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▶ ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】モジュラー式タバコ産業製品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/00 20200101AFI20230411BHJP
【FI】
A24D1/00
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022003629
(22)【出願日】2022-01-13
(62)【分割の表示】P 2020505234の分割
【原出願日】2018-07-30
(65)【公開番号】P2022058605
(43)【公開日】2022-04-12
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】1712380.3
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュフォース、デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ブラッチフォード、ポール
【審査官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0064995(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0029106(US,A1)
【文献】国際公開第2015/151158(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/021550(WO,A1)
【文献】中国実用新案第206213267(CN,U)
【文献】特表2015-536675(JP,A)
【文献】特表2014-518079(JP,A)
【文献】国際公開第2016/040580(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00-A24F47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルターエレメントと、
第1の喫煙材とくり抜かれた溝とを備える第1ロッドと、
第2の喫煙材を備える第2ロッドと、を含むモジュラー式タバコ産業製品であって、前記第2ロッドは外方ラッパーを有し、当該外方ラッパーは透過性であり、前記くり抜かれた溝は第2ロッドを収容するように構成されていて、消費者が第2ロッドをくり抜かれた溝に挿入できるモジュラー式タバコ産業製品。
【請求項2】
第1の喫煙材は第2の喫煙材とは異なることを特徴とする請求項1記載のモジュラー式タバコ産業製品。
【請求項3】
くり抜かれた溝は第1の喫煙材のほぼ全長に沿って延びていることを特徴とする請求項1または2記載のモジュラー式タバコ産業製品。
【請求項4】
くり抜かれた溝は実質的に円筒形状であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のモジュラー式タバコ産業製品。
【請求項5】
第1ロッドはくり抜かれた溝の周辺部に位置する管状部材をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載のモジュラー式タバコ産業製品。
【請求項6】
第1の喫煙材および/または第2の喫煙材はタバコ材を含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載のモジュラー式タバコ産業製品。
【請求項7】
第2の喫煙材は植物性原料を含むことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載のモジュラー式タバコ産業製品。
【請求項8】
第2ロッドは、締まりばめによって第1ロッドのくり抜かれた溝内に保持されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載のモジュラー式タバコ産業製品。
【請求項9】
フィルターエレメントと、くり抜かれた溝を備える第1の喫煙材からなる第1ロッドと、第2の喫煙材からなる第2ロッドとを含み、前記第2ロッドは外方ラッパーを有し、当該外方ラッパーは透過性であり、前記くり抜かれた溝は第2ロッドを収容するように構成されているモジュラー式タバコ産業製品組立てキット。
【請求項10】
フィルターエレメントと、
第1の喫煙材とくり抜かれた溝とを備える第1ロッドと、
第2の喫煙材を備える第2ロッドと、を含み、前記第2ロッドは外方ラッパーを有し、当該外方ラッパーは透過性であり、前記くり抜かれた溝は第2ロッドを収容するように構成されていて、消費者が第2ロッドをくり抜かれた溝に挿入できるモジュラー式タバコ産業製品を含むパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモジュラー式タバコ産業製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にタバコ産業製品はラッパーで包装されたタバコロッドと、タバコロッドと端部同士を整列させたフィルターとを含む。消費者の喫煙感を変える風味剤または植物性原料は、フィルター内、タバコロッド内またはフィルターとタバコロッドの間に配することができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様では、第1の喫煙材とくり抜かれた溝とを備える第1ロッドと、第2の喫煙材を備える第2ロッドとを含むモジュラー式タバコ産業製品であって、このくり抜かれた溝は第2ロッドを収容するように構成されていて、消費者が第2ロッドをくり抜かれた溝に挿入できるモジュラー式タバコ産業製品を供する。
【0004】
一部の実施態様では、第1の喫煙材は第2の喫煙材とは異なる。
【0005】
一部の実施態様では、くり抜かれた溝は第1の喫煙材のほぼ全長に沿って延びている。
【0006】
一部の実施態様では、くり抜かれた溝は実質的に円筒形状である。
【0007】
一部の実施態様では、第1ロッドはくり抜かれた溝の周辺部に位置する管状部材をさらに含む。
【0008】
一部の実施態様では、第1の喫煙材および/または第2の喫煙材はタバコ材を含む。
【0009】
一部の実施態様では、第2の喫煙材は植物性原料を含む。
【0010】
一部の実施態様では、第2ロッドは外方ラッパーを有する。
【0011】
一部の実施態様では、外方ラッパーは透過性である。
【0012】
一部の実施態様では、第2ロッドは締まりばめによって第1ロッドのくり抜かれた溝内に保持される。
【0013】
一部の実施態様では、モジュラー式タバコ産業製品はフィルターエレメントをさらに含む。
【0014】
本発明の第2の態様では、モジュラー式タバコ産業製品組立てキットであって、このキットはくり抜かれた溝を備える第1の喫煙材からなる第1ロッドと、第2の喫煙材からなる第2ロッドとを含み、このくり抜かれた溝は第2ロッドを収容するように構成されているキットが提供される。
【0015】
本発明の第3の態様では、第1の喫煙材の第1ロッドのくり抜かれた溝へ挿入するように構成されている喫煙材を含むロッドが提供される。
【0016】
一部の実施態様では、本発明の第3の態様であるロッドの直径は4mmから6mmの間であり、ロッドの長さは70mm未満である。
【0017】
一部の実施態様では、本発明の第3の態様であるロッドは、透過性の外方ラッパーをさらに含む。
【0018】
一部の実施態様では、本発明の第3の態様であるロッドは、フィルターを含まない。
【0019】
本発明の第4の態様では、第1の喫煙材とくり抜かれた溝とを備える第1ロッドと、第2の喫煙材を備える第2ロッドとを含むパッケージであって、このくり抜かれた溝は第2ロッドを収容するように構成されていて、消費者が第2ロッドをくり抜かれた溝に挿入できるパッケージを供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施態様を添付図面を参照し、あくまで例示として説明する。
図1a】本発明の一実施態様のモジュラー式タバコ産業製品を示す。
図1b】本発明の一実施態様のモジュラー式タバコ産業製品を示す。
図1c】本発明の一実施態様のモジュラー式タバコ産業製品を示す。
図2】第1ロッドの横断面図である。
図3a】第1ロッドの側面図である。
図3b】第1ロッドの側面図である。
図4】第2ロッドの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で使用される「タバコ産業製品」なる用語は、タバコ産業によって製造または販売される全ての商品を指し、通常は、a)紙巻きタバコ、シガリロ、葉巻タバコ、パイプ用あるいは手巻きタバコ用のタバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ代替品のいずれかをベースにしているかに関係なく)、b)嗅ぎタバコ、スヌース、ハードタバコおよび非燃焼加熱(HnB)製品のような、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替品を取り入れた非喫煙製品、およびc)吸入器、電子タバコを含むエアロゾル発生装置、トローチおよびガムのようなその他のニコチン送出装置を含む。この一覧は排他的なものではなく、タバコ産業で製造され販売される製品の範囲を単に例示したにすぎない。
【0022】
一部の実施態様では、本発明は喫煙品に関する。本明細書中で使用する、「喫煙品」なる用語は、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品をベースにしているかに関係なく紙巻きタバコ、シガーおよびシガリロなどの喫煙可能な製品、非燃焼加熱(Hnb)製品、および電子タバコを含むエアロゾル発生装置のようなその他のニコチン送出製品を含む。喫煙品は、喫煙者が気体流を吸引するためのフィルターを備えてもよい。
【0023】
喫煙者は、好みのブランドやタイプの紙巻きタバコを有する。例えば、味、タバコの強さあるいは紙巻きタバコの持続時間などの理由で特定のタイプの紙巻きタバコを喫煙者は選択する。喫煙者にとって最も重要な紙巻きタバコの特徴のひとつが味である。異なるタバコ産業製品のブランドの間で、味はとても多岐にわたる。タバコ製造会社は、一年中を通しておよび毎年毎年、紙巻きタバコ製品が確実に同じ味を提供できるようあらゆる努力をしている。このことによって、特定のタイプのタバコ産業製品が一貫した味を保ち、新しい紙巻きタバコを吸う際、ユーザーに安心感を与える。しかしながら、最近、ユーザーが介在して紙巻きタバコの味を選択するまたは変更することがより普及してきている。ユーザーは、例えば、メントールのような風味剤を有するカプセルを介して、紙巻きタバコの味をより調節することができる。味を変えるために、ユーザーは使用前あるいは使用中に紙巻きタバコのフィルター内に配置された風味剤を有するカプセルをつぶすことができる。カプセルは、独特の非タバコ風味をタバコ産業製品に付与するようにできており、消費者が(カプセルをつぶすことによって)風味を加えるか加えないかを選択することができる。
【0024】
喫煙者は、通常、その中に複数の風味の紙巻きタバコのパッケージを購入することができない。消費者調査によると、喫煙者は例えば、1日の内の異なる時間において、異なった味のタバコ産業製品を消費したいと思っている。このために、現状では複数の商品を購入しなければならない。ユーザーは、パッケージを購入した後では、異なる味を選択することができない、つまり自らの選択に縛られることになる。
【0025】
本発明はユーザーが組立てるモジュラー式タバコ産業製品を供する。特に、第1の喫煙材を備える第1ロッドと第2の喫煙材を備える第2ロッドをユーザーに提供する。第1ロッドは、第2ロッドを収容するように構成されたくり抜かれた溝を含む。よって、ユーザーはタバコ産業製品を喫煙する時に第2ロッドを選択してもよい。一部の実施態様では、ユーザーは望む喫煙感を得るために第2の喫煙材の特質に基づき挿入する第2ロッドを選択してもよい。
【0026】
組立てた際、本発明のモジュラー式タバコ産業製品は典型的なタバコ産業製品とほぼ同じように見えてもよい。例えば、モジュラー式タバコ産業製品は紙巻きたばと同じように見えてもよい。モジュラー式タバコ産業製品はタバコロッドとフィルターを含んでもよい。本発明では、タバコ産業製品は特許請求の範囲で定義されたように第1ロッドと第2ロッドを含む。ユーザーはフィルターの吸い口端を口にくわえ、タバコロッドの自由端に火をつける。フィルターは、あらゆる典型的な構造であってもよい。例えば、ユーザーが吸い口端を介して吸引する時、気体流から物質をろ過するために使用されるセルロースアセテートのプラグをフィルターは有してもよい。
【0027】
図1a、1bおよび1cは、本発明のある実施態様のモジュラー式タバコ産業製品6を示す。具体的には、第1ロッド9のくり抜かれた溝8に第2ロッド7を挿入する工程を示す。ユーザーは、確実に第2ロッド7が第1ロッド9のくり抜かれた溝8と軸方向に整列するように第1ロッド9の自由端5に隣接させて第2ロッド7の端部を配置することによってタバコ産業製品6を組み立てる。第2ロッド7とくり抜かれた溝8が軸方向に整列した後、ユーザーは第1ロッドと第2ロッドを符号10で示すように一緒に押し、第2ロッド7をくり抜かれた溝8の中へとスライドさせる。ユーザーは、図1cで示すように第1ロッドのくり抜かれた溝8の中に第2ロッド7が完全に挿入されるまで押し続ける。
【0028】
一部の実施態様では、第2ロッドはくり抜かれた溝より長い。第2ロッドがくり抜かれた溝より長い場合、第2ロッドがくり抜かれた溝内に完全に挿入された時、第2ロッドの一部は第1ロッドの自由端を越えて延びることになる。従って、使用中、ユーザーは第2ロッドの先端に火をつけるだけよく、それによって第2ロッドの端部で燃えさしが燃焼することで第1ロッドの喫煙材に接触し、火がつくまで第2の喫煙材からの風味だけを体験することができ、その後、ユーザーは第1および第2喫煙材両方の全ての風味を享受する。あるいは、第2ロッドはくり抜かれた溝より短くてもよい。第2ロッドがくり抜かれた溝より短い場合、ユーザーは、どの程度深く第2ロッドを挿入するべきか決定することができる。例えば、ユーザーは、第2ロッドの端部と第1ロッドの端部が整列するように、第2ロッドをくり抜かれた溝へと滑り込ませてもよい。あるいは、タバコ産業製品の自由端に窪みを形成するために第2ロッドの端部をくり抜かれた溝の中に保持するように、ユーザーは第2ロッドをくり抜かれた溝へとさらに滑りこませてもよい。第2ロッドをさらにくり抜かれた溝へと滑り込ませた場合、ユーザーは、最初にタバコ産業製品に火をつける時、第1ロッドだけに火をつけてもよい。使用中、燃えさしは第1ロッドの長さに沿って動くことになり第2ロッドに火をつける。第2ロッドが、第1ロッドの開口端にない場合、第2ロッドに火がつき、ユーザーが第1の喫煙材と第2の喫煙材両方の全ての風味を享受するまで、第1の喫煙材からの風味のみを体験することになる。
【0029】
一部の実施態様では、第2ロッドは摩擦により第1ロッドのくり抜かれた溝内に保持される。特に第2ロッドは、締まりばめによって第1ロッドのくり抜かれた溝の中に保持されてもよい。あるいは、第2ロッドはフック構造などの固定機構によってくり抜かれた溝内に保持されてもよい。別の実施態様では、グリセロール、プロピレングリコールまたは糖類などの接着剤で第2ロッドは、くり抜かれた溝内で保持されてもよい。一部の実施態様では、一度、第2ロッドがくり抜かれた溝へと挿入されたら、第2ロッドは取り除いたり、取り外したりすることはできない。第2ロッドは一度、くり抜かれた溝へ挿入されたら、タバコ産業製品を喫煙中はずっと第2ロッドがその場所に留まっていることが望ましい。
【0030】
組立てられたタバコ産業製品の長さに沿って複数のロッドが均等に燃焼するように、各ロッドの燃焼速度を選択することができるようにしてもよい。タバコ産業製品を消費する時、第1ロッドおよび第2ロッドの喫煙材から一貫して混合された煙をユーザーは体験する。
【0031】
一方では、第1および第2ロッドが異なる速度で燃焼するように選択されてもよい。例えば、第2ロッドは第1ロッドより速く燃焼してもよい。第2ロッドが第1ロッドより速く燃焼した場合、最初のパフの間、第2の喫煙材からより強い影響を消費者は体験するはずである。特に、紙巻きタバコの1回目、2回目および3回目のパフの間は、ユーザーは
第2の喫煙材からの影響のみ体験してもよい。このような一部の実施態様では、最後に至る1回目、2回目、3回目、4回目または5回目のパフの間は、ユーザーは第2の喫煙材から一切の影響を体験しないことになる。さらにいえば、タバコ産業製品を喫煙している間ずっと、第1の喫煙材からのより長い影響を消費者は体験してもよい。
【0032】
第1ロッドは、第1の喫煙材とくり抜かれた溝とを含む。
【0033】
一部の実施態様では、第1の喫煙材はタバコ材を含む。本明細書で使用する「タバコ」なる用語は、あらゆる喫煙材を指し、例えば、タバコ属植物のあらゆる種の葉、葉の部分、花、根および茎およびそれらの混合物、再生タバコ、タバコ代替物、タバコ派生物、ドライフルーツまたはハーブなどを含むが、それらの一部に限定されない。一部の実施態様では、タバコ材は、細断タバコ、粉末状タバコ、再生タバコ、タバコ繊維、タバコシート、刻みタバコ葉身、刻みタバコ混合物、膨張タバコおよびタバコ葉柄の1つ以上を含む。
【0034】
一部の実施態様では、第1ロッドは、不燃性の無機充填材混合物、バインダーおよびエアロゾル発生手段をブレンドしたものを含む喫煙充填材を含む。これらの充填材は、切断されたあるいは細断されたシート状であってもよい。
【0035】
一部の実施態様では、第1ロッドは、ロッドの構造および形状を維持する手段を含み、保管や運搬中にくり抜かれた溝がつぶれないようにする。
【0036】
一部の実施態様では、くり抜かれた溝の長さに沿って位置する管状部材によってくり抜かれた溝は画定され、この管状部材は第1ロッドの構造を維持する手段および支持体として機能する。図2は、第1の喫煙材の管22と、くり抜かれた溝8と、くり抜かれた溝8の周辺部に位置する管状部材12とを備える第1ロッドの横断面図である。くり抜かれた溝の長さに沿って管状部材がある場合、使用前に第1ロッドがつぶれないようにするために役立つ。加えて、管状部材は第1の喫煙材の破片が、たとえば運搬および保管の間に失われないようにするために役立つ。
【0037】
一部の実施態様では、管状部材は、紙のような比較的可撓性のある材料を含んでもよい。例えば、紙は紙巻きタバコの周りを包むために通常使用される紙のようなタバコ産業に使用されるあらゆる典型的な紙を含んでもよい。あるいは、その他のセルロース材料または再生タバコシートを使用してもよい。管状部材が比較的可撓性のある材料を含む場合、第1ロッドおよび/またはくり抜かれた溝が変形可能であってもよい。
【0038】
あるいは、管状部材は比較的剛性を有する材料を含んでもよい。管状部材が剛性を有する材料を含む場合、第1ロッドの全体の剛性および硬度は増大する。好適な剛性を有する材料は、厚紙、二重包装紙、セルロース系材料、セラミックあるいはアルギン酸塩を含んでもよい。さらに、剛性を有する管状部材は、運搬中あるいは使用中のいずれかにおいて、くり抜かれた溝が変形することを防ぐために役立つ。一部の実施態様では、管状部材は、弾性変形可能であってもよい。
【0039】
一部の実施態様では第1ロッドは、標準的な環状または同軸の紙巻きタバコの製造工程によって製せられる。
【0040】
一部の実施態様では第1ロッドの喫煙材は、十分な固有の構造的完全性を有していて、通常の使用ではくり抜かれた溝がつぶれないようになっていてもよい。例えば、第1の喫煙材は、その構造的完全性を増大するための、糖類およびアカシアゴムのバインダーのような添加剤を含んでもよい。第1の喫煙材が、その構造的完全性を増大するための添加剤を含む場合は、くり抜かれた溝は、上記の管状部材のような支持体を必要とすることなく形を維持することができる。
【0041】
一部の実施態様では、第1の喫煙材は、変形可能だが、元の形に戻る弾性のある材料となるように押し出しされる。押し出しされた喫煙材は、押し出された喫煙材と架橋剤の混合物を押し出すことによって供されてもよい。好適な架橋剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステムプロテイン、アルギン酸塩、ゴムを含む。
【0042】
図3aおよび3bは、第1ロッド9と様々な長さのくり抜かれた溝8の側を示す。例えば、図3aは第1ロッド9の長さに沿って、一部分だけ延びてくり抜かれた溝8を示す。一方で、図3bは、第1ロッド9のほぼ全長に亘って延びているくり抜かれた溝8を示す。
【0043】
一部の実施態様では、くり抜かれた溝は第1ロッドの長さに沿って一部分だけ延びる。例えば、くり抜かれた溝は第1ロッドの端部から約6mm延び、パフ温度分布を狭くするために、第1の喫煙材を含む中実セクションを残す。
【0044】
一部の実施態様では、第2ロッド7は、くり抜かれた溝8と同じ長さである。従って、くり抜かれた溝が一部分だけ第1ロッドの長さに沿って延びている場合、第2ロッド7は第1ロッド9の長さに沿って一部分だけ延びてもよい。あるいは、くり抜かれた溝が第1ロッドのほぼ全長に延びている場合、第2ロッドは第1ロッド9のほぼ全長に延びてもよい。第2ロッド7が一部分だけ第1ロッド9の長さに沿って延びている場合、ユーザーは、最初のパフの間は、第2ロッド7からの風味のみを体験することになる。一方で、第2ロッド7が第1ロッド9のほぼ全長にわたって延びている場合、ユーザーは、最後のパフおよびそれまでの数パフまで、第2の喫煙材7からの風味を体験することができる。例えば、最後の1、2、3、4または5パフである。
【0045】
一部の実施態様では、第1ロッド9の外形寸法は標準的なキングサイズの紙巻きタバコの喫煙材ロッドと同じである。例えば、第1ロッドの長さは、約56mmで第1ロッドの外径は、約7.8mmである。第1ロッドの外径がスタンダードキングサイズの紙巻きタバコの喫煙材ロッドと同じである場合、くり抜かれた溝は、スーパースリムサイズの紙巻きタバコと同じ大きさのタバコロッドを収容するように構成されることが好ましい。例えば、くり抜かれた溝は約5.4mmの直径を有する。あるいは、第1ロッドの外径寸法がキングサイズの紙巻きタバコより小さい場合、くり抜かれた溝もまたより小さな直径を有する。
【0046】
図2に示すように第1ロッドを形成する第1の喫煙材の内径と外径の間の距離は、約2mm、3mm、4mmまたは5mmであってもよい。
【0047】
第2ロッドは第2の喫煙材を含む。一部の実施態様では、第2の喫煙材は第1の喫煙材とは異なる。第1ロッドは異なる喫煙材を含む第2ロッドを有するモジュラー式タバコ産業製品は、タバコロッドに単一の喫煙材を有するタバコ産業製品と比べて異なる風味をユーザーに提供する。
【0048】
第2ロッドの寸法は、第1ロッドのくり抜かれた溝へ挿入できるように選択することができる。一部の実施態様では、第2ロッドは、第2ロッドは第1ロッドのくり抜かれた溝と同じ長さを有する。一部の実施態様では、第2ロッドの直径は、締まりばめによって第1ロッドのくり抜かれた溝に挿入できる。
【0049】
一部の実施態様では、第2ロッドの直径は標準的なスーパースリムタバコと同じである。例えば、第2ロッドの直径は約5.4mmである。
【0050】
一部の実施態様では、第2ロッドは、第1ロッドに使用される上述の1つ以上のタバコ材を含む。一部の実施態様では、第2の喫煙材は、植物性原料を含んでもよい。あらゆる好適な植物性原料をモジュラー式タバコ産業製品に採用してもよい。植物性原料は、粉末、くず、破砕された顆粒、粒子、ペレット、小片、細片、シート等の形体であって、均質化された植物、再生された植物、処理された植物、押し出しされた植物、膨張させた植物などの葉、茎、種子、根、皮、花、破片あるいは葉脈の内の1つ以上を含む。植物性原料は、茶、ペパーミント、スペアミント、ココア、ローレル、ユーカリ、ゼラニウム、バジル、セージ、バーベナ、タラゴンおよびシナモン、クローブ、ショウガ等の香辛料を含んでもよい。
【0051】
一部の実施態様では、第1ロッドは、第2ロッドで使用される上述の1つ以上の材料のような植物性原料を含む。
【0052】
一部の実施態様では、第2ロッドは、タバコの葉、タバコの茎または根、あるいはその他の自然香味料または合成香味料から派生する香味を含む。
【0053】
一部の実施態様では、第2ロッドはタバコ材と植物性原料を含む。
【0054】
一部の実施態様では、第2ロッドは、押出成形またはスーパースリムサイズのタバコ産業製品を製するために使われる標準的な方法で製せられる。
【0055】
一部の実施態様では、図4で示すとおり、第2ロッド7は、外方ラッパー16を含む。一部の実施態様では、第2ロッドは、従来のタバコ産業製品の喫煙材ロッドを包むのに適した紙、セラミック、アルギン酸塩、再生タバコ、シート状あるいは切断または裁断されたシート状の非燃焼性無機充填材、バインダーおよびエアロゾル発生手段のブレンドを含む喫煙可能な充填材または共押し出しシートからなる外方ラッパーを含む。ラッピングペーパーは、第1ロッドのくり抜かれた溝内への第2ロッドの挿入をより容易にする。一部の実施態様では、外方ラッパーはユーザーが第2ロッドをくり抜かれた溝に挿入する時に第2ロッドを保護するのに役立たせてもよい。例えば、ラッパーの存在は、第2ロッドに追加のサポートを供することで、第2ロッドを第1ロッドのくり抜かれた溝に挿入する際に第2ロッドが受ける損傷を減ずるようにしてもよい。第2ロッドをくり抜かれた溝に挿入したら、第1ロッドは、第2ロッドへの損傷を防ぐために役立つ。
【0056】
一部の実施態様では、第2ロッドの外方ラッパーは透過性である。外方ラッパーが透過性である場合、第2喫煙材が燃焼することによって生成される煙は、第1ロッドへと通り抜け、第1喫煙材が燃焼することによって生成される煙と混ざってもよい。
【0057】
さらに、いくかの実施態様では、第2ロッドは、第2の喫煙材の性質についての情報をユーザーに提供する外方ラッパーを有する。例えば、ラッパーは、第2の喫煙材の性質を表示する色、デザイン、文言などの視覚的なマークを有してもよい。従って、パッケージは、多数の第2ロッドを含むことができ、各第2ロッドは、異なる喫煙材から製されてもよい。どの喫煙材から製されているかを表示している第2ロッドの外方ラッパーが、好みの第2ロッドを選択するために参照できるようにユーザーに提示される。
【0058】
一部の実施態様では、くり抜かれた溝と第2ロッドは円筒形状である。一部の実施態様では、くり抜かれた溝と第1ロッドは同軸であってもよい。
【0059】
一部の実施態様では、くり抜かれた溝と第2ロッドのそれぞれは、十字型、星型、四角形などの形状である、または、リブ付きの面を含む。
【0060】
一部の実施態様では、本発明のモジュラー式タバコ産業製品はさらにタバコ産業製品の吸い口端にフィルターを有してもよい。特に、フィルターは、第2ロッドが挿入された第1ロッドの端部から反対側にある第1ロッドの端部に位置してもよい。
【0061】
フィルターは吸湿材を含んでもよい。フィルターは多数のフィルターエレメントを含んでもよく、あるいは、例えば、二重フィルターや三重フィルターを形成するフィルター部分を含んでもよい。好適なフィルターが当業者に知られている。このような従来のフィルターにはダルメシアンフィルターが含まれ、このフィルターには繊維性フィルター材、例えば、繊維性セルロース材料に特別な吸湿材が散在しており、またマルチセグメントフィルターのキャビティ部分に吸湿材が入っているキャビティフィルターも含まれる。
【0062】
本明細書で使用される、「風味料」および「風味剤」は、各国の規制が認可し所望の味または風味を作り出すために成人の消費者のための製品に使用してよい材料を意味する。これらには抽出物を含み例えば、カンゾウ、アジサイ、ホウノキ、カモミール、コロハ、クローブ、メントール、和種ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、イチヤクソウ、桜、ベリー、桃、リンゴ、ドランブイ(Dramboui)、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セルリー、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、桂皮、キャラウェー、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピメント、ジンジャー、アニス、コリアンダー、コーヒー、または何らかの種のハッカ属のミント油)、風味向上剤、苦み受容体部位ブロッカー、受容体部位活性剤または促進剤、甘味料および/または甘味料代替え品、(例えば、スクラロース、カリウムアセサルフェーム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、サクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、またはマンニトール)、および他の添加物例えば木炭、クロロフィル、無機物、植物、または息清涼剤である。これらは模倣品、合成物または自然材料、またはその混合物でもよい。これらは、例えば油、液体または粉などのあらゆる好適な形体であってもよい。
【0063】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態で特許請求された発明が実践されうる。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1a
図1b
図1c
図2
図3a
図3b
図4