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特許7260357シェービングフォーム用エアゾール組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】シェービングフォーム用エアゾール組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20230411BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230411BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230411BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230411BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230411BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230411BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230411BHJP
   A61Q 9/02 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/02
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/73
A61K8/81
A61Q9/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019062362
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020158470
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】清瀬 友希
(72)【発明者】
【氏名】稲田 康輝
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-122745(JP,A)
【文献】特表2015-514136(JP,A)
【文献】特表2007-522218(JP,A)
【文献】特表2001-511150(JP,A)
【文献】特表2011-511831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分A、成分B成分C及び成分Dを含有する原液であって、前記原液100質量%中、成分Aの含有量が2.0~7.0質量%であり、成分Bの含有量が0.3~1.5質量%であり、成分Cの含有量が1.0~4.0質量%であり、成分Dの含有量が0.1~6.0質量%である原液を90~97質量%、並びに
3~10質量%の噴射剤
からなるシェービングフォーム用エアゾール組成物。
成分A:炭素数12~22の脂肪酸及び/又はその塩
成分B:非イオン性水溶性高分子
成分C:エステル化合物
成分D:グリセリン
【請求項2】
記原液100質量%中、成分Dの含有量が0.5~4.5質量%である、請求項1に記載のシェービングフォーム用エアゾール組成物
【請求項3】
前記原液100質量%中、成分Aの含有量が4.0~7.0質量%である、請求項1又は2に記載のシェービングフォーム用エアゾール組成物。
【請求項4】
前記成分Bが、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガム及びキサンタンガムからなる群より選択される1種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシェービングフォーム用エアゾール組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシェービングフォーム用エアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、髭および体毛の剃毛時には、髭および体毛を湿潤化、柔軟化させて剃毛を容易にするために、石鹸やシェービングフォーム、シェービングジェルなどが用いられている。
【0003】
なかでもシェービングフォームは、泡状であるため剃毛箇所に塗布した後の垂れ落ちを防止できるなどの点で優れる。
【0004】
そこで、種々のシェービングフォームが提案されている。例えば、特許文献1には(A)高級脂肪酸塩、(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体及び/またはアクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、(C)噴射剤、(D)所定の油を含有するシェービング組成物とすることで、起泡性、洗浄力、泡質等に優れるシェービング組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-217346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シェービングフォームは、剃毛箇所に塗布しても垂れ落ちずに残るという特性が求められるため、固めの泡状であった。しかしながら、このようなシェービングフォームは、固めの泡であるために体毛とシェービングフォーム中の水分との接触能が低く、その結果、体毛の湿潤化、柔軟化に劣るという問題がある。さらに、使用感や泡持ちの観点から、形成される泡の泡質が均一であることも求められている。加えて、シェービングフォーム用エアゾール組成物がエアゾール容器に充填されたエアゾール製品として提供する観点から、低温でも固化しないという低温安定性が確保される必要がある。
【0007】
従って本発明の課題は、柔軟で均一な泡質で肌への密着性に優れるシェービングフォームが得られるシェービングフォーム用エアゾール組成物を提供することを目的とする。さらに本発明の課題は、低温安定性を有するシェービングフォーム用エアゾール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、下記の〔1〕~〔4〕に関するものである。
〔1〕 下記成分A、成分B及び成分Cを含有する原液であって、前記原液100質量%中、成分Bの含有量が0.3~1.5質量%であり、成分Cの含有量が1.0~4.0質量%である原液を90~97質量%、並びに
3~10質量%の噴射剤
からなるシェービングフォーム用エアゾール組成物。
成分A:高級脂肪酸及び/又はその塩
成分B:非イオン性水溶性高分子
成分C:エステル化合物
〔2〕 前記原液が下記成分Dを更に含有し、前記原液100質量%中、成分Dの含有量が6.0質量%以下である、前記〔1〕に記載のシェービングフォーム用エアゾール組成物。
成分D:グリセリン
〔3〕 前記原液100質量%中、成分Aの含有量が2.0~9.0質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のシェービングフォーム用エアゾール組成物。
〔4〕 前記成分Bが、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガム及びキサンタンガムからなる群より選択される1種以上である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のシェービングフォーム用エアゾール組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシェービングフォーム用エアゾール組成物は、柔軟で均一な泡質で肌への密着性に優れるシェービングフォームが得られる。さらには、本発明のシェービングフォーム用エアゾール組成物は低温での安定性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<原液>
本発明のシェービングフォーム用エアゾール組成物(以下、「本発明のエアゾール組成物」と略記することもある。)における原液は、成分A:高級脂肪酸及び/又はその塩、成分B:水溶性高分子、及び成分C:エステル化合物を必須成分として含有する。本発明における原液は、前記必須成分に加えて、成分D:グリセリンや、成分A~成分C以外の成分(その他の成分)、媒体としての水をさらに含有してもよい。成分A~成分Dやその他の成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0011】
成分Aは高級脂肪酸及び/又はその塩である。成分Aはシェービングフォームの泡を構成するための主成分である。成分Aは1種のみを用いてもよいし、2種を併用してもよい。
【0012】
高級脂肪酸としては、例えば、炭素数12~22のものが好ましく、炭素数12~18のものがより好ましい。高級脂肪酸の好ましい具体例としては、例えば、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、イソカプリル酸、イソペラルゴン酸、イソカプリン酸、イソウンダカン酸、イソラウリン酸、イソトリデシル酸、イソミリスチン酸、イソペンタデシル酸、イソパルミチン酸、イソマルガリン酸、イソステアリン酸、イソノナデカン酸、イソアラキン酸、イソヘンエイコサン酸及びイソベヘン酸等が挙げられる。
【0013】
高級脂肪酸塩における塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0014】
本発明における原液100質量%中の成分Aの含有量は、形成される泡の泡質及び泡持ちの観点から、好ましくは2.0質量%以上であり、より好ましくは4.0質量%以上であり、一方、形成される泡の硬さの観点から、好ましくは9.0質量%以下であり、より好ましくは7.0質量%以下である。成分Aの含有量は、原液中に含まれる全ての成分Aの含有量(高級脂肪酸として換算した場合の含有量)の合計量である。
【0015】
成分Bは非イオン性水溶性高分子である。成分Bを配合することで、形成される泡の泡質を柔軟化することができる。成分Bは1種のみを用いてもよいし、2種を併用してもよい。
【0016】
成分Bに関して、水溶性は以下のようにして評価される。
100g(25℃)の水に、1gの評価対象の高分子を添加して、スターラー等の撹拌装置を用いて24時間攪拌した後、その溶液(又は懸濁液)を25℃で、3000×gの条件で、30分間遠心分離し、不溶残渣を集める。この残渣を70℃で12時間真空乾燥し、乾燥後の質量(乾燥質量)を測定する。そして、不溶残渣が得られない場合又は乾燥質量が990mg未満の場合を水溶性と評価し、乾燥質量が990mg以上の場合を非水溶性と評価する。
【0017】
成分Bの分子量は特に限定されないが、例えば、質量平均分子量として、好ましくは1,000以上であり、より好ましくは5,000以上であり、一方、好ましくは300万以下であり、より好ましくは150万以下である。
【0018】
成分Bの具体例としては、例えば、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガム及びキサンタンガム等が例示される。かかる高分子はいずれも水溶性である。
【0019】
本発明における原液100質量%中の成分Bの含有量は、柔軟な泡質の泡を得る観点や泡持ちの観点から、0.3質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上であり、一方、本発明のエアゾール組成物の低温安定性及び泡の硬さの観点から、1.5質量%以下であり、好ましくは1.2質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
【0020】
成分Cはエステル化合物である。成分Cを用いることで、形成される泡の泡質を柔軟化することができる。成分Cは1種のみを用いてもよいし、2種を併用してもよい。
【0021】
成分Cの具体例としては、イソノナン酸イソノニル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、ミリスチン酸ポリグリセリル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、ミリスチン酸ポリプロピレングリコール-3ベンジルエーテル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、2-エチルヘキサン酸セチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、及びテトライソステアリン酸ペンタエリトリットが挙げられる。
【0022】
本発明における原液100質量%中の成分Cの含有量は、泡質を柔らかくする観点から、1.0質量%以上、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上であり、一方、泡質や泡もちの観点から、4.0質量%以下、好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。
【0023】
本発明のエアゾール組成物における原液は、さらに成分Dのグリセリンを含有することが好ましい。成分Dは、本発明のエアゾール組成物の起泡性の向上に寄与する。
【0024】
本発明における原液100質量%中の成分Dの含有量は、起泡性をより向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは1.0質量%以上であり、一方、柔軟な泡質の泡を得る観点や泡の硬さの観点から、好ましくは6.0質量%以下であり、より好ましくは4.5質量%以下であり、更に好ましくは3.0質量%以下である。
【0025】
本発明における原液には、原液を構成する各成分の媒体として、水が含まれていてもよい。原液における水の量は特に限定されず、上記各成分の含有量の範囲に矛盾が生じない量であればよい。
【0026】
本発明のエアゾール組成物における原液は、成分A~成分D以外の成分(その他の成分)を任意に含有することができる。その他の成分としては、例えば、成分A以外の陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、成分B以外の非イオン性界面活性剤、陰イオン性水溶性高分子、陽イオン性水溶性高分子、両性水溶高分子、成分C以外の動植物由来油脂、動植物由来抽出エキス、糖アルコール、保湿剤、清涼剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、ビタミン類、酸化防止剤、防腐・殺菌剤、pH調整剤、抗酸化剤、着色剤、各種香料等が挙げられる。前記その他の成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0027】
前記原液は、常法により調製することができる。例えば、前記の各構成成分を混合し、公知の方法、具体的には、ホモミキサー等で撹拌する方法等が挙げられる。
【0028】
原液のpHとしては特に限定されず、25℃にて、8~9の範囲が好ましい。
【0029】
<噴射剤>
本発明のエアゾール組成物における噴射剤は、特に限定されないが、空気、窒素、炭酸ガス、亜酸化窒素等のガス(特に圧縮ガスが好ましい);液化石油ガス(LPG: Liquefied Petroleum Gas)、ジメチルエーテル(DME)、イソペンタン、フルオロカーボン等の液化ガスを採用することができる。
【0030】
<シェービングフォーム用エアゾール組成物>
本発明のシェービングフォーム用エアゾール組成物は、前記原液と前記噴射剤からなる組成物である。本発明のエアゾール組成物100質量%中、柔軟な泡質の泡を得る観点から、前記原液は90質量%以上、好ましくは93質量%以上であり、一方、泡の密着性および発泡性の観点から、97質量%以下である。さらに、本発明のエアゾール組成物100質量%中、泡の密着性および発泡性の観点から、前記噴射剤は3質量%以上であり、一方、柔軟な泡質の泡を得る観点から、前記噴射剤は10質量%以下、好ましくは7質量%以下である。
【0031】
<エアゾール製品>
本発明のエアゾール組成物は、通常、前記原液と前記噴射剤とがエアゾール容器本体に充填されたエアゾール製品として提供される。
エアゾール製品は、常法により、エアゾール容器に原液と噴射剤とを充填して製造することができる。
エアゾール製品の吐出形態としてはフォーム状である。
【0032】
本発明のエアゾール組成物やエアゾール製品が適用される部位としては、髭又は体毛が存在する箇所が挙げられ、例えば、顔、腕、肘、手又は足の甲、指先、ふくらはぎ、ふともも、膝、かかと、首、腋、背中などが挙げられる。
本発明のエアゾール組成物やエアゾール製品は、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨のいずれであってもよい。
【実施例
【0033】
以下、本発明を実施例等に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等にのみ限定されるものではない。なお、表中の各成分の配合量及び含有量は純分に換算した量であり、特記しない限り「質量%」を表す。
【0034】
実施例1~14、比較例1~7(エアゾール組成物及びエアゾール製品の製造)
表1~表3に記した組成からなる原液をエアゾール容器(φ35mm×105mm、アルミ缶、容器満注量:91mL)に充填し、エアゾールバルブを該容器にクリンチした。次いで、噴射剤(LPG)を、原液に対して表1~表3の質量比率となるようにステムより充填し、適したスパウトを装着してエアゾール製品を製造した。なお、エアゾール容器に充填した原液と噴射剤の合計量は40gであった。
【0035】
実施例等における主な成分の詳細は次の通りである。なお、表中に記載の量は商品の量ではなく、各成分の量(有効成分の量)である。
濃グリセリン:阪本薬品工業社製、化粧用濃グリセリン
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート:花王社製、レオドール TW-S120V、POEの付加モル数:20
ヤシ油脂肪酸ソルビタン:花王社製、レオドールスーパーSP-L10
ポリビニルピロリドン:ISP社製、商品名:PVP K-90
ヒドロキシエチルセルロース:ダイセル化学工業社製、HECダイセル SE900
キサンタンガム:大日本住友製薬社製、エコーガムT
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体:カルゴン社製、マーコート550
【0036】
(評価項目1:内容物の低温安定性)
各実施例及び比較例で調製された内容物を、恒温槽中で5℃の条件下、14日間保存した。保存後の各内容物について、下記の方法で各内容物の低温安定性を評価した。具体的には、各内容物の外観を観察した。固化及び分離が見られないものを低温安定性良好(○)と評価し、固化又は分離が見られるものを低温安定性不良(×)と評価した。
【0037】
(評価項目2:形成された泡の均一性)
各実施例及び比較例で調製されたエアゾール製品を、掌に5g吐出し、泡の外観を観察した。均一にきめ細かい泡を形成しているものを泡の均一性良好(○)と評価し、一部破泡しているものを泡の均一性不良(×1)と評価し、液状になっているものを泡の均一性不良(×2)と評価した。
【0038】
(評価項目3:形成された泡の柔軟性)
各実施例及び比較例で調製されたエアゾール製品を、掌に5g吐出し、もう片方の掌で泡を約2cmまで潰すように抑えた際の感触を下記の基準で評価した。
◎(良好):柔らかい泡の感触
○(やや良好):◎よりやや固い又は◎よりやや柔らかい泡の感触
×1(不良):固い泡の感触
×2(不良):潰れやすく、柔らか過ぎる泡の感触
×3(不良):弾力のある泡の感触
【0039】
(評価項目4:形成された泡の密着性)
各実施例及び比較例で調製されたエアゾール製品を、掌に5g吐出し、もう片方の掌で泡を約2cmまで潰すように抑えた後、伸ばすようにスライドさせた際の感触を下記の基準で評価した。
◎(良好):スライドさせた片方の掌に泡が付いてこない感触
○(やや良好):スライドさせた片方の掌に泡がやや付いてくる程度の感触
×1(不良):スライドさせた片方の掌に泡が付いてくる感触
×2(不良):スライドさせた際に液垂れする
【0040】
結果を下記表に示す。なお、各成分の配合量は質量%である。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
上記表より、本発明のシェービングフォーム用エアゾール組成物は、低温安定性、吐出後の泡の均一性、泡の柔軟性及び泡の密着性のすべての評価項目において、良好又は優れていることが分かった。本発明の組成物は泡の密着性に優れているので、泡の垂れ落ちが防止できることも期待される。なお、実施例1~13に示されるように、成分Dを含有する場合はいずれも良好な結果であったが、グリセリンに代えて他の多価アルコールを用いると、泡の柔軟性及び密着性の点で劣ることが分かった(結果は示さず。)。このことから、本発明において、多価アルコールを用いる場合はグリセリンのみを用いることが好ましく、グリセリン以外の多価アルコールを用いない方が良いことが示唆された。
【0045】
一方、エアゾール組成物が成分Bを含まない場合(比較例1)及び成分Cを含まない場合(比較例5)、泡の柔軟性に関して、硬い泡であること、及び泡の密着性に関して、密着性が悪く、評価者は泡が肌上に単に乗っている感触であったと訴えていた。さらに、成分Bではなくカチオン性の高分子を用いても(比較例6)、泡の柔軟性及び泡の密着性が改善しないことが分かった。さらに、成分Bの量が多過ぎると(比較例2)、低温下で内容物が固化し、成分Cの量が多過ぎると(比較例3)、泡の均一性に関して、泡の一部に破泡が見られた。さらに、原液と噴射剤の比率に関して、噴射剤が少な過ぎると(比較例4)、噴射時に泡が形成されずに液状のままで組成物が吐出し、噴射剤が多過ぎると(比較例7)、泡の柔軟性に関して泡の弾力が高過ぎ、かつ泡の密着性も悪いことが分かった。なお、成分Dの量が多過ぎると、比較例1及び5と同様の傾向が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のシェービングフォーム用エアゾール組成物は、髭や体毛を剃る時に使用するシェービングフォームとして利用することができる。