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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】半導体素子搭載用基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
H01L23/50 A
H01L23/50 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019070791
(22)【出願日】2019-04-02
(65)【公開番号】P2020170775
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】517363861
【氏名又は名称】大口マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(72)【発明者】
【氏名】有馬 博幸
(72)【発明者】
【氏名】大滝 啓一
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-021815(JP,A)
【文献】特開2017-157644(JP,A)
【文献】特開2018-046218(JP,A)
【文献】特開平06-053384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体素子搭載用基板が多列配置され、個々の半導体素子搭載用基板が、金属板の一方の側の面に凹部を設けることによって形成され、半導体パッケージ領域の内側で四方の縁部から中央に向かって細長状に延びた、0.10mm以上0.18mm以下の高さの複数の柱状突起部と、夫々の前記柱状突起部の側面および上面と前記凹部の底面における前記柱状突起部の周囲の所定領域を覆う、めっき層からなる複数の端子部と、を有する半導体素子搭載用基板の製造方法であって、
前記金属板の一方の側の面上に、前記凹部に対応する領域を開口する開口部を有し、複数の前記柱状突起部に対応する領域を覆うエッチング用レジストマスクを形成するとともに、前記金属板の他方の側の面上に、全面を覆うエッチング用レジストマスクを形成する工程と、
個々の前記柱状突起部の近傍、且つ、前記半導体パッケージ領域の外側の所定部位に対応する領域を開口する開口部を有し、その他の領域を覆う遮蔽部材を、前記金属板の一方の側に形成されている前記エッチング用レジストマスクから所定間隔をあけて配置した状態で、前記金属板の一方の面にエッチング加工を施し、0.10mm以上0.18mm以下の深さの前記凹部を設けることによって個々の前記柱状突起部を形成するとともに、所定の前記柱状突起部の近傍、且つ、前記半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に貫通孔を形成する工程と、
前記遮蔽部材を除去するとともに前記エッチング用レジストマスクを除去する工程と、
搬送装置を用いて搬送される、前記金属板の一方の側の面上に、レジストフィルムを圧着し、夫々の前記柱状突起部を囲む所定領域を開口する複数の開口部を有し、その他の領域を覆うめっき用レジストマスクを形成する工程と、
前記めっき用レジストマスクの開口部から露出する、前記柱状突起部の側面および上面と前記凹部の底面における前記柱状突起部の周囲の所定領域にめっき加工を施し、前記端子部を形成する工程と、
前記めっき用レジストマスクを除去する工程と、
を有することを特徴とする半導体素子搭載用基板の製造方法。
【請求項2】
複数の半導体素子搭載用基板が多列配置され、個々の半導体素子搭載用基板が、金属板の一方の側の面に凹部を設けることによって形成され、半導体パッケージ領域の内側で四方の縁部から中央に向かって細長状に延びた、0.10mm以上0.18mm以下の高さの複数の柱状突起部と、夫々の前記柱状突起部の側面および上面と前記凹部の底面における前記柱状突起部の周囲の所定領域を覆う、めっき層からなる複数の端子部と、を有する半導体素子搭載用基板の製造方法であって、
前記金属板の一方の側の面上に、前記凹部に対応する領域を開口する開口部を有し、複数の前記柱状突起部に対応する領域を覆うエッチング用レジストマスクを形成するとともに、前記金属板の他方の側の面上に、個々の前記柱状突起部の近傍、且つ、前記半導体パッケージ領域の外側の所定部位に対応する領域を開口する開口部を有し、その他の領域を覆うエッチング用レジストマスクを形成する工程と、
前記金属板の両面にエッチング加工を施し、0.10mm以上0.18mm以下の深さの前記凹部を設けることによって個々の前記柱状突起部を形成するとともに、所定の前記柱状突起部の近傍、且つ、前記半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に貫通孔を形成する工程と、
記エッチング用レジストマスクを除去する工程と、
搬送装置を用いて搬送される、前記金属板の一方の側の面上に、レジストフィルムを圧着し、夫々の前記柱状突起部を囲む所定領域を開口する複数の開口部を有し、その他の領域を覆うめっき用レジストマスクを形成する工程と、
前記めっき用レジストマスクの開口部から露出する、前記柱状突起部の側面および上面と前記凹部の底面における前記柱状突起部の周囲の所定領域にめっき加工を施し、前記端子部を形成する工程と、
前記めっき用レジストマスクを除去する工程と、
を有することを特徴とする半導体素子搭載用基板の製造方法。
【請求項3】
前記貫通孔を形成する工程において、該貫通孔を、0.03mm以上0.12mm以下の径を有するように形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体素子搭載用基板の製造方法。
【請求項4】
前記貫通孔を形成する工程において、該貫通孔を、長手方向が前記金属板の搬送方向に対して垂直となる、前記柱状突起部の近傍、且つ、前記半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に形成することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の半導体素子搭載用基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子が搭載された領域を封止樹脂で封止した樹脂封止体から金属板を除去することによって製造され、裏面側に露出するめっき層からなる外部接続用端子がプリント基板等の外部機器と接続されるタイプの半導体パッケージの製造に用いる半導体素子搭載用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の電子関連機器への組み込みに際し、半導体装置の外部接続用端子と、外部の電子関連機器との半田接続状態の良・不良を目視で検査できるように、半田接続部分の可視化が求められている。
【0003】
しかるに、従来、外周部に外部接続用端子が突出しないタイプの半導体パッケージは、裏面側に露出した状態に配列されている複数の外部接続用端子をプリント基板等の外部機器と接続する構造となっていたため、正常に半田接続されているか否かを目視検査することが困難であった。
【0004】
しかし、半田接続部分の目視検査ができないと、半田接続作業時に内在する接続不良が見逃され、その後の通電検査等で接続不良が発見されるまでの作業コストが余計にかかってしまう。また、半田接続部分は、X線装置を用いて透視検査することは可能ではあるが、それでは、X線装置の設備コストが増大してしまう。
【0005】
そこで、従来、半導体パッケージの半田接続部分における半田接続状態の良・不良を目視検査できるようにするための技術として、例えば、次の特許文献1には、リードフレームにおけるリードの裏面側の外部接続用端子となる端子部の切断位置にリードを横断する溝を形成することで、個々に切断されたときの半導体パッケージの裏面に露出する外部接続用端子に、端縁部にかけて空間部を設け、空間部に半田を介在させるようにして、半導体パッケージの側面に露出した外部接続用端子の端縁部から半田接続部分を目視可能にすることが提案されている。
【0006】
また、例えば、次の特許文献2には、リードフレームの裏面に凹部を設け、表面側を樹脂封止後に、凹部を含む所定領域を封止樹脂側からハーフカット加工を施すことで、凹部を設けていた部位にスルーホールを形成し、次に、ハーフカット加工の幅より狭い幅でフルカット加工を施すことで、外部接続用端子を側方に突出させ、側方の突出部に、半田接続部分を目視可能にするためのスルーホールやスリットを設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-294715号公報
【文献】特開2011-124284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載のリードフレームにおけるリードの裏面側の外部接続用端子となる端子部の切断位置にリードを横断する溝を形成する技術では、樹脂封止の際に、端子部の溝に樹脂が入り込み、半田接続部分を目視可能にするための空間部が形成されず、半導体パッケージ製品の歩留まりが悪くなる虞がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、樹脂封止後に、ブレードを用いたハーフカットとフルカットの2回の切断工程が必要となり、生産効率が悪く、コストが増大してしまう。また、外部接続用端子が側方へ突出するため、半導体パッケージ製品を小型化し難い。
【0010】
このように、裏面側に露出している複数の外部接続用端子をプリント基板等の外部機器と接続するタイプの半導体パッケージにおける、半田接続部分を目視可能とするための従来技術には、半導体パッケージ製品の歩留まりや、生産効率、製品の小型化の点で問題があった。
【0011】
この問題に対し、本件発明者は、半導体パッケージ製品の歩留まりや、生産効率が向上し、小型化にも対応でき、しかも、裏面側に露出している複数の外部接続用端子を外部機器と接続するタイプの半導体パッケージにおける、半田接合部分における半田接続状態の良・不良を目視検査可能にするリードフレームとして、リードフレームにおけるリードの裏面側の外部接続端子部の切断位置に、凹部を形成する構成を着想した。
【0012】
しかし、リードの裏面側の外部接続端子部の切断位置に、凹部を形成した構成のリードフレームには、半導体パッケージを製造後に個片化するための切断により金属屑が凹部に付着してしまう問題があることが判明した。
【0013】
そこで、本件発明者は、半導体素子が搭載された領域を封止樹脂で封止した樹脂封止体から金属板を除去することによって製造され、裏面側に露出するめっき層からなる外部接続用端子がプリント基板等の外部機器と接続されるタイプの半導体パッケージの製造に用いる半導体素子搭載用基板について検討した。そして、試行錯誤の末、金属板に凹部を設けることによって柱状突起部を形成し、柱状突起部の側面および上面と凹部の底面における柱状突起部の周囲の所定領域をめっき層で覆い、金属板を除去した時に、めっき層の断面が門形状になるようにした構成の半導体素子搭載用基板を導出した。
【0014】
さらに、本件発明者が、導出した半導体素子搭載用基板について試行錯誤を重ねたところ、半田接続部分を目視し易くするためには、めっき層からなる外部接続端子の門形状の内側部分の高さを所定以上にする必要があることが判明した。
【0015】
そこで、本件発明者は、柱状突起部の高さを所定以上にした半導体素子搭載用基板を製造し、更に、試行錯誤を重ねた。
その結果、所定以上の高さの柱状突起部を備えた半導体素子搭載用基板を製造する場合、レジストフィルムを金属板に圧着することによって、外部接続端子用のめっき層を形成するためのめっき用レジストマスクを形成すると、レジストフィルムが柱状突起部の高さに追従できず、レジストフィルムと柱状突起部が形成された金属板との間に気泡が残り、レジストフィルムを圧着後に形成したレジストマスクの開口部からめっき層を形成した際に、めっき層の被膜にボイド不良を生じ易く、歩留まりが悪化し、生産性が低下することが判明した。
【0016】
本発明は、上記従来の課題を鑑みてなされたものであり、半導体素子が搭載された領域を封止樹脂で封止した樹脂封止体から金属板を除去することによって製造され、裏面側に露出するめっき層からなる外部接続用端子がプリント基板等の外部機器と接続されるタイプの半導体パッケージの製造に用いる半導体素子搭載用基板であって、半導体パッケージ製品の歩留まりや、生産効率を向上させ、小型化にも対応でき、しかも、半田接続部分を目視可能にする半導体素子搭載用基板の製造方法において、コストを抑えながら、外部接続用端子をなすめっき層の被膜のボイド不良を防止し、半導体素子搭載用基板の歩留まりや、生産性を向上させることの可能な半導体素子搭載用基板の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による半導体素子搭載用基板の製造方法は、複数の半導体素子搭載用基板が多列配置され、個々の半導体素子搭載用基板が、金属板の一方の側の面に凹部を設けることによって形成され、半導体パッケージ領域の内側で四方の縁部から中央に向かって細長状に延びた、0.10mm以上0.18mm以下の高さの複数の柱状突起部と、夫々の前記柱状突起部の側面および上面と前記凹部の底面における前記柱状突起部の周囲の所定領域を覆う、めっき層からなる複数の端子部と、を有する半導体素子搭載用基板の製造方法であって、前記金属板の一方の側の面上に、前記凹部に対応する領域を開口する開口部を有し、複数の前記柱状突起部に対応する領域を覆うエッチング用レジストマスクを形成するとともに、前記金属板の他方の側の面上に、全面を覆うエッチング用レジストマスクを形成する工程と、個々の前記柱状突起部の近傍、且つ、前記半導体パッケージ領域の外側の所定部位に対応する領域を開口する開口部を有し、その他の領域を覆う遮蔽部材を、前記金属板の一方の側に形成されている前記エッチング用レジストマスクから所定間隔をあけて配置した状態で、前記金属板の一方の面にエッチング加工を施し、0.10mm以上0.18mm以下の深さの前記凹部を設けることによって個々の前記柱状突起部を形成するとともに、所定の前記柱状突起部の近傍、且つ、前記半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に貫通孔を形成する工程と、前記遮蔽部材を除去するとともに前記エッチング用レジストマスクを除去する工程と、搬送装置を用いて搬送される、前記金属板の一方の側の面上に、レジストフィルムを圧着し、夫々の前記柱状突起部を囲む所定領域を開口する複数の開口部を有し、その他の領域を覆うめっき用レジストマスクを形成する工程と、前記めっき用レジストマスクの開口部から露出する、前記柱状突起部の側面および上面と前記凹部の底面における前記柱状突起部の周囲の所定領域にめっき加工を施し、前記端子部を形成する工程と、前記めっき用レジストマスクを除去する工程と、を有することを特徴としている。
【0018】
また、本発明の他の態様による半導体素子搭載用基板の製造方法は、複数の半導体素子搭載用基板が多列配置され、個々の半導体素子搭載用基板が、金属板の一方の側の面に凹部を設けることによって形成され、半導体パッケージ領域の内側で四方の縁部から中央に向かって細長状に延びた、0.10mm以上0.18mm以下の高さの複数の柱状突起部と、夫々の前記柱状突起部の側面および上面と前記凹部の底面における前記柱状突起部の周囲の所定領域を覆う、めっき層からなる複数の端子部と、を有する半導体素子搭載用基板の製造方法であって、前記金属板の一方の側の面上に、前記凹部に対応する領域を開口する開口部を有し、複数の前記柱状突起部に対応する領域を覆うエッチング用レジストマスクを形成するとともに、前記金属板の他方の側の面上に、個々の前記柱状突起部の近傍、且つ、前記半導体パッケージ領域の外側の所定部位に対応する領域を開口する開口部を有し、その他の領域を覆うエッチング用レジストマスクを形成する工程と、前記金属板の両面にエッチング加工を施し、0.10mm以上0.18mm以下の深さの前記凹部を設けることによって個々の前記柱状突起部を形成するとともに、所定の前記柱状突起部の近傍、且つ、前記半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に貫通孔を形成する工程と、前記エッチング用レジストマスクを除去する工程と、搬送装置を用いて搬送される、前記金属板の一方の側の面上に、レジストフィルムを圧着し、夫々の前記柱状突起部を囲む所定領域を開口する複数の開口部を有し、その他の領域を覆うめっき用レジストマスクを形成する工程と、前記めっき用レジストマスクの開口部から露出する、前記柱状突起部の側面および上面と前記凹部の底面における前記柱状突起部の周囲の所定領域にめっき加工を施し、前記端子部を形成する工程と、前記めっき用レジストマスクを除去する工程と、を有することを特徴としている。
【0019】
また、本発明の半導体素子搭載用基板の製造方法においては、前記貫通孔を形成する工程において、該貫通孔を、0.03mm以上0.12mm以下の径を有するように形成するのが好ましい。
【0020】
また、本発明の半導体素子搭載用基板の製造方法においては、前記貫通孔を形成する工程において、該貫通孔を、長手方向が前記金属板の搬送方向に対して垂直となる、前記柱状突起部の近傍、且つ、前記半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に形成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、半導体素子が搭載された領域を封止樹脂で封止した樹脂封止体から金属板を除去することによって製造され、裏面側に露出するめっき層からなる外部接続用端子がプリント基板等の外部機器と接続されるタイプの半導体パッケージの製造に用いる半導体素子搭載用基板であって、半導体パッケージ製品の歩留まりや、生産効率を向上させ、小型化にも対応でき、しかも、半田接続部分を目視可能にする半導体素子搭載用基板の製造方法において、コストを抑えながら、外部接続用端子をなすめっき層の被膜のボイド不良を防止し、半導体素子搭載用基板の歩留まりや、生産性を向上させることの可能な半導体素子搭載用基板の製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体素子搭載用基板の製造方法によって製造された半導体素子搭載用基板の要部構成の一例を示す説明図で、(a)は端子部の構造を示す横断面図、(b)は(a)の半導体素子搭載用基板が多列配列された多列型半導体素子搭載用基板の一例を示す上面図、(c)は(b)の部分縦断面図である。
図2図1(a)、図1(b)の半導体素子搭載用基板における隣り合う半導体パッケージ領域の端子部同士の配置態様の他の例を示す図で、(a)は断面図、(b)は(a)の半導体素子搭載用基板が多列配列された多列型半導体素子搭載用基板の上面図、(c)は(b)の部分縦断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る半導体素子搭載用基板の製造方法によって製造された他のタイプの半導体素子搭載用基板の要部構成の一例を示す説明図で、(a)は端子部の構造を示す断面図、(b)は(a)の半導体素子搭載用基板が多列配列された多列型半導体素子搭載用基板の一例を示す上面図、(c)は(b)の部分縦断面図である。
図4図1の半導体素子搭載用基板の製造手順の一例を示す説明図である。
図5図1の半導体素子搭載用基板の製造手順の他の例を示す説明図である。
図6】本発明の実施形態の半導体素子搭載用基板の製造方法によって製造された半導体素子搭載用基板を用いた半導体パッケージの製造手順の一例を示す説明図である。
図7】本発明の実施形態の半導体素子搭載用基板を用いて製造した半導体パッケージを、半田を介して外部基板に接続するときの状態を段階的に示す説明図で、(a)は接続前の状態を示す図、(b)は半田に接続させた状態を示す図、(c)は(b)の状態からさらに半導体パッケージを圧着させ、加熱でリフローさせた半田を濡れ広げた状態を示す図である。
図8】本発明の実施形態の半導体素子搭載用基板の製造方法によって製造される半導体素子搭載用基板における貫通孔の配置のその他の例を示す説明図で、(a)はその一例を示す上面図、(b)は他の例を示す上面図、(c)はさらに他の例を示す上面図、(d)はさらに他の例を示す上面図、(e)はさらに他の例を示す上面図である。
図9】半導体パッケージの半田接続部分を目視可能にするための従来技術の一例を示す説明図で、(a)は半導体パッケージに用いるリードフレームの外部機器と接続する側からみた図、(b)は(a)のリードフレームを用いて組み立てた半導体パッケージにおける(a)のA-A断面図、(c)は(b)の半導体パッケージの外部接続用端子を外部機器に半田接続した状態を示す図、(d)は(a)のリードフレームにおける外部接続用端子となる端子部を示すB-B断面図である。
図10】本発明を導出する前段階において本件発明者が導出した、側面に露出する少なくとも一部の外部接続用端子の幅が異なる半導体パッケージに用いられるリードフレームの構成を示す説明図で、(a)は外部機器と接続する側からみた図、(b)は(a)のリードフレームにおける外部接続用端子となる端子部を示すC-C断面図である。
図11】本発明を導出する前段階において本件発明者が導出した、半導体素子搭載用基板の要部構成の一例を示す説明図で、(a)は端子部の構造を示す断面図、(b)は(a)の半導体素子搭載用基板が多列配列された多列型半導体素子搭載用基板を示す上面図である。
図12】本発明を導出する前段階において本件発明者が導出した、半導体素子搭載用基板の要部構成の他の例を示す説明図で、(a)は端子部の構造を示す断面図、(b)は(a)の半導体素子搭載用基板が多列配列された多列型半導体素子搭載用基板を示す上面図である。
図13】本発明を導出する前段階において本件発明者が導出した、半導体素子搭載用基板の要部構成のさらに他の例を示す説明図で、(a)は端子部の構造を示す断面図、(b)は(a)の半導体素子搭載用基板が多列配列された多列型半導体素子搭載用基板を示す上面図である。
図14】本発明を導出する前段階において本件発明者が導出した、半導体素子搭載用基板の製造工程におけるめっき用レジストマスク形成のためのレジストフィルムを金属板に圧着する際の搬送状態を示す説明図で、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は金属板の搬送方向と、レジストフィルムが金属板に圧着される際の空気の逃げる方向を模式的に示す上面図、(d)はレジストフィルムを金属板に圧着したときの状態を模式的に示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態の説明に先立ち、本発明を導出するに至った経緯及び本発明の作用効果について説明する。
まず、本件発明者は、半導体パッケージの半田接続部分を目視可能にするための従来技術である特許文献1に記載の技術について検討・考察した。
特許文献1に記載の技術について図9を用いて説明する。図9中、(a)は半導体パッケージに用いるリードフレームの外部機器と接続する側からみた図、(b)は(a)のリードフレームを用いて組み立てた半導体パッケージにおける(a)のA-A断面図、(c)は(b)の半導体パッケージの外部接続用端子を外部機器に半田接続した状態を示す図、(d)は(a)のリードフレームにおける外部接続用端子となる端子部を示すB-B断面図である。
【0024】
図9(a)に示す半導体パッケージに用いるリードフレームは、リードフレームにおけるリードの裏面側の外部接続用端子となる端子部51の切断位置(図9(a)における一点鎖線上の位置)に、リードを横断する溝51bがFe-Ni合金やCu合金等の金属板からなるリードフレームに対してエッチング加工やプレス加工を施すことによって形成されている。なお、図9(a)中、52は半導体素子を搭載するパッド部、53はリードを支持するサポートバー、60は半導体素子である。
そして、リードフレームのパッド部52に半導体素子60を搭載し、リードにおける半導体素子60搭載側の内部接続端子となる端子部と半導体素子60とをボンディングワイヤ61で接続し、半導体素子搭載側を封止樹脂70で封止した状態の半導体パッケージを切断位置に沿って切断することによって、図9(b)に示すように、個々に切断された半導体パッケージの裏面に露出するリードの外部接続用端子51に、端縁部にかけて空間部51aが設けられる。
このように形成された半導体パッケージは、図9(c)に示すように、外部機器80の端子81に半田接続した状態では、半田90は外部接続用端子51の裏面から端縁部にかけて形成されている空間部51aに介在する。このため、半導体パッケージの側面に露出した外部接続用端子51の半田接続部分を目視確認でき、半導体パッケージの外部機器80との半田接続状態の良・不良を目視検査できる。
【0025】
ところで、特許文献1に記載の技術では、半田接続部分を目視可能にするためのリードを横断する溝51bをFe-Ni合金やCu合金等の金属板からなるリードフレームに対してエッチング加工やプレス加工を施すことにより形成している。
しかし、特許文献1に記載の技術のように、リードフレームにおけるリードの裏面側の外部接続用端子51となる端子部の切断位置に、リードを横断する溝51bを形成すると、半導体パッケージの組立てにおける樹脂封止の際に、端子部の溝51bに樹脂が入り込み、半田接続部分を目視可能にするための空間部51aが形成されない虞がある。
即ち、リードフレームにおけるリードの裏面側の外部接続用端子となる端子部51にリードを横断する溝51bを形成すると、外部接続用端子となる端子部51は、切断位置において、図9(d)に示すようにリードの幅方向が全体にわたり薄肉状に形成される。一般に、リードフレームの半導体素子搭載側を樹脂封止する際には、リードフレームの裏面の溝に樹脂が入り込まないようにするためにリードフレームの裏面には、シート状のテープを貼り付ける。しかし、リードの幅方向に沿う溝51bの外側部分にはシート状のテープと密着する面が存在しないため、リードの幅方向に沿う溝51bの外側部分はシート状のテープから離れてしまう。ここで、シート状のテープを溝51bの面に密着させようとしても、シート状のテープが大きく変形することになり、溝51bに完全に密着させることが難しく、シート状のテープと溝51bの面とに隙間が生じ易い。その結果、樹脂封止する際にシート状のテープと溝51bの面との隙間から樹脂が回り込んで、端子部51の溝51bに樹脂が入り込み、半田接続部分を目視検査可能にするための空間部が形成されず、半導体パッケージ製品の歩留まりが悪くなる虞がある。
【0026】
次に、特許文献2に記載の技術も、パターン形成された金属板からなるリードフレームに対してプレス加工を施すことにより、半田接続部分を目視可能にするためスルーホールやスリットを形成する前段階の凹部を形成しているが、金属板を除去して裏面側に露出しためっき層が外部接続用端子となる端子部を構成するタイプの半導体装置を製造するための半導体素子搭載用基板の場合、めっき層に対してプレス加工を施すことにより、凹部を形成することは非常に難しい。
また、樹脂封止後に、ブレードを用いてハーフカットとフルカットの2回の切断工程が必要となり、生産効率が悪く、コストが増大してしまう。しかも、外部接続用端子が横方向へ突出するため、半導体パッケージ製品を小型化し難い。
【0027】
ここで、本件発明者は、特許文献1に記載の技術を改良し、リードフレームにおけるリードの裏面側の外部接続用端子となる端子部の切断位置に、凹部を形成することを着想した。そして、外部接続用端子となる端子部の切断位置に凹部を形成したリードフレームを用いて、半導体素子を搭載し樹脂で封止後に切断して、個々の半導体パッケージを製造した際に、半導体パッケージの側面に露出している外部接続用端子の端縁部が門形状に形成され、門形状の端縁部に囲まれた領域から半田付け部分を目視確認できるようにすることについて検討を行った。
【0028】
図10は本発明を導出する前段階において本件発明者が検討した、側面に露出する少なくとも一部の外部接続用端子の幅が異なる半導体パッケージに用いられるリードフレームの構成を示す説明図で、(a)は外部機器と接続する側からみた図、(b)は(a)のリードフレームにおける外部接続用端子となる端子部を示すC-C断面図である。
図10のリードフレームでは、夫々の外部接続用端子となる端子部71には、ダムバー73近傍の個々のリードフレームに切断するための切断領域の内側に及ぶ所定位置に、外部接続用端子となる端子部71の幅(図10(a)において、破線の位置で切断されることによって露出する領域の幅)に応じて形成された所定形状の開口を有する凹部71b’が形成されている。
凹部71b’は、周囲を外部接続用端子となる端子部71及びダムバー73に囲まれている。そして、図10(a)において、破線の位置で切断されることによって半導体パッケージの側面に露出する外部接続用端子71の断面形状(即ち、外部接続用端子71の端縁部71a’の端面形状)は、図10(b)に示すように、門形状に形成されるようになっている。
【0029】
図10に示すリードフレームは、図9に示したリードフレームとは異なり、凹部71b’の周囲を外部接続用端子となる端子部71又はダムバー73を構成する金属材料が囲んでおり、凹部71b’の周囲を囲む金属材料の面は平坦となっている。
このため、凹部71b’の周囲の金属材料の面を、シート状のテープに密着させることができ、リードフレームの半導体素子搭載側を樹脂封止する際に、樹脂の凹部71b’への入り込みを防止することができる。
【0030】
しかし、本件発明者が、更に検討を重ねたところ、リードの裏面側の外部接続端子部の切断位置に、凹部を形成した構成のリードフレームには、半導体パッケージを製造後に個片化するための切断により金属屑が凹部に付着してしまう問題があることが判明した。
【0031】
そこで、本件発明者は、半導体素子が搭載された領域を封止樹脂で封止した樹脂封止体から金属板を除去することによって製造され、裏面側に露出するめっき層からなる外部接続用端子がプリント基板等の外部機器と接続されるタイプの半導体パッケージの製造に用いる半導体素子搭載用基板について検討した。そして、試行錯誤の末、金属板に凹部を設けることによって柱状突起部を金属板に形成し、柱状突起部の側面および上面と凹部の底面における柱状突起部の周囲の所定領域をめっき層で覆い、金属板を除去した時に、めっき層の断面が門形状になるようにした構成の半導体素子搭載用基板を導出した。
【0032】
図11図13は本発明を導出する前段階において本件発明者が導出した、半導体素子搭載用基板の要部構成を示す説明図で、夫々の図において(a)は端子部の構造を示す断面図、(b)は(a)の半導体素子搭載用基板が多列配列された多列型半導体素子搭載用基板を示す上面図である。
【0033】
図11図13の半導体素子搭載用基板1は、金属板10に凹部10aを設けることによって形成された柱状突起部10bの側面および上面と凹部10aの底面における柱状突起部10bの周囲の所定領域をめっき層12(図13の半導体素子搭載用基板ではめっき層12-2)が覆っている。図13中、12-1は凹部10aの底面における半導体素子搭載領域に形成されためっき層である。
柱状突起部10bは、半導体パッケージ領域の内側で四方の縁部から中央に向かって細長状に延びている。
これらの半導体素子搭載用基板1によれば、金属板10を溶解除去することで、柱状突起部10bの上面及び側面を覆うように形成しためっき層12、12-2の断面が門形状になるようにした構成にすることができる。
【0034】
さらに、本件発明者が、試行錯誤を重ねたところ、半田接続部分を目視し易くするためには、めっき層からなる外部接続端子の門形状の内側部分の高さ(めっき層で形成された凹部の深さ)を0.10mm以上にする必要があることが判明した。
【0035】
そこで、本件発明者は、柱状突起部の高さを0.10mm以上にした構成を備えた半導体素子搭載用基板を製造し、更に、試行錯誤を重ねた。
その結果、柱状突起部の高さを0.10mm以上にした構成を備えた半導体素子搭載用基板の製造する場合、レジストフィルムを金属板に圧着することによって、外部接続端子用のめっき層を形成するためのめっき用レジストマスクを形成すると、レジストフィルムが柱状突起部の高さに追従できず、レジストフィルムと柱状突起部が形成された金属板との間に気泡が残り、レジストフィルムを圧着後に形成したレジストマスクの開口部からめっき層を形成した際に、めっき層の被膜にボイド不良を生じ易く、歩留まりが悪化し、生産性が低下することが判明した。
【0036】
図14は本発明を導出する前段階において本件発明者が導出した、半導体素子搭載用基板の製造工程におけるめっき用レジストマスク形成のためのレジストフィルムを金属板に圧着する際の搬送状態を示す説明図で、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は金属板の搬送方向と、レジストフィルムが金属板に圧着される際の空気の逃げる方向を模式的に示す上面図、(d)はレジストフィルムを金属板に圧着したときの状態を模式的に示す拡大図である。
一般に、半導体装置用基板の製造工程におけるめっき加工は、図14(a)、図14(b)に示すように、搬送装置を介して金属板がライン搬送された状態で行われる。
めっき加工では、めっき用レジストマスクを形成するために、ロールに巻かれたレジストフィルムRを、搬送されてくる柱状突起部10bを備えた金属板10にローラー100を介して圧着する。このとき、レジストフィルムRと金属板10との間の空気が、金属板の搬送方向X1とは反対側の方向に逃げていく。
ここで、図14(c)に示すように、柱状突起部10bの辺が金属板の搬送方向に対し垂直に延びていると、レジストフィルムを圧着するときに、搬送方向とは反対側の方向に逃げようとする空気が、柱状突起部10bの長辺に当接して逃げにくくなる。
【0037】
そして、本件発明者が試行錯誤を繰り返したところ、柱状突起部10bの高さを0.10mm以上にした場合、レジストフィルムRを圧着するときに、レジストフィルムRが柱状突起部10bの高さに追従できず、金属板の搬送方向とは反対側の方向に逃げようとする空気が柱状突起部10bの辺(特に長辺)に留まった状態で、レジストフィルムRと柱状突起部10bが形成された金属板10との間に、図14(d)に示すように、気泡99が残り易くなることが判明した。
そして、このように金属板10との間で気泡99が残存する状態のレジストフィルムRにおける柱状突起部10bを囲む所定領域にめっき加工用の開口部を形成し、開口部を形成したレジストフィルムRをめっき用レジストマスクとして用いてめっき層を形成したところ、開口部近傍の気泡が残存する部位に、形成されためっき層にボイドが形成され易く、製造された半導体素子搭載用基板の歩留まりが悪化することが判明した。
【0038】
従って、本件発明者が導出した図11図13に示すような半導体素子搭載用基板を製造する場合、めっき用レジストマスク12、12-1、12-2の形成のためのレジストフィルムを金属板10に圧着する際に、レジストフィルムと金属板との間の空気を残存させないようにする必要がある。
しかし、図11図13に示す半導体素子搭載用基板は、柱状突起部10bが、半導体パッケージ領域の内側で四方の縁部から中央に向かって細長状に延びた構成となっており、柱状突起部10bのいずれかの辺は、金属板10の搬送方向に対し垂直に延びている状態となるため、レジストフィルムを金属板10に圧着する際に、空気を金属板の搬送方向とは反対側の方向に完全に逃がすことが難しい。
【0039】
ここで、めっき用レジストマスクの形成のために、レジストフィルムを用いずに、液体状のレジストを金属板に塗布し、乾燥させることで被膜を形成するようにすれば、空気が残存する問題は生じないが、液体状のレジストはフィルム状のレジストに比べてコスト高となってしまう。
【0040】
そこで、本件発明者は、半導体素子が搭載された領域を封止樹脂で封止した樹脂封止体から金属板を除去することによって製造され、裏面側に露出するめっき層からなる外部接続用端子がプリント基板等の外部機器と接続されるタイプの半導体パッケージの製造に用いる半導体素子搭載用基板であって、半導体パッケージ製品の歩留まりや、生産効率を向上させ、小型化にも対応でき、しかも、半田接続部分を目視可能にする半導体素子搭載用基板の製造方法において、めっき用レジストマスクの形成のためにレジストフィルムを用いてコストを抑えながら、外部接続用端子をなすめっき層の被膜のボイド不良を防止し、半導体素子搭載用基板の歩留まりや、生産性を向上させることの可能な半導体素子搭載用基板の製造方法を導出するに至った。
【0041】
本発明の一態様による半導体素子搭載用基板の製造方法は、複数の半導体素子搭載用基板が多列配置され、個々の半導体素子搭載用基板が、金属板の一方の側の面に凹部を設けることによって形成され、半導体パッケージ領域の内側で四方の縁部から中央に向かって細長状に延びた、0.10mm以上0.18mm以下の高さの複数の柱状突起部と、夫々の柱状突起部の側面および上面と凹部の底面における柱状突起部の周囲の所定領域を覆う、めっき層からなる複数の端子部と、を有する半導体素子搭載用基板の製造方法であって、金属板の一方の側の面上に、凹部に対応する領域を開口する開口部を有し、複数の柱状突起部に対応する領域を覆うエッチング用レジストマスクを形成するとともに、金属板の他方の側の面上に、全面を覆うエッチング用レジストマスクを形成する工程と、個々の前記柱状突起部の近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側の所定部位に対応する領域を開口する開口部を有し、その他の領域を覆う遮蔽部材を、金属板の一方の側に形成されているエッチング用レジストマスクから所定間隔をあけて配置した状態で、金属板の一方の面にエッチング加工を施し、0.10mm以上0.18mm以下の深さの凹部を設けることによって個々の柱状突起部を形成するとともに、所定の柱状突起部の近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に貫通孔を形成する工程と、遮蔽部材を除去するとともにエッチング用レジストマスクを除去する工程と、搬送装置を用いて搬送される、金属板の一方の側の面上に、レジストフィルムを圧着し、夫々の柱状突起部を囲む所定領域を開口する複数の開口部を有し、その他の領域を覆うめっき用レジストマスクを形成する工程と、めっき用レジストマスクの開口部から露出する、柱状突起部の側面および上面と凹部の底面における柱状突起部の周囲の所定領域にめっき加工を施し、端子部を形成する工程と、めっき用レジストマスクを除去する工程と、を有する。
【0042】
また、本発明の他の態様による半導体素子搭載用基板の製造方法は、複数の半導体素子搭載用基板が多列配置され、個々の半導体素子搭載用基板が、金属板の一方の側の面に凹部を設けることによって形成され、半導体パッケージ領域の内側で四方の縁部から中央に向かって細長状に延びた、0.10mm以上0.18mm以下の高さの複数の柱状突起部と、夫々の柱状突起部の側面および上面と凹部の底面における柱状突起部の周囲の所定領域を覆う、めっき層からなる複数の端子部と、を有する半導体素子搭載用基板の製造方法であって、金属板の一方の側の面上に、凹部に対応する領域を開口する開口部を有し、複数の柱状突起部に対応する領域を覆うエッチング用レジストマスクを形成するとともに、金属板の他方の側の面上に、個々の柱状突起部の近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側の所定部位に対応する領域を開口する開口部を有し、その他の領域を覆うエッチング用レジストマスクを形成する工程と、金属板の両面にエッチング加工を施し、0.10mm以上0.18mm以下の深さの凹部を設けることによって個々の柱状突起部を形成するとともに、所定の柱状突起部の近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に貫通孔を形成する工程と、エッチング用レジストマスクを除去する工程と、搬送装置を用いて搬送される、金属板の一方の側の面上に、レジストフィルムを圧着し、夫々の柱状突起部を囲む所定領域を開口する複数の開口部を有し、その他の領域を覆うめっき用レジストマスクを形成する工程と、めっき用レジストマスクの開口部から露出する、柱状突起部の側面および上面と凹部の底面における柱状突起部の周囲の所定領域にめっき加工を施し、端子部を形成する工程と、めっき用レジストマスクを除去する工程と、を有する。
【0043】
本発明の半導体素子搭載用基板の製造方法のように、金属板に対してエッチング加工を施し、0.10mm以上0.18mm以下の深さの凹部を設けることによって個々の柱状突起部を形成するとともに、個々の柱状突起部の近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に貫通孔を形成すると、その後のめっき用レジストマスクの形成のために、搬送装置を用いて搬送される、金属板の一方の側の面上に、レジストフィルムを圧着させるときに、金属板の搬送方向に対し垂直に延びている柱状突起部の長辺に、当たって逃げ難くなっている空気を、貫通孔を介して金属板の下方へ逃がし易くなる。そして、レジストフィルムと柱状突起部が形成された金属板との間の気泡の発生が防止でき、めっき用レジストマスクの形成のためのレジストフィルムを柱状突起部の高さに追従した状態で圧着させることができる。その結果、このレジストフィルムにめっき加工用の開口部を形成してめっき層を形成したとき、形成されためっき層にボイドが形成されず、製造された半導体素子搭載用基板の歩留まりや、生産性が向上する。
【0044】
本発明の半導体素子搭載用基板の製造方法においては、好ましくは、貫通孔を形成する工程において、貫通孔を、0.03mm以上0.12mm以下の径を有するように形成する。
貫通孔をこの範囲の径に形成すれば、搬送装置を用いて搬送される、金属板の一方の側の面上に、レジストフィルムを圧着させるときに、金属板の搬送方向に対し垂直に延びている柱状突起部の長辺に、当たって逃げ難くなっている空気を、貫通孔を介して金属板の下方へ確実に逃がすことができる。
【0045】
また、本発明の半導体素子搭載用基板の製造方法においては、好ましくは、貫通孔を形成する工程において、貫通孔を、長手方向が金属板の搬送方向に対して垂直となる、柱状突起部の近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に形成する。
貫通孔をこのような領域に形成すれば、搬送装置を用いて搬送される、金属板の一方の側の面上に、レジストフィルムを圧着させるときに、金属板の搬送方向に対し垂直に延びている柱状突起部の長辺に、当たって逃げ難くなっている空気を、貫通孔を介して金属板の下方へ確実に逃がすことができ、且つ、貫通孔の形成箇所を必要最小限に抑えることができる。
【0046】
従って、本発明によれば、半導体素子が搭載された領域を封止樹脂で封止した樹脂封止体から金属板を除去することによって製造され、裏面側に露出するめっき層からなる外部接続用端子がプリント基板等の外部機器と接続されるタイプの半導体パッケージの製造に用いる半導体素子搭載用基板であって、半導体パッケージ製品の歩留まりや、生産効率を向上させ、小型化にも対応でき、しかも、半田接続部分を目視可能にする半導体素子搭載用基板の製造方法において、コストを抑えながら、外部接続用端子をなすめっき層の被膜のボイド不良を防止し、半導体素子搭載用基板の歩留まりや、生産性を向上させることの可能な半導体素子搭載用基板の製造方法が得られる。
【0047】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行うこととする。
【0048】
図1は本発明の一実施形態に係る半導体素子搭載用基板の製造方法によって製造された半導体素子搭載用基板の要部構成の一例を示す説明図で、(a)は端子部の構造を示す横断面図、(b)は(a)の半導体素子搭載用基板が多列配列された多列型半導体素子搭載用基板の一例を示す上面図、(c)は(b)の部分縦断面図である。図2図1(a)、図1(b)の半導体素子搭載用基板における隣り合う半導体パッケージ領域の端子部同士の配置態様の他の例を示す図で、(a)は断面図、(b)は(a)の半導体素子搭載用基板が多列配列された多列型半導体素子搭載用基板の上面図、(c)は(b)の部分縦断面図である。図3は本発明の一実施形態に係る半導体素子搭載用基板の製造方法によって製造された他のタイプの半導体素子搭載用基板の要部構成の一例を示す説明図で、(a)は端子部の構造を示す断面図、(b)は(a)の半導体素子搭載用基板が多列配列された多列型半導体素子搭載用基板の一例を示す上面図、(c)は(b)の部分縦断面図である。
【0049】
本実施形態の半導体素子搭載用基板の製造方法によって製造された半導体素子搭載用基板1は、例えば、図1(a)に示すように、凹部10aと、複数の柱状突起部10bと、複数の端子部12を有し、図1(b)に示すように、多列配列されている。
凹部10aは、金属板10の一方の側の面に形成されており、0.10mm以上0.18mm以下の深さを有している。
柱状突起部10bは、金属板10に凹部10aを設けることによって形成され、半導体パッケージ領域(図1(b)において一点鎖線で囲まれた矩形状の領域)の内側で四方の縁部から中央に向かって細長状に延びている。
端子部12は、柱状突起部10bの側面および上面と凹部10aの底面における柱状突起部10bの周囲の所定領域を覆うように形成された、めっき層で構成されている。
また、金属板10には、図1(b)、図1(c)に示すように、個々の柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側の所定部位に対応する領域に貫通孔18が形成されている。貫通孔18は、0.03mm以上0.12mm以下の径を有している。
そして、複数の端子部12は、半田等の接続部材を介して、端子部12の下段又は端子部12の上段に、半導体素子をフリップチップ実装することができるようになっている(図示省略)。
なお、本実施形態の半導体素子搭載用基板1は、図1(a)、図1(b)の例では、隣り合う半導体パッケージ領域(不図示)の柱状突起部10b同士が接続した態様に配置されているが、図2(a)、図2(b)に示すように、隣り合う半導体パッケージ領域(不図示)の柱状突起部10b同士が離れた態様に配置されたものであってもよい。
また、本実施形態の半導体素子搭載用基板1は、図3(a)、図3(b)に示すように、凹部10aの底面の中央部にめっき層で形成されたパッド部12-1と、パッド部12-1の周辺であって、凹部10aを設けることによって形成された柱状突起部10bの側面および上面と凹部10aの底面における柱状突起部10bの周囲の所定領域を覆うように形成されためっき層で構成された複数の端子部12-2を有し、パッド部12-1に半導体素子を搭載するとともに、ボンディングワイヤ等の接続部材を介して。端子部12-2の上面と半導体素子の電極とをワイヤボンディングできるようにしたものであってもよい。
【0050】
次に、図1(a)~図1(c)のように構成される本実施形態の半導体素子搭載用基板1の製造工程の一例を、図4を用いて説明する。なお、図4において(a)~(i)は、図1(a)と同じ側からみたときの状態を示し、(a’)~(i’)は図1(c)と同じ側からみたときの状態を示している。また、製造の各工程において実施される、薬液洗浄や水洗洗浄を含む前処理・後処理等は、便宜上説明を省略する。
まず、銅または銅合金の金属板10を半導体素子搭載用基板材料として準備する(図4(a)、図4(a’)参照)。
次に、金属板10にハーフエッチング加工を施して柱状突起部10bと貫通孔18を形成する。詳しくは、金属板10の両面にドライフィルムレジスト等の第1のレジスト層R1を形成する(図4(b)、図4(b’)参照)。次いで、図1(a)、図1(b)に示した柱状突起部10bに対応する所定のパターンが描画されたガラスマスクを用いて、金属板10の一方の側の第1のレジスト層R1を露光するとともに、金属板10の他方の側の第1のレジスト層R1を全面にわたって露光し、露光後に夫々の第1のレジスト層R1を現像する。そして、金属板10の一方の側の面上に、柱状突起部10bに対応する領域を覆い、凹部10aに対応する領域が開口したエッチング用レジストマスク31を形成するとともに、金属板10の他方の側の面上に、全面を覆うエッチング用レジストマスク31を形成する(図4(c)、図4(c’)参照)。次いで、個々の柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側の所定部位に対応する領域(図1に示す貫通孔18に対応する領域)を開口する開口部を有し、その他の領域を覆う遮蔽部材35を、金属板10の一方の側に形成されているエッチング用レジストマスク31から所定間隔をあけて配置した状態で、金属板10の一方の側からハーフエッチング加工を施し、0.10mm以上0.18mm以下の深さの凹部10aを設けることによって個々の柱状突起部10bを形成するとともに、柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に貫通孔18を形成する(図4(d)、図4(d’)参照)。次いで、金属板10の両面上に形成したエッチング用レジストマスク31を除去する(図4(e)、図4(e’)参照)。
【0051】
次に、金属板10の一方の側における、柱状突起部10bの側面および上面と凹部10aの底面における柱状突起部10bの周囲の所定領域を覆うめっき層からなる複数の端子部12を形成する。詳しくは、金属板10の両面に、ドライフィルムレジストからなる第2のレジスト層R2を圧着する(図4(f)、図4(f’)参照)。このとき、金属板10の搬送方向に対し垂直に延びている柱状突起部10bの長辺に、当たって逃げ難くなっていた空気が、貫通孔18を介して金属板10の下方へ逃げていく。なお、第2のレジストR2の圧着に際しては、予め、金属板10の一方の側(即ち、柱状突起部10bが形成されている側)の面に圧着する第2のレジスト層を、金属板10の他方の側の面に圧着する第2のレジスト層よりも僅かに早く圧着するようにローラー等の圧着手段(不図示)を配置しておく。次いで、図1(a)、図1(b)に示した端子部12に対応する所定のパターンが描画されたガラスマスクを用いて、金属板10の一方の側の第2のレジスト層R2を露光し、露光後に第2のレジスト層R2を現像する。そして、金属板10の一方の側の面上に、柱状突起部10bの側面および上面と凹部10aの底面における柱状突起部10bの周囲の所定領域を覆う端子部12に対応する領域に複数の開口部を有するめっき用レジストマスク32を形成する(図4(g)、図4(g’)参照)。次いで、めっき用レジストマスク32の開口部に、例えば、Au、Pd、Ni、Pdの順でめっき加工を施し、複数の端子部12を形成する(図4(h)、図4(h’)参照)。
なお、めっき層の表面は、粗化処理を施すのが良い。めっき層の表面を粗化処理する場合、例えば、めっき層の形成をNiめっきで終えて、Niめっき層を粗化めっきで形成しても良い。また、例えば、平滑なNiめっき層を形成した後に、Niめっき層の表面をエッチングにて粗化処理しても良い。また、例えば、めっき層の形成をCuめっきで終えて、Cuめっき層の表面を陽極酸化処理又はエッチングにて粗化処理してもよい。さらに、例えば、粗化めっき層形成後に、順に、Pd/Auめっき層を積層してもよい。
次いで、金属板10の両面上に形成しためっき用レジストマスク32を除去する(図4(i)、図4(i’)参照)。
これにより、本実施形態の半導体素子搭載用基板1が出来上がる。
【0052】
なお、図1(a)~図1(c)のように構成される本実施形態の半導体素子搭載用基板1の製造工程は、図4に示した例に限られるものではなく、例えば、図5に示す例のようなものであってもよい。
なお、図5において(a)~(i)は、図1(a)と同じ側からみたときの状態を示し、(a’)~(i’)は図1(c)と同じ側からみたときの状態を示している。また、製造の各工程において実施される、薬液洗浄や水洗洗浄を含む前処理・後処理等は、便宜上説明を省略する。
図5に示す例の半導体素子搭載用基板1の製造工程では、金属板10にハーフエッチング加工を施して柱状突起部10bと貫通孔18を形成する処理手順が図4に示す例のものとは異なる。
詳しくは、金属板10の両面にドライフィルムレジスト等の第1のレジスト層R1を形成(図5(b)、図5(b’)参照)後、図1(a)、図1(b)に示した柱状突起部10bに対応する所定のパターンが描画されたガラスマスクを用いて、金属板10の一方の側の第1のレジスト層R1を露光するとともに、柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する貫通孔18に対応する所定パターンが描画されたガラスマスクを用いて、金属板10の他方の側の第1のレジスト層R1を露光し、露光後に夫々の第1のレジスト層R1を現像する。そして、金属板10の一方の側の面上に、柱状突起部10bに対応する領域を覆い、凹部10aに対応する領域が開口したエッチング用レジストマスク31を形成するとともに、金属板10の他方の側の面上に、柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する貫通孔18に対応する領域が開口し、それ以外の領域を覆うエッチング用レジストマスク31を形成する(図5(c)、図5(c’)参照)。次いで、金属板10の両側からハーフエッチング加工を施し、一方の側に0.10mm以上0.18mm以下の深さの凹部10aを設けることによって個々の柱状突起部10bを形成するとともに、柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に貫通孔18を形成する(図5(d)、図5(d’)参照)。
その他の製造手順は、図4に示した例と略同様である(図5(e)~図5(i)、図5(e’)~図5(i’)参照)。
【0053】
次に、本実施形態の半導体素子搭載用基板の製造方法によって製造された半導体素子搭載用基板1を用いた半導体パッケージの製造手順を、図6を用いて説明する。
まず、端子部12の表面の内部端子接続部に半田17等を介して半導体素子20をフリップチップ接続する(図6(a)参照)。
次に、図示しないモールド金型をセットし、半導体素子搭載側を封止樹脂15で封止する(図6(b)参照)。
次に、金属板10を除去し(図6(c)参照)、所定の半導体パッケージの寸法に切断する(図6(d)参照)。これにより、本実施形態の半導体素子搭載用基板1を用いた半導体パッケージ40が完成する(図6(e)参照)。
【0054】
本実施形態の半導体素子搭載用基板の製造方法によれば、金属板10に対してエッチング加工を施し、0.10mm以上0.18mm以下の深さの凹部10aを設けることによって個々の柱状突起部10bを形成するとともに、個々の柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に貫通孔18を形成するようにしたので、その後のめっき用レジストマスク32の形成のために、搬送装置を用いて搬送される、金属板10の一方の側の面上に、レジストフィルム(第2のレジスト層R2)を圧着させるときに、金属板10の搬送方向に対し垂直に延びている柱状突起部10bの長辺に、当たって逃げ難くなっている空気を、貫通孔18を介して金属板10の下方へ逃がし易くなる。そして、レジストフィルム(第2のレジスト層R2)と柱状突起部10bが形成された金属板10との間の気泡の発生が防止でき、めっき用レジストマスク32の形成のためのレジストフィルム(第2のレジスト層R2)を柱状突起部10bの高さに追従した状態で圧着させることができる。その結果、このレジストフィルムにめっき加工用の開口部を形成してめっき層12を形成したとき、形成されためっき層12にボイドが形成されず、製造された半導体素子搭載用基板の歩留まり、生産性が向上する。
【0055】
また、本実施形態の半導体素子搭載用基板の製造方法によれば、貫通孔18を、0.03mm以上0.12mm以下の径を有するように形成したので、搬送装置を用いて搬送される、金属板10の一方の側の面上に、レジストフィルム(第2のレジスト層R2)を圧着させるときに、金属板10の搬送方向に対し垂直に延びている柱状突起部10bの長辺に、当たって逃げ難くなっている空気を、貫通孔18を介して金属板の下方へ確実に逃がすことができる。
【0056】
また、本実施形態の半導体素子搭載用基板の製造方法において、貫通孔18を、長手方向が金属板10の搬送方向に対して垂直となる、柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に形成するようにすれば、搬送装置を用いて搬送される、金属板10の一方の側の面上に、レジストフィルム(第2のレジスト層R2)を圧着させるときに、金属板10の搬送方向に対し垂直に延びている柱状突起部10bの長辺に、当たって逃げ難くなっている空気を、貫通孔18を介して金属板の下方へ確実に逃がすことができ、且つ、貫通孔18の形成箇所を必要最小限に抑えることができる。
【0057】
従って、本実施形態によれば、半導体素子が搭載された領域を封止樹脂で封止した樹脂封止体から金属板を除去することによって製造され、裏面側に露出するめっき層からなる外部接続用端子がプリント基板等の外部機器と接続されるタイプの半導体パッケージの製造に用いる半導体素子搭載用基板であって、半導体パッケージ製品の歩留まりや、生産効率を向上させ、小型化にも対応でき、しかも、半田接続部分を目視可能にする半導体素子搭載用基板の製造方法において、コストを抑えながら、外部接続用端子をなすめっき層の被膜のボイド不良を防止し、半導体素子搭載用基板の歩留まりや、生産性を向上させることの可能な半導体素子搭載用基板の製造方法が得られる。
【実施例
【0058】
次に、本発明の半導体素子搭載用基板の製造方法の実施例を説明する。
実施例1
まず、金属板10として、厚さ0.20mmの銅系材料を準備し(図4(a)、図4(a’)参照)、両面に、第1のレジスト層R1としてドライフィルムレジストを圧着した(図4(b)、図4(b’)参照)。
【0059】
次に、図1(a)、図1(b)に示した柱状突起部10bに対応する所定のパターンが描画されたガラスマスクを用いて、金属板10の一方の側の第1のレジスト層R1を露光するとともに、金属板10の他方の側の第1のレジスト層R1を全面にわたって露光し、露光後に夫々の第1のレジスト層R1を現像して、金属板10の一方の側の面上に、柱状突起部10bに対応する領域を覆い、凹部10aに対応する領域が開口したエッチング用レジストマスク31を形成するとともに、金属板10の他方の側の面上に、全面を覆うエッチング用レジストマスク31を形成した(図4(c)、図4(c’)参照)。
次に、個々の柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側の所定部位に対応する領域(図1に示す貫通孔18に対応する領域)を開口する開口部を有し、その他の領域を覆う遮蔽部材35を、金属板10の一方の側に形成されているエッチング用レジストマスク31から所定間隔をあけて配置した状態で、金属板10の一方の側から深さ0.15mmのハーフエッチング加工を施し、金属板におけるハーフエッチング加工を施した深さにおいて凹部10aを設けることによって個々の柱状突起部10bを形成するとともに、柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位に対応する領域に0.10mmの径の貫通孔18を形成した(図4(d)、図4(d’)参照)。なお、エッチング液は、塩化第二鉄液を使用した。
次に、金属板10の両面上に形成したエッチング用レジストマスク31を剥離した(図4(e)、図4(e’)参照)。
【0060】
次に、金属板10の両面に、第2のレジスト層R2としてドライフィルムレジストを圧着した(図4(f)、図4(f’)参照)。このとき、金属板10の搬送方向に対し垂直に延びている柱状突起部10bの長辺に、当たって逃げ難くなっている空気を、貫通孔18を介して金属板10の下方へ逃がすようにした。
次に、図1(a)、図1(b)に示した端子部12に対応する所定のパターンが描画されたガラスマスクを用いて、金属板10の一方の側の第2のレジスト層R2を露光し、露光後に第2のレジスト層R2を現像して、金属板10の一方の側の面上に、柱状突起部10bの側面および上面と凹部10aの底面における柱状突起部10bの周囲の所定領域を覆う端子部12に対応する領域に複数の開口部を有するめっき用レジストマスク32を形成した(図4(g)、図4(g’)参照)。
次に、めっき用レジストマスク32の開口部に、Auを0.01μm、Pdを0.03μm、Niを30.0μm、Pdを0.03μmの厚さで順次めっき加工を施し、複数の端子部12を形成した(図4(h)、図4(h’)参照)。
次に、金属板10の両面上に形成しためっき用レジストマスク32を剥離し(図4(i)、図4(i’)参照)、実施例1の半導体素子搭載用基板1を得た。
【0061】
次に、実施例1の半導体素子搭載用基板1における端子部12の表面の内部端子接続部に半田17等を介して半導体素子20をフリップチップ接続し(図6(a)参照)、図示しないモールド金型をセットし、半導体素子搭載側を封止樹脂15で封止した(図6(b)参照)。
次に、金属板10を除去した(図6(c)参照)。
【0062】
このとき、金属板10を除去した封止樹脂体における半導体素子搭載側とは反対側の面(裏面)が凸形状に形成され、凸形状に形成された封止樹脂体の面から外部接続用端子となる端子部12を構成するめっき層が露出した状態に仕上がった。
次に、所定の半導体パッケージの寸法に切断した(図6(d)参照)。これにより、実施例1の半導体素子搭載用基板1を用いた半導体パッケージ40を得た(図6(e)参照)。
次に、実施例1の半導体素子搭載用基板1を用いた半導体パッケージ40の外部接続用端子を外部機器であるプリント基板80の端子に半田接続して、プリント基板80に装着した。このとき、リフローにより溶けた半田90が、端子部12の裏面の外部接続用端子部の段差が形成されることによって設けられた空間部に濡れ広がり、半導体パッケージ40の側面に露出した外部接続用端子12の半田接続部分を目視確認でき、半導体パッケージ40の外部機器であるプリント基板80との半田接続状態の良・不良を目視検査できる状態となった(図7(a)~図7(c)参照)。
【0063】
比較例1
比較例1では、実施例1におけるハーフエッチング加工に際し、個々の柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側の所定部位に対応する領域(図1に示す貫通孔18に対応する領域)を開口する開口部を有し、その他の領域を覆う遮蔽部材35を用いた貫通孔18の形成を行わず、0.15mmの深さの凹部10aを設けることによって個々の柱状突起部10bのみを形成し、それ以外は、実施例1と略同様の条件及び手順で、半導体素子搭載用基板を製造した。
より詳しくは、金属板10の両面に第1のレジスト層として、ドライフィルムレジストを圧着し、図11(a)、図11(b)に示した柱状突起部10bに対応する所定のパターンが描画されたガラスマスクを用いて、金属板10の一方の側の第1のレジスト層を露光するとともに、金属板10の他方の側の第1のレジスト層を全面にわたって露光し、露光後に夫々の第1のレジスト層を現像して、金属板10の一方の側の面上に、図11(a)、図11(b)に示した柱状突起部10bに対応する領域を覆い、凹部10aに対応する領域が開口したエッチング用レジストマスクを形成するとともに、金属板10の他方の側の面上に、全面を覆うエッチング用レジストマスクを形成した。次に、金属板10の一方の側からハーフエッチング加工を施し、0.15mmの深さの凹部10aを設けることによって個々の柱状突起部10bを形成した。次にエッチング用レジストマスクを剥離し、金属板10の両面に、ドライフィルムレジストからなる第2のレジスト層を圧着した。次に、図11(a)、図11(b)に示した端子部12に対応する所定のパターンが描画されたガラスマスクを用いて、金属板10の一方の側の第2のレジスト層を露光し、露光後に第2のレジスト層を現像して、金属板10の一方の側の面上に、柱状突起部10bの側面および上面と凹部の底面における柱状突起部10bの周囲の所定領域を覆う図11(a)、図11(b)に示した端子部12に対応する領域に複数の開口部を有するめっき用レジストマスクを形成した。
次に、めっき用レジストマスクの開口部に、Auを0.01μm、Pdを0.03μm、Niを30.0μm、Pdを0.03μmの厚さで順次めっき加工を施し、複数の端子部12を形成した。
次に、金属板10の両面上に形成したレジストマスクを剥離し、比較例1の半導体素子搭載用基板を得た。
【0064】
次に、実施例1と同様、比較例1の半導体素子搭載用基板における端子部の表面の内部端子接続部に半田等を介して半導体素子をフリップチップ接続し、図示しないモールド金型をセットし、半導体素子搭載側を封止樹脂で封止し、その後、金属板を除去した。
このとき、金属板を除去した封止樹脂体における半導体素子搭載側とは反対側の面が平坦に形成され、平坦に形成された封止樹脂体の面から外部接続用端子となる端子部を構成するめっき層が露出した状態に仕上がった。
次に、所定の半導体パッケージの寸法に切断した。これにより、比較例1の半導体素子搭載用基板を用いた半導体パッケージを得た。
次に、比較例1の半導体素子搭載用基板を用いた半導体パッケージの外部接続用端子を外部機器であるプリント基板の端子に半田接続して、プリント基板に装着した。
【0065】
外部機器接続後の半田接続状態の外観観察のし易さの評価
実施例1及び比較例1の夫々の半導体素子搭載用基板を用いて製造した、夫々の半導体パッケージを、半田を介して外部機器であるプリント基板の端子へ接続後の半田接続状態の外観観察のし易さを評価した。
実施例1、比較例1の夫々の半導体素子搭載用基板1を用いて製造した、夫々の半導体パッケージ40を外部機器であるプリント基板80の端子へ接続した場合、半導体パッケージ40の側面に全ての端子部12の外部機器側の面と外部機器であるプリント基板80の端子との間に半田が充填されていることを、半導体パッケージ40の側面に露出しためっき層からなる外部接続用端子の端縁部の側から目視で確認することができた。
【0066】
半導体素子搭載用基板における端子部をなすめっき層の被膜形状評価
実施例1、比較例1の夫々の製造方法を用いて1ブロック当たり縦4個、横4個に配列された半導体素子搭載用基板を作製し、夫々作製した半導体素子搭載用基板を用いて製造した、各1000個の半導体パッケージの外部接続用端子を外観検査した。詳しくは、夫々作製した半搭載素子搭載用基板における端子部を形成するめっき層における、ボイド発生を原因とする、めっき層を形成する範囲外への漏れ出しが発生した半導体素子搭載用基板の個数を調べた。
なお、めっき層の漏れ出しの発生の有無検査は、20倍の光学顕微鏡装置を備えた外観検査装置を用いて行った。
【0067】
その結果、比較例1の製造方法を用いて製造した多列型半導体素子搭載用基板においては、1000個の半導体素子搭載用基板中、365個の半導体素子搭載用基板の端子部を形成するめっき層の漏れ出しが発生した。
これに対し、実施例1の製造方法を用いて製造した多列型半導体素子搭載用基板においては、1000個の半導体素子搭載用基板中、端子部を形成するめっき層の漏れ出しが発生した半導体素子搭載用基板は、0個であった。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、柱状突起部10bとともに貫通孔18を形成する手法として、図4(d)、図4(d’)に示した、個々の柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側の所定部位に対応する領域(図1に示す貫通孔18に対応する領域)を開口する開口部を有し、その他の領域を覆う遮蔽部材35を、金属板10の一方の側に形成されているエッチング用レジストマスク31から所定間隔をあけた配置と、図5(c)、図5(c’)に示した、金属板10の他方の側の面上に、柱状突起部10bの近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位(貫通孔18)に対応する領域が開口し、それ以外の領域を覆うように形成されたエッチング用レジストマスク31と、を併用して、金属板10の両側からエッチング加工を行うようにしてもよい。
【0069】
また、例えば、本発明の実施形態及び実施例の半導体素子搭載用基板の製造方法によって製造される、半導体素子搭載用基板において、貫通孔18は、所定の柱状端子部の近傍、且つ、半導体パッケージ領域の外側に位置する所定部位として、図6(d)に示したような所定寸法の半導体パッケージに切断する範囲内であれば、どのような配置形態であってもよい。
例えば、貫通孔18は、図1(b)、図2(b)、図3(b)に示したような、夫々の柱状端子部を覆うめっき層を形成する範囲の間の位置の他に、例えば、図8(a)~図8(e)に示すような位置に設けても良い。詳しくは、個々の柱状端子部を覆うめっき層を形成する範囲の端部の辺に対応した位置(図8(a)、図8(c)参照)や、隣り合う柱状端子部を覆うめっき層を形成する範囲の端部の角部に対応する位置(図8(b)参照)や、複数の柱状端子部を覆うめっき層を形成する範囲の端部の辺をまたぐ位置(図8(d)、図8(e)参照)に設けても良い。また、貫通孔18は、丸穴でもスリット状の長穴でもよい。そして、図8(a)~図8(e)に示した貫通孔18の配置態様は、図1図3に示したいずれのタイプの半導体素子搭載用基板においても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の半導体素子搭載用基板の製造方法は、端子部がめっき層で形成され、裏面側に露出する端子部裏面の外部接続用端子がプリント基板等と接続されるタイプの半導体パッケージに用いられることが求められる分野に有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 半導体素子搭載用基板
10 金属板
10a 凹部
10b 柱状突起部
12 端子部(めっき層)
15 封止樹
17 半田
18 貫通孔
20、60 半導体素子
21、70 封止樹脂
31 エッチング用レジストマスク
32 めっき用レジストマスク
40 半導体パッケージ
51 端子部(外部接続用端子)
51a 空間部
51b 溝
52 パッド部
53 サポートバー
61 ボンディングワイヤ
71 端子部
71a’ 端縁部
71b’ 凹部
73 ダムバー
80 外部機器(プリント基板)
81 端子
90 半田
99 金属板とレジスフィルムとの間で残存する気泡(空気)
100 ローラー
R レジストフィルム
R1 第1のレジスト層
R2 第2のレジスト層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14