bと、第2のケーブル17A,17Bと、静電容量計測判定装置18と、表示装置19と、圧縮機本体11を構成するオイルセンサ30と、を有する。
【0022】
圧縮機本体11は、ハウジング21と、回転軸23と、上部軸受24と、下部軸受25と、電動モータ27と、圧縮部28と、吐出管29と、オイルセンサ30と、を有する。
【0023】
ハウジング21は、ハウジング本体31と、蓋部32と、底部33と、を有する。
ハウジング本体31は、円筒形状とされており、Z方向に延びている。ハウジング本体31の上端及び下端は、開放端とされている。ハウジング本体31の下部には、第1の開口部31A及び第2の開口部31Bが形成されている。
【0024】
第1の開口部31Aは、ハウジング21内に収容されたシリンダ45の外周面と対向するように形成されている。第1の開口部31Aには、吸入管15の先端部が挿入されている。
【0025】
第2の開口部31Bは、シリンダ45の直上に位置するように形成されている。第2の開口部31Bは、オイルセンサ30を配置させるための開口部である。
【0026】
蓋部32は、ハウジング本体31の上端を塞ぐように、ハウジング本体31に設けられている。蓋部32には、貫通孔32Aが形成されている。貫通孔32Aの軸線は、軸線O1と一致している。貫通孔32Aは、吐出管29を挿入するための孔である。
底部33は、ハウジング本体31の下端を塞ぐように、ハウジング本体31に設けられている。
【0027】
ハウジング21の底部には、油35(潤滑油)が溜められることで、油溜まり36が形成されている。油35の初期封入時における油溜まり36の液面36aは、圧縮部28の上方に位置している。これにより、圧縮部28は、油溜まり36の中で駆動される。
上記構成とされたハウジング21は、内部空間を密閉するとともに、回転軸23、上部軸受24、下部軸受25、電動モータ27、及び圧縮部28を収容している。
【0028】
回転軸23は、回転軸本体23Aと、偏心軸部23Bと、を有する。回転軸本体23A
回転軸本体23Aは、ハウジング21内において、Z方向に延びている。回転軸本体23Aは、軸線O1回りに回転可能な構成とされている。
偏心軸部23Bは、回転軸本体23Aの下端側に設けられている。偏心軸部23Bの軸線O2は、軸線O1からオフセットされた位置に配置されている。偏心軸部23Bは、圧縮部28の一部を構成している。
【0029】
上部軸受24は、圧縮部28の上面に設けられている。上部軸受24は、圧縮部28を構成するシリンダ45にボルトで固定されている。
下部軸受25は、圧縮部28の下面に設けられている。これにより、上部軸受24及び下部軸受25は、Z方向において、圧縮部28を挟み込むように配置されている。下部軸受25は、圧縮部28を構成するシリンダ45にボルトで固定されている。
上記構成とされた上部軸受24及び下部軸受25は、回転軸本体23Aが軸線O1回りに回転可能な状態で、回転軸本体23Aを支持している。
【0030】
電動モータ27は、Z方向においてハウジング21内の中央部に配置されている。電動モータ27は、ロータ41と、ステータ42と、を有する。
ロータ41は、圧縮部28よりも上方に位置する回転軸本体23Aの外周面に固定されている。
ステータ42は、ロータ41の外周面を囲むように、ハウジング本体31の内周面31aに固定されている。
【0031】
上記構成とされた電動モータ27には、ケーブル43が接続されている。電動モータ27は、ケーブル43を介して、電源(図示せず)と接続されている。電動モータ27は、該電源から供給される電力によって回転軸23を回転させる。
【0032】
圧縮部28は、電動モータ27の下方に位置するハウジング21内の底部に設けられている。圧縮部28は、シリンダ45と、偏心軸部23Bと、ピストンロータ47と、を有している。
【0033】
シリンダ45は、圧縮室45Aと、吸入孔45Bと、吐出孔(図示せず)と、を有する。
圧縮室45Aは、シリンダ45の中央部に形成されている。圧縮室45Aは、偏心軸部23B及びピストンロータ47を収容している。
吸入孔45Bは、冷媒を圧縮室45Aに流入可能させるための孔である。吐出孔(図示せず)には、圧縮部28で圧縮された冷媒が吐出される。
【0034】
シリンダ45には、圧縮室45Aを2つに区切るブレード(図示せず)が設けられている。シリンダ45には、径方向に延びて形成されたブレード溝(図示せず)が形成されている。
ブレードは、ブレード溝の内面に摺動可能に案内される。ブレードは、ピストンロータ47に対して接近離間する方向に進退自在に保持されている。ブレードは、径方向の外側の基端部が圧縮バネ(図示せず)によって弾性的に押圧されており、先端部がピストンロータ47の外周面に常に押し付けられた状態となっている。
【0035】
吐出管29は、上部側がハウジング21の外部に配置され、下端側が貫通孔32Aに挿入された状態で蓋部32に固定されている。吐出管29は、油35を含み、かつ圧縮された冷媒をハウジング21の外部へ吐出する。
【0036】
オイルセンサ30は、第2の開口部31Bに挿入された状態で、ハウジング21に固定されている。これにより、オイルセンサ30は、ハウジング21の底部に配置されている。
オイルセンサ30は、固定用部材49と、陰極板61と、陽極板62と、陰極端子54と、陽極端子55と、を有する。
【0037】
固定用部材49は、第2の開口部31Bを塞ぐように配置されるとともに、ハウジング本体31に固定されている。固定用部材49は、ハウジング21の径方向に配置された内面49a及び外面49bを有する。
内面49aは、ハウジング21の内側に配置されている。外面49bは、ハウジング21の外側に配置されている。
【0038】
陰極板61は、一部が内面49a側から固定用部材49に埋め込まれることで、固定用部材49に支持されている。陰極板61は、内面49aからハウジング本体31の径方向内側に向かう方向に突出している。
【0039】
陽極板62は、一部が内面49a側から陰極板61よりも上方に位置する固定用部材49に埋め込まれることで、固定用部材49に支持されている。陽極板62は、内面49aからハウジング本体31の径方向内側に向かう方向に延びている。
陽極板62の下面62aは、Z方向において陰極板61から離れた状態で、陰極板61の上面61aと対向している。陰極板61及び陽極板62は、金属製の板で構成されている。
陰極板61の上面61aと陽極板62の下面62aとの間には、隙間64が形成されている。
【0040】
図2に示すように、油溜まり36の液面36aが陽極板62よりも上方にある場合、隙間64には、油溜まり36を構成する油35が配置される。この油35には、圧縮部28に供給される冷媒が溶け込んでいる。
一方、油溜まり36の液面36aが陰極板61よりも下方にある場合、隙間64には、空気が配置される。
【0041】
陰極端子54は、一部が外面49b側から固定用部材49に埋め込まれることで、固定用部材49に支持されている。陰極端子54は、外面49bからハウジング本体31の径方向外側に向かう方向に延びている。陰極端子54は、固定用部材49の内部において陰極板61と電気的に接続されている。
陰極端子54は、第1のケーブル16Aを介して、静電容量計測判定装置18と電気的に接続されている。
【0042】
陽極端子55は、一部が外面49b側から固定用部材49に埋め込まれることで、固定用部材49に支持されている。陽極端子55は、外面49bからハウジング本体31の径方向外側に向かう方向に延びている。陽極端子55は、固定用部材49の内部において陽極板62と電気的に接続されている。
陽極端子55は、第1のケーブル16Bを介して、静電容量計測判定装置18と電気的に接続されている。
【0043】
アキュムレータ13は、圧縮機本体11の横に設けられている。アキュムレータ13の側壁は、ハウジング本体31と接続されたブラケット14と接続されている。
これにより、アキュムレータ13は、ブラケット14を介して、ハウジング21に支持されている。アキュムレータ13は、冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離する。
【0044】
吸入管15は、第1の部分15Aと、第2の部分15Bと、第1の部分15Aと第2の部分15Bとの間に配置された第3の部分15Cと、を有する。
第1の部分15Aは、アキュムレータ13内に配置されている。第1の部分15Aは、気相冷媒を導入するための導入口15Aaを有する。
【0045】
第2の部分15Bは、第1の開口部31Aを介して、吸入孔45Bに挿入された状態で圧縮機本体11に固定されている。第2の部分15Bは、圧縮室45Aに気相冷媒を導出するための導出口15Baを有する。
第3の部分15Cは、ハウジング21及びアキュムレータ13の外部に配置されており、L字形状とされている。
【0046】
第1のケーブル16Aは、グラウンド用ケーブルであり、ハウジング21の外側に配置されている。第1のケーブル16Aは、一端16Aaが静電容量計測判定装置18と接続され、他端16Abが陰極端子54と接続されている。
第1のケーブル16Bは、センサ用ケーブルであり、ハウジング21の外側に配置されている。第1のケーブル16Bは、一端16Baが静電容量計測判定装置18と接続され、他端16Bbが陽極端子55と接続されている。
【0047】
第1のケーブル16A,16Bは、第1のケーブル16A,16Bの静電容量(以下、「静電容量CC1」という)と、オイルセンサ30の静電容量(以下、「静電容量CS」という)とを含む第1の静電容量(以下、「第1の静電容量C1」という)を計測する際に必要な情報を静電容量計測判定装置18に送信する。
【0048】
第2のケーブル17Aは、グラウンド用ケーブルであり、ハウジング21の外側に配置されている。第2のケーブル17Aは、第1のケーブル16A,16Bと同じ構造とされている。また、第2のケーブル17Aは、第1のケーブル16A,16Bと同じ経路で引き回されている。
第2のケーブル17Aは、一端17Aaが静電容量計測判定装置18と接続され、他端17Abがオイルセンサ30の近くに配置されている。第2のケーブル17Aの他端17Abは、静電容量計測判定装置18を含む機器と電気的に接続されていない。
【0049】
第2のケーブル17Bは、ハウジング21の外側に配置されている。第2のケーブル17Bは、第1のケーブル16A,16Bと同じ構造とされている。また、第2のケーブル17Bは、第1のケーブル16A,16Bと同じ経路で引き回されている。
第2のケーブル17Bは、一端17Baが静電容量計測判定装置18と接続され、他端17Bbがオイルセンサ30の近くに配置されている。第2のケーブル17Bの他端17Bbは、静電容量計測判定装置18を含む機器と電気的に接続されていない。
【0050】
第2のケーブル17A,17Bは、第2のケーブル17A,17Bの静電容量である第2の静電容量(以下、「第2の静電容量C2」という)を計測する際に必要な情報を静電容量計測判定装置18に送信する。
上述したように、第2のケーブル17A,17Bは、第1のケーブル16A,16Bと同じ構造とされるとともに、第1のケーブル16A,16Bと同じ経路で引き回されている。このため、第2の静電容量C2(第2のケーブル17A,17Bの静電容量)は、第1のケーブル16A,16Bの静電容量CC1と等しい。
したがって、下記(1)式が成り立つ。
C2=CC1 ・・・(1)
【0051】
静電容量計測判定装置18は、圧縮機本体11の外側に設けられている。静電容量計測判定装置18は、静電容量計測部18Aと、記憶部18Bと、演算部18Cと、判定部18Dと、を有する。
【0052】
静電容量計測部18Aは、第1及び第2のケーブル16A,16B,17A,17Bから送信される情報に基づいて、第1のケーブルの静電容量CC1とオイルセンサ30の静電容量CSとを含む第1の静電容量C1と、第2のケーブルの第2の静電容量C2(=CC1)と、を計測する。
第1の静電容量C1は、下記(2)式の関係を満たす。
C1=CC1+CS ・・・(2)
【0053】
記憶部18Bは、判定部18Dと電気的に接続されている。記憶部18Bには、隙間64に油35が存在するか否かの判定を行う際に使用する静電容量の値である判定基準値(例えば、陰極板61と陽極板62との間に空気のみが存在する場合の静電容量の値)が格納されている。
【0054】
演算部18Cは、下記(3)式に基づいて、第1の静電容量C1から第2の静電容量C2を減算することで、オイルセンサ30の第3の静電容量CS(オイルセンサ30が検出した静電容量)取得する。
CS=C1-C2 ・・・(3)
【0055】
判定部18Dは、演算部18Cが取得したオイルセンサ30の静電容量CSと記憶部18Bに格納された判定基準値とを比較することで、陰極板61と陽極板62との間に形成された隙間64に油が存在するか否かの判定(油の有無の判定)を行う。
【0056】
上記構成とされた静電容量計測判定装置18は、表示装置19と電気的に接続されている。静電容量計測判定装置18は、判定部18Dの判定結果に関する情報を表示装置19に送信する。
【0057】
表示装置19は、圧縮機本体11の外側に設けられている。表示装置19は、表示画面19Aを有する。表示装置19は、表示画面19Aに判定部18Dの判定結果を表示させる。
【0058】
このように、表示画面19Aに判定部18Dの判定結果を表示させることで、作業者が油溜まり36の残量をリアルタイムで、かつ容易に認識することができる。
また、作業者が油溜まり36の残量をリアルタイムで、かつ容易に認識することが可能となることで、油35が少なくなった際の圧縮機10(圧縮機本体11)の停止時間を短くすることができる。
【0059】
第1の実施形態のオイルセンサユニット20によれば、第2のケーブル17A,17Bを第1のケーブル16A,16Bと同じ構造にするとともに、第1のケーブル16A,16Bと同じ経路で第2のケーブル17A,17Bを引き回すことで、第2のケーブル17A,17Bの第2の静電容量C2と第1のケーブル16A,16Bの静電容量とを等しくすることが可能となる。
このため、上述した静電容量計測部18A、記憶部18B、演算部18C、及び判定部18Dを有する静電容量計測判定装置18を備えることで、第1の静電容量C1から第2の静電容量C2を減算することで、第1のケーブルの静電容量CC1を含んでいないオイルセンサ30の静電容量CSを取得することが可能となる。
【0060】
これにより、第1のケーブル16A,16Bの静電容量CC1を含んでいないオイルセンサ30の静電容量CSと判定基準値とに基づいて、油35の有無の判定を行うことが可能となるので、オイルセンサ30の隙間64における油35の有無の判定を正確に行うことができる。
【0061】
また、第1の実施形態の圧縮機10によれば、上記構成とされたオイルセンサユニット20を備えることで、油の有無の判定を正確に行うことが可能となるので、圧縮機10を安定して稼働させることができる。
【0062】
(第2の実施形態)
図3を参照して、第2の実施形態のオイルセンサユニット70について説明する。
図3において、
図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0063】
オイルセンサユニット70は、
図3に示すグラウンド用ケーブルである第1のケーブル16Aを
図2に示す第1のケーブル16A(グラウンド用ケーブル)及び第2のケーブル17A(グラウンド用ケーブル)の共通のグラウンド用ケーブルとして用いること以外は、第1の実施形態の圧縮機10と同様に構成されている。
【0064】
第2の実施形態のオイルセンサユニット70によれば、グラウンド用ケーブルである第1のケーブル16Aを第2のケーブル17A(グラウンド用ケーブル)として機能させることで、1本の第2のケーブル17Bのみ設ければよいため、オイルセンサユニット70の構成を簡略化することができる。
【0065】
(第3の実施形態)
図4及び
図5を参照して、第3の実施形態のオイルセンサユニット80について説明する。
図3において、
図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
図5において、直線L1は隙間64が空気のみで満たされているときの静電容量を示しており、直線L2は、隙間64が油35のみで満たされているときの油35中に含まれる冷媒の希釈率とオイルセンサ30の静電容量との関係を示している。直線L2は、一次関数が描く直線である。
【0066】
オイルセンサユニット80は、第1の実施形態のオイルセンサユニット80を構成する静電容量計測判定装置18に替えて、静電容量計測判定装置81を有すること以外は、オイルセンサユニット20と同様に構成されている。
【0067】
静電容量計測判定装置81は、静電容量計測判定装置18を構成する静電容量計測部18A、記憶部18B、演算部18C、及び判定部18Dの他に、さらに希釈率取得部18Eを有する。
【0068】
静電容量計測判定装置81の記憶部18Bには、オイルセンサ30の静電容量C
Sと油35に含まれる冷媒の希釈率との関係を示すデータが格納されている。
上記データとしては、例えば、
図5に示すグラフを例示することが可能である。
【0069】
希釈率取得部18Eは、記憶部18B、演算部18C、及び判定部18Dと電気的に接続されている。希釈率取得部18Eには、演算部18Cが取得したオイルセンサ30の静電容量C
Sに関する情報が送信される。
希釈率取得部18Eは、記憶部18Bに格納されたデータ(
図5参照)とオイルセンサ30の静電容量C
Sとに基づいて、隙間64に存在する油35に含まれる冷媒の希釈率を取得する。
【0070】
ここで、
図5に示すグラフを用いて、希釈率取得部18Eがどのように希釈率を取得するかについて説明する。
例えば、演算部18Cが取得したオイルセンサ30の静電容量C
Sの値がC
SA(例えば、4pF)の場合、判定部18Dにより隙間64が空気で満たされていると判定される。この場合、希釈率取得部18Eは、希釈率を取得する処理を行わない。
【0071】
演算部18Cが取得したオイルセンサ30の静電容量C
SがC
SB(例えば、5pF)の場合、判定部18Dにより隙間64が油35で満たされていると判定される。この場合、希釈率取得部18Eは、希釈率を取得する処理を行う。
図5に示すように、この処理で取得される油35中の冷媒の希釈率は、0%となる。
【0072】
演算部18Cが取得したオイルセンサ30の静電容量C
SがC
SCの場合、判定部18Dにより隙間64が油35で満たされていると判定されるため、希釈率取得部18Eは、希釈率を取得する処理を行う。
図5に示すように、この処理で取得される油35中の冷媒の希釈率は、D%となる。
【0073】
演算部18Cが取得したオイルセンサ30の静電容量C
SがC
SD(例えば、20pF)の場合、判定部18Dにより隙間64が油35で満たされていると判定されるため、希釈率取得部18Eは、希釈率を取得する処理を行う。
図5に示すように、この処理で取得される油35中の冷媒の希釈率は、100%となる。
このような手法により、希釈率取得部18Eは、油35中の冷媒の希釈率を取得する。
【0074】
第3の実施形態のオイルセンサユニット80によれば、上記構成とされた記憶部18B及び希釈率取得部18Eを有することで、オイルセンサ30の静電容量CSと、オイルセンサ30の静電容量CSと油35に含まれる冷媒の希釈率との関係を示すデータと、に基づいて、油35に含まれる冷媒の希釈率を取得することができる。
【0075】
なお、第3の実施形態において、第2の実施形態のように、グラウンド用ケーブルである第1のケーブル16Aを第2のケーブル17A(グラウンド用ケーブル)として用いることで、1本の第2のケーブル17Bのみ設けてもよい。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
10…圧縮機
11…圧縮機本体
13…アキュムレータ
14…ブラケット
15…吸入管
15A…第1の部分
15Aa…導入口
15Ba…導出口
15B…第2の部分
15C…第3の部分
16A,16B…第1のケーブル
16Aa,16Ba,17Aa,17Ba…一端
16Ab,16Bb,17Ab,17Bb…他端
17A,17B…第2のケーブル
18,81…静電容量計測判定装置
18A…静電容量計測部
18B…記憶部
18C…演算部
18D…判定部
18E…希釈率取得部
19…表示装置
20,70,80…オイルセンサユニット
21…ハウジング
23…回転軸
23A…回転軸本体
23B…偏心軸部
24…上部軸受
25…下部軸受
27…電動モータ
28…圧縮部
29…吐出管
30…オイルセンサ
31…ハウジング本体
31a…内周面
31A…第1の開口部
31B…第2の開口部
32…蓋部
32A…貫通孔
33…底部
35…油
36…油溜まり
36a…液面
41…ロータ
42…ステータ
43…ケーブル
45…シリンダ
45A…圧縮室
45B…吸入孔
47…ピストンロータ
49…固定用部材
49a…内面
49b…外面
54…陰極端子
55…陽極端子
61…陰極板
61a…上面
62a…下面
62…陽極板
64…隙間
A…領域
L1,L2…直線
O1,O2…軸線