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特許7260717核酸トランスフェクションのためのリピドイドおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】核酸トランスフェクションのためのリピドイドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 233/62 20060101AFI20230411BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230411BHJP
   C12N 15/88 20060101ALI20230411BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20230411BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20230411BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230411BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
C07C233/62 CSP
A61K48/00
C12N15/88 Z ZNA
A61K47/69
A61K8/42
A61P35/00
A61P43/00 105
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022530325
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 CZ2021050079
(87)【国際公開番号】W WO2022063350
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】PV2020-529
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516213013
【氏名又は名称】ウスタフ オルガニッケ ヘミエ アー ビオヘミエ アカデミエ ヴェド ツェーエル,ヴェー.ヴェー.イー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シグラー,ペトル
(72)【発明者】
【氏名】グランツ サスコワ,クララ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァネク,ヴァーツラフ
(72)【発明者】
【氏名】クルジコヴァ,ズザナ
(72)【発明者】
【氏名】セドラック,フランチシェック
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】NANO LETTERS,2015年,Vol.15,pp.8099-8107,DOI 10.1021/acs.nanolett.5b03528
【文献】Journal of the American Chemical Society,2014年,Vol.136,pp.810-819,DOI 10.1021/ja411987g
【文献】Tetrahedron,2013年,Vol.69,pp.6810-6820,DOI 10.1016/j.tet.2013.06.024
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C12N
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iのリピドイド
【化1】

ここで、Xは-C(=O)NH-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-C(=O)S-、-C(=S)S-、-C(=O)NHNH-、-CH-、-O-、-OC(=O)-、-S-、-SC(=O)-、-NH-、-NHNH-、-NHC(=O)-、-NHNHC(=O)-、-C≡C-、-CH=CH-、少なくとも2つの窒素原子を含む5員複素環、-CHC(=O)NH-、-CHC(=O)O-、-CHC(=S)O-、-CHC(=S)S-、-CHC(=O)NHNH-、-N=CH-、および-CH=N-からなる群から選択され;
Yは -C 10 アルキレン鎖からなる群から独立して選択され、前記アルキレン鎖において、1つ以上の-CH-基は任意に1つ以上のOまたはS原子と置き換えられていてもよく;
Zは水素、-OH、-CHOH、-NH、-N(CH-(CH-SO 、-N(CH-(CH-COO、および-NHCH、-N(CH、-N(CH、-OCH、-OCHCH、-C(=O)Rからなる群から選択され、Rは-NH、-NH(CHOH、-N[(CHOH]、-NHCH(CHOH)、-NHCHCH(-OH)CHOH、-NH(CHC(=O)NH、-N[CHC(=O)NH、-NHCH[C(=O)NH、-NH(CHNHC(=O)NH
【化2】

から選択され、nは2~5の範囲内の整数であり;
かつ、Rは同じまたは互いに異なっていて、Rはそれぞれ独立して -C 20 アルキル -C 20 アルケニル、および -C 20 アルキニルからなる群から選択され、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルにおいて、1つ以上の-CH-基は任意に-CH(OH)-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-S-S-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-O-、および-S-から選択される1つ以上の基と置き換えられていてもよい;
およびその薬学的に許容される塩、付加塩および溶媒和物。
【請求項2】
Zは水素、-OH、-CHOH、-NH、-N(CH-(CH-SO 、-N(CH-(CH-COO、および-C(=O)Rからなる群から選択され、
は-NH、-NH(CHOH、-N[(CHOH]、-NHCH(CHOH)、-NHCHCH(OH)CHOH、-NH(CHC(=O)NH、-N[CHC(=O)NH、-NHCH[C(=O)NH、-NH(CHNHC(=O)NH
【化3】

から選択され、nは2~5の範囲内の整数である、請求項1に記載のリピドイド。
【請求項3】
Xは-C(=O)NH-、少なくとも2つの窒素原子を含む5員複素環、または-C(=O)O-から選択される、請求項1または2に記載のリピドイド。
【請求項4】
RはC-C20アルキル、C-C20アルケニル、およびC-C20アルキニルからなる群から独立して選択され、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルにおいて、1つ以上の-CH-基は任意に、-CH(OH)-、-OC(=O)-、および-C(=O)O-から選択される1つ以上の基によって置き換えられていてもよい、請求項1~3のいずれか1項に記載のリピドイド。
【請求項5】
分子中の全てのRが同じであるか、または分子中の全ての窒素原子が、2つの同一のRもしくは2つの異なるRによって同一に置換されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のリピドイド。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の一般式Iの少なくとも1種のリピドイドを10~50モル%の量で、かつ少なくとも1種のヘルパー脂質を50~90モル%の総量で含む、トランスフェクション剤。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の一般式Iの少なくとも1種のリピドイドを15~30モル%の量で、コレステロールを30~55モル%の量で、かつ少なくとも1種のさらなるヘルパー脂質を20~50モル%の量で含む、請求項6に記載のトランスフェクション剤。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の一般式Iの少なくとも1種のリピドイドと、少なくとも1種の核酸および/またはその一部および/または核酸誘導体とを含む、トランスフェクション粒子。
【請求項9】
さらに、少なくとも1種のヘルパー脂質を含む、請求項8に記載のトランスフェクション粒子。
【請求項10】
核酸および/またはその一部および/または核酸誘導体による細胞または組織のインビトロトランスフェクションのための、請求項1~5のいずれか1項に記載の一般式Iのリピドイド、または請求項6もしくは7に記載のトランスフェクション剤、または請求項8もしくは9に記載のトランスフェクション粒子の使用。
【請求項11】
染色体遺伝子をサイレンシングもしくは活性化するため、免疫原をサイレンシングもしくは活性化するため、シグナル伝達経路を阻害もしくは活性化するため、ゲノムもしくはトランスクリプトームを編集するため、または核酸によってコードされるタンパク質の発現を可能にするための、インビトロにおける、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
核酸および/またはその一部および/または核酸誘導体を用いてインビボで細胞または組織をトランスフェクションする際に使用するための(工業的または商業的目的で使用するためのヒト胚のトランスフェクションを除き、かつヒト生殖系列の改変を除く使用のための)、請求項1~5のいずれか1項に記載の式Iのリピドイド、または請求項6もしくは7に記載のトランスフェクション剤、または請求項8もしくは9に記載のトランスフェクション粒子を含む調製物
【請求項13】
染色体遺伝子をサイレンシングもしくは活性化するため、免疫原をサイレンシングもしくは活性化するため、シグナル伝達経路を阻害もしくは活性化するため、ゲノムもしくはトランスクリプトームを編集するため、または核酸によってコードされるタンパク質の発現を可能にするための請求項12に記載の調製物
【請求項14】
求項1~5のいずれか1項に記載の式Iのリピドイド、または請求項6もしくは7に記載のトランスフェクション剤、または請求項8もしくは9に記載のトランスフェクション粒子を含む薬剤
【請求項15】
遺伝子治療、悪性腫瘍の治療および/または遺伝子障害の治療のための、請求項14に記載の薬剤。
【請求項16】
求項1~5のいずれか1項に記載の一般式Iのリピドイド、または請求項6もしくは7に記載のトランスフェクション剤、または請求項8もしくは9に記載のトランスフェクション粒子を含む、活性成分を作用部位に送達するための化粧用調製物
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、新規でありイオン化可能なリピドイド、ならびにヌクレオチドおよび核酸ならびにそれらの合成アナログの細胞および組織へのトランスフェクションおよび投与のためのこれらの化合物の使用に関する。
【0002】
〔背景技術〕
核酸(NA)に基づく治療法の開発は、近年、前例のない復興を経験している。以前に試験された治療用デオキシリボ核酸(DNA)と比較して効力が高く、同時に有害な副作用のリスクが低いため、リボ核酸(RNA)療法が現在、勢いを得ている。例えば遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシスに対するパチシラン、ある種のデュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するエテプリルセン、または脊髄性筋萎縮症の治療に対するヌシネルセンのように、いくつかの薬物は既に臨床使用に達している。これらの疾患はどれも命にかかわるもので、それに代わる治療法はない。リボ核酸(RNA)を標的とする潜在的な薬物またはその使用は、それらがNAもしくはタンパク質を標的とするか、またはタンパク質をコードするかによって3つのカテゴリーに分けることができる。第1のカテゴリーは、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳またはRNAスプライシングをブロックする13~25ヌクレオチド(nt)の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(ヌシネルセン、エテプリルセン);およびmRNAを分解する低分子干渉RNA(siRNA、21~23nt)(パチシラン)を含む。タンパク質を標的とする治療用RNA分子は、RNAアプタマーとして知られるタイプの分子を使用する。これは、特定のタンパク質の機能を調節するように設計される。このような薬剤の例として、新生血管を伴う加齢黄斑変性症の治療に使用されるペガプタニブがあり、2004年に初めてその種の薬物として承認された。mRNAを用いた治療法は主に、癌に対するいわゆる個別化ワクチンまたは感染症(例えばジカウイルス、SARS-CoV-2)に対するワクチンの調製に用いられる。狂犬病および新型インフルエンザに対するmRNAに基づく予防ワクチンの候補が健常ボランティアにおいて安全な抗体産生を誘導することが示されているのは、ウイルス性疾患におけるものである。COVID-19パンデミックの原因となったウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するワクチン開発には多大な努力が払われている。これらの努力により、現在配布されて広く使用されている安全で有効性の高いmRNAワクチン候補がもたらされた。タンパク質補充mRNA療法はまた、例えば血友病治療のための開発の前臨床段階にある。
【0003】
直接的なゲノム編集を可能にする分子技術、特にCRISPR-Cas9システムに基づくものは、現在ブームになっている。CRISPR技術はDNA配列を変更し、遺伝子機能を改変することを可能にするツールである。潜在的応用には、遺伝的欠陥の修復、疾患の蔓延の治療および予防、または農作物の改良が含まれる。CRISPR-Cas9システムは、HIV治療、造血器悪性腫瘍の治療、鎌状赤血球症およびβサラセミアを含む遺伝性疾患を含む多くの前臨床および臨床研究で試験されている。その後、RNA編集はADAR(RNAに作用するアデノシンデアミナーゼ)のシステムによって可能となり、これまでのところ、臨床的観点からはより安全であると思われる。直接ゲノム編集のための分子技術は、編集を担う適切な酵素をコードするmRNAの形で作用部位に送達されることができる。
【0004】
上記の全ての技術(またはNAに基づく他の技術)の安全な使用を可能にする重要な要因は、作用部位へのそれらの安全かつ効率的な輸送である。重要な工程は、細胞のリン脂質膜を介した負に荷電したNAの通過であり、NAを真核細胞に意図的に導入するプロセスは、トランスフェクションと呼ばれる。近年、NAをインビボでの劣化から保護しながら、細胞膜を横切ってNAを効率的に運搬するための担体(いわゆるベクター)の集中的な開発があった(Stewart, M. P.: Chem. Rev. 2018, 118, 7409-7531)。
【0005】
ウイルスベクターおよび非ウイルス(物理的、化学的)ベクターの両方が、NAトランスフェクションのために使用される。これまで遺伝子治療分野の臨床試験の約70%はウイルスベクターを用いて行われてきたが、このアプローチには多数のリスク(発がん性、免疫応答の誘導、組織非特異性、NA組み込み能力の制限および製造の複雑性)がある。物理的方法(例えばエレクトロポレーション)は、ヒトの医学において全身的に使用することが困難である。
【0006】
対照的に、合成化学ベクターは通常、より低い免疫原性を有し、より多量の遺伝物質を輸送することができ、そしてそれらは明確な分子から構成されるので、それらの構造は、それらの効率を増加させ、そして毒性を抑制するために必要に応じて影響され得る。カチオン性ポリマーまたはカチオン性脂質は、負に荷電したNAと複合体を形成する化学ベクターとして使用される。この複合体は細胞膜を通過することができ、同時に、NAを細胞外環境における劣化から保護する。
【0007】
構造的観点から、いわゆる脂質ナノ粒子(LNP)は、現在、これらの複合体の最も有望で臨床的に進歩した形態である。それらにおいて、カチオン性脂質は通常、凝集を防止し、粒径およびトランスフェクション効率に影響を及ぼすPEG化脂質とともに、ヘルパー脂質およびコレステロールとともに製剤化され、これらは、例えばsiRNAトランスフェクションシステムにおいて示されるように、安定したNKカプセル化に必須である(Kulkarni, J.: Nanoscale, 2019, 11, 21733-21739)。LNPは、数ヌクレオチド単位から数百万までのサイズの範囲のNA分子を収容することができる。
【0008】
合成カチオン性脂質およびリピドイド(脂質に類似するが多数の疎水性鎖の点で異なる合成分子)は、カチオン性ドメインおよび疎水性ドメインによって形成される。今日まで、これらの物質の多数が、標的設計および組み合わせて生成されたライブラリーの試験の両方によって、両方のドメインにおいて高い構造的変動性を伴って開発されてきた。
【0009】
D-Lin-MC3-DMA、C12-200、cKK-E12、SA2-SC8などの脂質およびリピドイドは、siRNAトランスフェクションのために特別に開発されている(Dong, Y.: Adv. Drug Deliv. Rev. 2019, 144, 133-147)。D-Lin-MC3-DMAを含む製剤は、近年(2018年8月)、オンパットロ(旧パチシラン)の名称で臨床実践に導入され、歴史的に初めて承認されたsiRNA薬となった(Zhang, X.: J. Clin. Pharmacol. 2020, 60 (1), 37-49)。しかしながら、siRNAのために開発された製剤はmRNAに有効ではないかもしれず、従って、的を絞った最適化が必要である(Cullis, P.: Mol. Ther. 2017, 25 (7), 1467-1475)。
【0010】
イオン化可能な脂質およびリピドイド、例えばD-Lin-MC3-DMA、C12-200、cKK-E12、およびTT3が、mRNAをトランスフェクションするために使用される(Zhong, Z.: Nano Today 2018, 23, 16-39; Kowalski, P.: Mol. Ther. 2019, 27 (4), 1-19; Li, B.: Nano Lett. 2015, 15, 8099-8107)。イオン化可能な脂質はまた、DNAトランスフェクションのために使用される。この場合も、小分子(siRNA)トランスフェクションのために最適化されたトランスフェクションシステムは、DNAトランスフェクションに必ずしも適しているわけではなく、mRNAのために開発された製剤でさえも、DNAに効果的でないことがあることを強調すべきである(Buck, J.: ACS Nano 2019, 13, 3754-3782)。
【0011】
それらの多大な治療可能性にもかかわらず、これまで臨床使用の段階にもたらされてきたイオン化可能な脂質に基づく合成ベクターはごく少数であったという事実に起因して、より高い効率を有する新規なシステム(これはまた、非常に低いインビボ毒性を有する)を開発することが必要である。
【0012】
〔発明の開示〕
本発明は、イオン化可能な(カチオン性)脂質を使用するヌクレオチドおよび核酸ならびにそれらの合成アナログのトランスフェクションおよび標的送達の効率の問題、ならびに標的生物または細胞に対するこれらの脂質の毒性の問題に対する解決策を提供する。本発明者らは驚くべきことに、アダマンタンがイオン化リピドイドの中心コアとして使用される場合、このようなリピドイドのトランスフェクション効率が、特にmRNA、環状ジヌクレオチド、siRNAおよびDNAのトランスフェクションにおいて、以前に公知の解決策と比較して有意に増加することを見出した。同時に、これらのアダマンタン含有リピドイドは、関連する用量で極めて低い細胞毒性を示す。それらは、マウスで静脈内または腹膜内投与後、毒性の徴候を示さない。新しいイオン化可能なリピドイドの中心構造モチーフとして使用されるアダマンタンコアの特定の性質は、これまでに知られているイオン化可能な脂質およびリピドイドと比較して、その近傍での立体配置の複雑さおよび高い剛性にある。アダマンタンから構造的に誘導される生体活性物質のさらなる利点は一般に良好な生体適合性であり、従って、医薬での使用、特にヒト医薬に適している。
【0013】
本発明は、一般式Iのイオン化可能なリピドイド、
【0014】
【化1】
【0015】
ここで、Xは、-C(=O)NH-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-C(=O)S-、-C(=S)S-、-C(=O)NHNH-、-CH-、-O-、-OC(=O)-、-S-、-SC(=O)-、-NH-、-NHNH-、-NHC(=O)-、-NHNHC(=O)-、-C≡C-、-CH=CH-、少なくとも2つの窒素原子を含む5員複素環、-CHC(=O)NH-、-CHC(=O)O-、-CHC(=S)O-、-CHC(=S)S-、-CHC(=O)NHNH-、-N=CH-、および-CH=N-からなる群から選択され;
Yはアルキレン鎖C-C10からなる群から独立して選択され、前記アルキレン鎖において、1つ以上の-CH-基は任意に1つ以上のOまたはS原子と置き換えられていてもよく;
Zは水素、-OH、-CHOH、-NH、-N(CH-(CH-SO 、-N(CH-(CH-COO、および-NHCH、-N(CH、-N(CH、-OCH、-OCHCH、-C(=O)Rからなる群から選択され、Rは-NH、-NH(CHOH、-N[(CHOH]、-NHCH(CHOH)、-NHCHCH(-OH)CHOH、-NH(CHC(=O)NH、-N[CHC(=O)NH、-NHCH[C(=O)NH、-NH(CHNHC(=O)NH
【0016】
【化2】
【0017】
から選択され、nは2~5の範囲内の整数であり;
かつ、Rは同じまたは互いに異なっていて、Rはそれぞれ独立してアルキルC-C20、アルケニルC-C20、およびアルキニルC-C20からなる群から選択され、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルにおいて、1つ以上の-CH-基は任意に-CH(OH)-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-S-S-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-O-、および-S-から選択される1つ以上の基と置き換えられていてもよい;
およびその薬学的に許容される塩、付加塩および溶媒和物に関する。
【0018】
いくつかの実施形態ではXは、-C(=O)NH-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-C(=O)S-、-C(=S)S-、-C(=O)NHNH-、-CH-、-O-、-S-、-NH-、-NHNH-、-NHC(=O)-、-NHNHC(=O)-、-C≡C-、-CH=CH-、少なくとも2つの窒素原子を含む5員複素環、-CHC(=O)NH-、-CHC(=O)O-、CHC(=S)O-、CHC(=S)S-、-CHC(=O)NHNH-、-N=CH-、-CH=N-からなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、Yは、アルキレン鎖C-C10からなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態において、Zは、水素原子、-OH、-NH、-NHCH、-N(CH、-N(CH、-OCH、-OCHCH、-N(CH-(CH-SO 、-N(CH-(CH-COOからなる群から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態において、Zは水素、-OH、-CHOH、-NH、-N(CH-(CH-SO 、-N(CH-(CH-COO、および-C(=O)Rからなる群から選択され、
は-NH、-NH(CHOH、-N[(CHOH]、-NHCH(CHOH)、-NHCHCH(OH)CHOH、-NH(CHC(=O)NH、-N[CHC(=O)NH、-NHCH[C(=O)NH、-NH(CHNHC(=O)NH
【0022】
【化3】
【0023】
から選択され、nは2~5の範囲内の整数である。
【0024】
いくつかの実施形態において、Zは水素、-OH、-CHOH、-NH、-N(CH-(CH-SO 、-N(CH-(CH-COO、および-C(=O)Rからなる群から選択され、
は-NH、-NH(CHOH、-N[(CHOH]、-NHCH(CHOH)、-NHCHCH(-OH)CHOH、-NH(CHC(=O)NH、-N[CHC(=O)NH、-NHCH[C(=O)NH、-NH(CHNHC(=O)NH
【0025】
【化4】
【0026】
から選択される。
【0027】
用語「アルキル」は飽和炭化水素鎖を意味し、これは、直鎖、分枝鎖、または環状もしくは環含有であってもよい。
【0028】
用語「アルケニル」は、炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を含む炭化水素鎖を意味する。炭化水素鎖は、直鎖、分岐鎖、または環状もしくは環含有であってもよい。
【0029】
用語「アルキニル」は、炭素原子間に少なくとも1つの三重結合、および任意で炭素原子間に1つ以上の二重結合をさらに含む炭化水素鎖を意味する。炭化水素鎖は、直鎖、分岐鎖、または環状もしくは環含有であってもよい。
【0030】
用語「アルキレン鎖」は飽和炭化水素鎖を意味し、これは直鎖、分岐鎖、または環状もしくは環含有であってもよいが、好ましくは直鎖である。この鎖は2の原子価を有し、すなわち、2つの結合を介してリンカーまたは架橋として結合する。
【0031】
一般式Iの分子が正電荷を有する場合、化合物は薬学的に許容される塩を形成するために、有機酸または無機酸の薬学的に許容されるアニオンであり得る対イオンを含む。このようなアニオンは、例えばアセタート、アスパルタート、ベンゼンスルホナート、ベンゾアート、ベシラート、ビカルボナート、ビタルトラート、ブロミド、カンシラート、カルボナート、クロリド、シトラート、デカノアート、エデタート、エシラート、フマラート、グルセプタート、グルコナート、グルタマート、グリコラート、ヘキサノアート、ヨージド、ラクタート、マラート、マレアート、マンデラート、メシラート、メタンスルファート、ナプシラート、ニトラート、オクタノアート、オレアート、パモアート、パントテナート、ホスファート、ポリガラクツロナート、プロピオナート、サリチラート、ステアラート、スクシナート、スルファート、タルトラートおよびトシラートからなる群から選択されてもよい。
【0032】
式Iの化合物がキラル中心を含む場合、式Iは、純粋なエナンチオマー、ならびにラセミ体を含むエナンチオマーの混合物を含む。
【0033】
式Iは、遊離形態の式Iの化合物、ならびに塩、付加塩(酸または塩基を有する)および/または溶媒和物(水和物またはアルコール溶媒和物を含む)の形態の化合物を含む。
【0034】
式IのリンカーXは、分子のアミン部分が中心アダマンタンコアへ付着する反応によって形成される。従ってこれらは、選択される反応、例えばエステル、アミドおよびそれらの類似体の生成、クリック反応(例えばアジド-アルキン環化付加)などに応じて異なるリンカーであり得る。Xは従って、-C(=O)NH-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-C(=O)S-、-C(=S)S-、-C(=O)NHNH-、-CH-、-O-、-OC(=O)-、-S-、-SC(=O)-、-NH-、-NHNH-、-NHC(=O)-、-NHNHC(=O)-、-C≡C-、-CH=CH-、少なくとも2つの窒素原子を含む5員複素環、-CHC(=O)NH-、-CHC(=O)O-、-CHC(=S)O-、-CHC(=S)S-、-CHC(=O)NHNH-、-N=CH-および-CH=N-からなる群から選択される。好ましくは、Xは-C(=O)NH-、少なくとも2つの窒素原子を含む5員複素環、および-C(=O)O-から選択される。
【0035】
リンカーYは、リンカーXおよびアダマンタンコアからアミンの少なくとも最小限の距離を提供するアルキレン鎖である。YはC-C10アルキレン鎖、好ましくはC-Cアルキレン鎖であり、前記アルキレン鎖において、1つ以上の-CH-基は、任意に1つ以上のOまたはS原子と置き換えられていてもよい。
【0036】
置換基Zは、式Iの化合物の特性をさらに少しだけ改変することができる。
【0037】
好ましくは、Zは水素原子または-C(=O)Rである。部分-C(=O)Rは、典型的にはアミン末端分子と、カルボン酸基を有する中心アダマンタンコアとの反応によって形成される。Rは従って、-NH、-NH(CHOH、-N[(CHOH]、-NHCH(CHOH)、-NHCHCH(-OH)CHOH、-NH(CHC(=O)NH、-N[CHC(=O)NH、-NHCH[C(=O)NH、-NH(CHNHC(=O)NH
【0038】
【化5】
【0039】
から選択され、nは2~5の範囲内の整数である。
【0040】
好ましくは、Rは-NH、-NH(CHOH、-NHCH(CHOH)から選択される。
【0041】
R鎖は、互いに同じであっても異なっていてもよく、合成を単純にするために好ましくは、それらは同じであるか、または全ての窒素原子が同一に(2つの同一のRまたは2つの異なるRで)置換されている。R置換基は脂肪鎖であり、それらはC-C20アルキル、C-C20アルケニル、およびC-C20アルキニルからなる群から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルにおいて、1つ以上の-CH-基は任意に、-CH(OH)-、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-SS-、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-O-、および-S-から選択された1つ以上の基によって置き換えられていてもよい。好ましくは置換基RがC-C20アルキル、C-C20アルケニル、およびC-C20アルキニルからなる群から選択され、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルにおいて、1つ以上の-CH-基は任意に、-CH(OH)-、-OC(=O)-、および-C(=O)O-から選択される1つ以上の基によって置き換えられていてもよい。
【0042】
好ましくは、RはC10-C16アルキル、-CH-基が-CH(OH)-または-C(=O)O-と置き換えられているC10-C16アルキル、1つまたは2つまたは3つの二重結合を有するC14-C20アルケニル、-CH-基が-C(=O)O-または-CH(OH)-によって置き換えられている1つまたは2つまたは3つの二重結合を有するC14-C20アルケニルから選択される。
【0043】
式Iの化合物は、7位のZ基および1、3、5位のリンカーXの前駆体基で置換されたアダマンタン前駆体と、一般式X’-Y-NR(式中、X’はリンカーXの前駆体基である)のアミンとの対応する反応によって調製される。アミンは当業者に公知の反応および手順によって調製することができ、適切なアミンも市販されている。
【0044】
より具体的な例では、式Iの化合物が好ましくは
式IIの化合物
【0045】
【化6】
【0046】
(式中、Aは水素である)を式IIIのジアミン
【0047】
【化7】
【0048】
と縮合剤および塩基の存在下で反応させることにより、または、
Aがハロゲンである一般式IIの化合物を、塩基の存在下で一般式IIIのジアミンと反応させることによって調製される。
【0049】
式IIおよびIIIにおいて、Z、YおよびRは上述の通りである。
【0050】
本発明はまた、一般式Iの少なくとも1種のリピドイドおよび少なくとも1種のヘルパー脂質を含むトランスフェクション剤に関する。トランスフェクション剤は、成分を組み合わせることによって調製することができる。溶液の形態のトランスフェクション剤は、成分を溶解および混合することによって調製され得る。固体形態(粒子形態、好ましくはナノ粒子形態)のトランスフェクション剤は、従来のナノ粒子技術で使用される技術によって、例えばマイクロ流体混合によって調製することができる。トランスフェクション剤の粒子は通常、ナノ粒子であり、これは、一般に、1~500nmの範囲の寸法を有する粒子を意味すると理解される。典型的には、ナノ粒子の寸法は30~250nm、より好ましくは40~150nmの範囲である。
【0051】
好ましくは、トランスフェクション剤は一般式Iの少なくとも1種のリピドイドを10~50モル%の量で、かつ少なくとも1種のヘルパー脂質を50~90モル%の量で含む。好ましくは、トランスフェクション剤は一般式Iの少なくとも1種のリピドイドを15~30モル%の量で、かつ少なくとも1種のヘルパー脂質を70~85モル%の量で含む。いくつかの好ましい実施形態では、トランスフェクション剤は一般式Iの少なくとも1種のリピドイドを15~30モル%の量で、コレステロールを30~55モル%の量で、かつ少なくとも1種の他のヘルパー脂質を20~50モル%の量で含む。
【0052】
特に好適な実施形態では、トランスフェクション剤は一般式Iの少なくとも1種のリピドイドを15~30モル%の量で、コレステロールを30~55モル%の量で、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンを20~45モル%の量で、かつ1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000を0.5~5モル%の量で含む。
【0053】
本発明はまた、式Iの少なくとも1種のリピドイド、少なくとも1種の核酸および/またはその一部および/または核酸誘導体、および好ましくはまた少なくとも1種のヘルパー脂質を含むトランスフェクション粒子に関する。トランスフェクション粒子は、例えば、ヘルパー脂質を任意に含む一般式Iのリピドイドの溶液を、核酸および/またはその一部および/または核酸誘導体の溶液と混合することによって調製することができる。混合は従来のナノ粒子技術において使用される技術によって、例えば、マイクロ流体混合によって実施され得る。
【0054】
トランスフェクション粒子中の核酸および/またはその一部および/または核酸誘導体の総量の、一般式Iの脂質およびヘルパー脂質の総量に対する重量比は、好ましくは1:2~1:500、より好ましくは1:5~1:100である。具体的に説明すると、以下の実施例で調製される粒子では、この比率がmRNAでは約1:9であり、siRNAでは約1:68であった。
【0055】
トランスフェクション粒子は通常、ナノ粒子であり、これは、一般に、1~500nmの範囲の寸法を有する粒子を意味すると理解される。典型的には、トランスフェクションナノ粒子の寸法が30~250nm、好ましくは40~200nm、より好ましくは40~150nmの範囲である。
【0056】
トランスフェクション粒子の構造を極低温透過型電子顕微鏡で観察したところ、トランスフェクション粒子は内部に核酸(またはその一部もしくは誘導体)を含む緻密な層状脂質ナノ粒子であることが観察された。
【0057】
トランスフェクション試薬およびトランスフェクション粒子におけるヘルパー脂質は主に、中性脂質、ステロールまたは親水性ポリマーとの脂質コンジュゲートである。
【0058】
中性脂質は生理学的pHでゼロの正味電荷を持ち、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、および1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(シアニン5)などの生理学的pHで非荷電型または電気的に中性な双性イオン型で存在し得る。
【0059】
ステロールは、例えば、コレステロール、β-シトステロール、スチグマスタノール、カンペステロール、フコステロール、アベナステロール、フェコステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、および9,11-デヒドロエルゴステロールから選択されてもよい。好ましくは、ステロールはコレステロールである。
【0060】
親水性ポリマーとの脂質コンジュゲートは、脂質部分と、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、ポリ(グリセロール)、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)、ポリ(サルコシン)またはグリコールキトサンなどのポリマー部分とを含む。好ましくは、ポリマー部分が約500~約10,000Da、より好ましくは約1,000~約5,000Daの範囲であり得る分子量のポリ(エチレングリコール)からなる。親水性ポリマーとの脂質コンジュゲートは例えば、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリ(エチレングリコール)-2000、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-ポリ(エチレングリコール)-2000、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-ポリ(エチレングリコール)-2000、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-ポリ(エチレングリコール)-2000などから選択されてもよい。親水性ポリマーとの脂質コンジュゲートは、好ましくは1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリ(エチレングリコール)-2000であってもよい。
【0061】
核酸またはその一部は、1つ以上のヌクレオチドおよび/またはデオキシヌクレオチドを含む部分である。核酸またはその一部は、治療剤、診断剤または予防剤であってもよく、またはそれらがトランスフェクションされる細胞または組織の標識を提供してもよい。従って、式Iの化合物は、主に治療的または生物工学的用途を有する。
【0062】
用語「核酸またはその一部」は、好ましくはオリゴヌクレオチド(1~100ヌクレオチド、例えばアプタマー)、環状ジヌクレオチド(例えば2’,3’-cGAMP)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、デオキシリボ核酸(一本鎖DNA、二本鎖DNA、cDNA、1つの遺伝子または複数の遺伝子をコードするプラスミドDNA)、リボ核酸、典型的にはメッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA、マイクロRNA(miRNA)、piwi-RNA(piRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)、CRISPRシステムのためのガイドRNA(gRNA)およびそれらの組み合わせ(典型的には例えばCas9ヌクレアーゼ、Cas13a/C2c2およびCas13b、またはCRISPR、CRISPRiおよび他の変異、ならびに宿主細胞もしくは組織ゲノムのその後の修飾、または宿主細胞もしくは組織トランスクリプトームの修飾における使用に適した類似のヌクレアーゼをコードするgRNAおよびmRNA)から選択される核酸またはそれらのセグメントを意味すると理解される。さらに、本明細書中に開示される全ての核酸(NA)は例えば生物学的システムにおけるそれらの安定性を増大させるために、合成塩基アナログで形成または修飾され得る。合成NAアナログは特に、以下の置換を含む:鎖の5’および/または3’末端でのリン酸化、5-メチルシチジン-5’-三リン酸、N-メチルシュードウリジン-5’-三リン酸、P-(5’-(3’-O-メチル)-7-メチル-グアノシル)-P-(5’-(グアノシル))三リン酸、P-(グアノシル)P-(5’-(グアノシル))三リン酸、P-(5’-7-メチル-グアノシル)P-(5’-(グアノシル))三リン酸、P-(5’-2,2,7-トリメチル-グアノシル)P-(5’-(グアノシル))三リン酸、N-メチルアデノシン-5’-三リン酸、2-チオウリジン-5’-三リン酸、シュードウリジン-5’-三リン酸、5-メトキシウリジン-5’-三リン酸、N-メチルアデノシン-5’-三リン酸、N-アセチルシチジン-5’-三リン酸、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル、2’-フルオロ、ペントース環の2’-酸素と4’-炭素との間のメチレン架橋(いわゆるロック核酸)、ボラノホスホネート、またはホスホロチオアート。
【0063】
本発明はさらに、インビトロで核酸および/またはその一部および/または核酸誘導体を用いて細胞または組織をトランスフェクションするための、式Iのリピドイドまたはトランスフェクション剤またはトランスフェクション粒子の使用を含む。さらに、本発明はインビボで核酸および/またはその一部および/または核酸誘導体を用いて細胞または組織をトランスフェクションする際に使用するための式Iのリピドイドまたはトランスフェクション粒子を含む(工業的または商業的使用のためのヒト胚のトランスフェクションを除き、ヒト生殖系列の改変を除く)。
【0064】
一般式Iのリピドイドを含むトランスフェクション粒子は基礎研究における多くの生物学的応用において有用であり、とりわけ、活性な核酸を送達するための細胞培養物または動物のトランスフェクションおよびそれに続く1つの染色体遺伝子または複数の染色体遺伝子のサイレンシングまたは活性化、ゲノム編集(遺伝子除去、遺伝子挿入または突然変異導入)またはトランスクリプトーム編集、またはトランスフェクション粒子によって挿入された核酸によってコードされる所定のタンパク質の発現、いわゆる「in trans」を可能にする。
【0065】
獣医学およびヒト医学において、一般式Iのリピドイドを含有するトランスフェクション粒子は、好ましくは治療または予防目的のために使用され得る。治療用核酸を含む粒子は動物またはヒトに投与されて、染色体遺伝子をサイレンシングもしくは活性化し、免疫原をサイレンシングもしくは活性化し、シグナル伝達経路を阻害もしくは活性化し、ゲノムを編集(遺伝子切除、遺伝子挿入または突然変異導入)もしくはトランスクリプトームを編集し、または核酸によってコードされるタンパク質の発現を可能にすることができる。
【0066】
本発明はまた、薬剤としての使用のため、特に遺伝子治療のための、一般式Iのリピドイドまたはトランスフェクション剤またはトランスフェクション粒子を提供する。特に、それらは、悪性腫瘍および/または遺伝的障害の治療における使用に適している。
【0067】
一般式Iのリピドイドまたはトランスフェクション粒子は、薬学的に許容される賦形剤を含む調製物の形態で、治療的用途、化粧用途または生物工学的用途のために製剤化され得る。製剤は、液体または固体の形態、またはエアロゾルなどの他の形態であってもよい。液体の形態としては、例えば注射または経口投与のために適合した溶液、懸濁液、分散液が挙げられる。固体の形態としては、例えば、カプセル剤、錠剤、コーティング錠、粉末剤、坐剤、および他の形態が挙げられる。
【0068】
液体製剤は噴霧することができる。噴霧された懸濁液は噴霧装置から直接吸い込まれてもよく、または噴霧装置はフェイスマスクテント、または間欠的陽圧呼吸器に取り付けられてもよい。
【0069】
固体剤形はまた、ドライパウダー吸入器を用いて吸入により投与されてもよい。懸濁液または乾燥粉末製剤は、薬学的組成物を適切な様式で送達するデバイスから経口または経鼻投与され得る。
【0070】
皮膚または粘膜上に活性物質を送達するために、活性物質を有するトランスフェクション粒子はまた、クリーム、ゲル、軟膏、ペースト、バーム、液体の形態で調製され得る。これらの局所形態は、作用部位に直接適用されてもよい。
【0071】
薬学的に許容される賦形剤としては、溶媒、溶解度制御剤、pH調整剤、担体、充填剤、結合剤、滑剤、崩壊剤、防腐剤、収着剤、粘度制御剤、味、臭気または製剤の色などの知覚特性に影響を及ぼす薬剤が挙げられる。
【0072】
さらに、一般式Iのリピドイドまたはトランスフェクション剤またはトランスフェクション粒子は好ましくは活性物質を作用部位に送達するために、化粧品産業の目的のために使用することができる。活性物質を有するトランスフェクション粒子はクリーム、ゲル、軟膏、ペースト、バーム、液体などの形態で調製することができ、化粧品、毛髪化粧品または個人向け衛生用品として使用することができる。
【0073】
〔図面の簡単な説明〕
図1.リピドイド4a~gの合成スキーム。
【0074】
図2.リピドイド9の合成スキーム。
【0075】
図3.リピドイド13の合成スキーム。
【0076】
図4.化合物19、リピドイド21の前駆体の合成スキーム。
【0077】
図5.リピドイド21の合成スキーム。
【0078】
図6.化合物22およびそのアシルクロリド、リピドイド23~25の前駆体の合成スキーム。
【0079】
図7.リピドイド23~25の合成スキーム。
【0080】
図8.リピドイド29a~fの合成スキーム
図9.リピドイド31a~dの合成スキーム。
【0081】
図10.mRNA-LNP(B39)のマウス肝臓への機能的送達の試験。
【0082】
〔実施例〕
略語一覧:
eq. 当量
保持係数
TLC 薄層クロマトグラフィー
RVE 回転式真空蒸発器
rt 室温
br s ブロードな信号
s シングレット
d ダブレット
m マルチプレット
dd ダブレットのダブレット
J 相互作用定数
δ 化学シフト
HRMS 高分解能質量分析法
ESI エレクトロスプレーイオン化
MALDI マトリックス支援レーザー脱離/イオン化
IR 赤外分光法
NMR 核磁気共鳴
CE5 シクロヘキサン-酢酸エチル混合物95:5(v/v)
CE20 シクロヘキサン-酢酸エチル混合物80:20(v/v)
CE50 シクロヘキサン-酢酸エチル混合物50:50(v/v)
D1 ジクロロメタン-メタノール-25%NH水溶液混合物75::3(v/v/v)
D2 ジクロロメタン-メタノール-25%NH水溶液混合物175:22:3(v/v/v)
D3 ジクロロメタン-メタノール-25%NH水溶液混合物275:22:3(v/v/v)
D4 ジクロロメタン-メタノール-25%NH水溶液混合物375:22:3(v/v/v)
TFA トリフルオロ酢酸
HCTU O-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DCM ジクロロメタン
ACN アセトニトリル
TBDPSCl tert-ブチルジフェニルクロロシラン
DIC ジイソプロピルカルボジイミド
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
LNP 脂質ナノ粒子
NA 核酸
DNA デオキシリボ核酸
RNA リボ核酸
mRNA メッセンジャーRNA
siRNA 低分子干渉RNA
tRNA トランスファーRNA
miRNA マイクロRNA
ssDNA/RNA 一本鎖DNA/RNA
dsDNA/RNA 二本鎖DNA/RNA
DMG-PEG2000 1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000
DOPE 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン
DOPC 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン
DSPC 1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン
DOPE-Cy5 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(シアニン5)
Lip2000 Lipofectamine(登録商標)2000(Invitrogen)
〔実施例1〕
,N-ジドデシルエタン-1,2-ジアミン3a
クロロカルシウムキャップおよびマグネチックスターラーを備えた500ml丸底フラスコに、アミン1a(5.00g、31.2mmol)のDCM(100ml)溶液を充填し、氷浴中で0℃に冷却した。激しく撹拌しながら、n-ドデシルアルデヒド(20.8ml、93.6mmol、3eq.)を加え、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(19.8g、93.6mmol、3eq.)を10分かけて3回に分けて加えた。冷却浴を除去し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応の進行を、アンモニアで予め飽和させたTLCプレート上の80:20(v/v)ヘキサン-酢酸エチル移動相を使用するTLCによってモニターした(ニンヒドリンでの検出)。反応終了後、NaOH水溶液(1M、200ml)を加え、反応混合物を15分間撹拌し、次いで分液漏斗に注ぎ、水(300ml)で希釈した。生成物をDCM(300ml、2×50ml)で抽出し、合わせた有機相をブライン(50ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。暗色の油状残渣を、ヘキサン中の酢酸エチルの直線勾配(10~30%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。アミン2a(5.12g、33.0%)を黄色がかった油として得た。
【0083】
トリフルオロ酢酸(10ml)を化合物2a(5.12g)のDCM(10ml)溶液に加え、氷浴中で撹拌しながら0℃に冷却し、反応混合物を0℃で3時間放置した。次に、溶液を1リットルの分液フラスコに注ぎ、20%NaCO水溶液(300ml)で希釈し、生成物をDCM(250ml、2×50ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。粗生成物を、DCM中のD1の直線勾配(0~70%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。ジアミン3a(2.55g、62.4%;アンモニアで予め飽和させたTLCプレート上の移動相D2中のR 0.46、ニンヒドリンでの検出)を、黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=2.895、2.64、2.48、1.45、1.28、1.26、1.24-1.28、1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=54.31、53.85、38.33、31.90、29.65、29.62、29.61、29.52、29.34、26.36、23.88、22.67、14.10ppm。IR(フィルム):νmax/cm-1=3371wおよび3315w(ν NH)、2801m(ν N-CH)、2953s(νas CH)、2924vs(νas CH)、2853s(ν CH)、1467mおよび1457m、sh(β CHおよびδas CH)、1378wおよび1367w(δ CH)、721m(βas CH)。HRMS(ESI):m/z C2657[M+H]に対する計算値397.45163;実測値397.45093。
【0084】
,N,N-トリス(2-(ジドデシルアミノ)エチル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド4a
O-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU、256mg、0.596mmol、4eq.)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、0.415ml、2.39mmol、16eq.)を、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(40mg、0.149mmol)の無水DMF(1.5ml)溶液に加え、溶液を室温で15分間撹拌した。次に、N,N-ジドデシルエタン-1,2-ジアミン3a(237mg、0.149mmol、4eq.)のDCM(1.0ml)溶液を加え、反応混合物を12時間撹拌した。溶液を250mlの分液フラスコに注ぎ、飽和NaHCO水溶液(50ml)で希釈し、生成物をDCM(50ml、2×20ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。粗生成物を、DCM中のD1の直線勾配(20~50%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。リピドイド4a(71mg、33.9%;アンモニアで予め飽和させたTLCプレート上の移動相D2中のD2中のR 0.73、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=7.33、3.56、3.32、3.125、3.075、2.34、2.01、1.91、1.79、1.67、1.36、1.285、1.26-1.32、1.25、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=180,48、56.72、53.78、41.38、39.04、36.86、36.29、31.90、29.64、29.62、29.50、29.40、29.35、29.04、27.79、26.36、23.88、22.68、14.10ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3440wおよび3322w(ν NH)、1653w(アミドI)および1623w(アミドI結合)、1535w(アミドII)、2956m(νas CH)、2927vs(νas CH)、2855m(ν CH)、1467wおよび1457w(β CHおよびδas CH)、1378w(δ CH)。HRMS(MALDI):m/z C91179[M+H]に対する計算値1404.4033;実測値1404.4012。
【0085】
〔実施例2〕
,N-ジドデシルプロパン-1,3-ジアミン3b
アミン2bを、アミン1b(6.0g、34.43mmol)、n-ドデシルアルデヒド(22.91ml、103.30mmol、3eq.)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(21.89g、103.30mmol、3eq.)から、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って調製した。アミン2bを黄色がかった油として得た(7.72g、43.9%)。
【0086】
アミン2bの脱保護は、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って実施した;ジアミン3b(4.26g、68.6%;アンモニアで予め飽和させたTLCプレート上の移動相D2中のR 0.35、ニンヒドリンでの検出)を、黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=3.07、2.70、2.50、1.81、1.46、1.28、1.26、1.25-1.29、1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=53.70、53.30、41.18、31.90、29.64、29.62、29.60、29.58、29.48、29.33、27.42、25.71、23.87、22.67、14.10ppm。IR(フィルム):νmax/cm-1=3361wおよび3274w(ν NH)、2803m(ν N-CH)、2954s(νas CH)、2924vs(νas CH)、2853s(ν CH)、1467mおよび1456m、sh(β CHおよびδas CH)、1378wおよび1364w(δ CH)、720m(βas CH)。HRMS(ESI):m/z C2759[M+H]に対する計算値411.46728;実測値411.46652。
【0087】
,N,N-トリス(3-(ジドデシルアミノ)プロピル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド4b
リピドイド4bを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(20mg、0.075mmol)、HCTU(128mg、0.298mmol、4eq.)、DIPEA(0.208ml、1.19mmol、16eq.)およびジアミン3b(123mg、0.298mmol、4eq.)から、実施例1で化合物4aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド4b(64mg、59.3%;アンモニアで予め飽和したTLCプレート上の移動相D2中のR 0.51、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色い油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=7.59、3.36、2.99、2.88、2.31、2.13、2.00、1.96、1.81、1.67、1.31、1.28、1.25-1.30、1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=177.39、55.22、50.70、41.78、40.38、37.20、35.67、31.89、29.60、29.51、29.48、29.32、29.19、28.39、26.94、24.10、23.68、22.67、14.10ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3466wおよび3287w(ν NH)、1656m(アミドI)および1511m(アミドII)、2814w(ν CHNR)、2954s(νas CH)、2927vs(νas CH)、2871m(ν CH)、2855s(ν CH)、1468mおよび1456m(β CHおよびδ CH)、1378w(δ CH)、721w(βas CH)。HRMS(MALDI):m/z C94185[M+H]に対する計算値1446.45027;実測値1446.44896。
【0088】
〔実施例3〕
,N-ジドデシルブタン-1,4-ジアミン3c
アミン2cを、アミン1c(5.0g、26.56mmol)、n-ドデシルアルデヒド(17.67ml、79.67mmol、3eq.)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(16.89g、79.67mmol、3eq.)から、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って調製した。アミン2cを黄色がかった油として得た(4.15g、29.8%)。
【0089】
アミン2cの脱保護は、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って実施した;ジアミン3c(2.36g、70.3%;アンモニアで予め飽和させたTLCプレート上の移動相D2中のR 0.29、ニンヒドリンでの検出)を、黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=2.85、2.81、2.59、1.725、1.68、1.51、1.28、1.265、1.25-1.30、1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=53.33、52.74、40.44、31.90、29.64、29.60、29.60、29.40、29.33、28.65、27.46、24.83、24.40、22.67、14.10ppm。IR(フィルム):νmax/cm-1=3370wおよび3274w(ν NH)、2798m(ν N-CH)、2957s(νas CH)、2924vs(νas CH)、2853s(ν CH)、1467mおよび1456m、sh(β CHおよびδas CH)、1378wおよび1367w(δ CH)、720m(βas CH)。HRMS(ESI):m/z C2861[M+H]に対する計算値425.48293;実測値425.48227。
【0090】
,N,N-トリス(4-(ジドデシルアミノ)ブチル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド4c
リピドイド4cを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(40mg、0.149mmol)、HCTU(256mg、0.596mmol、4eq.)、DIPEA(0.416ml、2.39mmol、16eq.)およびジアミン3c(253mg、0.596mmol、4eq.)から、実施例1で化合物4aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド4c(64mg、28.8%;アンモニアで予め飽和したTLCプレート上の移動相D2中のR 0.48、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=7.27、3.335、3.03、2.98、2.28、2.12、2.06、1.875、1.81、1.74、1.64、1.33、1.28、1.25-1.29、1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=177.27、52.78、52.27、41.83、40.26、37.36、37.20、31.88、29.58、29.49、29.43、29.31、29.10、28.37、26.82、26.56、22.94、22.66、20.79、14.10ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3441wおよび3329w(ν NH)、1641m(アミドI)、1534w(アミドII)、2956m(νas CH)、2927vs(νas CH)、2855m(ν CH)、1466mおよび1458m(β CHおよびδas CH)、1378w(δ CH)。HRMS(MALDI):m/z C97191[M+H]に対する計算値1488.4972;実測値1488.4956。
【0091】
〔実施例4〕
,N-ジドデシルペンタン-1,5-ジアミン3d
アミン2dを、アミン1d(5.0g、24.72mmol)、n-ドデシルアルデヒド(16.45ml、74.15mmol、3eq.)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(15.71g、74.15mmol、3eq.)から、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って調製した。アミン2dを黄色がかった油として得た(6.01g、45.1%)。
【0092】
アミン2dの脱保護は、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って行った;ジアミン3d(4.32g、88.3%;アンモニアで予め飽和させたTLCプレート上の移動相D2中のR 0.28、ニンヒドリンでの検出)を、黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=2.75、2.68、2.55、1.565、1.53、1.50、1.35、1.28、1.27、1.24-1.28、1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=53.61、53.55、41.48、32.10、31.89、29.63、29.61、29.58、29.45、29.32、27.41、25.74、24.90、24.55、22.66、14.09ppm。IR(フィルム):νmax/cm-1=3367wおよび3284w(ν NH)、2797m(ν N-CH)、2956s(νas CH)、2924vs(νas CH)、2853s(ν CH)、1467mおよび1456m、sh(β CHおよびδas CH)、1378wおよび1367w(δ CH)、720m(βas CH)。HRMS(ESI):m/z C2963[M+H]に対する計算値439.49858;実測値439.49783。
【0093】
,N,N-トリス(5-(ジドデシルアミノ)ペンチル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド4d
リピドイド4dを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(40mg、0.149mmol)、HCTU(256mg、0.596mmol、4eq.)、DIPEA(0.416ml、2.39mmol、16eq.)およびジアミン3d(262mg、0.596mmol、4eq.)から、実施例1で化合物4aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド4d(74mg、32.4%;アンモニアで予め飽和したTLCプレート上の移動相D2中のR 0.49、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=6.91、3.27、2.99、2.29、2.09、1.97、1.82、1.81、1.76、1.59、1.45、1.34、1.28、1.25-1.30、1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=177.01、52.77、41.82、40.10、38.33、37.59、31.88、29.58、29.48、29.43、29.30、29.09、28.53、28.39、26.84、23.83、23.09、23.02、22.66、14.10ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3322w(ν NH)、1640m(アミドI)、1535w(アミドII)、2956m(νas CH)、2927vs(νas CH)、2855m(ν CH)、1467mおよび1457m(β CHおよびδas CH)、1378w(δ CH)、722m(β)。HRMS(MALDI):m/z C100197[M+H]に対する計算値1530.5442;実測値1530.5478。
【0094】
〔実施例5〕
,N-ジドデシルヘキサン-1,6-ジアミン3e
アミン2eを、アミン1e(5.0g、23.11mmol)、n-ドデシルアルデヒド(15.38ml、69.34mmol、3eq.)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(14.70g、69.34mmol、3eq.)から、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って調製した。アミン2eを黄色がかった油として得た(3.67g、28.7%)。
【0095】
アミン2eの脱保護は、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って実施した;ジアミン3e(2.17g、72.2%;アンモニアで予め飽和させたTLCプレート上の移動相D2中のR 0.31、ニンヒドリンでの検出)を、黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=2.73、2.65、2.57、1.56、1.52、1.51、1.36、1.31、1.28、1.25-1.29、1.24、0.87 ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=53.51、53.20、41.62、32.40、31.89、29.63、29.61、29.57、29.44、29.32、27.39、27.09、26.53、25.65、25.02、22.66、14.10ppm。IR(フィルム):νmax/cm-1=3374wおよび3294w(ν NH)、2797m(ν N-CH)、2956s(νas CH)、2924vs(νas CH)、2853s(ν CH)、1467mおよび1455m、sh(β CHおよびδas CH)、1378wおよび1367w(δ CH)、721m(βas CH)。HRMS(ESI):m/z C3065[M+H]に対する計算値453.51423;実測値453.51340。
【0096】
,N,N-トリス(6-(ジドデシルアミノ)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド4e
リピドイド4eを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(40mg、0.149mmol)、HCTU(256mg、0.596mmol、4eq.)、DIPEA(0.416ml、2.39mmol、16eq.)およびジアミン3e(270mg、0.596mmol、4eq.)から、実施例1で化合物4aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド4e(91mg、38.8%;アンモニアで予め飽和したTLCプレート上の移動相D2中のR 0.52、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=7.80、3.33、3.03、2.99、2.37、2.27、2.02、1.92、1.81、1.76、1.62、1.43、1.41、1.34、1.285、1.26-1.30、1.24、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=177.87、52.87、52.26、41.74、39.31、36.86、31.90、29.60、29.50、29.44、29.32、29.10、28.26、26.82、25.77、25.52、23.44、23.14、22.68、14.12ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3463wおよび3327w(ν NH)、1641m(アミドI)、1535m(アミドII)、2958s(νas CH)、2871s(ν CH)、1467mおよび1457m(β CHおよびδas CH)、2927s(νas CH)、2855s(ν CH)、1378w(δ CH)、721w(βas CH)、2799w(ν CHNR)。HRMS(MALDI):m/z C103203[M+H]に対する計算値1572.5911;実測値1572.5881。
【0097】
〔実施例6〕
,N-ジドデシルヘプタン-1,7-ジアミン3f
アミン2fを、アミン1f(1.0g、4.34mmol)、n-ドデシルアルデヒド(3.14ml、13.02mmol、3eq.)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.76g、13.02mmol、3eq.)から、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って調製した。アミン2fを黄色がかった油として得た(1.74g、70.6%)。
【0098】
アミン2fの脱保護はTFA(4ml)およびDCM(4ml)の混合物中で、実施例1で2aについて記載した手順に従って実施した;ジアミン3f(0.842g、59.1%;アンモニアで予め飽和させたTLCプレート上の移動相D2中のR 0.38、ニンヒドリンでの検出)を、黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=2.73、2.69、2.64、1.56、1.50、1.30、1.28、1.25-1.31、1.25、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=53.37、53.20、41.62、32.22、31.89、27.10-29.60、26.57、25.14、22.66、14.10ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3391vw(νas NH);2960s、sh(νas CH);2927vs(νas CH);2872s、sh(ν CH);2855vs(ν CH);2798m(ν N-CH);1467sおよび1458m(β CHおよびδas CH);1378w(δ CH);1302w(γ CH);721w(βasおよびγas CH)。HRMS(ESI):m/z C3167[M+H]に対する計算値467.52988;実測値467.52974。
【0099】
,N,N-トリス(7-(ジドデシルアミノ)ヘプチル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド4f
リピドイド4fを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(40mg、0.149mmol)、HCTU(256mg、0.596mmol、4eq.)、DIPEA(0.416ml、2.39mmol、16eq.)およびジアミン3f(278mg、0.596mmol、4eq.)から、実施例1で化合物4aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド4f(199mg、82.6%;アンモニアで予め飽和したTLCプレート上の移動相D2中のR 0.55、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=7.97、3.22、3.09、2.34、1.92、1.83、1.82、1.70、1.58、1.52、1.36、1.30、1.285、1.28、1.25-1.32、1.25、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=177.27、54.00、53.14、41.59、39.48、39.30、36.92、31.89、29.60、29.48、29.39、29.32、29.06、28.22、26.50、25.58、23.63、23.38、22.67、14.10ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3438w(自由)および3339、3196w(結合)(ν NH);1627m(アミドI);1535m(アミドII);2956s、sh(νas CH);2873m、sh(ν CH);1468mおよび1457m、sh(β CHおよびδas CH);2927vs(νas CH);2856s(ν CH);1378w(δ CH);722w(βas CH);2805w(ν CHNR)。HRMS(MALDI):m/z C106209[M+H]に対する計算値1614.6381;実測値1614.6414。
【0100】
〔実施例7〕
,N-ジドデシルオクタン-1,8-ジアミン3g
アミン2gを、アミン1g(1.0g、4.09mmol)、n-ドデシルアルデヒド(2.96mL、12.28mmol、3eq.)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.60g、12.28mmol、3eq.)から、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って調製した。アミン2gを黄色がかった油として得た(1.98g、83.1%)。
【0101】
アミン2gの脱保護はTFA(4ml)およびDCM(4ml)の混合物中で、実施例1で2aについて記載した手順に従って実施した;ジアミン3g(0.848g、52.0%;アンモニアで予め飽和させたTLCプレート上の移動相D2中のR 0.35、ニンヒドリンでの検出)を、黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=2.70、2.63、2.53、1.51、1.47、1.32、1.28、1.25-1.32、1.25、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=53.61、53.20、41.92、33.00、31.90、27.30-29.60、26.70、25.83、22.67、14.10ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3391vw(νas NH);2960s、sh(νas CH);2927vs(νas CH);2872s、sh(ν CH);2855vs(ν CH);2799m(ν N-CH);1467sおよび1458m(β CHおよびδas CH);1378w(δ CH);1302w(γ CH);721w(βasおよびγas CH)。HRMS(ESI):m/z C3269[M+H]に対する計算値481.54553;実測値481.54507。
【0102】
,N,N-トリス(8-(ジドデシルアミノ)オクチル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド4g
リピドイド4gを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(40mg、0.149mmol)、HCTU(256mg、0.596mmol、4eq.)、DIPEA(0.416ml、2.39mmol、16eq.)およびジアミン3g(286mg、0.596mmol、4eq.)から、実施例1で化合物4aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド4g(211mg、85.4%;アンモニアで予め飽和したTLCプレート上の移動相D2中のR 0.60、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=8.03、3.21、3.09、3.07、2.35、1.985、1.82、1.815、1.71、1.51、1.335、1.33、1.29、1.28、1.25-1.33、1.25、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=177.22、54.04、53.07、41.56、40.01、39.08、36.95、31.89、29.60、29.49、29.40、29.32、29.06、28.45、28.42、28.30、26.53、26.13、26.01、23.88、23.45、22.67、14.10ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3439w(自由)および3341、3196w(結合)(ν NH);1635、1627w(アミドI);1533w(アミドII);2954m、sh(νas CH);2873m、sh(ν CH);1467mおよび1457w、sh(β CHおよびβas CH);2927vs(νas CH);2856s(ν CH);1378w(δ CH);2810vw、sh(ν CHNR)。HRMS:m/z C109215[M+H]に対する計算値1656.6856;実測値1656.6882。
【0103】
〔実施例8〕
1,2-エポキシドデカン6
N-クロロスクシンイミド(NCS、3.44g、25.77mmol、0.95eq.)およびL-プロリン(0.937g、8.14mmol、0.30eq.)を、n-ドデシルアルデヒド(6.0ml、27.13mmol)のアセトニトリル(70ml)溶液に加え、氷浴中で0℃に冷却し、混合物を0℃で2時間撹拌した。次にエタノール(40ml)で希釈し、NaBH(2.57g、67.82mmol、2.5eq.)を加え、反応混合物を0℃で3.5時間撹拌した。溶液を1000mlの分液フラスコに注ぎ、水(100ml)およびブライン(100ml)で希釈し、生成物を酢酸エチル(300ml、50ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。粗生成物を、シクロヘキサン中の酢酸エチルの直線勾配(0~20%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。クロロアルコール5(2.79g、46.6%;移動相CE20中のR 0.42、KMnOでの検出)を、無色の油として得た。
【0104】
NaOH(11.37g、0.284mmol、22.5eq.)の水(49ml)溶液を、クロロアルコール5(2.79g、12.64mmol)のジオキサン(38ml)溶液に加え、混合物を35℃で30時間撹拌した。次いで、この溶液を500mlの分液フラスコに注ぎ、水(100ml)で希釈し、生成物をDCM(100ml、50ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(50ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。粗生成物を、シクロヘキサン中の酢酸エチルの直線勾配(0~5%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。エポキシド6(1.797g、77.2%;移動相CE5中のR 0.38、ホスホモリブデン酸/Ce4+での検出)を無色の油として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=0.92(t、J=6Hz、3H)、1.29-1.60(m、18H)、2.47-2.49(m、1H)、2.76-2.78(m、1H)、2.90-2.95(m、1H)ppm。13C NMR(101MHz、CDCl)δ=14.11、22.68、25.97、29.33、29.45、29.56、29.59、31.90、32.50、47.14、52.42ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=エポキシド:2997w、sh(νas CH);1482w、1410w、1130w(δ O-CH);1259w(ν 骨格、呼吸);917w(δas 円);896vw(δas COC);alif.鎖:2957s(νas CH);2928vs(νas CH);2872m(ν CH);2856s(ν CH);1467mおよび1458m(β CHおよびδas CH);1379w(δ CH)、HRMS(EI):m/z C1224O[M]に対する計算値184.1827;実測値184.1832。
【0105】
,N-ビス(2-ヒドロキシドデシル)ヘキサン-1,6-ジアミン8
アミン1e(0.86g、3.98mmol)およびエポキシド6(1.76g、9.54mmol、2.4eq.)を4mlガラスバイアル中で混合し、混合物を溶媒の非存在下、アルゴン雰囲気下で80℃に24時間加熱した。得られた黄色がかった液体を、DCM中のD1の直線勾配(0~30%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。アミン7(1.98g、85.1%;移動相D3中のR 0.51、ニンヒドリンでの検出)を黄色がかった油として得た。
【0106】
アミン7の脱保護はTFA(4ml)およびDCM(6ml)の混合物中で、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って実施し、ジアミン8(1.271g、77.4%;移動相D2中のR 0.20、ニンヒドリンでの検出)を粘性の黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=3.65、3.63、2.84、2.82、2.565、2.55、2.41、2.325、1.60、1.59、1.41、1.38、1.35、1.30-1.48、1.28、1.25-1.29、1.25、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=69.39、67.71、62.72、61.05、55.78、54.77、40.86、40.56、35.22、35.08、31.90、30.45、29.6-29.9、29.33、25.65-26.77、22.67、14.10ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3412w、vbr(ν OH);1077w、vbr(ν C-OH);1621vw、vbr(β NH);1090w(ν C-NH);2956m、sh(νas CH);2928vs(νas CH);2871m(ν CH);2855s(ν CH);2810w、sh(ν N-CH);1467wおよび1457w(β CHおよびδas CH);1378vw(δ CH);722vw(βasおよびγas CH)。HRMS(ESI):m/z C3065[M+H]に対する計算値485.50406;実測値485.50461。
【0107】
,N,N-トリス(6-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド9
リピドイド9を、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(40mg、0.149mmol)、HCTU(256mg、0.596mmol、4eq.)、DIPEA(0.416ml、2.39mmol、16eq.)およびジアミン8(289mg、0.596mmol、4eq.)から、実施例1で化合物4aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド9(188mg、75.5%;移動相D2中のR 0.43、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=6.97、4.10、4.075、4.04、4.00、3.38、3.31、3.28、3.24、3.21、3.19、3.16、3.11、2.34、2.14、1.93、1.87、1.28、1.25-1.31、1.25、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=177.50、66.38、65.92、65.10、64.73、61.43、61.23、60.55、59.64、57.63、54.48、53.38、41.70、39.42、39.23、37.16、31.90、29.63、29.56、29.52、29.34、28.39、22.68、14.11ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3300-3500m、br(ν OH)、1090w(ν C-OH);3439w(自由)および3344w(結合)(ν NH);1635m(アミドI);1536m(アミドII);2956m、sh(νas CH);2873m、sh(ν CH)、2927vs(νas CH)、2855s(ν CH);1378w(δ CH);2808w、sh(ν CHNR);721w(β CH)。HRMS(MALDI):m/z C103203[M+H]に対する計算値1668.5612;実測値1668.5628。
【0108】
〔実施例9〕
リノレイルアルデヒド10
Dess-Martinペルヨージナン(4.45g、10.49mmol、1.3eq.)をリノレイルアルコール(2.50ml、8.07mmol)のDCM(120ml)溶液に加え、氷浴中で0℃に冷却し、混合物を0℃で4時間撹拌した。次いで、この反応を、チオ硫酸ナトリウム溶液(20g Na.5HO/100ml HO)および飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50ml)を加えることによってクエンチし、最初は乳白色であった溶液が透明になるまでrtで1時間撹拌した。溶液を1000mlの分液フラスコに注ぎ、水(150ml)で希釈し、生成物をDCM(150ml、2×50ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(アイソクラティック条件、シクロヘキサン中5%酢酸エチル)により精製した。アルデヒド10(1.271g、59.6%;移動相CE5中のR 0.36、KMnO4での検出)を無色油として得た。
【0109】
,N-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)ヘキサン-1,6-ジアミン12
アミン11を、アミン1e(0.345g、1.59mmol)、アルデヒド10(1.27g、4.78mmol、3eq.)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.01g、4.78mmol、3eq.)から、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って調製した。アミン11を黄色がかった油として得た(1.08g、94.9%;移動相CE20中のR 0.18、ニンヒドリンでの検出)。
【0110】
アミン11の脱保護はTFA(4ml)およびDCM(5ml)の混合物中で、実施例1で2aについて記載した手順に従って実施し、ジアミン12(0.594g、64.0%;移動相D2中のR 0.13、ニンヒドリンでの検出)を黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=5.30-5.40、2.765、2.73、2.67、2.59、2.04、1.51、1.385、1.37、1.34、1.295、1.29、1.28-1.34、1.28、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=130.19、130.06、127.99、127.89、53.49、53.45、41.67、32.52、31.50、29.62、29.46、29.20-29.48、27.37、27.20、27.18、26.52、25.61、22.56、14.06ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3011s(νas =CH);1646-1673m(ν C=C);3455w(νas NH);3394(ν NH);1620w(β NH);1087m(ν C-NH);2957s、sh(νas CH);2928vs(νas CH);2873s、sh(ν CH);2856vs(ν CH);2801m(ν N-CH);1467mおよび1457m、sh(βおよびδas CH);1378m(δ CH);721m(βasおよびγas CH)。HRMS:m/z C4281[M+H]に対する計算値613.63943;実測値613.63899。
【0111】
,N,N-トリス(6-(ビス((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)アミノ)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド13
リピドイド13を、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(30mg、0.112mmol)、HCTU(192mg、0.447mmol、4eq.)、DIPEA(0.312ml、2.39mmol、16eq.)およびジアミン12(274mg、0.447mmol、4eq.)から、実施例1で化合物4aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド13(154mg、67.1%;移動相D2中のR 0.48、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=6.32、5.37、5.32、3.23、2.76、2.31、2.04、1.90、1.81、1.52、1.35、1.305、1.295、1.29、1.28-1.35、1.28、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=176.42、130.21、129.99、128.04、127.87、52.94、41.72、39.98、38.99、37.77、31.50、29.60、29.18、29.08、29.0-29.7、28.57、27.18、26.26、25.61、22.55、14.07ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3011m(νas =CH);1661m(ν C=C);3464w(自由)および3347w(結合)(ν NH);1645m、sh(アミドI);1534w(アミドII);2957m、sh(νas CH);2873m、sh(ν CH);2929vs(νas CH);2856s(ν CH);1378および1366w(δ CH);1086w、sh(ν C-N);722w(βasおよびγas CH)。HRMS(MALDI):m/z C139251[M+H]に対する計算値2052.9667;実測値2052.9672。
【0112】
〔実施例10〕
8-(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)オクタン-1-オール14
Tert-ブチルジフェニルクロロシラン(17.50ml、68.39mmol、1eq.)を、1,8-オクタンジオール(10.0g、68.39mmol)およびイミダゾール(5.59g、82.06mmol、1.2eq.)のDCM(250ml)溶液に加え、反応混合物を24時間rtで撹拌した。溶液を1000mlの分液フラスコに注ぎ、水(400ml)およびブライン(100ml)で希釈し、生成物をDCM(2×100ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。粗生成物を、シクロヘキサン中の酢酸エチルの直線勾配(0~30%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。アルコール14(13.65g、51.9%;移動相CE20中のR 0.35、KMnOでの検出)を、無色の油として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=1.08(s、9H)、1.31-1.41(m、8H)、1.55-1.62(m、4H)、3.64-3.70(m、4H)、7.38-7.47(m、6H)、7.69-7.71(m、4H)ppm。13C NMR(101MHz、CDCl):δ=19.24、25.68、25.72、26.89、29.33、29.38、32.56、32.79、63.09、63.99、127.57、129.48、134.19、135.58ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3072m(20a);3053m(20b);2529s、sh(tBu、νas CH);2898s、sh(tBu、ν CH);1590、1568(8a、8b);1487m(19a);1463m、1473s(tBu、δas CH);1428s(19b);1390m、1362m(tBu、δ CH);1189m;1112vs、1094vs(νas Si-Ph);1030m(18a);1008m(δ Ph-Si);939m(r CH);701vs(ν COSi);688m(4);622m(6b);614s(6a);505s(16b);489m(δ Si-Ph);2932vs(νas CH);2858vs(ν CH);3636m、3341m、br(ν OH);1057m(ν C-OH)。HRMS(ESI):m/z C2436NaSi[M+Na]に対する計算値407.23768;実測値407.23742。
【0113】
8-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)オクタン酸15
Dess-Martinペルヨージナン(19.54g、46.07mmol、1.3eq.)を、アルコール14(13.63g、35.44mmol)のDCM(250ml)溶液に加え、氷浴中で0℃に冷却し、混合物を0℃で4時間撹拌した。次いで、この反応を、チオ硫酸ナトリウム溶液(50g Na.5HO/150ml HO)および飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100ml)を加えることによってクエンチし、最初は乳白色であった溶液が透明になるまでrtで1時間撹拌した。溶液を1000mlの分液フラスコに注ぎ、水(200ml)で希釈し、生成物をDCM(200ml、2×50ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(200ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。13.56gの無色の油が得られた。
【0114】
得られた残渣を、2リットルフラスコ中でアセトン(450ml)と水(90ml)との混合物に溶解し;2-メチル-2-ブテン(15.02ml、141.8mmol、4eq.)およびNaHPO.2HO(11.06g、70.88mmol、2eq.)を溶液に加え、懸濁液を氷浴中で0℃に冷却した。次に、亜塩素酸ナトリウム(9.62g、106.32mmol、3eq.)の水(60ml)溶液を滴下漏斗から30分間かけて徐々に加え、反応混合物を冷却浴から取り出し、rtで12時間激しく撹拌した。溶液を1000mlの分液フラスコに注ぎ、クエン酸(70g)の水(300ml)溶液で希釈し、生成物をジエチルエーテル(300ml、50ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(300ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(アイソクラティック条件、クロロホルム中5%メタノール)により精製した。酸15(12.92g、91.5%;移動相MeOH-CHCl 5:95(v/v)中のR 0.35、KMnOでの検出)を、粘性の無色の油として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=1.05(s、9H)、1.27-1.39(m、6H)、1.51-1.66(m、4H)、2.34(t、J=7.5Hz、2H)、3.65(t、J=6.5Hz、2H)、7.36-7.44(m、6H)、7.66-7.68(m、4H)ppm。13C NMR(101MHz、CDCl):δ=19.23、24.63、25.59、26.89、28.97、29.02、32.48、33.95、63.91、127.57、129.49、134.15、135.58、179.60ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3534w(ν OH、モノマー);3100w、2740w、2674w(ν OH、ダイマー);1711vs(ν C=O);1413w、1289w(ν COおよびδ COH);2561m、sh(tBu、νas CH);2898m、sh(tBu、ν CH);1590w;1487w(19a);1463m、1472m(tBu、δas CH);1429m(19b);1390w、1362w(tBu、δ CH);1112s、(νas COSi);1093m(18b);1030w;1008w(δ Ph-Si);940w(r CH);701s(4);688w(SiOC);622w(6b);614m(6a);505w(16b);2932s(νas CH);2858m(ν CH)。HRMS(ESI):m/z C2433Si[M+H]に対する計算値397.22044;実測値397.22018。
【0115】
(Z)-ノン-2-エン-1-イル-8-ヒドロキシオクタノアート17
ジイソプロピルカルボジイミド(1.08ml、6.90mmol、1.1eq.)および4-ジメチルアミノピリジン(23.0mg、0.188mmol、0.03eq.)を、酸15(2.50g、6.27mmol)のDCM(100ml)溶液に加え、氷浴中で0℃に冷却し、混合物を0℃で30分間撹拌した。次に、trans-2-ノネン-1-オール(1.37ml、8.15mmol、1.3eq.)を加え、反応混合物をrtで12時間撹拌した。溶媒をRVE中で蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(アイソクラティック条件、シクロヘキサン中5%酢酸エチル)によって精製した。エステル16(2.784g、84.9%;移動相CE5中のR 0.61、KMnOでの検出)を、無色の油として得た。
【0116】
フッ化テトラブチルアンモニウム一水和物(2.95g、10.56mmol、2eq.)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を、エステル16(2.76g、5.28mmol)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液に加え、反応混合物をrtで20時間撹拌した。溶液を500mlの分液フラスコに注ぎ、10%塩化アンモニウム水溶液(150ml)で希釈し、生成物をジエチルエーテル(150ml、50ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。粗生成物を、シクロヘキサン中の酢酸エチルの直線勾配(0~45%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。アルコール17(1.311g、87.3%;移動相CE50中のR 0.61、KMnOでの検出)を、やや黄色がかった油として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=0.87(t、J=6Hz、3H)、1.26-1.38(m、14H)、1.51-1.66(m、4H)、2.07-2.12(m、2H)、2.30(t、J=7.5Hz、2H)、3.63(t、J=6.6Hz、2H)、4.61-4.62(m、2H)、5.48-5.55(m、1H)、5.60-5.67(m、1H)ppm。13C NMR(101MHz、CDCl):δ=14.07、22.60、24.88、25.54、27.54、28.86、29.02、29.07、29.39、31.68、32.68、34.30、60.22、62.97、123.34、135.45、173.75ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3637w、3453w(ν OH);1056m(ν C-OH);1736vs(ν C=O);1238m、1170s(ν C-O);3025w(νas =CH);1659w(ν C=C);1419w(ρ =C-H);2955s(νas CH);2931vs(νas CH);2858s(ν CH);2872s、sh(ν CH);1466mおよび1457m(β CHおよびδas CH);1378m(δ CH);722m(βasおよびγas CH)。HRMS(EI):m/z C1732[M]に対する計算値284.2351;実測値284.2355。
【0117】
(Z)-ノン-2-エン-1-イル-8-オキソオクタノアート18
Dess-Martinペルヨージナン(2.46g、5.80mmol、1.3eq.)を、アルコール17(1.27ml、4.46mmol)のDCM(100ml)溶液に加え、氷浴中で0℃に冷却し、混合物を0℃で4時間撹拌した。次に、反応を、チオ硫酸ナトリウム溶液(10g Na.5HO/50ml HO)および飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50ml)を加えることによってクエンチし、最初は乳白色であった溶液が透明になるまでrtで1時間撹拌した。溶液を500mlの分液フラスコに注ぎ、水(100ml)で希釈し、生成物をDCM(100ml、50ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(150ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。粗生成物を、シクロヘキサン中の酢酸エチルの直線勾配(0~30%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。アルデヒド18(0.573g、45.4%;移動相CE20中のR 0.49、KMnOでの検出)を、無色の油として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=0.88(t、J=7Hz、3H)、1.26-1.38(m、14H)、1.59-1.67(m、4H)、2.07-2.12(m、2H)、2.30(t、J=7.5Hz、2H)、2.40-2.44(m、2H)、4.61-4.63(m、2H)、5.48-5.55(m、1H)、5.61-5.68(m、1H)、9.76(t、J=1.8Hz、1H)ppm。13C NMR(101MHz、CDCl):δ=14.07、21.86、22.60、24.71、27.54、28.77、28.83、28.86、29.39、31.68、34.19、43.79、60.25、123.31、135.49、173.59、202.62ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=2818m、2716m(aldeh、ν CH);1733 vs(aldeh、ν C=O);1395m、sh(aldeh、δ OCH);1733vs(ν C=O);1244m、1172s(ν C-O);3026m(νas =CH);1659w(ν C=C);2956s(νas CH);2930vs(νas CH);2858s(ν CH);2873s、sh(ν CH);1466m a 1462m(β CH a δas CH);1378m a 1373m(δ CH)。HRMS(ESI):m/z C1729[M-H]に対する計算値297.20713;実測値297.20722。
【0118】
,N-ビス(8-((Z)-ノン-2-エン-1-イル)オキシ-8-オキソオクチル)ヘキサン-1,6-ジアミン20
アミン19を、アミン1e(140mg、0.647mmol)、アルデヒド18(0.548g、1.94mmol、3eq.)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.411g、1.94mmol、3eq.)から、実施例1で2aについて記載した手順に従って調製したが、ただし、反応混合物を事前に抽出せずに蒸発させ、残渣をクロマトグラフィーによって直接的に精製した。アミン19をわずかに黄色がかった油として得た(0.446g、92.0%)。
【0119】
アミン19の脱保護はTFA(4ml)とDCM(4ml)との混合物中で、実施例1で2aについて記載した手順に従って実施し、ジアミン20(0.333g、86.2%;移動相D2中のR 0.16、ニンヒドリンでの検出)を黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=5.63、5.50、4.61、3.06、3.02、2.99、2.29、2.08、1.82、1.74、1.60、1.57、1.42、1.34、1.28、1.27、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=173.59、135.39、129.29、60.24、52.64、52.19、39.50、34.12、31.64、29.34、28.84、28.82、28.73、27.51、26.60、25.76、25.36、24.69、23.11、22.57、14.05ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3446w(νas NH);1612w(β NH);2800m、sh(ν N-CH);1736vs(ν C=O);1236m、1168s(ν C-O);3024m(νas =CH);1679w(ν C=C);1419w(ρ =CH);2957s(νas CH);2931vs(νas CH);2858s(ν CH);2873s、sh(ν CH);1467mおよび1457m(β CHおよびδas CH);1378m(δ CH);721w(βasおよびγas CH)。HRMS(ESI):m/z C4077[M+H]に対する計算値649.58779;実測値649.58767。
【0120】
,N,N-トリス(6-(ビス(8-((Z)-ノン-2-エン-1-イル)オキシ-8-オキソオクチル)アミノ)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド21
リピドイド21を、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(30mg、0.112mmol)、HCTU(192mg、0.447mmol、4eq.)、DIPEA(0.312ml、1.79mmol、16eq.)およびジアミン20(290mg、0.447mmol、4eq.)から、実施例1で化合物4aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド21(181mg、74.9%;移動相D2中のR 0.29、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色がかった油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=7.54、5.63、5.50、4.61、3.29、3.00、2.98、2.34、2.29、2.23、2.08、1.98、1.89、1.76、1.60、1.585、1.42、1.38、1.35、1.28、1.26、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=177.29、173.53、135.41、123.27、60.25、52.62、52.27、41.72、39.57、39.20、37.12、34.09、31.64、29.34、28.85、28.82、28.74、28.44、28.37、27.51、26.63、25.83、25.56、24.67、23.11、22.57、14.06ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3321w(ν NH);1644m(アミドI);1535w-m(アミドII);1736s(ν C=O);1276w-m、1166m(ν C-O);3025w(νas =CH);1419w(ρ =CH);2956s、sh(νas CH);2930vs(νas CH);2858s(ν CH);2873m、sh(ν CH);1467mおよび1457m(β CHおよびδas CH);1378w-m(δ CH)。HRMS(MALDI):m/z C13323915[M+H]に対する計算値2160.8118;実測値2160.8164。
【0121】
〔実施例11〕
3,5,7-トリス((6-(ジドデシルアミノ)ヘキシル)カルバモイル)アダマンタン-1-カルボン酸22
塩化チオニル(300μl)およびDMF(2μl)をアダマンタン-1,3,5,7-テトラカルボン酸(21mg、0.067mmol)に加え、懸濁液を密閉バイアル中、70℃で2時間撹拌した;この間に懸濁液は透明な均一溶液になった。過剰のSOClを乾燥窒素流で吹き飛ばし、残渣を真空中で乾燥し(10分間)、rtまで冷却した後、0.5mLの無水DMFに溶解して透明な溶液を形成した。次に、N,N-ジドデシルヘキサン-1,6-ジアミン(76mg、0.168mmol、2.5eq.)およびDIPEA(117μl、0.672mmol、10eq.)のDCM(1.5ml)およびDMF(0.5ml)混合溶液、ならびに反応混合物をrtで10分間撹拌した。次いで、反応混合物をシリカ(10g)に吸着させ、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィー(DCM中のD1の直線勾配、35~85%で溶離)により精製して、標的化合物22(45mg、41.4%;D2/3中のR 0.50、ニンヒドリンによる可視化)を濃い淡黄色の油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=7.32、3.24、3.05-2.95、2.16、1.97、1.92、1.80-1.72、1.55、1.38-1.23、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=176.52、52.89、52.20、42.28、39.39、38.96、31.89、29.60、29.50、29.44、29.32、29.10、28.72、26.83、26.23、25.99、23.47、23.14、22.66、14.10ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3314w、br(ν NH)、1643m(アミドI)および1638w(アミドII)、2954s(νas CH)、2927vs(νas CH)、2855s(ν CH)、1467m、shおよび1457m、sh(β CHおよびδas CH)、1378w(δ CH);-COOHダイマー:2591w、vbr(ν OH)、1715w(ν C=O)、1411vwおよび1283w、br(δ COHおよびν CCO)。HRMS(MALDI):m/z C104203[M+H]に対する計算値1616.5810;実測値1616.58014。
【0122】
,N,N-トリス(6-(ジドデシルアミノ)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5,7-テトラカルボキサミド23
DMF(2μl)および塩化チオニル(24μl、0.349mmol、14eq.)を、酸22(27mg、0.017mmol)のDCM(3.5ml)溶液に加え、懸濁液を密閉バイアル中、rtで2時間撹拌した。次いで、溶液を無水NHの穏やかな流れで5分間バブリングしたところ、白色沈殿が直ちに形成された。10分後、反応混合物をセライトパッドで濾過し、濾液をシリカ(10g)に吸着させ、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィー(DCM中のD1の直線勾配、30~70%で溶離)により精製して、標的化合物23(15mg、55.6%;D2/3中のR 0.57、ニンヒドリンによる可視化)を濃い淡黄色の油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=6.69、6.49、3.21、2.67、1.99、1.96、1.57、1.51、1.33、1.285、1.245、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=178.41、175.71、53.42、53.07、42.38、39.52、39.40、39.18、31.88、29.62、29.60、29.58、29.55、29.37、29.32、29.02、27.24、26.56、26.21、22.66、14.09ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3330w、br(ν NH)、1649m(アミドI)および1536w(アミドII)、2953m(νas CH)、2927vs(νas CH)、2875m、sh(ν CH)、2855sおよび2805vw(ν CH)、1467m、および1457w、1438w、sh(β CHおよびδas CH)、1378w(δ CH);prim.アミド:3199w、br(ν NH vaz.)、1697vw、sh(ν C=O)、1605w、sh(β NH)。HRMS(MALDI):m/z C104204[M+H]に対する計算値1615.5969;実測値1615.5998。
【0123】
〔実施例12〕
,N,N-トリス(6-(ジドデシルアミノ)ヘキシル)-N-(2-ヒドロキシエチル)アダマンタン-1,3,5,7-テトラカルボキサミド24
DMF(2μl)および塩化チオニル(20μl、0.286mmol、14eq.)を、酸22(33mg、0.020mmol)のDCM(1.5ml)溶液に加え、懸濁液を密閉バイアル中、rtで1時間撹拌した。次いで、エタノールアミン(50μl、0.816mmol、40eq.)を加えると、白色沈殿が直ちに形成された。20分後、反応混合物をセライトパッドで濾過し、濾液をシリカ(10g)に吸着させ、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィー(DCM中のD1の直線勾配、35~85%で溶離)により精製して、標的化合物24(31mg、91.5%;D2/3中のR 0.59、ニンヒドリンによる可視化)を濃い淡黄色の油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=7.39、6.92、3.69、3.37、3.22、3.00、2.02、1.96、1.76、1.53、1.40-1.22、0.86ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=176.76、176.16、61.73、61.38、52.73、52.16、43.13、42.55、42.41、39.54、39.43、38.74、31.86、29.56、29.45、29.40、29.28、29.06、28.64、26.78、25.92、25.64、23.38、23.08、22.64、14.07ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3324w、br(ν NH)、1646m(アミドI)および1538w(アミドII)、2955s(νas CH)、2927vs(νas CH)、2855sおよび2876m、sh(ν CH)、1467m、1457mおよび1435w、sh(β CHおよびδas CH)、1378w(δ CH)、1060w、vbr、1036w、br(ν C-OH)。HRMS(MALDI):m/z C106208[M+H]に対する計算値1659.6231;実測値1659.62718。
【0124】
〔実施例13〕
,N,N-トリス(6-(ジドデシルアミノ)ヘキシル)-N-(1.3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)アダマンタン-1,3,5,7-テトラカルボキサミド25
24について概説した手順に従って、標的化合物25を、酸22(51mg、0.031mmol)およびセリノール(115mg、1.26mmol、40eq.)から調製して、リピドイド25を濃い淡黄色の油として得た(19mg、35.6%;D2/3中のR 0.59)。H NMR(600MHz、CDCl):δ=7.79、7.21、7.17、7.08、3.26、3.01、2.03、1.92、1.775、1.57、1.385、1.33、1.28-1.24ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=176.14、175.04、52.74、52.66、52.32、52.17、39.28-38.65、31.89、29.68、29.59、29.49、29.43、29.32、29.09、28.47、26.83、26.80、25.98-25.40、23.05、22.67、14.10ppm。IR(CCl):νmax/cm-1=3324w、br(ν NH)、1646m(アミドI)および1538w(アミドII)、2955s(νas CH)、2927vs(νas CH)、2855sおよび2876m、sh(ν CH)、1467m、1457mおよび1435w、sh(β CHおよびδas CH)、1378w(δ CH)、1060w、vbr、1036w、br(ν C-OH)。HRMS(MALDI):m/z C107210[M+H]に対する計算値1689.6337;実測値1616.63235。
【0125】
〔実施例14〕
,N-ジ((ヘプチルオキシカルボニル)プロピル)ヘキサン-1,6-ジアミン28a
ジイソプロピルカルボジイミド(3.17ml、20.24mmol、1.3eq.)およびDMAP(57.1mg、0.467mmol、0.03eq.)を、4-ブロモ酪酸(2.60g、15.57mmol)および1-ヘプタノール(2.64ml、18.68mmol、1.2eq.)のDCM(60ml)溶液に加え、混合物をrtで1時間撹拌した。次いで、反応混合物をシリカ(16g)に吸着させ、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィー(80g、シクロヘキサン中の酢酸エチルの直線勾配、0~10%で溶離)によって精製して、標的化合物26a(3.916g、94.8%;CE5中のR 0.36、KMnOによる可視化)を無色の油として得た。
【0126】
ブロモエステル26a(1.53g、5.78mmol、2.5eq.)および炭酸カリウム(3.19g、23.11mmol、10eq.)を、N-Boc-1,6-ジアミノヘキサン(0.50g、2.31mmol)のACN(10ml)溶液に加え、混合物を35℃で3日間撹拌した。次いで、反応混合物をシリカ(16g)に吸着させ、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィー(40g、シクロヘキサン中の酢酸エチルの直線勾配、0~100%で溶離)により精製して、標的化合物27a(1.093g、80.9%;NHで前処理したTLCプレート上のCE50中のR 0.35、ニンヒドリンによる可視化)を淡黄色の油として得た。
【0127】
アミン27aの脱保護を、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って行った;ジアミン28a(0.817g、90.2%;移動相D2中のR 0.27、ニンヒドリンでの検出)を、黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=4.05、3.63、3.21、3.15、2.91、2.85、2.67、2.53-2.41、2.32、1.86、1.76、1.61、1.46、1.35-1.25、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=173.66、64.58、53.66、52.98、52.87、40.78、40.34、31.87、31.70、30.10、28.90、28.62、26.85、26.45、25.87、22.56、22.02、14.04ppm。HRMS(ESI):m/z C2857[M+H]に対する計算値485.43128;実測値485.43039。
【0128】
,N,N-トリス(6-(ビス((ヘプチルオキシカルボニル)プロピル)アミノ)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド29a
塩化チオニル(300μl)およびDMF(2μl)をアダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(60mg、0.224mmol)に加え、懸濁液を密閉バイアル中、70℃で1時間撹拌した;この間、懸濁液は透明な均一溶液に変化した。過剰のSOClを乾燥窒素流で吹き飛ばし、残渣を真空中で乾燥し(10分間)、rtまで冷却した後、0.5mLの無水DMFに溶解して透明な溶液を形成した。次いで、アミン28a(434mg、0.895mmol、4eq.)およびDIPEA(390μl、2.24mmol、10eq.)の、DCM(1.5ml)およびDMF(0.5ml)混合溶液を、rtで10分間撹拌した。次いで、反応混合物をシリカ(16g)に吸着させ、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィー(40g、DCM中のD1の直線勾配、20~60%で溶離)により精製して、標的化合物29a(115mg、30.8%;D2中のR 0.51、ニンヒドリンによる可視化)を濃い淡黄色の油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=5.76、4.05、3.21、2.42、2.32、2.01、1.84、1.80、1.74、1.61、1.47、1.41、1.34-1.25、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=176.01、173.73、64.53、53.72、53.00、41.65、39.77、39.48、37.88、31.96、31.70、29.51、28.90、28.63、27.02、26.76、25.87、22.56、14.05ppm。HRMS(MALDI):m/z C9717915[M+H]に対する計算値1668.3423;実測値1668.3398。
【0129】
〔実施例15〕
,N-ジ((ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)ヘキサン-1,6-ジアミン28b
26aについて概説した手順に従って、ブロモエステル26bを、5-ブロモペンタン酸(3.0g、16.57mmol)、1-ヘキサノール(2.48ml、19.89mmol、1.2eq.)、DIC(3.37ml、21.54mmol、1.3eq.)およびDMAP(61mg、0.497mmol、0.03eq.)から調製して、26bを無色の油として得た(3.938g、89.6%、CE5中のR 0.28、KMnOによる可視化)。
【0130】
27aについて概説した手順に従って、Boc誘導体27bを、ブロモエステル26b(1.53g、5.78mmol、2.5eq.)、N-Boc-1,6-ジアミノヘキサン(0.50g、2.31mmol)および炭酸カリウム(3.19g、23.11mmol、10eq.)から調製して、27bを淡黄色の油として得た(1.080g、79.9%、NHで前処理したTLCプレート上のCE50中のR 0.30、ニンヒドリンによる可視化)。
【0131】
アミン27bの脱保護を、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って行った;ジアミン28b(0.788g、86.9%;移動相D2中のR 0.13、ニンヒドリンでの検出)を黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=4.05、3.63、3.21、3.15、2.79、2.68、2.60、2.51、2.42、2.32、1.61、1.50、1.36-1.28、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ 173.62、64.52、53.68、53.29、41.22、40.26、34.03、31.41、28.58、25.75、25.57、22.80、22.51、13.98ppm。HRMS(ESI):m/z C2857[M+H]に対する計算値485.43128;実測値485.43052。
【0132】
,N,N-トリス(6-(ビス((ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)アミノ)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド29b
実施例14の29aについて概説した手順に従い、リピドイド29bを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(53mg、0.198mmol)、アミン28b(383mg、0.790mmol、4eq.)およびDIPEA(344μl、1.98mmol、10eq.)から調製して、29bを濃い淡黄色の油として得た(191mg、57.9%、D2中のR 0.48、ニンヒドリンによる可視化)。H NMR(600MHz、CDCl):δ=5.72、4.05、3.21、2.38、2.35、2.30、2.01、1.83、1.80、1.61、1.44、1.40、1.35-1.27、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=175.96、173.77、64.44、53.98、53.63、41.64、39.73、39.55、37.92、34.27、31.42、29.59、28.60、27.22、26.89、26.63、25.58、23.01、22.52、13.99ppm。HRMS(MALDI):m/z C9717915[M+H]に対する計算値1668.3428;実測値1668.3418。
【0133】
〔実施例16〕
,N-ジ((ノニルオキシカルボニル)プロピル)ヘキサン-1,6-ジアミン28c
26aについて概説した手順に従って、ブロモエステル26cを、4-ブロモ酪酸(2.60g、15.57mmol)、1-ノナノール(3.26ml、18.68mmol、1.2eq.)、DIC(3.17ml、20.24mmol、1.3eq.)およびDMAP(57mg、0.467mmol、0.03eq.)から調製して、26cを無色の油として得た(4.025g、88.2%、CE5中のR 0.32、KMnOによる可視化)。
【0134】
27aについて概説した手順に従って、Boc誘導体27cを、ブロモエステル26c(1.25g、4.28mmol、2.5eq.)、N-Boc-1,6-ジアミノヘキサン(0.370g、1.71mmol)および炭酸カリウム(2.36g、17.10mmol、10eq.)から調製して、27cを淡黄色の油として得た(0.848g、77.3%、NHで前処理されたTLCプレート上のCE50中のR 0.45、ニンヒドリンによる可視化)。
【0135】
アミン27cの脱保護を、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って行った;ジアミン28c(0.631g、88.2%;移動相D2中のR 0.29、ニンヒドリンでの検出)を黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=4.66、4.05、3.16、2.91、2.63、2.59、2.53、2.48、2.34、1.81、1.70、1.61、1.54、1.47、1.42、1.35-1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=173.39、64.72、64.66、52.53、31.84、31.59、29.46、29.25、29.22、28.61、28.60、25.91、25.90、22.64、14.08ppm。HRMS(ESI):m/z C3265[M+H]に対する計算値541.49388;実測値541.49303。
【0136】
,N,N-トリス(6-(ビス((ノニルオキシカルボニル)プロピル)アミノ)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド29c
実施例14で29aについて概説した手順に従って、リピドイド29cを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(42mg、0.157mmol)、アミン28c(339mg、0.626mmol、4eq.)およびDIPEA(273μl、1.57mmol、10eq.)から調製して、29cを濃い淡黄色の油として得た(134mg、46.6%、D2中のR 0.56、ニンヒドリンによる可視化)。H NMR(600MHz、CDCl):δ=5.72、4.05、3.21、2.40、2.36、2.31、2.01、1.83、1.80、1.72、1.61、1.47、1.38、1.33-1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=175.96、173.84、64.48、53.80、53.12、41.65、39.74、39.54、37.92、32.06、31.84、29.47、29.26、29.22、28.64、25.92、22.64、14.09ppm。HRMS(MALDI):m/z C10920315[M+H]に対する計算値1836.5306;実測値836.5319。
【0137】
〔実施例17〕
,N-ジ(((オクチルオキシカルボニル)ブチル)ヘキサン-1,6-ジアミン28d
26aについて概説した手順に従って、ブロモエステル26dを、5-ブロモペンタン酸(3.0g、16.57mmol)、1-オクタノール(3.13ml、19.89mmol、1.2eq.)、DIC(3.37ml、21.54mmol、1.3eq.)およびDMAP(61mg、0.497mmol、0.03eq.)から調製して、26dを無色の油として得た(4.327g、89.0%、CE5中のR 0.32、KMnOによる可視化)。
【0138】
27aについて概説した手順に従い、Boc誘導体27dを、ブロモエステル26d(1.73g、5.89mmol、2.5eq.)、N-Boc-1,6-ジアミノヘキサン(0.510g、2.36mmol)および炭酸カリウム(3.26g、23.58mmol、10eq.)から調製し、27dを淡黄色の油として得た(1.241g、82.1%、NHで前処理されたTLCプレート上のCE50中のR 0.18、ニンヒドリンによる可視化)。
【0139】
アミン27dの脱保護を、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って行った;ジアミン28d(1.09g、定量的;移動相D2中のR 0.22、ニンヒドリンでの検出)を、黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=8.22、4.86、4.05、3.04、2.37、1.75、1.67、1.61、1.48、1.40、1.32-1.25、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=172.99、64.85、52.44、51.90、39.41、33.13、31.75、29.18、29.14、28.54、26.54、25.86、25.49、24.88、22.60、21.83、14.05ppm。HRMS(ESI):m/z C3265[M+H]に対する計算値541.49388;実測値541.49297。
【0140】
,N,N-トリス(6-(ビス((オクチルオキシカルボニル)ブチル)アミノ)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド29d
実施例14で29aについて概説した手順に従い、リピドイド29dを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(70mg、0.261mmol)、アミン28d(565mg、1.04mmol、4eq.)およびDIPEA(455μl、2.61mmol、10eq.)から調製し、29dを濃い淡黄色の油として得た(229mg、47.8%、D2中のR 0.58、ニンヒドリンによる可視化)。H NMR(600MHz、CDCl):δ=5.79、4.05、3.21、2.44、2.31、2.01、1.84、1.80、1.61、1.47、1.34-1.24、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=176.03、173.63、64.50、53.54、41.65、39.77、39.45、37.88、34.12、31.76、29.48、29.20、29.16、28.63、25.91、22.87、22.61、14.07ppm。HRMS(ESI):m/z C10920315[M+H]に対する計算値1836.53010;実測値1836.52959。
【0141】
〔実施例18〕
,N-ジ((ヘプチルオキシカルボニル)ペンチル)ヘキサン-1,6-ジアミン28e
26aについて概説した手順に従って、ブロモエステル26eを、6-ブロモヘキサン酸(3.0g、15.38mmol)、1-ヘプタノール(2.61ml、18.46mmol、1.2eq.)、DIC(3.13ml、19.99mmol、1.3eq.)およびDMAP(56mg、0.461mmol、0.03eq.)から調製して、26eを無色の油として得た(4.177g、92.6%、CE5中のR 0.27、KMnOによる可視化)。
【0142】
27aについて概説した手順に従って、Boc誘導体27eを、ブロモエステル26e(1.49g、5.08mmol、2.5eq.)、N-Boc-1,6-ジアミノヘキサン(0.440g、2.03mmol)および炭酸カリウム(2.81g、20.34mmol、10eq.)から調製して、27eを淡黄色の油として得た(1.076g、82.5%、NHで前処理されたTLCプレート上のCE50中のR 0.15、ニンヒドリンによる可視化)。
【0143】
アミン27eの脱保護を、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って行った;ジアミン28e(0.895g、98.6%;移動相D2中のR 0.17、ニンヒドリンでの検出)を黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=8.40、4.04、3.04、2.99、2.31、2.05、1.72、1.66、1.61、1.48、1.39、1.33-1.26、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=173.38、64.64、52.02、33.78、31.68、28.88、28.58、26.70、26.25、26.13、25.83、25.68、24.93、24.20、22.99、22.55、22.48、14.03ppm。HRMS(ESI):m/z C3265[M+H]に対する計算値541.49388;実測値541.49303。
【0144】
,N,N-トリス(6-(ビス((ヘプチルオキシカルボニル)ペンチル)アミノ)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド29e
実施例14で29aについて概説した手順に従って、リピドイド29eを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(55mg、0.205mmol)、アミン28e(444mg、0.820mmol、4eq.)およびDIPEA(357μl、2.05mmol、10eq.)から調製し、29eを濃い淡黄色の油として得た(150mg、39.8%、D2中のR 0.37、ニンヒドリンによる可視化)。H NMR(600MHz、CDCl):δ=5.72、4.05、3.21、2.37、2.29、2.01、1.83、1.80、1.62、1.47、1.42、1.33-1.25、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=175.97、173.84、64.42、53.96、41.64、39.74、39.53、37.91、34.35、31.70、29.59、28.89、28.63、27.14、25.87、24.97、22.56、14.05ppm。HRMS(ESI):m/z C10920315[M+H]に対する計算値1836.53010;実測値1836.52930。
【0145】
〔実施例19〕
,N-ジ(((ノナン-3-イル)オキシカルボニル)プロピル)ヘキサン-1,6-ジアミン28f
26aについて概説した手順に従って、ブロモエステル26fを、6-ブロモヘキサン酸(3.2g、16.41mmol)、3-ノナノール(2.60g、18.05mmol、1.1eq.)、DIC(3.27ml、21.33mmol、1.3eq.)およびDMAP(60mg、0.492mmol、0.03eq.)から調製し、26fを無色の油として得た(2.88g、54.5%、CE5中のR 0.42、KMnOによる可視化)。
【0146】
27aについて概説した手順に従って、Boc誘導体27fを、ブロモエステル26f(2.82g、8.78mmol、2.5eq.)、N-Boc-1,6-ジアミノヘキサン(0.760g、3.51mmol)および炭酸カリウム(4.86g、35.13mmol、10eq.)から調製し、27fを淡黄色の油として得た(1.72g、70.19%、NHで前処理されたTLCプレート上のCE50中のR 0.56、ニンヒドリンによる可視化)。
【0147】
アミン27fの脱保護を、実施例1で化合物2aについて記載した手順に従って行った;ジアミン28f(1.84g、定量的;移動相D2中のR 0.25、ニンヒドリンでの検出)を、黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=8.29、4.80、2.99、2.305、1.69-1.66、1.55-1.51、1.445、1.38、1.28-1.24、0.87、0.86ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=173.14、75.61、52.10、39.27、34.08、33.56、31.71、29.15、26.90、26.74、26.14、25.69、25.27、24.86、24.33、22.97、22.56、22.51、14.03、9.57ppm。HRMS(ESI):m/z C3673[M+H]に対する計算値597.55649;実測値597.55631。
【0148】
,N,N-トリス(6-(ビス(((ノナン-3イル)オキシカルボニル)プロピル)アミノ)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキサミド29f
実施例14で29aについて概説した手順に従って、リピドイド29fを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(50mg、0.186mmol)、アミン28f(334mg、746mmol、4eq.)およびDIPEA(325μl、1.86mmol、10eq.)から調製して、29fを濃い淡黄色の油として得た(237mg、63.4%、D2中のR 0.44、ニンヒドリンによる可視化)。H NMR(600MHz、CDCl):δ=6.385、4.79、3.21、2.99、2.305、2.015、1.88、1.80、1.73、1.66、1.55-1.50、1.38-1.35、1.27-1.24、0.865、0.855ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=176.57、173.02、76.58、52.43、51.98、41.69、39.89、38.89、37.64、34.09、33.55、31.70、29.14、28.84、26.90、26.28、26.01、25.78、24.39、23.13、22.96、22.55、14.04、9.59ppm。HRMS(MALDI):m/z C12122715[M+H]に対する計算値2004.7179;実測値2004.7187。
【0149】
〔実施例20〕
6-(ジ((ヘプチルオキシカルボニル)プロピル)アミノ)ヘキサン-1-オール30a
ブロモエステル26a(1.13g、4.27mmol、2.5eq.)および炭酸カリウム(2.36g、17.07mmol、10eq.)を、6-アミノヘキサン-1-オール(0.20g、1.71mmol)のACN(10ml)溶液に加え、混合物を50℃で20時間撹拌した。次いで、反応混合物をシリカ(16g)に吸着させ、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィー(40g、DCM中のD1の直線勾配、0~50%で溶離)により精製して、標的化合物30a(0.552g、63.0%;D2中のR 0.56、KMnOによる可視化)を淡黄色の油として得た。
【0150】
H NMR(600MHz、CDCl):δ=4.05、3.63、2.52、2.33、1.80、1.61、1.565、1.50、1.375、1.32-1.27、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=173.54、64.63、53.45、52.82、32.59、31.78、31.69、28.89、28.60、26.95、25.86、25.45、22.55、21.78、14.03ppm。HRMS(ESI):m/z C2856NO[M+H]に対する計算値486.41530;実測値486.41467。
【0151】
トリス(6-(ジ((ヘプチルオキシカルボニル)プロピル)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキシラート31a
テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファート(TFFH、169mg、0.640mmol、3.3eq.)およびDIPEA(0.506ml、2.91mmol、15eq.)を、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(52mg、0.194mmol)の無水DMF(5ml)溶液に加え、溶液を0℃で30分間撹拌した。次に、アルコール30a(311mg、0.640mmol、3.3eq.)およびDMAP(7mg、0.058mmol、0.3eq.)のDMF(2.0ml)溶液を加え、反応混合物をrtで12時間撹拌した。溶液を250mlの分液フラスコに注ぎ、飽和NaHCO水溶液(50ml)で希釈し、生成物をジエチルエーテル(100ml、2×50ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(50ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、S2フリットを通して濾過し、溶媒をRVE中で蒸発させた。粗生成物を、DCM中のD1の直線勾配(0~65%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。リピドイド31a(33mg、10.3%;移動相D4中のR 0.57、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色がかった油の形態で得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=4.05、2.40、2.05-1.94、1.83、1.61、1.35-1.25、0.886ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=176.02、64.95、64.45、41.35、39.14、37.14、31.67、28.87、28.55、25.83、22.54、14.03ppm。HRMS(MALDI):m/z C9717618[M+H]に対する計算値1671.2943;実測値1671.2973。
【0152】
〔実施例21〕
6-(ジ((ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)アミノ)ヘキサン-1-オール30b
30aについて概説した手順に従って、アルコール30bを、6-アミノヘキサン-1-オール(0.20g、1.71mmol)、ブロモエステル26b(1.13g、4.27mmol、2.5eq.)およびKCO(2.36g、17.07mmol、10eq.)から調製し、30bを淡黄色の油として得た(0.599g、72.3%、D2中のR 0.55、KMnOによる可視化)。
【0153】
H NMR(600MHz、CDCl):δ=4.04、3.63、2.46、2.32、1.76、1.60、1.56、1.45、1.37-1.25、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=173.69、64.56、62.79、53.57、52.96、32.64、31.90、31.82、29.45、29.24、29.21、28.61、27.02、25.91、25.51、22.63、14.07ppm。
【0154】
トリス(6-(ジ((ヘキシルオキシカルボニル)ブチル)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキシラート31b
リピドイド31bを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(84mg、0.313mmol)、TFFH(273mg、1.03mmol、3.3eq.)、DIPEA(0.818ml、4.179mmol、15eq.)、DMAP(11mg、0.093mmol、0.3eq.)およびアルコール30b(608mg、1.25mmol、4eq.)から、実施例20で化合物31aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド31b(55mg、10.4%;移動相D2中のR 0.74、ニンヒドリンでの検出)を粘性の黄色油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=4.05、2.96、2.37、2.33、2.01、1.94、1.85-1.78、1.66、1.60、1.38、1.34-1.28、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=176.01、172.90、64.76-64.34、52.16、47.81、46.61、41.35、39.14、37.12、33.22、31.38、28.53、25.54、22.50、22.09、13.97ppm。HRMS(MALDI):m/z C9717618[M+H]に対する計算値1671.2943;実測値1671.2910。
【0155】
〔実施例22〕
6-(ジ((ノニルオキシカルボニル)プロピル)アミノ)ヘキサン-1-オール30c
30aについて概説した手順に従って、アルコール30cを、6-アミノヘキサン-1-オール(0.20g、1.71mmol)、ブロモエステル26c(1.25g、4.27mmol、2.5eq.)およびKCO(2.36g、17.07mmol、10eq.)から調製し、30cを淡黄色の油として得た(0.651g、70.4%、D2中のR 0.59、KMnOによる可視化)。
【0156】
H NMR(600MHz、CDCl):δ=4.07、3.65、3.09、3.03、2.45、2.16、1.89、1.61、1.56、1.45、1.34-1.25、0.88ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=172.24、65.25、62.39、52.41、51.55、32.11、31.84、30.65、29.45、29.22、28.54、26.29、25.87、22.65、18.39、14.09ppm。
【0157】
トリス(6-(ジ((ノニルオキシカルボニル)プロピル))ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキシラート31c
リピドイド31cを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(86mg、0.320mmol)、TFFH(279mg、1.06mmol、3.3eq.)、DIPEA(0.838ml、4.81mmol、15eq.)、DMAP(12mg、0.096mmol、0.3eq.)およびアルコール30c(695mg、1.28mmol、4eq.)から、実施例20で化合物31aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド31c(23mg、3.9%;移動相D2中のR 0.91、ニンヒドリンでの検出)を粘性の黄色の油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=4.05、2.37、2.01、1.95、1.83、1.61、1.35-1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=176.02、64.70、41.35、39.15、37.15、31.82、29.44、29.23、29.20、28.58、28.47、25.88、22.63、14.07ppm。HRMS(MALDI):m/z C10920018[M]に対する計算値1839.4821;実測値1839.4799。
【0158】
〔実施例23〕
6-(ジ((オクチルオキシカルボニル)ブチル)アミノ)ヘキサン-1-オール30d
30aについて概説した手順に従って、アルコール30dを、6-アミノヘキサン-1-オール(0.20g、1.71mmol)、ブロモエステル26d(1.25g、4.27mmol、2.5eq.)およびKCO(2.36g、17.07mmol、10eq.)から調製して、30dを淡黄色の油として得た(0.623g、67.4%、D2中のR 0.50、KMnOによる可視化)。
【0159】
H NMR(600MHz、CDCl):δ=4.05、3.63、2.47、2.31、1.61、1.56、1.50、1.37-1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=173.65、64.52、62.78、53.69、53.42、34.07、32.60、31.75、29.19、29.15、28.61、27.05、25.90、25.49、22.85、22.61、14.06ppm。
【0160】
トリス(6-(ジ((オクチルオキシカルボニル)ブチル)ヘキシル)アダマンタン-1,3,5-トリカルボキシラート31d
リピドイド31dを、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸(83mg、0.309mmol)、TFFH(270mg、1.02mmol、3.3eq.)、DIPEA(0.808ml、4.64mmol、15eq.)、DMAP(11mg、0.093mmol、0.3eq.)およびアルコール30d(671mg、1.24mmol、4eq.)から、実施例20で化合物31aについて記載した手順に従って調製した;リピドイド31d(147mg、25.8%;移動相D2中のR 0.82、ニンヒドリンでの検出)を、粘性の黄色の油として得た。H NMR(600MHz、CDCl):δ=4.05、2.34、2.01、1.95、1.83、1.78-1.56、1.36-1.24、0.87ppm。13C NMR(150.9MHz、CDCl):δ=176.04、64.76-64.46、41.36、39.16、37.15、31.75、29.19、29.15、28.60、25.90、22.61、14.06ppm。HRMS(MALDI):m/z C10920018[M]に対する計算値1839.4821;実測値1839.4792。
【0161】
〔実施例24〕
トランスフェクション試薬の調製
試薬を、表1~表4に列挙した個々の成分を混合することによって生成した。全ての表は、トランスフェクション試薬中の最終モル濃度を含む。99.7%エタノール中の個々の成分のストック5mM溶液を調製に使用した。DOPE-Cy5ストック溶液のみが0.79mMの濃度を有し、クロロホルム中で調製された。
【0162】
【表1】
【0163】
【表2】
【0164】
【表3】
【0165】
【表4】
【0166】
〔実施例25〕
mRNAを含む脂質ナノ粒子(LNP)の調製
プライマー(5’-CGCCACCATGGTGAGCGAGCTG-3’(配列番号1);5’-CCTCCTCCACCTCTGTGCCCCAG-3’(配列番号2))を用いてプラスミドpmKate2-C(Evrogen)から蛍光タンパク質mKate2をコードするDNAを増幅し、T7プロモーター下でpET24aベクター(Invitrogen)にクローニングした。mKate2をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を、製造者のプロトコルに従ってAmpliscribe T7-Flash転写キット(Lucigen)を用いてインビトロで転写した。RNAキャップアナログARCA(Jena Bioscience)をインビトロ転写反応に加え、ポリ(A)末端を、標準プロトコルに従ってポリ(A)ポリメラーゼ(New England Biolabs)を用いて合成した。
【0167】
mRNA含有LNP(mRNA-LNP)を以下のように調製した:実施例24で調製したA01~A27トランスフェクション試薬の各々の300μlの溶液を、2つの入口および1つの出口を有する「Y」マイクロ流体装置を使用して、300μlの10mMクエン酸緩衝液(pH3.0)中の120μgのmRNAの溶液と混合した。脂質混合物とmRNA溶液とを、300μl/分の一定流速でリニアポンプにより各取り込み口に別々に注入した。得られた600μlのナノ粒子溶液を回収し、600μlのPBSを加えることによって直ちに希釈した;このようにして、トランスフェクション試薬A01~A27から、B01~B27と呼ばれる、対応するナノ粒子試料が形成された。mRNA-LNP試料(B01~B27)の各々を3反復で調製した。新たに形成されたmRNA-LNPの流体力学的直径は、25℃で173°の散乱角で動的光散乱(NanoZS Zetasizer、Malvern、Worcestershire、UK)を用いて測定された。mRNA-LNPの流体力学的直径は、265nmの直径を有するB18を除いて72~135nmの範囲であった(表5)。この形態において、粒子をその後の生物学的試験に使用した。
【0168】
【表5】
【0169】
〔実施例26〕
脂質混合物中の種々のヘルパー脂質を用いたインビトロでの新しいLNPを用いたmRNAトランスフェクションの比較
ヒト細胞株HEK293の細胞を用いて、実施例25中で3反復調製した蛍光タンパク質mKate2をコードするmRNAを含むLNP B05、B24およびB25を試験した。細胞を、96ウェルプレート(1ウェル当たり100μLの培養培地中5×10細胞)中、5%CO、37℃で10%FBSを補充したIMDM培地で培養した。細胞を、2μlのmRNA-LNP(全脂質成分の最終総濃度20μM)を用いてトランスフェクションし、続いて24時間インキュベートした。トランスフェクションを3反復で行った。細胞へのLNPの侵入を示すCy5蛍光の強度、および細胞トランスフェクション後にLNPから放出されたmRNAの翻訳を示すmKate2蛍光を、BD LSR Fortessaサイトメーターで分析した。
【0170】
脂質混合物がDOPE、DOPCまたはDSPCヘルパー脂質を含む新規mRNA-LNPは、mRNAをHEK293細胞株に効率的にトランスフェクションでき、DOPEヘルパー脂質を含むmRNA-LNPで最も効率的なトランスフェクションが達成された(表6)。
【0171】
【表6】
【0172】
〔実施例27〕
新しいLNPと既知のトランスフェクション試薬によって形成されたmRNA-LNPとを用いたmRNAトランスフェクションの比較
mRNA-LNP B05のトランスフェクション効率を、選択された公知の高効率トランスフェクション試薬、すなわち、B26~B27として実施例25で製剤化されたD-Lin-MC3-DMA(MedChemExpress Europe)およびイオン化可能なリピドイドTT3(Li, B.: Nano Lett. 2015, 15, 8099-8107)、ならびにLipofectamine(登録商標)2000試薬(Invitrogen、製造者によって提供される標準プロトコルに従って使用され、Lip2000と呼ばれる)と比較した。ヒト細胞株HEK293Tの細胞を、96ウェルプレート(1ウェル当たり100μLの培養培地中5×10)中、5%CO、37℃で10%FBSを補充したDMEM培地で培養した。細胞を2μlのmRNA-LNP(全脂質成分の最終総濃度20μM)を用いてトランスフェクションし、続いて24時間インキュベートした。トランスフェクションを3反復行った。mKate2の蛍光強度およびmKate2を発現する細胞の割合を、BD LSR Fortessaサイトメーターで分析した。
【0173】
新しいmRNA-LNP(B05と命名された)は、既知のトランスフェクション試薬よりも有意に高いトランスフェクション効率を示した(表7)。
【0174】
【表7】
【0175】
〔実施例28〕
脂質ナノ粒子へのmRNA組み込みの効率
mKate2蛍光タンパク質をコードするmRNAの、実施例25で調製したmRNA-LNP B01~B27へのパッケージング効率を、Qubit 4 RNA HS Assay Kit(Life Technologies)を用いて、製造者のプロトコルに従って決定した。組み込みの効率は、ナノ粒子溶液中で自由に利用可能なmRNAの濃度と、ナノ粒子の分解後にナノ粒子から放出されたmRNAの濃度とを比較することによって決定した。mRNA-LNPは、Triton X-100(10mM Tris-HCl、pH8.0;0.1mM EDTA、2% Triton X-100)を含有する緩衝液を用いて分解された。43~93%の範囲のmRNAパッケージング効率が実証された(表8)。
【0176】
【表8】
【0177】
〔実施例29〕
mRNA-LNPの細胞毒性
胎児腎細胞由来のヒト細胞株(HEK293)、SV40ラージT抗原を発現する同じ株(HEK293T)、ヒト骨肉腫由来細胞株(U2OS)、およびヒト肝細胞癌細胞株(HepG2)を、96ウェルプレート(1ウェル当たり100μlの培養培地中、5×10細胞)中、5%CO、37℃で、10%ウシ胎児血清(FBS)を補充したダルベッコ改変培地(DMEM)またはIMDM培地(イスコフ改変ダルベッコ培地)で培養した。細胞を、実施例25で3反復生成された2μLのmRNA-LNP(ウェル中の全脂質成分の最終総濃度は20μMであった)または10μLのmRNA-LNP(ウェル中の全脂質成分の最終総濃度は100μMであった)を用いてトランスフェクションし、続いて24時間インキュベートした。LNPの細胞毒性をCellTiterGlo 2.0細胞生存率アッセイ(Promega、USA)で分析した。細胞生存率を、トランスフェクションされていない細胞(対照)に対して正規化した。結果を表9A、Bおよび10A、Bに要約する。
【0178】
全脂質成分の総濃度が20μMであるmRNA-LNPを使用した場合、HEK293細胞株において測定された最大細胞毒性は、B02およびB03について測定された16%であった。粒子B01およびB05~B23について有意な毒性は示されなかった。100μMという5倍高い全脂質成分の総濃度では、傾向は類似しており、B03において38%の最も高い毒性を有し、粒子B04~B08は約20%の細胞毒性を示し、B09およびB10は毒性を示さなかった。粒子B11~B23も毒性を示さなかった。HEK293T株では、B02およびB03で最高の細胞毒性が再び測定され、他の粒子では毒性は非常に低かった。全脂質成分の総濃度が20μMの粒子は、U2OS細胞株に対してほとんど毒性を示さず、100μMの濃度で、最も高い毒性はB10粒子について35%であった。リピドイド4a、4b、4dおよび4eによって形成された粒子は非毒性であり、リピドイド4f、4g、9および13によって形成された粒子はごくわずかに毒性であった(表9A、表10B)。
【0179】
【表9】
【0180】
【表10】
【0181】
〔実施例30〕
インビトロでの新しいLNPを用いたmRNAのトランスフェクション
胎児腎細胞由来のヒト細胞株(HEK293)、SV40ラージT抗原を発現する同じ株(HEK293T)、肝臓癌細胞(HepG2、Huh7)およびヒト骨肉腫由来細胞株(U2OS)を、96ウェルプレート(1ウェル当たり100μlの培養培地中、5×10細胞)中、5%CO、37℃で、10%ウシ胎児血清(FBS)を補充したダルベッコ改変培地(DMEM)またはIMDM培地で培養した。細胞を、蛍光タンパク質mKate2をコードするmRNAを担持している実施例25で調製した2μlのmRNA-LNP B01~B05(ウェル中の全ての脂質成分の最終総濃度は20μMであった)を用いてトランスフェクションし、続いて24時間インキュベートした。Lipofectamine(登録商標)2000を対照トランスフェクション試薬として使用した。トランスフェクションは3つの生物学的反復で行い、各生物学的反復は3つの技術的反復を有する。mKate2蛍光タンパク質を発現する細胞の割合およびmKate2の蛍光強度を、BD LSR Fortessaサイトメーターで分析した。蛍光強度については、市販のトランスフェクション試薬Lipofectamine(登録商標)2000に対してデータを正規化する。
【0182】
HEK293株については、mKate2タンパク質を発現する細胞の割合が、市販のトランスフェクション試薬よりも使用された全てのリピドイドについて2倍を超えて高かった。蛍光強度は使用した全てのリピドイドについて2倍を超えて高く、リピドイド4dによって形成されたB02粒子は市販のLipofectamine(登録商標)2000よりも3倍高かった。新しいリピドイドを用いて形成されたmRNA-LNPが全てのケースにおいて、市販のLipofectamine(登録商標)2000よりも少なくとも2.5倍良好にHepG2細胞株をトランスフェクションし、リピドイド4cを用いて形成されたmRNA-LNP B03についての蛍光強度はLipofectamine(登録商標)2000についての蛍光強度の4.5倍であった。市販のLipofectamine(登録商標)2000と比較して、新しいmRNA-LNPによるトランスフェクションにおける同様の改良が、他の細胞株において達成された(表11、表12)。
【0183】
【表11】
【0184】
【表12】
【0185】
〔実施例31〕
「Z」に修飾されたリピドイドによって形成された新しいLNPを用いたmRNAのトランスフェクション
ヒト細胞株HepG2を、96ウェルプレート(1ウェル当たり100μLの培養培地中5×10細胞)中、5%CO、37℃で、10%FBSを補充したDMEM培地で培養した。細胞を、実施例25で調製した2μlのmRNA-LNP B11~B13(1ウェル中の全脂質成分の最終総濃度は20μMであった)を用いてトランスフェクションし、続いて24時間インキュベートした。Lipofectamine(登録商標)2000を対照トランスフェクション試薬として使用した。トランスフェクションは3つの生物学的反復で行い、各生物学的反復は3つの技術的反復を有する。mKate2蛍光タンパク質を発現する細胞の割合およびmKate2の蛍光強度を、BD LSR Fortessaサイトメーターで分析した。リピドイドのZ修飾置換基を有する新しいmRNA-LNPは全てのケースにおいて、対照トランスフェクション試薬Lipofectamine(登録商標)2000よりも良好に、mRNAをHepG2細胞株へ効率的にトランスフェクションすることができた(表13)。
【0186】
【表13】
【0187】
〔実施例32〕
生分解性リピドイドによって形成される新しいLNPを用いたmRNAのトランスフェクション
ヒト細胞株HEK293、HEK293TおよびU2OSを、96ウェルプレート(ウェル当たり100μLの培養培地中5×10細胞)中、5%CO、37℃で、10%FBSを補充したDMEMまたはIMDM培地で培養した。細胞を、実施例25で調製した2μlのmRNA-LNP B05、B08~B10およびB14~B23(ウェル中の全脂質成分の最終総濃度は20μMであった)を用いてトランスフェクションし、続いて24時間インキュベートした。Lipofectamine(登録商標)2000を対照トランスフェクション試薬として使用した。トランスフェクションは3つの生物学的反復で行い、各生物学的反復は3つの技術的反復を有する。mKate2蛍光タンパク質を発現する細胞の割合およびmKate2の蛍光強度を、BD LSR Fortessaサイトメーターで分析した。
【0188】
市販のLipofectamine(登録商標)2000と比較して、新しいmRNA-LNPを用いて、細胞株を有意に良好にトランスフェクションした。リピドイド4e、9、13および21は、トランスフェクションされた細胞の割合に対して同等の効果を有した。次いで、mKate2タンパク質をコードする翻訳されたmRNAの蛍光強度は、市販のLipofectamine(登録商標)2000と比較して、HEK293およびHEK293T株において常に有意に増加した。U2OS株では、リピドイド13はリピドイド4eと同様にトランスフェクションした(表14、表15)。
【0189】
【表14】
【0190】
【表15】
【0191】
〔実施例33〕
インビトロでの新しいLNPを用いたsiRNAのトランスフェクション
緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするmRNAの分解を引き起こす低分子干渉RNA(siRNA、カタログ番号AM4626、Ambion)を含むLNPを以下のように調製した:実施例24で調製した300μlのA28トランスフェクション試薬溶液を、実施例25と同様にマイクロ流体装置を使用して、300μlの10mMクエン酸緩衝液(pH3.0)中の1.20nmolのsiRNAの溶液と混合した。得られたsiRNA-LNPを直ちに600μlのPBSで希釈した;このようにして、トランスフェクション試薬A28から、B28と命名される対応するナノ粒子を形成した。内因的に細胞転写mRNAを標的としない対照(スクランブル;4390843、Ambion)siRNAを担持するLNP(B29)を同様に調製した。Lipofectamine RNAiMax(Invitrogen)を、製造者の標準プロトコルに従ってsiRNAトランスフェクションに特異的な対照トランスフェクション試薬として使用した。緑色蛍光タンパク質(GFP)を安定的に発現するヒト細胞株U2OSをsiRNA-LNPノックダウンに使用した。細胞を、96ウェルプレート(1ウェル当たり100μLの培養培地中5×10細胞)中、5%CO、37℃で、10%FBSを補充したDMEM培地で培養した。細胞を2μlのsiRNA-LNPを用いてトランスフェクションし、ウェル中の全脂質成分の最終総濃度は20μMであり;最終siRNA濃度は16nMであった)、続いて24時間インキュベートした。トランスフェクションは、3つの生物学的反復で行った。緑色蛍光タンパク質GFPを発現する細胞の割合およびGFPの蛍光強度を、BD LSR Fortessaサイトメーターで分析した。
【0192】
新しいsiRNA-LNP(B28)では、GFP発現の低下がGFP発現細胞の1%まで観察された;市販のRNAiMaxではGFP発現は依然として細胞の13.6%で検出された。新しいsiRNA-LNP(B28)を使用した場合のGFPの蛍光強度は、市販のRNAiMax試薬と比較して1.25倍減少した(表16)。
【0193】
【表16】
【0194】
チロシルDNAホスホジエステラーゼ2(TDP2)をコードするmRNAの分解を引き起こす低分子干渉RNA(siRNA、カタログ番号4392420、Ambion)を含むsiRNA-LNPを、本実施例におけるB28粒子と同じ様式で調製した。このようにして、トランスフェクション試薬A28から、B30と呼ばれる、対応するナノ粒子が形成された。内因的に細胞転写されたmRNAを標的としない対照(スクランブル;4390843、Ambion)siRNAを担持するLNP(B29)も対照として用いた。Lipofectamine RNAiMax(Invitrogen)を、siRNAトランスフェクションに特異的な対照トランスフェクション試薬として使用した。ヒト細胞株HEK293およびヒト多発性骨髄腫由来の2つの株(これらは、利用可能なトランスフェクション試薬を用いてトランスフェクションすることが非常に困難である)を、siRNA-LNPノックダウンに使用した(Brito J.L.R., Brown N., Morgan G.J. (2010) Transfection of siRNAs in Multiple Myeloma Cell Lines. In: Min WP., Ichim T. (eds) RNA Interference. Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols), vol 623. Humana Press)。細胞を、96ウェルプレート(1ウェル当たり100μLの培養培地中5×10細胞)中、5%CO、37℃で、10%FBSを補充したDMEM培地で培養した。細胞を2μlのsiRNA-LNP(全脂質成分の最終総濃度20μMおよびsiRNAの最終濃度16nMを有する)を用いてトランスフェクションし、続いて24時間インキュベートした。トランスフェクションは、3つの生物学的反復で行った。RNAeasy Plus Micro Kit(Qiagen)を用いてRNAを単離した。cDNAは、製造者の推奨に従ってTATAA GrandScript cDNA Supermix(TATAAbiocenter)を用いて調製した。定量的RT-PCRをLightCycler 480(Roche Life Science)で行った。TDP2をコードするmRNAを増幅するためのプライマーは、以下の通りであった:5‘-CGAGAGGAGGGTCTCAAAGAG-3‘(配列番号3)および5‘-ATTTCGGGAAGGCTGCTGTC-3‘(配列番号4)。GAPDHをコードするmRNAを用いてデータを正規化した(プライマー:5‘-AATCCCATCACCATCTTCCA-3‘(配列番号5)および5‘-TGGACTCCACGACGTACTCA-3‘(配列番号6))。
【0195】
これらの全てのケースにおいて、新しいsiRNA-LNPは、市販のトランスフェクション試薬RNAiMaxと比較して、細胞中のTDP2 mRNAのレベルを有意に低下させた。siRNAトランスフェクション用の市販の試薬と比較して、HEK293細胞株では2.86倍、OPM-2骨髄腫株では4.3倍、RPMI8226骨髄腫株では6.7倍であった(表17)。
【0196】
【表17】
【0197】
〔実施例34〕
インビトロでの新しいLNPを用いたプラスミドDNAのトランスフェクション
mKate2蛍光タンパク質をコードする4706bpのプラスミドDNA(Evrogen、カタログ番号FP181)を含むLNPを以下のように調製した:実施例24で調製した300μlのA28トランスフェクション試薬溶液を、実施例25と同様にマイクロ流体装置を用いて、300μlの10mMクエン酸緩衝液(pH3.0)中の120μgのプラスミドDNAの溶液と混合した。得られたDNA-LNPを直ちに600μlのPBSで希釈した;このようにして、トランスフェクション試薬A28から、B31と呼ばれる、対応するナノ粒子を形成した。ヒト細胞株HEK293Tにおいてトランスフェクションを行った。細胞を、96ウェルプレート(1ウェル当たり100μlの培養培地中5×10細胞)中、5%CO、37℃で、10%FBSを補充したDMEM培地で培養した。細胞を2μlのDNA-LNP(全脂質成分の最終総濃度20μM)を用いてトランスフェクションし、続いて24時間インキュベートした。Lipofectamine(登録商標)2000(Lip2000、Invitrogen)を対照トランスフェクション試薬として使用した。トランスフェクションは3つの生物学的反復で行い、各生物学的反復は3つの技術的反復を有する。mKate2蛍光タンパク質を発現する細胞の割合およびmKate2の蛍光強度を、BD LSR Fortessaサイトメーターで分析した。
【0198】
蛍光タンパク質mKate2を発現する細胞の割合は、市販のトランスフェクション試薬と比較して、新しいDNA-LNPで3.8倍高かった。蛍光強度は市販の試薬よりも2.9倍高かった(表18)。
【0199】
【表18】
【0200】
〔実施例35〕
新しいLNPによるmRNAのヒト初代肝細胞へのトランスフェクション
NanoLuc生物発光タンパク質をコードする遺伝子を、プラスミドpET51b(+)_S-Luc_CLIP(Addgene、カタログ番号113923;Kai Johnssonからギフトとして入手)から、プライマー(5’-TAATACGACTCACTATAGGG-‘3(配列番号7);5‘-GCTAGTTATTGCTCAGCGG-3‘(配列番号8))を用いて増幅した。メッセンジャーRNA(mRNA)を、実施例25と同様にインビトロで調製し、以下のようにLNPにパッケージした:トランスフェクション試薬A28の300μlの試料、および300μlの10mMクエン酸緩衝液(pH3.0)中の120μgのmRNAを、実施例25と同様にマイクロ流体装置を使用してLNPへと組み立てた。得られたmRNA-LNPを直ちに600μlのPBSで希釈した;このようにして、トランスフェクション試薬A28から、B32と命名される、対応するナノ粒子を形成した。公開されたプロトコル(LeCluyse, E.L.: Methods in Molecular Biology 2005; 290, 207-230)に従って、ヒトドナーから初代肝細胞を単離した。細胞を2μlのmRNA-LNP(全脂質成分の最終総濃度20μM)を用いてトランスフェクションし、24時間インキュベートした。Lipofectamine(登録商標)2000トランスフェクション試薬を対照として使用した。次いで、Nano-Glo(登録商標)Luciferase Assay Systemキット(Promega)中の基質を細胞に添加し、そして発光強度を、Microplate Reader:Infinite(登録商標)M1000 PRO(Tecan)で分析した。
【0201】
新しいmRNA-LNPはヒト初代肝細胞を効率よくトランスフェクションし、トランスフェクションされていない対照と比較して発光が有意に2.0倍増加した(表19)。
【0202】
【表19】
【0203】
〔実施例36〕
インビトロでの新しいLNPによる環状ジヌクレオチドのトランスフェクション
環状ジヌクレオチド(2’,3’-cGAMP)(Sigma、カタログ番号SML1229-5UMO)を以下のようにLNP中にパッケージした:A01~A06トランスフェクション試薬の300μlの試料、および300μlの10mMクエン酸緩衝液(pH3.0)中の120nmolのcGAMPを、実施例25と同様のマイクロ流体装置を用いてLNPに添加した。得られたcGAMP-LNPを直ちに600μLのPBSで希釈した;このようにして、B33~B38と呼ばれるナノ粒子の試料を、対応するトランスフェクション試薬A01~A06から形成した。STING経路に依存する環状ジヌクレオチドcGAMPによるインターフェロン応答の誘導の程度を示すレポーターアッセイを用いて、cGAMP-LNP粒子トランスフェクションの効率を分析した。この目的のために、IRF3インターフェロン刺激(ISRE)プロモーター下で一般的なタイプのSTINGタンパク質およびルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現する細胞レポーター株HEK293Tを、Novotnaら(Novotna, B.: J. Med. Chem. 2019, 62 (23), 10676-10690)に従って使用した。細胞を、10%FBS(Capricorn Scientific)および1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Biowest)を補充したグルコース(L-グルタミンを含む;Biowest)を含むDMEM培地中、2.5×10の濃度で、ポリ-D-リシン(Sigma-Aldrich)被覆96ウェルプレート(Greiner Bio-One)に移した。5%CO、37℃で一晩インキュベートした後、連続希釈した化合物を細胞に7時間添加した。並行して、HEK293T細胞を試験化合物単独と共に30分間インキュベートし、新鮮な培地で2回洗浄し、次いでさらに6.5時間培養した。最後に、50μlの細胞培養培地を、白色96ウェルプレート中で30μlのBright-Glo Luciferase Assay System試薬(Promega)と混合し、発光をSpark(登録商標)分光光度計(TECAN、Grodig)で読み取った。50%効果濃度(EC50)の値はNovotnaら(Novotna, B.: J. Med. Chem. 2019, 62 (23), 10676-10690)に記載されているように、GraphPad Prism(La Jolla)を用いて計算した(表20)。
【0204】
環状ジヌクレオチド2’,3’cGAMPはSTING活性化のEC50値±30μMを示した。イオン化可能なリピドイド4a~4fによって形成された全ての新しいcGAMP-LNPはHEK293T細胞を効率的にトランスフェクションし、ナノモル領域でSTINGを活性化し、トランスフェクション効率を約2000~15000倍増加させた。最も有効なのはリピドイド4dであり、2.00±0.36nMのEC50を示した。
【0205】
【表20】
【0206】
〔実施例37〕
インビボにおける新しいmRNA-LNPの毒性
NanoLucタンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を調製し、実施例35と同様にして粒子にパッケージした。得られたmRNA-LNP(B32)を、3匹のC57B1/6マウス(BIOCEV、Vestec)に0.5mg mRNA/kgの濃度で腹膜内投与し、3匹の対照C57B1/6マウスにPBSを腹膜内投与した。別の3匹のC57B1/6マウスにmRNA-LNPを5倍高い濃度(2.5mg mRNA/kg)で同様に投与した。同様に、同一用量のmRNA-LNPを3匹のC57B1/6マウス(0.5mg mRNA/kg)と3匹のC57B1/6マウス(2.5mg mRNA/kg)に再度静脈内投与し、かつ投与前に動物を麻酔した(2.5mg/マウスのケタミン、0.4mg/マウスのキシラジナム、Bioveta)。その後、マウスを48時間観察したが、いずれも対照動物と比較して毒性の徴候または表現型の変化を示さなかった。
【0207】
〔実施例38〕
インビボでの新しいmRNA-LNPの生体内分布
CREリコンビナーゼタンパク質をコードする遺伝子を、プラスミドpCAG-Cre-IRES2-GFP(Addgene、カタログ番号26646、Anjen Chennによって供与された)から、プライマー(5’TAATACGACTCACTATAGAATTTACT-‘3(配列番号9);5‘-CTAATCGCCATCTTCCAGCA-3‘(配列番号10))を用いて増幅した。メッセンジャーRNA(mRNA)を、実施例25と同様にインビトロで調製し、以下のようにLNPにパッケージした:トランスフェクション試薬A28の300μlの試料、および300μlの10mMクエン酸緩衝液(pH3.0)中の120μgのmRNAを、実施例25と同様にマイクロ流体装置を使用してLNPへと組み立てた。得られたmRNA-LNPを直ちに600μlのPBS中に希釈した;B39と命名される、対応するナノ粒子をトランスフェクション試薬A28から形成した。mRNA-LNP(B39)を、各場合に0.5mg mRNA/kg~2.5mg mRNA/kgの濃度で、3匹のマウスに、組換えの成功の分析を可能にするグローバルデュアルCreレポーター(Mazumdar, M.D.: Genesis 2007, 45:593-605)とともに静脈内投与した(飼育 BIOCEV、Vestec)。CreリコンビナーゼmRNAを担持するmRNA-LNPが首尾よく送達された細胞では、染色体組換とそれに続く膜赤色タンパク質遺伝子(いわゆるレッドトマト)の切り出しと膜緑色タンパク質(GFP)遺伝子の転写の「オン」が起こった。非微粒子対照マウスを含むマウスを微粒子適用の3日後に屠殺し、全ての器官を標準化されたプロトコルに従って組織学的分析に供した。組織学的画像は肝臓への粒子の完全な分布を示し、これは、適用の3日後に、赤色膜タンパク質を発現する細胞の、緑色膜タンパク質を発現する細胞への30~50%の変換を導いた(図7)。図7において、肝臓の組織学的画像はCreリコンビナーゼをコードするmRNA-LNP[2.5mg/kgのmRNA](「3 dpi mRNA-LNP」と命名される)の適用の3日後に、赤色膜タンパク質を発現する細胞の、緑色膜タンパク質を発現する細胞への変換を示す。「PBS対照」-PBS緩衝液のみの注入。
【0208】
〔実施例39〕
新しいmRNA-LNPおよびsiRNA-LNPの4℃での安定性
ヒト細胞株HEK293Tを、96ウェルプレート(1ウェル当たり100μLの培養培地中5×10細胞)中、5%CO、37℃で、10%FBSを補充したDMEM培地で培養した。細胞を、実施例25で調製した2μlのmRNA-LNP B05(ウェル中の全ての脂質成分の最終総濃度は20μMであった)を用いてトランスフェクションし、続いて24時間インキュベートした。B05 mRNA-LNPを4℃で保存し、トランスフェクションを、組み立ての1、3および5週間後に同様に繰り返した。トランスフェクションを3反復で行った。mKate2の蛍光強度を、BD LSR Fortessaサイトメーターで分析した。
【0209】
新しいmRNA-LNP(B05と命名された)のトランスフェクション効率は少なくとも3週間は変化せず、4℃で保存されている間に1日目と比較して81%まで低下した(表21)。
【0210】
【表21】
【0211】
チロシル-DNAホスホジエステラーゼ2(TDP2)をコードするmRNAの分解を引き起こす低分子干渉RNA(siRNA、カタログ番号4392420、Ambion)を含むsiRNA-LNP(B30およびB40と命名された)を、実施例33に記載したのと同じ様式で調製し、4℃で保存した。siRNA-LNP B40は、実施例24で調製されたトランスフェクション試薬A29から形成された。HEK293T細胞を、96ウェルプレート(1ウェル当たり100μLの培養培地中5×10細胞)中、5%CO、37℃で、10%FBSを補充したDMEM培地で培養した。細胞を2μlのsiRNA-LNP(全脂質成分の最終総濃度20μMおよびsiRNAの最終濃度16nMを有する)を用いてトランスフェクションし、続いて24時間インキュベートした。トランスフェクションを3反復で行った。RNA単離、cDNA調製およびqRT-PCRを、実施例33に記載のように行った。LNP組み立ての1、2および3か月後に、全手順を繰り返した。
【0212】
細胞中のTDP2 mRNAのレベルを減少させるそれらの能力として表される、新しいsiRNA-LNP(B30およびB40と命名された)のトランスフェクション効力は、4℃で3か月間保存された間、実質的に変化しないままであった(表22)。
【0213】
【表22】
【0214】
〔実施例40〕
予め形成された空のLNPによるsiRNAのトランスフェクション
実施例24からのトランスフェクション試薬A28およびA29を用いて、実施例25と同様に、核酸を除くクエン酸緩衝液中で空のナノ粒子B41およびB42を組み立て、後希釈を行わなかった。1μlのLNPを、Lipofectamine RNAiMaxについて推奨されるのと同様に、トランスフェクションの10分前にTDP2を標的とする1pmolのsiRNAと混合し、室温でインキュベートした。HEK293TおよびHepG2細胞(1ウェルあたり100μLの培養培地中5×10細胞)を、予め組み立てたLNPおよびsiRNAの混合物を用いてトランスフェクションし、24時間インキュベートした。トランスフェクションを3反復で行った。Lipofectamine RNAiMaxを対照トランスフェクション試薬として使用した。予め組み立てられ、続いて1pmolのsiRNAと混合されたLNPは、TDP2 mRNA発現を90~97%ノックダウンすることができ、両方とも市販のトランスフェクション試薬Lipofectamine RNAiMaxよりも有意に良好であった(表23)。
【0215】
【表23】
【0216】
〔実施例41〕
siRNA-LNPによる末梢血単核細胞(PBMC)のトランスフェクションおよびサイトカイン応答の評価
実施例24からのトランスフェクション試薬A28を用いて、Poly(U)結合スプライシング因子(PUF60)をコードするmRNAの分解を引き起こすsiRNAを含む、B43と呼ばれるsiRNA-LNPを形成した。siRNA-LNPは、実施例33と同様に調製した。Lipofectanime RNAiMaxを対照トランスフェクション試薬として用いた。3人の匿名の血液ドナー(チェコ共和国プラハの血液学および輸血研究所の倫理委員会の同意番号13/06/2012)からの末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll(Ficoll(登録商標)Paque Plus、17-1440-02、GE Healthcare)勾配によって単離し、10%のFBSおよび50U/mlのペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI培地中で培養した。細胞を96ウェルプレートに10細胞/100ul(総量200ul)で播種し、37℃でインキュベートした。PUF60を標的とするON-target plus SMARTpool siRNAをDharmacon(カタログ番号L-012505-01-0005;フランス、llkirch)から購入し、20pmol/ulで水中に再懸濁した。1pmolまたは10pmolの最終濃度を使用した。各条件を3反復で行った。トランスフェクションの24時間後、上清を含めて細胞を回収した。全RNAを、Nucleospin RNA抽出キット(Macherey Nagel)を使用して、製造者の指示に従って抽出した。逆転写は500ngのRNAで行った。定量的RT-PCRを、LightCycler 480(Roche Life Science)で、SYBERGREEN mixを用いて2反復で行った。PUF60を増幅するためのプライマーは、以下の通りであった:5-CCTTCAACCGCATCTACGTG-3(配列番号7)および5-CTGGGCCTTCTCGTACTCAA-3(配列番号8)。RPLP0を用いてデータを正規化した(プライマー:5-CACCATTGAAATCCTGAGTGATG-3(配列番号9)および5-TGACCAGCCCAAAGGAGAAG-3(配列番号10))。トランスフェクション後にPBMCによって産生された総IFN-αおよびIFN-γの量を、ヒトELISAキット(Human IFN-α ELISABASICキット(HRP)、3425-1H-20、MabtechおよびHuman IFN-λ1 ELISABASICキット、3570-1H-20、Mabtech)を用いて無細胞上清中で測定した。1μM CpG ODN 2216クラスA(Invivogen)でのPBMCの24時間処理を陽性対照として使用した。
【0217】
全てのケースにおいて、siRNA-LNPは、RNAiMaxと対照的に(表25および表26)、サイトカイン応答を上方制御することなく、PBMC細胞中のPUF60 mRNAのレベルを減少させた(表24)。
【0218】
【表24】
【0219】
【表25】
【0220】
【表26】
【0221】
〔実施例42〕
インビボにおけるsiRNA-LNPの有効性
実施例24からのトランスフェクション試薬A29を用いて、マウスアポリポタンパク質B(ApoB)遺伝子、コレステロール輸送に関与する肝細胞発現遺伝子(ApoB)(カタログ番号238055 ApobマウスsiPOOL-40キット、siTOOLs Biotech GmbH)を標的とするsiRNAを有する、B44と呼ばれるsiRNA-LNP、および代わりに対照非標的siRNA-LNP(238055 ApobマウスsiPOOL-40キット、siTOOLs Biotech GmbHに封入)を有するsiRNA-LNP(B45)を、実施例33に記載されているように組み立て、形成した。siRNA-LNPをPBSに透析した。エンドトキシンレベルは2EU/ml未満であった。マウスを4時間絶食させた後、眼窩後出血による血漿採取を行った。ApoBを標的とするsiRNA-LNPを、5匹のC57B1/6マウス(BIOCEV、Czech Center of Phenogenomics、Vestec)に、それぞれ、32μgのsiRNAおよび16μgのsiRNAの濃度で静脈内投与し、対照の5匹のマウスには32μgの非標的siRNA-LNPを投与し、別の5匹のマウスにはPBS対照を投与した。全てのマウスを、LNP適用の2日後に屠殺した。コレステロール、トリグリセリドおよびLDL-Cの血漿レベルを、標準化されたプロトコルに従って、Czech Center of Phenogenomicsで自動化されたシステムを使用することによって測定した。
【0222】
ApoBノックダウンの影響を受ける総コレステロール、トリグリセリドおよびLDL-Cなどの血漿マーカーの臨床生化学は対照動物と比較して有意に減少したことから、新規LNPによるApoB siRNAの肝臓への効率的な送達が実証された(表27)。
【0223】
【表27】
【0224】
〔実施例43〕
インビボにおけるヌクレオシド修飾mRNA-LNPの有効性
CREリコンビナーゼタンパク質をコードする遺伝子を、プラスミドpCAG-Cre-IRES2-GFP(Addgene、カタログ番号26646、Anjen Chennによって供与された)から、プライマー(5’TAATACGACTCACTATAGAATTTACT-‘3(配列番号9);5‘-CTAATCGCCATCTTCCAGCA-3‘(配列番号10))を用いて増幅した。CTPが5-メチル-CTP(NU-1138L、Biogen Praha s.r.o.)と100%交換され、UTPがN1-メチルシュードUTP(NU-890L、Biogen Praha s.r.o.)と100%交換されたことを除いて、実施例25と同様にインビトロでメッセンジャーRNA(mRNA)を調製し、以下のようにLNPにパッケージした:トランスフェクション試薬A28の300μlの試料、および300μlの10mMクエン酸緩衝液(pH3.0)中の120μgのmRNAを、実施例25と同様にマイクロ流体装置を用いてLNPへと組み立てた。得られたmRNA-LNPを直ちに600μlのPBS中に希釈した;B46と命名される、対応するナノ粒子をトランスフェクション試薬A28から形成した。mRNA-LNP(B46)を、各場合に0.5mg mRNA/kg~2.5mg mRNA/kgの濃度で、3匹のマウスに、組換えの成功の分析を可能にするグローバルデュアルCreレポーター(Mazumdar、M.D.: Genesis 2007、45:593-605)とともに静脈内投与した(飼育 BIOCEV、Vestec)。CreリコンビナーゼmRNAを担持するmRNA-LNPが首尾よく送達された細胞では、染色体組換とそれに続く膜赤色タンパク質遺伝子(いわゆるレッドトマト)の切り出しと膜緑色タンパク質(GFP)遺伝子の転写の「オン」が起こった。非微粒子対照マウスを含むマウスを微粒子の適用の3日後に屠殺し、全ての器官を標準化プロトコルに従って組織学的分析に供した。組織学的画像は肝臓への粒子の完全な分布を示し、これは、適用の3日後に、赤色膜タンパク質を発現する細胞の、緑色膜タンパク質を発現する細胞への35~75%の変換を導いた。
【図面の簡単な説明】
【0225】
図1】リピドイド4a~gの合成スキーム。
図2】リピドイド9の合成スキーム。
図3】リピドイド13の合成スキーム。
図4】化合物19、リピドイド21の前駆体の合成スキーム。
図5】リピドイド21の合成スキーム。
図6】化合物22およびそのアシルクロリド、リピドイド23~25の前駆体の合成スキーム。
図7】リピドイド23~25の合成スキーム。
図8】リピドイド29a~fの合成スキーム
図9】リピドイド31a~dの合成スキーム。
図10】mRNA-LNP(B39)のマウス肝臓への機能的送達の試験。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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