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特許7260602共通バスに接続されたコンバータのための高調波歪低下システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】共通バスに接続されたコンバータのための高調波歪低下システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20230411BHJP
   H02M 7/493 20070101ALI20230411BHJP
【FI】
H02M7/12 W
H02M7/493
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021140328
(22)【出願日】2021-08-30
(65)【公開番号】P2022053492
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】17/030,562
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】クマル,アジス クッタンナイア
(72)【発明者】
【氏名】ダス,サブハス チャンドラ
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-055790(JP,A)
【文献】特開2006-187140(JP,A)
【文献】特開2011-172372(JP,A)
【文献】特開2004-153918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 7/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、前記システムは、
共通バスに接続された複数のコンバータであって、コンバータの各々は、前記コンバータの各々におけるスイッチを開状態と閉状態との間で、スイッチング周波数とスイッチング位相とを有するスイッチングサイクルにおいて、交互に切り替えることによって、交流(AC)を前記共通バスを通って直流(DC)に変換するように構成される、複数のコンバータと、
コントローラ回路であって、前記共通バス上に伝導される前記ACを前記複数のコンバータに対して調節するように構成され、その結果、前記複数のコンバータによって変換された前記ACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足し、前記コントローラ回路は、前記複数のコンバータの少なくとも1つを制御することによって、前記ACを調節するように構成される、コントローラ回路と、からなり、
前記コントローラ回路はまた、前記複数のコンバータから前記共通バス上に伝導される前記リップル電流成分を予測し、そして、前記共通バス上に伝導される前記リップル電流成分を、前記複数のコンバータの前記少なくとも1つのコンバータの前記スイッチングサイクルの前記位相または周波数を変化させることによって、予測通りに、捕捉された前記リップル電流成分と比較して低下させるように、構成される、システム。
【請求項2】
前記コントローラ回路は、1)前記複数のコンバータの前記スイッチング周波数が同じである時に、前記スイッチング位相への位相シフトを、2)前記周波数シフトを有する、前記複数のコンバータの前記少なくとも1つの前記スイッチングサイクルは、前記複数のコンバータの少なくとも1つの他のコンバータの前記スイッチングサイクルとは異なるような、前記複数のコンバータの前記少なくとも1つの前記スイッチングサイクルへの周波数シフトを、または、3)前記複数のコンバータへのAC電圧入力における位相シフトを、適用するために、前記複数のコンバータの前記少なくとも1つを制御することによって、前記ACの前記リップル電流成分を調節するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ACは、基本の電流成分と前記リップル電流成分とを含み、そして、前記コントローラ回路は、前記ACの前記リップル電流成分を調節するのみである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
DCを受け取る前記DCのロードをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記DCのロードは、バッテリーまたはソーラーコンバータの1つである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラ回路は、第1のグループの前記複数のコンバータの1以上における前記スイッチングサイクルを、第1のスイッチング周波数で動作させることと、第2の、異なるグループの前記複数のコンバータの1以上における前記スイッチングサイクルを、異なる、第2のスイッチング周波数で動作させることとによって、前記AC電流を調節するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラ回路は、第1のグループの前記複数のコンバータの1以上におけるスイッチングサイクルを、第1の位相シフトを有するように動作させることと、第2のグループの前記複数のコンバータの前記1以上における前記スイッチングサイクルを、異なる、第2の位相シフトを有するように動作させることとによって、前記AC電流を調節するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラ回路は、周波数シフトを、基本の電流成分周波数の倍数である、前記複数のコンバータの前記少なくとも1つのコンバータの前記スイッチングサイクルに対して適用するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記共通バスは、第1のAC共通バスであり、そして、前記複数のコンバータは、第2のAC共通バスに接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記指定された基準は、全高調波または要求歪、全加重高調波、評価雑音電流、または高調波の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラ回路は、DCのロードからDCを伝導し、そして、変圧器への入力のために、前記DCをACに変換するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
システムであって、前記システムは、
共通バスに接続された複数のコンバータであって、コンバータの各々は、前記複数のコンバータの各々におけるスイッチを開状態と閉状態との間で、スイッチング周波数とスイッチング位相とを有するスイッチングサイクルにおいて、交互に切り替えることによって、交流(AC)を前記共通バスを通って直流(DC)に変換するように構成される、複数のコンバータと、
コントローラ回路であって、前記共通バス上に伝導される前記ACを前記複数のコンバータに対して調節するように構成され、その結果、前記複数のコンバータによって変換された前記ACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足し、前記コントローラ回路は、前記複数のコンバータの少なくとも1つを制御することによって、前記ACを調節するように構成される、コントローラ回路と、
前記コントローラ回路と前記複数のコンバータと動作可能に連結されたマスターコントローラであって、前記マスターコントローラは、前記複数のコンバータの1以上における前記スイッチングサイクルを変化させることによって、前記共通バス上に伝導される前記リップル電流成分を低下させるように構成される、マスターコントローラと、からなり、
前記マスターコントローラは、前記共通バス上で伝導される前記リップル電流成分を予測するように、そして、予測された前記リップル電流成分に基づいて、前記複数のコンバータの前記1以上における前記スイッチングサイクルを変化させるように構成される、システム。
【請求項13】
前記コントローラ回路は、1)前記複数のコンバータの前記スイッチング周波数が同じである時に、前記スイッチング位相への位相シフトを、2)前記周波数シフトを有する、前記複数のコンバータの前記少なくとも1つの前記スイッチングサイクルが、前記複数のコンバータの少なくとも1つの他のコンバータの前記スイッチングサイクルとは異なるような、前記複数のコンバータの前記少なくとも1つの前記スイッチングサイクルへの周波数シフトを、または、3)前記複数のコンバータへのAC電圧入力における位相シフトを、適用するために、前記複数のコンバータの前記少なくとも1つにおける前記スイッチングサイクルを変化させることによって、前記ACの前記リップル電流成分を調節するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記マスターコントローラはまた、前記共通バス上に伝導される前記リップル電流成分を低下させるために、前記スイッチング位相への位相シフトを決定するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年3月14日に出願された米国特許出願第15/921,299(現在は、2019年5月14日に発行された米国特許第10,291,147号)の継続出願である、2019年4月8日に出願された米国特許出願第16/377,788号の一部継続出願であり、これは、2017年4月12日に出願された米国仮特許出願第62/484,773号に対する優先権を主張し、そして、2016年9月29日に出願された米国特許出願第15/279,460号の一部継続出願である。これらの出願の開示全体は、引用によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に開示される主題の実施形態は、電気回路に関係する。
【0003】
車両推進システムは、共通バスに接続された複数のトラクションインバータを含んで、トラクションモータのたに、直流(DC)を交流(AC)に変換してもよい。追加的に、いくつかの動力供給されるシステムは、共通バスに接続された、複数の補助ロードインバータを有してもよい。車両推進システムの動作中は、インバータは、共通のスイッチング周波数で駆動される。追加的に、インバータは、共通バスに沿って、二乗平均平方根(RMS)電流を送達する。DCリンク・フィルタ・キャパシタは、共通バスに導電的に連結される。DCリンク・フィルタ・キャパシタのサイズおよび/またはコストは、共通バスに沿って伝導されるRMS電流の量に基づいて選択される。
【0004】
代替的に、車両推進システムは、共通バスに接続された複数のトラクションコンバータを含んで、バッテリー駆動の電気モータまたは別のDCロードのために、ACをDCに変換する。車両推進システムの動作中は、コンバータは共通のスイッチング周波数で駆動され、そしてまた、共通バスに沿ってリップル電流を送達する。リップル電流または高調波歪は、結果として非効率性および浪費に帰着する。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、共通バスに接続された複数のコンバータを含み得るシステムが提供される。コンバータの各々は、コンバータの各々におけるスイッチを開状態と閉状態との間で、スイッチングサイクルにおいて、交互に切り替えることによって、交流(AC)を共通バスを通って直流(DC)に変換するように構成されてもよい。スイッチングサイクルは、スイッチング周波数とスイッチング位相とを有してもよい。システムはまた、共通バス上に伝導されるACを複数のコンバータに対して調節するように構成されるコントローラ回路を含んでもよく、その結果、複数のコンバータによって変換されたACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足する。コントローラ回路は、複数のコンバータの少なくとも1つを制御することによって、ACを調節するように構成されてもよい。
【0006】
別の例示的な実施形態では、共通バスに接続された複数のコンバータを含み得るシステムが提供される。コンバータの各々は、複数のコンバータの各々におけるスイッチを開状態と閉状態との間で、スイッチングサイクルにおいて、交互に切り替えることによって、ACを共通バスを通ってDCに変換するように構成されてもよい。スイッチングサイクルは、スイッチング周波数とスイッチング位相とを含んでもよい。システムはまた、共通バス上に伝導されるACを複数のコンバータに対して調節するように構成され得るコントローラ回路を含み、その結果、複数のコンバータによって変換され得るACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足する。加えて、コントローラ回路は、複数のコンバータの少なくとも1つを制御することによって、ACを調節するように構成されてもよい。システムはまた、コントローラ回路と複数のコンバータとに動作可能に連結されるように構成される、マスターコントローラを有してもよい。マスターコントローラは、複数のコンバータの1以上におけるスイッチングサイクルを変化させることによって、共通バス上に伝導されるリップル電流成分を低下させるように構成されてもよい。
【0007】
さらに別の例示的な実施形態では、共通バスに接続された複数のコンバータを含むシステムが提供され得る。複数のコンバータの各々は、複数のコンバータの各々におけるスイッチを開状態と閉状態との間で、スイッチングサイクルにおいて、交互に切り替えることによって、ACを共通バスを通ってDCに変換するように構成されてもよい。スイッチングサイクルは、スイッチング周波数とスイッチング位相とを有してもよい。システムはまた、共通バス上に伝導されるACを複数のコンバータに対して調節するように構成されるコントローラ回路を含んでもよく、その結果、複数のコンバータによって変換されたACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足してもよい。コントローラ回路は、複数のコンバータの少なくとも1つを制御することによって、ACを調節するように構成されてもよい。追加的に、コントローラ回路は、スイッチング位相に対して位相シフトを適用するために、複数のコンバータの少なくとも1つを制御することによって、ACのリップル電流成分を調節するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に説明される主題は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことで一層よく理解されるだろう。
図1】インバータ電流システムの実施形態を示す。
図2図1に示されるインバータの実施形態を示す。
図3】共通パルス幅変調シグナルによる、インバータのスイッチングサイクルR、Y、Bを示す。
図4図1に示されるインバータ電流システムのキャパシタにわたって伝導される電流の実施形態の画像例である。
図5図4に示されるキャパシタにわたって伝導される電流の増幅スペクトルの実施形態の画像例である。
図6図1に示されるインバータ電流システムのキャパシタにわたって伝導される、周波数がシフトされた電流の実施形態の画像例である。
図7図6に示されるキャパシタにわたって伝導される電流の増幅スペクトルの実施形態の画像例である。
図8】インバータシステムの電流を低下させる方法のフローチャートである。
図9】コンバータ電流システムの実施形態を示す。
図10】コンバータ電流システムのためのFFTスペクトル分析の画像例である。
図11】コンバータ電流システムのためのFFTスペクトル分析の画像例である。
図12】コンバータ電流システムのためのFFTスペクトル分析の画像例である。
図13】コンバータ電流システムのためのFFTスペクトル分析の画像例である。
図14】コンバータ電流システムのためのFFTスペクトル分析の画像例である。
図15】コンバータ電流システムのためのFFTスペクトル分析の画像例である。
図16A】車両システムのためのコンバータ配置の概略図である。
図16B】車両システムのためのコンバータ配置の概略図である。
図16C】車両システムのためのコンバータ配置の概略図である。
図16D】車両システムのためのコンバータ配置の概略図である。
図17】車両コンバータシステムのリップル電流を低下させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載される発明主題の1以上の実施形態は、共通バスに接続された複数のコンバータを含むシステムおよび方法を提供する。コンバータは、共通バスを通って伝導される交流(AC)を、DCのロードのための複数のDCバスに対して変換するように構成される。コントローラ回路は、複数のコンバータ間で、1サイクルごとに、異なるスイッチング周波数を適用し、同じスイッチング周波数で切り替わる複数のコンバータ間で、位相シフトを適用し、そして基本のAC側電圧印加において位相シフトを適用するように構成される。具体的には、コントローラ回路は、異なるコンバータ間で(スイッチングおよび位相の)これらのパラメータを調節し、従って、高調波電流のAC電源側二乗平均平方根(RMS)は、1以上の指定された基準を充足する。本明細書に記載される実施形態の少なくとも1つの技術的効果は、RMS電流成分またはリップル電流成分を低下させる。
【0010】
図1は、インバータ電流システム(100)の実施形態を示す。システム(100)は、回路(106)の複数のインバータ(104)(図1の「インバータ#1」、「インバータ#2」、「インバータ#3」、「インバータ#4」、「インバータ#5」、および「インバータ#6」)と動作可能に接続された、コントローラ回路(102)を含む。システム(100)は、車両の一部であってもよい。車両は、ルートに沿って車両を推進するために牽引力を生成する、推進力生成車両システムを表わしてもよい。一例では、車両は機関車などの鉄道車両であってもよいが、代替的に、別のタイプの車両システムであってもよい。例えば、車両は、別のタイプのオフハイウェー車両(例えば公道を走行するように指定および/または許可されていない車両)、あるいは、自動車、採掘用車両などであってもよい。追加的に、または代替的に、システム(100)は、電力ジェネレータなどの、固定システムを含んでもよく、あるいは固定システムであってもよい。
【0011】
コントローラ回路(102)は、本明細書に記載される通り、1以上の有線接続および/または無線接続を介してインバータ(104)と接続され、これにより、コントローラ回路(102)はインバータ(104)の動作をモニタリングおよび/または制御することができる。コントローラ回路(102)は、インバータ(104)のスイッチングサイクルを制御するように構成されてもよい。スイッチングサイクルは、コントローラ回路(102)によって生成された、一連のPWMシグナルによって定義されてもよい。PWMシグナルは、インバータ(104)内のスイッチを調節する矩形波などのデジタルシグナルであってもよい。PWMシグナルは、コントローラ回路(102)から、対応するインバータ(104)への有線接続および/または無線接続に沿って、受け取られてもよい。随意に、PWMシグナルは、非同期シグナルであってもよい。コントローラ回路(102)は、本明細書に記載される動作を実行する1以上のプロセッサ(例えばマイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、および/または集積回路)を含む、および/またはそれらと接続されている、ハードウェア回路を含む。回路(106)は、電源(110)を共通バス(112)、(114)に沿ってインバータ(104)と接続する、1以上のハードウェア回路を表わす。電源(110)は、エンジン、1以上のバッテリーなどと連結されたオルタネータおよび/またはジェネレータなどのインバータ(104)に、共通バス(112)、(114)に沿って電流を提供することができる、1以上のデバイスを表わすことができる。共通バスは、電源からインバータ(104)にDCの正の成分を伝導することができる正極バス(112)と、電源(110)とインバータ(104)間(between the power source (110)with the inverters (104))のDCの負の成分を伝導することができる負極バス(114)とを含んでもよい。バス(112)、(114)は、複数のインバータ(104)が同じ正のDCバス(112)と同じ負のDCのバス(114)によって電源(110)と接続されているために、共通バスと呼ばれてもよい。一実施形態では、バス(112)、(114)の各々は、互いに並列にバスに接続されたインバータを備えた、単一の電導体または電導経路、あるいは複数の電導体または電導経路であり得る。
【0012】
回路(106)は、電源(110)からインバータ(104)にDCを伝導し、当該インバータ(104)はDCを交流(AC)に変換し、当該交流(AC)は複数のロード(116)(図1の「ロード#1」、「ロード#2」、「ロード#3」、「ロード#4」、「ロード#5」、「ロード#6」)に供給される。ロード(116)は、インバータ(104)から受け取られたACを使用して仕事を実行する、様々なデバイスを表わすことができる。例えば、ロード(116)は、トラクションモータ、ファンモータ、(例えばブロア)、冷却システム、暖房システム、コンプレッサなどを表わしてもよい。図1に示される(104)および/またはロード(116)の数は、1例として提供されている。随意に、わずか2のインバータまたは6を超えるインバータが使用されてもよい。例えば、システム(100)は、14のインバータ(104)および/または14のロード(116)を含んでいてもよい。
【0013】
コントローラ回路(102)および電源(110)は、1以上の有線接続および/または無線接続によって、通信可能に連結されてもよい。コントローラ回路(102)は、電源(110)への入力および/または電源(110)からの出力に基づいて、電源(110)の動作をモニタリングしてもよい。例えば、コントローラ回路(102)は、モータ(例えばロード)の入力スロットル設定に基づくロード(116)によって、要求される、電源(110)からの電流を決定してもよい。
【0014】
インバータ(104)の動作は、正および/または負のDCの共通バス(112)、(114)上で、リップル電圧またはリップル電流を作り出すか、あるいは誘起するかもしれない。キャパシタまたは他の静電容量素子(120)は、このリップル電圧またはリップル電流におけるばらつきを平滑化(例えば低下)させるために、正と負のDC共通バス(112)、(114)の間に接続されてもよい。例えば、キャパシタ(120)は、DCリンク・フィルタ・キャパシタであってもよい。回路(106)は、1を超えるキャパシタ(120)を含んでもよいことが留意され得る。
【0015】
随意に、システム(100)は、インバータ(104)の1以上の特性をモニタリングする、インバータセンサ(118)を含んでもよい。一実施形態では、インバータセンサ(118)は、電源(110)から共通バス(112)、(114)の1以上を介してインバータ(104)に伝導される電圧および/または電流を測定する、電圧計または電流計を含む。図1に示されるように、各インバータ(104)は、コントローラ回路(102)が各インバータ(104)の特性をモニタリングするように、インバータ(104)に接続されたインバータセンサ(118)を有してもよい。インバータセンサ(118)は、インバータ(104)に提供される電圧、および/またはインバータ(104)によって出力される電流および/または電圧を、測定するように構成される。例えば、インバータセンサ(118)は、正のDCバス(112)とインバータ(104)との間でインバータ(104)と連結されて、入力電圧または入力電流を測定してもよく、そして、1以上の追加的インバータセンサ(118)が、インバータ(104)とロードとの間でインバータ(104)と連結されて、インバータ(104)によって出力されるACを測定してもよい。
【0016】
図2は、図1に示されるインバータ(104)の実施形態を示す。インバータ(104)は、正と負のスイッチ(206)、(208)の、3つのセットまたは脚(200)、(202)、(204)を有する、2レベルのインバータであってもよい。スイッチ(206)、(208)の各脚(200)、(202)、(204)は、正と負のDCバス(112)、(114)と接続しており、そして、正のDCバスに沿って受け取られたDCを、ロード(116)に伝導されるACの1つの位相に変換する。
【0017】
インバータ中のスイッチ(206)、(208)の3つのセットまたは脚(200)、(202)、(204)は、同じ正のDCバスに沿って受け取られたDCを、ロードに供給されるACの3つの異なる位相に変換する。インバータ(104)の各脚における正と負のスイッチ(206)、(208)は、スイッチングサイクル中に、閉状態と開状態との間で交互に切り替わってもよい。例えば、正(positing)と負のスイッチ(206)、(208)は、パルス幅変調(PWM)シグナルを利用するコントローラ回路(102)によって、制御(controller)されてもよい。例えば、PWMシグナルは、インバータ(104)の脚(200)、(202)、(204)の各々に対して、スイッチングサイクルを定義してもよい。スイッチングサイクルは、インバータ脚(200)、(202)、(204)中の正のスイッチ(206)が閉状態で、かつ同じインバータ脚(200)、(202)、(204)中の負のスイッチ(208)が開状態である期間と、インバータ脚(200)、(202)、(204)中の正のスイッチ(206)が開状態で、かつ同じインバータ脚(200)、(202)、(204)中の負のスイッチ(208)が閉状態である期間と、およびスイッチ(206)、(208)が開状態と閉状態との間を交互に切り替わる頻度(またはどれくらい迅速に切り替わるか)とを、定義する。周波数は、コントローラ回路(102)によって生成されたPWMシグナルの周波数に対応してもよい。
【0018】
例えば、各脚(200)、(202)、(204)について、第1の期間の間、正のスイッチ(206)が閉じ、同時に同じ脚(200)、(202)、(204)の負のスイッチ(208)が開いて、ACの電圧の正の成分をロードに伝導してもよい。異なる第2の期間の間、脚(200)、(202)、(204)の正のスイッチ(206)が開き、同時に脚(200)、(202)、(204)の負のスイッチ(208)が閉じて、ACの電圧の負の成分をロード(116)に伝導してもよい。インバータ(104)の各脚(200)、(202)、(204)の正と負のスイッチ(206)、(208)は、PWMシグナルのスイッチング周波数で、開位置と閉位置との間をそれぞれ交互に切り替わって、DCをACに変換させてもよい。
【0019】
図1に示される通り)同じ正と負のDCバス(112)、(114)に接続された複数のインバータ(104)のスイッチング周波数の共通性(これはコントローラ回路(102)によって生成されたPWMシグナルに基づく)は、キャパシタ(120)によって受け取られたRMS電流を増加させる。追加的に、複数のインバータ(104)の位相の共通性は、図1に示されるシステム(100)の回路(106)中でリップル電圧またはリップル電流を作り出すことがあり、これは、代理人整理番号313402を有し、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる「RIPPLE CURRENT REDUCTION SYSTEM」と題された米国特許出願に説明される通りである。
【0020】
図3は、共通のPWMシグナルによる、インバータ(104)のスイッチングサイクルR、Y、Bを示す。各インバータ(104)(図3の「インバータ1」、「インバータ2」、「インバータ3」、「インバータ4」、「インバータ5」、「インバータ6」)について、スイッチングサイクルR、Y、Bは、(図2に示される)インバータ(104)の脚(200)、(202)、(204)の各々に対して示される。スイッチングサイクルRは、インバータ(104)の第1の脚(200)の(図2に示される)正と負のスイッチ(206)、(208)が閉状態と開状態との間を交互に切り替わる速度を表わすことができ、スイッチングサイクルYは、インバータ(104)の第2の脚(202)の正と負のスイッチ(206)、(208)が閉状態と開状態との間を交互に切り替わる速度を表わすことができ、そして、スイッチングサイクルBは、インバータ(104)の第3の脚(204)の正と負のスイッチが開状態と閉状態との間を交互に切り替わる速度を表わすことができる。インバータのスイッチングサイクルは、スイッチングサイクルの時間(例えばミリ秒)を表す水平軸(300)と共に示される。図3に示されるように、スイッチングサイクルは、インバータ(104)の各々の対応する脚(200)、(202)、(204)に対して同じである。これにより結果として、異なるインバータ(104)の同じ脚(200)、(202)、(204)に対するスイッチングサイクルが、同じ周波数で変化することになる。
【0021】
図4は、システム(100)のキャパシタ(120)にわたって伝導される電流(402)の実施形態の画像例(400)である。図4に示される電流(402)は、電流の時間を(例えば秒の単位で)表す水平軸(404)と、電流(402)の大きさをアンペアの単位で表す垂直軸(406)と共に示される。PWMシグナルの共通の周波数は、結果として、共通バス(112)、(114)に沿い、かつキャパシタ(120)にわたって伝導される、電流(402)として示される総電流をもたらす。例えば、コントローラ回路(102)によって生成されたPWMシグナルの共通の周波数は、540ヘルツであってもよく、その結果、キャパシタ(120)にわたるおよそ1080ヘルツの周波数となる。
【0022】
図5は、図1に示されるシステム(100)のキャパシタ(120)にわたって電導される電流(502)の増幅スペクトルの画像例(500)である。図5に示される電流は、電流の周波数を(例えばヘルツの単位で)表す水平軸(504)と、電流のRMS値などの、電流の大きさをアンペアの単位で表す垂直軸(506)と共に示される。電流(502)は、インバータ(104)のスイッチング周波数の期間中、正と負のDCバス(112)、(114)上で伝導されるリップル電流を含んでいるかもしれず、同様である(are the same)。例えば、図5に示される電流は、インバータ(104)に対してコントローラ回路(102)によって生成されたPWMシグナルの周波数が図3に示される通りである時に、作り出されるかもしれない。
【0023】
図5の図例では、電流は、インバータ(104)のPWMシグナルの周波数に基づいて生成される。インバータ(104)が共通のスイッチング周波数で動作するため、キャパシタ(120)にわたる電流の追加的ピーク(510)が生成されるかもしれない。ピーク(510)は、正と負のDCバス(112)、(114)に沿って伝導されるリップル電流を表わしてもよい。ピーク(510)は、水平軸(504)に沿って、スイッチング周波数の偶数倍(例えばスイッチング周波数の2倍、スイッチング周波数の4倍、スイッチング周波数の6倍など)で、またはその近くで、生じてもよい。ピーク(508)は、1080ヘルツで示され、キャパシタ(120)にわたる電流のピーク周波数を示している。ピーク(508)は、PWM周波数に対応するインバータ(104)のスイッチングサイクルの周波数に基づいてもよい。電流(502)のピーク(508)、(510)の合計RMSは、図5に示される通り、284アンペアを上回る。合計RMSに基づいて、キャパシタ(120)のサイズおよび/またはコストが決定されてもよい。
【0024】
RMS電流を低下させるために、コントローラ回路(102)が、周波数シフトを、1以上のインバータ(104)のそれぞれのスイッチングサイクルに対して適用するように構成されてもよい。インバータ間のスイッチングサイクルのシフトは、キャパシタ(120)にわたるRMS電流を低下させる。
【0025】
図6は、システム(100)のキャパシタ(120)にわたって伝導される周波数がシフトされた電流(602)の実施形態の画像例(600)である。図6に示される電流(602)は、電流の時間を(例えば秒の単位で)表す水平軸(604)と、電流(402)の大きさをアンペアの単位で表す垂直軸(606)と共に示される。電流(602)は、インバータ(104)の各々に対してPWM周波数を調節するコントローラ回路(102)に基づく。例えば、コントローラ回路(102)は、インバータ(104)の各々に対するPWM周波数を、所定の量で調節してもよい。所定の量は、インバータ(104)の数、インバータ(104)の位相の数(例えば3)などに基づいて、ヘルツによる一連の数字(例えば、5、10、15、少なくとも10など)、パーセント(例えば、2%、3%、5%、少なくとも2%など)であってもよい。例えば、コントローラ回路(102)は、525ヘルツ、535ヘルツ、545ヘルツ、555ヘルツ、565ヘルツ、および575ヘルツなどの、インバータ(104)の各々に対して異なるPWM周波数を生成するように構成されてもよい。
【0026】
追加的に、または代替的に、コントローラ回路(102)は、2以上のインバータ(104)などのインバータ(104)に送達されるPWM周波数の一部のみを調節してもよい。例えば、コントローラ回路(102)は、少なくとも第1のインバータ(104)が540ヘルツの周波数を有するように、また、少なくとも第2のインバータ(104)が546ヘルツの周波数を有するように、調節してもよい。随意に、少なくとも2つのインバータ(104)は、周波数シフト後に同じ周波数を有してもよい。例えば、インバータ(104)の3つが540ヘルツの周波数を有していてもよく、そして、残りのインバータ(104)が546ヘルツの周波数を有する。随意に、周波数間の差異は、3の倍数(例えば6ヘルツ)に基づいてもよく、および/または インバータ(104)の位相に数に基いてもよい。例えば、インバータ(104)は3つの異なる位相に基づいてもよく、コントローラ回路(102)は、インバータ(104)のスイッチングサイクルの第1の周波数と第2の周波数とを、3の倍数に基づいて設定してもよい。
【0027】
図7は、キャパシタ(120)にわたって伝導される電流(702)の増幅スペクトルの実施形態の画像例(700)である。図7に示される電流(702)は、電流の周波数を(例えばヘルツの単位で)表す水平軸(704)と、電流の二乗平均平方根(RMS)値などの電流の大きさをアンペアの単位で表す垂直軸(706)と共に示される。電流(702)は、インバータ(104)のスイッチング周波数の期間中、正と負のDCバス(112)、(114)上で伝導されるリップル電流を含んでいるかもしれない。ピーク(710)、(712)は、正と負のDCバス(112)、(114)に沿って伝導されるリップル電流を表わしてもよい。ピーク(710)、(712)は、スイッチング周波数の偶数倍(例えばスイッチング周波数の2倍、スイッチング周波数の4倍、スイッチング周波数の6倍など)で、またはその近くで、水平軸(704)に沿って生じてもよい。
【0028】
画像例(700)に示される通り、電流(702)は、キャパシタ(120)にわたる電流のピーク(508)周波数を含んでいない。むしろ、コントローラ回路(102)によるPWM周波数の周波数シフトは、共通バス(112)、(114)に沿った高調波電流スペクトルの広がりに対応する。例えば、複数のピーク(708)は1080ヘルツの近くで示されるが、複数のピーク(708)の各々は、水平軸(704)に沿った異なる周波数で示される。図5に示されるピーク(508)との比較では、複数のピーク(708)は、異なる周波数ピークにおける高調波電流スペクトルの広がりを表わす。複数のピーク(708)は、周波数シフトに基づく、インバータ(104)のピーク周波数を表わしてもよい。例えば、複数のピーク(708)のピークの各々は、インバータ(104)の1つに対応してもよい。複数のピーク(708)は、インバータ(104)によって受け取られたPWM周波数に基づいて、1050ヘルツ、1070ヘルツ、1090ヘルツ、1110ヘルツ、1130ヘルツ、および1150ヘルツに対応してもよい。
【0029】
複数のピーク(708)の電流(702)が、図5に示されるピーク(508)に比べてより低いことが留意され得る。例えば、電流(702)の合計RMSは、およそ177アンペアである。周波数シフトに基づいて、電流(702)のRMSは、電流(502)のRMSに比べてより低く、それによって、キャパシタ(120)のサイズおよび/またはコストの低下が可能になる。
【0030】
図8は、インバータ電流システム(100)の電流を低下させる方法(800)のフローチャートを示す。方法(800)は、例えば、本明細書で議論される様々な実施形態(例えばシステムおよび/または方法)の構造または態様を利用してもよい。様々な実施形態で、特定の工程(または動作)が省略されるか、または追加されてもよく、特定の工程が組み合わされてもよく、特定の工程が同時に実行されてもよく、特定の工程が並列的に実行されてもよく、特定の工程が複数の工程に分割されてもよく、特定の工程が異なる順序で実行されてもよく、あるいは特定の工程または一連の工程が反復的に再実行されてもよい。様々な実施形態で、方法(800)のポーション、態様、および/または変化形は、ハードウェアに対して本明細書に記載される1以上の動作を実行するように指示するための、1以上のアルゴリズムとして使用されてもよい。他の方法が、本明細書の実施形態に従って使用されてもよいことが、留意されるべきである。
【0031】
(802)で、コントローラ回路(102)は、共通バス(112)、(114)と少なくとも1つのキャパシタ(120)とに接続された、インバータ(104)の数を決定するように構成されてもよい。インバータ(104)は、インバータ(104)の異なるスイッチ(206)、(208)を、インバータ(104)の各々に対するそれぞれのスイッチングサイクルで、開状態と閉状態との間で交互に切り替えることによって、DCを、共通バス(112)、(114)を通ってACに変換するように構成される。インバータ(104)の数は、コントローラ回路(102)に動作可能に連結されたメモリ(例えばフラッシュメモリ、RAM、ROM、EEPROMなどの、有形の、非一時的コンピュータ可読媒体)に保存されてもよい。追加的に、または代替的に、コントローラ回路(102)は、インバータ(104)に送達されるPWMシグナルの数に基づいて、システム(100)のインバータ(104)の数を決定してもよい。
【0032】
(804)で、コントローラ回路(102)は、1以上のインバータ(104)のスイッチングサイクルへの周波数シフトを決定するように構成されてもよい。周波数シフトは、インバータ(104)の数に基づいて決定されてもよい。例えば、コントローラ回路(102)は、インバータ(104)の数に基づいて周波数の数を決定してもよい。コントローラ回路(102)は、図1に示される通り、インバータ(104)の数を6であると決定してもよい。例えば、コントローラ回路(102)は、インバータ(104)を、等しい数のインバータ(104)を有するポーションにグループ化してもよい。コントローラ回路(102)は、インバータ(104)を、各々が異なる周波数を有する2つのグループにグループ化してもよい。別の実施例では、コントローラ回路(102)は、インバータ(104)を、3つのグループにグループ化してもよい。コントローラ回路(102)は、PWMシグナルの各々を、3つのグループに対して異なる周波数を有するように、調節してもよい。別の例では、コントローラ回路(102)は、PWMシグナルの各々に異なる周波数を持たせてもよい。PWMシグナルは、インバータ(104)に対するそれぞれのスイッチングサイクルを表わしてもよい。
【0033】
グループおよび/またはインバータ(104)に割り当てられた異なる周波数が、所定の量に基づいて変化し得ることが、留意され得る。所定の量は、メモリに保存されてもよい。所定の量は、インバータ(104)の数、インバータ(104)の位相の数(例えば3)などに基づいて、ヘルツによる一連の数字(例えば、5、10、15、少なくとも10など)、パーセント(例えば、2%、3%、5%、少なくとも2%など)であってもよい。
【0034】
(808)で、コントローラ回路(102)は、共通バス(112)、(114)上に伝導されるRMS電流を、周波数シフトに基づいて低下させるように構成されてもよい。図7に関して、周波数シフトは、共通バス(112)、(114)に沿った高調波電流スペクトルの広がりに対応してもよい。例えば、複数のピーク(708)は、コントローラ回路(102)によって、インバータ(104)に送達されるPWMシグナルの異なる周波数に基づいてもよい。例えば、ピーク(708)の各々は、PWMシグナルの周波数で、インバータ(104)の1つに相当してもよい。周波数シフトに基づいて、キャパシタ(120)にわたるRMS電流が低下される。
【0035】
図5に関して、コントローラ回路(102)は、PWMシグナルの共通の周波数を、インバータ(104)の各々に送達してもよい。共通の周波数に基づいて、キャパシタ(120)にわたるRMS電流は、およそ284アンペアである。
【0036】
図7に関して、少なくとも2つのインバータ(104)のPWMシグナルの周波数を調節することによって、RMS電流は、キャパシタ(120)にわたって、図5に示されるRMS電流に対して低下される。
【0037】
(810)で、コントローラ回路(102)は、少なくとも1つのキャパシタ(120)にわたってRMS電流を測定するように構成されてもよい。例えば、コントローラ回路(102)は、図1の(122)で、共通バス(112)、(114)に導電的に連結されてもよい。随意に、(122)は、電圧センサおよび/または電流センサであってもよい。追加的に、または代替的に、コントローラ回路(102)は、(122)で連結されているアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)および/またはアナログ・フロント・エンドを含んでもよく、それらが、共通バス(112)、(114)の電圧および/または電流を測定する。コントローラ回路(102)は、(122)で、キャパシタ(120)における共通バス(112)、(114)にわたる電流を測定するように構成されてもよい。メモリに保存されたキャパシタ(120)の電気的特性(例えば静電容量)に基づいて、コントローラ回路(102)は、キャパシタ(120)にわたるRMS電流を決定してもよい。
【0038】
(812)で、コントローラ回路(102)は、RMS電流が閾値を上回っていることを決定するように構成されてもよい。例えば、閾値は、メモリに保存された所定の0以外の閾値であってもよい。閾値は、キャパシタ(120)とRMS電流の電気的特性に基づいてもよく、そして、キャパシタ(120)は、システム(100)内で処理を行うように構成および/または指定されてもよい。例えば、キャパシタ(120)は、システム(100)内の電流の量を処理するように製造されてもよい。電流がキャパシタの指定電流を上回る場合、キャパシタ(120)は、損傷を受けるかもしれず、および/または欠陥を生じるかもしれない。閾値は、キャパシタ(120)に対して指定されたRMS電流であってもよく、および/または、指定量未満のRMS電流であってもよい。
【0039】
RMS電流が閾値を上回る場合、(814)で、コントローラ回路(102)は、周波数シフトを調節するように構成されてもよい。コントローラ回路(102)は、インバータ(104)のスイッチングサイクルに対して異なる周波数のPWMシグナルを有するインバータ(104)の数を、増加させるように構成されてもよい。ある実施形態では、コントローラ回路(102)は、インバータ(104)の2つの異なるグループに対応する、2つの異なる周波数のPWMシグナルを有してもよい。例えば、コントローラ回路(102)は、インバータ(104)を、第1の周波数のPWMシグナルを有する第1のグループ(例えば、図1に示される「インバータ#1」、「インバータ#2」、「インバータ#3」)と、第2の周波数(例えば第1の周波数からの差異)を有する第2のグループ(図1に示される「インバータ#4」、「インバータ#5」、および「インバータ#6」)とにグループ化した。閾値を上回るRMS電流に基づいて、コントローラ回路(102)は、インバータ(104)を、異なる周波数のPWMシグナルを各々有する3つの異なるグループにグループ化してもよい。例えば、コントローラ回路(102)は、インバータ(104)を、第1の周波数のPWMシグナルを有する第1のグループ(例えば、図1に示される「インバータ#1」と「インバータ#2」)と、(例えば第1の周波数から異なる)第2の周波数を有する第2のグループ(例えば、「インバータ#3」と「インバータ#4」)と、(例えば、第1の周波数と第2の周波数とは異なる)第3の周波数を有する第3のグループ(例えば、「インバータ#5」と「インバータ#6」)とにグループ化する。追加的に、または代替的に、コントローラ回路(102)は、インバータ(104)に送達される各PWMシグナルに対して、異なる周波数を割り当ててもよい。
【0040】
図9は、交流システム(900)を示す。一例では、電流システムは、回路(906)の、複数のコンバータ(904)(「コンバータ#1」、「コンバータ#2」、および「コンバータ#3」)と動作可能に接続された、または連結された、コントローラ回路(902)を含む。一例では、マスターコントローラ(908)は、コントローラ回路(902)と回路(906)とに動作可能に連結されて、コントローラ回路(902)、コンバータ(904)、および回路(906)をモニタリングし、そして、コントローラ回路(902)と回路(906)とを、システム(900)と図17の方法とに関して本明細書に記載されている通りに、動作させる。マスターコントローラ(908)は、コンピューティングデバイス、マイクロコントローラ、1以上のプロセッサ、ハードウェア、プログラムなどであってもよく、あるいはそれらを含んでもよく、また、車両に搭載されていてもよく、車両から遠隔にあるなどでもよい。
【0041】
システム(900)は、車両の一部であってもよい。車両は、ルートに沿って車両を推進するために牽引力を生成する、推進力生成車両システムを表わしてもよい。一例では、車両は機関車などの鉄道車両であってもよいが、代替的に別のタイプの車両システムであってもよい。例えば、車両は、別のタイプのオフハイウェー車両(例えば公道を走行するように指定および/または許可されていない車両)、あるいは、自動車、採掘用車両などであってもよい。追加的に、または代替的に、システム(900)は、電力ジェネレータなどの、固定システムを含んでもよい。
【0042】
コントローラ回路(902)は、本明細書に記載されている通り、1以上の有線接続および/または無線接続を介してコンバータ(904)と接続されて、コントローラ回路(902)がコンバータ(904)の動作をモニタリンすることおよび/または制御することを可能にしてもよい。コントローラ回路(902)は、コンバータ(904)のスイッチングサイクルを制御するように構成されてもよい。スイッチングサイクルは、コントローラ回路(902)によって生成された、一連のPWMシグナルによって定義されてもよい。PWMシグナルは、インバータ(904)内のスイッチを調節する矩形波などのデジタルシグナルであってもよい。PWMシグナルは、対応するコンバータ(904)への有線接続および/または無線接続に沿って、コントローラ回路(902)から受け取られてもよい。随意に、PWMシグナルは、非同期シグナルであってもよい。コントローラ回路(902)は、本明細書に記載される動作を実行する1以上のプロセッサ(例えばマイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、および/または集積回路)を含む、および/またはそれらと接続されている、ハードウェア回路を含む。
【0043】
回路(906)は、電源(910)を共通バス(912)、(914)に沿ってコンバータ(904)に接続する、1以上のハードウェア回路を表わす。電源(910)は、共通バス(912)、(914)に沿ってコンバータ(904)に電流を提供することができる、1以上のデバイスを表わすことができる。一例では、電源(910)は交流(AC)を提供する。特に、電源は変圧器であってもよい。具体的には、一例では、電源は、車両に非搭載の、商用電源であってもよい。複数のコンバータ(904)が同じACバス(912)と同じACバス(914)とによって、電源(910)と接続されているので、バス(914)、(914)は、共通バスと呼ばれてもよい。一実施形態では、バス(912)、(914)の各々は、互いに並列にバスに接続されたコンバータを備えた、単一の電導体または電導経路、あるいは複数の電導体または電導経路であり得る。
【0044】
回路(906)は、ACを、電源(910)からコンバータ(904)に伝導し、当該コンバータ(904)はACを直流(DC)に変換し、当該直流(DC)は、複数のロード(916)(図9の「ロード#1」、「ロード#2」、および「ロード#3」)に供給される。ロード(916)は、コンバータ(904)から受け取られたDCを使用して仕事を実行する、様々なデバイスを表わすことができる。例えば、ロード(916)は、車輪、ブロア、冷却システム、暖房システムなどに動力供給するバッテリー、ソーラーコンバータ、他のDCのロードなどを表わしてもよい。図9に示されるコンバータ(904)および/またはロード(916)の数は、一例として提供されている。随意に、わずか2つのコンバータまたは10を超えるコンバータが使用されてもよい。例えば、システム(900)は、20のコンバータ(904)および/または20のロード(916)を含んでもよい。
【0045】
コントローラ回路(902)と電源(910)とは、1以上の有線接続および/または無線接続によって、通信可能に連結されてもよい。コントローラ回路(902)は、電源(910)への入力および/または電源(910)からの出力に基づいて、電源(910)の動作をモニタリングしてもよい。例えば、コントローラ回路(902)は、各DCのロード(916)に基づくロード(916)によって、要求される、電源(910)からの電流を決定してもよい。
【0046】
電流システム(900)は、可逆的である。特に、追加的電流が車両の他の位置で必要になった場合、DCのロードは、電源(910)に対して、第1のAC共通バス(912)と第2のAC共通バス(914)とを介して、電流を提供してもよい。一例では、DCのロードはバッテリーであり、そして、DCがバッテリーから少なくとも1つのコンバータ(904)に供給されてもよい。その後、少なくとも1つのコンバータ(904)は、DCを、電源(910)に供給されるためのACに変換する。このように、追加的電流が車両システムの他のアプリケーションに対して望ましい時、DCのロードが、この追加的電流を提供してもよい。
【0047】
コンバータ(904)の動作は、ACの共通バス(912)、(914)上で、リップル電圧またはリップル電流を作り出すか、または誘起するかもしれない。キャパシタまたは他の静電容量素子(920)が、AC共通バス(912)、(914)に連結されて、このリップル電圧またはリップル電流のばらつきを平滑化(例えば低下)させてもよい。回路(906)は、1を超えるキャパシタ(920)を含んでもよいことが留意され得る。
【0048】
随意に、システム(900)は、コンバータ(904)の1以上の特性をモニタリングする、コンバータセンサ(918)を含んでもよい。一実施形態では、コンバータセンサ(918)は、電圧計または電流計を含み、それらは、電源(910)から共通バス(912)、(914)の1以上を介してコンバータ(904)に伝導される、電圧および/または電流を測定する。図9に示される通り、各コンバータ(904)は、コントローラ回路(902)に対するコンバータ(904)に接続されたコンバータセンサ(918)を有して、各コンバータ(904)の特性をモニタリングしてもよい。コンバータセンサ(918)は、コンバータ(904)に提供される電圧、および/またはコンバータ(904)によって出力される電流および/または電圧を、測定するように構成される。例えば、コンバータセンサ(918)は、正のACバス(912)とコンバータ(904)との間のコンバータ(904)と連結されて、入力電圧または入力電流を測定してもよく、そして、1以上の追加的コンバータセンサ(918)は、コンバータ(904)とDCのロードとの間のコンバータ(904)と連結されて、コンバータ(904)によって出力されるDCを測定してもよい。
【0049】
コントローラ回路(902)は、複数のコンバータ(904)の使用の結果として生じるリップル電流成分を低下させるように構成される。一例では、リップル電流成分を低下させるために、コントローラ回路(902)は、複数のコンバータ間で1サイクルごとに異なるスイッチング周波数を適用するように構成される。随意に、スイッチングサイクルへの周波数シフトは、基本の電流成分周波数の倍数であってもよい。別の実施例では、リップル電流を低下させるために、コントローラ回路(902)は、同じスイッチング周波数で切り替わる複数のコンバータ間で位相シフトを適用するように構成される。位相シフトは、1以上の要因に左右され、例えば、コンバータの配置、コンバータの数、低下されるべき対象の高調波周波数(Hz)、低下されるべき高調波電流の二乗平均平方根値(例えば、低下位相シフトとなる高調波電流を作ること、異なるコンバータに対して使用されるフィルタ成分(キャパシタまたはインダクタ)の値(例えば、スイッチングサイクルの角度について、4つのインバータに対して90°、2つのインバータに対して180°の、低下位相シフトとなる高調波電流を作ることであり、ここで、1スイッチングサイクルの角度は360°である)などに左右される。位相シフトは、同様に45°、60°などであってもよい。さらに別の例では、リップル電流を低下させために、コントローラ回路(902)は、基本のAC側電圧印加において位相シフトを適用するように構成される。各例では、コントローラ回路(902)は、リップル電流成分を低下させるように機能し、電流システム(900)の機能性を改善する。コントローラ回路(902)はまた、複数のコンバータから共通バス上に伝導されるリップル電流成分を予測し、そして、共通バス上に伝導されるリップル電流成分を、複数のコンバータの少なくとも1つのコンバータのスイッチングサイクルの位相または周波数を変化させることによって、予測通りに、捕捉されたリップル電流成分と比較して低下させるように、構成される。具体的には、コントローラ回路(902)は、コンバータセンサ(918)を使用してリップル電流成分を予測してもよく、そして、リップル電流成分が生じるのを待ち、そしてその後に調節を行う代わりに、予測に基づきそれに従ってスイッチングサイクルの位相または周波数を調節してもよい。ここに記載されるリップル電流は、すべての高調波のRMSであり得る。例えば、60HzのACシステムでは、リップル電流RMSは、0から無限大の周波数を含んでもよい。代替的に、選択周波数のみが、RMS計算に含まれてもよい(例、5次と7次の高調波)。別の実施形態は、選択された高調波の加重RMS電流(例(k8i8^2+k10i10^2)の二乗平方根(sqrt(k8i8^2+k10i10^2))のみを含んでもよい。
【0050】
図10図15は、図9のシステム(900)に関する高速フーリエ変換(FFT)のグラフを示す。具体的には、全高調波歪は、入力正弦波の高調波周波数での総エネルギーを測定し、そのような総エネルギーの各々を二乗し、これらの二乗を加算し、そしてその合計の平方根を求めることによって計算されてもよい。その合計の平方根は、二乗平均平方根と呼ばれてもよい。結果的にそのような高調波周波数となる電流または電圧の成分は、リップル電流またはリップル電圧と呼ばれる。具体的には、AC電流については、電流は、基本の電流成分とリップル電流成分とを含み、ここで、リップル電流成分は、全高調波歪によって表わされてもよい。リップル電流成分は望まれず、そして、図10図15のグラフは、コンバータを通る電流の伝導が、どのように結果的に全高調波歪をもたらすか、そして、全高調波歪を低下させるために、コントローラ回路(902)がどのように図9のシステム(900)に実装され得るかを示す。例として、各グラフについて、スペクトル解析が、.725の変調指数、720Hzのスイッチング周波数、および60Hzの基本周波数成分で、ソース電流スペクトルに対して実施された。しかし、スイッチング周波数と基本周波数とは、任意の値であり得る。
【0051】
図10は、システム(900)の単一のコンバータのみが動作している時の、ソース電流スペクトルを示す。具体的には、1つのアクティブ整流器のみが動作している。この点では、コントローラ回路(902)は利用されていない。グラフは、X軸(1002)を周波数に関してヘルツで提供し、Y軸(1004)は大きさを表わしている。グラフ上の各1つ1つの点(1006)は、高調波電流を表わし、X軸は高調波が発生する周波数を表わし、そしてY軸は高調波の大きさまたは振幅を表わす。全高調波歪に到達するために、上に記載される通り、各ポイント(1006)の大きさは二乗され、それらの二乗は合計され、その後その合計の平方根が決定される。この様にして、二乗平均平方根が提供される。例示の図では、1つのコンバータがアクティブ状態で、ソース電流の全高調波歪は、225.1Aの11.96%である。
【0052】
図11は、(900)のシステムの第1のコンバータと第2のコンバータとが動作している時の、ソーススペクトルを示す。ここでも、コントローラ回路は利用されていない(つまり、所与のコンバータ間の位相シフトまたは周波数シフトは無し)。第2のコンバータが追加されると、グラフから確認できる通り、ソース電流のTHDは270.6Aの19.87%に増加する。したがって、使用中のコンバータの数が増加すると、システムのTHDは同様に増加する。
【0053】
図12は、システム(900)の第1のコンバータと第2のコンバータとが動作している時の、ソーススペクトルを再び示す。このグラフは単に、コントローラ回路(902)がシステム(900)のTHDを低下させるために使用される時に何が生じるか示す。この例では、コントローラ回路(902)は、共通バス上に伝導されるACを複数のコンバータに対して調節するように構成され、その結果、複数のコンバータによって変換されたACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足する。この例では、指定された基準は、THDを270.6Aの19.87%未満になるように低下させることである。代替的に、指定された基準は、全高調波または要求歪(total harmonic or demand distortion)、全加重高調波(total weighted harmonic)、評価雑音電流(psophmetric current)、高調波などの少なくとも1つを含んでもよいが、これらに限定されない。THDを270.6Aの19.87%未満(less than 19.87% or 270.6A)になるように低下させるという指定された基準を遂行するために、コントローラ回路(902)は、第1のコンバータと第2のコンバータに対して異なるスイッチング周波数を提供する。その結果、THDは270.6Aの15.3%に低下される。従って、指定された基準は充足されている。
【0054】
図13は、システム(900)の第1のコンバータと第2のコンバータとが動作している時の、ソーススペクトルの別の例を示す。ここでも、コントローラ回路(902)は、システム(900)のTHDを低下させるために使用され、そして、コントローラ回路(902)は、共通バス上に伝導されるACを複数のコンバータに対して調節するように構成され、その結果、複数のコンバータによって変換されたACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足する。この例では、指定された基準は、また、THDを270.6Aの19.87%未満になるように低下させることである。それを遂行するために、コントローラ回路(902)は、第1のコンバータと第2のコンバータに対して、同じスイッチング周波数を提供するが、それらは90°の角度でシフトされている。その結果、THDは、270.6Aの13.97%に低下され、そしてここでも、指定された基準が充足されている。加えて、スイッチング周波数に関する改良も提供される。
【0055】
図14は、システム(900)の第1のコンバータと第2のコンバータとが動作している時の、ソーススペクトルのさらに別の例を示す。コントローラ回路(902)は、システム(900)のTHDを低下させるために使用され、そして、コントローラ回路(902)は、共通バス上に伝導されるACを複数のコンバータに対して調節するように構成され、その結果、複数のコンバータによって変換されたACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足する。この例では、指定された基準は、また、THDを270.6Aの10%未満になるように低下させることである。それを遂行するために、コントローラ回路(902)は、第1のコンバータと第2のコンバータに対して、同じスイッチング周波数を提供するが、それらは180°の角度でシフトされている。その結果、THDは270.6Aの2.11%に低下され、指定された基準は充足され、そして、結果的に図12図13のグラフをもたらす方法論と比較されてなお、THDの大幅な減少が遂行される。
【0056】
図15は、システム(900)の第1のコンバータと第2のコンバータとが動作している時の、ソーススペクトルのさらに別の例を示す。コントローラ回路(902)は、システム(900)のTHDを低下させるために使用され、そして、コントローラ回路(902)は、共通バス上に伝導されるACを複数のコンバータに対して調節するように構成され、その結果、複数のコンバータによって変換されたACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足する。この例では、指定された基準は、THDを300Aの19.87%未満になるように低下させることである。それを遂行するために、コントローラ回路(902)は、同位相の基本の電圧をシフトさせている。その結果、THDは、310.7Aの15.83%に低下され、そして、指定された基準が充足されている。従って、アンペアが増加されたとしても、THDパーセントは、コントローラ回路が使用されない時のTHDパーセントの量を下回ったままである。
【0057】
図16A図16Dは、システムのコンバータの異なる配置を示す。一例では、システムは、図9のシステム(900)である。特に、各図は、コンバータ(1602)がどのように配置され得るかを示す。具体的には、その配置に基づいて、異なるスイッチングサイクルのシフトが、THDを低下させるために提供されてもよい。例えば、図16Aについては、180°のシフトが提供されてもよく、一方で、図16Bについては、60°のシフトが提供されてもよく、図16Cについては90°のシフト、そして図16Dについては45°のシフトが提供されてもよい。そのため、THDを低下させるために使用されるシフトは、1以上の因子に基づいてもよく、例えば、コンバータの配置、コンバータの数、低下されるべき対象の高調波周波数(Hz)、低下されるべき高調波電流の二乗平均平方根値(例えば、低下位相シフトとなる高調波電流を作ること、異なるコンバータに対して使用されるフィルタ成分(キャパシタまたはインダクタ)の値、に基づいてもよい。
【0058】
図17は、システム(900)のリップル電流を低下させる方法(1700)のフローチャートを示す。方法(1700)は、例えば、本明細書で議論される様々な実施形態(例えばシステムおよび/または方法)の構造または態様を利用してもよい。様々な実施形態で、特定の工程(または動作)が省略されるか、または追加されてもよく、特定の工程が組み合わされてもよく、特定の工程が同時に実行されてもよく、特定の工程が並列的に実行されてもよく、特定の工程が複数の工程に分割されてもよく、特定の工程が異なる順序で実行されてもよく、あるいは特定の工程または一連の工程が反復的に再実行されてもよい。様々な実施形態で、方法(1700)のポーション、態様、および/または変化形は、ハードウェアに本明細書に記載される1以上の動作を実行するように指示するための、1以上のアルゴリズムとして使用されてもよい。他の方法が、本明細書の実施形態に従って使用されてもよいことが、留意されるべきである。
【0059】
(1702)で、システムの少なくとも第1のコンバータと第2のコンバータとが動作している。一例では、第1のコンバータと第2のコンバータとは、図9のシステム(900)の一部である。特に、AC共通バスにACを印加するAC電源を含むシステムが、2以上のDCのロードに電流を供給するために提供されてもよい。
【0060】
(1704)で、コントローラ回路は、RMS電流が閾値を上回っているか否かを決定するように構成されてもよい。一例では、コントローラ回路は、図9のシステム(900)のコントローラ回路(902)である。例えば、閾値は、メモリに保存された所定の0以外の閾値であってもよい。
【0061】
(1706)で、RMS電流が(1704)で閾値を下回っている場合、追加的アクションは講じられない。(1704)でRMSが閾値を上回っている場合、その後(1708)で、コントローラ回路は、AC共通バス(912)、(914)上に伝導されるRMS電流を低下させてもよい。第1の例では、コントローラ回路は、RMS電流を低下させるために、第1のコンバータと第2のコンバータのスイッチング周波数を変化させるように構成されてもよい。別の実施例では、コントローラ回路は、第1のコンバータと第2のコンバータとの間で、電流の位相をシフトするように構成されてもよい。そのシフトは、90°、180°などであってもよい。一実施形態における位相シフトの決定は、電流システム内の、コンバータの数および/またはコンバータの配置に依存してもよい。さらに別の例では、コントローラ回路は、基本の電圧の位相をシフトさせるように構成されてもよい。
【0062】
1以上の実施形態によれば、共通バスに接続された複数のコンバータを含み得るシステムが提供される。コンバータの各々は、コンバータの各々におけるスイッチを開状態と閉状態との間で、スイッチングサイクルにおいて、交互に切り替えることによって、交流(AC)を共通バスを通って複数のDCバスに対して変換するように構成される。スイッチングサイクルは、スイッチング周波数とスイッチング位相とを有してもよい。システムはまた、共通バス上に伝導されるACを複数のコンバータに対して調節するように構成されるコントローラ回路を含んでもよく、その結果、複数のコンバータによって変換されたACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足する。コントローラ回路は、複数のコンバータの少なくとも1つを制御することによって、ACを調節するように構成されてもよい。
【0063】
随意に、コントローラ回路は、1)複数のコンバータのスイッチング周波数が同じである時に、スイッチング位相への位相シフトを、2)周波数シフトを有する、複数のコンバータの少なくとも1つのスイッチングサイクルは、複数のコンバータの少なくとも1つの他のコンバータのスイッチングサイクルとは異なるような、複数のコンバータの少なくとも1つのスイッチングサイクルへの周波数シフトを、または、3)複数のコンバータへのAC電圧入力における位相シフトを、適用するために、複数のコンバータの少なくとも1つを制御することによって、ACのリップル電流成分を調節するように構成されてもよい。別の態様では、ACは、基本の電流成分とリップル電流成分とを含んでもよく、そして、コントローラ回路は、ACのリップル電流成分を調節するのみである。一例では、システムは、DCのロードを含み、それがDCを受け取ってもよい。一実施形態では、DCのロードは、バッテリーまたはソーラーコンバータの1つであってもよい。
【0064】
随意に、コントローラ回路は、第1のグループの複数のコンバータの1以上におけるスイッチングサイクルを第1のスイッチング周波数で動作させること、および、第2の、異なるグループの複数のコンバータの1以上におけるスイッチングサイクルを、異なる、第2のスイッチング周波数で動作させることによって、AC電流を調節するように構成されてもよい。別の実施例では、コントローラ回路は、複数のコンバータの1以上におけるスイッチングサイクルが位相シフトを有するように動作させることによって、AC電流を調節するように構成されてもよい。位相シフトは、1以上の要因に左右され、例えば、コンバータの配置、コンバータの数、低下されるべき対象の高調波周波数(Hz)、低下されるべき高調波電流の二乗平均平方根値(例えば、低下位相シフトとなる高調波電流を作ること、異なるコンバータに対して使用されるフィルタ成分(キャパシタまたはインダクタ)の値(例えば、スイッチングサイクルの角度について、4つのインバータに対して90°、2つのインバータに対して180°の、低下位相シフトとなる高調波電流を作ることであり、ここで、1スイッチングサイクルの角度は360°として考えられる)などに左右される。別の態様では、コントローラ回路は、周波数シフトを、複数のコンバータの少なくとも1つのコンバータのスイッチングサイクルに対して適用するように構成されてもよい。周波数シフトは、基本の電流成分周波数の倍数を含む、任意の数であり得る。別の態様では、共通バスは第1の共通バスであってもよく、そして、複数のコンバータは第2の共通バスに接続される。別の態様では、第1の共通バスは正極バスであってもよく、そして、第2の共通バスは負極バスであってもよい。一例では、指定された基準は、全高調波または要求歪、全加重高調波、評価雑音電流、または高調波の少なくとも1つを含んでもよい。一態様では、コントローラ回路はまた、複数のコンバータから共通バス上に伝導されるリップル電流成分を予測し、そして、共通バス上に伝導されるリップル電流成分を、複数のコンバータの少なくとも1つのコンバータのスイッチングサイクルの位相または周波数を変化させることによって、予測通りに、捕捉されたリップル電流成分と比較して低下させるように、構成される。別の態様では、コントローラ回路は、DCのロードからDCを伝導し、そして、変圧器への入力のために、DCをACに変換するように構成されてもよい。
【0065】
1以上の実施形態では、共通バスに接続された複数のコンバータを含み得るシステムが提供される。コンバータの各々は、複数のコンバータの各々におけるスイッチを開状態と閉状態との間で、スイッチングサイクルにおいて、交互に切り替えることによって、交流(AC)を共通バスを通って複数のDCバスに対して変換するように構成される。スイッチングサイクルは、スイッチング周波数とスイッチング位相とを含んでもよい。システムはまた、共通バス上に伝導されるACを複数のコンバータに対して調節するように構成され得るコントローラ回路を含み、その結果、複数のコンバータによって変換され得るACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足する。加えて、コントローラ回路は、複数のコンバータの少なくとも1つを制御することによって、ACを調節するように構成されてもよい。システムはまた、コントローラ回路と複数のコンバータとに動作可能に連結されるように構成される、マスターコントローラを有してもよい。マスターコントローラは、複数のコンバータの1以上におけるスイッチングサイクルの位相または周波数を変化させることによって、共通バス上に伝導されるリップル電流成分を低下させるように構成されてもよい。
【0066】
随意に、コントローラ回路は、1)複数のコンバータのスイッチング周波数が同じである時に、スイッチング位相への位相シフトを、2)周波数シフトを有する、複数のコンバータの少なくとも1つのコンバータのスイッチングサイクルは、複数のコンバータの少なくとも1つの他のスイッチングサイクルとは異なるような、複数のコンバータの少なくとも1つのコンバータのスイッチングサイクルへの周波数シフトを、または、3)複数のコンバータへのAC電圧入力における位相シフトを、適用するために、複数のコンバータの少なくとも1つにおけるスイッチングサイクルを変化させることによって、ACのリップル電流成分を調節するように構成されてもよい。
【0067】
一態様では、マスターコントローラは、共通バス上に伝導されるリップル電流成分を低下させるように、スイッチング位相への位相シフトを決定するように構成されてもよい。随意に、マスターコントローラは、共通バス上に伝導されるリップル電流成分を予測し、そして、予測されたリップル電流成分に基づいて、複数のコンバータの少なくとも1つのコンバータのスイッチングサイクルを変化させるように構成されてもよい。
【0068】
1以上の実施形態では、共通バスに接続された複数のコンバータを含むシステムが提供され得る。複数のコンバータの各々は、複数のコンバータの各々におけるスイッチを開状態と閉状態との間で、スイッチングサイクルにおいて、交互に切り替えることによって、交流(AC)を共通バスを通って複数のDCバスに対して変換するように構成されてもよい。スイッチングサイクルは、スイッチング周波数とスイッチング位相とを有してもよい。システムはまた、共通バス上に伝導されるACを複数のコンバータに対して調節するように構成されるコントローラ回路を含んでもよく、その結果、複数のコンバータによって変換されたACのリップル電流成分の二乗平均平方根は、1以上の指定された基準を充足してもよい。コントローラ回路は、複数のコンバータの少なくとも1つを制御することによって、ACを調節するように構成されてもよい。随意に、コントローラ回路は、スイッチング位相に対して位相シフトを適用するために、複数のコンバータの少なくとも1つを制御することによって、ACのリップル電流成分を調節するように構成されてもよい。
【0069】
随意に、システムはまた、DCのロードを含んでもよく、それがコントローラ回路からDCを受け取ってもよい。一態様では、DCのロードは、バッテリーまたはソーラーコンバータの1つであってもよい。別の態様では、位相シフトは、90°または180°の1つであってもよい。別の態様では、共通バスは、車両に非搭載の、商用電源からACを受け取るように構成され、そして、複数のDCのロードは、それぞれ、複数のコンバータからDCを受け取るように接続され、当該複数のDCのロードは、エネルギー貯蔵デバイスを含む。
【0070】
本発明主題の特定の実施形態に関する前述の説明は、添付の図面と併せて読むとより一層よく理解されるであろう。図が様々な実施形態の機能ブロックについての略図を示している範囲において、機能ブロックは必ずしも、ハードウェア回路間に区切りがあることを示すものではない。したがって、例えば、1つ以上の機能ブロック(例えば、プロセッサまたはメモリ)を、単一のハードウェア(例えば、汎用シグナルプロセッサ、マイクロコントローラ、ランダムアクセスメモリ、ハードディスク等)に実装できる。同様に、プログラムは、独立型プログラムであったり、オペレーティングシステムにサブルーチンとして組み込まれていたり、インストールされたソフトウェアパッケージの機能であることが可能である。様々な実施形態は、図面に示される配置および手段に限定されない。
【0071】
上の記述は説明的なものであり、限定的なものではない。例えば、上述の実施形態(および/またはその態様)は、相互に組み合わされて使用されてもよい。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明主題の教示に対して、特定の状況または素材を採用するために、多くの修正がなされ得る。本明細書に記述の素材の寸法および種類は、本発明主題のパラメータを定義するように意図されているが、それらは決して限定的でなく、典型的な実施形態である。上記の説明を見直せば、他の実施形態が当業者には明らかであるかもしない。したがって、本発明主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、特許請求の範囲が享受する等価物の全範囲とともに、決定されるべきである。
【0072】
添付の特許請求の範囲において、「含んでいる(including)」および「そこで(in which)」の用語は、それぞれ、「含んでいる(comprising)」および「そこで(wherein)」の平易な英語の同義語として使用される。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらのオブジェクトに数値的要件を課すことを意図しない。以下の特許請求の範囲の制限は、「手段プラス機能」の形式で書かれてはおらず、そのような請求項の範囲の限定が、明示的に「~のための手段(means for)」という句を使用してその後にさらなる構造が欠けている機能に関する説明が続かない限り、またはそれまでは、35U.S.C.§112(f)に基づいて解釈されることを意図していない。また、本明細書で使用される場合、単数で列挙され、「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語が前に置かれる要素または工程は、そうでない旨が明示的に述べられない限り、複数の当該要素または工程を除外しないと理解されるべきである。さらに、本発明主題の「1つの実施形態(one embodiment)」への言及は、同様に列挙されている特徴を含む、追加の実施形態の存在を排除すると解釈されることを意図していない。その上、そうでない旨が明示的に述べられていない限り、特定の特性を有する1つの要素または複数の要素を「含んでいる(comprising)」または「含んでいる(including)」または「有している(having)」実施形態は、当該特性を有さない追加的要素を含み得る。
【0073】
この書面による記述では、例を使用して本発明主題のいくつかの実施形態を開示し、また、当業者が本発明主題の実施形態を実践することを可能にし、任意のデバイスまたはシステムの作成と使用、および、包含される方法の実施を含む。本発明主題の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、そして当業者が想到する他の例を含むことができる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言語と実質的に異ならない差を伴う同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあると意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図17