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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】パンツ型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/532 20060101AFI20230411BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20230411BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20230411BHJP
   A61F 13/535 20060101ALI20230411BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
A61F13/532 200
A61F13/49 315
A61F13/51
A61F13/535 200
A61F13/534 100
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022171668
(22)【出願日】2022-10-26
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2021176890
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100164345
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】水野 佑
(72)【発明者】
【氏名】中尾 佑馬
(72)【発明者】
【氏名】川口 宏子
(72)【発明者】
【氏名】石橋 京子
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-068818(JP,A)
【文献】特開2013-255561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/532
A61F 13/49
A61F 13/51
A61F 13/535
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦長の吸収性コアを含む吸収性本体と該吸収性本体の非肌面側に接合された外装体とを具備し、着用者の胴を通すウエスト開口部及び前記着用者の脚を通す左右一対のレッグ開口部、並びに着用者の前側に配される前身頃及び前記着用者の後側に配される後見頃を備え、身丈方向及び該身丈方向に直交する幅方向を有するパンツ型吸収性物品であって、
前記前身頃において、前記外装体には、前記幅方向に沿って延在する伸縮自在の弾性体が前記身丈方向に沿って複数配置され、前記弾性体の前記幅方向の収縮応力が付与されており、前記吸収性コアは前記身丈方向に沿って配設され、
前記前身頃における前記外装体と前記吸収性コアとが重なる前記身丈方向の位置において、前記外装体は、前記弾性体の前記幅方向の収縮応力が前記身丈方向に沿って互いに異なる、複数の応力帯領域を有し、前記吸収性コアの剛性が、前記複数の応力帯領域の区分毎に異なり、前記弾性体の収縮応力の強弱の序列と前記吸収性コアの剛性の高低の序列とが対応する関係にある、
パンツ型吸収性物品。
【請求項2】
前記序列において、前記収縮応力及び前記剛性は、前記吸収性コアの前記ウエスト開口部側の端部側から前記身丈方向の下部側に向けて段階的に小さくされている、請求項1記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項3】
前記複数の応力帯領域間において、前記弾性体は、前記吸収性コアの剛性が低くなるほど広い間隔のピッチで配置されている、請求項1又は2記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収性コアの剛性の高低の序列は、前記吸収性コアの坪量の差異によって設定される、請求項1又は2記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性コアは、前記幅方向の中央に前記身丈方向に沿って延在する中央スリット部と、該中央スリット部の左右両側に前記身丈方向に沿って延在する一対の側方スリット部とを有し、前記中央スリット部は、前記吸収性コアの複数層の積層構造に配されている、請求項1又は2記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項6】
前記前身頃の平面視において、前記中央スリット部は、前記幅方向に沿って延在する2本以上の前記弾性体の前記身丈方向の配置位置と重ならない、請求項5記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項7】
前記複数の応力帯領域は、前記吸収性コアの前記ウエスト開口部側の端部側から第1応力帯領域、第2応力帯領域及び第3応力帯領域を含み、前記第1応力帯領域と重なる前記吸収性コアは、前記複数層の積層構造の前記中央スリット部を含まない部分にあり、前記第2応力帯領域と重なる前記吸収性コアは前記中央スリット部を含み、前記第3応力帯領域と重なる前記吸収性コアは前記中央スリット及び一対の前記側方スリット部を含む、請求項5記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項8】
前記外装体は、前記レッグ開口部を囲むレッグ周り弾性体を有し、前記複数の応力帯領域それぞれにおいて、前記レッグ周り弾性体の、前記幅方向に対して交差する方向に沿って延在する部分が、前記幅方向に沿って延在する前記弾性体と2本以上交差しない、請求項1又は2記載のパンツ型吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつなどのパンツ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつなどのパンツ型の吸収性物品は、体液を保持する吸収性コアと外装体とを具備するとともに、ウエスト開口部を上部に、股下部の左右にレッグ開口部を有する。前記ウエスト開口部やレッグ開口部の周囲には糸ゴムなどの弾性体(伸縮部材)を配してギャザーを形成し、身体へのフィット性を備えた構造となっている(例えば、特許文献1~3)。また、前記吸収性コアについて、坪量の傾斜配分等によって、高剛性領域と低剛性領域とを着用者の鼠径部に合わせて設定する技術が知られている。これにより、排尿後の膨潤に伴うおむつの足回りのもたつきなどの着用感の低下を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-16435号公報
【文献】特開2018-079058号公報
【文献】特開2011-206269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パンツ型吸収性物品において、吸収性コアが前述の高剛性領域及び低剛性領域を含む場合、フィット性のために配される弾性体の収縮応力が前記吸収性コアの低剛性領域と幅方向で重なると、その部分で、しわやヨレが局所に生じやすくなる。特に、着用前のパンツ型吸収性物品は、包装袋から取り出して弾性体が収縮した状態において、しわやヨレの変形で部分的な厚みが生じ、外観が見劣りする。部分的なヨレによってパンツ型吸収性物品がいびつな形状となる場合もあり、鞄に入れて持ち運ぶ際に不便が生じることがある。また、しわ等の変形の大きさによっては着用時における吸収性等の品質の低下の原因ともなりかねない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、前身頃において、弾性体によるフィット性を維持しつつ、しわやヨレの局所的な発生を抑えて均一化を可能にする吸収性物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、縦長の吸収性コアを含む吸収性本体と該吸収性本体の非肌面側に接合された外装体とを具備し、着用者の胴を通すウエスト開口部及び前記着用者の脚を通す左右一対のレッグ開口部、並びに着用者の前側に配される前身頃及び前記着用者の後側に配される後見頃を備え、身丈方向及び該身丈方向に直交する幅方向を有するパンツ型吸収性物品であって、前記前身頃において、前記外装体には、前記幅方向に沿って延在する伸縮自在の弾性体が前記身丈方向に沿って複数配置され、前記弾性体の前記幅方向の収縮応力が付与されており、前記吸収性コアは前記身丈方向に沿って配設され、前記前身頃における前記外装体と前記吸収性コアとが重なる前記身丈方向の位置において、前記外装体は、前記弾性体の前記幅方向の収縮応力が前記身丈方向に沿って互いに異なる、複数の応力帯領域を有し、前記吸収性コアの剛性が、前記複数の応力帯領域の区分毎に異なり、前記弾性体の収縮応力の強弱の序列と前記吸収性コアの剛性の高低の序列とが対応する関係にある、パンツ型吸収性物品を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品は、前身頃において、弾性体によるフィット性を維持しつつ、しわやヨレの局所的な発生を抑えて均一化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のパンツ型吸収性物品の好ましい一実施形態としてのパンツ型おむつを模式的に示す斜視図である。
図2図1に示すパンツ型おむつをサイドシール部で破断して展開し伸張させて肌面側から見た状態を模式的に示す一部切欠展開平面図である。
図3図2に示すパンツ型おむつの前身頃を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のパンツ型吸収性物品の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
本明細書において、着用者の肌に接触する側を肌側又は内側といい、これと反対側を非肌側又は外側という。これらは、着用者の肌に接触する面を有さない部材に関しても、吸収性物品の部材構成における相対的な位置関係を示す用語として用いる。また、着用時に着用者の前側に位置する方向を前方又は前側といい、後側に位置する方向を後方又は後側という。着用物品の表面又は裏面の法線方向、すなわち部材同士の積層方向を厚み方向という。
【0010】
図1に示すように、本実施形態のパンツ型おむつ10(以下、おむつ10ともいう)は、着用者の前側に配される前身頃10S及び前記着用者の後側に配される後見頃10Tを備える。また、おむつ10は、着用者の胴を通すウエスト開口部12及び前記着用者の脚を通す左右一対のレッグ開口部13、13を備える。おむつ10は、身丈方向Y及び該身丈方向Yに直交する幅方向Xを有する。おむつ10の身丈方向Yは着用者の身体の上下方向に対応し、相対的な位置関係としてウエスト開口部12側を上側、レッグ開口部13側を下側ともいう。幅方向Xは、図1に示すおむつ10においてウエスト周り方向Xともいう。
【0011】
前身頃10S及び後見頃部10Tは、ウエスト開口部12寄りの位置に、着用者の腹側及び背側に配される腹側部10F及び背側部10Rを有する。腹側部10F及び背側部10Rは、後述するサイドシール部11の身丈方向Yの長さと該サイドシール部11、11間を結ぶ幅方向Xの幅を有する領域である。前身後10Sの腹側部10Fを除いた部分と後見頃部10Tの背側部10Rを除いた部分とが身丈方向Yに繋がって、着用者の股間側に配される股下部10Cをなしている。
【0012】
おむつ10は、構成部材として、縦長の吸収性コア5を含む吸収性本体1と該吸収性本体1の非肌面側に接合された外装体2とを具備する。外装体2は、腹側部10F、股下部10C及び背側部10R全体に及ぶ外表本体をなしている。外装体2の前身頃10Sに配される部分を前側外装体21、後見頃部10Tに配される部分を後側外装体22ともいう。前側外装体21の腹側部10F及び後側外装体22の背側部10Rの部分のそれぞれの両側縁が重ね合わされて、サイドシール部11において接合されている。これにより、おむつ10の腹側部10F及び背側部10Rが繋がって、おむつ10における環状部10Dが形成されている。サイドシール部11における接合は、この種の物品に用いられる種々の方法により行うことができる。例えば、融着接合(例えば、ヒートシール、超音波シール、レーザー熔融)、圧着接合(例えば、エンボス加工)等の圧密一体化する接合が挙げられる。また、前述の吸収性本体1と外装体2との接合は、ホットメルト接着剤など、この種の物品で採用される接合手段を用いることができる。その塗布方法も螺旋状塗工など部材の剛性を高めず、透液性や通気性等を阻害しない方法が用いられる(以下の接合においても同様。)。
【0013】
図2は、おむつ10をサイドシール部11、11において破断して展開し伸張させて肌面側から見た状態を示している。展開し伸長させた状態(展開状態)とは、各部を伸長させてパンツ型吸収性物品を平面状に拡げた状態をいう。展開状態において、前述の身丈方向Y及び幅方向Xは、展開状態における長手方向Y及び幅方向Xに相当する。
おむつ10の展開状態において、前述の前身頃10Sと後見頃10Tとは、長手方向Yの中央線CLによって区分される。
おむつ10の展開状態において、外装体2は、股下部10Cの両側縁がサイドシール部11の下端縁から幅方向Xの内方に緩やかに括れた湾曲形状を有する。一方、外装体2は、腹側部10F及び背側部10Rの部分において、幅方向Xに張り出した横長の形状を有する。
縦長の吸収性本体1は、外装体2の肌面側であって幅方向Xの中央の領域に、その長手方向をおむつ10の身丈方向Yに向け、身丈方向Yに沿って配設されている。
【0014】
吸収性本体1は、図2に示すように、肌側の液透過性の表面シート3、非肌側の防漏性の裏面シート4、及表面シート3と裏面シート4との間に配置される液保持性の吸収性コア5を有する。吸収性コア5は、体液を吸収保持する吸収素材の集合体であり、クレープ紙等の親水性のコアラップシートによって被覆されていてもよい。この吸収性コア5は、吸収性本体1と同等の幅(幅方向Xの長さ)を有し、吸収性本体1よりも身丈方向Yの長さが若干短くされている。なお、吸収性コア5の構造の好ましい実施形態については後述する。
更に吸収性本体1は、長手方向Yの両側に一対のサイドシート6を備える。サイドシート6の幅方向Xの内方側の端部に長手方向Yに沿って伸長状態で接合された立体ギャザー弾性体79が配されて、着用時に着用者の肌面に向けて起立し得る立体ギャザーが形成されている。
【0015】
次に、前身頃10Sについて説明する。
前身頃10Sの外装体2(前側外装体21)には、幅方向Xに沿って延在する伸縮自在の弾性体が身丈方向Yに沿って複数配置されている。
より具体的には、前身頃10Sの腹側部10F(サイドシール部11の身丈方向Yの長さに対応する幅方向Xの領域)の外装体2において、ウエスト開口部周り領域21Aのウエスト開口部周り弾性体71、その下側に隣接する腸骨周り領域21Bの腸骨周り弾性体72、及びその下側に隣接する胴周り領域21Cの胴周り弾性体73が、それぞれの領域において複数配されている。それぞれの弾性体は伸長状態で幅方向に延在し、腹側部10Fの左右端部のサイドシール部11、11にて接合され、伸縮自在にされている。なお、腸骨周り領域21Bとは、着用者の腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部位に当接することを想定した領域である。
【0016】
腸骨周り領域21Bの下部から胴周り領域21C、更には股下部10Cに亘って、長手方向Yに配置された吸収性コア5が外装体2と積層されている。外装体2と吸収性コア5との積層部分において、腸骨周り弾性体72及び胴周り弾性体73は部分的に切断されている。切断された各弾性体72、73の端部が吸収性コア5の左右両側と重なる位置の外装体2にて接合され、サイドシール部11に接合された他方の端部との間で伸縮自在にされている。このように腸骨周り弾性体72及び胴周り弾性体73は、吸収性コア5と身丈方向Yの高さ位置が重なる位置において、吸収性コア5の左右両側において幅方向Xに延在している。部分的な切断によって左右に分かれた弾性体72及び73はそれぞれ、幅方向Xに沿う同一線上にある。左右に分かれ、かつ同一線上にある弾性体72及び73はそれぞれ、該同一線上の外装体2及び吸収性コア5に対して弾性体の収縮応力が及ぶ。そのため、左右に分かれていても同一線上にある弾性体を作用上1つの弾性体とみなすことができる。弾性体の本数をカウントする際、このようにして左右に分かれて同一線上にある弾性体を1本とみなす。
【0017】
更に、前身頃10Sの股下部10Cの両側縁がサイドシール部11の下端縁から幅方向Xの内方に括れ始める部分の外装体2において、鼠径部周り領域21Dの鼠径部周り弾性体74が配されている。鼠径部周り領域21Dとは、着用者の鼠径部の上端を結ぶ部位に当接することを想定した領域である。
鼠径部周り弾性体74は、伸長状態で幅方向Xに延在し、鼠径部周り領域21Dの幅方向Xの両端部にて接合されている。また、鼠径部周り弾性体74は、吸収性コア5との積層部分において部分的に切断され、吸収性コア5の左右両側と重なる位置の外装体2にて接合されている。鼠径部周り弾性体74は、図2においては、部分的な切断によって左右に分かれ、かつ幅方向Xに沿う同一線上にある1本が配されている。この鼠径部周り弾性体74の本数は、図2に示すものに限らず、2本以上であってもよい。ただし、収縮応力による製品皺の発生を抑える観点から、鼠径部周り弾性体74は、鼠径部周り領域21Dにおいて1本配されていることが好ましい。
【0018】
前身頃10Sにおいて、上記のように幅方向Xに沿って延在する伸縮自在の各種の弾性体が身丈方向Yに沿って複数配置にされて、前記弾性体の幅方向Xの収縮応力が、外装体2に付与されている。
【0019】
上記のウエスト開口部周り領域21Aのウエスト開口部周り弾性体71、腸骨周り領域21Bの腸骨周り弾性体72、胴周り領域21Cの胴周り弾性体73、鼠径部周り領域21Dの鼠径部周り弾性体74は、それぞれの領域に応じた収縮応力を付与するよう、本数、ピッチ、種類(直径、素材)を互いに異ならせている。なお、各種弾性体の本数やピッチは、図2に限定されるものでなく、種々の形態をとり得る。該各種の弾性体は、好ましくは、外装体2を構成する2層の不織布シート等に挟持されて伸縮自在に固定されている。
【0020】
前身頃10Sの外装体2には、上記の幅方向Xに沿って延在する弾性体とは別に、レッグ周り弾性体78が幅方向Xに対して交差する方向に沿って延在している。より具体的には、レッグ周り弾性体78は、腹側部10Fの左右のサイドシール部11それぞれの下端領域から幅方向Xに延出した後、該幅方向Xに交差する下方向に延びて、股下部10Cの両側縁の幅方向Xの内方に緩やかに括れる湾曲部分に沿って外装体2に配されている。このようにしてレッグ周り弾性体78はレッグ開口部13に沿って配されている。更に、レッグ周り弾性体78は、長手方向Yの中央線CL近傍において、幅方向Xの内方側に方向を変えて延在している。
【0021】
なお、前身頃10Sの腹側部10Fと同様に、後見頃10Tの背側部10Rにおいても各種弾性体71、72、73が配設されている。また、長手方向に沿う吸収性コア5が、後見頃10Tの背側部10R及び股下部10Cに対して、前身頃10Sの場合と同様に積層されている。更に、後見頃10Tにおいて、前身頃10Sと同様に、レッグ周り弾性体78がレッグ開口部13に沿って配されている。ただし、後見頃10Tにおけるレッグ周り弾性体78は、長手方向Yの中央線CLを越えて前身頃10S側に僅かに延出し、その位置で幅方向Xの内方に方向を変え、前身頃10Sにおけるレッグ周り弾性体78と重なるようにされている。
【0022】
前身頃10Sにおける外装体2と吸収性コア5とが重なる身丈方向Yの位置において、外装体2は、前述の各種弾性体の幅方向Xの収縮応力が身丈方向Yに沿って互いに異なる、複数の応力帯領域を有する。該応力帯領域は、外装体2が吸収性コア5と重なる身丈方向Yの位置における、外装体2の幅方向X全域の領域を意味する。各応力帯領域の幅方向Xの収縮応力は、弾性体の本数、ピッチ、種類(直径、素材)によって適宜設定される。吸収性コア5が多層である場合、前記「外装体2が吸収性コア5と重なる身丈方向Yの位置」のウエスト開口部12側の端部は、全ての層が積層された箇所として特定され、ウエスト開口部12側で吸収性コア5の積層数が揃わない部分は含まない。
各応力帯領域は、幅方向Xに沿って延在する各種弾性体のピッチ又は種類(直径、素材)の少なくともいずれか一方が切り替わる位置にて区分される。ピッチは所定の間隔から±10%超の間隔の変更があることで応力帯領域が切り替わる。各領域の境界は直上の領域の際又は下端の弾性体の下側の際とする。この各応力帯領域は、身丈方向Yの長さ(幅)を30mm以内とすることが好ましい。各応力帯領域の身丈方向Yの長さ(幅)を30mm以内とすることにより、外装体2が、着用者の体型をより細かい輪郭の変化に追従することに適応することができる。例えば、着用者のお腹の丸みや鼠径部とお腹の境界部の凹みなど、下腹部から股下に亘る体形の細かい起伏変化に応じて、外装体2が細かく追従することが可能となる。
【0023】
図3に示す実施形態においては、前記複数の応力帯領域は、吸収性コア5のウエスト開口部12側の端部側から第1応力帯領域21L、第2応力帯領域21M、第3応力帯領域21Nを含んでいる。その際、前述の通り吸収性コア5が多層である場合、ウエスト開口部12側では、全ての層が積層されている箇所から第1応力帯領域21Lが特定される。なお、図3においては、応力帯領域と吸収性コア5との配置関係の理解のため吸収性コア5を実線で示し、吸収性コア5の以外の吸収性本体1の構成部材を省略している。
【0024】
上記の各応力帯領域は、外装体2が吸収性コア5と重なる身丈方向Yの位置において、前述の区分基準に基づいてつぎのようにして区分される。
すなわち、第1応力帯領域21Lは、直上の腸骨周り領域21Bの下端の腸骨周り弾性体72の下側の際から、胴周り領域21Cの下端の胴周り弾性体73の下側の際までの領域である。第1応力帯領域21Lは、上記の身丈方向Yに区分された範囲で、外装体2のサイドシール部11、11間の幅方向X全域を含む。
第2応力帯領域21Mは、胴周り領域21Cの下端の胴周り弾性体73の下側の際から、鼠径部周り領域21Dの鼠径部周り弾性体74の下側の際までの領域である。第2応力帯領域21Mは、上記の身丈方向Yに区分された範囲で、外装体2の幅方向X全域を含む。
第3応力帯領域21Nは、鼠径部周り領域21Dの鼠径部周り弾性体74の下側の際から、吸収性コア5の3等分(前側5A、中間5B、後側5C)の前側5Aの残りの部分までの領域である。第3応力帯領域21Nは、上記の身丈方向Yに区分された範囲で、外装体2の幅方向X全域を含む。
図3に示す実施形態において、第1応力帯領域21L、第2応力帯領域21M、第3応力帯領域21Nの間で、幅方向Xの収縮応力が異なっている。この幅方向Xの収縮応力の差異は、おむつ10におけるフィット性及び吸収性コア5の剛性との対応関係によって適宜設定される。この収縮応力及び剛性に関する好ましい態様については後述する。
なお、前身頃10Sにおける外装体2の前記複数の応力帯領域は、上記の3つの領域に限定されるものでなく、2つの領域又は4つ以上の領域であってもよい。
【0025】
各応力帯領域に対して積層されている吸収性コア5に関し、吸収性コア5の剛性が前記複数の応力帯領域の区分毎に異なっている。吸収性コア5の剛性は、坪量や厚み等によって適宜設定できる。
【0026】
そして、外装体2における弾性体の収縮応力の強弱の序列と吸収性コア5の剛性の高低の序列とが対応する関係にある。つまり、前記序列の中で、外装体2における弾性体の収縮応力が相対的に強い部分と吸収性コア5の剛性が相対的に高い部分とが対応しており、外装体2における弾性体の収縮応力が相対的に弱い部分と吸収性コア5の剛性が相対的に低い部分とが対応している。吸収性コア5の剛性の相対的に高いところで外装体2の応力帯領域の幅方向Xの収縮応力を相対的に強めて、その部分における外装体2ないし吸収性コア5の着用者の肌へのフィット性を高める。同時に、吸収性コア5の剛性の相対的に低いところで外装体2の応力帯領域の幅方向Xの収縮応力を相対的に弱めて、その部分で生じやすい外装体2のしわやヨレ、更にはそれによる部分的にいびつな変形を抑制することができる。
これにより、おむつ10の前身頃10Sにおいて、弾性体によるフィット性を維持しつつ、しわやヨレの局所的な発生を抑えて均一化が可能となる。例えば、吸収性コア5を、排尿ポイントとその両側の鼠径部とに対応して坪量を傾斜配分させて中央の高剛性領域とその両側の低剛性領域とを備えた構造としても、吸収性コア5にかかる収縮応力を均一にすることができる。これに伴い、吸収性コア5の剛性の高低の影響を受ける外装体2にかかる収縮応力を均一にすることができる。これにより、弾性体によるフィット性とこれに伴う液漏れ防止性とともに、しわ等のバランスの均一化が可能となる。すなわち、弾性体の収縮による急なしわ等の勾配を防いで、しわ等の有無の変化が緩やかになって、おむつ10全体の品質向上を実現することができる。しわ等のバランスの均一化により、着用前の、弾性体が収縮状態にあるおむつ10において、部分的にいびつな変形が生じ難く、鞄に入れて持ち運ぶ際の携帯性も高められる。また、おむつ10の着用時においても、外装体1にしわ癖が残り難くなり、各種弾性体の伸長に伴って伸長する外装体1の局所的なしわ等の変形も抑えられ、肌面との間の浮き等も抑えられる。これにより、おむつ10の着用時において、弾性体の物性と上記の前身頃10Sの構造上の性能とか組み合わさって協働し、着用時のフィット性を更に高めることができる。加えて、局所的なしわ等の変形の抑制を伴うフィット性の向上により、体液の伝い漏れが抑えられて液漏れ防止性が更に高められる。
また、このような均一化により、吸収性コア5の薄型化を行った場合でも、前述の外装体2のしわ及びヨレによるいびつな変形を抑えることが可能になる。そして、薄型化としわ等抑制とにより、おむつ10の着用時のシルエットをよりすっきりとさせて下着ライクなものとして、安心の着用感を作り出すことができる。
【0027】
おむつ10の前身頃10Sにおいて、複数の応力帯領域の区分に応じた、弾性体の幅方向Xの収縮応力の強弱の序列と吸収性コア5の剛性の高低の序列との対応関係は、おむつ10の目的に応じて適宜設定することができる。例えば、図3に示す実施形態においては、第1応力帯領域21L、第2応力帯領域21M、第3応力帯領域21Nの順で幅方向Xの収縮応力が強、中、弱となっていてもよく、強、弱、中となっていてもよい。また、この区分に対応する吸収性コア5の第1吸収部5L、第2吸収部5M、第3吸収部5Nの順で剛性が高、中、低となっていてもよく、高、低、中となっていてもよい。おむつ10の着用時のズレ落ち防止性及びフィット性を向上させ、伝い流れる排泄尿を確実に吸収して液漏れ防止性を高める観点から、上記3区分において、ウエスト開口部12側の胴周り領域21Cにある第1応力帯領域21Lの幅方向Xの収縮応力が最も強く、これに対応する吸収性コア5の第1吸収部5Lの剛性が最も高くされていることが好ましい。
【0028】
特に、前記序列について、弾性体の幅方向Xの収縮応力及び吸収性コア5の剛性は、吸収性コア5のウエスト開口部12側の端部側から身丈方向Yの下部側に向けて段階的に小さくされていることが好ましい。例えば、図3に示す実施形態においては、第1応力帯領域21L、第2応力帯領域21M、第3応力帯領域21Nの順で幅方向Xの収縮応力を強、中、弱とし、この区分に対応する吸収性コア5の第1吸収部5L、第2吸収部5M、第3吸収部5Nの順で剛性を高、中、低とすることが好ましい。
これにより、おむつ10の前身頃10Sにおいて、おむつ10の着用時のフィット性及び液漏れ防止性と着用前のしわ等の均一化とを共により確実に実現することができる。加えて、おむつ10の着用時においてもしわやヨレによる局所的な変形がおさえられる。また、着用時における股下部10C側での部分的な変形によるもたつきを低減することができる。より具体的には、外装体2の第1応力帯領域21L及び吸収性コア5の第1吸収部5Lは、おむつ10の前身頃10Sの胴周り領域21Cに対応し、前述の通り、おむつ10のズレ落ち防止性及びフィット性を向上させ、排泄尿の伝い漏れ等に対する液漏れ防止性を高める。その下側で隣接する外装体2の第2応力帯領域21M及び吸収性コア5の第2吸収部5Mは、おむつ10の前身頃10Sの鼠径部周り領域21Dに対応し、着用者の足付け根の可動性を確保しながら該足付け根の屈曲に対応した肌面への追従性を有し、その部分でのしわ等による浮きも抑え、肌への柔らかいフィット性を有する。更にその下側で隣接する外装体2の第3応力帯領域21N及び吸収性コア5の第3吸収部5Nは、おむつ10の前身頃10Sの下腹部周り領域に対応し、上記の鼠径部周り領域21Dに対する可動性と連動して着用者の動きを担保しながら、しわ等による浮きを抑えて、着用者の下腹部の隆起部分をやさしく包接してフィット性を向上せる。
これらの観点から、外装体2の第2応力帯領域21Mに含まれる鼠径部周り弾性体74を1本とし、外装体2の第3応力帯領域21Nには幅方向Xに延出する弾性体が含まれないことが好ましい。加えて、この外装体2の構造に対し、吸収性コア5は後述の肌側吸収部51及び肌側吸収部52の構造を有することが好ましい。
【0029】
<幅方向Xの収縮応力及び剛性の測定方法>
上記の幅方向Xの収縮応力及び剛性は次の方法により測定される。
(1)まず測定対象のパンツ型吸収性物品をサイドシール部11で破断し、前身頃10Sの部分において、吸収性コア5と外装体2とが重なる身丈方向Yの位置を特定する。その位置において、外装体2に含まれる各種弾性体のピッチ又は種類(直径、素材)の少なくともいずれか一方が切り替わる位置にて区画される外装体2の幅方向全域にわたる各応力帯領域及びこれに対応する吸収性コア5の身丈方向Yに区分される各吸収部を特定する。各領域の境界は直上の領域の際又は下端の弾性体の下側の際とする。切り替わる位置を特定できない場合は、吸収性コア5を3等分した前側5Aに対応する領域に対し、身丈方向Yの長さ(幅)を決めて均等区分して各応力帯領域及び各吸収部を特定する。例えば、身丈方向Yの長さ(幅)を30mm以内とする。
(2)次いで、コールドスプレー等の冷却手段を用いて、外装体2と吸収性コア5を含む吸収性本体1とを接合していた接着剤等の接着力を弱めて外装体2と吸収性コア5とを分離する。分離した外装体2から上記の各応力帯領域を切り出す。また、分離した吸収性コア5から上記の各吸収部を切り出す。
(3)応力帯領域の幅方向Xの収縮応力:
外装体2の各応力帯領域における幅方向Xの両端部をチャックにて固定し、オートグラム試験機を用いて、速度300mm/分の測定条件にて、幅方向Xに60mm伸長時の最大応力を測定する。例えば、測定対象の応力帯領域の幅方向Xの長さが165mmで、両端部のチャック幅をそれぞれ15mmずつとる場合、チャック間幅135mmを195mmまで伸長して135mmまで戻し、60mm伸長時の最大応力を測定する。この測定値を身丈方向Yの長さ30mm単位の値に換算し、該換算値を、各応力帯領域の幅方向Xの収縮応力とする。なお、上記のオートグラム試験には、例えば、オリエンテック社製の「RTA-100」を用いることができる。
(4)吸収性コア5の剛性:
吸収性コア5の各吸収部における幅方向Xの両端部をチャックにて固定し、大曲性試験機を用いて、幅方向Xの中央及びサイド端部から40mm部分それぞれを折り曲げ、その際の曲げモーメントをそれぞれ測定する。その平均値を各吸収部における剛性とする。なお、上記の大曲性試験機には、例えば、KES FB2-L(カトーテック株式会社製)を用いることができる。
【0030】
前述の、外装体2における弾性体の収縮応力の強弱の序列と吸収性コア5の剛性の高低の序列とが対応する前身頃10Sの構成において、序列が対応する応力帯領域と吸収部との間で次の関係があることが好ましい。すなわち、応力帯領域の収縮応力(P)の吸収部の剛性(Q)に対する比(P/Q)は、応力帯領域への皺形成をより効果的に抑制する観点から、小さい程好ましく、具体的には0以上であって、0.19以下が好ましく、0.10以下がより好ましく、0.05以下が更に好ましい。
【0031】
上記比(P/Q)の範囲において、各応力帯領域の収縮応力(P)は、おむつのずれ落ちにくくする観点から、0.05N/30mm以上が好ましく、0.3N/30mm以上がより好ましく、0.5N/30mm以上が更に好ましい。また、各応力帯領域の収縮応力(P)は、おむつの締め付けを低減する観点から、2.5N/30mm以下が好ましく、2.0N/30mm以下がより好ましく、1.5N/30mm以下が更に好ましい。
図3に示す実施形態において、前記収縮応力が身丈方向Yの下部側に向けて段階的に小さくされている場合、第1応力帯領域21Lの収縮応力(P1)と第2応力帯領域21Mの収縮応力(P2)との差(P1-P2)は、装着時のウエストのズレ落ち抑制と未装着時のおむつへの大きな横皺形成による外観不良抑制のバランスをとる観点から、0.1N/30mm以上が好ましく、0.3N/30mm以上がより好ましく、0.5N/30mm以上が更に好ましい。前記差(P1-P2)は、未装着時におけるおむつの皺の不均一な形成による外観不良を抑制する観点から、1.2N/30mm以下が好ましく、1.0N/30mm以下がより好ましく、0.8N/30mm以下が更に好ましい。
また、第2応力帯領域21Mの収縮応力(P2)と第3応力帯領域21Nの収縮応力(P3)との差(P2-P3)は、装着時の吸収性コアの垂れ下がり抑制の観点から、0.1N/30mm以上が好ましく、0.3N/30mm以上がより好ましく、0.5N/30mm以上が更に好ましい。前記差(P2-P3)は、未装着時のおむつの皺の不均一な形成による外観不良を抑制する観点から、1.2N/30mm以下が好ましく、1.0N/30mm以下がより好ましく、0.8N/30mm以下が更に好ましい。
【0032】
また、上記比(P/Q)の範囲において、上記の身丈方向Yに区分された各吸収部の剛性(Q)は、収縮応力による各吸収部のヘタりを抑制(製品形状を維持)する観点から、1.0gf・cm/cm以上が好ましく、1.5gf・cm/cm以上がより好ましく、2.0gf・cm/cm以上が更に好ましい。また、各吸収部の剛性(Q)は、各吸収部の硬化による製品のやわらかさ品質低下を防止する観点から、10.0gf・cm/cm以下が好ましく、8.5gf・cm/cm以下がより好ましく、7.0gf・cm/cm以下が更に好ましい。
図3に示す実施形態において、前記剛性が身丈方向Yの下部側に向けて段階的に小さくされている場合、第1吸収部5Lの剛性(Q1)と第2吸収部5Mの剛性(Q2)との差(Q1-Q2)は、素材の官能的な硬さの変化を付与する観点から、0.3gf・cm/cm以上が好ましく、0.4gf・cm/cm以上がより好ましく、0.5gf・cm/cm以上が更に好ましい。前記差(Q1-Q2)は、製品の折れ皺の起点となる吸収性コア5の屈曲点の形成を抑制する観点から、8.0gf・cm/cm以下が好ましく、6.0gf・cm/cm以下がより好ましく、4.0gf・cm/cm以下が更に好ましい。また、第2吸収部5Mの剛性(Q2)と第3吸収部5Nの剛性(Q3)との差(Q2-Q3)は、装着時の吸収性コア5の垂れ下がりを抑制する観点から、0.3gf・cm/cm以上が好ましく、0.5gf・cm/cm以上がより好ましく、0.7gf・cm/cm以上が更に好ましい。前記差(Q2-Q3)は、未装着時における製品の横皺を抑制する観点から、8.0gf・cm/cm以下が好ましく、6.0gf・cm/cm以下がより好ましく、4.0gf・cm/cm以下が更に好ましい。
【0033】
前身頃10Sにおける前記複数の応力帯領域において、各弾性体は、吸収性コア5の剛性が低くなるほど広い間隔のピッチで配置されていることが好ましい。例えば、図3に示す実施形態において、前記収縮応力の強弱の序列及び前記構成の高低の序列が前述のように身丈方向Yの下部側に向けて段階的に小さくされている場合、次のようにすることが好ましい。すなわち、第1応力帯領域21Lにある胴周り弾性体73のピッチよりも、第2応力帯領域21Mにある鼠径部周り弾性体74のピッチ及び該鼠径部周り弾性体74と直上の胴周り弾性体73との間のピッチを広くしていることが好ましい。
これにより、狭い間隔のピッチで弾性体が配置されることによる外装体2及び吸収性コア5に対する応力集中が過度になるのを抑えることができ、前述のしわやヨレの均一化の効果がより高められる。
【0034】
また、前身頃10Sにおける吸収性コア5の剛性の高低の序列は、吸収性コア5の坪量の差異によって設定されることが好ましい。
【0035】
次に、吸収性コア5の構造の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0036】
図2及び3は、吸収性コア5の構造の好ましい実施形態を示している。
吸収性コア5は、身丈方向Yに沿って、前身頃10Sの腹側部10Fにおける腸骨周り領域21Bの下端部から、後見頃10Tの背側部10Rにおける腸骨周り領域22Bにまで延出している。
吸収性コア5は、図2及び3に示す実施形態において、肌側吸収層51と非肌側吸収層52の積層構造を有する。肌側吸収層51及び非肌側吸収層52はそれぞれ、体液を吸収保持する吸収素材の集合体である。これらは、クレープ紙等の親水性のコアラップシートによって被覆されていてもよい。
非肌側吸収層52が長方形であるのに対し、肌側吸収層51は非肌側吸収層52よりも長手方向Yの長さが短く、幅方向Xの長さが均一でなく、T字状の形状を有する。具体的には、吸収性コア5を長手方向Yに沿って前側5A、中間5B及び後側5Cの3等分した場合に、非肌側吸収層52は、幅方向Xの幅が均一で、前側5A、中間5B及び後側5C全体を占める長方形を有する。肌側吸収層51は、前側5Aにおいて幅方向Xの幅が最も広くした形状を長手方向Yに所定範囲保持し、そこから中間5B、後側5Cへと向かうに従って徐々に幅が狭くなるようにされている。肌側吸収層51は、前側5Aから中間5Bを越え、後側5Cの一部に留まる長手方向Yの長さを有する。
吸収性コア5の積層構造は、上記の2層に限定されず3層以上であってもよい。
【0037】
加えて、吸収性コア5は、幅方向Xの中央に身丈方向Yに沿って延在する中央スリット部511と、中央スリット部511の左右両側に身丈方向Yに沿って延在する一対の側方スリット部521、521とを有する。中央スリット部511は、吸収性コア5の複数層の積層構造に配されている。中央スリット部511及び側方スリット部521は、それの位置における吸収性コア5を構成する吸収素材を欠いた部分であり、その部分において吸収性コア5の坪量が少なくされている。中央スリット部511及び側方スリット部521は、肌面側から所定深さまであってもよく、吸収性コア5の厚み全体に及ぶ貫通孔であってもよい。
中央スリット部511は、肌側吸収層51と非肌側吸収層52との複数層の積層構造に配され、両層に亘る貫通孔とされている。中央スリット部511は、前側5Aの、肌側吸収層51の幅が狭くなり始める位置から中間5Bの途中まで長手方向Yに沿って直線状に延出している。この中央スリット部511は、外装体2の第2応力帯領域21Mの下端部分から長手方向Yの中央線CLを若干超えて後見頃10Tに入った位置までに対応している。
側方スリット部521は、肌側吸収層51の幅が狭くなる部分の側縁に沿って長手方向Yに延在している。すなわち、側方スリット部521は、非肌側吸収層52のみの1層部分の貫通孔である。側方スリット部511は、前側5Aの、中央貫通孔511よりも股下部10C側の位置から、後側5Cの一部まで長手方向に沿って延出している。この側方スリット部521は、外装体2の第3応力帯領域21Nから長手方向Yの中央線CLを超えて後見頃10Tの中央付近の位置までに対応している。
吸収性コア5において、上記のようなスリット部によって坪量低減部分を設けて吸収性コア5全体の剛性の差が大きくなり過ぎないよう制御することができる。これにより、おむつ10におけるしわやヨレ等の均一化の精度を更に高めることができる。
【0038】
吸収性コア5は、上記の構成により、前身頃10Sにおいてウエスト開口部12側から身丈方向Yに沿って順に、坪量が減じられ、剛性が低減するようにされている。より具体的には、吸収性コア5は、身丈方向Yに沿って、(i)肌側吸収層51及び非肌側吸収層52の複数の積層構造であって中央スリット部511を含まない部分、(ii)前記積層構造であって中央スリット部511を含む部分、(iii)前記積層構造とその両側の側方吸収部52のみの1層構造と共に中央スリット部511及び一対の側方スリット部521、521を含む部分、の順に坪量が減じられ、剛性が低減されている。
【0039】
上記の構造の吸収性コア5に関し、外装体2の第1応力帯領域21Lと重なる吸収性コア5の第1吸収部5Lは、前記(i)の部分にある。外装体2の第2応力帯領域21Mと重なる吸収性コア5の第2吸収部5Mは、前記(ii)の部分であり、中央スリット部511を含んでいる。外装体2の第3応力帯領域21Nと重なる吸収性コア5の第3吸収部5Nは、前記(iii)の部分であり、中央スリット部511及び一対の側方スリット部521、521を含んでいる。
上記の対応関係にあることで、各応力帯領域の幅方向の収縮応力による皺を形成しにくくするとともに、各領域に形成する皺の振幅や個数を均質化することができる。
また、吸収性コア5の第1吸収部5Lが外装体2の第1応力帯領域21Lと重なることで、ウエストのフィット感を必要とするため収縮応力を維持しつつ製品皺を最大限低減させることができる。
前述の(i)は3つの領域の中で最もしわが形成しやすく、前述の(iii)の領域は最も皺が形成しにくいが、吸収性コア5の第2吸収部5Mが外装体2の第2応力帯領域21Mと重なることで、(ii)の領域はその中間となる皺状態となり、製品全体で見た際に皺が目立ちにくくなる。
吸収性コア5の第3吸収部5Nが外装体2の第3応力帯領域21Nと重なることで、股下で足回りへの負荷をかけないようにすることができる。一方で、吸収性コア5の第3吸収部5Nが最も剛性が低いため、わずかな応力負荷でも皺を形成しやすいが、対応する外装体2の第3応力帯領域21Nは収縮応力がほぼかからない領域であるため、製品に形成される皺はわずかである。
【0040】
おむつ10が上記構造の吸収性コア5を含んで、前身頃10Sにおいて、外装体2における弾性体の収縮応力の強弱の序列と吸収性コア5の剛性の高低の序列とが対応する関係にある。更に言えば、外装体2における弾性体の幅方向Xの収縮応力及び吸収性コア5の剛性は、吸収性コア5のウエスト開口部12側の端部側から身丈方向Yの下部側に向けて段階的に小さくされている。
【0041】
おむつ10の前身頃10Sの平面視において、上記の中央スリット部511は、幅方向Xに沿って延在する2本以上の弾性体の身丈方向Yの配置位置と重ならないことが好ましい。これにより、中央スリット部511を起点とした、吸収性コア5の積層構造におけるしわやヨレの発生をより効果的に抑えることができる。
【0042】
また、前身頃10Sの前記複数の応力帯領域それぞれにおいて、前述のレッグ周り弾性体78の、幅方向Xに対して交差する方向に沿って延在する部分が、幅方向Xに沿って延在する弾性体と2本以上交差しないことが好ましい。これにより、レッグ周り弾性体78が、幅方向Xに延在する2本以上の弾性体に挟まれて応力の影響を受けるなどして、しわやヨレ等の起点となることを防止することができる。
【0043】
おむつ10を構成する部材を構成素材は、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
例えば、各種の弾性体には、この種の物品に用いられる通常のものを用いることができ、例えば素材としては、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができ、形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状ないし紐状(平ゴム等)のもの、もしくはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。具体的に糸ゴムについては前述したような繊度のものが用いられる。
【0044】
外装体2は、1層からなる構成でも2層以上からなる構成でもよく、いずれの場合もその構成部材としては、不織布、不織布と樹脂フィルムとの積層材、多孔性フィルム等が挙げられる。また外装体2は液不透過性を有していた方が防漏性の観点から好ましく、通気性及び水蒸気の透過性を有していた方が、おむつ内の過度の湿度の上昇を防ぐために好ましい。
【0045】
吸収性本体1をなす表面シート3は、排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と肌触りのよさの観点とから親水性のサーマルボンド不織布が好ましく、特にエアスルー不織布が好ましい。表面シート3は親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
【0046】
裏面シート4としては、液の透過を防ぎ透湿性を有していれば特に限定されないが、例えば疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラー又は相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸又は二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。該ポリオレフィンとしては、高~低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独で又は混合して用いることができる。
【0047】
吸収性コア5としては、親水性繊維と高吸水性ポリマー粒子との混合物、親水性繊維と高吸水性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物、または、複数の繊維シートの間に高吸水性ポリマー粒子が挟まれた吸水性シートなどが挙げられる。前記親水性繊維としては、親水性表面を有する繊維を用いることができ、例えばセルロース繊維や、合成繊維を必要に応じ界面活性剤等により親水化処理したものが挙げられる。前記混合物の場合、その型崩れやポリマー粒子の脱落を防ぐため、その全体がティッシュペーパーや親水性繊維不織布等の透液性シートに被覆されている。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【0048】
サイドシート6としては、撥水性の不織布が好ましく、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、または撥水処理した種々の不織布を用いることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド-メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)、スパンボンド-メルトブローン-メルトブローン-スパンボンド(SMMS)、スパンボンド-スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SSMS)不織布等が用いられる。
【0049】
本発明のパンツ吸収性物品は、乳幼児用のものであっても、成人用のものであってもよく、おむつ以外の形態のものであってもよい。例えば、おむつ以外の形態として、生理用ショーツ、ショーツ型ナプキン、使い捨てショーツ等であってもよい。
【0050】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のパンツ型吸収性物品を開示する。
【0051】
<1>
縦長の吸収性コアを含む吸収性本体と該吸収性本体の非肌面側に接合された外装体とを具備し、着用者の胴を通すウエスト開口部及び前記着用者の脚を通す左右一対のレッグ開口部、並びに着用者の前側に配される前身頃及び前記着用者の後側に配される後見頃を備え、身丈方向及び該身丈方向に直交する幅方向を有するパンツ型吸収性物品であって、
前記前身頃において、前記外装体には、前記幅方向に沿って延在する伸縮自在の弾性体が前記身丈方向に沿って複数配置され、前記弾性体の前記幅方向の収縮応力が付与されており、前記吸収性コアは前記身丈方向に沿って配設され、
前記前身頃における前記外装体と前記吸収性コアとが重なる前記身丈方向の位置において、前記外装体は、前記弾性体の前記幅方向の収縮応力が前記身丈方向に沿って互いに異なる、複数の応力帯領域を有し、前記吸収性コアの剛性が、前記複数の応力帯領域の区分毎に異なり、前記弾性体の収縮応力の強弱の序列と前記吸収性コアの剛性の高低の序列とが対応する関係にある、
パンツ型吸収性物品。
【0052】
<2>
前記複数の応力帯領域の夫々の前記身丈方向の幅が30mm以内である、前記<1>に記載のパンツ型吸収性物品。
<3>
前記序列において、前記収縮応力及び前記剛性は、前記吸収性コアの前記ウエスト開口部側の端部側から前記身丈方向の下部側に向けて段階的に小さくされている、前記<1>又は<2>に記載のパンツ型吸収性物品。
<4>
前記複数の応力帯領域間において、前記弾性体は、前記吸収性コアの剛性が低くなるほど広い間隔のピッチで配置されている、前記<1>~<3>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<5>
前記吸収性コアの剛性の高低の序列は、前記吸収性コアの坪量の差異によって設定される、前記<1>~<4>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<6>
前記吸収性コアは、前記幅方向の中央に前記身丈方向に沿って延在する中央スリット部と、該中央スリット部の左右両側に前記身丈方向に沿って延在する一対の側方スリット部とを有し、前記中央スリット部は、前記吸収性コアの複数層の積層構造に配されている、前記<1>~<5>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<7>
前記前身頃の平面視において、前記中央スリット部は、前記幅方向に沿って延在する2本以上の前記弾性体の前記身丈方向の配置位置と重ならない、前記<6>に記載のパンツ型吸収性物品。
<8>
前記複数の応力帯領域は、前記吸収性コアの前記ウエスト開口部側の端部側から第1応力帯領域、第2応力帯領域及び第3応力帯領域を含み、前記第1応力帯領域と重なる前記吸収性コアは、前記複数層の積層構造の前記中央スリット部を含まない部分にあり、前記第2応力帯領域と重なる前記吸収性コアは前記中央スリット部を含み、前記第3応力帯領域と重なる前記吸収性コアは前記中央スリット及び一対の前記側方スリット部を含む、前記<6>又は<7>に記載のパンツ型吸収性物品。
<9>
前記複数の応力帯領域は、前記吸収性コアの前記ウエスト開口部側の端部側から第1応力帯領域、第2応力帯領域及び第3応力帯領域を含み、
前記第1応力帯領域、前記第2応力帯領域、前記第3応力帯領域の順で収縮応力が弱くなり、
前記第1応力帯領域、前記第2応力帯領域、前記第3応力帯領域の順で吸収性コアの剛性が低くなる、前記<1>~<8>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<10>
前記外装体は、前記レッグ開口部を囲むレッグ周り弾性体を有し、前記複数の応力帯領域それぞれにおいて、前記レッグ周り弾性体の、前記幅方向に対して交差する方向に沿って延在する部分が、前記幅方向に沿って延在する前記弾性体と2本以上交差しない、前記<1>~<9>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<11>
前記応力帯領域の収縮応力(P)の吸収部の剛性(Q)に対する比(P/Q)は、0.19以下、好ましくは0.10以下、より好ましくは0.05以下である、前記<1>~<10>のいずれか1に記載のパンツ型吸性物品。
【実施例
【0053】
以下に、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
【0054】
(実施例)
(1)図3に示すパンツ型おむつの前身頃において、第1応力帯領域21L、第2応力帯領域21M及び第3応力帯領域21N、並びにこれに対応する第1吸収部5L、第2吸収部5M及び第3吸収部5Nを特定し、それぞれを測定試料として切り出した。これは、前述の<幅方向Xの収縮応力及び剛性の測定方法>の(1)及び(2)の手順で行った。各種測定試料の身丈方向Yに沿う長さは30mmであった。
(2)第1応力帯領域21Lに配された胴周り弾性体73は、ポリウレタン繊維の素材からなる繊度620dtexの糸ゴムとした。第1応力帯領域21Lにおいて、胴周り弾性体73をピッチ4.5mmの間隔で5本配した。
第2応力帯領域21Mに配された鼠径部周り弾性体74は、ポリウレタン繊維の素材からなる繊度620dtexの糸ゴムとした。第2応力帯領域21Mにおいて、鼠径部周り弾性体74を1本、第1応力帯領域21Lの最下端の胴周り弾性体73からピッチ24mm離間させて配した。
第3応力帯領域21Nには弾性体を配さなかった。
(3)吸収性コア5は、肌側吸収層51及び非肌側吸収層52の2層構造とした。肌側吸収層51及び非肌側吸収層52はパルプ繊維と高吸収性ポリマーとの積繊体とし、肌側吸収層51の坪量は102g/cmとし、非肌側吸収層52の坪量は100g/cmとした。
第1吸収部5Lは、肌側吸収層51及び非肌側吸収層52の積層構造であって中央スリット部511を含まない部分とした。第1吸収部5Lの坪量は202g/cmとした。
第2吸収部5Mは、肌側吸収層51及び非肌側吸収層52の積層構造であって中央スリット部511を含む部分とした。
第3吸収部5Nは、前記積層構造とその両側の側方吸収部52のみの1層構造と共に中央スリット部511及び一対の側方スリット部521、521を含む部分とした。
【0055】
(比較例)
図3に示すパンツ型おむつにおいて、特開平8-112309号公報の図2に示すように、股下部10Cに4本の弾性体を幅方向Xに延在させたものとし、実施例1と同様に身丈方向Yに沿う長さを30mmに区分して各種測定試料を切り出した。股下部10Cに4本の弾性体は、ポリウレタン繊維の素材からなる繊度620dtexの糸ゴムとし、ピッチ8mmの間隔で配した。第2応力帯領域21Mには上記の弾性体が1本含まれていて、第3応力帯領域21Nには上記の弾性体が3本含まれていた点が、実施例とは異なるものであった。
【0056】
(測定)
実施例及び比較例それぞれについて切り出した各種測定試料に対して、<幅方向Xの収縮応力及び剛性の測定方法>の(3)及び(4)の方法に基づいて、幅方向Xの収縮応力及び剛性を測定した。
また、測定した幅方向Xの収縮応力及び剛性を基に、応力帯領域毎に、応力帯領域の収縮応力(P)の吸収部の剛性(Q)に対する比(P/Q)を算出した。
上記の結果は、下記表1~3の通りであった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
上記表1~3に示すように、実施例のおむつは、比較例とは異なり、外装体の幅方向Xの収縮応力及び吸収性コアの剛性の互いの序列が対応していた。このような実施例のおむつは、胴回り領域21Cから鼠径部周り領域21Dに亘って、上記の序列によって弾性体によるフィット性を維持しつつ、しわやヨレの均一化が実現されていることが確認できた。特に、鼠径部周り領域21Dに鼠径部周り弾性体74を、上記序列を実現するよう配することで、排尿部付近の垂れ下がりを抑制する働きを保っておむつ10のフィット性を高めていた。
【符号の説明】
【0061】
1 吸収性本体
2 外装体
21 前側外装体
21A ウエスト開口部周り領域
21B 腸骨周り領域
21C 胴周り領域
21D 鼠径部周り領域
21L 第1応力帯領域
21M 第2応力帯領域
21N 第3応力帯領域
22 後側外装体
3 表面シート
4 裏面シート
5 吸収性コア
5A 吸収性コアを3等分した前側
5B 吸収性コアを3等分した中間
5C 吸収性コアを3等分した後側
5L 第1吸収部
5M 第2吸収部
5N 第3吸収部
51 肌側吸収層
52 非肌側吸収層
511 中央スリット部
521 側方スリット部
6 サイドシート
71 ウエスト開口部周り弾性体
72 腸骨周り弾性体
73 胴周り弾性体
74 鼠径部周り弾性体
78 レッグ周り弾性体
79 立体ギャザー弾性体
10 パンツ型おむつ
10S 前身頃
10T 後見頃
10F 腹側部
10C 股下部
10R 背側部
11 サイドシール部
12 ウエスト開口部
13 レッグ開口部
【要約】      (修正有)
【課題】前身頃において、弾性体によるフィット性を維持しつつ、しわやヨレの局所的な発生を抑えるパンツ型吸収性物品を提供する。
【解決手段】前身頃において、外装体には、幅方向に沿って延在する伸縮自在の弾性体が身丈方向に沿って複数配置され、前記弾性体の前記幅方向の収縮応力が付与されており、吸収性コアは前記身丈方向に沿って配設され、前記前身頃における前記外装体と前記吸収性コアとが重なる前記身丈方向の位置において、前記外装体は、前記弾性体の前記幅方向の収縮応力が前記身丈方向に沿って互いに異なる、複数の応力帯領域を有し、前記吸収性コアの剛性が、前記複数の応力帯領域の区分毎に異なり、前記弾性体の収縮応力の強弱の序列と前記吸収性コアの剛性の高低の序列とが対応する関係にある、パンツ型吸収性物品。
【選択図】図1
図1
図2
図3