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特許7260708情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20230411BHJP
【FI】
G06Q40/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022156431
(22)【出願日】2022-09-29
【審査請求日】2022-11-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】下平 正人
(72)【発明者】
【氏名】江藤 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】谷 真次
(72)【発明者】
【氏名】孫 嘉怡
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-102937(JP,A)
【文献】特開2018-037080(JP,A)
【文献】特開2003-281370(JP,A)
【文献】特開2011-039853(JP,A)
【文献】特開2003-006423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
株式を含む金融商品の取り引きで用いられる口座を有するユーザが前記金融商品を取り引きした取引履歴と、前記ユーザの特性を示す情報であって前記取引履歴以外の情報であるユーザ情報とを取得する取得部と、
株式を発行する発行事業者と、前記発行事業者が実施する事業に関連する事業を実施する事業関連事業者とが関連付けられている発行事業者管理データベースにおいて前記取引履歴において取り引きした株式を発行する前記発行事業者に関連付けられている前記事業関連事業者を特定し、複数の前記金融商品の中から、前記ユーザの特性と、特定した前記事業関連事業者とに関連する前記金融商品を選択する選択部と、
前記選択部が選択した前記金融商品を所定の時点における市場価格未満で購入できる権利を前記ユーザに付与するための処理を実行する付与処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される前記ユーザの投資傾向に合う前記金融商品を選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される株式の保有期間が予め定められた閾期間以上である場合に、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が予め定められた閾配当額以上である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が予め定められた閾変動率未満である変動率グループに分類される前記金融商品を選択し、前記保有期間が前記閾期間未満である場合に、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が前記閾配当額未満である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が前記閾変動率以上である変動率グループに分類される前記金融商品を選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される株式の取引回数が予め定められた閾回数以上である場合に、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が予め定められた閾配当額未満である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が予め定められた閾変動率以上である変動率グループに分類される前記金融商品を選択し、前記取引回数が前記閾回数未満である場合に、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が前記閾配当額以上である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が前記閾変動率未満である変動率グループに分類される前記金融商品を選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される投資額が予め定められた閾投資額以上である場合に、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が予め定められた閾配当額以上である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が予め定められた閾変動率未満である変動率グループに分類される前記金融商品を選択し、前記投資額が前記閾投資額未満である場合に、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が前記閾配当額未満である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が前記閾変動率以上である変動率グループに分類される前記金融商品を選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される株式の価格変動を示す数値が所定の閾値以上であるか否かに応じて、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される前記金融商品及び景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される前記金融商品のうちのいずれか、又は配当額が予め定められた閾配当額未満である配当額グループに分類される前記金融商品及び配当額が前記閾配当額以上である配当額グループに分類される前記金融商品のうちのいずれかを選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される株式の配当額が所定の閾値以上であるか否かに応じて、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される前記金融商品及び景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される前記金融商品のうちのいずれか、又は変動率が予め定められた閾変動率未満である変動率グループに分類される前記金融商品及び変動率が前記閾変動率以上である変動率グループに分類される前記金融商品のうちのいずれかを選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記ユーザが商品を購入又はサービスを利用した履歴を前記ユーザ情報として取得し、
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、前記履歴によって特定される前記ユーザが購入する傾向にある種類の商品又は前記ユーザが利用する傾向にある種類のサービスを提供する提供事業者に関連する前記金融商品を選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記ユーザが移動した履歴を前記ユーザ情報として取得し、
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、前記履歴によって特定される前記ユーザが行動する行動範囲に存在する施設を提供する提供事業者に関連する前記金融商品を選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、前記提供事業者及び前記事業関連事業者に該当する該当事業者が発行する株式又は前記該当事業者が提供する商品又はサービスの利用が優待として得られる株式を含む前記金融商品を選択する、
請求項8又は9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記ユーザ情報には、前記ユーザを識別するためのユーザ識別子が関連付けられており、
前記口座には、前記ユーザ識別子が関連付けられている、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記付与処理部は、前記権利として、前記選択部が選択した前記金融商品を無償で前記ユーザに付与するための処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記取得部は、前記ユーザが商品を購入又はサービスを利用した履歴を前記ユーザ情報として取得し、
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、前記履歴によって特定される前記ユーザが商品を購入した店舗又は前記ユーザがサービスを利用した店舗を運営する事業者に関連する前記金融商品を選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
コンピュータが実行する、
株式を含む金融商品の取り引きで用いられる口座を有するユーザが前記金融商品を取り引きした取引履歴と、前記ユーザの特性を示す情報であって前記取引履歴以外の情報であるユーザ情報とを取得するステップと、
株式を発行する発行事業者と、前記発行事業者が実施する事業に関連する事業を実施する事業関連事業者とが関連付けられている発行事業者管理データベースにおいて前記取引履歴において取り引きした株式を発行する前記発行事業者に関連付けられている前記事業関連事業者を特定するステップと、
複数の前記金融商品の中から、前記ユーザの特性と、特定した前記事業関連事業者とに関連する前記金融商品を選択するステップと、
選択した前記金融商品を所定の時点における市場価格未満で購入できる権利を前記ユーザに付与するための処理を実行するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータを、
株式を含む金融商品の取り引きで用いられる口座を有するユーザが前記金融商品を取り引きした取引履歴と、前記ユーザの特性を示す情報であって前記取引履歴以外の情報であるユーザ情報とを取得する取得部、
株式を発行する発行事業者と、前記発行事業者が実施する事業に関連する事業を実施する事業関連事業者とが関連付けられている発行事業者管理データベースにおいて前記取引履歴において取り引きした株式を発行する前記発行事業者に関連付けられている前記事業関連事業者を特定し、複数の前記金融商品の中から、前記ユーザの特性と、特定した前記事業関連事業者とに関連する前記金融商品を選択する選択部、及び
前記選択部が選択した前記金融商品を所定の時点における市場価格未満で購入できる権利を前記ユーザに付与するための処理を実行する付与処理部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザに特典を付与するシステムが知られている。特許文献1には、特典として金融商品をユーザに付与するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-082040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、金融商品の取り引き経験を有するユーザ(例えば投資家)においては、興味がある金融商品と、興味がない金融商品とが存在し得、ユーザにとって興味がない金融商品が付与されてしまうと、ユーザが過去において取り引きした金融商品と同じようには運用されず、付与された金融商品がすぐに売却されたり、付与された金融商品が放置されたりしてしまう問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが興味を持ち得る金融商品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる情報処理装置は、株式を含む金融商品の取り引きで用いられる口座を有するユーザが前記金融商品を取り引きした取引履歴と、前記ユーザの特性を示す情報であって前記取引履歴以外の情報であるユーザ情報とを取得する取得部と、複数の前記金融商品の中から、前記ユーザの特性と、前記取引履歴において取り引きした株式を発行する発行事業者が実施する事業に関連する事業を実施する事業関連事業者とに関連する前記金融商品を選択する選択部と、前記選択部が選択した前記金融商品を所定の時点における市場価格未満で購入できる権利を前記ユーザに付与するための処理を実行する付与処理部と、を有する。
【0007】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される前記ユーザの投資傾向に合う前記金融商品を選択してもよい。
【0008】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される株式の保有期間が予め定められた閾期間以上である場合に、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が予め定められた閾配当額以上である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が予め定められた閾変動率未満である変動率グループに分類される前記金融商品を選択し、前記保有期間が前記閾期間未満である場合に、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が前記閾配当額未満である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が前記閾変動率以上である変動率グループに分類される前記金融商品を選択してもよい。
【0009】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される株式の取引回数が予め定められた閾回数以上である場合に、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が予め定められた閾配当額未満である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が予め定められた閾変動率以上である変動率グループに分類される前記金融商品を選択し、前記取引回数が前記閾回数未満である場合に、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が前記閾配当額以上である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が前記閾変動率未満である変動率グループに分類される前記金融商品を選択してもよい。
【0010】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される投資額が予め定められた閾投資額以上である場合に、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が予め定められた閾配当額以上である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が予め定められた閾変動率未満である変動率グループに分類される前記金融商品を選択し、前記投資額が前記閾投資額未満である場合に、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される前記金融商品、配当額が前記閾配当額未満である配当額グループに分類される前記金融商品又は変動率が前記閾変動率以上である変動率グループに分類される前記金融商品を選択してもよい。
【0011】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される株式の価格変動を示す数値が所定の閾値以上であるか否かに応じて、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される前記金融商品及び景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される前記金融商品のうちのいずれか、又は配当額が予め定められた閾配当額未満である配当額グループに分類される前記金融商品及び配当額が前記閾配当額以上である配当額グループに分類される前記金融商品のうちのいずれかを選択してもよい。
【0012】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、さらに前記取引履歴によって特定される株式の配当額が所定の閾値以上であるか否かに応じて、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される前記金融商品及び景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される前記金融商品のうちのいずれか、又は変動率が予め定められた閾変動率未満である変動率グループに分類される前記金融商品及び変動率が前記閾変動率以上である変動率グループに分類される前記金融商品のうちのいずれかを選択してもよい。
【0013】
前記取得部は、前記ユーザが商品を購入又はサービスを利用した履歴を前記ユーザ情報として取得してもよいし、前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、前記履歴によって特定される前記ユーザが購入する傾向にある種類の商品又は前記ユーザが利用する傾向にある種類のサービスを提供する提供事業者に関連する前記金融商品を選択してもよい。
【0014】
前記取得部は、前記ユーザが移動した履歴を前記ユーザ情報として取得してもよいし、前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、前記履歴によって特定される前記ユーザが行動する行動範囲に存在する施設を提供する提供事業者に関連する前記金融商品を選択してもよい。
【0015】
前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、前記提供事業者及び前記事業関連事業者に該当する該当事業者が発行する株式又は前記該当事業者が提供する商品又はサービスの利用が優待として得られる株式を含む前記金融商品を選択してもよい。
【0016】
前記ユーザ情報には、前記ユーザを識別するためのユーザ識別子が関連付けられていてもよいし、前記口座には、前記ユーザ識別子が関連付けられていてもよい。
【0017】
前記付与処理部は、前記権利として、前記選択部が選択した前記金融商品を無償で前記ユーザに付与するための処理を実行してもよい。
前記取得部は、前記ユーザが商品を購入又はサービスを利用した履歴を前記ユーザ情報として取得してもよいし、前記選択部は、前記複数の金融商品の中から、前記履歴によって特定される前記ユーザが商品を購入した店舗又は前記ユーザがサービスを利用した店舗を運営する事業者に関連する前記金融商品を選択してもよい。
【0018】
本発明の第2の態様にかかる情報処理方法は、コンピュータが実行する、株式を含む金融商品の取り引きで用いられる口座を有するユーザが前記金融商品を取り引きした取引履歴と、前記ユーザの特性を示す情報であって前記取引履歴以外の情報であるユーザ情報とを取得するステップと、複数の前記金融商品の中から、前記ユーザの特性と、前記取引履歴において取り引きした株式を発行する事業者が実施する事業に関連する事業を実施する事業関連事業者とに関連する前記金融商品を選択するステップと、選択した前記金融商品を所定の時点における市場価格未満で購入できる権利を前記ユーザに付与するための処理を実行するステップと、を有する。
【0019】
本発明の第3の態様にかかるプログラムは、コンピュータを、株式を含む金融商品の取り引きで用いられる口座を有するユーザが前記金融商品を取り引きした取引履歴と、前記ユーザの特性を示す情報であって前記取引履歴以外の情報であるユーザ情報とを取得する取得部、複数の前記金融商品の中から、前記ユーザの特性と、前記取引履歴において取り引きした株式を発行する事業者が実施する事業に関連する事業を実施する事業関連事業者とに関連する前記金融商品を選択する選択部、及び前記選択部が選択した前記金融商品を所定の時点における市場価格未満で購入できる権利を前記ユーザに付与するための処理を実行する付与処理部、として機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザが興味を持ち得る金融商品を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】情報処理システムの概要を説明するための図である。
図2】情報処理装置のブロック図である。
図3】ユーザ管理データベースの構成の一例を示す図である。
図4】提供事業者管理データベースの構成の一例を示す図である。
図5】提供事業者管理データベースの構成の一例を示す図である。
図6】発行事業者管理データベースの構成の一例を示す図である。
図7】商品管理データベースの構成の一例を示す図である。
図8】情報処理システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、株式を含む金融商品を特定のユーザ(以下、「特定ユーザ」という。)に提供するために用いられるシステムである。金融商品は、例えば株式であるが、これに限らず、投資信託であってもよい。特定ユーザは、情報処理サービス(例えば、ショッピングサービス及び通信サービス等)を利用するユーザであって、金融商品の取り引きに用いられる口座を有するユーザである。情報処理システムSは、ユーザ端末1と、取引管理装置2と、情報処理装置3とを有する。
【0023】
ユーザ端末1は、ユーザが使用する端末であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。ユーザ端末1は、ユーザ端末1の位置を測定するためのGPS(Global Positioning System)受信部を有する。ユーザ端末1には、情報処理サービスを利用するユーザのIDが設定されている。ユーザ端末1は、ネットワークを介して取引管理装置2及び情報処理装置3と通信可能である。
【0024】
取引管理装置2は、金融商品の売買を管理するための装置であり、例えば、サーバである。取引管理装置2は、金融商品の取り引きで用いられる口座(例えば証券口座)を管理する。複数のユーザそれぞれの口座には、口座番号が付与されている。複数のユーザには、情報処理サービスを利用するユーザと、情報処理サービスを利用しないユーザとが含まれ、情報処理サービスを利用するユーザの口座においては、情報処理サービスにおいてユーザを識別するためのユーザ識別子(ID:identifier)がさらに関連付けられていてもよい。取引管理装置2は、ユーザが金融商品を取り引きした取引履歴と、口座を有するユーザに関する情報とを記憶している。取引管理装置2は、情報処理サービスを利用するユーザの取引履歴を、ユーザのIDに関連付けて記憶していてもよい。取引管理装置2は、ネットワークを介してユーザ端末1及び情報処理装置3と通信可能である。
【0025】
情報処理装置3は、特定ユーザに金融商品を付与する処理を制御するために用いられる装置であり、例えば、サーバである。情報処理装置3は、情報処理サービスを管理し、情報処理サービスを利用するユーザに関する情報を記憶しているが、これに限らず、外部の装置が、情報処理サービスを管理し、情報処理サービスを利用するユーザに関する情報を記憶してもよい。情報処理装置3は、複数の金融商品に関する情報を管理する。複数の金融商品に関する情報は、取引管理装置2から取得された情報であってもよいし、情報処理装置3を管理する管理者が入力した情報であってもよい。情報処理装置3は、ネットワークを介してユーザ端末1及び取引管理装置2と通信可能である。
【0026】
本明細書においては、取引管理装置2と情報処理装置3とが異なる装置であることを例として説明するが、これに限らない。例えば、情報処理装置3が、取引管理装置2の機能を有してもよい。
【0027】
以下において、情報処理システムSが金融商品を特定ユーザに提供するために実行する処理について説明する。まず、情報処理装置3は、特定ユーザのユーザ情報と、特定ユーザの取引履歴とを取得する。ユーザ情報は、特定ユーザの取引履歴以外の情報であって、特定ユーザの特性を示す情報であり、例えば、特定ユーザの属性(年齢、性別等)、特定ユーザが商品を購入又はサービスを利用した決済履歴、及び特定ユーザが行動した行動履歴等である。特定ユーザの特性は、例えば、特定ユーザの嗜好、興味、及び特定ユーザの行動の傾向等である。
【0028】
情報処理装置3は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの特性と事業関連事業者とに関連する金融商品を選択する。事業関連事業者は、取引履歴において取り引きした株式を発行する事業者(以下、「発行事業者」という。)が実施する事業に関連する事業を実施する事業者であり、例えば、発行事業者と同じ事業を実施する他の事業者、発行事業者と資本関係を有する他の事業者、発行事業者と業務提携している他の事業者、発行事業者と共同事業を実施する他の事業者等である。
【0029】
そして、情報処理装置3は、選択した金融商品(以下、「選択商品」という。)を所定の時点における選択商品の市場価格未満で購入できる購入権利を特定ユーザに付与するための処理を実行する。所定の時点は、例えば、金融商品が選択された時点、情報処理サービスがショッピングサービスである場合において当該ショッピングサービスで商品を購入した時点、又はショッピングサービスで商品を購入した後に行われる抽選(例えばガチャ)において当選した時点等である。購入権利は、例えば、口座が開設された時点における選択商品の市場価格の少なくとも一部を情報処理装置3の管理者が負担し、当該市場価格のうちの当該管理者が負担した後の残りを特定ユーザが支払うことによって選択商品を購入できる権利である。
【0030】
具体的には、まず、情報処理装置3は、選択商品を示す選択情報を取引管理装置2に送信する。そして、取引管理装置2は、選択商品を特定ユーザに付与する。例えば、購入権利が、所定の時点における選択商品の市場価格の半分を情報処理装置3の管理者が負担することである場合、取引管理装置2は、特定ユーザが選択商品の市場価格の残りの半分を口座に入金したこと、又は当該市場価格の残りの半分以上の額が口座に存在することを条件として選択商品を特定ユーザに付与する。このようにすることで、情報処理システムSは、特定ユーザが興味を持ち得る金融商品を特定ユーザに提供することができる。
以下、情報処理装置3の構成について説明する。
【0031】
[情報処理装置3の構成]
図2は、情報処理装置3のブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0032】
情報処理装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。情報処理装置3は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置3は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0033】
通信部31は、ネットワークを介してユーザ端末1及び取引管理装置2との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部31は、ユーザ端末1又は取引管理装置2からネットワークを介して受信したデータを制御部33に通知する。また、通信部31は、ネットワークを介して、制御部33から出力されたデータをユーザ端末1又は取引管理装置2に送信する。
【0034】
記憶部32は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部32は、情報処理装置3の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部33との間でデータの授受を行ってもよい。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを予め記憶している。
【0035】
記憶部32には、ユーザが所定の商品を購入又は所定のサービスを利用した決済履歴がユーザのIDに関連付けて記憶されている。決済履歴には、ユーザが購入した商品の名称又はユーザが利用したサービスの名称が含まれている。決済履歴には、ユーザが商品を購入した店舗の名称又はユーザがサービスを利用した店舗の名称が含まれていてもよい。記憶部32は、情報処理サービスを利用するユーザに関する情報を管理するユーザ管理データベースと、提供事業者に関する情報を管理する提供事業者管理データベースと、発行事業者に関する情報を管理する発行事業者管理データベースと、金融商品に関する情報を管理する商品管理データベースとを記憶している。
【0036】
図3は、ユーザ管理データベースの構成の一例を示す図である。図3に示す例において、ユーザ管理データベースは、ユーザIDと、属性情報(年齢及び性別等)と、口座有無と、選択商品とを関連付けて記憶している。ユーザIDは、情報処理サービスにおいてユーザを識別するための識別子である。口座有無は、取引管理装置2が管理する口座の中に、ユーザの口座が存在するか否かを示す情報である。選択商品は、ユーザに付与するために選択された金融商品を示す情報である。提供事業者管理データベース、発行事業者管理データベース及び商品管理データベースの詳細については後述する。
【0037】
図2に戻り、制御部33は、取得部331と、選択部332と、付与処理部333とを有する。制御部33は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部331、選択部332、付与処理部333及び購買処理部334として機能する。
【0038】
取得部331は、特定ユーザの特性を示すユーザ情報を取得する。例えば、まず、取得部331は、ユーザ管理データベースを参照し、複数のユーザの中から、口座を開設しているユーザ(特定ユーザ)を特定する。そして、取得部331は、特定した特定ユーザに対応するユーザ情報を取得する。取得部331は、例えば、記憶部32及びユーザ端末1のうちの少なくともいずれからユーザ情報を取得する。
【0039】
また、取得部331は、特定ユーザの取引履歴を取得する。取得部331は、例えば、取引管理装置2において特定ユーザのIDに関連付けて記憶されている特定ユーザの取引履歴を取得する。
【0040】
選択部332は、特定ユーザのユーザ情報と、特定ユーザの取引履歴とに基づいて、複数の金融商品の中から、特定ユーザの特性と関連事業者とに関連する金融商品を選択する。具体的には、選択部332は、特定ユーザのユーザ情報に基づいて特定した提供事業者と、特定ユーザの取引履歴に基づいて特定した事業関連事業者とに該当する該当事業者に関連する金融商品を選択する。選択部332は、複数の金融商品の中から、1つの金融商品を選択してもよいし、複数の金融商品を選択してもよい。
【0041】
まず、選択部332が、特定ユーザのユーザ情報に基づいて提供事業者を特定し、特定した提供事業者に関連する金融商品を選択する処理について説明する。選択部332は、特定ユーザの特性として、特定ユーザが購入した商品の傾向又は特定ユーザが利用したサービスの傾向に関連する金融商品を選択する。
【0042】
具体的には、まず、取得部331は、記憶部32から特定ユーザのIDに関連付けられている決済履歴を特定ユーザのユーザ情報として取得する。そして、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの決済履歴によって特定される特定ユーザが購入する傾向にある種類の商品又は特定ユーザが利用する傾向にある種類のサービスを提供する提供事業者に関連する金融商品を選択する。
【0043】
例えば、情報処理装置3には、商品の種類又はサービスの種類ごとに、ユーザが当該商品の種類又は当該サービスの種類に持つ興味の度合いが高いか否かを特定するための閾値が予め設定されている。商品の種類は、例えば、洋服、玩具、エコ等である。サービスの種類は、例えば、飲食、宿泊、長距離輸送(例えば飛行機及び新幹線等)等である。商品の種類及びサービスの種類は、さらに年代又は性別ごとに分類されていてもよい。
【0044】
この場合において、まず、選択部332は、特定ユーザの決済履歴に基づいて、商品の種類ごとに当該種類の商品が購入された購入回数、又はサービスの種類ごとに当該種類のサービスが利用された利用回数を算出する。選択部332は、購入回数又は利用回数が、対応する閾値以上である商品の種類又はサービスの種類を特定する。そして、選択部332は、特定した種類の商品又は特定した種類のサービスを提供する提供事業者に関連する金融商品を選択する。なお、選択部332は、商品の種類ごとの購入金額に基づいて特定した種類の商品、又はサービスの種類ごとの利用金額に基づいて特定した種類のサービスを提供する提供事業者に関連する金融商品を選択してもよい。
【0045】
選択部332は、例えば、提供事業者管理データベースに記憶されている情報に基づいて、特定した種類の商品又は特定した種類のサービスを提供する提供事業者を特定し、特定した提供事業者に関連する金融商品を選択する。図4は、提供事業者管理データベースの構成の一例を示す図である。図4に示す例において、提供事業者管理データベースは、提供事業者と、種類と、顧客属性(年代、性別等)とを関連付けて記憶している。種類は、提供事業者が実施する事業において提供する商品の種類又はサービスの種類である。種類は、提供事業者の業種であってもよい。顧客属性は、例えば、商品又はサービスを提供する対象の顧客である。
【0046】
例えば、まず、選択部332は、提供事業者管理データベースにおいて、特定した商品の種類又は特定したサービスの種類に関連付けて記憶されている提供事業者を特定する。そして、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定した提供事業者に関連する金融商品を選択する。
【0047】
例えば、金融商品が株式である場合において、特定された商品の種類が「アパレル」である場合、選択部332は、複数の株式の中から、洋服を販売又は製造するA社に関連する株式を選択する。また、例えば、特定されたサービスの種類が「長距離輸送」及び「ツアーの企画」である場合、選択部332は、複数の株式の中から、長距離輸送を運営するD社に関連する株式と、ツアーを企画するE社に関連する株式とを選択する。
【0048】
例えば、金融商品が投資信託である場合において、特定された商品の種類が「エコ」である場合、選択部332は、環境に配慮した事業を行う提供事業者(例えば、脱炭素社会の推進に貢献する提供事業者等)に対して投資する投資信託を選択する。このようにすることで、情報処理装置3は、特定ユーザが興味を持ち得る提供事業者に関連する金融商品を選択することができる。
【0049】
選択部332は、特定ユーザのユーザ情報として、さらに特定ユーザの属性に基づいて、提供事業者を特定してもよい。選択部332は、例えば、提供事業者管理データベースにおいて、特定した種類と、特定ユーザの属性に該当する顧客属性とに関連付けられている提供事業者を特定する。
【0050】
上記において、選択部332が、複数の金融商品の中から、特定ユーザの決済履歴によって特定される特定ユーザが購入する傾向にある種類の商品又は特定ユーザが利用する傾向にある種類のサービスを提供する提供事業者に関連する金融商品を選択する例を説明したが、これに限らない。例えば、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの決済履歴によって特定される特定ユーザが商品を購入した店舗又は特定ユーザがサービスを利用した店舗を運営する提供事業者に関連する金融商品を選択してもよい。
【0051】
例えば、特定ユーザの決済履歴においてそれぞれ異なる複数の店舗が含まれる場合、選択部332は、複数の店舗のうち、特定ユーザが商品を購入した回数が相対的に多い店舗又は特定ユーザがサービスを利用した回数が相対的に多い店舗を運営する提供事業者に関連する金融商品を選択する。選択部332は、例えば、複数の店舗のうち、特定ユーザが商品を購入した回数が最も多い店舗又は特定ユーザがサービスを利用した回数が最も多い店舗を運営する提供事業者に関連する金融商品を選択する。このようにすることで、情報処理装置3は、特定ユーザがよく利用する店舗を運営する提供事業者に関連する金融商品を選択することができる。
【0052】
選択部332は、特定ユーザの特性として、特定ユーザの行動範囲(例えば、関東等の地方、東京都等の都道府県、渋谷区等の市区町村、又は渋谷駅周辺等の特定のスポット等の地域)に関連する金融商品を選択してもよい。具体的には、まず、取得部331は、ユーザ端末1から特定ユーザが移動した移動履歴をユーザ情報として取得する。移動履歴は、例えば、ユーザ端末1のGPS受信部が受信した情報に基づいて測定されたユーザ端末1の位置座標の履歴である。そして、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの移動履歴によって特定される特定ユーザが行動する行動範囲に存在する施設を提供する提供事業者に関連する金融商品を選択する。施設は、例えば、店舗、競技場、ホテル、駅、空港、映画館、遊園地等である。施設を提供する提供事業者は、例えば、施設を運営する事業者、又は施設の運営を支援する事業者(スポンサー)等である。
【0053】
選択部332は、例えば、提供事業者管理データベースに記憶されている情報に基づいて、特定した施設を提供する提供事業者を特定し、特定した提供事業者に関連する金融商品を選択する。例えば、記憶部32には、施設と当該施設が存在する位置座標とが関連付けられた地図情報と、提供事業者管理データベースとが記憶されている。図5は、提供事業者管理データベースの構成の一例を示す図である。図5に示す例において、提供事業者管理データベースは、提供事業者と、施設と、顧客属性(年代、性別等)とを関連付けて記憶している。施設は、提供事業者が実施する事業において提供する施設である。顧客属性は、例えば、施設を提供する対象の顧客である。
【0054】
この場合において、まず、選択部332は、特定ユーザの移動履歴に基づいて、特定ユーザの行動範囲を特定する。選択部332は、特定ユーザが訪れたすべての地域を含む行動範囲を特定してもよいし、複数の地域のうち、相対的に滞在した期間が長い地域(例えば、滞在した期間が最も長い地域)を行動範囲として特定してもよい。選択部332は、地図情報を参照し、特定ユーザの行動範囲に存在する施設を特定する。例えば、特定ユーザの行動範囲に複数の施設が存在する場合、選択部332は、特定ユーザの行動範囲に存在する複数の施設のうち、特定ユーザと施設との関連度合いが相対的に高い(例えば、最も関連度合いが高い施設)を選択してもよい。特定ユーザと施設との関連度合いは、例えば、特定ユーザが施設内に入った回数の多さ、特定ユーザが施設に滞在した時間の長さ、特定ユーザが施設の前を通過した回数の多さ等である。選択部332は、提供事業者管理データベースにおいて、特定した施設に関連付けて記憶されている提供事業者を特定する。そして、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定した提供事業者に関連する金融商品を選択する。このようにすることで、情報処理装置3は、特定ユーザの生活に関連し得る提供事業者に関連する金融商品を選択することができる。
【0055】
選択部332は、特定ユーザのユーザ情報として、さらに特定ユーザの属性に基づいて、提供事業者を特定してもよい。選択部332は、例えば、提供事業者管理データベースにおいて、特定した施設と、特定ユーザの属性に該当する顧客属性とに関連付けられている提供事業者を特定する。
【0056】
選択部332は、特定ユーザが購入した商品の傾向又は特定ユーザが利用したサービスの傾向と、特定ユーザの行動範囲とに基づいて、金融商品を選択してもよい。例えば、選択部332は、特定した種類の商品又は特定した種類のサービスを提供する提供事業者であって、かつ、特定した施設を提供する提供事業者に関連する金融商品を選択する。
【0057】
続いて、選択部332が、特定ユーザの取引履歴に基づいて事業関連事業者を特定し、特定した事業関連事業者に関連する金融商品を選択する処理について説明する。上述のとおり、選択部332は、特定ユーザの取引履歴において特定ユーザが取り引きした株式を発行する発行事業者が実施する事業に関連する事業を実施する事業関連事業者を特定する。選択部332は、例えば、発行事業者管理データベースに記憶されている情報に基づいて、事業関連事業者を特定する。
【0058】
図6は、発行事業者管理データベースの構成の一例を示す図である。図6に示す例において、発行事業者管理データベースは、発行事業者と、事業関連事業者とを関連付けて記憶している。この場合において、選択部332は、特定ユーザの取引履歴において特定ユーザが取り引きした株式を発行する発行事業者に関連付けて発行事業者管理データベースに記憶されている事業関連事業者を特定する。
【0059】
特定ユーザの取引履歴において特定ユーザがそれぞれ異なる複数の発行事業者が発行する株式を取り引きしたことを示す場合、選択部332は、複数の発行事業者の中から、株式を取り引きした取引回数が相対的に多い発行事業者、又は株式を取り引きした取引金額が相対的に高い発行事業者を選択する。選択部332は、例えば、複数の発行事業者の中から、取引回数が最も多い発行事業者、又は取引金額が最も高い発行事業者を選択する。
【0060】
選択部332は、提供事業者及び事業関連事業者を特定すると、提供事業者及び事業関連事業者に該当する事業者(以下、「該当事業者」という。)に関連する金融商品を選択する。選択部332は、該当事業者に関連する金融商品として、複数の金融商品の中から、該当事業者が発行する株式又は該当事業者が提供する商品又はサービスの利用が優待として得られる株式を含む金融商品を選択する。選択部332は、例えば、商品管理データベースに記憶されている情報に基づいて、該当事業者に関連する金融商品を選択する。
【0061】
図7は、商品管理データベースの構成の一例を示す図である。図7に示す例において、商品管理データベースは、金融商品と、関連事業者と、業種とを関連付けて記憶している。関連事業者は、金融商品に関連する事業者であり、例えば、株式(金融商品)を発行する事業者、又は株式の優待として得られる商品又はサービスを提供する事業者等である。業種は、金融商品を提供する事業者(例えば、株式を発行する事業者)の業種である。商品管理データベースに記憶されている情報は、取引管理装置2から取得した情報であってもよいし、情報処理装置3を管理する管理者が入力した情報であってもよい。
【0062】
選択部332は、例えば、商品管理データベースにおいて、該当事業者が含まれる関連事業者に関連付けられている金融商品を特定することにより、金融商品を選択する。このようにすることで、情報処理装置3は、特定ユーザが興味を持ち得る金融商品を選択することができる。
【0063】
選択部332は、複数の金融商品の中から、さらに特定ユーザの取引履歴によって特定される特定ユーザの投資傾向に合う金融商品を選択してもよい。例えば、特定ユーザは、株式の保有期間が長いほど、景気動向による価値の変動が小さい業種(インフラ、食料品及び小売等)の事業者が発行する金融商品(例えば、ディフェンシブ株)、配当額が多い金融商品又は株式の価格変動を示す数値が小さい金融商品を保有し得る。株式の価格変動を示す数値は、例えば、株価変動率、ボラティリティを示す数値等であり、特定ユーザが取り引きした各株式の株価変動率の平均値、最頻値又は中央値等の統計値である。株式の配当額は、例えば、過去全ての期間における各株式の配当額の合計額、過去の所定の期間(例えば1年間等)における各株式の配当額の合計額等であるが、これに限らず、各株式の配当額の平均値、最頻値又は中央値等の統計値であってもよい。一方、特定ユーザは、株式の保有期間が短いほど、景気動向による価値の変動が大きい業種(半導体、化学及びサービス業等)の事業者が発行する金融商品(例えば、景気敏感株)、配当額が少ない金融商品又は株価変動率が大きい金融商品を保有し得る。
【0064】
そこで、選択部332は、特定ユーザの投資傾向として株式の保有期間に応じて金融商品を選択してもよい。株式の保有期間は、例えば、各株式の保有期間の平均値、最頻値又は中央値等の統計値である。
【0065】
例えば、情報処理装置3においては、金融商品が様々なグループに分類されている。グループには、景気動向による価値の変動の大小に応じて分類される業種グループと、配当額が予め定められた閾配当額以上であるか否かに応じて分類される配当額グループと、株価変動率が予め定められた閾変動率以上であるか否かに応じて分類される変動率グループとが含まれる。
【0066】
この場合において、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの取引履歴によって特定される株式の保有期間が閾期間以上である場合に、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される金融商品、配当額が閾配当額以上である配当額グループに分類される金融商品又は株価変動率が閾変動率未満である変動率グループに分類される金融商品を選択する。閾期間は、予め定められた閾値であり、例えば、1日、1週間、1か月等である。選択部332は、例えば、商品管理データベースにおいて、該当事業者を含む関連事業者に関連付けて記憶されている金融商品のうち、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される金融商品を選択する。
【0067】
一方、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの取引履歴によって特定される株式の保有期間が閾期間未満である場合に、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される金融商品、配当額が閾配当額未満である配当額グループに分類される金融商品又は株価変動率が閾変動率以上である変動率グループに分類される金融商品を選択する。選択部332は、例えば、商品管理データベースにおいて、該当事業者を含む関連事業者に関連付けて記憶されている金融商品のうち、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される金融商品を選択する。このようにすることで、情報処理装置3は、特定ユーザの投資傾向に合う金融商品を選択する精度を向上させることができる。
【0068】
特定ユーザにおいては、株式の取引回数が多いほど、景気動向による価値の変動が大きい業種の事業者が発行する金融商品、配当額が少ない金融商品又は株価変動率が大きい金融商品を好み、株式の取引回数が少ないほど、景気動向による価値の変動が小さい業種の事業者が発行する金融商品、配当額が多い金融商品又は株価変動率が小さい金融商品を好み得る。そこで、選択部332は、特定ユーザの投資傾向として株式の取引回数に応じて、金融商品を選択してもよい。
【0069】
具体的には、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの取引履歴によって特定される株式の取引回数が閾回数以上である場合、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される金融商品、配当額が閾配当額未満である配当額グループに分類される金融商品又は株価変動率が閾変動率以上である変動率グループに分類される金融商品を選択する。閾回数は、予め定められた閾値であり、例えば、100回、1000回等である。一方、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの取引履歴によって特定される株式の取引回数が閾回数未満である場合、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される金融商品、配当額が閾配当額以上である配当額グループに分類される金融商品又は株価変動率が閾変動率未満である変動率グループに分類される金融商品を選択する。このようにすることで、情報処理装置3は、特定ユーザの投資傾向に合う金融商品を選択する精度を向上させることができる。
【0070】
特定ユーザにおいては、株式の投資額が多いほど、景気動向による価値の変動が大きい業種の事業者が発行する金融商品、配当額が少ない金融商品又は株価変動率が大きい金融商品を付与しても好み得ない。そこで、選択部332は、特定ユーザの投資傾向として投資額に応じて金融商品を選択してもよい。投資額は、例えば、特定ユーザが過去に投資した額の合計である。
【0071】
具体的には、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの取引履歴によって特定される投資額が閾投資額以上である場合、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される金融商品、配当額が閾配当額以上である配当額グループに分類される金融商品又は変動率が閾変動率未満である変動率グループに分類される金融商品を選択する。閾投資額は、予め定められた閾値であり、例えば、100万円、1000万円等である。
【0072】
一方、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの取引履歴によって特定される投資額が閾投資額未満である場合、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される金融商品、配当額が閾配当額未満である配当額グループに分類される金融商品又は変動率が閾変動率以上である変動率グループに分類される金融商品を選択する。このようにすることで、情報処理装置3は、特定ユーザの投資傾向に合う金融商品を選択する精度を向上させることができる。
【0073】
選択部332は、特定ユーザの投資傾向として株価変動率に応じて金融商品を選択してもよい。具体的には、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの取引履歴によって特定される株価変動率が閾変動率以上であるか否かに応じて、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される金融商品及び景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される金融商品のうちのいずれか、又は配当額が閾配当額未満である配当額グループに分類される金融商品及び配当額が閾配当額以上である配当額グループに分類される金融商品のうちのいずれかを選択する。
【0074】
選択部332は、例えば、複数の金融商品の中から、特定ユーザの取引履歴によって特定される株価変動率が閾変動率以上である場合、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される金融商品、又は配当額が閾配当額未満である配当額グループに分類される金融商品を選択する。一方、選択部332は、特定ユーザの取引履歴によって特定される株価変動率が閾変動率未満である場合、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される金融商品、又は配当額が閾配当額以上である配当額グループに分類される金融商品を選択する。なお、選択部332は、特定ユーザの取引履歴によって特定される株価変動率が閾変動率以上である場合、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される金融商品、又は配当額が閾配当額以上である配当額グループに分類される金融商品を選択し、株価変動率が閾変動率未満である場合、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される金融商品、又は配当額が閾配当額未満である配当額グループに分類される金融商品を選択してもよい。このようにすることで、情報処理装置3は、特定ユーザの投資傾向に合う金融商品を選択する精度を向上させることができる。
【0075】
選択部332は、特定ユーザの投資傾向として株式の配当額に応じて金融商品を選択してもよい。具体的には、選択部332は、前記複数の金融商品の中から、特定ユーザの取引履歴によって特定される株式の配当額が閾配当額以上であるか否かに応じて、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される前記金融商品及び景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される前記金融商品のうちのいずれか、又は変動率が予め定められた閾変動率未満である変動率グループに分類される前記金融商品及び変動率が前記閾変動率以上である変動率グループに分類される前記金融商品のうちのいずれかを選択する。
【0076】
選択部332は、例えば、複数の金融商品の中から、特定ユーザの取引履歴によって特定される株式の配当額が閾配当額以上である場合、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される金融商品、又は株価変動率が閾変動率未満である変動率グループに分類される金融商品を選択する。閾投資額は、予め定められた閾値であり、例えば、10万円、100万円等である。一方、選択部332は、複数の金融商品の中から、特定ユーザの取引履歴によって特定される株式の配当額が閾金額未満である場合、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される金融商品、又は株価変動率が閾変動率以上である変動率グループに分類される金融商品を選択する。なお、選択部332は、特定ユーザの取引履歴によって特定される株式の配当額が閾配当額以上である場合、景気動向による価値の変動が大きい業種グループに分類される金融商品、又は株価変動率が閾変動率以上である変動率グループに分類される金融商品を選択し、株式の配当額が閾金額未満である場合、景気動向による価値の変動が小さい業種グループに分類される金融商品、又は株価変動率が閾変動率未満である変動率グループに分類される金融商品を選択してもよい。このようにすることで、情報処理装置3は、特定ユーザの投資傾向に合う金融商品を選択する精度を向上させることができる。なお、選択部332は、株式の配当額が閾配当額以上である場合、第1金融商品を選択し、株式の配当額が閾金額未満である場合、第2金融商品を選択してもよい。選択部332は、金融商品を選択すると、ユーザIDに関連付けてユーザ管理データベースに選択商品を示す情報を記憶させる。
【0077】
付与処理部333は、選択商品(選択部332が選択した金融商品)の購入権利を特定ユーザに付与するための処理(以下、「付与処理」という。)を実行する。具体的には、まず、付与処理部333は、特定ユーザのIDに関連付けてユーザ管理データベースに記憶されている選択商品を示す情報と特定ユーザのIDと購入権利の内容を示す権利情報(例えば、特定ユーザが負担する金額)とを取引管理装置2に送信する。そして、取引管理装置2は、選択商品を購入し、購入権利の内容に応じて、特定ユーザのIDによって示される特定ユーザに選択商品を付与する。付与処理部333は、例えば、選択部332が金融商品を選択したことを契機として、付与処理を実行する。
【0078】
例えば、購入権利が、所定の時点における選択商品の市場価格の半分を情報処理装置3の管理者が負担することである場合、取引管理装置2は、特定ユーザが選択商品の市場価格の残りの半分を口座に入金したこと、又は当該市場価格の残りの半分以上の額が口座に存在することを条件として選択商品を特定ユーザに付与する。付与処理部333は、無償で選択商品を特定ユーザに付与するための処理を実行してもよい。
【0079】
具体的には、付与処理部333は、選択商品を特定ユーザに付与するための処理を実行する。この場合、付与処理部333は、購入権利の内容として特定ユーザが負担する金額が0円であることを示す権利情報を取引管理装置2に送信する。そして、取引管理装置2は、情報処理装置3から情報を取得したことを契機として、特定ユーザのIDによって示される特定ユーザに選択商品を付与する。
【0080】
付与処理部333は、選択部332が金融商品を選択した後において、特定ユーザが情報処理サービスにおいて所定の行動を行ったことを契機として、付与処理を実行してもよい。付与処理部333は、例えば、所定の行動として、情報処理サービスがショッピングサービスである場合において当該ショッピングサービスで商品を購入した場合、又はショッピングサービスで商品を購入した後に行われる抽選(例えばガチャ)において当選した場合に、付与処理を実行する。
【0081】
選択部332が複数の金融商品を選択した場合、付与処理部333は、複数の選択商品のうちのいずれかに対して付与処理を実行する。付与処理部333は、例えば、複数の選択商品の中から特定ユーザに付与する選択商品をランダムで選択してもよいし、複数の選択商品の中から特定ユーザに付与する選択商品を特定ユーザに選択させてもよい。
【0082】
[情報処理装置3の処理]
続いて、情報処理装置3の処理の流れについて説明する。図8は、情報処理装置3の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは、取得部331が情報処理サービスを利用する複数のユーザの中から特定ユーザ(口座を開設しているユーザ)を特定したことを契機として開始する(S1)。取得部331は、特定した特定ユーザのユーザ情報及び取引履歴を取得する(S2)。
【0083】
選択部332は、特定ユーザのユーザ情報及び取引履歴に基づいて、該当事業者を特定する(S3)。具体的には、まず、選択部332は、特定ユーザのユーザ情報によって示される特定ユーザの特性に関連する事業を実施する提供事業者を特定する。選択部332は、特定ユーザの取引履歴において特定ユーザが取り引きした株式を発行する発行事業者が実施する事業に関連する事業を実施する事業関連事業者を特定する。そして、選択部332は、特定した提供事業者と、特定した事業関連事業者とに該当する該当事業者を特定する。
【0084】
選択部332は、特定した該当事業者に関連する金融商品を選択する(S4)。そして、付与処理部333は、選択商品(選択部332が選択した金融商品)の購入権利を特定ユーザに付与するための付与処理を実行する(S5)。具体的には、まず、付与処理部333は、特定ユーザのIDに関連付けてユーザ管理データベースに記憶されている選択商品を示す情報と特定ユーザのIDと権利情報とを取引管理装置2に送信する。そして、取引管理装置2は、選択商品を購入し、権利内容に応じて、特定ユーザのIDによって示される特定ユーザに選択商品を付与する。
【0085】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、情報処理装置3は、特定ユーザのユーザ情報及び取引履歴に基づいて、複数の金融商品の中から特定ユーザの特性と事業関連事業者とに関連する金融商品を選択し、選択商品の購入権利を特定ユーザに付与するための処理を実行する。このようにすることで、情報処理装置3は、特定ユーザが興味を持ち得る金融商品を特定ユーザに提供することができる。
【0086】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0088】
1 ユーザ端末
2 取引管理装置
3 情報処理装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 取得部
332 選択部
333 付与処理部
S 情報処理システム
【要約】
【課題】ユーザが興味を持ち得る金融商品を提供する。
【解決手段】情報処理装置3は、株式を含む金融商品の取り引きで用いられる口座を有するユーザが金融商品を取り引きした取引履歴と、ユーザの特性を示す情報であって取引履歴以外の情報であるユーザ情報とを取得する取得部331と、複数の金融商品の中から、ユーザの特性と、取引履歴において取り引きした株式を発行する発行事業者が実施する事業に関連する事業を実施する事業関連事業者とに関連する金融商品を選択する選択部332と、選択部332が選択した金融商品を所定の時点における市場価格未満で購入できる権利をユーザに付与するための処理を実行する付与処理部333と、を有する。
【選択図】図2


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8