(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】部品実装機およびフィーダ
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230411BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2021573660
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2020002959
(87)【国際公開番号】W WO2021152690
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓太
(72)【発明者】
【氏名】細井 規生
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-4107(JP,A)
【文献】特開2013-254895(JP,A)
【文献】特開2002-111281(JP,A)
【文献】国際公開第2019/229958(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を収容したテープを所定の供給位置に送り出してからフィーダ本体内のテープ通路を通して排出口から排出するフィーダと、
前記フィーダが着脱可能に取り付けられ、前記排出口から排出された前記テープを導入する導入口が形成されたフィーダ台と、
前記排出口から排出され前記導入口に導入された前記テープを、前記排出口から所定距離離れた位置で切断する切断装置と、
を備える部品実装機であって、
前記フィーダ台への前記フィーダの取り付け方向を基準として、前記排出口の後方側の開口縁から前記導入口の後方側の開口縁までの前記取り付け方向における距離が、前記所定距離よりも大きくなるように構成されている
部品実装機。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装機であって、
前記フィーダは、前記排出口の後方側の開口縁が前記導入口の開口中心よりも前方の位置に設けられている
部品実装機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の部品実装機であって、
前記フィーダが交換装置により自動で交換可能に構成されており、
前記交換装置により前記フィーダ台から前記フィーダが取り外される前に、前記排出口から出ている前記テープを前記フィーダ本体内に巻き戻すように前記フィーダの作動を制御する制御部を備える
部品実装機。
【請求項4】
部品実装機のフィーダ台に着脱可能に取り付けられ、複数の部品を収容したテープを所定の供給位置に送り出してからフィーダ本体内のテープ通路を通して排出口から排出するフィーダであって、
前記排出口から排出され前記フィーダ台の導入口に導入された前記テープが前記排出口から所定距離離れた位置で前記部品実装機の切断装置により切断され、
前記フィーダ台への前記フィーダの取り付け方向を基準として、前記排出口の後方側の開口縁から前記導入口の後方側の開口縁までの前記取り付け方向における距離が、前記所定距離よりも大きくなるように構成されている
フィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品実装機およびフィーダを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の部品実装機としては、複数の部品を収容したテープを所定の供給位置に送り出してからフィーダ本体内のテープ通路を通して排出口から排出するフィーダがフィーダ台に着脱可能に構成されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この部品実装機では、フィーダを取り外す場合に、排出口から出ているテープを巻き戻すものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、フィーダを取り外す際にテープを巻き戻すことで、次にフィーダが取り付けられる際にテープがフィーダとフィーダ台との間に挟まるのを防止することが可能である。しかしながら、テープが巻き戻されることなく作業者によりフィーダが取り外され、作業者の切り忘れにより排出口からテープが出ている状態でフィーダがフィーダ台に取り付けられると、テープがフィーダとフィーダ台との間に挟み込まれることがある。テープが挟み込まれた状態でフィーダがテープを送り出すと、テープがテープ通路内で詰まり、部品の供給位置でテープの浮き上がりなどが生じて部品を適切に供給することができなくなってしまう。
【0005】
本開示は、排出口からテープが出ている状態でフィーダが取り付けられても、テープがフィーダとフィーダ台との間に挟み込まれるのを防止することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の部品実装機は、
複数の部品を収容したテープを所定の供給位置に送り出してからフィーダ本体内のテープ通路を通して排出口から排出するフィーダと、
前記フィーダが着脱可能に取り付けられ、前記排出口から排出された前記テープを導入する導入口が形成されたフィーダ台と、
前記排出口から排出され前記導入口に導入された前記テープを、前記排出口から所定距離離れた位置で切断する切断装置と、
を備える部品実装機であって、
前記フィーダ台への前記フィーダの取り付け方向を基準として、前記排出口の後方側の開口縁から前記導入口の後方側の開口縁までの前記取り付け方向における距離が、前記所定距離よりも大きくなるように構成されている
ことを要旨とする。
【0008】
本開示の部品実装機は、フィーダ台へのフィーダの取り付け方向を基準として、フィーダの排出口の後方側の開口縁からフィーダ台の導入口の後方側の開口縁までの取り付け方向における距離が、排出口から切断位置までの所定距離よりも大きくなるように構成されている。このため、排出口からテープが出ているフィーダがフィーダ台に取り付けられた場合、排出口の後方側の開口縁で後方に折り曲げられたテープの先端が、導入口の後方側の開口縁に届かないから、フィーダ本体と導入口の開口縁との間に挟まれるのを防ぐことができる。したがって、排出口からテープが出ている状態でフィーダが取り付けられた場合に、テープがフィーダとフィーダ台との間に挟み込まれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】フィーダ30がフィーダ台40に取り付けられた状態の部分拡大図である。
【
図6】部品実装システム10の電気的な接続関係を示すブロック図である。
【
図7】フィーダ動作関連処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】比較例において空テープTが挟まれる様子を示す説明図である。
【
図9】実施形態において空テープTが挟まれる様子を示す説明図である。
【
図10】変形例のフィーダ130とフィーダ台140の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の部品実装システム10の外観斜視図である。
図2は、部品実装機20の概略構成図である。
図3は、フィーダ30の概略構成図である。
図4は、フィーダ台40の概略構成図である。
図5は、フィーダ30がフィーダ台40に取り付けられた状態の部分拡大図である。
図6は、部品実装システム10の電気的な接続関係を示すブロック図である。なお、
図1,2中、左右方向をX軸方向とし、前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
【0012】
部品実装システム10は、
図1に示すように、印刷装置12と、印刷検査装置14と、複数の部品実装機20と、実装検査装置(図示せず)と、フィーダ交換ロボット50と、フィーダ保管庫60と、システム全体を管理する管理装置80と、を備える。印刷装置12は、基板S上にはんだを印刷する装置である。印刷検査装置14は、印刷装置12で印刷されたはんだの状態を検査する装置である。部品実装機20は、基板Sの搬送方向(X軸方向)に沿って整列され、フィーダ30から供給された部品を基板Sに実装する装置である。実装検査装置は、部品実装機20で実装された部品の実装状態を検査する装置である。印刷装置12と印刷検査装置14と部品実装機20と実装検査装置は、この順番で基板Sの搬送方向に並べて設置されて生産ラインを構成する。フィーダ交換ロボット50は、生産ラインに沿って移動可能であり、複数の部品実装機20に対して必要なフィーダ30を補給したり部品実装機20から使用済みのフィーダ30や使用予定がなくなったフィーダ30を回収したりする。フィーダ保管庫60は、生産ライン内に組み込まれ、複数のフィーダ30を保管する。
【0013】
部品実装機20は、
図2に示すように、実装機本体21と、実装機本体21に対して着脱可能なフィーダ30と、を備える。実装機本体21は、基板Sを左から右へと搬送する基板搬送装置23と、フィーダ30が供給した部品を吸着する吸着ノズルを有するヘッド24と、ヘッド24を前後方向および左右方向(XY方向)に移動させるヘッド移動機構25と、装置全体を制御する実装制御部29(
図6参照)と、を備える。基板搬送装置23とヘッド24とヘッド移動機構25は、基台22b上に設けられた筐体22a内に配置されている。実装制御部29は、CPUやROM、RAMなどで構成され、基板搬送装置23やヘッド24、ヘッド移動機構25などに駆動信号を出力する。
【0014】
フィーダ30は、
図3に示すように、矩形状のカセット式のテープフィーダであり、フィーダ本体31と、テープリール32と、テープ送り機構33と、コネクタ35と、テープ通路36と、レール部材38と、フィーダ制御部39(
図6参照)と、を備える。
【0015】
テープリール32には、テープTが巻回されている。テープTは、その長手方向に沿って所定間隔で凹部が形成されており、各凹部には、部品が収容されている。これらの部品は、テープTの表面を覆うフィルムによって保護されている。テープ送り機構33は、テープリール32からテープTを引き出して送り出すものであり、テープTに等間隔で設けられた係合穴と係合する係合突起が外周に設けられたスプロケット33sと、スプロケット33sを正逆両回転方向に駆動可能な送りモータ33m(
図6参照)と、スプロケット33sの回転位置を検出する例えば磁気センサなどのセンサ33e(
図6参照)と、を備える。
【0016】
このフィーダ30は、部品の収容ピッチに応じた回転量でスプロケット33sが回転するように送りモータ33mを駆動して、スプロケット33sに係合されたテープTを所定送り量ずつ送り出すことで、テープTに収容された部品を順次、部品供給位置へと供給する。テープTに収容された部品は、部品供給位置の手前でフィルムが剥がされることにより露出した状態となり、部品供給位置で吸着ノズルにより吸着可能となる。コネクタ35は、取り付け方向に突出する2本の位置決めピン34を有する。テープ通路36は、フィーダ本体31内におけるコネクタ35とスプロケット33sとの間に上方から下方へ延びるように形成され、フィーダ本体31の下端に形成された矩形状の排出口37を有する。このため、部品供給位置で部品が取り出されたテープT(以下、空テープTともいう)は、テープ通路36内を通り下端の排出口37から排出される。なお、フィーダ本体31は、テープ通路36を形成する前後方向の内壁36a,36b間の距離(間隔)がフィーダ30で使用されるテープTの厚みよりも若干大きくなるように構成されている。レール部材38は、フィーダ30の下端に設けられ、前後方向に沿って延びている。フィーダ制御部39は、CPUやROM、RAMなどで構成され、センサ33eにより検出されたスプロケット33sの回転位置が入力され、送りモータ33mに駆動信号を出力する。また、フィーダ制御部39は、コネクタ35を介してフィーダ30の取付先の制御部(実装制御部29や管理制御部82など)と通信可能となっている。
【0017】
また、フィーダ30は、
図2に示すように、実装機本体21の筐体22aの前方に設けられたフィーダ台40に、X軸方向に複数並んで着脱可能に保持される。フィーダ台40は、側面視がL字状の台であり、複数のスロット42と、各スロット42に対応する2つの位置決め穴43と、各スロット42に対応するコネクタ44と、を備える。スロット42には、フィーダ30のレール部材38が挿入される。フィーダ台40には、スロット42にレール部材38が挿入されたフィーダ30がスライドすることにより取り付けられる。なお、フィーダ30は、
図3の前後方向に沿ってスライドし、Y軸方向の後方側が取り付け方向における前方側となる(
図5参照)。2つの位置決め穴43には、フィーダ30の2本の位置決めピン34がそれぞれ挿入され、フィーダ30がフィーダ台40に位置決めされる。コネクタ44は、2つの位置決め穴43の間に設けられ、フィーダ30のコネクタ35と接続される。また、フィーダ台40には、フィーダ30のテープ通路36の排出口37と連通する導入口41が形成されている。本実施形態の導入口41は、複数のフィーダ30の排出口37と連通するように長手方向がX軸方向に沿って延びる長方形状に形成されている。テープ通路36を通って排出口37から排出された空テープTは、導入口41から下方へ導入される。
【0018】
部品実装機20には、フィーダ台40の底部に、導入口41から導入された空テープTを切断するための切断装置45が設けられている。切断装置45は、固定刃46と、可動刃47と、可動刃47を駆動するシリンダなどの駆動装置48と、を備える。切断装置45は、駆動装置48により可動刃47を固定刃46に向かって往復動させることで、固定刃46と可動刃47との間の空テープTをハサミによる剪断力によって切断する。切断された空テープTは、筐体22aを支持する基台22bに配設されたダストボックス28に回収される。なお、切断された空テープTは、各部品実装機20の基台22bに、生産ラインに沿って設けられたコンベア装置によって機外に搬送されてもよい。
【0019】
また、
図5に示すように、切断装置45は、フィーダ30の底面の排出口37から所定距離Aだけ離れた切断位置Cpで空テープTを切断するように構成されている。ここで、フィーダ台40にフィーダ30を取り付ける際の取り付け方向(
図5参照)を基準方向として、フィーダ30の排出口37の開口縁のうち前方側(Y軸方向の後方側)を開口縁37a、後方側(Y軸方向の前方側)を開口縁37bとする。同様に、フィーダ台40の導入口41の開口縁のうち前方側を開口縁41a、後方側を開口縁41bとする。本実施形態では、フィーダ台40にフィーダ30を取り付けた状態で、排出口37の後方側の開口縁37bが、導入口41の前後方向における開口中心41cよりも、前方の位置となるようにフィーダ30のテープ通路36(排出口37)やフィーダ台40の導入口41が構成されている。また、排出口37の後方側の開口縁37bから導入口41の後方側の開口縁41bまでの前後方向における距離Bは、所定距離Aよりも大きくなるように構成されている。また、フィーダ30の下端には、排出口37の後方側の開口縁37bから導入口41の後方側の開口縁41bの手前まで延びる逃がし部31eが設けられている。逃がし部31eは、高さ(逃がし量)がテープTの厚みに相当する。また、逃がし部31eは、少なくとも前後方向に所定距離Aの長さがあればよく、排出口37から排出された空テープTが開口縁41bとの隙間に入り込むのを防止するため、開口縁41bの真上に位置しないように設けられている。フィーダ30の排出口37や逃がし部31e、フィーダ台40の導入口41がこのように構成されている理由については後述する。
【0020】
フィーダ交換ロボット50は、
図1に示すように、複数の部品実装機20の前面およびフィーダ保管庫60の前面に基板の搬送方向(X軸方向)に対して平行に設けられたX軸レール16に沿って移動可能である。フィーダ交換ロボット50は、
図6に示すように、ロボット移動機構51と、フィーダ移載機構53と、エンコーダ57と、ロボット制御部59と、を備える。ロボット移動機構51は、X軸レール16に沿ってフィーダ交換ロボット50を移動させる。フィーダ移載機構53は、フィーダ30を部品実装機20やフィーダ保管庫60との間で移載する。エンコーダ57は、フィーダ交換ロボット50の左右方向(X軸方向)の移動位置を検出する。ロボット制御部59は、CPUやROM、RAMなどで構成され、エンコーダ57から検出信号を入力し、ロボット移動機構51やフィーダ移載機構53に駆動信号を出力する。フィーダ交換ロボット50は、ロボット移動機構51やフィーダ移載機構53を制御することにより、部品実装機20と向かい合う位置まで移動して当該部品実装機20のフィーダ台40に対してフィーダ30を自動で着脱する。フィーダ保管庫60は、部品実装機20に設けられるフィーダ台40と同様のフィーダ台を備える。フィーダ交換ロボット50は、ロボット移動機構51やフィーダ移載機構53を制御することにより、フィーダ保管庫60と向かい合う位置まで移動してフィーダ保管庫60のフィーダ台に対してフィーダ30を自動で着脱する。
【0021】
管理装置80は、汎用のコンピュータであり、
図6に示すように、管理制御部82と、キーボードやマウスなどの入力デバイス84と、ディスプレイ86と、記憶装置88と、を備える。管理制御部82は、CPUやROM,RAMなどで構成され、入力デバイス84とディスプレイ86と記憶装置88とが電気的に接続されている。記憶装置88は、HDDやSSDであり、生産に必要な各種情報が記憶されている。また、管理装置80は、実装制御部29と有線により通信可能に接続され、各部品実装機20と各種情報をやり取りする。管理装置80は、フィーダ30が部品実装機20に着脱されたときに、対応する部品実装機20から着脱状況を受信してフィーダ装着情報を最新の情報に更新する。さらに、管理装置80は、ロボット制御部59と無線により通信可能に接続され、各種情報をやり取りする。また、管理装置80は、印刷装置12や印刷検査装置14、実装検査装置の各制御装置とも通信可能に接続され、各種情報をやり取りする。管理装置80は、記憶装置88に記憶している各種情報や各部品実装機20の実装制御部29から受信した実装状況などに基づいて段取り替え発生の有無を判定し、段取り替えが発生したと判定すると、フィーダ30の着脱などを含む段取り替えの指示をロボット制御部59に送信する。また、フィーダ交換ロボット50がフィーダ30を着脱可能な位置まで移動して交換可能な状態となったときに、その旨を実装制御部29に送信する。
【0022】
以下は、フィーダ30の動作に関する処理についての説明である。
図7は、フィーダ動作関連処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、部品実装機20の実装制御部29により実行される。この処理では、実装制御部29は、まず、実装処理中においてヘッド24の吸着ノズルに必要な部品を吸着させるために部品供給位置に部品を送り出す供給タイミングであるか否かを判定する(S100)。実装制御部29は、供給タイミングであると判定すると、部品の収容間隔に応じた所定送り量でテープTを送る指示をフィーダ制御部39に送信して(S110)、S100へ戻る。この指示を受けたフィーダ制御部39は、テープTを所定送り量ずつ送り出すことで、部品供給位置へ部品を順次供給する。なお、実装制御部29は、S100で部品供給タイミングでないと判定すると、S120へ進む。
【0023】
次に、実装制御部29は、部品供給後の切断タイミングであるか否かを判定する(S120)。この切断タイミングは、例えば、部品供給位置に供給された部品をヘッド24が吸着ノズルに吸着して、基板S側に移動を開始したタイミングなどに定められている。実装制御部29は、部品供給後の切断タイミングであると判定すると、空テープTを切断するように切断装置45を制御し(S130)、部品供給後の切断タイミングでないと判定するとS130をスキップする。このように、部品供給後の切断タイミングで切断装置45により空テープTが切断されると、フィーダ本体31の排出口37から導入口41内に垂れ下がった空テープTの長さは所定距離Aとなる。
【0024】
続いて、実装制御部29は、フィーダ交換ロボット50によるフィーダ30の取り外しタイミングであるか否かを判定する(S140)。なお、フィーダ交換ロボット50は、フィーダ30の残部品がなくなったり、実装に必要な部品種が切り替わったりする際に、フィーダ30の自動交換を行う。実装制御部29は、フィーダ交換ロボット50が部品実装機20前に移動して交換可能な状態となったときに、フィーダ30の取り外しタイミングであると判定する。実装制御部29は、S140で取り外しタイミングでないと判定すると、S100に戻り処理を繰り返す。また、実装制御部29は、S140でフィーダ30の取り外しタイミングであると判定すると、空テープTを切断するように切断装置45を制御する(S150)。
【0025】
そして、実装制御部29は、切断装置45による空テープTの切断を行うと、所定戻し量でテープTを戻す指示をフィーダ30に送信することで巻き戻し動作を実行して(S160)、フィーダ動作関連処理を終了する。所定戻し量は、例えばテープ通路36の排出口37から切断装置45の切断位置Cpまでの所定距離Aに定められている。この指示を受けたフィーダ制御部39は、テープTを所定戻し量で巻き戻すことで、フィーダ本体31から外部に出ている空テープTをフィーダ本体31内に収容することができる。なお、所定戻し量は、所定距離Aに相当する量であればよく、所定距離Aに若干のマージンを加えた量などとしてもよい。
【0026】
このように、フィーダ交換ロボット50によりフィーダ30が自動で取り外される際には、空テープTの切断動作と巻き戻し動作とが行われることで、フィーダ本体31から外部に出ている空テープTがフィーダ本体31内に確実に収容されることになる。即ち、フィーダ30から空テープTが垂れ下がっていない状態とした上でフィーダ30が取り外される。このため、フィーダ30が次にフィーダ台40に取り付けられる際に、空テープTがフィーダ30とフィーダ台40との間に挟まれるのを防止することができる。
【0027】
しかし、フィーダ30による部品の供給エラーなどが生じた際に、作業者が点検を行うためにフィーダ30を取り外す場合がある。また、フィーダ交換ロボット50によらずに、作業者によりフィーダ30が交換される場合もある。それらの場合、空テープTの巻き戻し動作が実行されずにフィーダ30が取り外されることがある。その場合でも、フィーダ30から垂れ下がったテープTを作業者が切れば、フィーダ30が自動で取り外された場合と同様に、空テープTがフィーダ30とフィーダ台40との間に挟まれるのを防止することは可能である。しかし、作業者がテープTを切り忘れると、そのフィーダ30が次にフィーダ台40に取り付けられた際に、空テープTがフィーダ30とフィーダ台40との間に挟まれるおそれがある。
図8は比較例において空テープTが挟まれる様子を示す説明図である。比較例のフィーダ130では、排出口137の後方側の開口縁137bから導入口41の後方側の開口縁41bまでの距離Cが所定距離Aよりも小さな距離となるように構成されている。このため、空テープTが垂れ下がった状態のフィーダ30がフィーダ台40に取り付けられた際に、空テープTの先端がフィーダ30とフィーダ台40(開口縁41b)との間から抜けずに挟まれたままとなることがある。なお、空テープTは、テープリール32に巻回されていた際の巻き癖により、取り付け方向の後方側に曲がる傾向にあるから、フィーダ30とフィーダ台40(開口縁41b)との間から抜けずに挟まれたままとなりやすい。このように、空テープTが挟まれたままの状態でテープTの送り出しが行われると、テープ通路36内に空テープTが溜まっていき、やがてテープ詰まり(ジャム)が発生し部品供給位置でテープTの浮き上がりが生じて部品を正常に供給できなくなってしまう。
【0028】
これに対し、
図9は実施形態において空テープTが挟まれない様子を示す説明図である。本実施形態では、比較例に比べて、テープ通路36を形成する内壁36bと開口縁37bとが取り付け方向の前方側に位置している。即ち、上述したように、排出口37の後方側の開口縁37bから導入口41の後方側の開口縁41bまでの距離Bが所定距離Aよりも大きくなっている。このため、所定距離Aに相当する長さの空テープTが垂れ下がったフィーダ30がフィーダ台40に取り付けられても、空テープTの先端がフィーダ30とフィーダ台40(開口縁41b)との間から抜け出て(
図9中点線参照)、導入口41内に位置することになる(
図9中実線参照)。また、フィーダ30の下端にはテープTの厚みに相当する逃がし部31eが設けられている。このため、フィーダ30が取り付けられる場合に、開口縁37bが開口縁41bの真上となる位置からフィーダ30を取り付け方向の前方に移動させる際にフィーダ30と開口縁41bとの間で空テープTを挟み込むのを防止することができる。これらのことから、空テープTが垂れ下がったフィーダ30がフィーダ台40に取り付けられる際に、空テープTの先端が取り付け方向の後方側に曲がってもフィーダ30とフィーダ台40との間に空テープTが挟み込まれるのを防止して、テープ詰まりが発生するのを防止することができる。
【0029】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のフィーダ30がフィーダに相当し、排出口37が排出口に相当し、フィーダ台40がフィーダ台に相当し、導入口41が導入口に相当し、切断装置45が切断装置に相当し、部品実装機20が部品実装機に相当する。また、フィーダ交換ロボット50が交換装置に相当し、実装制御部29が制御部に相当する。
【0030】
以上説明した部品実装機20では、フィーダ30の排出口37の後方側の開口縁37bからフィーダ台40の導入口41の後方側の開口縁41bまでの距離Bが、排出口37から切断位置Cpまでの所定距離Aよりも大きくなるように構成されている。これにより、排出口37から空テープTが出ているフィーダ30がフィーダ台40に取り付けられた場合に、空テープTがフィーダ30とフィーダ台40との間に挟み込まれるのを防止することができる。
【0031】
また、排出口37の後方側の開口縁37bを導入口41の開口中心41cよりも前方の位置に設けることにより、フィーダ台40の導入口41の開口サイズの変更や切断装置45の駆動装置48(シリンダ)のストローク変更などを行うことなく、空テープTが挟み込まれるのを防止することができる。
【0032】
また、フィーダ交換ロボット50によりフィーダ30が自動で交換可能に構成されており、フィーダ交換ロボット50によりフィーダ30が自動で取り外される前に、空テープTをフィーダ本体31内に巻き戻すように制御する。このため、自動で取り外されたフィーダ30の空テープTが、フィーダ30とフィーダ台40との間に挟み込まれるのをより確実に防止することができる。また、本実施形態では、フィーダ交換ロボット50によらず作業者により取り外されたフィーダ30が取り付けられる場合でも、空テープTが挟み込まれるのを防止することができる。
【0033】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、排出口37の後方側の開口縁37bが導入口41の開口中心41cよりも前方の位置に設けられているものとした。即ちフィーダ30は、比較例の
図8のフィーダ130の開口縁137bに比べて開口縁37bが前方に位置することで、開口縁37bから開口縁41bまでの距離Bを所定距離Aよりも大きくしたが、これに限られるものではない。
図10は、変形例のフィーダ130とフィーダ台140の概略構成図である。変形例では、比較例と同じ構成のフィーダ130と、実施形態のフィーダ台40と異なる構成のフィーダ台140とを示す。このフィーダ台140では、導入口141の後方側の開口縁141bが、実施形態や比較例の導入口41の開口縁41bよりも後方に位置することで、排出口137の開口縁137bから導入口141の開口縁141bまでの取り付け方向における距離Bを確保している。これにより、実施形態と同様に、所定距離Aに相当する長さの空テープTが垂れ下がったフィーダ130がフィーダ台140に取り付けられても、空テープTがフィーダ130とフィーダ台140(開口縁141b)との間に挟み込まれるのを防止することができる。
【0035】
上述した実施形態では、フィーダ交換ロボット50によりフィーダ30が自動で取り外される前に、切断装置45で空テープTを切断してから巻き戻したが、これに限られず、空テープTを切断することなく巻き戻してもよいし、空テープTを切断するものの巻き戻さないものとしてもよい。ただし、空テープTの挟み込みをより確実に防止するため、実施形態のように空テープTを切断してから巻き戻すものが好ましい。
【0036】
上述した実施形態では、フィーダ交換ロボット50によりフィーダ30が自動で交換されるものを例示したが、これに限られず、フィーダ交換ロボット50による自動交換が行われなくてもよい。即ち、部品実装システム10がフィーダ交換ロボット50を備えなくてもよい。そのようにする場合、
図7のフィーダ動作関連処理のS140~S160を省略し、S130の後はS100に戻るものなどとすればよい。
【0037】
上述した実施形態では、フィーダ30に逃がし部31eが設けられるものとしたが、これに限られず、逃がし部31eが設けられないものとしてもよい。そのようにする場合、開口縁41bの部材を上下動可能に構成しておき、フィーダ30を取り付けるときには開口縁41bの部材を下方に逃がし、フィーダ30を取り付けた後に開口縁41bの部材を上方に移動させるようにしてもよい。
【0038】
ここで、本開示の部品実装機は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の部品実装機において、前記フィーダは、前記排出口の後方側の開口縁が前記導入口の開口中心よりも前方の位置に設けられているものとしてもよい。こうすれば、フィーダ台や切断装置の構成に大きな変更を行うことなく、フィーダ本体の排出口の構成を変更するだけでテープが挟み込まれるのを防止することができる。
【0039】
本開示の部品実装機において、前記フィーダが交換装置により自動で交換可能に構成されており、前記交換装置により前記フィーダ台から前記フィーダが取り外される前に、前記排出口から出ている前記テープを前記フィーダ本体内に巻き戻すように前記フィーダの作動を制御する制御部を備えるものとしてもよい。こうすれば、交換装置により取り外されたフィーダのテープが、フィーダとフィーダ台との間に挟み込まれるのを確実に防止することができる。また、本開示では、交換装置によらず作業者により取り外されたフィーダが取り付けられる場合でも、テープが挟み込まれるのを防止することができる。
【0040】
本開示のフィーダは、部品実装機のフィーダ台に着脱可能に取り付けられ、複数の部品を収容したテープを所定の供給位置に送り出してからフィーダ本体内のテープ通路を通して排出口から排出するフィーダであって、前記排出口から排出され前記フィーダ台の導入口に導入された前記テープが前記排出口から所定距離離れた位置で前記部品実装機の切断装置により切断され、前記フィーダ台への前記フィーダの取り付け方向を基準として、前記排出口の後方側の開口縁から前記導入口の後方側の開口縁までの前記取り付け方向における距離が、前記所定距離よりも大きくなるように構成されていることを要旨とする。
【0041】
本開示のフィーダは、上述した部品実装機と同様に、排出口からテープが出ている状態でフィーダがフィーダ台に取り付けられた場合に、テープがフィーダとフィーダ台との間に挟み込まれるのを防止することができる。なお、このフィーダにおいて、上述した部品実装機のフィーダの構成を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示は、フィーダや部品実装機の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 部品実装システム、12 印刷装置、14 印刷検査装置、16 X軸レール、20 部品実装機、21 実装機本体、22a 筐体、22b 基台、23 基板搬送装置、24 ヘッド、25 ヘッド移動機構、28 ダストボックス、29 実装制御部、30,130 フィーダ、31 フィーダ本体、31e 逃がし部、32 テープリール、33 テープ送り機構、33s スプロケット、33m 送りモータ、33e センサ、34 位置決めピン、35 コネクタ、36,136 テープ通路、36a,36b 内壁、37,137 排出口、37a,37b,137b 開口縁、38 レール部材、39 フィーダ制御部、40,140 フィーダ台、41,141 導入口、41a,41b,141b 開口縁、41c 開口中心、42 スロット、43 位置決め穴、44 コネクタ、45 切断装置、46 固定刃、47 可動刃、48 駆動装置、50 フィーダ交換ロボット、51 ロボット移動機構、53 フィーダ移載機構、57 エンコーダ、59 ロボット制御部、60 フィーダ保管庫、80 管理装置、82 管理制御部、84 入力デバイス、86 ディスプレイ、88 記憶装置、Cp 切断位置、S 基板、T テープ。