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特許7260635バッテリーパック管理システム、バッテリーパック、車両及び管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】バッテリーパック管理システム、バッテリーパック、車両及び管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230411BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230411BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230411BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230411BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20230411BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230411BHJP
   B60L 58/18 20190101ALI20230411BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20230411BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/02 J
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
H01M10/44 P
B60L3/00 Q
B60L50/60
B60L58/18
B60L58/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021517416
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2020077081
(87)【国際公開番号】W WO2021168769
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】514257398
【氏名又は名称】東莞新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】DONGGUAN AMPEREX TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.1 Industrial West Road,Songshan Lake High-tech Industrial Development Zone, Dongguan City, Guangdong Province, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】劉 星
(72)【発明者】
【氏名】何 勝
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-532605(JP,A)
【文献】国際公開第2010/021076(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
B60L 3/00
B60L 50/60
B60L 58/12
B60L 58/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーパックの動的並列管理方法であって、第1バッテリーパックに適用され、前記第1バッテリーパックはセルとBMSを含み、前記方法は、
前記BMSは、第1バッテリーパックとほかのバッテリーパックの状態を監視し、前記第1バッテリーパックとほかのバッテリーパックの状態は切断状態と接続状態を含むステップと、
前記BMSは、前記第1バッテリーパックの残量と接続状態にあるほかのバッテリーパックの残量との差が所定閾値範囲にあると判断する場合、
上記判断に基づいて、前記第1バッテリーパックを前記切断状態から前記接続状態に切り替えるように制御し、前記第1バッテリーパックと前記ほかのバッテリーパックは並列接続されるステップと、を含み、
前記接続状態は充電状態と放電状態を含み、前記第1バッテリーパックは前記充電状態では、充電信号があり、且つ充電され、前記放電状態では、放電信号があり、且つ放電され、
前記BMSは充電スイッチ、放電スイッチ、予備放電スイッチ、及び主制御モジュールを含み、前記予備放電スイッチは直列接続された前記充電スイッチと前記放電スイッチに並列接続されることを特徴とする複数のバッテリーパックの動的並列管理方法。
【請求項2】
前記BMSは、前記放電信号を監視するとともに前記ほかのバッテリーパックが前記切断状態にあり且つ前記複数のバッテリーパックのうち前記第1バッテリーパックの残量が最も高いと監視した場合、前記第1バッテリーパックを前記切断状態から前記放電状態に切り替えるように制御する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記充電信号を監視したとともに前記ほかのバッテリーパックが前記切断状態にあり且つ前記複数のバッテリーパックのうち前記第1バッテリーパックの残量が最も低いと監視した場合、前記第1バッテリーパックを前記切断状態から前記充電状態に切り替えるように制御する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1バッテリーパックを前記放電状態から前記充電状態に切り替えるステップは、前記放電状態から前記切断状態に切り替え、その後、さらに前記切断状態から前記充電状態に切り替えるステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1バッテリーパックを前記充電状態から前記放電状態に切り替えるステップは、前記充電状態から前記切断状態に切り替え、その後、前記切断状態から前記放電状態に切り替えるステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1バッテリーパックが接続状態にあり且つ故障すると監視した場合、前記第1バッテリーパックを前記接続状態から前記切断状態に切り替えるように制御する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数のバッテリーパックを含むバッテリーパック管理システムであって、前記複数のバッテリーパックは第1バッテリーパックとほかのバッテリーパックを含み、前記第1バッテリーパックはセルとBMSを含み、
前記管理システムは通信線を含み、
前記第1バッテリーパックと前記ほかのバッテリーパックが前記通信線に接続され、
前記BMSは充電スイッチ、放電スイッチ、予備放電スイッチ、及び主制御モジュールを含み、
主制御モジュールは、
第1バッテリーパックを監視し第1バッテリーパックの状態を通信線に報告し、通信線からほかのバッテリーパックの状態を取得するように構成され、前記第1バッテリーパックとほかのバッテリーパックの状態は切断状態と接続状態を含み、
前記BMSは、前記第1バッテリーパックの残量と接続状態にあるほかのバッテリーパックの残量との差が所定閾値範囲にあると判断する場合、上記判断に基づいて、前記第1バッテリーパックを前記ほかのバッテリーパックに並列接続して前記切断状態から前記接続状態に切り替えるように前記充電スイッチ、前記放電スイッチ及び前記予備放電スイッチを制御し、
前記接続状態は充電状態と放電状態を含み、前記第1バッテリーパックと前記ほかのバッテリーパックは前記充電状態では、充電信号があり、且つ充電され、前記放電状態では、放電信号があり、且つ放電され、
前記予備放電スイッチは直列接続された前記充電スイッチと前記放電スイッチに並列接続されることを特徴とするバッテリーパック管理システム。
【請求項8】
前記第1バッテリーパックは、前記充電スイッチと前記放電スイッチのいずれもオンする場合、前記切断状態から前記接続状態に切り替わる請求項7に記載のバッテリーパック管理システム。
【請求項9】
前記主制御モジュールはさらに、前記充電信号を監視したとともに前記ほかのバッテリーパックが前記切断状態にあり且つ前記複数のバッテリーパックのうち前記第1バッテリーパックの残量が最も低いと監視した場合、前記充電スイッチと前記放電スイッチをオンして前記第1バッテリーパックを前記切断状態から前記充電状態に切り替えるように制御するように構成される請求項8に記載のバッテリーパック管理システム。
【請求項10】
前記主制御モジュールはさらに、前記放電信号を監視するとともに前記ほかのバッテリーパックが前記切断状態にあり且つ前記複数のバッテリーパックのうち前記第1バッテリーパックの残量が最も高いと監視した場合、前記放電スイッチと前記充電スイッチをオンして前記第1バッテリーパックを前記切断状態から前記放電状態に切り替えるように制御するように構成される請求項8に記載のバッテリーパック管理システム。
【請求項11】
前記主制御モジュールはさらに、前記第1バッテリーパックを前記充電状態と前記放電状態との間で切り替えるように前記放電スイッチ、前記充電スイッチ及び前記予備放電スイッチを制御する場合、前記放電スイッチ、前記充電スイッチ及び前記予備放電スイッチのいずれをもオフした後にオンするように制御するように構成される請求項8に記載のバッテリーパック管理システム。
【請求項12】
前記主制御モジュールはさらに、負荷電流変化が所定値を超えるとモニタリングした場合、前記放電スイッチをオンするように制御するように構成される請求項7に記載のバッテリーパック管理システム。
【請求項13】
前記放電スイッチ、前記充電スイッチ及び前記予備放電スイッチスイッチとフリーホイーリングダイオードを含む請求項7に記載のバッテリーパック管理システム。
【請求項14】
請求項7-13のいずれか一項に記載のバッテリーパック管理システムを含むことを特徴とするバッテリーパック。
【請求項15】
請求項14に記載のバッテリーパックを含むことを特徴とする車両。
【請求項16】
複数のバッテリー収納部をさらに含み、複数のバッテリーパックが前記バッテリー収納部内に設置される請求項15に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はバッテリーの技術分野に関し、特にバッテリーパック管理システム、バッテリーパック、車両及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリーにより動力が供給される車両では、車両の走行距離及びバッテリーの有効利用率を向上させるために、車両における複数のバッテリーパックに対して効果的な充放電管理を行う必要がある。車両が走行する際に、1つのバッテリーパックを動作させてもよく、複数のバッテリーパックを並列接続して動作させてもよい。長期間充放電して使用した後、同じ初期状態のバッテリーパックには、残量が異なる現象が徐々に発生し、その結果、複数のバッテリーパックの同時充放電を継続できない。
【0003】
たとえば、一般的な車両設計では、充電ポートと放電ポートは同一ポートを使用し、即ち、同一ポートモードである。残量差が大きい複数のバッテリーパックを並列充電する場合、還流電流充電(即ち、残量の高いバッテリーパックが残量の低いバッテリーパックを充電する)が発生する恐れがあり、還流電流充電は充電効率の低下を招くだけでなく、セルに不可逆的なダメージを与える可能性がある。
【0004】
たとえば、車両に複数のバッテリーパックが搭載されているが、単一バッテリーパックを逐一使用する過程では、単一バッテリーパックにより負荷に供給される電力用件が変化しないまたは増加すると、単一バッテリーパックの出力負荷が大きく、複数のバッテリーパックの電力出力が制限されるだけでなく、複数のバッテリーパックの電力利用率が低いことを引き起こす可能性がある。
【0005】
また、複数のバッテリーパックを同時使用する場合、ホスト制御モジュールを追加する必要があり、コスト増加につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願のいくつかの実施例によれば、本願は複数のバッテリーパックの動的並列管理方法を提供し、第1バッテリーパックに適用され、前記方法は、第1バッテリーパックとほかのバッテリーパックの状態を監視し、前記第1バッテリーパックとほかのバッテリーパックの状態は切断状態と接続状態を含むステップと、前記BMS(Battery Management System、バッテリー管理システム)は、前記第1バッテリーパックの残量と接続状態にあるほかのバッテリーパックの残量との差が所定閾値範囲にあると判断する場合、上記判断に基づいて、前記第1バッテリーパックを前記切断状態から前記接続状態に切り替えるように制御するステップと、を含み、前記接続状態は充電状態と放電状態を含み、前記第1バッテリーパックは前記充電状態では充電され、前記放電状態では放電される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願のいくつかの実施例によれば、前記BMSは、放電信号を監視するとともに前記ほかのバッテリーパックが前記切断状態にあり且つ前記複数のバッテリーパックのうち前記第1バッテリーパックの残量が最も高いと監視した場合、前記第1バッテリーパックを前記オフ状態から前記放電状態に切り替えるように制御する。
【0008】
本願のいくつかの実施例によれば、充電信号を監視したとともに前記ほかのバッテリーパックが前記切断状態にあり且つ前記複数のバッテリーパックのうち前記第1バッテリーパックの残量が最も低いと監視した場合、前記第1バッテリーパックを前記オフ状態から前記充電状態に切り替えるように制御する。
【0009】
本願のいくつかの実施例によれば、前記第1バッテリーパックを前記放電状態から前記充電状態に切り替えるステップは、前記放電状態から前記切断状態に切り替え、その後、さらに前記切断状態から前記充電状態に切り替えるステップを含む。
【0010】
本願のいくつかの実施例によれば、前記第1バッテリーパックを前記充電状態から前記放電状態に切り替えるステップは、前記充電状態から前記切断状態に切り替え、その後、前記切断状態から前記放電状態に切り替えるステップを含む。
【0011】
本願のいくつかの実施例によれば、前記第1バッテリーパックが接続状態にあり且つ故障すると監視した場合、前記第1バッテリーパックを前記接続状態から前記切断状態に切り替えるように制御する。
【0012】
本願のいくつかの実施例によれば、本願は複数のバッテリーパックを含む管理システムを提供し、前記複数のバッテリーパックは第1バッテリーパックとほかのバッテリーパックを含み、前記第1バッテリーパックはセルとBMSを含み、前記管理システムは通信線を含み、前記第1バッテリーパックと前記ほかのバッテリーパックが前記通信線に接続され、前記BMSは充電制御モジュール、放電制御モジュール、予備放電制御モジュール、及び主制御モジュールを含み、主制御モジュールは、第1バッテリーパックを監視し第1バッテリーパックの状態を通信線に報告し、通信線からほかのバッテリーパックの状態を取得するように構成され、前記第1バッテリーパックとほかのバッテリーパックの状態は切断状態と接続状態を含み、前記BMSは、前記第1バッテリーパックの残量と接続状態にあるほかのバッテリーパックの残量との差が所定閾値範囲にあると判断する場合、上記判断に基づいて、前記第1バッテリーパックを前記ほかのバッテリーパックに並列接続して前記切断状態から前記接続状態に切り替えるように前記充電制御モジュール、前記放電制御モジュール及び前記予備放電制御モジュールを制御し、前記接続状態は充電状態と放電状態を含み、前記第1バッテリーパックと前記ほかのバッテリーパックは前記充電状態では充電され、前記放電状態では放電される。
【0013】
本願のいくつかの実施例によれば、前記充電制御モジュールと前記放電制御モジュールは直列接続される。
【0014】
本願のいくつかの実施例によれば、前記予備放電制御モジュールは直列接続された前記充電制御モジュールと前記放電制御モジュールに並列接続される。
【0015】
本願のいくつかの実施例によれば、前記第1バッテリーパックは、前記充電制御モジュールと前記放電制御モジュールのいずれもオンする場合、前記切断状態から前記接続状態に切り替わる。
【0016】
本願のいくつかの実施例によれば、前記制御モジュールはさらに、充電信号を監視したとともに前記ほかのバッテリーパックが前記切断状態にあり且つ前記複数のバッテリーパックのうち前記第1バッテリーパックの残量が最も低いと監視した場合、前記充電制御モジュールと前記放電制御モジュールをオンして前記第1バッテリーパックを前記オフ状態から前記充電状態に切り替えるように制御するように構成される。
【0017】
本願のいくつかの実施例によれば、前記制御モジュールはさらに、放電信号を監視するとともに前記ほかのバッテリーパックが前記切断状態にあり且つ前記複数のバッテリーパックのうち前記第1バッテリーパックの残量が最も高いと監視した場合、前記放電制御モジュールと前記充電制御モジュールをオンして前記第1バッテリーパックを前記オフ状態から前記放電状態に切り替えるように制御するように構成される。
【0018】
本願のいくつかの実施例によれば、前記制御モジュールはさらに、前記第1バッテリーパックを前記充電状態と前記放電状態との間で切り替えるように前記放電制御モジュール、前記充電制御モジュール及び前記予備放電制御モジュールを制御する場合、前記放電制御モジュール、前記充電制御モジュール及び前記予備放電制御モジュールのいずれをもオフした後にオンするように制御するように構成される。
【0019】
本願のいくつかの実施例によれば、前記制御モジュールはさらに、負荷電流変化が所定値を超えるとモニタリングした場合、前記放電制御モジュールをオンするように制御するように構成される。
【0020】
本願のいくつかの実施例によれば、前記放電制御モジュール、前記充電制御モジュール及び前記予備放電制御モジュールはスイッチモジュールであり、前記スイッチモジュール内にフリーホイーリングダイオードが設置される。
【0021】
本願のいくつかの実施例によれば、バッテリーパックであって、上記バッテリーパック管理システムを含む。
【0022】
本願のいくつかの実施例によれば、車両であって、前記バッテリーパックシステムを含む。
【0023】
本願のいくつかの実施例によれば、前記車両は複数のバッテリー収納部をさらに含み、複数のバッテリーパックが前記バッテリー収納部内に設置される。
【0024】
本願のいくつかの実施例によれば、複数のバッテリーパックの動的並列管理方法であって、複数のバッテリーパックに適用され、第1バッテリーパックとほかのバッテリーパックの状態を監視し、前記第1バッテリーパックとほかのバッテリーパックの状態は切断状態と接続状態を含むステップと、前記複数のバッテリーパックがいずれも切断状態にあり、且つ前記第1バッテリーパックの残量とほかのバッテリーパックの残量との差が所定閾値範囲にある場合、前記第1バッテリーパックを前記切断状態から前記接続状態に切り替えるように制御するステップと、前記第1バッテリーパックを前記ほかのバッテリーパックとは独立して前記接続状態と前記切断状態との間で切り替えるように制御するステップと、を含み、前記接続状態は充電状態と放電状態を含み、前記第1バッテリーパックと前記ほかのバッテリーパックは前記充電状態では充電され、前記放電状態では放電される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、本願の実施例の説明の便宜上、本願の実施例または従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかなように、以下説明される図面は単に本願の一部の実施例である。当業者は、創造的な努力をせずに、これらの図面に示される構造に基づいてほかの実施例の図面を得ることができる。
【0026】
図1】本願のいくつかの実施例におけるバッテリーパックシステムを含む車両の部分電気接続構造模式図である。
図2】本願のいくつかの実施例におけるバッテリーパックと車両負荷を電気的に接続する構造模式図である。
図3】本願のいくつかの実施例におけるBMSの主制御方法のフローチャートである。
図4】本願のいくつかの実施例におけるBMSが待機処理を実行する方法のフローチャートである。
図5】本願のいくつかの実施例におけるBMSが待機操作を実行する方法のフローチャートである。
図6】本願のいくつかの実施例におけるBMSが放電処理を実行する方法のフローチャートである。
図7】本願のいくつかの実施例におけるBMSが放電開始状態に入る方法を実行するフローチャートである。
図8】本願のいくつかの実施例におけるBMSが放電動作状態に入る方法を実行するフローチャートである。
図9】本願のいくつかの実施例におけるBMSが放電終了状態に入る方法を実行するフローチャートである。
図10】本願のいくつかの実施例におけるBMSが充電処理を実行する方法のフローチャートである。
図11】本願のいくつかの実施例におけるBMSが充電開始状態に入る方法を実行するフローチャートである。
図12】本願のいくつかの実施例におけるBMSが充電動作状態に入る方法を実行するフローチャートである。
図13】本願のいくつかの実施例におけるBMSが充電終了状態に入る方法を実行するフローチャートである。
図14】本願のいくつかの実施例におけるBMSが放電操作を実行する方法のフローチャートである。
図15】本願のいくつかの実施例におけるBMSが放電開始を実行する方法のフローチャートである。
図16】本願のいくつかの実施例におけるBMSが充電操作を実行する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本願の実施例については、詳細に説明する。本願の明細書を通して、同一または類似の要素及び同一または類似の機能を有する要素は類似の符号で示される。ここで説明される図面に係る実施例は例示的かつ図式的であり、本願の基本的な理解を提供するためのものである。本願の実施例は本願を限定しないと理解すべきである。
【0028】
図1は本願の実施例に係るバッテリーパックシステムを含む車両の部分電気接続構造模式図である。該バッテリーパックシステムは複数のバッテリーパックを含み、複数のバッテリーパックはPACK 1、PACK 2、…、PACK Nであり、ここで、Nは1よりも大きい自然数である。各バッテリーパックはいずれもBMSとセルを含む。図1に示すように、PACK 1はBMS 1を含み、PACK 2はBMS 2を含み、PACK NはBMS Nを含む。いくつかの実施例では、車両は車両CAN(Controller Area Network、コントローラエリアネットワーク)通信バスを含み、該車両CAN通信バスには、BMSを接続するための複数のノードを有し、各バッテリーパックのBMSは1つのBMSノードとして、車両CAN通信バスからほかのバッテリーパックの状態を監視または取得できる。
【0029】
なお、各バッテリーパックにおけるBMSがほかのバッテリーパックの状態を取得する方式は、上記車両CAN通信バスに限定されず、たとえば、4G(The 4th Generation Mobile Communication Technology、第4世代モバイル通信技術)、5G(The 5th Generation Mobile Communication Technology、第5世代モバイル通信技術)、Wi-Fi(登録商標)通信による方式のようなほかの有線または無線方式によって取得されてもよい。
【0030】
本願のいくつかの実施例では、複数のバッテリーパックは動力バスP+とP-によって車両負荷に電力または動力を供給し、ここで、P+は動力バスの正極、P-は動力バスの負極である。車両負荷は計器、モータ及び車両コントローラ等を含む。インストルメントパネル、車両コントローラECUは対応するCANバスを解して車両CAN通信バスに接続されてもよい。本願のいくつかの実施例では、車両またはバッテリーパックシステムは動力バスを介して外部の非車載充電器に接続され、非車載充電器及び動力バスを介してバッテリーパックを充電するようにしてもよい。本願のいくつかの実施例では、車両は複数のバッテリー収納部をさらに含み、複数のバッテリーパックがそれぞれ複数のバッテリー収納部内に設置される。バッテリーパックがバッテリー収納部内に設置されていると、車両CAN通信バスと通信してバッテリーパックの状態を監視できる。
【0031】
図2は本願のいくつかの実施例におけるバッテリーパックと車両負荷を電気的に接続する構造模式図である。バッテリーパックはセルとBMSを含み、セルはBMSに電気的に接続され、BMSは充電制御モジュール、放電制御モジュール、予備放電制御モジュール及びBMS制御モジュール(即ち、主制御モジュール)を含む。該BMS(たとえば、BMS1)は、第1バッテリーパック(たとえば、PACK1)におけるセルを動力バスに接続するまたは動力バスから切断するように、充電制御モジュール、放電制御モジュール及び予備放電制御モジュールを制御する。動力バスに接続することは、動力バスを介して車両負荷に電力を供給すること、または非車載充電器により充電されることを含む。
【0032】
本願のいくつかの実施例では、充電制御モジュールと放電制御モジュールは直列接続される。本願のいくつかの実施例では、予備放電制御モジュールは直列接続された充電制御モジュールと放電制御モジュールに並列接続される。本願のいくつかの実施例では、放電制御モジュール、充電制御モジュール及び予備放電制御モジュールはMOS(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、金属-酸化物半導体電界効果トランジスタ)スイッチデバイスまたはリレーデバイスモジュールであってもよく、スイッチモジュール内にフリーホイーリングダイオードが設置される。フリーホイーリングダイオードは、スイッチデバイスが切断またはオフ状態にあるとしても、短時間の電流導通効果を実現できる。以下の説明では、予備放電スイッチはPDSG表示、放電スイッチはDSG、充電スイッチはCHGで示される。本願における同一ポートモードとは、バッテリーパックが放電状態または充電状態にある場合、放電制御モジュールと充電制御モジュールを同時にオンする必要があることである。
【0033】
図1に戻り、本願のいくつかの実施例では、複数のバッテリーパックPACK 1、PACK 2、…、PACK NのいずれかのBMSは、BMS 1、BMS 2、…、BMS Nのいずれかである。BMS(たとえば、BMS 1)は、PACK 1とほかのバッテリーパック(PACK 2~PACK Nのうちの1つまたは複数)の状態を監視するように構成される。PACK 1とほかのバッテリーパックの状態は切断状態と接続状態を含む。バッテリーパックが切断状態にあるとは、バッテリーパックにおけるセルが動力バスと切断し、即ち、動力バスと切断するバッテリーパックが放電または充電できないことである。バッテリーパックが接続状態にあるとは、バッテリーパックにおけるセルが動力バスと接続し、且つ動力バスを介して電力を車両負荷に供給できまたは非車載充電器により充電できることである。バッテリーパックの状態は車両のシステム状態に対応する。本願のいくつかの実施例では、車両のシステム状態は待機状態、充電状態及び放電状態を含む。待機状態では、保護信号があり、PACK_ID信号、車両スタートACC、ON信号、通信信号、充電器アクセスCHG_IN信号がなく、または、バッテリーパックが切断状態にある。待機状態では、充電スイッチと放電スイッチがいずれもオフする。充電状態では、充電信号があり、且つ充電が許可される。放電状態では、放電信号があり、且つ放電が許可される。
【0034】
本願のいくつかの実施例では、車両のシステム状態は盗難防止ロック状態をさらに含み、盗難防止ロック状態とは、車両がシャットダウンした後、キーを使用して車両ロックを設定し、車両が振動したことまたは車輪が回転したことを検出すると、警報を開始するとともにモータコントローラが車輪をロックし、ロック期間に、計器がバッテリーシステムと通信せず、バッテリーパックは警報器及びロック制御モジュールの出力需要に応じて、通信せずにウィークアップされ、且つ主回路をタイムリーにオンし、ロック電流を供給することである。
【0035】
本願のいくつかの実施例では、放電状態では、BMS 1は、PACK 1とほかのバッテリーパックPACK 2~PACK Nの状態が切断状態であり、且つバッテリーパックPACK 1におけるセルの残量が最も高いと監視またはモニタリングした場合、バッテリーパックPACK 1におけるセルが動力バスに接続され、動力バスを介して電力を出力する。PACK 1の放電過程では、BMS 2~BMS Nはそれぞれのバッテリーパックの残量とPACK 1の残量を監視し続け、BMS 2は、PACK 2の残量が放電中のPACK 1の現在残量に関する所定閾値範囲にあると監視した場合、PACK 2を動力バスに接続してPACK 1と並列接続して放電するように制御する。PACK 1、PACK 2及びPACK Nの残量は同じまたは異なる可能性があり、したがって、車両に電力を供給するまたは車両が走行状態にある時、いずれのバッテリーパックにおけるBMSもそれぞれの残量が放電中のバッテリーパックの残量に関する所定閾値範囲にあると監視した場合、放電中のバッテリーパックに並列接続して動力バスを介して共同に電力供給を行う。たとえば、PACK 1におけるBMS 1は、PACK 1におけるセルの残量と放電中のほかのバッテリーパックPACK 2~PACK Nの残量との差が所定閾値範囲にあると判断した場合、PACK 1を切断状態から接続状態に切り替え、PACK 1をほかのバッテリーパックと並列接続するように制御し、即ち、PACK 1を放電中のバッテリーパックに並列接続して、動力バスを介して共同に電力を供給するように制御する。上記所定閾値範囲は放電中のバッテリーパックの残量によって決定される。残量がより低いほかのバッテリーパックは、上記方法にしたがって、放電中のバッテリーパックに次々と並列接続して、動力バスを介して共同に出力を供給することができる。
【0036】
本願のいくつかの実施例では、放電状態では、残量が最も高いバッテリーパックはPACK 2~PACK Nのうちのいずれか1つまたは複数であってもよく、以上の説明に限定されない。残量が最も高いバッテリーパックが複数である場合、各バッテリーパックの残量が実際には完全に同じであるわけではないため、これら複数のバッテリーパックの残量が所定残量範囲にある限り、これら複数のバッテリーパックの残量が略同じであることを示し、残量が最も高いバッテリーパックとして動力バスに同時に並列接続して電力出力を供給することができる。たとえば、バッテリーパックの実際残量がE1である場合、残量が所定閾値範囲E1-E2~E1+E3にあるバッテリーパックは残量がE1の該バッテリーパックと略同じ残量を有し、E1、E2及びE3はバッテリーパック全体の残量の百分率であってもよく、E2とE3は同じでも異なってもよく、たとえば、E1は95%、E2は0.8%、E3は0.8%または1%である。一方、所定閾値範囲E1-E2~E1+E3内にないバッテリーパックは同じ残量を有しない。
【0037】
本願のいくつかの実施例では、PACK 1が所定残量範囲EQ2まで放電されると、PACK 1の放電を一時的に停止し、即ち、PACK 1を切断状態に切り替える。その後、PACK 1の放電前と同じ残量を有するPACK 2~PACK Nのうちの1つまたは複数を放電し、EQ1まで放電すると、PACK 1はPACK 2~PACK Nのうちの1つまたは複数に並列接続してさらに同時放電するように能動的に選択できる。
【0038】
本願のいくつかの実施例では、本願のいくつかの実施例では、充電状態では、BMS 1は、第1バッテリーパック(たとえば、PACK 1)とほかのバッテリーパック(たとえば、PACK 2~PACK Nのうちの1つまたは複数)の状態が切断状態にあり、且つバッテリーパックPACK 1におけるセルの残量が最も低いと監視またはモニタリングした場合、バッテリーパックPACK 1におけるセルが動力バスに接続され、動力バスを介して充電される。PACK 1の充電過程では、BMS 2~BMS Nはそれぞれの残量とPACK 1の残量を監視し続け、BMS 2は、PACK 2の残量が充電中のPACK 1の現在残量に関する所定閾値範囲にあると監視した場合、PACK 2を動力バスに接続して、PACK 1と並列接続して充電されるように制御する。PACK 1、PACK 2及びPACK Nの残量が同じまたは異なる可能性があるため、充電中、いずれのバッテリーパックにおけるBMSもそれぞれの残量が充電中のバッテリーパックの残量に関する所定閾値範囲にあると監視した場合、充電中のバッテリーパックに並列接続され、動力バスを介して同時充電される。たとえば、PACK 1におけるBMS 1は、PACK 1におけるセルの残量と充電中のほかのバッテリーパックPACK 2~PACK Nの残量との差値が所定閾値範囲にあると判断した場合、PACK 1を切断状態から接続状態に切り替え、PACK 1をほかのバッテリーパックと並列接続するように制御し、即ち、PACK 1を充電中のバッテリーパックに並列接続して、動力バスを介して共同に充電するように制御する。上記所定閾値範囲は、充電中のバッテリーパックの残量によって決定される。残量がより高いほかのバッテリーパックは上記方法にしたがって、充電中のバッテリーパックに次々と並列接続して、動力バスを介して共同に充電される。
【0039】
本願のいくつかの実施例では、残量が最も低いバッテリーパックはPACK 2~PACK Nのうちのいずれか1つまたは複数であってもよく、以上の説明に限定されない。残量が最も低いバッテリーパックが複数である場合、各バッテリーパックの残量が実際には完全に同じであるわけではないため、これら複数のバッテリーパックの残量が所定残量範囲にある限り、これら複数のバッテリーパックの残量が略同じであることを示し、残量が最も低いバッテリーパックとして、動力バスに並列接続して同時充電できる。
【0040】
本願のいくつかの実施例では、バッテリーパックを放電状態から充電状態に切り替える際に、まず、予備放電スイッチをオンし、さらに充電スイッチをオンし、最後に、放電スイッチをオンする。本願のいくつかの実施例では、バッテリーパックを充電状態から放電状態に切り替える際に、まず、予備放電スイッチをオンし、さらに放電スイッチをオンし、最後に、充電スイッチをオンする。なお、設置されるスイッチの数及び種類によって、充電状態と放電状態の間で切り替える時のオン順序は以上の説明に限定されず、具体的な状況に応じて選択できる。
【0041】
なお、PACK 1~PACK Nのうちのいずれのバッテリーパックもその状態及びほかのバッテリーパックの状態に応じて、ほかのバッテリーパックとは独立して充電状態、放電状態及び待機状態(即ち、切断状態)の間で切り替わることができ、それにより、バッテリーパックの動的並列管理を実現し、ホスト制御モジュールを別途架設する必要がなく、車両負荷の大電力出力及び容量拡大の需要をリアルタイムに満たすことができ、汎用性が高く、コストが低い。
【0042】
本願のいくつかの実施例では、第1バッテリーパックにおけるBMSは、第1バッテリーパックの故障を監視した場合、該第1バッテリーパックを充電状態または放電状態から切断状態に切り替えるように制御する。また、ほかのバッテリーパックにおけるBMSは、接続状態にあるバッテリーパックが故障して切断状態に切り替わると監視した場合、ほかのバッテリーパックが対応して動力バスを選択して並列接続して出力を供給し続ける。たとえば、ほかのバッテリーパックのうち残量が2番目に高いバッテリーパックは能動的に動力バスに並列接続して出力を供給する。
【0043】
図3-16に示すように、本願のいくつかの実施例における複数のバッテリーパックの並列管理方法のフローチャートであり、各バッテリーパックのBMS制御管理方法については、図3-16では例示的に説明する。BMSはBMS 1であってもよく、BMS 2であってもよく、BMS Nであってもよく、即ち、上記方法はBMS 1~BMS Nのうちのいずれかによって実行できる。
【0044】
図3に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMSの主制御方法のフローチャートである。図3では、いずれかのバッテリーパックにおけるBMS(たとえば、PACK 1におけるBMS 1)は充放電保護判断を行う。充放電保護操作を実行した後、スリープウィークアップ処理を実行する。スリープウィークアップ処理を実行することは以下のステップを含む。BMS制御モジュールはPDSG(即ち、予備放電スイッチ)をオンするように制御し、且つ関連パラメータを初期化し、待機状態に入るか否かを判断する。待機状態に入ると判定した場合(図中、「Y」は「はい」、「N」は「いいえ」を示す)、待機処理と待機操作を実行し、待機状態に入っていないと判定した場合、さらに放電状態に入るか否かを判断する。放電状態に入る場合、放電処理と放電操作を実行し、放電状態に入ってしない場合、充電状態に入るか否かを判断する。充電状態に入ると判定した場合、充電処理と充電操作を実行する。充電状態に入っていないと判定した場合、終了する。
【0045】
図4に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMS(たとえば、BMS 1)が待機処理を実行する方法のフローチャートである。図4では、待機状態に入った後、BMS制御モジュールはt1遅延した後、充電信号を監視したか否かを判断する。t1は0.6sであってもよい。充電信号を監視または受信した場合、さらに充電許可信号または充電許可操作命令を監視または受信したか否かを判断し、充電信号または充電許可操作命令を監視または受信した場合、充電状態に入る。充電許可信号または充電許可操作命令を監視または受信していない場合、終了する。充電信号を監視または受信していない場合、さらに放電許可信号または放電許可操作命令を監視または受信したか否かを判断し、YESである場合、放電状態に入り、NOである場合、終了する。
【0046】
本願のいくつかの実施例では、BMS(たとえば、BMS 1)は、充電信号を監視したとともにほかのバッテリーパックが切断状態にあり且つ複数のバッテリーパックのうちPACK 1の残量が最も高いと監視した場合、放電スイッチ(またはDSG)と充電スイッチ(CHG)をオンして前記PACK 1を切断状態から放電状態に切り替えるように制御する。本願のいくつかの実施例では、BMS 1は、ほかのバッテリーパックのうち1つまたは複数のバッテリーパックが放電状態にあり且つPACK 1の残量が所定閾値範囲を満たすと監視した場合、充電スイッチ(またはCHG)と放電スイッチ(DSG)をオンしてPACK 1を切断状態から放電状態に切り替えるように制御する。
【0047】
図5に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMS(たとえば、BMS 1)が待機操作を実行する方法のフローチャートである。図5では、待機処理ステップの実行の終了後、BMS制御モジュールはPACK 1が動力バスから引き出されるまたは切断するか否かを判断し、YESである場合、すべてのスイッチ、即ち、放電スイッチ、充電スイッチ及び予備放電スイッチをオフし、NOである場合、さらにスリープ条件を満たすか否かを判断する。スリープ条件を満たす場合、予備放電スイッチのみをオンし、スリープ条件を満たさない場合、t2遅延した後、すべてのスイッチをオフする。
【0048】
図6に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMSが放電処理を実行する方法のフローチャートである。図6では、BMS(たとえば、BMS 1)は、放電許可信号または放電許可操作命令を監視または受信したか否かを判断し、YESである場合、放電開始状態であるか否かを判断し、NOである場合、放電終了状態に入る。放電開始状態であると判定した場合、BMSは放電開始関数を実行した後、放電動作状態に入る。放電開始状態ではないと判定した場合、さらに放電動作状態であるか否かを判断する。放電動作状態であると判定した場合、放電動作関数を実行し、放電動作状態ではないと判定した場合、さらに放電終了状態であるか否かを判断する。放電終了状態であると判定した場合、放電終了関数を実行した後、待機状態に入り、放電終了状態ではないと判定した場合、放電処理ステップが終了する。放電開始状態とは、DSGまたは放電スイッチがオフしてからオンするまでの過程に対応する状態である。放電動作状態とは、DSGまたは放電MOSスイッチがオンするまたは大電流放電を許可する状態である。放電終了状態とは、DSGまたは放電スイッチがオンしてからオフするまでの過程に対応する状態である。
【0049】
図7に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMSが放電開始状態に入る方法を実行するフローチャートである。図7では、BMS(たとえば、BMS 1)は放電開始状態に入った後、パック合併通信の有無を監視し、有る場合、さらにほかのバッテリーパックの放電スイッチまたはDSGがオン状態(即ち、DSG=ON)であると監視したか否かを判断し、無い場合、放電開始操作を実行する。ほかのバッテリーパックの放電スイッチがオン状態またはDSG=ONであると監視した場合、パック合併命令を送信した後、放電パック合併操作を実行し、ほかのバッテリーパックの放電スイッチがオン状態またはDSG=ONではないと監視した場合、放電開始操作を実行する。
【0050】
図8に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMSが放電動作状態に入る方法を実行するフローチャートである。図8では、BMS(たとえば、BMS 1)は放電動作状態に入った後、パック合併命令を受信したか否かを判断し、YESである場合、放電パック合併操作を実行し、NOである場合、さらに充電スイッチまたはCHGがオフするか否かを判断する。充電スイッチまたはCHGがオフする(CHG=OFF)場合、さらに放電電流を検出したか否かを判断し、YESである場合、遅延後、CHGをオンし、CHGがオンするまたはCHG=ONである場合、さらに充電保護があるか否かを判断し、NOである場合、終了し、YESである場合、さらに充電電流があるか否かを判断する。充電電流がある場合、CHGをオフし、充電電流がない場合、放電動作状態を終了させる。
【0051】
なお、放電動作状態では、該パック合併命令は、監視したほかのバッテリーパックのパック合併命令である。CHGがオフする場合、放電電流に応じてCHGをオンする操作を実行するか否かを判断する際に、PACK電圧に応じて決定できる。いくつかの実施例では、放電電流がある場合、PACK電圧はバッテリー電圧よりも0.7V低いが、これに限定されない。
【0052】
図9に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMSが放電終了状態に入る方法を実行するフローチャートである。図9に示すように、BMS(たとえば、BMS 1)は放電終了状態では放電終了操作を実行し、放電終了操作を実行した後、放電状態を終了させる。
【0053】
図10に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMSが充電処理を実行する方法のフローチャートである。図10では、BMS(たとえば、BMS 1)は、充電許可信号または充電許可操作命令を監視または受信したか否かを判断し、YESである場合、充電開始状態であるか否かを判断し、NOである場合、充電終了状態に入る。充電開始状態であると判定した場合、BMS(たとえば、BMS 1)は充電開始関数を実行した後、充電動作状態に入る。充電開始状態ではないと判定した場合、さらに充電動作状態であるか否かを判断する。充電動作状態であると判定した場合、充電動作関数を実行し、充電動作状態ではないと判定した場合、さらに充電終了状態であるか否かを判断する。充電終了状態であると判定した場合、充電終了関数を実行した後、待機状態に入り、充電終了状態ではないと判定した場合、充電処理ステップが終了する。充電開始状態とは、CHGまたは充電スイッチがオフしてからオンするまでの過程に対応する状態である。充電動作状態とは、CHGまたは充電スイッチがオンするまたは充電を許可する状態である。充電終了状態とは、CHGまたは充電スイッチがオンしてからオフするまでの過程に対応する状態である。
【0054】
本願のいくつかの実施例では、BMS(たとえば、BMS 1)は、充電信号を監視したとともにほかのバッテリーパックが切断状態にあり且つ複数のバッテリーパックのうちPACK 1の残量が最も低いと監視した場合、充電スイッチ(またはCHG)と放電スイッチ(DSG)をオンしてPACK 1を切断状態から充電状態に切り替えるように制御する。本願のいくつかの実施例では、BMS 1はほかのバッテリーパックのうち1つまたは複数のバッテリーパックが充電状態にあり且つPACK 1の残量が所定閾値範囲を満たすと監視した場合、充電スイッチ(またはCHG)と放電スイッチ(DSG)をオンしてPACK 1を切断状態から充電状態に切り替えるように制御する。
【0055】
図11に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMS(たとえば、BMS 2)が充電開始状態に入る方法を実行するフローチャートである。図11では、BMS 1は充電開始状態に入った後、パック合併通信の有無を監視し、有る場合、さらにほかのバッテリーパックの充電スイッチまたはCHGがオン状態(即ち、CHG=ON)であると監視したか否かを判断し、無い場合、充電開始操作を実行する。ほかのバッテリーパックの充電スイッチがオン状態またはCHG=ONであると監視した場合、パック合併命令を送信した後、充電パック合併操作を実行し、ほかのバッテリーパックの充電スイッチがオン状態またはCHG=ONではないと監視した場合、充電開始操作を実行する。
【0056】
図12に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMS(たとえば、BMS 1)が充電動作状態に入る方法を実行するフローチャートである。図12では、BMSは充電動作状態に入った後、パック合併命令を受信したか否かを判断し、YESである場合、充電パック合併操作を実行し、NOである場合、さらに放電スイッチまたはDSGがオフする(即ちDSG=OFF)か否かを判断する。放電スイッチがオフするまたはDSG=OFFである場合、さらに充電電流を検出したか否かを判断し、充電電流を検出した場合、遅延後、DSGをオンし、充電電流を検出していない場合、充電動作状態を終了させる。放電スイッチがオンするまたはDSG=ONである場合、充電動作状態を終了させる。
【0057】
なお、充電動作状態では、該パック合併命令は監視したほかのバッテリーパックのパック合併命令である。DSGがオフする場合、充電電流に応じてDSGをオンする操作を実行するか否かを判断する際に、PACK電圧に応じて決定できる。いくつかの実施例では、充電電流がある場合、PACK電圧はバッテリー電圧よりも0.7V低いが、これに限定されない。
【0058】
図13に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMS(たとえば、BMS 1)が充電終了状態に入る方法を実行するフローチャートである。図13に示すように、BMSは充電終了状態では充電終了操作を実行し、充電終了操作を実行した後、充電状態を終了させる。
【0059】
図14に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMS(たとえば、BMS 1)が放電操作を実行する方法のフローチャートである。図14では、BMSは放電処理を実行した後、放電が終了するか否かを判断し、YESである場合、充電スイッチをオフしてCHG=OFFにした後、放電スイッチと予備放電スイッチをオフしてDSG=OFFとPDSG=OFFにし、放電操作を終了させ、NOである場合、放電開始操作を実行するか否かを判断する。放電開始操作を実行する場合、放電開始関数を実行し、放電開始操作を実行していない場合、さらに放電パック合併を実行するか否かを判断する。放電パック合併操作を実行する場合、充電スイッチをオフしてCHG=OFFにし、t3遅延した後、さらにほかのバッテリーパックの充電スイッチがオフするか否かを判断し、オフする場合、放電モジュールと予備放電モジュールをオンしてDSG=ONとPDSG=ONにし、放電パック合併操作を終了させ、オフしない場合、パック合併が失敗し、放電パック合併操作を終了させる。t3は1sであるが、これに限定されていない。放電パック合併操作を実行していない場合、さらに充電スイッチをオンする(即ち、CHG=ON)か否かを判断する。YESである場合、さらに総内圧と総外圧との差がVd1よりも小さいか否かを判断し、Vd1よりも小さい場合、充電スイッチをオンしてCHG=ONにし、操作を終了させ、Vd1以上である場合、CHGのオンが失敗し、操作を終了させる。Vd1は0.7Vであるが、これに限定されない。CHGをオンしていない場合、さらにCHGをオフするか否かを判断する。CHGをオフする場合、CHG=OFFであり、操作を終了させ、そうではない場合、放電操作を終了させる。
【0060】
図2に戻って示すように、バッテリーパックにおけるセルの両端B+とB-との間の電圧はPACK総内圧であり、ここで、B+はセルの正極、B-はセルの負極を示し、PACK総内圧はBMSを通過していない電圧である。車両負荷の前側の両端P+とP-との間の電圧はPACK総外圧であり、ここで、P+は動力バスの正極、P-は動力バスの負極である。
【0061】
図15に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMS(たとえばBMS 1)が放電開始を実行する方法のフローチャートである。図15では、BMSは放電開始を実行した後、開始時間が閾値を超えるか否かを判断し、閾値を超える場合、放電開始が失敗すると判定し、操作を終了させ、閾値を超えていない場合、さらにステップ1(即ち、STEP 1)を実行するか否かを判断する。STEP 1を実行すると判定した場合、予備放電スイッチまたはPDSGをオンした後、さらに所定時間t4よりも大きいか否かを判断し、t4よりも大きい場合、ステップ2(即ち、STEP 2)に入り、t4以下である場合、さらに所定時間t5よりも大きいか否かを判断する。t4は1.5s、t5は1sであるが、これに限定されない。t5よりも大きい場合、さらに総外圧が低すぎると判断し、総外圧が低すぎる場合、放電開始が失敗し、操作を終了させ、t5以下である場合、総外圧が総圧とVd2との差よりも大きいか否かを判断し、上記差よりも大きい場合、放電スイッチまたはDSGをオンした後、操作を終了させ、上記差以上である場合、操作を終了させる。Vd2は1.2Vであるが、これに限定されない。STEP 1を実行しないと判定した場合、さらにSTEP 2を実行するか否かを判定する。STEP 2を実行すると判定した場合、予備放電スイッチをオフしまたはPDSG=OFFにし、さらに総外圧の降下の幅がVd3を超えるか否かを判断し、YESである場合、STEP 3に入り、NOである場合、操作を終了させる。Vd3は4Vであるが、これに限定されない。STEP 2を実行しないと判定した場合、STEP 3を実行するか否かを判定する。STEP 3を実行する場合、予備放電スイッチをオンしてPDSG=ONにした後、さらに総外圧が所定閾値よりも大きいか否かを判断し、YESである場合、放電スイッチをオンしてDSG=ONにした後、操作を終了させ、NOである場合、操作を終了させる。
【0062】
具体的には、STEP 1では、PDSGをオンした後、2種の場合がある。第1、総外圧が低く、車両負荷が限定値を超え、放電開始が失敗することを示し、第2、総外圧が総内圧に近く、DSGをオンし、放電開始が成功し、第3、所定時間を超えると、STEP 2に入る。STEP 2では、PDSGをオフした後、総外圧の降下が所定値を超え、外部に通信異常が生じるバッテリーパックが存在するか否かを判断する。STEP 3では、STEP 2で外部に通信異常が生じるバッテリーパックがないと判断したうえで、予備放電電圧が閾値よりも高いと、DSGをオンし、放電開始が成功する。
【0063】
図16に示すように、本願のいくつかの実施例におけるBMSが充電操作を実行する方法のフローチャートである。図16では、BMSは充電処理を実行した後、充電が終了するか否かを判断し、YESである場合、充電スイッチをオンしてCHG=ONにした後、放電スイッチと予備放電スイッチをオンしてDSG=ONとPDSG=ONにし、充電操作を終了させ、NOである場合、充電開始操作を実行するか否かを判断する。充電開始操作を実行する場合、さらに総外圧が総内圧よりも小さいか否かを判断し、YESである場合、PDSG=ONであり、且つt6遅延した後、CHG=ONにし、NOである場合、充電開始が失敗する。t6は1sであるが、これに限定されない。充電開始操作を実行していない場合、さらにDSGをオンするか否かを判断し、YESである場合、さらに総外圧が総内圧とVD4との和に等しいか否かを判断し、YESである場合、DSG=ONとPDSG=ONにし、NOである場合、DSGのオンが失敗し、NOである場合、さらに充電パック合併を実行するか否かを判断し、YESである場合、DSG=OFFにした後、t7遅延し、さらにほかのバッテリーパックのDSGがオフするか否かを判断し、YESである場合、CHG=ONにした後、操作を終了させ、NOである場合、充電パック合併が失敗し、NOである場合、操作を終了させる。t7は1sであるが、これに限定されない。
【0064】
図3-16に示すバッテリーパックシステムにおける単一バッテリーパック(たとえば、BMS 1)の制御方法の実施形態に基づいて、PACK 1~PACK Nのうちいずれのバッテリーパックもその状態とほかのバッテリーパックの状態に応じて、ほかのバッテリーパックとは独立して充電状態、放電状態及び待機状態(即ち、切断状態)の間で切り替わることができ、それによりバッテリーパックの動的並列管理を実現し、ホスト制御モジュールを別途架設する必要がなく、車両負荷の大電力出力及び容量拡大の需要をリアルタイムに満たすことができ、汎用性が高く、コストが低い。
【0065】
本願のいくつかの実施例はBMSをさらに提供し、上記バッテリーパックに適用され、上記並列管理方法を実行する。BMS 1、BMS 2、…、BMS Nのいずれかと同じ機能を有する。
【0066】
本願のいくつかの実施例はバッテリーパックをさらに提供し、上記BMSとセルを含み、PACK 1、PACK 2、…、PACK Nのいずれかと同じ機能を有する。
【0067】
明細書を通して引用される「いくつかの実施例」、「一部の実施例」、「1つの実施例」、「別の例」、「例」、「具体例」または「一部の例」あは、本願の少なくとも1つの実施例または例が該実施例または例で説明された特定の特徴、構造または特性を含むことを意味する。したがって、明細書を通してしばしば説明されるように、たとえば、「いくつかの実施例では」、「実施例では」、「1つの実施例では」、「別の例では」、「1つの例では」、「特定の例では」または「例」は必ずしも本願の同じ実施例または例を引用するものではない。
【0068】
例示的な実施例を図示及び説明したが、当業者であれば、上記実施例は本願を限定するものではなく、本願の精神、原理及び範囲を逸脱せずに実施例に対して変更、代替や修正を行うことができると理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10
図11
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