(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】空力揚力制御装置を有する鉄道車両
(51)【国際特許分類】
B60V 3/04 20060101AFI20230411BHJP
B61B 13/08 20060101ALI20230411BHJP
B60L 13/06 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
B60V3/04
B61B13/08 A
B61B13/08 B
B60L13/06 Z
(21)【出願番号】P 2022539039
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(86)【国際出願番号】 CN2020090779
(87)【国際公開番号】W WO2021135042
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202010001729.6
(32)【優先日】2020-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516183897
【氏名又は名称】中▲車▼青▲島▼四方▲機車車▼輌股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC QINGDAO SIFANG CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.88 Jinhongdong Road, Chengyang District, Qingdao, Shandong, 266111, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ディン サンサン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ シュアンバオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ダウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ シャオチン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン フージエ
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】特公昭53-021569(JP,B2)
【文献】特開2003-285734(JP,A)
【文献】特開平08-133076(JP,A)
【文献】実公昭52-032481(JP,Y1)
【文献】特開平11-079333(JP,A)
【文献】特開2004-249788(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105480317(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60V 1/11- 1/12, 3/04
B60L 13/04-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体底部に設けられる走行機構とを含んでおり、空力揚力制御装置を有する鉄道車両であって、前記車体底部の車体底板と客室床との間には機器室が形成され、前記機器室内には空力揚力制御装置が設けられ、前記空力揚力制御装置は空力揚力調節制御ファンと空力揚力調節制御ダクトとを含み、前記車体底板には、空力揚力の制御範囲内にある空力揚力調節制御通風口が設けられ、各前記空力揚力調節制御ダクトは一端が前記空力揚力調節制御通風口に連通しており、
他端が前記空力揚力調節制御ファンに連通し、前記空力揚力調節制御ファンが正圧動作状態にある場合、前記空力揚力調節制御通風口から前記空力揚力調節制御ダクトを介して車体底部とレール表面との隙間に正圧気流を吹き付け、前記空力揚力調節制御ファンが負圧動作状態にある場合、前記空力揚力調節制御ダクト及び前記空力揚力調節制御通風口を介して車体底部とレール表面との隙間から負圧気流を吸引しており、
正圧気流を吹き付ける又は負圧気流を吸引することで、列車底部の圧力分布形式を変更することを特徴とする空力揚力制御装置を有する鉄道車両。
【請求項2】
前記空力揚力調節制御通風口は、前記車体底板において、縦方向中心線方向に沿って間隔を持って分布され、少なくとも一部の前記空力揚力調節制御通風口は前記車体底板の先端に近接し、少なくとも一部の前記空力揚力調節制御通風口は前記車体底板の後端に近接することを特徴とする請求項1に記載の空力揚力制御装置を有する鉄道車両。
【請求項3】
前記空力揚力調節制御通風口は、前記車体底板において、縦方向中心線に対して左右対称であるように分布され、各側の前記空力揚力調節制御通風口は縦方向に間隔を持って分布され、少なくとも一部の前記空力揚力調節制御通風口は前記車体底板の先端に近接し、少なくとも一部の前記空力揚力調節制御通風口は前記車体底板の後端に近接することを特徴とする請求項1に記載の空力揚力制御装置を有する鉄道車両。
【請求項4】
前記空力揚力調節制御ファンは可変周波数ファン又は固定周波数ファンであり、前記空力揚力調節制御通風口には通風口の吸気面積を調節するための通風口バッフルが設けられ、前記空力揚力調節制御ファンと協力して、正圧気流又は負圧気流の風量及び風速を調節することを特徴とする請求項1に記載の空力揚力制御装置を有する鉄道車両。
【請求項5】
前記空力揚力調節制御通風口には、鉄道での異物が前記空力揚力調節制御ダクトに入ることを防止するための濾過網装置が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の空力揚力制御装置を有する鉄道車両。
【請求項6】
前記空力揚力調節制御ファンの風量及び風速に対してリモート制御を行うように、前記空力揚力調節制御ファンの制御装置は車両制御システムにアクセスすることを特徴とする請求項1に記載の空力揚力制御装置を有する鉄道車両。
【請求項7】
前記空力揚力調節制御ダクトの通風口は前記空力揚力調節制御通風口に接合接続されることを特徴とする請求項1に記載の空力揚力制御装置を有する鉄道車両。
【請求項8】
前記空力揚力調節制御ダクトの通風口はボルト及び/又はリベットによって、前記空力揚力調節制御通風口に接合接続されることを特徴とする請求項7に記載の空力揚力制御装置を有する鉄道車両。
【請求項9】
前記空力揚力調節制御通風口は車体先端に近接する第1通風口と、車体後端に近接する第2通風口とを含み、前記空力揚力調節制御ファンは車体の略中部に配置され、前記空力揚力調節制御ダクトは、前記空力揚力調節制御ファンの前側にある第1ダクトと、前記空力揚力調節制御ファンの後側にある第2ダクトとを含み、前記第1ダクトは前記第1通風口と前記空力揚力調節制御ファンとを連通させ、前記第2ダクトは前記第2通風口と前記空力揚力調節制御ファンとを連通させることを特徴とする請求項1に記載の空力揚力制御装置を有する鉄道車両。
【請求項10】
複数の車体を含み、先頭車及び/又は最後尾車には前記空力揚力制御装置が設けられていることを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の空力揚力制御装置を有する鉄道車両。
【請求項11】
前記鉄道
車両は磁気浮上列車であることを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の空力揚力制御装置を有する鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年01月02日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202010001729.6であり、発明名称が「空力揚力制御装置を有する鉄道車両」である発明特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は援用されることで、本出願に結合される。
【0002】
本発明は鉄道車両の技術分野に関して、特に、空力揚力制御装置を有する鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0003】
磁気浮上列車は磁気浮上力(即ち、磁石の吸引力及び反発力)によって推進される列車であり、その鉄道の磁力を利用して空中に浮上し、運行鉄道との浮上間隔は10mm程度であるため、空気からの抵抗のみを受け、時速が500キロメートル以上に達することができ、現在、最も速い地上旅客輸送交通手段であり、速度が速く、登坂能力が強く、エネルギー消費が低く、運転際の騒音が小さく、安全で快適、汚染が少ないなどの利点を具備する。
【0004】
磁気浮上列車の空力揚力の、列車浮上制御システム及び運転安全性にする影響が大きく、一般的に、列車の運転速度が高いほど、空力揚力が大きくなり、各車室の空力揚力を適切に大きくする、又は小さくすることは、列車の設計過程で、解決しなければならない重要な問題の1つである。列車頭部の設計及び車体の平滑化設計は、列車の空力揚力を改善するための効果的な方法であるが、設計の困難さが大きく、周期が長く、コストが高い。
【0005】
CN103085805Aは地面効果による空力浮上及び電磁推進を利用した新型超高速列車を開示し、従来の磁気浮上列車の車体底部に対して空気圧修正を行うことで、車体底部が連続的且つ滑らかな収縮曲面になり、収縮状曲面と鉄道表面とは共同で収縮した気流通路を形成し、気流通路の断面積は列車頭部の入口で、最も大きくなり、列車尾部の出口で最も小さくなる。このような磁気浮上列車は、電磁力の代わりとして、地面効果による空力揚力を利用して、列車を浮上させ、伝統の磁気浮上列車の抵抗が小さく、速度が高いという優勢を保留するとともに、電磁浮上の電気エネルギー消費の問題を改善し、また、車載超伝導の関連機器の重量を低減させるため、列車が超高速で運転する際のエネルギー消費を減少させ、輸送効率を向上させる。
【0006】
CN103395418Aは両側吸気空力浮上及び電磁推進型超高速磁気浮上速列車を開示し、磁気浮上列車の各車室の左側面及び右側面にはいずれも吸気口が開けられ、また、各車室の底面に対して空気圧修正を行って、2つの吸気通路を有する車室底面を形成する。2つの吸気通路はいずれも車室の軸方向に沿って設計され、車室底面の左右両側にあり、2つの吸気通路の先端は吸気口に連通し、いずれも前から後ろへ収縮する構成である。このように、磁気浮上列車が高速で運転する際、流れが車室の左側壁及び右側壁の吸気口を介して左吸気通路及び右吸気通路にそれぞれ入って、左吸気通路及び右吸気通路で減速増圧を発生させ、高圧領域を形成することで、車室に上向きの揚力を生成して、伝統の磁気浮上列車の抵抗が小さく、速度が高いという優勢を保留するとともに、列車が超高速で運転することによるエネルギー消費を減少させ、輸送効率を向上させる。
【0007】
CN108622067Aは空力ガイドエアクッション浮上鉄道列車を開示し、高圧空気をエアクッションとすることで、浮上効果を発生させ、エアクッションによる横方向分力によってガイドしており、エアクッション生成システム、リニアモーター駆動システム、車体支持ユニット及び車体を含む。リニアモーターは回生制動、逆制動又はエネルギー消費制動に用いられ、空力ガイドエアクッション浮上鉄道列車には、制動のための線形磁気リターダが取り付けられる。空力ガイドエアクッション浮上鉄道列車のリニアモーターの、外部電源を接続するための電機子巻線が車体に設けられる場合、車体には外部送電線を接続するためのパンタグラフが取り付けられなければならなく、リニアモーターの、外部電源を接続するための電機子巻線が鉄道に設けられる場合、分割して給電できる。空力ガイドエアクッション浮上鉄道列車は貨物輸送又は旅客輸送の必要を満たすように設計されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記各種タイプの磁気浮上列車は、いずれも列車の空力揚力を利用して列車の浮上、又は列車に対するガイド制御を実現するが、いずれも粗放な空力揚力の利用であり、車両を使用する場合、異なる車速での空力揚力は固定であるため、列車の実際運転状態に応じて、空力揚力に対して主動且つ正確な制御を行うことができない。
【0009】
本発明は、空力揚力制御装置を有する鉄道車両を提供することを目的とする。当該鉄道車両は列車底部の流れ場の特徴に基づき、底部送吸風機を装着することで、列車底部の圧力分布を改善し、列車が受けた空力揚力に対する主動且つ正確な制御を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を実現するために、本発明は車体と、前記車体底部に設けられる走行機構とを含んでおり、空力揚力制御装置を有する鉄道車両を提供し、前記車体底部の車体底板と客室床との間には機器室が形成され、前記機器室内には空力揚力制御装置が設けられ、前記空力揚力制御装置は空力揚力調節制御ファンと空力揚力調節制御ダクトとを含み、前記車体底板には、空力揚力の制御範囲内にある空力揚力調節制御通風口が設けられ、各前記空力揚力調節制御ダクトは一端が前記空力揚力調節制御通風口に連通し、他端が前記空力揚力調節制御ファンに連通し、前記空力揚力調節制御ファンが正圧動作状態にある場合、前記空力揚力調節制御通風口から前記空力揚力調節制御ダクトを介して車体底部とレール表面との隙間に正圧気流を吹き付け、前記空力揚力調節制御ファンが負圧動作状態にある場合、前記空力揚力調節制御ダクト及び前記空力揚力調節制御通風口を介して車体底部とレール表面との隙間から負圧気流を吸引しており、正圧気流を吹き付ける又は負圧気流を吸引することで、列車底部の圧力分布形式を変更する。
【0011】
好ましくは、前記空力揚力調節制御通風口は、前記車体底板において、縦方向中心線方向に沿って間隔を持って分布され、少なくとも一部の前記空力揚力調節制御通風口は前記車体底板の先端に近接し、少なくとも一部の前記空力揚力調節制御通風口は前記車体底板の後端に近接する。
【0012】
好ましくは、前記空力揚力調節制御通風口は、前記車体底板において、縦方向中心線に対して左右対称であるように分布され、各側の前記空力揚力調節制御通風口は縦方向に間隔を持って分布され、少なくとも一部の前記空力揚力調節制御通風口は前記車体底板の先端に近接し、少なくとも一部の前記空力揚力調節制御通風口は前記車体底板の後端に近接する。
【0013】
好ましくは、前記空力揚力調節制御ファンは可変周波数ファン又は固定周波数ファンであり、前記空力揚力調節制御通風口には通風口の吸気面積を調節するための通風口バッフルが設けられていることで、前記空力揚力調節制御ファンと協力して、正圧気流又は負圧気流の風量及び風速を調節する。
【0014】
好ましくは、前記空力揚力調節制御通風口には、鉄道での異物が前記空力揚力調節制御ダクトに入ることを防止するための濾過網装置が取り付けられている。
【0015】
好ましくは、前記ファン空力揚力調節制御ファンの風量及び風速に対してリモート制御を行うように、空力揚力調節制御ファンの制御装置は車両制御システムにアクセスする。
【0016】
好ましくは、前記空力揚力調節制御ダクトの通風口は前記空力揚力調節制御通風口に接合接続される。
【0017】
好ましくは、前記空力揚力調節制御ダクトの通風口はボルト及び/又はリベットによって、前記空力揚力調節制御通風口に接合接続される。
【0018】
好ましくは、前記空力揚力調節制御通風口は車体先端に近接する第1通風口と、車体後端に近接する第2通風口とを含み、前記空力揚力調節制御ファンは車体の略中部に配置され、前記空力揚力調節制御ダクトは、前記空力揚力調節制御ファンの前側にある第1ダクトと、前記空力揚力調節制御ファンの後側にある第2ダクトとを含み、前記第1ダクトは前記第1通風口と前記空力揚力調節制御ファンとを連通させ、前記第2ダクトは前記第2通風口と前記空力揚力調節制御ファンとを連通させる。
【0019】
好ましくは、複数の車体を含み、先頭車及び/又は最後尾車には前記空力揚力制御装置が設けられている。
【0020】
好ましくは、前記鉄道車両は磁気浮上列車である。
【0021】
本発明が提供する鉄道車両には空力揚力制御装置が設けられ、配置された空力揚力調節制御ファンは空力揚力調節制御通風口から空力揚力調節制御ダクトを介して車体底部とレール表面との隙間に正圧気流を吹き付ける又は負圧気流を吸引することで、列車底部の圧力分布形式を改善し、列車の空力揚力に対する正確な制御を実現し、送吸風の風量及び通風口の位置を調整することで、高速で運転する際、列車が受けた空力揚力を定量的に制御し、列車はより安定、確実、安全、且つ低消費電力で運転できる。また、当該空力揚力制御装置の構成は簡単であり、製造及び装着は容易であり、異なるタイプの鉄道車両、例えば、ユニット式列車又は高速鉄道、特に、磁気浮上車両に適用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施例が開示した、空力揚力制御装置を有する磁気浮上列車の構成模式図である。
【
図2】
図1に示す空力揚力制御装置を有する磁気浮上列車の底部模式図である。
【
図3】
図1の空力揚力制御装置の構成原理図である。
【
図4】磁気浮上列車の空気抵抗の試験データのグラフである。
【
図5】磁気浮上列車の空力揚力の試験データのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
当業者が本発明の技術案をよりよく理解するために、以下は図面及び具体的な実施形態を結合して、本発明をさらに詳しく説明する。
【0024】
本明細書において、「上、下、左、右」などの用語は図面の位置関係に基づき確立され、図面の異なりに応じて、相応的な位置関係も変化する可能性があるため、保護範囲に対する絶対的な限定として理解されるわけではなく、「第1」及び「第2」などのような関係用語は、これらの部材の間にはこのような実際関係又は順序が存在すると要求或いは暗示していなく、ただ1つの部材と、同じ名称を有する別の部材とを区別するためのものである。
【0025】
図1、
図2、及び
図3を参照し、
図1は本発明の実施例が開示した、空力揚力制御装置を有する磁気浮上列車の構成模式図であり、
図2は
図1の、空力揚力制御装置を有する磁気浮上列車の底部模式図であり、
図3は
図1の空力揚力制御装置の構成原理図である。
【0026】
図面に示すように、具体的な実施例において、磁気浮上列車を例として、空力揚力制御装置の構成及び動作原理を説明し、当業者であれば理解できるように、空力揚力制御装置はユニット式列車又は高速鉄道などの他の鉄道車両にも適用されることができる。
【0027】
本発明が提供する磁気浮上列車は、磁気浮上鉄道で運転し、複数の車体を有し、各車体は主に車体1、車体底部に設けられる磁力浮上機構及び磁力推進機構(従来技術であり、図示せず)などから構成され、磁気浮上鉄道と協力することで、列車は磁力によって浮上するとともに、前に推進され、車体1の底部は車体底板2及び客室床3を有し、両者の間には車底機器を装着するための機器室4が形成され、先頭車及び最後尾車の機器室4内には空力揚力制御装置が設けられる。
【0028】
先頭車を例として、その空力揚力制御装置は主に、空力揚力調節制御ファン5及び空力揚力調節制御ダクト6などの部材から構成され、車体底板2には空力揚力調節制御通風口7が設けられ、図面の空力揚力調節制御通風口7は矩形であり、その数は4つであり、車体底板2で縦方向中心線に対して左右対称であるように分布され、各側の2つの空力揚力調節制御通風口7は縦方向で間隔を持って分布され、2つの空力揚力調節制御通風口7は車体底板2の先端に近接する第1通風口7-1であり、別の2つの空力揚力調節制御通風口7は車体底板2の後端に近接する第2通風口7-2であり、いずれも空力揚力制御を必要とする範囲内にある。
【0029】
各空力揚力調節制御ダクト6の一端は、対応する空力揚力調節制御通風口7に連通し、他端は空力揚力調節制御ファン5に連通し、空力揚力調節制御ファン5は機器室4の略中間位置に配置され、空力揚力調節制御ダクト6は、空力揚力調節制御ファン5の前側にある第1ダクト6-1と、空力揚力調節制御ファン5の後側にある第2ダクト6-2とを有し、第1ダクト6-1は第1通風口7-1と空力揚力調節制御ファン5とを連通させ、第2ダクト6-2は第2通風口7-2と空力揚力調節制御ファン5とを連通させ、空力揚力制御装置の閉ループ装着を実現する。
【0030】
具体的に、空力揚力調節制御ダクト6の通風口はボルト及び/又はリベットによって、空力揚力調節制御通風口7に接合接続される。
【0031】
空力揚力調節制御ファン5が正圧動作状態にある場合、空力揚力調節制御通風口7から空力揚力調節制御ダクト6を介して、車体1の底部とレール表面との隙間に正圧気流を吹き付け、空力揚力調節制御ファン5が負圧動作状態にある場合、空力揚力調節制御ダクト6及び空力揚力調節制御通風口7を介して車体1の底部とレール表面との隙間から負圧気流を吸引し、正圧気流を吹き付ける、又は負圧気流を吸引することで、列車底部の圧力分布形式を変更する。
【0032】
空力揚力調節制御通風口7の位置及びサイズについて、具体的な設計必要(空力揚力の制御範囲、底板の強度及び空間要求などを含む)に応じて設計すればよく、空力揚力調節制御ファン5は可変周波数ファンであってもよく、可変周波数ファンは風量の大きさを正確に制御し、さらに、空力揚力の大きさを正確に制御できる。
【0033】
別のいくつかの実施例において、空力揚力制御を必要とする車体底板2に通風口を作り出す場合、空力揚力調節制御通風口7に、通風口の吸気面積を調節するための通風口バッフルを配置することで、空力揚力調節制御ファン5と協力して、正圧気流又は負圧気流の風量及び風速を調節する。空力揚力調節制御ファン5は固定周波数ファンであると、バッフルによって通風口の面積を調節し、通風口での気流速度に対する調節という目的を達成する。
【0034】
また、空力揚力調節制御通風口7には、鉄道での異物が空力揚力調節制御ダクト6に入ることを防止するための濾過網装置が取り付けられ、空力揚力調節制御ダクト6の詰まり、さらに空力揚力調節制御ファン5の損壊というリスクを避ける。
【0035】
ファン空力揚力調節制御ファン5の風量及び風速に対してリモート制御を行うように、空力揚力調節制御ファン5の制御装置は車両制御システムにアクセスする。
【0036】
少なくとも1つの実施例において、空力揚力調節制御通風口7は車体底板2で、縦方向中心線方向に沿って間隔を持って分布され、少なくとも一部の空力揚力調節制御通風口は車体底板2の先端に近接し、少なくとも一部の空力揚力調節制御通風口は車体底板2の後端に近接する。
【0037】
無論、空力揚力調節制御通風口7は他の方式で車体底板2に分布されてもよく、例えば、矩形アレイ又は環状アレイなどの方式で分布され、また、空力揚力調節制御ダクト6に弁を配置することで、使用する際、実際必要に応じて、異なる空力揚力調節制御通風口7を選択的に使用し、即ち、一部の空力揚力調節制御通風口7は動作状態にあり、他の一部の空力揚力調節制御通風口7は非動作状態にある。
【0038】
上記実施例は本発明を限定していなく、好適な技術案のみであり、これに基づき、実際必要に応じて、的を射た調整を行うことで、異なる実施形態を取得する。例えば、他の方式で空力揚力調節制御ダクト6の通風口と空力揚力調節制御通風口7とを接合接続し、又は、空力揚力調節制御通風口7を他の形状に設計してもよい。可能な実現形態は多いため、ここで、贅言していない。
【0039】
実際応用する場合、設計必要(車両限界要求、空力揚力の制御範囲などを含む)に応じて、空力揚力調節制御通風口7の位置、形状、サイズ、空力揚力調節制御ファン5の風量調節範囲及び対応する型番のファンを決定し、車両を設計する場合、車両機器室の空間配置に応じて空力揚力調節制御ダクト6の形状、サイズ及び設置方法を決定し、シミュレーション計算又は路線実車試験方法を利用して、風量と空力揚力との対応関係を決定し、空力揚力の制御必要に応じて風量を調節してもよい。
【0040】
図4は、列車の先頭車及び最後尾車に空力揚力制御装置を装着した後、磁気浮上列車の運転速度が600km/hである際に各車室が受けた空力抵抗であり、風量一の吸気量は、風量四の吸気量の8倍である。これから分かるように、空力揚力制御装置を装着した後、各車室の空力抵抗に対する影響が小さく、風量一である場合、車両全体の空力抵抗が最も大きく、空力揚力制御装置が装着されない際の空力抵抗より、約10.8%増える。
【0041】
図5は、列車の先頭車及び最後尾車に空力揚力制御装置を装着した後、磁気浮上列車の運転速度が600km/hである際に各車室が受けた空力揚力である。これから分かるように、先頭車及び最後尾車の空力揚力は、風量の変化に連れて変化し、変化の幅が非常に大きく、風量に対する微細な調節を行うことで、列車の空力揚力に対する正確な制御を実現できる。
【0042】
上記の試験データから分かるように、空力揚力制御装置の装着は、列車の空力性能に対する影響の指向性が強く、即ち、装着部位の空力揚力のみを変更すると、磁気浮上列車の空力抵抗に対する影響が小さい。
【0043】
本発明は、磁気浮上列車の空力揚力に対する正確な制御を目的とし、具体的な設計要求に応じて、列車の空力揚力制御を必要とする車室に空力揚力制御装置を装着し、空力揚力制御装置を利用して、磁気浮上列車底部と鉄道桁との間の流れ場の特性を変更し、さらに、列車底部の圧力分布形式を変更する。
【0044】
また、空力揚力調節制御通風口7の位置及び大きさについて、具体的な制御要求に応じて設計すればよく、空力揚力の制御要求に応じて風量の大きさを調節してもよく、設計インタフェースが柔軟になり、異なるタイプの磁気浮上列車の設計必要を満たすように、車両の実際サイズに応じて、合理的なインタフェースを設計しており、ダクト又はファンは故障が生じた場合、新たな部材によって迅速に交換でき、メンテナンス及び交換は便利である。本発明の設計、製造及び装着は、異なるタイプの磁気浮上列車に適して、磁気浮上列車の他の構成について、従来技術を参照すればよいため、本明細書において贅言していない。
【0045】
以上は本発明が提供する、空力揚力制御装置を有する鉄道車両を詳しく紹介した。本明細書において具体的な例示を利用して、本発明の原理及び実施形態を記載し、以上の実施例に対する説明は、ただ本発明の主旨を理解するためのものである。ここで、当業者にとって、本発明の原理を逸脱しない前提で、本発明に対していくつかの改良及び修飾を行ってもよく、これらの改良及び修飾も本発明の請求項の保護範囲に該当する。
【符号の説明】
【0046】
1 ・・・車体
2 ・・・車体底板
3 ・・・客室床
4 ・・・機器室
5 ・・・空力揚力調節制御ファン
6 ・・・空力揚力調節制御ダクト
6-1 ・・・第1ダクト
6-2 ・・・第2ダクト
7 ・・・空力揚力調節制御通風口
7-1 ・・・第1通風口
7-2 ・・・第2通風口