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特許7260566スプレーバー等のためのサービス追跡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】スプレーバー等のためのサービス追跡システム
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/00 20060101AFI20230411BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20230411BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B41F35/00 D
B05B12/00 Z
B05B1/14 Z
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020568234
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2019067029
(87)【国際公開番号】W WO2020002444
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】1850820-0
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】519131635
【氏名又は名称】ボールドウィン ジメック アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】ペルソン ダニエル
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0229945(US,A1)
【文献】特開2004-338234(JP,A)
【文献】特開2004-358412(JP,A)
【文献】特開平11-070662(JP,A)
【文献】特開平05-173729(JP,A)
【文献】特開平08-336944(JP,A)
【文献】特開平08-207261(JP,A)
【文献】特開平05-016334(JP,A)
【文献】特開平02-006863(JP,A)
【文献】国際公開第01/026817(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 35/00
B05B 12/00
B05B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーアプリケーのためのサービス追跡システムであって、前記システムは、少なくとも1つのメモリユニットを有するスプレーバーの形をした少なくとも1つの交換可能なコンポーネントと、前記少なくとも1つのメモリユニットに接続されたコントローラと、を備え、前記コントローラは、少なくとも1つの交換可能な前記スプレーバーの動作を制御し、特定の前記スプレーバーの前記動作に関するランタイムデータに関連して各メモリユニットに記憶されたデータを定期的に更新するように構成される、サービス追跡システム。
【請求項2】
前記メモリユニットは、特定の前記スプレーバーに対応する一意の識別子を備える、請求項1に記載のサービス追跡システム。
【請求項3】
前記メモリユニットの前記ランタイムデータは、前記スプレーバーのバルブレールのバルブによって実行されるストロークの数を含む、請求項に記載のサービス追跡システム。
【請求項4】
前記メモリユニットの前記ランタイムデータは、前記スプレーバーのバルブレールのバルブの動作時間に関する動作時間データを含む、請求項に記載のサービス追跡システム。
【請求項5】
前記メモリユニットの前記ランタイムデータは、前記スプレーバーのバルブレールがいつクリーニングされ、どのくらいの時間の間クリーニングされたかに関するクリーニングデータを含む、請求項に記載のサービス追跡システム。
【請求項6】
各メモリユニットの前記ランタイムデータは、前記スプレーバーの動作中に更新される、請求項に記載のサービス追跡システム。
【請求項7】
前記メモリユニットの前記ランタイムデータは、前記スプレーバーが前記コントローラへの接続を確立するたびに、前記コントローラによって読み取られる、請求項に記載のサービス追跡システム。
【請求項8】
前記コントローラは、ディスプレイと通信し、前記コントローラは、特定のスプレーバーに関連するサービス通知を、前記スプレーバーのメモリユニットに記憶されたデータが1つまたは複数の事前にプログラムされた閾値に達したときに、前記ディスプレイ上に表示するように構成される、請求項に記載のサービス追跡システム。
【請求項9】
前記コントローラは特定のスプレーバーに対するサービスを、前記スプレーバーの前記メモリユニット上に記憶されたデータが1つまたは複数の事前にプログラムされた閾値に達したときに、自動的に要求するように構成される、請求項に記載のサービス追跡システム。
【請求項10】
前記スプレーバーに対するサービスを実行するためのサービスステーションをさらに備え、前記サービスステーションは、前記少なくとも1つのメモリユニットと通信し、サービスの動作を制御し、前記スプレーバーに関連するサービスイベントを、前記メモリユニット内のイベントログに記録するように構成されたサービスコントローラを備える、請求項に記載のサービス追跡システム。
【請求項11】
前記サービスステーションは、サービスイベントを記録するための手動コマンドを可能にするユーザインタフェースを有するサービスディスプレイを備える、請求項10に記載のサービス追跡システム。
【請求項12】
前記スプレーバーの前記メモリユニットは関連付けられた前記スプレーバーに関連するイベントのためのイベントログをさらに備える、請求項に記載のサービス追跡システム。
【請求項13】
前記メモリユニットは、防水ハウジング内に配置されている請求項に記載のサービス追跡システム。
【請求項14】
前記メモリユニットは、不揮発性である、請求項1に記載のサービス追跡システム。
【請求項15】
洗浄ユニットを有する印刷機のためのサービス追跡システムであって、前記システムは、少なくとも1つのメモリユニットを有するクリーニングカセットの形をした少なくとも1つの交換可能なコンポーネントと、前記少なくとも1つのメモリユニットに接続されたコントローラと、を備え、前記コントローラは、少なくとも1つの交換可能な前記クリーニングカセットの動作を制御し、特定の前記クリーニングカセットの前記動作に関するランタイムデータに関連して各メモリユニットに記憶されたデータを定期的に更新するように構成される、サービス追跡システム。
【請求項16】
前記メモリユニットの前記ランタイムデータは、前記クリーニングカセットが動作していた時間を含む、請求項15に記載のサービス追跡システム。
【請求項17】
前記メモリユニットの前記ランタイムデータは、前記クリーニングカセットによって使用されたクリーニングクロスの量を含む、請求項15に記載のサービス追跡システム。
【請求項18】
前記メモリユニットの前記ランタイムデータは、前記クリーニングカセットによって使用された流体の量を含む、請求項15に記載のサービス追跡システム。
【請求項19】
前記メモリユニットは、防水ハウジング内に配置されている、請求項15に記載のサービス追跡システム。
【請求項20】
前記メモリユニットは、不揮発性である、請求項15に記載のサービス追跡システム。
【請求項21】
請求項に記載のサービス追跡システムの交換可能なスプレーバーに備えられるメモリユニットに記憶されたデータを管理する方法であって、前記方法は、
前記メモリユニットを備える前記交換可能なスプレーバーの最新のランタイムデータを読み取るステップと
前記メモリユニットを備える前記交換可能なスプレーバーのランタイムデータを更新するステップと、を含む方法。
【請求項22】
請求項15に記載のサービス追跡システムの交換可能なクリーニングカセットに備えられるメモリユニットに記憶されたデータを管理する方法であって、前記方法は、
前記メモリユニットを備える前記交換可能なクリーニングカセットの最新のランタイムデータを読み取るステップと、
前記メモリユニットを備える前記交換可能なクリーニングカセットのランタイムデータを更新するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機、スプレーアプリケータ(噴射塗布器、噴霧器)等の交換可能なコンポーネントのためのサービス追跡システムに関する。より詳細には、本発明は、スプレーアプリケータ、スプレーダンプニングシステム(spray dampening system)等に含まれるスプレーバー等のためのサービス追跡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スプレーアプリケータ及びスプレーダンプニングシステムは、伝統的な印刷及びテキスタイル(織物、布地)等の産業において広く使用されている。スプレーアプリケータまたはスプレーダンプニングシステムの最も重要な部分の1つはバルブレールであり、これは噴射用溶液(fountain solution)または軟化剤などの流体を機械の異なる部分に供給する。スプレーダンプニングシステムにおけるバルブレールは通常、従来技術において周知のスプレーバーに配置される(例えば、US2006/0086270A1を参照)。スプレーアプリケータでは、バルブレールがスプレーバーのようなチャンバに配置されている(例えば、W02018/073025A1およびWO2018/073026A1を参照)。
【0003】
バルブレールのノズルに流体を供給するためにバルブを開き、次いで流体を噴霧し、その後バルブを再び閉じるという繰り返しの操作は、ストロークと呼ばれる。機械の異なる部分にあるスプレーバー等は、1分当たりのストロークが多かったり少なかったり、異なる負荷条件下で動作しうる。高度に負担のかかる条件下で動作するスプレーバーは、頻繁にサービスや修理を必要とする場合がある。スプレーバーサービス中の機械のダウンタイム(中断時間、停止時間)を回避するために、スプレーバーは、通常は交換可能であるので、しばしば予備品と交換される。その後、新しく整備されたスプレーバーは、異なる条件にある機械の別の部分にある別のスプレーバーと交換するために使用される場合もある。これらのスプレーバーは、このようにして機械の異なる部分の間を移動するので、異なる部分におけるストローク頻度が大きく変化することがある。そのため、各スプレーバーが何ストローク行ったかを追跡することが困難になる。このため、次のスプレーバーがいつどこで故障するかを予測することが困難になる。したがって、予防サービスは不可能であり、印刷機またはスプレーアプリケータの定期的な計画外のダウンタイムは避けられない。
【0004】
スプレーバーの互換性から生じる問題は、以前に解決しようと試みられてきたが、これらの既知のシステムはほとんどがキャリブレーションに焦点を当ててきた。背景技術のいくつかの例は、WO2008/118285A2およびWO2001/26817A2に記載されており、異なるキャリブレーションを必要とする異なるスプレーバーの課題を解決する試みがなされている。スプレーバーはバルブを交換するたびに再調整する必要があり、これにより、ダウンタイムを短縮するために大きな効果を得るために使用される、スプレーバーの互換性が妨げられる。これらの課題を解決しようとするこれらの試みは、完全には成功していない。したがって、改善の余地がある。
【0005】
同様の課題を示すスプレーバーと同様の特徴を有する、印刷機、スプレーアプリケータ等の他の交換可能な部材がある。そのような一例は、印刷機内のシリンダをクリーニングするために使用されるクリーニングカセットである。クリーニングカセットは従来技術において周知である(例えば、US2002/117065A1およびUS2006/0230963A1を参照)。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明は上記の問題の少なくともいくつかを解決し、従来技術のシステムの欠点のいくつかを排除または少なくとも軽減することを目的とする。この目的は本発明によれば、添付の独立請求項に記載された新規な技術によって達成され、好ましい実施形態は、関連する従属請求項に規定されている。
【0007】
本発明の更なる目的は、スプレーバー(spray bar)等がいつサービスを必要とするかを追跡する方法を提供することである。第1の態様によれば、本発明の上記および他の目的は、少なくとも1つの交換可能なコンポーネントを備える、印刷機、スプレーアプリケータなどのためのサービス追跡システムによって、完全にまたは部分的に達成される。前記交換可能なコンポーネントは、少なくとも1つのメモリユニットを備える。サービス追跡システムは、前記少なくとも1つのメモリユニットに接続されたコントローラをさらに備え、前記コントローラは前記少なくとも1つの交換可能なコンポーネントの動作を制御し、メモリユニットを備える特定の交換可能なコンポーネントの動作に関するランタイムデータに関連する各メモリユニットに格納されたデータを周期的に更新するように構成される。交換可能なコンポーネントに含まれるメモリユニットの利点は、それに記憶されたランタイムデータが常にコンポーネントの近くで容易に利用可能であることである。交換可能なコンポーネントに含まれるメモリユニットのさらなる利点は、従来技術のシステムの交換可能なコンポーネントを、本発明のシステムによるメモリユニットを備える交換可能なコンポーネントで置き換えることができることである。したがって、既存のシステムを更新するのは簡単である。
【0008】
一実施形態によれば、メモリユニットは、メモリユニットを備える特定の交換可能なコンポーネントに対応する一意の識別子を含む。この利点は、メモリユニットが正しくペアリングされることを保証することである。
【0009】
別の実施形態では、交換可能なコンポーネントは、印刷機のスプレーダンプニングシステム(spray dampening system)に使用されるスプレーバーである。
【0010】
さらに別の実施形態によれば、メモリユニットのランタイムデータは、構成するスプレーバーのバルブレール(valve rail)のバルブによって実行されるストロークの数を含む。この利点は、ストロークは、いつサービスが必要とされるかの測定値として有用であることである。
【0011】
一実施形態では、メモリユニットのランタイムデータは、構成するスプレーバーのバルブレールのバルブの動作時間に関連する動作時間データを含む。この利点は、動作時間は、いつサービスが必要とされるかの測定値として有用であることである。
【0012】
一実施形態によれば、メモリユニットのランタイムデータは、スプレーバーを構成するバルブレールがいつクリーニングされたか、またどのくらいの時間クリーニングされたかに関するクリーニングデータを含む。この利点は、クリーニングデータは、いつサービスが必要とされるかの測定値として有用であることである。
【0013】
さらなる実施形態では、各メモリユニットのランタイムデータは、交換可能なコンポーネントの動作中にのみ更新される。この利点は、ランタイムデータがこの時点でしか変更されないため、エネルギーを節約することである。それは、書込みサイクルの量も減少させる。
【0014】
別の実施形態によれば、メモリユニットのランタイムデータは、構成する交換可能なコンポーネントがコントローラへの接続を確立するたびに、コントローラによってのみ読み出される。この利点は、コントローラが交換可能なコンポーネントの入力ランタイムデータを追跡することができるので、読み取り操作を低減することである。
【0015】
一実施形態では、メモリユニットは、防水ハウジング内に配置される。これの利点は、印刷機、スプレーアプリケータ等が定期的に水で満たされ得ることである。
【0016】
一実施形態によれば、コントローラはディスプレイと通信する。これの利点は、これがユーザフィードバックを改善することである。
【0017】
さらに別の実施形態では、コントローラは、前記交換可能なコンポーネントに備えられたメモリユニットに記憶されたデータが1つまたは複数の事前にプログラムされた閾値に達したときに、特定の交換可能なコンポーネントに関連するサービス通知をディスプレイ上に表示するようにさらに構成される。この利点は、これがユーザフィードバックを改善することである。
【0018】
一実施形態によれば、コントローラは、交換可能なコンポーネントに備えられたメモリユニットに記憶されたデータが1つ以上の予めプログラムされた閾値に達したときに、特定の交換可能なコンポーネントのサービスを自動的に要求するように構成される。この利点は、ヒューマンエラーを低減することである。
【0019】
一実施形態では、メモリユニットはさらに、構成する交換可能なコンポーネントに関連するイベントのためのイベントログを備える。これの利点は、サービスの正確さと有用性を改善することである。
【0020】
さらなる実施形態によれば、イベントは、手動コマンドによってのみイベントログに保存される。この利点は、イベントログの正確さを確保することである。
【0021】
一実施形態では、サービス追跡システムは、交換可能なコンポーネントに対してサービスを実行するためのサービスステーションをさらに備える。サービスステーションは、前記少なくとも1つのメモリユニットと通信し、サービスの動作を制御し、交換可能なコンポーネントに関連するサービスイベントを、含まれるメモリユニット内のイベントログに記録するように構成されたサービスコントローラを備える。この利点は、サービスが標準化された方法で実行されることである。
【0022】
一実施形態によれば、サービスステーションは、サービスイベントを記録するための手動コマンドを可能にするユーザインタフェースを備えるサービスディスプレイをさらに備える。この利点は、ユーザフィードバックを改善することである。第2の態様では、前の態様によるサービス追跡システムで使用するためのスプレーバーが提供される。スプレーバーは、流体を管理するためのバルブレールと、バルブレールを保護するためのシュラウド(shroud)とを備える。
【0023】
一実施形態によれば、バルブレールは、1つまたは複数のノズルを備える。この利点は、印刷幅を動的に調整できることである。
【0024】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つのメモリユニットがスプレーバーのバルブレール内に配置される。この利点は、メモリユニットを保護することである。
【0025】
第3の態様では、第1の態様によるサービス追跡システムの交換可能なコンポーネントに含まれるメモリユニットに記憶されたデータを管理する方法が提供される。この方法は以下のステップ、すなわち、メモリユニットを備える交換可能なコンポーネントの最新のランタイムデータを読み取るステップと、メモリユニットを備える交換可能なコンポーネントのランタイムデータを更新するステップとを含む。ランタイムデータを更新する利点は、接続が予期せず切断された場合に現在の情報が記憶されることである。
【0026】
一実施形態によれば、本方法は、メモリユニットを初期化するステップをさらに含む。この利点は初期化するとセキュリティが向上し、メモリの内容をより詳細に制御できることである。
【0027】
別の実施形態では、初期化ステップは、メモリをクリアするステップをさらに含む。この利点は、すべてのメモリが必要になる可能性があることである。
【0028】
さらなる実施形態によれば、初期化ステップは、一意の識別子を記憶するステップをさらに含む。この利点は、メモリユニットが正しくペアリングされることを保証することである。
【0029】
さらに別の実施形態では、初期化ステップは、交換可能なコンポーネントの製造中に実行される。この利点は、エラーの可能性を低減することである。
【0030】
一実施形態によれば、読み取りステップは、読み取られたランタイムデータを記憶するステップをさらに含む。この利点は、他のステップで使用できることである。
【0031】
別の実施形態では、読み取りステップは、交換可能なコンポーネントがコントローラへの接続を確立するたびに実行される。この利点は、ランタイムデータが最新であることを保証することである。
【0032】
さらなる実施形態によれば、更新ステップは、構成する交換可能なコンポーネントの動作中に定期的に実行される。この利点は、接続が失われた場合にランタイムデータが比較的に(relatively)更新されることを保証することである。
【0033】
一実施形態では、更新ステップは、メモリユニットのインデックス付き記憶域にデータを記憶するステップをさらに含む。この利点は、これが読み取りステップを単純化することである。
【0034】
一実施形態によれば、更新ステップは、タイムスタンプを有するデータを記憶するステップをさらに含む。この利点は、これがサービス中に重要であり得ることである。
【0035】
別の実施形態では、更新ステップは、コントローラが交換可能なコンポーネントへの接続を失いそうなときはいつでも自動的に実行される。この利点は、データが失われないことを保証することである。
【0036】
さらなる実施形態によれば、更新ステップは、手動コマンドの後に実行される。この利点は、ユーザにより多くの制御を与えることである。
【0037】
別の実施形態では、この方法は、特定の交換可能なコンポーネントがサービスを必要とすることをユーザに警告するステップをさらに含む。この利点は、ユーザフィードバックを改善することである。
【0038】
一実施形態によれば、交換可能なコンポーネントに備えられるメモリユニットに記憶されたデータが1つまたは複数の事前にプログラムされた閾値に達した場合、警告ステップは更新ステップと併せて実行される。これの利点は、必要なときにサービスが実行されることを保証することである。
【0039】
さらに別の実施形態では、本方法は、特定の交換可能なコンポーネントに関するイベントを、構成するメモリユニットにロギング(logging)するステップをさらに含む。この利点は、サービスを改善することである。
【0040】
一実施形態によれば、ロギングステップは、手動コマンドの後に実行される。この利点は、ユーザにより多くの制御を与えることである。
【0041】
さらに別の実施形態では、ロギングステップがユーザによって入力されたデータを記憶するステップをさらに含む。この利点は、ユーザにより多くの制御を与え、サービスを改善することである。
【0042】
第4の態様では、第1の態様によるサービス追跡システムにおいて、交換可能なコンポーネントが印刷機の洗浄ユニット内のクリーニングカセットである。
【0043】
別の実施形態によれば、メモリユニットのランタイムデータは、構成するクリーニングカセットが動作している時間を含む。この利点は、動作時間は、いつサービスが必要とされるかの測定値として有用であることである。
【0044】
一実施形態によれば、メモリユニットのランタイムデータは、構成するクリーニングカセットによって使用されたクリーニングクロスの量を含む。この利点は、使用されるクリーニングクロスの量は、いつ整備が必要とされるかの測定値として有用であることである。
【0045】
一実施形態では、メモリユニットのランタイムデータは、構成するクリーニングカセットによって使用された流体の量を含む。この利点は、使用される流体の量は、いつ整備が必要とされるかの測定値として有用であることである。
【0046】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示、添付の特許請求の範囲、ならびに図面から明らかになるのであろう。本発明は、特徴の全ての可能な組み合わせに関することに留意されたい。
【0047】
本明細書で使用される場合、「備える/備えている」という用語は、述べられた特徴、整数(integer)、ステップ、またはコンポーネントの存在を指定するために採用されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネント、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことを強調しておくべきである。特許請求の範囲で使用されるすべての用語は本明細書で明確に別段の定義がない限り、技術分野でのそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの、または、その[要素、装置、コンポーネント、手段、ステップなど]」へのすべての言及は別段の明示がない限り、要素、装置、コンポーネント、手段、ステップなどの少なくとも1つのインスタンスを指すものとして広く解釈されるべきである。
【0048】
例示的な方法により、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の一実施形態によるスプレーバーを示す。
図2】本発明の一実施形態によるクリーニングカセットを示す。
図3a】本発明の一実施形態によるサービス追跡システムを示す。
図3b】本発明の一実施形態によるサービス追跡システムを示す。
図4】本発明の一実施形態によるメモリユニットに記憶されたデータを管理する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全になるように提供され、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。添付図面に示される特定の実施形態の詳細な説明で使用される用語は、本発明を限定することを意図したものではない。図面において、同様の符号は同様の要素を指す。
【0051】
図1から始まって、一実施形態による印刷機1のスプレーダンプニングシステム3の交換可能なスプレーバー10Aが示されている。印刷機1は、例えばオフセット印刷機であってもよいが、同様の交換可能なコンポーネントを有するスプレーアプリケータG、スプレーチャンバ、ファブリック(fabric、織物、生地)処理ステーション等であってもよい。スプレーバー10Aは、噴射用溶液のような流体を印刷機1の異なる部分、例えば印刷シリンダ2に投与するためのバルブレール12を備えている。バルブレール12は、流体を噴霧するための1つまたは複数のノズル16を備えるが、他の方法も可能である。バルブレール12は、バルブの電子機器を保護するためのバルブレール・エンクロージャ(enclosure)をさらに備える。スプレーバー10Aは、バルブレール12を保護するためのシュラウド14を更に備える。シュラウド14は、バルブレール12から噴霧されてバルブレール12上に戻って周囲に入る流体の量を減少させる。
【0052】
スプレーバー10Aはさらに、防水ハウジング22内に配置されたメモリユニット20を備えている。これは、スプレーバー10A内に流体が存在し得るので、有益である。メモリユニット20は、保護のためにシュラウド14内に配置することができる。メモリユニット20は、スプレーバー10Aのバルブレール12内に配置されることが好ましい。例えば、メモリユニット20は、バルブレール・エンクロージャの内側に取り付けられてもよい。メモリユニット20は、ネジ、ボルト、接着剤または溶接などの締結手段を用いて製造工程中に取り付けられることが好ましい。
【0053】
説明では、スプレーバー10Aを備えた実施形態に焦点を当てるが、印刷機1やスプレーアプリケータ1等における他の交換可能なコンポーネント10も可能である。別のそのような交換可能なコンポーネント10の非限定的な一例は、印刷機1内のクリーニングカセット10Bである。これらは交換可能であり、スプレーバー10Aと同様の方法で、コントローラ30によって制御され、したがって、本明細書の教示の多くは必要な変更を加えて、クリーニングカセット10Bに適用可能である。
【0054】
図2には、一実施形態に係るクリーニングカセット10Bが示されている。クリーニングカセット10Bは、印刷機1の洗浄ユニット内に配置されている。印刷機1は、例えば、フレキソ(flexographic)印刷機、またはオフセット印刷機であってもよいが、フィルムシリンダクリーニングシステム、缶クリーニングシステム、スプレーアプリケータ、スプレーチャンバ、ファブリック処理ステーションなどであってもよい。クリーニングクロス(図示せず)は、パッドユニット18を用いてクリーニングカセット10Bに誘導され、ブランケットシリンダ2と係合する。これにより、シリンダ2をクリーニングクロスでクリーニングする。クリーニングカセット10Bは、例えばノズル16を使用して、クリーニングクロスが誘導されるときにクリーニング液をクリーニングクロスに投与するようにさらに構成されてもよい。
【0055】
クリーニングカセット10Bはさらに、防水ハウジング22内に配置されたメモリユニット20を備えている。これは、クリーニングカセット10Bの周りに流体が存在し得るので有益である。メモリユニット20は、ネジ、ボルト、接着剤または溶接などの締結手段を用いて製造工程中に取り付けられることが好ましい。
【0056】
図3aを参照すると、一実施形態に係る印刷機1、スプレーアプリケータ1’等のサービス追跡システムが示されている。サービス追跡システムは、メモリユニット20を備える交換可能なコンポーネント10を備える。メモリユニット20は、交換可能なコンポーネント10内および/またはその周囲に流体が存在し得るので、防水ハウジング22内に配置されてもよい。メモリユニット20は、ネジ、ボルト、接着剤または溶接などの締結手段を用いて製造工程中に取り付けられることが好ましい。
【0057】
他の実施形態では、同じシステム内に、いくつかはスプレーバー10Aであり、いくつかはクリーニングカセット10Bであるなど、異なる種類のもので任意の数の交換可能なコンポーネント10があってもよい。各交換可能なコンポーネント10は、任意の数のメモリユニット20を含むことができ、各メモリユニット20は、前記メモリユニット20を備える特定の交換可能なコンポーネント10に関連するデータを記憶する。これらは、異なる種類のデータを記憶したり、予備として使用する同じデータのコピーを単に記憶するように構成されてもよい。
【0058】
サービス追跡システムは、メモリユニット20に接続されたコントローラ30をさらに備える。コントローラ30は交換可能なコンポーネント10の動作を制御し、メモリユニット20を備える特定の交換可能なコンポーネント10の動作に関するランタイムデータに関連してメモリユニット20に記憶されたデータを定期的に更新するように構成される。
【0059】
コントローラ30は、1つ以上のプロセッサ(CPU)またはプログラマブルロジックコントローラ(PLC)として実装されてもよい。それは、単一のユニットであってもよいし、いくつかの部分に分割されていてもよい。1つのコントローラ30は、任意の数の交換可能なコンポーネント10の動作を制御するように構成することができる。
【0060】
メモリユニット20は、ROM、RAM、SRAM、DRAM、FLASH、DDR、SDRAM又は他の何らかのメモリ技術のようなコンピュータ可読メモリのための任意の一般的に知られている技術を使用して、1つ以上のメモリチップの形状で実現することができる。好ましくは、使用されるメモリ技術は不揮発性である。好ましい実施形態では、メモリ容量は、256kBのように、コストを抑えるために比較的低い。容量は、将来の需要をサポートするために、より大きくてもよい。当業者はこれが、効率的にするために、メモリ上に記憶されたデータがどのように符号化されるかについても制約を課すことを理解するのであろう。
【0061】
更新の周期は、設定された間隔、ユーザが要求する度、またはランタイムデータが変更される度でもいずれでもよい。設定間隔は、例えば、毎年、毎月、毎週、毎日、数時間毎、または、より好ましくは、数分毎、例えば、おおよそ20分毎、10分毎、5分毎、3分毎、もしくは2分毎、または最も好ましくは60分毎、または10~20分毎、5~10分毎、3~5分毎、または1~3分毎、ならびに数秒または1秒の分画毎など、その間の任意のものであってもよい。更新の周期は、メモリユニット20のメモリがサポートする書き込みサイクルの量によって制限されてもよい。多くの不揮発性メモリは、障害が発生する前の限られた数の書き込み回数しかサポートしない。例えば、典型的なEEPROMでは、データが約10万回しか書き込まれない。
【0062】
ランタイムデータに関連するデータは、交換可能なコンポーネント10が動作中であるか、または何らかの方法で使用されているときに、リアルタイムで継続的に更新する任意のパラメータを含むことができる。これには、交換可能なコンポーネント10のバルブレール12のバルブが実行したストロークの数、交換可能なコンポーネント10が作動可能であった時間、交換可能なコンポーネント10がクリーニングされた時間、クリーニングカセット10Bが使用したクリーニングクロスの量、すなわちクロス送りまたはエアシリンダの動作の実行回数、交換可能なコンポーネント10が使用した流体の量、交換可能なコンポーネント10の総出力または交換可能なコンポーネント10の総入力のいずれかの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
ファブリックまたはウェブ(web)の幅などの要因に応じて、各交換可能なコンポーネント10で使用されるバルブの数は異なる場合がある。このため、交換可能なコンポーネント10のバルブレール12の個々のバルブに関するランタイムデータ、例えば、個々のバルブが実行したストロークの数、または個々のバルブの動作時間を追跡することが有益であり得る。
【0064】
一実施形態では、メモリユニット20のランタイムデータが交換可能なコンポーネント10の動作中に更新される。これは、ランタイムデータがこの時点でのみ変更されるため、エネルギーを節約する。それはまた、書込みサイクルの量を減少させる。
【0065】
メモリユニット20は、メモリユニット20を備える特定の交換可能なコンポーネント10に対応する一意の識別子、構成する交換可能なコンポーネント10に関連するイベントのためのイベントログ、またはキャリブレーションデータなど、構成する交換可能なコンポーネント10の動作中に使用されるデータなど、他のデータを含むこともできる。
【0066】
固有の識別子は、交換可能なコンポーネント10上に印刷または刻印されたシリアル番号と一致するシリアル番号であってもよい。それはまた、取り付けられたアンテナによって送信されるバーコード、QRコード(登録商標)、またはRFIDタグなど、当業者に知られている任意の数の一意の識別子であってもよい。
【0067】
イベントログは、例えば、配列、表、またはリスト、セット、マルチセット、ツリーまたはグラフなどのコレクションを使用して、任意のインデックス付きデータ構造を使用して実装することができる。好ましい実施形態では、イベントログ内のイベントエントリは、イベントが記録されたときのタイムスタンプを含む。イベントは、イベントがログに記録されるとき、またはその後の任意のタイミングで追加されるときに、ユーザによって入力されるコメントまたはメモをさらに含むことができる。手動コマンドでイベントをイベントログに保存すると、さらに便利な場合がある。好ましい実施形態では、イベントログに保存されるイベントは、設置、クリーニング、修理、または交換などのサービスイベントである。もちろん、他の種類のイベントも同様に可能である。
【0068】
本発明の一実施形態では、キャリブレーションデータなどの、交換可能なコンポーネント10の動作中に使用されるデータがメモリユニット20に記憶される。これは、印刷機1、スプレーアプリケータG等を、個々の交換可能なコンポーネント10の各々に従って較正するために使用することができる。
【0069】
コントローラ30は、その動作を制御するために、交換可能なコンポーネント10に接続される。コントローラ30とメモリユニット20と交換可能なコンポーネント10との間の接続は、当業者に知られている技術に従って有線および/または無線であってもよい。好ましい実施形態では、接続部は直列に配線され、コントローラ30と交換可能なコンポーネント10との間のコネクタを有するワイヤは、コントローラ30とメモリユニット20との間のコネクタも備える。交換可能なコンポーネント10のコネクタは、従来のオスコネクタ及びメスコネクタである。スペースおよびコストを節約するために、メモリユニット20のためのコネクタは、熱収縮コネクタである。好ましくは、熱収縮技術が、それが耐水性であるため、印刷機1、スプレーアプリケータG等の交換可能なコンポーネント10の内部で使用される。例えば、バルブはワイヤを流体から保護するために、熱収縮方式でコントローラ30に接続される。
【0070】
コントローラ30は、メモリユニット20に記憶されたデータを符号化および/または圧縮してもよい。この両方により、メモリが節約され、メモリが小さく、安価になり、また、潜在的に価値のあるデータが簡単にアクセスできないように保護される。つまり、同じシステム内のすべてのコントローラ30、30’はメモリユニット20との間でデータを保存したり読み取ったりする際に、同じプロトコルを使用する必要がある。圧縮がなくても、メモリユニット20にアクセスするコントローラ30は、記憶されたデータを適切にデコードおよびエンコードするために、メモリユニット20のメモリのメモリレイアウトに関する知識を持たなければならない。
【0071】
コントローラ30は、交換可能なコンポーネント10の動作を制御するので、動作中にランタイムデータがどのように変更されるかを知ることになる。一実施形態では、メモリユニット20のランタイムデータは、交換可能なコンポーネント10がコントローラ30への接続を確立するたびに、コントローラ30によって読み出される。これは、例えば、交換可能なコンポーネント10が最初に取り付けられるとき、それが別の交換可能なコンポーネント10を交換するとき、または印刷機1、スプレーアプリケータ1などが朝にオンにされるときであってもよい。これにより、コントローラ30は、更新が発生したときにその更新を追跡し続けることができ、メモリユニット20をチェックする必要がないので、エネルギーが節約される。コントローラ30は、読み出したランタイムデータを任意のメモリ、例えば内部メモリに記憶することができる。この内部メモリは、交換可能なコンポーネント10が次にコントローラ30との接続を確立するまでデータを記憶するだけでよいので、揮発性であってもよい。
【0072】
一実施形態では、コントローラ30がディスプレイ32と通信する。ディスプレイ32は、例えば、LCDスクリーン又は一種のLEDスクリーンのような1つ以上のスクリーンであってもよく、或いは、光、投影画像又はホログラムであってもよい。コントローラ30は、当業者に知られているように、有線または無線接続を使用してディスプレイ32に接続されてもよい。ディスプレイ32は、印刷機1、スプレーアプリケータ1’等に近接してもよく、あるいは別の施設内にあってもよい。
【0073】
コントローラ30は、特定の交換可能なコンポーネント10に含まれるメモリユニット20に記憶されたデータが1つ以上の予めプログラムされた閾値に達したときに、その交換可能なコンポーネント10に関連するサービス通知をディスプレイ32に表示するようにさらに構成されてもよい。
【0074】
サービス通知は、好ましくは視覚的なものであり、例えば、ポップアップウィンドウ、色付きインジケータ、または点滅ライトなどがディスプレイ32上に表示される。これらは、通知が表示される理由や、どのようなアクションをとる必要があるかについての追加情報を含む可能性がある。それらは、追加的に又は代替的に、1つまたは複数の異なるディスプレイ32上に表示されてもよく、及び/又は音声通知を使用してもよい。通知は、アクションを取る必要がある場所の近くに、または完全に別個の施設内に表示することができる。一実施形態では、通知は、印刷機1、スプレーアプリケータ1’などの近くのディスプレイ32、およびアクションを取るのを支援する外部のサービス会社のディスプレイ32に同時に表示される。通知は、印刷施設または他の種類の工場の工場作業員、外部サービス会社、または任意の他の関係者に向けることができる。
【0075】
サービス通知を表示するのに併せて、またはサービス通知を表示する代わりに、コントローラ30は、特定の交換可能なコンポーネント10に含まれるメモリユニット20に記憶されたデータが1つまたは複数の予めプログラムされた閾値に達したときに、その交換可能なコンポーネント10に対するサービスを自動的に要求するように構成されてもよい。この要求は例えば、電話、テキスト、ファックス、郵便、電子メール、又は専用電話、ブラウザ又はコンピュータ・アプリケーションによって送られる事前に記録されたメッセージのような自動化された通信の形態をとることができる。また、既存のシステムコンポーネントを使用して、接続されたディスプレイ32上にサービス注文を表示することもできる。要求は、印刷施設のサービスチーム、外部サービス会社、または任意の他の関係者に向けられてもよい。
【0076】
このような閾値の例には、交換可能なコンポーネント10のバルブレール12のバルブの特定のストロークの数、交換可能なコンポーネント10が作動した特定の時間、交換可能なコンポーネント10がクリーニングされた特定の量、クリーニングカセット10Bが使用した特定の量のクリーニングクロス、すなわち特定の数のクロス送りまたはエアシリンダの動作、交換可能なコンポーネント10が使用した特定の量の流体、交換可能なコンポーネント10の特定の総出力、または交換可能なコンポーネント10の特定の総入力などの特定のランタイムデータパラメータ値が含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
ファブリックまたはウェブの幅などの要因に応じて、各交換可能なコンポーネント10で使用されるバルブの数は変わり得る。このため、交換可能なコンポーネント10のバルブレール12の個々のバルブに関連する閾値、例えば、各個々のバルブが実行したストロークの数、または各個々のバルブの動作時間を使用することが有益であり得る。
【0078】
閾値は、固有識別子、イベントログ、またはキャリブレーションデータなどの他の種類のデータをさらに含むことができる。例えば、一意の識別子は、交換可能なコンポーネント10の型及び製造日に関する情報を含むことができる。特定の製品ラインが誤動作していることが分かった場合、コントローラ30への更新は、その特定の製品ラインのすべての交換可能なコンポーネント10をリコールするサービス通知をトリガするために、一意の識別子を閾値として使用することができる。また、コントローラ30は、どのように使用されたかにかかわらず、交換可能なコンポーネント10が特定の経過時間に到達するためのサービス通知をトリガするために、閾値として固有の識別子を使用するように構成してもよい。特定の交換可能なコンポーネント10が閾値である特定の時間の間サービスを受けていない場合、または異常な一連のイベントが発生した場合、イベントログによってサービスリマインダがトリガされることがある。キャリブレーションデータが極値を有するか、または誤用されている場合、これを閾値として使用することもできる。
【0079】
異なる閾値はまた、さらなる有益な効果のために組み合わされてもよい。例えば、高い動作時間と組み合わされた高いストロークの数は、閾値を構成することができる。最も近時のサービスイベントの時間を、その時間以降に実行されたストロークの数と組み合わせて、閾値として使用することが好ましい。
【0080】
図3bは、図3aと同様のサービス追跡システムを示し、これは、交換可能なコンポーネント10上でサービスを実行するためのサービスステーション34をさらに備える。サービスステーション34は、それ自身のサービスコントローラ30’及びオプションのサービスディスプレイ32’を有する別個のユニットである。これらは上述の実施形態と同様に、互いに通信し、交換可能なコンポーネント10と通信するが、サービスステーション34のコントローラ30’はサービスの動作を制御し、交換可能なコンポーネント10に関連するサービスイベントを、含まれるメモリユニット20内のイベントログに記録するように構成される。
【0081】
サービスステーション34は、例えば、動作中に迅速な測定を行うように構成された携帯装置、又は、厳格な試験、クリーニング、キャリブレーション、及び保守のために交換可能なコンポーネント10が組み込まれた印刷機1、スプレーアプリケータ1’等の特定のサービスセクションとすることができる。サービスステーション34は、単に、サービスイベントを登録または要求するためのインタフェース30’、32’を用いてサービスを行うための専用領域であってもよい。サービスステーション34は、サービスコントローラ30’によって制御される異なる種類のサービス専用の自動サービスユニットをさらに備えることができる。
【0082】
サービスコントローラ30’は少なくとも、交換可能なコンポーネント10をサービスする動作を制御するように構成されているが、その動作などの他の機能を制御することもできる。保守は、設置、クリーニング、修理、または交換を含むことができる。一実施形態では、サービスが交換可能なコンポーネント10の様々な内部部品を手動で交換することと、サービスステーション34を使用してサービスコントローラ30’にサービスイベントをイベントログに記憶するように指示することとを含む。これは、サービスコントローラ30’が制御するように構成されたサービスの唯一の動作である。別の実施形態では、サービスがサービスステーション34に含まれ、サービスコントローラ30’によって制御される自動サービスユニットによって実行され、各サービスユニットは異なる種類の利用可能なサービスオプションのうちの1つまたは複数に専用である。
【0083】
交換可能なコンポーネント10は、同時にコントローラ30、30’の両方に接続されてもよいが、一実施形態では、交換可能なコンポーネント10が通常動作中にオペレーションコントローラ30に接続され、サービス中にサービスコントローラ30’に接続される。別の実施形態では、オペレーションコントローラ30が専用サービスコントローラ30’によって提供される機能の一部または全部を有する。この実施形態では、交換可能なコンポーネント10が常に1つのコントローラ30に接続されるだけでよい。
【0084】
サービスの種類にかかわらず、サービスイベントをイベントログに記憶することが有益であり得る。これは、サービスコントローラ30’がサービスの動作を制御し、適切なサービスイベントが発生したときにそのサービスイベントを記録するときに、自動的に行うことができる。これは、特定のサービスイベントの前、後、または発生したときに、ユーザがログに記録する要求を入力することによって、手動で行うこともできる。サービスイベントは、サービスの種類、および/またはサービスがいつ、および/またはどこで行われているかを含むことができる。サービスイベントは、サービスイベントがログに記録されるか、またはその後いつでも追加されるときに、ユーザによって入力されるコメントまたはメモをさらに含むことができる。
【0085】
図4は、一実施形態による、交換可能なコンポーネント10に含まれるメモリユニット20に記憶されたデータを管理するための方法のフローチャートを示す。この方法は、メモリユニット20を初期化するステップ100と、メモリユニット20を備える交換可能なコンポーネント10の最新のランタイムデータを読み取るステップ110と、メモリユニット20を備える交換可能なコンポーネント10のランタイムデータを更新するステップ120と、特定の交換可能なコンポーネント10がサービスを必要とすることをユーザに警告するステップ130と、特定の交換可能なコンポーネント10に関するイベントを、構成するメモリユニット20にロギングするステップ140とを含むことができる。これらのステップは、任意の順序で実行されてもよく、いくつかはスキップされてもよく、他は繰り返されてもよく、異なるステップは異なるコントローラ30によって実行されてもよい。
【0086】
初期化ステップ100は、例えば、コネクタの取り付け、および/または起動、フォーマットおよび/またはメモリ内のスペースの予約をすることによって、メモリユニット20を設置することを含む。初期化ステップ100は、メモリをクリアすること、および/または前記メモリユニット20を備える特定の交換可能なコンポーネント10に対応する一意の識別子を記憶することをさらに含むことができる。初期化ステップ100は、好ましくは交換可能なコンポーネント10の製造中に実行される。
【0087】
読み取りステップ110は、コントローラ30が構成されたメモリユニット20から交換可能なコンポーネント10の最新のランタイムデータを読み取ることを含む。読み取りステップ110は、一意の識別子またはキャリブレーションデータなど、メモリユニット20に記憶された他の種類のデータを読み取ることをさらに含むことができる。読み取りステップ110は、先に説明したように、読み取りデータを記憶するステップをさらに含むことができる。これは、更新ステップ120または警告ステップ130などの後のステップで使用することができる。読み取りステップ110は、定期的に実行されてもよく、好ましくは、前述のように、交換可能なコンポーネント10がコントローラ30への接続を確立するたびに実行される。
【0088】
更新ステップ120は、備えられたメモリユニット20に記憶された交換可能なコンポーネント10のランタイムデータを更新するコントローラ30を備える。これは、コントローラ30によって動作されている前記交換可能なコンポーネント10の動作に基づいて、既にそこに記憶されているランタイムデータを新しいデータで上書きすることを意味することができる。これは、古いランタイムデータに新しいランタイムデータを追加するか、以前に読み取られたランタイムデータを使用して、以前に読み取られたデータ以降の変化に基づいて新しいパラメータ値を計算し、記憶されているランタイムデータを新しく計算されたパラメータ値に置き換えることによって行うことができる。これは、好ましくは前述のように、前記交換可能なコンポーネント10の動作中に定期的に行われる。したがって、コントローラ30は、最新の更新ステップ120がいつ発生したかを追跡する必要があり得る。この情報は、メモリユニット20、コントローラ30又は他の任意のメモリと共に記憶することができる。
【0089】
ランタイムデータは、好ましくはタイムスタンプと共にメモリユニット20のインデックス付き記憶域に記憶される。これは、読み取りステップ110を単純化し、事前に定義されたメモリレイアウトに従う。更新ステップ120は、手動コマンドの後に実行されてもよい。更新ステップ120は交換可能なコンポーネント10が取り外されているとき、または印刷機1、スプレーアプリケータ1’などが停止されているときなど、コントローラ30が交換可能なコンポーネント10への接続を失おうとするときはいつでも、自動的にさらに実行されてもよい。
【0090】
警告ステップ130は、特定の交換可能なコンポーネント10がサービスを必要とすることをユーザに警告するコントローラ30を含む。これは、前述のように、サービス通知または自動サービス要求を使用して行うことができる。警告ステップ130は、交換可能なコンポーネント10に含まれるメモリユニット20に記憶されたデータが前述のように1つ以上の予めプログラムされた閾値に到達する場合、更新ステップ120の前、前、中、または後に、併せて実行されてもよい。
【0091】
ロギングステップ140は、コントローラ30が特定の交換可能なコンポーネント10に関するイベントを、備えられたメモリユニット20にロギングすることを含む。これらは、メモリユニット20のインデックス付き記憶域に、および/またはタイムスタンプと共に記憶することができる。ロギングステップ140は、手動コマンドの後に実行されてもよく、および/またはユーザによるデータ入力を含んでもよい。
【0092】
上記説明及び関連付けられる図面に提示される教示から恩恵を受ける本発明に関連する分野の当業者ならば、本明細書に示される本発明の多くの変更形態及び他の実施形態を思い付こう。したがって、本発明は開示される特定の実施形態に限定されるべきではなく、変更形態及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に包含されることを意図されることを理解されたい。さらに、前述の説明および関連する図面は要素および/または機能の特定の例示的な組合せの文脈で例示的な実施形態を説明するが、要素および/または機能の異なる組合せが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく代替的な実施形態によって提供され得ることを理解されたい。この点に関して、例えば、上記で明示的に説明されたものとは異なる要素および/または機能の組み合わせもまた、添付の特許請求の範囲のいくつかに記載され得るように企図される。交換可能なコンポーネントまたは部材10はオフセット印刷機1に含まれるスプレーバー10Aまたはクリーニングカセット10Bとして説明されてきたが、他の多くの設計が可能である。例えば、交換可能なコンポーネントまたは部材10は、機械を通過するクロスのウェブに液体または流体を噴霧または塗布するための機械に含まれるスプレーユニットまたは流体アプリケータであってもよい。利点、利益、または問題に対する解決策が本明細書で説明される場合、そのような利点、利益、および/または解決策はいくつかの例示的な実施形態に適用可能であり得るが、必ずしもすべての例示的な実施形態に適用可能であるわけではないことを理解されたい。したがって、本明細書で説明される任意の利点、利益、または解決策は、すべての実施形態、または本明細書で特許請求される実施形態にとって重要で必要でまたは必須であると考えられるべきではない。本明細書で特定の用語を用いているが、包括的かつ説明のためにのみ用いており、限定するためではない。
図1
図2
図3a
図3b
図4