(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】傘型逆止弁
(51)【国際特許分類】
F16K 15/14 20060101AFI20230411BHJP
A61M 39/24 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
F16K15/14 A
A61M39/24 100
(21)【出願番号】P 2020514510
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 US2018049987
(87)【国際公開番号】W WO2019051249
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-16
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイソン、ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-056902(JP,A)
【文献】特表平07-507381(JP,A)
【文献】米国特許第03889710(US,A)
【文献】特開2007-010124(JP,A)
【文献】実開平03-077871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 3/00 - 9/00
A61M 31/00
A61M 39/00 - 39/28
F16K 15/00 - 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口ポート、出口ポート、及び弁チャンバを備えるハウジングであって、前記入口ポートは、前記弁チャンバの天井から前記ハウジングの外面に延伸し、前記出口ポートは、前記弁チャンバの床から前記ハウジングの前記外面に延伸
し、前記弁チャンバの前記天井は、第1の曲率を含む、ハウジングと、
弁ヘッド、及び前記弁ヘッドから長手方向に延伸する弁ステムを備える弁部材であって、
前記弁部材は、前記出口ポートの開口部の中心に配置された前記弁ステムによって前記弁チャンバ内に支持され
、前記弁ヘッドの上面が、第2の曲率を含み、前記第1の曲率は、前記第2の曲率より小さい、弁部材と
を備える逆止弁であって、
上流圧力が前記弁部材に加えられる場合には、前記弁ヘッドは、前記弁チャンバの前記天井から離れるように偏向し、前記入口ポートを開封するように屈曲可能であり、
下流圧力が前記弁部材に加えられる場合には、前記弁ヘッドは、前記弁ヘッドが前記弁チャンバの前記天井の形状に対応するように、前記弁チャンバの前記床から離れるように偏向し、前記入口ポートを密封するように屈曲可能である、逆止弁。
【請求項2】
前記弁部材は、傘のような形状を備える、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記弁チャンバの前記天井は、ドーム状の天井を備える、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記弁ヘッドの半径は、前記弁チャンバの前記天井と前記弁ヘッドの上面との間に留まる粒子の直径より大きい、請求項3に記載の逆止弁。
【請求項5】
前記弁ヘッドの厚さは、前記弁ヘッドの中央部分から周辺部に向かって減少する、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項6】
前記上流圧力が前記弁ヘッドに加えられる場合には、流体は、前記入口ポートから前記出口ポートに流れる、請求項1に記載の逆止弁。
【請求項7】
入口ポートを備える入口ハウジングと、
出口ポートを備える出口ハウジングと、
前記入口ハウジングと前記出口ハウジングとを係合することによって作り出された弁チャンバであって、前記入口ハウジングの内面は、
第1の曲率を含む前記弁チャンバの天井として機能し、前記出口ハウジングの内面は、前記弁チャンバの床として機能する、弁チャンバと、
前記入口ハウジングの内面と前記出口ハウジングの内面との間の傘状の弁であって、前記傘状の弁は、弁ヘッド、及び前記弁ヘッドから長手方向に延伸する弁ステムを備え、
前記傘状の弁は、前記出口ポートの開口部の中心に配置された前記弁ステムによって前記弁チャンバ内に支持され
、前記傘状の弁の上面は、第2の曲率を含み、前記第1の曲率は、前記第2の曲率より小さい、傘状の弁と
を備える逆止弁システムであって、
上流圧力が前記傘状の弁に加えられる場合には、前記傘状の弁の前記弁ヘッドは、前記入口ポートから離れるように偏向し、前記弁チャンバの前記天井と前記傘状の弁の
前記上面との間に隙間を作り出すように屈曲可能であり、
下流圧力が前記傘状の弁に加えられる場合には、前記傘状の弁は、前記出口ポートから離れるように偏向するように屈曲可能であり、前記傘状の弁の前記上面は、前記弁チャンバの前記天井の形状に対応する、逆止弁システム。
【請求項8】
前記入口ポートは、前記弁チャンバから前記入口ハウジングの外面に延伸し、
前記出口ポートは、前記弁チャンバから前記
出口ハウジングの外面に延伸し、
前記入口ポート及び前記出口ポートは、互いに軸線方向に整列する、請求項7に記載の逆止弁システム。
【請求項9】
前記弁チャンバの前記天井は、ドーム状の天井を備える、請求項7に記載の逆止弁システム。
【請求項10】
前記弁ヘッドの厚さは、前記弁ヘッドの中央部分から周辺部に向かって減少する、請求項7に記載の逆止弁システム。
【請求項11】
前記上流圧力が前記弁ヘッドに加えられる場合には、流体は、前記入口ポートから前記出口ポートに流れる、請求項7に記載の逆止弁システム。
【請求項12】
入口端の入口ポート、出口端の出口ポート、天井、及び湾曲された床を備える弁チャンバであって、前記入口ポートは、前記天井から前記弁チャンバの外側に延伸し、前記出口ポートは、前記湾曲された床から前記弁チャンバの外側に延伸する、弁チャンバと、
弁ヘッド、及び前記弁ヘッドから長手方向に延伸する弁ステムを有する弁であって、前記出口ポートの開口部の中心に配置された前記弁ステムによって前記弁チャンバ内に支持されている弁と
を備える逆止弁であって、
前記湾曲された床は、ドーム形状を含み、前記湾曲された床の中心において隆起し、
前記湾曲された床の周辺部は、前記湾曲された床の前記中心より前記出口端に近く、
下流圧力が前記弁に加えられる場合には、前記弁ヘッドは、前記出口ポートから離れるように偏向し、前記弁チャンバの前記天井の形状に対応するように屈曲可能であ
り、
前記弁チャンバの前記天井は、第1の曲率を含み、前記弁の上面は、第2の曲率を含み、前記第1の曲率は、前記第2の曲率より小さい、逆止弁。
【請求項13】
前記弁チャンバの前記天井は、ドーム状の天井を備える、請求項1
2に記載の逆止弁。
【請求項14】
前記弁ヘッドの厚さは、前記弁ヘッドの中央部分から周辺部に向かって減少し、
上流圧力が弁に加えられる場合には、前記弁ヘッドは、前記入口ポートから離れるように偏向し、前記弁チャンバの前記天井と前記弁ヘッドとの間に間隙を作り出すように屈曲可能である、請求項1
2に記載の逆止弁。
【請求項15】
前記弁ヘッドの半径は、前記弁チャンバの前記天井と前記弁ヘッドの上面との間に留まる粒子の直径より大きい、請求項1
2に記載の逆止弁。
【請求項16】
前記弁は傘のような形状を有する、請求項1
2に記載の逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年9月11日に米国特許商標庁に出願された仮出願番号62/557,100に対する米国特許法第119条に基づく優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般的に、注入による薬物の投与に関し、より詳細には、逆止弁に関する。
【背景技術】
【0003】
注入薬物若しくは溶液を含有するバッグ、ボトル、シリンジ、又は他の容器は、注入溶液を投与するためにラックから吊るされる。容器と注入ポンプシステムとの間にチューブが接続される。チューブの端にあるカテーテルは、静脈内(IV)注入のために患者に挿入される。チューブは、継手、コネクタ、逆止弁、及びポンプ要素を含むアセンブリの一部であってもよく、多くの場合、「IVセット」として参照される。注入ポンプシステムが起動される場合には、注入溶液が患者に投与される。
【0004】
既存のIV逆止弁は、IV逆止弁の上流に配置された入口ポートと、IV逆止弁の下流に配置された出口ポートとを含むチャンバを含む。入口ポートは、流体がチューブから逆止弁の中に流れることを可能にし、出口ポートは、流体が逆止弁からチューブの中に流れることを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IVセットを通って流体(例えば、注入溶液)が移動しない場合には、IV逆止弁は通常、閉じている。例えば、流体が移動しない場合には、逆止弁は閉じて、流体が入口ポートを通過することを不能にする。流体がIVセットを通って流れる場合には、IV逆止弁は開いて、流体がIV逆止弁の一端から他端に流れることを可能にする。しかし、多くの弁は、砂粒及び粒子を滞留させやすい。砂粒が留まる間に反対の流れが加えられる場合には、入口ポートが完全に密封されず、小さい漏れを引き起こし、それによって、弁は役に立たなくなる。
【0006】
流体の漏れ及び逆流をもたらす砂粒の留まりを防止するIV逆止弁を提供することは有利である。これを達成すると同時に、現在の注入ポンプより信頼性が高く、安価で、及び/又は静かな注入ポンプを提供することは、追加の利点である。本明細書では、これらの所望の機能及び目的を達成する逆止弁が説明される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
逆止弁は、入口ポート、出口ポート、及び弁チャンバを含むハウジングを含む。入口ポートは、弁チャンバの天井からハウジングの外面に延伸する。出口ポートは、弁チャンバの床からハウジングの外面に延伸する。逆止弁は、チャンバ内に支持された弁部材を更に含む。弁部材は弁ヘッドを含む。上流圧力が弁部材に加えられる場合には、弁ヘッドは、弁チャンバの天井から離れるように偏向し、入口ポートを開封するように構成される。下流圧力が弁部材に加えられる場合には、弁ヘッドは、弁ヘッドが弁チャンバの天井の形状に適合するように、弁チャンバの床から離れるように偏向し、入口ポートを密封するように構成される。
【0008】
逆止弁システムは、入口ポートを有する入口ハウジング、及び出口ポートを有する出口ハウジングを含む。逆止弁システムは、入口ハウジングと出口ハウジングとを係合することによって作り出された弁チャンバを更に含む。入口ハウジングの内面は、弁チャンバの天井として機能する。出口ハウジングの内面は、弁チャンバの床として機能する。逆止弁システムはまた、弁チャンバ内に支持された傘状の弁を含む。上流圧力が傘状の弁に加えられる場合には、傘状の弁は、入口ポートから離れるように移動し、弁チャンバの天井と傘状の弁の上面との間に隙間を作り出すように構成される。下流圧力が傘状の弁に加えられる場合には、傘状の弁は、出口ポートから離れるように偏向するように構成され、傘状の弁の上面は、弁チャンバの天井の形状に適合する。
【0009】
逆止弁は、入口端の入口ポート、出口端の出口ポート、天井、及び床を備える弁チャンバを含む。入口ポートは、天井から弁チャンバの外側に延伸し、出口ポートは、床から弁チャンバの外側に延伸する。逆止弁はまた、弁チャンバ内に支持された弁を含む。湾曲された床は、ドーム形状を含み、湾曲された床の中心において隆起する。湾曲された床の周辺部は、湾曲された床の中心より出口端に近い。
【0010】
添付の図は、実施形態の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な実施形態としてみなされるべきではない。開示された主題は、当業者が本開示の利益を享受するように、形態及び機能において多くの変更、変化、組合せ、及び均等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の特定の態様による逆止弁を有するIVセットの斜視図を描写する。
【
図2】本開示の特定の態様によるIV逆止弁の断面図を描写する。
【
図3】本開示の特定の態様による
図2のIV逆止弁の拡大部分断面図を描写する。
【
図4】本開示の特定の態様によるIV逆止弁の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に記載される詳細な説明は、対象技術の様々な構成を説明し、対象技術が実施されてもよい構成のみを表すことが意図されない。詳細な説明は、対象技術の完全な理解を提供する目的のために特定の詳細を含む。よって、寸法は、非限定的な例として、特定の態様に関して提供されてもよい。しかし、対象技術がこれらの特定の詳細なしで実施されてもよいことは、当業者には明らかであろう。幾つかの例においては、対象技術の概念を不明瞭にすることを回避するために、周知の構造及び構成要素がブロック図形式で示される。
【0013】
本開示は、対象技術の例を含み、添付の特許請求の範囲の範囲を限定しないことを理解されたい。対象技術の様々な態様が、特定ではあるが非限定的な例に従って次に開示される。本開示で説明される様々な実施形態は、異なる方法及び変形において、及び所望の用途又は実装に従って実行されてもよい。
【0014】
IV逆止弁の開示された実施形態は、流体の逆流を防止して流体を送達する信頼できる方法を提供する。
【0015】
以下の詳細な説明においては、本開示の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかし、本開示の実施形態が特定の詳細の一部なしに実施されてもよいことが当業者には明らかであろう。他の例においては、周知の構造及び技術が、本開示を不明瞭にしないように詳細には示されない。
【0016】
本明細書に開示される方法及びシステムは、患者への医療流体の送達のための注入ポンプに関して提示される。開示された概念が逆止弁を利用する様々な機構に適用されてもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0017】
図1は、本開示の特定の態様による、逆止弁100、200を有するIVセット10の斜視図を描写する。
図1に例示されるように。IVセット10は、それにおいてIV逆止弁100、200を含む。IVセット10は、主流体システム2及び補助流体システム4を含む。IVポンプ(示されない)は、供給ライン5を介して主流体システム2及び分岐又は補助流体システム4から流体を受け取り、それから流体を患者に制御及び分配する。
【0018】
主流体システム2は、患者に投与される生理食塩水又は他の流体を含み、又は包含してもよい流体バッグ3のような主流体源を含む。例示されるように、チューブ6は、点滴チャンバ7からYコネクタ12への流れを搬送する。逆止弁100、200は、Yコネクタ12の上流のチューブ6に配置され、流体バッグ3からIVポンプ(例示されない)への流れを可能にし、一方、補助流体システム4から流体バッグ3に向かう流体の逆流(反対の流れ)を防止する。
【0019】
補助流体システム4は、治療のために患者に供給される薬剤又は他の流体を含有してもよい流体バッグ8のような補助流体源を含む。補助流体ライン9は、点滴チャンバ11からYコネクタ12への流れを搬送する。
【0020】
対象技術の態様は、流体(例えば、注入薬物又は生理食塩水)の逆流を防止する逆止弁100、200に関連する。
【0021】
図2は、入口ハウジング110、出口ハウジング120、及び弁130を含む逆止弁100を示す。入口ハウジング110は、入口ポート112、第1の内面114、及び第1の外面116を含む。入口ポート112は、入口ハウジング110の第1の内面114から第1の外面116に延伸する。出口ハウジング120は、出口ポート122、第2の内面124、及び第2の外面126を含む。出口ポート122は、出口ハウジング120の第2の内面124から第2の外面126に延伸する。弁130は、弁ヘッド132及びステム134を含む。
【0022】
図3は、逆止弁100の弁部分の拡大部分断面図を示す。入口ハウジング110及び出口ハウジング120は係合し、弁チャンバ102を作り出す。弁130は、弁チャンバ102内に配置される。弁130の弁ヘッド132は、上面132a、下面132b、及び周辺部132cを含む。ステム134は、下面132bから下方に延伸して、概して垂直になることができ、出口ハウジング120の開口又は穴128に保持される。
【0023】
入口ハウジング110の入口ポート112は、IVセット(
図2に例示される)のチューブ6に接続され、流体がチューブ6から逆止弁100の中に流れることを可能にしてもよい。流体が移動しない場合には、弁ヘッド132の上面132aの中央部分は、チャンバ102における入口ポート112の開口部の縁に当接するように構成又は事前配置され、入口ポート112を密閉する。入口ポート112を密封する中央部分の領域は、弁ヘッド132の下面132bと接触するステム134の領域より僅かに大きくてもよい。
図2に例示されるように、弁ヘッド132の周辺部132cと入口ハウジング110の第1の内面との間には隙間がある。隙間は、周辺部132cから上面132aの中央部分に近づくにつれて次第に小さくなる。
【0024】
流体が
図2及び
図3に示される矢印の方向に移動する場合には、上流圧力(上流方向から下流方向に向けられた圧力)が弁ヘッド132に加えられる。上流圧力は、弁ヘッド132をステム134に向かって押圧し、入口ハウジング110の第1の内面114と弁ヘッド132の上面132aとの間に間隙を作り出すために入口ポート112の開口部から離れるように弁ヘッド132を偏向する。流体は、間隙を通り、弁132の上面132a上を周辺部132cに向かって流れる。流体は、出口ハウジング120の出口ポート122に流れ込み、IVセットのチューブに沿って流れ込む。
【0025】
流体の移動が遅くなり、下流圧力(下流方向から上流方向に向けられた圧力)が弁ヘッド132に加えられる場合には、上面132aの中央部分及び周辺部132cを含む弁ヘッド132の他の部分は、入口ハウジング110の内面114に接触する。例えば、下流圧力が加えられる場合には、弁ヘッド132は、出口ハウジング120から離れるように偏向し、弁ヘッド132の上面132aと入口ハウジング110の第1の内面114との間の間隙を閉じる。弁ヘッド132の半径は、第1の内面114と上面132aとの間に留まる場合がある砂粒又は粒子の直径より大きい。この構造で、第1の内面114と上面132aとの間に砂粒又は粒子が溜まった場合であっても、上面132aの残りの部分は、弁チャンバ102における入口ポート112の開口部が確実に密封されるように第1の内面114に接触する。
【0026】
幾つかの態様においては、弁チャンバ102は、
図2及び
図3に示されるように、ドーム状の天井(例えば、第1の内面114)を有してもよい。ドーム状の天井の曲率は、流体が移動しない場合には、弁ヘッド132の上面132aの曲率より小さくてもよい。ドーム状の天井の曲率度と上面132aの曲率度との差は、弁ヘッド132の上面132aの中心が弁チャンバにおける入口ポート112の開口部の縁と接触することを可能にし、一方、弁ヘッド132の周辺部132c及びドーム状の天井は、互いに係合しない。ドーム状の天井の曲率及び弁ヘッド132の上面132aの曲率は、砂粒及び粒子が下流に流れることを促進し、第1の内面114と上面132aとの間に砂粒及び粒子を留めることを防止してもよい。幾つかの態様においては、弁チャンバ102は、湾曲された床(例えば、第2の内面124)を有してもよく、
図2及び
図3に示されるように、床は、床の中心に向かって移動するについて隆起する。更に、幾つかの他の態様においては、第1の内面114と上面132aとの間の通路を通過した砂粒及び粒子は、第2の内面124の近くの弁チャンバ102の床に収集されてもよい。
【0027】
幾つかの態様においては、弁130の材料は、シリコーン又はエラストマー材料であってもよい。弁ヘッド132の厚さは、
図2及び
図3に例示されるように、中心から周辺部132cに向かって減少する。この構造は、下流圧力が加えられる場合に、周辺部132cが第1の内面114に向かって容易に移動することを促進する。
【0028】
図4は、本開示の特定の態様による、IV逆止弁200の断面図を描写する。
図4に例示されるように、本開示の幾つかの実施形態によれば、逆止弁200は閉じた状態にあり、逆止弁200は逆方向の流体の流れ、すなわち逆流(出口ポート222から入口ポート212に)を制限する。描写されるように、逆止弁200は、入口ハウジング210、出口ハウジング220、及び弁230を含む。入口ハウジング210は、入口ポート212、第1の内面214、及び第1の外面216を含む。入口ポート212は、入口ハウジング210の第1の内面214から第1の外面216に延伸する。出口ハウジング220は、出口ポート222、第2の内面224、及び第2の外面226を含む。描写されるように、出口ポート222は、出口ハウジング120の第2の内面224から第2の外面226に延伸する。
図2及び
図3の弁130と同様に、弁230は、弁ヘッド132及びステム134を含む。
【0029】
幾つかの実施形態においては、入口ハウジング210は、弁チャンバ202を画定するために、出口チャンバ220と係合し、それに結合される。弁230は、弁チャンバ202内に配置される。弁230の弁ヘッド232は、上面232a、下面232b、及び周辺部232cを含む。ステム234は、下面232bから下方に延伸して、概して垂直になることができ、出口ハウジング220の開口又は穴228に保持される。
【0030】
入口ハウジング210の入口ポート212は、IVセットのチューブ6に接続されてもよく(
図1に例示される)、流体がチューブ6から逆止弁200の中に流れることを可能にしてもよい。弁チャンバ202と流体連通する入口ポート212の開口部の直径が入口ポート112の開口部の直径より大きいという点で、逆止弁200は逆止弁100とは構造において異なる。この結果、流体が移動しない場合には、上面232aのより大きい領域が、弁ヘッド132の上面132aの中央部分のみが入口ポート112の開口部の縁に当接するように構成される、
図2及び
図3の実施形態と比較して、入口ポート212を密封するために、入口ハウジング210の内面214と名目上係合する。
図4に描写されるように、上面232aのより大きい表面積が入口ポート212を通って流れる流体に曝されるので、弁230を下流方向に動かし、入口ポート212を開封するために力の減少が要求される。有利には、流体の流れに曝される弁230の表面積の増大に起因して、
図2及び
図3の実施形態と比較して、弁230のクラッキング(開放)圧力が減少する。
【0031】
図4に描写されるように、入口ポート212を密封する上面232aの領域は、弁ヘッド232の下面232bと接触するステム234の領域より実質的に大きい。流体が
図4に示される矢印の方向に移動する場合には、上流圧力が弁ヘッド232に加えられる。上流圧力は、入口ハウジング210の第1の内面214と弁ヘッド232の上面232aとの間に間隙を作り出すために、弁ヘッド232をステム234に向かって押圧し、弁ヘッド232を入口ポート212の開口部から離れるように偏向させる。流体は、間隙を通って、周辺部232cに向かって弁232の上面232a上を流れ、出口ハウジング220の出口ポート222に流れ込み、IVセット(
図1に示される)のチューブ6に沿って流れ込む。
【0032】
流体の移動が遅くなり、下流圧力が弁ヘッド232に加えられる場合には、入口ポート212の真下の上面232aの領域、及び周辺部232cを含む弁ヘッド232の他の部分は、入口ハウジング210の内面214に接触する。例えば、下流圧力が加えられる場合には、弁ヘッド232は、出口ハウジング220から離れるように偏向され、弁ヘッド232の上面232aと入口ハウジング210の第1の内面214との間の間隙を閉じる。
図2及び
図3の実施形態と同様に、弁ヘッド232の半径は、第1の内面214と上面232aとの間に留まる場合がある砂粒又は粒子の直径より大きい。この構造で、第1の内面214と上面232aとの間に砂粒又は粒子が溜まった場合であっても、上面232aの残りの部分は、弁チャンバ202における入口ポート212の開口部が確実に密封されるように、第1の内面214と接触する。
【0033】
図2及び
図3の実施形態と同様に、弁チャンバ202は、
図4に示されるように、ドーム状の天井(例えば、第1の内面214)を有してもよい。ドーム状の天井の曲率は、流体が移動しない場合には、弁ヘッド232の上面232aの曲率より小さくてもよい。
図2及び
図3の実施形態とは対照的に、閉じた位置において、
図4に例示されるように、弁ヘッド232の周辺部232c及びドーム状の天井は、入口ポート212を密封するために互いに係合する。この結果、上流圧力が弁230の上面232aに加えられる場合には、弁230全体は下流方向に動き、それによって、入口ポート212が開封される。
図4の様々な実施形態の構成は、弁230を開くために弁全体がステム234を押し下げる必要がないという点で有利である。
【0034】
図4に例示されるように、ドーム状の天井の曲率及び弁ヘッド232の上面232aの曲率は、砂粒及び粒子が下流に流れ、第1の内面214と上面232aとの間に砂粒及び粒子を留めることを防止することを促進してもよい。幾つかの態様においては、弁チャンバ202は、湾曲された床(例えば、第2の内面224)を有してもよく、
図4に示されるように、床は、床の中心に向かって移動するにつれて隆起する。更に、幾つかの他の態様においては、第1の内面214と上面232aとの間の通路を通過した砂粒及び粒子は、第2の内面224の近くの弁チャンバ202の床に収集されてもよい。
【0035】
幾つかの態様においては、弁230の材料は、シリコーン又はエラストマー材料であってもよい。
図4に例示されるように、弁ヘッド232の厚さは、中心から周辺部232cに向かって減少する。この構造は、下流圧力が加えられる場合に、周辺部232cが第1の内面214に向かって容易に移動することを促進する。
【0036】
先の説明は、当業者が本明細書で説明される様々な態様を実施することを可能にするように提供される。上記は最良のモードであると考えられるもの及び/又は他の例を説明するが、これらの態様への様々な変更が当業者には容易に明らかであり、本明細書で画定された一般原理は他の態様に適用されてもよいことが理解される。この結果、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることが意図されず、特許請求の範囲の言語と一致する全範囲が与えられるべきであり、単数形の要素への言及は、特に具体的にそのように記載されない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することが意図されず、「1つ以上」を意味することが意図される。特に具体的に記載されない限り、用語「セット」及び「一部」は、1つ以上を参照する。男性の代名詞(例えば、「彼の」)は、女性及び中性の代名詞(例えば、「彼女の」及び「その」)を含み、その逆も同様である。見出し及び小見出しは、もしあれば便宜のためにのみ使用されて、本発明を限定しない。
【0037】
開示されたプロセスにおけるステップの特定の順序又は階層は、例示的なアプローチの実例であることが理解される。設計の好みに基づいて、プロセスにおけるステップの特定の順序又は階層は、再構成されてもよいことが理解される。一部のステップは同時に実行されてもよい。付随する方法の請求項は、サンプルの順序における様々なステップの要素を提示し、提示された特定の順序又は階層に限定されることが意味されない。
【0038】
本開示において使用されるような「上部」、「底部」、「前部」、「後部」、等のような用語は、通常の重力基準系ではなく、任意の基準系を参照するものとして理解されるべきである。この結果、上面、底面、前面、及び後面は、重力基準系において上方、下方、斜め、又は水平に延伸してもよい。
【0039】
「態様」のような語句は、そのような態様が対象技術に不可欠であること、又はそのような態様が対象技術の全ての構成に適用されることを意味しない。態様に関連する開示は、全ての構成又は1つ以上の構成に適用されてもよい。態様のような語句は、1つ以上の態様を参照してもよく、その逆も同様である。「実施形態」のような語句は、そのような実施形態が対象技術に不可欠であること、又はそのような実施形態が対象技術の全ての構成に適用されることを意味しない。実施形態に関連する開示は、全ての実施形態又は1つ以上の実施形態に適用されてもよい。実施形態のような語句は、1つ以上の実施形態を参照してもよく、その逆も同様である。
【0040】
単語「例示的」は、本明細書では「例又は実例としての役割を果たす」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的」として説明される任意の態様又は設計は、他の態様又は設計より好ましく又は有利であるとして必ずしも解釈されるべきではない。
【0041】
当業者に知られ、又は後に知られるようになる、本開示全体に亘って説明される様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的均等物は、参照によって本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。その上、本明細書に開示されるものは、このような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かに関係なく、公に捧げることが意図されない。クレーム要素は、要素が語句「ための手段」を使用して明示的に記載されない限り、又は方法の請求項の場合には、要素が語句「ためのステップ」を使用して記載されない限り、米国特許法第112条第6段落の規定に基づいて解釈されるべきではない。更に、「含む」、「有する」、等の用語が明細書又は特許請求の範囲で使用される限り、このような用語は、用語「備える」と同様の方法で、「備える」が請求項において転換語として用いられる場合に解釈されるように、包括的であることが意図される。