(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】3次元物体を作製する設備
(51)【国際特許分類】
B22F 12/86 20210101AFI20230411BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20230411BHJP
B29C 64/25 20170101ALI20230411BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20230411BHJP
B29C 64/371 20170101ALI20230411BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230411BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230411BHJP
B29C 64/379 20170101ALI20230411BHJP
B22F 12/20 20210101ALI20230411BHJP
B22F 12/10 20210101ALI20230411BHJP
B22F 12/50 20210101ALI20230411BHJP
B22F 12/70 20210101ALI20230411BHJP
B22F 12/88 20210101ALI20230411BHJP
B22F 10/20 20210101ALI20230411BHJP
【FI】
B22F12/86
B29C64/153
B29C64/25
B29C64/268
B29C64/371
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/379
B22F12/20
B22F12/10
B22F12/50
B22F12/70
B22F12/88
B22F10/20
(21)【出願番号】P 2021156534
(22)【出願日】2021-09-27
(62)【分割の表示】P 2019129145の分割
【原出願日】2016-09-22
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】102015116282.2
(32)【優先日】2015-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツォーク・フランク
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン・フローリアーン
(72)【発明者】
【氏名】ツォイルナー・ファービアン
(72)【発明者】
【氏名】シュタムベルガー・イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ディラー・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘッツェル・ラルフ
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0183166(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0179602(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 12/86
B29C 64/153
B29C 64/25
B29C 64/268
B29C 64/371
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B29C 64/379
B22F 12/20
B22F 12/10
B22F 12/50
B22F 12/70
B22F 12/88
B22F 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加造形製造ラインは、
複数のケーシングユニットを備え、前記複数のケーシングユニットそれぞれの内部と一体のトンネル部につながる一以上の供給開口を、前記複数のケーシングユニットのそれぞれが備え、
前記複数のケーシングユニットは一以上の処理ステーションと一以上の取扱いステーションの少なくとも一方を備え、
前記複数のケーシングユニットのそれぞれは複数の追加のケーシングユニットの少なくとも一つに操作可能に連結されて複数の前記トンネル部のそれぞれはトンネル連鎖部の少なくとも部分を形成し、
前記トンネル連鎖部は少なくとも一つの走行路を備え、前記走行路は付加造形工程に関連して入れ替え可能なコンテナを輸送するために設けられ、
前記トンネル連鎖部は一以上の拡張領域を備え、前記一以上の拡張領域はそれぞれ一以上の入れ替え可能なコンテナを操作ステーション又はバイパスステーションに受け入れるとともに一以上の入れ替え可能な追加のコンテナを前記一以上の拡張領域を通過させて走行路に沿って移動させ、
前記一以上の拡張領域は、前記複数のケーシングユニットのそれぞれによって確定される前記トンネル連鎖部の少なくとも一つの走行路とは異なる領域に配置され、
前記複数のケーシングユニットの少なくとも1つは、前記複数のケーシングユニットの少なくとも1つに一体化された少なくとも1つの前記拡張領域を備え
、
前記拡張領域は、前記複数のケーシングユニットのそれぞれにおいて少なくとも一つ設けられる、付加造形製造ライン。
【請求項2】
付加造形処理は、
選択的レーザ融解又は選択的レーザ焼結によって目的物を付加造形し、
付加造形に使用した入れ替え可能なコンテナから目的物を取り出し、
入れ替え可能なコンテナを前記トンネル連鎖部に案内し又は前記トンネル連鎖部から移動させ、
入れ替え可能なコンテナをコンテナマガジンに配置し又は前記コンテナマガジンから移動させ、
造形材料を供給し又は余分の造形材料を除き、
サービス、クリーニング、又は 調量を一以上の前記処理ステーション又は一以上の前記取扱いステーションで実施する、請求項1に記載の付加造形製造ライン。
【請求項3】
前記一以上の拡張領域はそれぞれ、一以上の入れ替え可能なコンテナを受け入れ、前記一以上の入れ替え可能なコンテナは製造コンテナ、調量コンテナ、オーバーフローコンテナ、移動モジュール、サービスモジュールコンテナ、回転加熱モジュールコンテナ、クリーニングモジュールコンテナ、又は調量モジュールコンテナである、請求項1又は請求項2に記載の付加造形製造ライン。
【請求項4】
一以上のトンネル接続エレメントを備え、前記一以上のトンネル接続エレメントはそれぞれが複数のケーシングユニットの少なくとも一つの供給開口に連結され、又は一以上のトンネル接続エレメントはそれぞれが複数のケーシングユニットのうちの対応する一対のケーシングユニットの間に配置されて前記対応する一対のケーシングユニットの供給開口と反対側の端に連結され、前記一以上のトンネル接続エレメントは少なくとも前記トンネル連鎖部の部分を形成する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項5】
前記一以上のトンネル接続エレメントは対応する供給開口にフランジによって取り付けられる、請求項4に記載の付加造形製造ライン。
【請求項6】
前記一以上のトンネル接続エレメントは直線のトンネル接続エレメント、くさび状のトンネル接続エレメント、フレキシブルトンネル接続エレメント、分岐トンネル接続エレメント、又は反転トンネル接続エレメントである、請求項4又は請求項5に記載の付加造形製造ライン。
【請求項7】
少なくとも一つのトンネル接続エレメントは一以上の拡張領域を備える、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項8】
前記トンネル連鎖部に冷却操作される不活性スペースを備える、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項9】
前記不活性スペースは取扱いステーションを備え、前記取扱いステーションでは入れ替え可能なコンテナをトンネル連鎖部に案内する準備をし、又は入れ替え可能なコンテナ内で付加造形された目的物を取り出し、前記入れ替え可能なコンテナは前記トンネル連鎖部を経て前記不活性スペースに運ばれる、請求項8に記載の付加造形製造ライン。
【請求項10】
前記不活性スペースはロボットを備え、前記ロボットは準備又は取り出しのステップを実施する、請求項9記載の付加造形製造ライン。
【請求項11】
一以上のコンテナマガジンを備え、前記一以上のコンテナマガジンは前記トンネル連鎖部に案内される又は前記トンネル連鎖部から移動させられた複数の入れ替え可能なコンテナを保持する、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項12】
前記トンネル部のそれぞれは対応するケーシングユニット内部領域に一体とされ、前記拡張領域はそれぞれ対応するトンネル部に対して横方向又は縦方向に配置される、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項13】
前記複数のケーシングユニットの少なくとも一つは一以上の拡張領域を備え、前記一以上の拡張領域はトンネル部、サービスモジュールコンテナ、回転加熱モジュールコンテナ、クリーニングモジュールコンテナ、又は 調量モジュールコンテナの上に吊るされる、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項14】
前記トンネル連鎖部は入り口、出口及び一以上の閉じた端を備え、不活性ガスを含む保護環境を維持する、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項15】
前記トンネル連鎖部は直線の走行路又は非直線の走行路を備える、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項16】
前記トンネル連鎖部は複数の走行路を備える、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項17】
案内要素を備え、前記案内要素は前記入れ替え可能なコンテナを、前記少なくとも一の前記走行路に沿って又は前記少なくとも一の走行路と前記一以上の拡張領域の間を案内する、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項18】
駆動機構とコントローラを備え、前記駆動機構は入れ替え可能なコンテナを、前記少なくとも一の走行路に沿って又は前記少なくとも一の走行路と前記一以上の拡張領域の間を移動させ、
前記コントローラは入れ替え可能なコンテナの前記少なくとも一の走行路に沿って又は前記少なくとも一の走行路と前記一以上の拡張領域の間の移動を制御する、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項19】
前記少なくとも一の走行路又は前記一以上の拡張領域は自走機構を備える入れ替え可能なコンテナを受け入れ、前記入れ替え可能なコンテナは自走機構によって前記少なくとも一の走行路又は前記一以上の拡張領域を通過し、又は前記少なくとも一の走行路又は前記一以上の拡張領域に到達する、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の付加造形製造ライン。
【請求項20】
付加造形製造ラインの操作方法は、
付加造形処理に関連する入れ替え可能なコンテナをトンネル連鎖部で形成される走行路に沿って移動し、
前記トンネル連鎖部は複数のケーシングユニットそれぞれの内部に一体の複数のトンネル部を備え、
前記複数のケーシングユニットは一以上の処理ステーション又は一以上の取扱いステーション及び一以上の供給開口を備え、前記供給開口は前記複数のケーシングユニット内部の対応するトンネル部に連絡しており、前記複数のケーシングユニットのそれぞれは追加のケーシングユニットの少なくとも一つに操作可能に連結され、前記トンネル部はそれぞれ少なくとも前記トンネル連鎖部の部分を形成しており、
入れ替え可能なコンテナを前記トンネル連鎖部から一以上の拡張領域へ移動し、前記拡張領域はそれぞれ一以上の入れ替え可能なコンテナをオペレーションステーション又はバイパスステーションに受け入れるとともに、一以上の追加の入れ替え可能なコンテナを前記一以上の拡張領域を超えて前記走行路に沿って移動させ、
前記一以上の拡張領域は、前記複数のケーシングユニットのそれぞれによって確定される前記トンネル連鎖部の少なくとも一つの走行路とは異なる領域に配置され、
前記複数のケーシングユニットの少なくとも1つは、前記複数のケーシングユニットの少なくとも1つに一体化された少なくとも1つの前記拡張領域を備え
、
前記拡張領域は、前記複数のケーシングユニットのそれぞれにおいて少なくとも一つ設けられる、付加造形製造ラインの操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元物体のそれぞれの横断面に対応する箇所で光線により硬化可能な造形材料の層を順次硬化させることによって、3次元物体を作製する設備に関する。この種の設備は、対象物を生成的に造形する設備とも称され、所謂SLM(選択的レーザ溶融)又はSLS(選択的レーザ焼成)装置を有する。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、硬化すべき造形材料が、例えば、造形すべき箇所に噴射され、そこで、例えば、レーザ光線によって溶融されて、凝固の際に硬化し、これにより生成的に造形部分を形成する更に別の装置にも拡張される。
【背景技術】
【0002】
この形式の公知の装置は、通常、本来の層単位の生成的な造形プロセスを実施する処理ステーションを有し、そのために、大抵は造形コンテナを使用している。第2のケーシング又はケーシング部分内に、少なくとも1つの処理ステーションと少なくとも1つの取扱ステーションの間を走行可能な造形コンテナから、作製された物体を取り出すための取扱ステーションを配置することも既に公知である。この種の装置は、例えば、特許文献1から明らかであり、そこでは、1つの関連するケーシングユニット内に処理ステーションも取出ステーションも設けられており、造形コンテナは、前記の2つのステーションの間で往復走行することができる。
【0003】
この公知の装置は、それ自体を閉鎖されたユニットとして拡張できないことが欠点である。
【0004】
更に、特許文献2から、複数の取扱ステーションを備えた前記の形式の装置が明らかである。それらの取扱ステーションは、実質的に並んで配置されており、取扱モジュールとして個々に、或いは共通して少なくとも1つの造形チャンバに対してスライド可能、回転可能又は旋回可能であるが、それと連結して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】DE20040547
【文献】DE20140087
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎とする課題は、請求項1の上位概念の特徴を有する設備を、より柔軟に使用可能であり、作製動作において変化する要求に適合可能であり、高効率かつ高速に製造可能であるように、更に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴部の特徴によって解決される。有利な変形形態は従属請求項2~16から得られる。方法の請求項17~19は、本発明の方法を特徴付ける。
【0008】
請求項1の教示によると、第1の選択肢において、処理ステーションも少なくとも1つの取扱ステーションも、別個の分離された、或いは個別に設置可能なケーシングユニット内に配置される。これらのケーシングユニットは、壁領域に供給開口部を設けられるとともに、これらのケーシングユニットが互いに接して設置された形態、互いに整列された形態又は部分的に分離された形態で少なくとも1つの連続するトンネル又はトンネル連鎖体を形成できるように構成されている。ここで、前記トンネル又はトンネル連鎖体は、当該ケーシングユニットに統合された、造形コンテナ及び別の走行可能なコンテナのための走行路を形成する。別の選択肢では、トンネル又はトンネル連鎖体が、それぞれ1つ又は複数の処理ステーションを収容する少なくとも2つのケーシングユニットを貫通するようにすることは、本発明の範囲内に有る。
【0009】
従って、自由に変更可能な形で設置可能であり、直接互いに接して取り付けることができる、或いは互いに間隔を置いて設けることのできるケーシングユニット内に、造形コンテナに対してだけでなく、別のコンテナに対しても利用可能であるトンネル走行路を形成することが本発明の核心と看做される。このことは、例えば、1つの同じ走行路上でコンテナが、複数の処理ステーションから、1つの共通の取扱ステーション又はそのために設けられた複数の取扱ステーションに走行可能であることを意味する。しかし、この走行路上において、例えば、余った造形材料を備えるオーバフローコンテナを運び去ること又は新鮮な造形材料を備える調量容器を処理ステーションに進入させることも可能である。全てのことが1つのトンネル内で行われる。
【0010】
更に、処理ステーションのただ1つの連続列を設け、これにトンネル又はトンネル部分を配置し、これをトンネル状に接続して、大きな不活性空間内で、例えば、ロボットによる造形コンテナの準備又は製造された造形部材の取り出しを実施することは本発明の範囲内である。この場合、この不活性空間は、疑似的に取扱ステーションとして用いられ、トンネル又はトンネル部分と接続するのが合目的的である。
【0011】
本発明で適用されるべきトンネル方式は複数の利点を有する。一方では、走行可能なコンテナと、この種の設備の周囲に留まらなければならない操作オペレータとの間に連携動作が存在せず、従って、危険に曝されることもない。走行路を本装置自体にトンネルとして統合することによって、設備全体内でコンテナを清潔に衝突なしに取り扱うことができる。
【0012】
コンテナは閉鎖可能とすることができ、これにより不活性ガス雰囲気をコンテナ内に十分に保持することができる。しかし、トンネル又はトンネル部分自体に不活性ガスを充填して、トンネルの入口及び出口にハッチを取り付けることも可能である。
【0013】
「別のコンテナ」について述べると、これには、この種の設備で使用可能であるか、或いは考え得る全てのコンテナ形態の容器と、交換すべき又は入れ替えるべき容器とが含まれる。特に、造形材料を塗工装置に供給するための調量コンテナ、余った造形材料を収容するためのオーバフローコンテナのことを述べている。しかし、この用語のより広い意味における「充填物」を有するものではなく、例として、例えば、不活性ガスの交換を自動的に行うことのできるサービスモジュールや異なるクリーニング、加工処理又は測定のタスクを異なるステーション内で実行することのできるクリーニングモジュール、フライスヘッドモジュール又は測定ヘッドモジュールなどの機能要素を含むコンテナ又は「モジュール」も走行させることができる。これらのモジュールは、例えば、上方領域において、例えば、トンネル又はトンネル連鎖体に懸架して走行させることができる。これに対して、造形コンテナ、オーバフローコンテナ及び調量コンテナは、有利には、トンネルの下方領域にある、例えば、レール状の走行路上に支持することができる。基本的に、コンテナ又はモジュールを輸送ワゴン上に収容し、これらの輸送ワゴンに自動走行駆動部及び制御部、例えば、屋内GPS制御部を設けることも本発明の範囲内である。しかし、コンテナ又はモジュールが自動走行駆動部を備えるように構成することも可能である。即ち、プロセス制御によって、その正しい置き場所への経路を見出すことができる。しかし、何らかの手法でトンネルに固定的に統合された送り輸送システムを設けることも可能である。
【0014】
トンネル内の走行路が常に空き状態に保持されるのが特に全く有利である。即ち、この場合、高速の自由コンテナモジュール運行を実現することができ、そのために、例えば、トンネル又はトンネル連鎖体にサイドニッチ又は待避ステーションを設けることができ、これらのサイドニッチ又は待避ステーションには、特に、一つの動作位置で、或いは別のコンテナのために、トンネル開口部内に延在する走行路を一貫して解放するための待避過程の中で、走行可能なコンテナ又はモジュールを進入させることができる。例えば、処理ステーションには、造形コンテナ並びに調量コンテナ及びオーバフローコンテナをそれぞれの動作位置で受け入れるサイドニッチが設けられる。これらのニッチの前方又は後方には、本来のトンネル走行路が配置されており、別のコンテナを、並んだ別の処理ステーション又は取扱ステーションに、解放された走行路を通して比較的速い速度で送ることができる。
【0015】
トンネル又はトンネル連鎖体は、一方の端部で閉鎖することができ、このことは、不活性ガス充填可能性を改善する。しかし、例えば、不活性ガス雰囲気内のトンネルの一方の端部にコンテナマガジンを配置して、このコンテナマガジンに、不活性ガスを前もって充填され、造形プレートを既に設けられた造形コンテナ、調量コンテナ又は空きのオーバフローコンテナを貯蔵しておくことができ、そこから、トンネル又は対応する動作位置に進入させることができる。他方の側から調量容器を進入させるか、或いはオーバフロー容器を運び出して、そこで空にすることができる。トンネルは、必ずしもただ1つの出口又は入口を有する必要はなく、サービス過程を出来るだけ短縮するために、トンネルに側方出口又は側方入口を設けること、コンテナを短い距離でそれらのそれぞれの作業スペースに運び込むこと、或いはサービスモジュールをそこからスタートさせることも同様に可能である。
【0016】
基本的に、ケーシングエレメントを別個に設置して、これにより、これらのケーシングエレメント内に1つのトンネル連鎖体を形成する可能性又はこれらのケーシングエレメントを接続し、これにより、貫通する1つのトンネルをこれらのケーシングエレメント内に形成する可能性が有る。
【0017】
しかし、処理ステーション、取扱ステーション又は別のステーションの個別に設置されたケーシングエレメントの間に、直線状又は湾曲状にできるトンネル接続エレメントを取り付けることもできる。ケーシングの入口及び出口に対して気密にフランジ取付可能な形でトンネル接続エレメントを構成して、トンネル接続エレメントをフレキシブルに構成するか、或いは継手接続部を設けることも可能であり、これにより、本設備のケーシングエレメントを自由に選択可能な形で工場ホールの延び具合に適合させることができる。このようにして、直線状でない走行路を形成するためにトンネル接続エレメントを湾曲して構成するか、或いは湾曲させることができる。個々のケーシング部分及び/又はトンネル接続エレメントには、互いに連結可能な、或いは互いに差し込まれるコンテナ案内エレメントが配置されており、これらは、既に上述した通り、レール又は案内要素等とすることができ、ここでは、コンテナ又はモジュールの十分に正確な案内を保証できる全てのエレメントが含まれる。
【0018】
基本的に、「2管式トンネル」という意味で、平行に配置された複数のトンネルを設けるか、或いはトンネル管内に互いに平行に延在する「対向走行路」を設けることも考えられる。このことは、輸送路の編成を容易にし、輸送速度を高め、これによりトンネル内での輸送時間を短縮する。
【0019】
分岐するトンネルを設けることも可能であり、このトンネルは、複数の処理ステーションに至るか、或いは複数の取出ステーション又は取扱ステーションに至る。
【0020】
同じように、少なくとも1つの処理ステーション、取扱ステーション及びトンネル接続エレメントの中の一つ以上を反転ステーションとして構成することも考えられ、これにより、コンテナ又はモジュール輸送に対して疑似的に反転ループが形成される。
【0021】
方法の請求項17の意味において、処理及び取扱ステーションの複数のケーシングユニットを貫通する走行路が走行可能な又は停止されたコンテナによってブロックされるのではなく、この走行路は出来るだけ空き状態に保持される。この走行路は、一車線走行路とするか、或いは二車線走行路として構成することもできる。
【0022】
本発明を図面に図示された有利な実施例に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による設備を図示する図であり、この設備は、それぞれ別個に設置された処理ステーション及び取扱ステーションと、トンネルを通って2つの設備コンポーネントを通って延在するコンテナ用走行路とを備えている。
【
図2】本発明による設備を図示する図であり、この設備は、直接互いに接して設置された取扱ステーション及び処理ステーションと、これらを通って延在する、コンテナを輸送するためのトンネルとを備えている。
【
図3】本発明によるトンネル配置構成の製造ラインを形成する、取扱ステーションと、例えば、3つの処理ステーションとを備えた設備を図示する図である。
【
図4】取扱ステーション及び処理ステーションの概略図であり、両者を通って延在する、異なるコンテナを輸送するためのトンネルを備えている。
【
図5】取扱ステーション、2つの処理ステーション及びコンテナマガジンを備えた設備の概略図である。
【
図6】異なるコンテナの動きが図示された、
図5による図である。
【
図7】取扱ステーション及び処理ステーションがトンネル延長エレメントにより接続された、
図1による図である。
【
図8】コンテナマガジン、取扱ステーション、2つの処理ステーション及び反転ステーションを備えた設備の概略的な平面図であり、全てのステーションは異なる形状のトンネル延長エレメントによって接続されている。
【
図9】3つの処理ステーションがトンネル方式に基づき1つの取扱空間と接続された設備の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面に図示された設備1は、3次元物体2のそれぞれの横断面に対応する箇所で光線、特に、レーザ光線により硬化可能な造形材料の層を順次硬化させることによって、3次元物体2を作製するために用いられる。このような設備1は、第1のケーシング3内に配置された、造形コンテナ5内で層単位の生成的な造形プロセスを実施するための少なくとも1つの処理ステーション4と、少なくとも1つの第2のケーシング6内に有る、作製された物体2を造形コンテナ5から取り出すための取扱ステーション7とを有し、前記造形コンテナ5は、処理ステーション4と取扱ステーション7の間を走行可能である。
【0025】
前記の少なくとも1つの処理ステーション4及び少なくとも1つの取扱ステーション7は、別個の分離された、或いは個別に設置可能なケーシングユニット3,6内に配置されており、この実施例では、これらのケーシングユニットの側壁領域10には、供給開口部11が設けられて、これらのケーシングユニットは、互いに差し込まれた形態又は部分的に分離された形態で、少なくとも1つの貫通するトンネル12又はトンネル連鎖体を形成できるように構成されており、ここで、トンネル12又はトンネル連鎖体は、ケーシングユニット3,6に統合された、造形コンテナ5及び別の走行可能なコンテナのための走行路13を形成する。
【0026】
処理ステーション4のケーシング3に、本方法を実施するために必要な複数の装置及び機器、例えば、少なくとも1つのレーザ形態の光線源、少なくとも1つのスキャナシステム、処理チャンバ、調量チャンバ、オーバフローチャンバ等を統合しなければならないことは当業者に周知である。取扱ステーション7は、手動の介入部を備えたグローブボックス15を有し、これにより、このグローブボックス15内で取出過程を実施することができる。更に、取扱ステーション7は、漉し器モジュールを有し、この漉し器モジュールにより、既に利用された造形材料を凝集物及び融解残留物から除去することができる。
【0027】
図2では、2つのケーシング3,6を直接並べて設置できることも分かる。側壁領域10に配置された供給開口部11は、本発明による貫通するトンネル12及び走行路13を形成できるように完全に一致して配置されている。
【0028】
図3から分かるように、ケーシング6を備えた取扱ステーション7は、複数の処理ステーション4とも組み合わせることができ、これにより、1つの製造ラインが形成される。
【0029】
次に
図4には、どのようにして個々のエレメントをケーシング3,6内に配置することができ、どのようにしてこれらを通って延在するトンネル12が走行路13と共に延びるのかが図示されている。重要なのは、トンネル12又はトンネル連鎖体において、ケーシングユニット3,6の内部領域にサイドニッチ又は拡張部16が設けられていることであり、これらのサイドニッチ又は拡張部16には、特に、一つの動作位置で、或いは別の走行可能なコンテナ5のために、トンネル12内に延在する走行路13を一貫して解放するための待避過程の中で走行可能なコンテナ5を進入させることができる。別の走行可能なコンテナ5は、オーバフローコンテナ20、調量コンテナ21又は別のモジュールとすることができ、別のモジュールは、図面には詳細に図示されないが、サービスモジュールとして、クリーニングモジュール等として構成することができる。
【0030】
図1~
図4に示された実施例では、トンネル12が、そのため走行路13も、ケーシングユニット3,6を通って直線状に延在しているが、例えば、ケーシングユニット3,6の側壁領域10を傾斜させることにより形成できるような形態又は
図7と
図8に概略的に図示したトンネル接続エレメント30によって、トンネルの湾曲した延び具合を設定することも同様に可能である。トンネル接続エレメント30は、直線状の接続ケースとして構成して、この接続ケースを通してトンネル12を延在させるか、さもなければトンネル接続エレメント30に、トンネル接続エレメント30の湾曲した延び具合を形成するための楔形の挿入部材31を設けることもできる。同様に、フレキシブルな部分32をトンネル接続エレメント30に設けることができる。トンネル接続エレメント30の端部領域33には、気密のフランジ状接続ユニット34を設けることができ、この接続ユニット34は、側壁領域10にある供給開口部11にフランジ接続することができる。
【0031】
図8には、更に、反転ステーション40が図示されており、この反転ステーション40は、トンネル部分と同じように構成することができ、形成されるトンネル12の一端部に取り付けることができる。反転ステーションとしては、輸送すべきコンテナ5又はモジュールに対する転換ループのように構成された装置が考えられる。
【0032】
トンネル12を2管形態に構成すること、又は少なくとも逆方向の2つの走行路を装備することも基本的に可能であり、これにより、1つのトンネル管内での対面通行が可能である。
【0033】
図5と
図6には、更に、コンテナマガジン50が図示されており、このコンテナマガジン50は、トンネル配置構成に対して、場合により気密に接続されており、コンテナマガジン50の中に、トンネル12に発送するための異なるコンテナ及び/又はモジュールを用意しておくことができる。
【0034】
そして、
図9には、更に、複数の処理ステーション4.1、4.2及び4.3を本発明のトンネル方式に基づき順次整列させた設備1が図示されており、ここで、処理ステーション4.1、4.2及び4.3は、それぞれ別個の第1のケーシング3内に配置されており、トンネル接続エレメント30によって互いに接続されている。
【0035】
この図の左側には、更に、より大きな別個の空間50が図示されており、この空間50は、クリーンルームとして構成することができ、場合により完全に又は部分的に不活性化することができ、それどころか場合により操作オペレータが立ち入ることができる。この空間内では、ロボット51が、造形コンテナ5における準備又は取出の作業工程を行うことができ、この造形コンテナ5は、トンネル接続エレメントを介して不活性空間50に進入することができる。
【0036】
この種の不活性化可能な空間50を造形コンテナ5の準備のためにだけ設け、ケーシング連鎖体の内部において取扱ステーション7を別のケーシング内に配置して、そこで、次に造形部材だけを取り出すことも本発明の範囲内である。更に、不活性空間50内にコンテナマガジン52を設け、このコンテナマガジン52内に、例えば、処理ステーション4での造形プロセスのために準備された複数の造形コンテナ5を配備できるようにすることも可能である。勿論、そこに、造形プロセスのために準備された別のコンテナを、例えば、オーバフローコンテナ20、調量コンテナ21又はサービスモジュールを、本設備に投入するために用意しておくこともできる。
【符号の説明】
【0037】
1 設備
2 物体
3 第1のケーシング
4 処理ステーション
5 造形コンテナ
6 別のケーシング
7 取扱ステーション
10 側壁領域
11 供給開口部
12 トンネル
13 走行路
15 グローブボックス
16 拡張部
20 オーバフローコンテナ
21 調量コンテナ
30 トンネル接続エレメント
31 挿入部材
32 フレキシブルな部分
33 トンネル接続エレメント30の端部領域
34 接続ユニット
40 反転ステーション
50 空間
51 ロボット
52 コンテナ